説明

浮遊粒子の測定方法及びその装置

【課題】浮遊粒子の径及びその粒径分布を測定する方法、及び、それを可能とする測定装置を提供する。
【解決手段】無塵空間に、既知の径の粒子を散布し、その空間に光を照射し、光が照射された空間を撮影し、撮影した画像に表示された画像上粒子の径を計測し、計測径と既知の粒子径である実際の径との相関を導き出す。光照射を含む撮影条件の少なくとも1つの条件を変更した撮影条件にて、撮影条件における画像上粒子の計測径と既知の粒子径である実際の径との相関を導き出すことを、多数の撮影条件の下に繰返す。蓄積された相関データを対比し、測定粒子の実際の径を同定することを特徴とする空間内粒子測定方法である。また、かかる測定方法を可能とする測定装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間に浮遊する粒子の径及び数を測定する方法に関するものである。また、本発明は、上記方法の実現を可能とする装置を与えるものである。
【背景技術】
【0002】
塗装工場、食品工場、フィルム工場、液晶ディスプレイ工場や半導体の工場においては、常にクリーンな環境下にて製品を製造することが求められており、空間に浮遊する粒子による汚染が、得られる製品の品質、性能や歩留まりに大きく影響を与えることが知られている。そのことから、特許文献1に記載されているように、作業空間の清浄度を監視する目的で、空間浮遊する粒子の径及び数を測定するパーティクルカウンタが使用されてきた。作業空間の清浄度を監視し、浮遊している粒子の径を正確に測定すると、粒子が発生している汚染源を特定することが容易となり、汚染源の除去に対する対策も立てやすくなる。
【0003】
特許文献1に記載のパーティクルカウンタでは、サンプリング管内に連続的に吸い込んだ空気にレーザー光等を照射して空気中に含まれる粒子からの散乱光を一つずつ計測することによって単位容積当りの粒子の数と径の分布(粒径分布)を計測することを可能としている。
【0004】
しかし、特許文献1に示すパーティクルカウンタでは、測定したい空間にサンプリング管を配置し、かかるサンプリング管内に測定対象空間の空気を吸引する工程を要するが、サンプリング管そのものが空間を遮る障害物となったり、吸引量が多い場合は空間だけでなく障害物や床壁面などに付着したものまで吸引したりすることがある。このように、吸引する条件によって、測定対象空間に実際に浮遊している粒子が精度良く吸引されずに、測定結果にばらつきが生じる場合があった。そのことから、浮遊する粒子の径及び数を精度良く測定する方法が求められていた。
【0005】
その対策として、特許文献2には、サンプリング管を用いることなく、空間に光を照射し、該光が照射された空間を撮影して、側方散乱光強度を測定することによって、浮遊する粒子の径及び数を測定する遠隔レーザーレーダー微粒子計数装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−86737号公報
【特許文献2】特開2005−62055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献2に記載の装置では、撮影条件によって側方散乱光強度にばらつきが生じることから、粒子の径についての測定精度が充分に確保されないという問題を有する。更に、特許文献2に記載の側方散乱光強度から粒子の径を算出する関係式は、粒子を完全球形とした場合に限定されており、実際的ではないことからも、粒子の径を高精度にて測定できないものである(通常の空間では、完全球形の物体が浮遊しているとは考えにくい)。
したがって、これらの点に着目してなされた本発明の目的は、浮遊する粒子の径及び数を精度良く且つ確実に測定する方法、及び、それを可能とする測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の要旨構成は、次のとおりである。
(1)無塵空間に、既知の径の粒子を散布し、該粒子を散布した空間に光を照射し、該光の照射方向を横切る向きから、光が照射された空間を撮影し、該撮影した画像に表示された画像上粒子の径を計測し、該計測径と既知の径である実際の径との相関を導き出す工程、
(2)前記光照射を含む撮影条件の少なくとも1つの条件を変更した撮影条件にて、前記工程(1)を繰り返し、該撮影条件における画像上粒子の計測径と既知の径である実際の径との相関を導き出すことを、多数の撮影条件の下に繰返す工程、
(3)測定対象の空間に光を照射し、該光の照射方向を横切る向きから、光が照射された空間を撮影し、該撮影した画像に表示された測定粒子である画像上粒子の径を計測し、該計測径及び当該計測時の撮影条件を前記工程(2)にて蓄積された相関データと対比し、前記測定粒子の実際の径を同定することを特徴とする空間粒子測定方法である。なお、ここでいう「粒子の径」とは、空気中の浮遊粒子に、安定化された光源による光を照射して得られる散乱光の散乱光量と浮遊粒子直径とが一定の関係にあること(ミー理論)を使用して算出される粒子の径の平均値を言うものである。
【0009】
ここでの無塵空間は、米国連邦規格209Dにおけるクラス表示で100以下のクリーン度であることが好ましい。
【0010】
また、前記工程(3)の後、測定粒子を径毎に集計し、撮影した画像の容積換算を行い、単位容積当りの測定粒子の粒径分布を算出することが好ましい。
【0011】
更に、光が照射された空間は、光の照射方向に対し、10〜135°の範囲にて横切る向きにて撮影することが好ましい。
【0012】
更にまた、前記既知の径は、0.01〜1000μmであることが好ましい。
【0013】
加えて、光の照度は、空間の照度よりも、少なくとも60lx大きいことが好ましい。
【0014】
また、この発明は、空間を照射するための光源、光源の照射方向を横切る向きから空間を画像として撮影する撮影手段、撮影手段に対し照射方向よりも離間した位置に、撮影手段により撮影される領域に配される平面上の撮影シート、撮影手段により撮影された画像上粒子の径及び数を画像処理により計測する画像処理手段、画像処理手段により計測された画像上粒子の計測径と該粒子の実際の径の情報を記録する記録手段、記録された情報に基づき、撮影された画像に表示される画像上粒子の実際の径及び数を自動で算出する演算手段、及び、撮影された画像の単位面積当りの粒子を径毎に集計し、単位容積当りの粒径分布を算出する集計手段を具えることを特徴とする空間の粒子の数及び径を測定する粒子測定装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、様々な撮影条件に対して、上記した撮影された画像にて計測された画像上粒子の測定径と既知の径である実際の径との相関を導き出すことで、測定対象の空間を撮影した画像から、空間に浮遊する粒子の径及び数を高精度にて測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明に従う空間内粒子測定装置を示した図である。
【図2】画像に表示される画像上粒子の測定径と既知の径である実際の径の相関線の一例を示すグラフ図である。
【図3】光の照射方向に対する高感度カメラの配置を示した図である。
【図4】(a)及び(b)は、従来技術及び本発明の装置を使用して測定した粒子の寸法及び個数を示したグラフ図である。
【図5】測定粒子の径及び単位容積当りの粒径分布を示したグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明に従う粒子測定装置について、図1を参照して詳しく説明する。
図1に示すように、この発明に従う粒子測定装置1は、測定対象の空間をシート状の光で照射するためのメタルハライドランプ(光源)2、かかるメタルハライドランプ2の照射方向Xを横切る向きから空間を画像として撮影する高感度カメラ(撮影手段)3、かかる高感度カメラ3に対し照射方向Xよりも離間した位置にあり、高感度カメラ3により撮影される領域に配置した平面状の撮影シート4を具える。なお、空間を照射する光源2は、高輝度・高出力の光源であればメタルハライドランプに限定されるものではなく、例えば、水銀ランプ・高圧ナトリウムランプ・パワーLEDなどを光源として、シート状に集光した光を発するものでも可能である。或いは、レーザー光をミラーにて薄シート状に広げた光を使用することも可能である。また、かかる装置1は、高感度カメラ3により撮影された画像内の粒子の径及び数を画像処理により計測する画像処理ソフト(画像処理手段)5、かかる画像処理ソフト5により計測された画像上粒子の計測径と粒子の実際の径の情報を記録する記憶装置(記録手段)6を具える。そして、記録された情報に基づき、撮影された画像上に表示される画像上粒子の実際の径を自動で算出する演算ソフト(演算手段)7と、撮影された画像の単位面積当りの粒子を径毎に集計し、単位容積当りの粒径分布を算出する集計ソフト(集計手段)8を具える。なお、画像処理ソフト5、記憶装置6、演算ソフト7及び集計ソフト8は、コンピュータユニットの一部として一体化されたものとすることができる。また、粒子測定装置1に、図示は省略するが、種々の結果を表示するためのモニターや、種々の結果を出力するためのプリンタを取り付けることも可能である。
以下、粒子測定装置1を使用して測定対象の空間の粒子(以下、「測定粒子」と称する)の径及び数を測定する工程について説明する。
【0018】
まず、所定の環境条件(照度等の環境)下にある無塵空間に、既知の径の粒子、例えば径が0.01μmとして既知である粒子を散布し、既知の径の粒子を散布した空間に所定の条件にてメタルハライドランプ2から光を照射する。光の照射方向Xに対し、例えば直交した向きから、光が照射された空間を高感度カメラ3により撮影することで、測定粒子が撮影シート4上に表示された画像が得られる。
なお、「既知の径の粒子」は球形が好ましいが、径が既知であれば形状は特に限定されない。形状が球形でない場合の径は、本発明においては、微分電気移動度分析器(Differential Mobility Analyzer, DMA)を用いた電気移動度分析法等により分級された粒子の粒径分布における個数中央値(Count Median Diameter, CMD)を意味するものとする。
次いで、撮影した画像に表示された画像上の粒子について、画像処理ソフト5による画像処理により画像上粒子の径を計測し、かかる計測径と、上記実際に散布した粒子の既知の径とを比較し、画像上粒子の計測径と、既知の径である実際の粒子径との関連付けを行い、関連付けを行った情報を記憶装置6に記録する。
ここで、画像上粒子の径は同一ではなく分布を有しており、該分布のピーク位置に対応する径と粒子の既知の径とを関連付ける。
そして、上記既知の径の粒子とは異なる径、例えば、0.05μm、0.1μm、0.3μm、0.5μm、1.0μm、1.5m、2.0μm、5.0μm、10.0μm、50.0μm、100.0μm及び1000μmの径について、上述の既知の径の粒子の散布から記録までの工程を径毎に繰り返し、画像上粒子の計測径と、既知の径である実際の粒子径との関連付けを行った情報を記憶装置6に記録することにより、複数の記録を蓄積したデータベースを構築する。
その後、かかるデータベースの情報に基づき、演算ソフト7により、計測径と既知の径である実際の径との相関を導き出す。(例えば、図2のグラフ図に示すような相関線を引き、かかる相関線から相関を導き出す)。
そして、変更した撮影条件、すなわち、光源2の種類、光源2から照射される光の照度、測定対象の空間の照度、高感度カメラ3のズームリング位置、高感度カメラ3の絞り位置、照射方向に対する高感度カメラ3の角度及び距離等の配置、撮影シート4に対する高感度カメラの角度及び距離等の配置、撮影シート4に対する照射方向の配置等の条件の少なくとも1つの条件を変更した撮影条件において、上述してきたように、画像上粒子の計測径と既知の径である実際の径との相関を導き出すことを、多数の撮影条件の下に繰返し、それらを記録する。
以上のように、多数の撮影条件において、画像上粒子の計測径と既知の径である実際の径との相関を導き出すことにより、測定対象の空間における測定粒子の径を算出することが可能となる。また、既知の粒子の径を0.01〜1000μmの範囲において複数採用することにより、空間に存在する一般的な粒子の径を網羅した相関が導き出される。
【0019】
以下、上記の相関式を利用して測定対象の空間における粒子の径を算出する方法を説明する。
まず、測定対象の空間に所定の条件にてメタルハライドランプ2からシート状の光を照射する。そして、測定対象の空間を、光の照射方向Xに対し、例えば直交する向きから、光が照射された空間を高感度カメラ3により撮影する。そして、測定対象の空間を撮影した画像上の測定粒子について、画像処理ソフト5による画像処理して、画像上の測定粒子の径を計測する。そして、計測径及び計測時の撮影条件を蓄積された相関データと対比し、測定粒子の実際の径を同定する。
その後、必要に応じて、測定対象の空間の粒子の集計を行う。測定対象の空間における粒子の単位容積当りの粒径分布を算出する場合には、集計ソフト8を用いて、測定粒子を粒子径毎に集計し、かつ、撮影された画像中の撮影シート4の面積から撮影画像の容積換算を行い、換算された容積のデータと計測された粒子の径及び数のデータとをリンクさせることにより、測定粒子の単位容積当りの粒径分布を算出することができる。
上記した工程により、測定対象の空間を撮影した画像から、空間に浮遊する粒子の径及び単位容積当りの粒径分布を精度良く測定することが可能となる。このことにより、浮遊している粒子の径が正確に把握され、粒子が発生している汚染源を特定することが容易となる。また、パーティクルカウンタのように、サンプリング管を用いる必要が無いことから、サンプリング管を用いた場合の吸引条件による測定結果のばらつきを考慮する必要がなくなり、測定の精度が向上することとなる。また、測定条件に起因した測定結果のばらつきや、粒子の径を求める際の不適切な関係式に起因した測定結果のばらつきが無くなる。更に、測定粒子の径及び単位容積当り粒径分布を連続的に算出することができることから、測定粒子の径及び単位容積当り粒径分布の経時的な変化を測定することも可能となる。更にまた、上記測定原理を流用すれば、測定対象の空間を撮影した動画に対しても、測定粒子の径及び単位容積当りの測定粒子の粒径分布を算出することができ、リアルタイムにて、空間における粒子の状態を知ることも可能となる。加えて、粒子数の少ない空間、すなわち空間の清浄度が高い空間の測定には特に有効である。
なお、測定対象の空間における撮影条件が、相関を求めた際の撮影条件と異なる新たな撮影条件である場合には、相関を求めた撮影条件の結果から、新たな撮影条件における相関を補完するような補正を行い、測定粒子の径を算出することで対応する。
【0020】
このとき、図3に示すように、光が照射された空間は、光源2からの光の照射方向Xに対し、10〜135°の範囲、すなわち図3の斜線の範囲内にて高感度カメラ3にて撮影することが好ましい。なぜなら、光が照射された空間を、光の照射方向Xに対し、10°未満にて横切る向きから撮影すると、高感度カメラ3に照射された光がレンズ内に直接侵入して、高感度カメラ3が故障してしまう虞があるからである。一方、光が照射された空間を、光の照射方向Xに対し、135°を超えて横切る向きから撮影すると、粒径サイズの小さい散乱光はカメラ側に届かず、このため小さい粒径サイズの検出感度が悪くなり、対象空間の微粒子粒径分布を正しく計測できなくなる可能性があるからである。
【0021】
加えて、光源2から発せられる光の照度は、空間の照度よりも、少なくとも60lx大きいことが好ましい。なぜならば、光源2から発せられる光の照度が、測定対象の空間の照度より少なくとも60lx大きくないと、両者の照度差が小さくり過ぎて、測定対象の空間に光を照射したとしても、粒子を正確に撮影することができない可能性があるからである。
【0022】
なお、上述したところはこの発明の実施形態の一部を示したに過ぎず、この発明の趣旨を逸脱しない限り、これらの構成を交互に組み合わせたり、種々の変更を加えたりすることができる。
【実施例】
【0023】
サンプリング管の吸引量が1.0CF/min近傍であり、0.1〜0.5、0.3〜10、10〜100μmの径の粒子を正確に計測できる従来技術のパーティクルカウンタ(従来例装置)と、上記した本発明の粒子測定装置(実施例装置)を用いて、従来技術のばらつき原因を除去した周辺環境条件下(障害物、床、壁から十分距離を取った空間)にて、粒子の径及び単位容積辺りの粒径分布を測定した。なお、従来技術のパーティクルカウンタは、1機種で今回対象の全ての粒子径レンジをカバーできないため、粒径ごとに異なる複数種類のパーティクルカウンタを使用して測定した。
【0024】
実施例装置は、光源のメタルハライドランプをレンズで帯状に集光し、光源からの初期光束を6,000 lm(ルーメン)に設定し、高感度カメラのレンズ倍率は50mm(35mm判換算)であり、ピント位置の中心は2.0m、絞り開放F1.4であり、光源、高感度カメラ及び撮影シートの配置は、光源から調査対象空間中心までの距離を2.5m、カメラ撮影軸を、撮影シートに対し、X軸方向側から80°の角度で、シートまでの距離2.0mの位置からの撮影となっている。
そして、かかる実施例装置を用いて、上述したこの発明に従う測定空間における粒子の径及び数を測定する方法を実施した。なお、無塵空間に散布した粒子の既知の径は、0.1μm、0.15μm、0.2μm、0.5μm、1μm、5μm、10μm、50μm、100μmである。また、測定空間の照度は、0.01lxの暗所となっている。
【0025】
まず、0.1μm以上5μm未満の径の粒子を各種濃度にて散布した空間において、従来例装置及び実施例装置を用いて、粒子の径及び単位容積当たりの個数を測定した。なお、このとき、0.1μm以上5μm未満の径の粒子の個数を合算して示すものとする。その結果を図4(a)に示す。
また、同様に、散布した粒子の径を5μm以上100μmまでの径の粒子を各種濃度にて散布した空間において、従来例装置及び実施例装置を用いて、粒子の径及び単位容積当たりの個数を測定した。なお、このとき、5μm以上100μmまでの径の粒子の個数を合算して示すものとする。その結果を図4(b)に示す。
図4(a)及び(b)に示すように、従来例装置(粒径レンジごとに異なる、複数種装置)における結果と実施例装置における結果との間の誤差は小さく、この発明の方法を用いた実施例装置においても、粒子の径及び個数を正確に測定することができることがわかった。
【0026】
次いで、従来例装置及び実施例装置を用いて、測定対象の空間における0.1μm以上、0.15μm以上、0.2μm以上、0.5μm以上、50μm以上、100μm以上の径の粒子について測定し、単位容積当たりの個数を算出した。その結果を図5に示す。
図5に示す結果から明らかなように、従来例装置(粒径レンジごとに異なる、複数種装置)における結果と実施例装置における結果との間の誤差は小さく、この発明の方法を用いた実施例装置においても、粒子の径及び個数を正確に測定することができることがわかった。
【0027】
上記した各種結果から明らかなように、この発明に従う測定方法を採用した実施例装置を用いることにより、従来例装置1種類では測定できない径の粒子についても、同時に高精度にて測定することが可能となった。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上の説明から明らかなように、この発明の粒子の測定方法によって、測定対象の空間を撮影した画像から、単位容積当りの測定粒子の粒径分布を高精度にて測定することが可能となった。また、かかる測定方法を可能とする装置を提供することが可能となった。
【符号の説明】
【0029】
1 粒子測定装置
2 メタルハライドランプ(光源)
3 高感度カメラ(撮影手段)
4 撮影シート
5 画像処理ソフト(画像処理手段)
6 記憶装置(記録手段)
7 演算ソフト(演算手段)
8 集計ソフト(集計手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)無塵空間に、既知の径の粒子を散布し、該粒子を散布した空間に光を照射し、該光の照射方向を横切る向きから、光が照射された空間を撮影し、該撮影した画像に表示された画像上粒子の径を計測し、該計測径と既知の径である実際の径との相関を導き出す工程、
(2)前記光照射を含む撮影条件の少なくとも1つの条件を変更した撮影条件にて、前記工程(1)を繰り返し、該撮影条件における画像上粒子の計測径と既知の径である実際の径との相関を導き出すことを、多数の撮影条件の下に繰返す工程、
(3)測定対象の空間に光を照射し、該光の照射方向を横切る向きから、光が照射された空間を撮影し、該撮影した画像に表示された測定粒子である画像上粒子の径を計測し、該計測径及び当該計測時の撮影条件を前記工程(2)にて蓄積された相関データを対比し、前記測定粒子の実際の径を同定することを特徴とする粒子測定方法。
【請求項2】
前記工程(3)の後、前記測定粒子を径毎に集計し、該撮影した画像の容積換算を行い、単位容積当りの測定粒子の粒径分布を算出する、請求項1に記載の粒子測定方法。
【請求項3】
前記光が照射された空間は、光の照射方向に対し、10〜135°の範囲にて横切る向きにて撮影する、請求項1又は2に記載の粒子測定方法。
【請求項4】
前記既知の径は、0.01〜1000μmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粒子測定方法。
【請求項5】
前記光の照度は、前記空間の照度よりも、少なくとも60lx大きい、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粒子測定方法。
【請求項6】
空間を照射するための光源、
該光源の照射方向を横切る向きから該空間を画像として撮影する撮影手段、
該撮影手段に対し照射方向よりも離間した位置に、該撮影手段により撮影される領域に配される平面上の撮影シート、
該撮影手段により撮影された画像上粒子の径及び数を画像処理により計測する画像処理手段、
該画像処理手段により計測された粒子の径と粒子の実際の径の情報を記録する記録手段、
該記録された情報に基づき、撮影された画像に表示される粒子の実際の径及び数を自動で算出する演算手段、及び、
該撮影された画像の単位面積当りの粒子を径毎に集計し、単位容積当りの粒径分布を算出する集計手段を具えることを特徴とする粒子の数及び径を測定する測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−112721(P2012−112721A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260381(P2010−260381)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(302006854)株式会社SUMCO (1,197)