説明

浮魚礁

【課題】耐久性が高く、経済的で回収が容易な表層浮魚礁を提供する。
【解決手段】浮体10と、アンカー30と、該浮体10とアンカー30とを繋ぐ係留索12,22,23を有し、潮流の速度が遅い時には浮体10の上部が海面上に出、潮流の速度が速い時には浮体10全体が海中に引き込まれるように、該浮体10の浮力が調整されており、且つ、該浮体10に係留索41を介して標識ブイ40が取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海面付近に浮かせて使用する浮魚礁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の浮魚礁としては、基本的に、浮体と、当該浮体を海底につなぎ止めるアンカーと、該浮体とアンカーとを繋ぐ係留索とを有しており、該浮体の一部が常に海面上にある表層浮魚礁(特許文献1参照)や、浮体が常に海面下にある中層浮魚礁(特許文献2参照)が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平6−14675号公報
【特許文献2】実公昭58−36270号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら表層浮魚礁では、浮体の一部が常に海面上にあるように設計されており、潮流の速い時や大きな波が生じた時には浮体とアンカーとを繋ぐ係留索に大きな力がかかり、さらに、海面の上下変動等に対応するために係留索が長いことから、耐久性に問題があった。一方、中層浮魚礁では、浮体を常に海面下に置くため係留索が短く、常に緊張係留になるように設計されているため、耐久性に優れているが、浮体が常時海面下にあるために海上からの発見が困難であり、回収作業が繁雑であった。
【0005】
さらに、従来の浮魚礁には回収のための手段が講じられていなかったため、回収には大型のウインチを用いる必要があり、回収費用が膨大であるという問題もあった。
【0006】
本発明の課題は、耐久性が高く、経済的な表層浮魚礁を提供することにあり、さらには、回収作業が容易な浮魚礁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の浮魚礁は、浮体と、アンカーと、該浮体とアンカーとを繋ぐ係留索とを有する浮魚礁であって、該浮体の一部が海面上に出た状態と、浮体全体が海面下に位置する状態との間で、該浮体が潮流の速度に応じた位置を取るように該浮体の浮力が調整されており、該浮体に別途係留索を介して標識ブイが取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
上記本発明の浮魚礁において好ましくは、浮体とアンカーとを繋ぐ係留索に回収用フックが取り付けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、浮体の浮力が調整されていることから、潮流が通常の速度の時は浮体の一部が海面上に出て従来と同様の表層浮魚礁として働き、潮流が速くなった時には浮体が海面下に引き込まれて従来の中層浮魚礁と同様の状態となり、従来の表層浮魚礁に比べて係留索にかかる力が緩和されることから、耐久性が向上する。また、浮体に標識ブイを取り付けているため、浮体全体が海面下に有る時でも当該浮魚礁の位置が容易に認識されるため、浮体に船舶が衝突する危険を回避することができる。さらに、係留索に回収用フックを取り付けておくことにより、通常の起重機のクレーンにより容易に当該浮魚礁を引き上げることができ、回収作業を経済的且つ効率よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1に本発明の浮魚礁の好ましい実施形態の概略構成図を示す。本発明の浮魚礁は基本的に、浮体10と、アンカー30と、該浮体10とアンカー30とを繋ぐ係留索とを有し、図1の例においては、該係留索が浮体10の下部に取り付けられた副係留索21と上部主係留索22と下部主係留索23とからなる。また、アンカー30と下部主係留索23とはアンカーチェーン31を介して連結されている。
【0011】
図2に浮体10の拡大図を示す。図2に示すように、本例の浮体10は目の粗い網状の枠体13の中に複数個のブイ14を収納してなり、上部に取り付けた甲板11に標識灯12や流出警報発信機などの位置監視システム(不図示)が搭載されている。
【0012】
本発明の浮魚礁においては、例えばブイ14の個数を調整するなどして、潮流の速度が遅い時には、図2に示すように浮体10の上部が海面上に出た状態となり、潮流の速度が速い時には、浮体10全体が海中に引き込まれるように、浮体10の浮力が調整されている。尚、係留索21,22,23もこれに合わせて従来の表層浮魚礁よりも短く構成することができる。浮体10が海中に引き込まれる潮流の速度としては、2.5ノット程度が好ましい。これにより、潮流が穏やかな状態では従来の表層浮魚礁と同様に浮体10の上部が海面上に位置し、潮流の速度が速い時には、従来の中層浮魚礁と同様に浮体10全体が海中に水没することにより、係留索21,22,23にかかる力を従来の表層浮魚礁よりも大幅に緩和することができる。その結果、耐久性が向上する。
【0013】
また、本発明においては、浮体10に係留索41を介して標識ブイ40が取り付けられている。よって、浮体10が海中に引き込まれて標識灯12が海上から認識できない場合であっても、当該標識ブイ40によって当該浮体10の存在が認識されるため、当該浮体10への船舶の衝突を回避することができる。標識ブイ40は、夜間に海上からの視認が容易なように先端に標識灯を付設することが望ましい。
【0014】
標識ブイ40を浮体10に繋げている係留索41の長さは、当該浮魚礁を用いる海域を航行する船舶の喫水以上にしておくことが好ましい。これにより、標識ブイ40が海中に引き込まれた状態では、海面から浮体10までの深さが当該海域を航行する船舶の喫水以上となるため、浮体10に船舶が直接衝突する危険を回避することができる。また、標識ブイ40は浮体10に比較すると小さく、軽いため、当該標識ブイ40に船舶が衝突しても被害が小さい。
【0015】
さらに本発明においては、係留索21,22,23に回収用のフック24を複数箇所に取り付けておくことが好ましい。これにより、通常の起重機のクレーンで順次、該フック24をかけて引き上げることで当該浮魚礁を容易に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の浮魚層の概略構成図である。
【図2】図1の浮魚礁の浮体の概略構成図である。
【符号の説明】
【0017】
10 浮体
11 甲板
12 標識灯
13 枠体
14 ブイ
21 副係留索
22 上部主係留索
23 下部主係留索
24 回収用フック
25 クッションフロート
30 アンカー
31 アンカーチェーン
40 標識ブイ
41 係留索

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮体と、アンカーと、該浮体とアンカーとを繋ぐ係留索とを有する浮魚礁であって、該浮体の一部が海面上に出た状態と、浮体全体が海面下に位置する状態との間で、該浮体が潮流の速度に応じた位置を取るように該浮体の浮力が調整されており、該浮体に別途係留索を介して標識ブイが取り付けられていることを特徴とする浮魚礁。
【請求項2】
上記浮体とアンカーとを繋ぐ係留索に回収用フックが取り付けられている請求項1に記載の浮魚礁。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−236291(P2007−236291A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−63500(P2006−63500)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(390018717)旭化成建材株式会社 (249)
【Fターム(参考)】