浴室ユニット
【課題】フランジの剛性を強化することなく、壁部材の荷重によるフランジの変形量の最大値を減少できる浴槽を有する浴室ユニットを提供する。
【解決手段】浴室ユニットは、槽本体と槽本体の外側に広がるフランジ11とを有する浴槽10と、フランジ11上に置かれる壁部材とを備え、壁部材を配置するための配置領域30が、フランジ11部の外周Cの上面に設けられ、配置領域30は、壁部材の下面に対向し、配置領域30は、壁部材が配置領域30に接触する接触領域31、32、33と、壁部材が配置領域30に接触しない非接触領域41、42、43、44とを含んでおり、配置領域に含まれる外周C上の任意の位置Pが、フランジ長さLを与えており、フランジ長さLは、位置Pからフランジ11と槽本体との境界線B4までの距離であり、非接触領域41、42、43、44は、フランジ長さLの最大値を与える位置Pを含むように設定した。
【解決手段】浴室ユニットは、槽本体と槽本体の外側に広がるフランジ11とを有する浴槽10と、フランジ11上に置かれる壁部材とを備え、壁部材を配置するための配置領域30が、フランジ11部の外周Cの上面に設けられ、配置領域30は、壁部材の下面に対向し、配置領域30は、壁部材が配置領域30に接触する接触領域31、32、33と、壁部材が配置領域30に接触しない非接触領域41、42、43、44とを含んでおり、配置領域に含まれる外周C上の任意の位置Pが、フランジ長さLを与えており、フランジ長さLは、位置Pからフランジ11と槽本体との境界線B4までの距離であり、非接触領域41、42、43、44は、フランジ長さLの最大値を与える位置Pを含むように設定した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽本体と該槽本体から水平方向の外側に広がるフランジとを有する浴槽と、前記フランジ上に置かれる壁部材とを備えている、浴室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、従来の浴室の展開図である。浴室は、床部材101、壁部材102、103、及び浴槽110を有している。壁部材102は、浴槽110上に置かれており、壁部材103は、床部材101上に置かれている。壁部材103は、壁部材102よりも浴槽110の高さだけ長い。浴槽110は、槽本体120と、該槽本体120から水平方向の外側に広がるフランジ111とを有している。特許文献1は、このような浴室の一例を開示している。
【0003】
図9は、従来の浴槽110の平面図である。図9において、フランジ111の外周Cは、4つの辺S1、S2、S3、S4からなる四角形形状を有している。壁部材102を配置するための配置領域130が、3つの辺S1、S2、S3に沿ってフランジ111の上面に設けられている。3つの辺S1、S2、S3に沿う配置領域130には、壁部材102が配置されている。一方、辺S4に沿う周辺部は開放されており、該周辺部に壁部材102は配置されていない。壁部材102の下面及びフランジ111の上面は平坦であり、壁部材102の下面がフランジ111の上面に全面的に接触する。壁部材102は接着剤を用いてフランジ111に固定され、壁部材102はフランジ111に一体化される。接着による固定の後、壁部材102とフランジ111との接続部を被覆するようにシール剤が塗布される。この結果、接続部の水密性が確保され、浴室内の水が浴室外に漏れることが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−156816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
配置領域130に壁部材102の荷重が加わるため、この配置領域130は下方に変位する。配置領域130の各部における変位は、配置領域130の各部における変形の影響を受ける。各部における変形量が大きくなるにつれて、各部における変位量も大きくなる。ここで、任意位置における変位量は、この位置における変形前から変形後までの変化量であり、任意位置における変形量は、この位置における単位長さ当たりの変位量である。配置領域130の各部における変形量は、配置領域130の各部に発生する力のモーメントの大きさによって変化する。力のモーメントは、作用点に掛かる荷重と、作用点と回転の中心との距離とによって特定される。このため、力のモーメントは、作用点に掛かる荷重が大きくなるにつれて、作用点と回転の中心との距離が長くなるにつれて、大きくなる。
【0006】
図9において、フランジ111の外周Cは、頂点P1、長手中央部P5、及び短手中央部P6を含んでいる。頂点P1において、外周Cに含まれる2つの辺が合流している。一方、フランジ111と槽本体120との境界線B4は、四隅に丸みを有する四角形形状を有している。ここで、フランジ長さLが特定されている。フランジ長さLは、外周C上の位置Pから境界線B4までの最短距離である。フランジ長さLは、上述した作用点と回転の中心との距離に概ね一致する。壁部材102の厚み及び高さは一定であるので、単位面積当たりの配置領域130に掛かる壁部材102の荷重は一定である。この場合、力のモーメントの大きさは、フランジ長さLのみに比例する。
【0007】
図10は、図9のA−A断面図であり、図11は、図9のB−B断面図であり、図12は、図9のC−C断面図である。図9から図12において、頂点P1におけるフランジ長さL1は、長手中央部P5におけるフランジ長さL5及び短手中央部P6におけるフランジ長さL6よりも長い。このため、頂点P1に掛かる力のモーメントは、中央部P5、P6に掛かる力のモーメントよりも大きい。この結果、フランジ111の四隅が最も下方に変位する。そうすると、浴室が使用されるとき、フランジ111の四隅に水が溜まってしまう。
【0008】
フランジ111の変形量を抑制するために、フランジ111の剛性を強化することが検討されている。剛性の強化は、例えば、フランジ111の下側で浴槽110にリブを設けることや、浴槽110の肉厚を増加させることによって行われる。しかし、これらの対応は、浴槽110のコストアップを招くため、望ましくない。
【0009】
そこで、本発明は、フランジの剛性を強化することなく、壁部材の荷重によってフランジに発生する変形量の最大値を減少できる浴槽を有する浴室ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る浴室ユニットは、槽本体と該槽本体から水平方向の外側に広がるフランジとを有する浴槽と、前記フランジ上に置かれる壁部材とを備えている、浴室ユニットであって、前記壁部材を配置するための配置領域が、前記フランジの外周の少なくとも一部に沿って前記フランジの上面に設けられており、該配置領域は、前記壁部材の下面に対向しており、該配置領域は、前記壁部材が前記配置領域に接触する接触領域と、前記壁部材が前記配置領域に接触しない非接触領域とを含んでおり、前記配置領域に含まれる前記外周上の任意の位置が、フランジ長さを与えており、該フランジ長さは、前記位置から前記フランジと前記槽本体との境界線までの距離であり、前記非接触領域は、前記フランジ長さの最大値を与える前記位置を含むように設定されている。
【0011】
好ましくは、前記壁部材の下面は、平坦面であり、前記接触領域は、平坦面であり、前記非接触領域は、前記接触領域よりも下方に形成される面である。
【0012】
好ましくは、前記外周は、平面視において、4つの辺を有する四角形形状を有しており、前記配置領域は、前記4つの辺のうちの3つの辺に沿って設けられており、前記境界線は、平面視において、四角形形状又は四隅に丸みを有する四角形形状を有しており、前記非接触領域は、前記外周の四隅に設けられている。
【0013】
また、本発明に係る浴室ユニットは、槽本体と該槽本体から水平方向の外側に広がるフランジとを有する浴槽と、前記フランジ上に置かれる壁部材とを備えている、浴室ユニットであって、前記壁部材を配置するための配置領域が、前記フランジの外周の少なくとも一部に沿って前記フランジの上面に設けられており、該配置領域は、前記壁部材の下面に対向しており、該配置領域は、前記壁部材が前記配置領域に接触する接触領域と、前記壁部材が前記配置領域に接触しない非接触領域とを含んでおり、前記配置領域は、同一面積を有する複数の単位領域に分割されており、任意の前記単位領域に発生する力のモーメントが、該単位領域に掛かる前記壁部材の荷重と、前記単位領域の重心位置から前記フランジと前記槽本体との境界線までの最短距離と、によって特定されており、前記配置領域が前記接触領域のみからなる場合と比べて前記力のモーメントの最大値が小さくなるように、前記非接触領域は、前記場合において前記力のモーメントの最大値を発生させる前記単位領域を含むように設定されている。
【0014】
本発明に係る浴室ユニットにおいて、フランジの外周の形状及び境界線の形状は、限定されない。また、境界線は、フランジ及び槽本体を区分するように浴槽において曲率が変化する線状位置、あるいはフランジに荷重が掛かった場合に応力集中が発生する浴槽上の線状位置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る浴室ユニットは、壁部材の荷重によってフランジに発生する変形量の最大値を減少できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、浴室の一部の斜視図である。
【図2】図2は、浴槽の斜視図である。
【図3】図3は、浴槽の横断面図である。
【図4】図4は、浴槽の平面図である。
【図5】図5は、第1短辺に沿う配置領域に関連する、壁部材及びフランジの側面図である。
【図6】図6は、第2辺及び第3辺の合流部分を示すフランジの斜視図である。
【図7】図7は、浴槽の平面図である。
【図8】図8は、従来の浴室の展開図である。
【図9】図9は、従来の浴槽の平面図である。
【図10】図10は、図9のA−A断面図である。
【図11】図11は、図9のB−B断面図である。
【図12】図12は、図9のC−C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、浴室の一部の斜視図である。図1において、浴室は、床部材1、壁部材2、3、4、及び浴槽10を有している。浴槽10は、フランジ11を有している。壁部材2は、浴槽10のフランジ11上に置かれている。壁部材3は、床部材1上に置かれている。壁部材3は、壁部材2よりも浴槽10の高さだけ長い。壁部材4は、フランジ11と床部材1との間に配置されている。
【0018】
浴室の少なくとも一部は、浴室ユニットを構成している。浴室ユニットは、少なくとも、浴槽10及び該浴槽10上に置かれる壁部材2を備えている。浴室ユニットは、更に、床部材1、壁部材3、4を含んでも良い。
【0019】
図2は、浴槽10の斜視図である。図3は、浴槽10の横断面図である。図2、図3において、浴槽10は、下方から上方に向けて、脚部12(図3)、底部13、下屈曲部14、側壁15、上屈曲部16、及びフランジ11を有している。脚部12は、底部13の下面に固定されている。底部13は、水平方向に広がっている。下屈曲部14は、底部13の外側端から上方に向けて屈曲している。側壁15は下屈曲部14の上端から上方に延びている。上屈曲部15は、側壁15の上端から水平方向の外側へと屈曲している。フランジ11は、上屈曲部15の外側端から水平方向の外側に広がっている。脚部12、底部13、下屈曲部14、側壁15、上屈曲部16、及びフランジ11は、いずれも概ね一定の厚さを有している。槽本体20は、脚部12、底部13、下屈曲部14、側壁15、及び上屈曲部16により構成されている。槽本体20は、水を溜める容器を形成している。
【0020】
図2、図3において、底部13、下屈曲部14、側壁15、上屈曲部16、及びフランジ11は、境界線B1、B2、B3、及びB4によって区分されている。これらの境界線B1、B2、B3、及びB4は、曲率が変化する位置を指している。つまり、底部13、下屈曲部14、側壁15、上屈曲部16、及びフランジ11の曲率は、互いに異なっている。
【0021】
図4は、浴槽10の平面図である。図4において、フランジ11の外周Cは、4つの辺を有する四角形形状を有している。4つの辺は、第1辺S1、第2辺S2、第3辺S3、及び第4辺S4からなっている。第2辺S2及び第4辺S4は、第1辺S1及び第3辺S3よりも長い。フランジ11の上面には、壁部材2を配置するための配置領域30が設けられている。配置領域30は、第1辺S1、第2辺S2、及び第3辺S3に沿って設けられている。配置領域30は、壁部材2の下面2a(図5)に対向している。配置領域30の幅は、壁部材2の幅に等しい。つまり、この配置領域30は、フランジ11の上面に投影された壁部材2の下面2aの正射影に等しい。第1辺S1に沿う配置領域30に1つの壁部材2が配置され、第2辺S2に沿う配置領域30に2つの壁部材2が配置され、第3辺S3に沿う配置領域に1つの壁部材2が配置されている。一方、利用者が浴槽10と床部材1との間を移動できるように、第4辺S4に沿う周辺部は開放されており、該周辺部に壁部材2は配置されていない。
【0022】
図4において、配置領域30は、壁部材2が配置領域30に接触する接触領域31、32、33と、壁部材2が配置領域30に接触しない非接触領域41、42、43、44とを含んでいる。接触領域及び非接触領域は、フランジ11の上面に段差を形成することによって、設けられている。
【0023】
図5は、第1辺S1に沿う配置領域30に関連する、壁部材2及びフランジ11の側面図である。図5において、壁部材2の下面2aは平坦面であり、接触領域31は平坦面であり、非接触領域41、42は、接触領域31よりも下方に形成される面である。このため、接触領域31は下面2aに接触するが、非接触領域41、42は下面2aに接触しない。同様に、接触領域31、32、33は、同一平面上にあり、非接触領域41、42、43、44は、接触領域31、32、33よりも下方にある。
【0024】
図6は、第2辺S2及び第3辺S3の合流部分を示すフランジ11の斜視図である。非接触領域43は、フランジ11の隅に設けられている。平面視において、非接触領域43の形状は、L字である。
【0025】
図2、図4に示されるように、非接触領域41、44の形状はI字であり、非接触領域42、43の形状はL字である。
【0026】
非接触領域41、42、43、44は、配置領域30におけるフランジ11の変形量の最大値を減少させるために設けられている。非接触領域41、42、43、44は、次に述べる規則に基づいて、決定されている。
【0027】
図4において、配置領域30の各部における変形は、該各部に発生する力のモーメントが大きくなるにつれて、大きくなる。力のモーメントは、作用点に掛かる荷重と、作用点と回転の中心との距離によって特定される。配置領域30内に配置される壁部材2の厚み及び高さが一定である場合、単位面積当たりの配置領域30に掛かる壁部材2の荷重は一定である。このため、配置領域30の各部に掛かる荷重は、一定である。この場合、力のモーメントの大きさは、作用点と回転の中心との距離のみに比例する。このため、前記距離の最大値を低下させることによって、フランジ11に発生する変形量の最大値を低下させることができる。
【0028】
図4は、フランジ11の外周C及び境界線B4を示している。境界線B4は、上述したように、フランジ11と上屈曲部16とを区分する境界である。この境界線B4は、平面視において、四隅に丸みを有する四角形形状である。境界線B4は、上述したように曲率が変化する位置である。この境界線B4が、回転の中心に設定されている。また、配置領域30に荷重が掛かるため、配置領域30に含まれる外周C上の任意の位置Pを、荷重が掛かる位置に設定できる。つまり、外周C上の位置Pは、作用点である。このため、作用点と回転の中心との距離は、外周C上の位置Pから境界線B4までの最短距離である。この距離は、フランジ11の上面における長さであるので、以下、フランジ長さLと呼ぶ。
【0029】
図4において、頂点P1、P2、P3、P4は、外周Cに含まれる4つの頂点を示しており、長手中間点P5は、第2辺S2の中間に位置しており、短手中間点P6は、第3辺S3の中間に位置している。頂点P1、P2、P3、P4におけるフランジ長さL1、L2、L3、L4は、長手中間点P5におけるフランジ長さL5、及び短手中間点P6におけるフランジ長さL6よりも長い。
【0030】
非接触領域は、フランジ長さの最大値を与える位置Pを含むように設定されている。4つの頂点P1、P2、P3、P4は、フランジ長さの最大値を与えている。このため、非接触領域41、42、43、44が、頂点P1、P2、P3、P4を含むように設定されている。この結果、接触領域31、32、33に含まれる外周C上の位置Pが与えるフランジ長さの最大値が、非接触領域41、42、43、44に含まれる外周C上の位置Pが与えるフランジ長さの最大値よりも、小さくなる。例えば、頂点P1は、非接触領域41においてフランジ長さの最大値を与える位置である。
【0031】
配置領域30に非接触領域が含まれる場合、単純には、配置領域30が接触領域のみからなる場合と比べて、力のモーメントの最大値は低下する。
【0032】
しかしながら、非接触領域の設定は、次の制限を受ける。非接触領域の発生により、配置領域30に占める接触領域の割合が低下する。このため、配置領域30が接触領域のみからなる場合と比べて、単位面積当たりの接触領域に掛かる荷重が増大する。したがって、非接触領域が占める割合が大きくなるにつれて、接触領域における力のモーメントが増大する。最終的には、フランジ長さの短縮による効果が、単位面積当たりに掛かる荷重の増大によって打ち消されてしまう。つまり、非接触領域が配置領域内で占有できる割合には上限がある。このため、厳密には、配置領域30が接触領域のみからなる場合と比べて、力のモーメントの最大値が小さくなるように、非接触領域が設定される。
【0033】
一例として、長辺の長さが1600mm、短辺の長さが800mmである場合に、300mmの長さを有する非接触領域が長辺の両側に配置され、200mmの長さを有する非接触領域が短辺の両側に配置される。ここで、長辺は、第2辺S2及び第4辺S4を指しており、短辺は、第1辺S1及び第3辺S3を指している。この例の場合、配置領域に占める非接触領域の割合は、1/2より小さい。このため、接触領域における単位面積当たりの荷重の増大は2倍よりも小さい。一方、フランジ長さの最大値は1/2以下に減少している。このため、この例では、力のモーメントの最大値が小さくなるように、非接触領域が設定されている。
【0034】
図7を参照して、単位面積当たりの配置領域30に掛かる壁部材2の荷重が変化する場合における、配置領域30の各部に発生する力のモーメント及び非接触領域の設定を、より詳細に説明する。フランジ11の外周Cに沿って壁部材2の厚み及び高さが変化する場合、単位面積当たりの配置領域30に掛かる壁部材2の荷重が変化する。この場合、力のモーメントを特定するために、フランジ長さLだけでなく単位領域Uに掛かる荷重を考慮する必要がある。
【0035】
図7は、浴槽10の平面図である。図7において、配置領域30は、外周Cに沿って、同一面積を有する複数の単位領域Uに分割されている。ここで、配置領域30の各部を表現するために、単位領域Uが導入されている。任意の単位領域に発生する力のモーメントは、この単位領域に掛かる壁部材2の荷重と、この単位領域の重心位置Gから境界線B4までの最短距離Lgと、によって特定されている。単位領域Uの幅(壁部材2の厚み)はフランジ長さLと比べて十分小さいので、この最短距離Lgは実質的にフランジ長さLに相当する。
【0036】
非接触領域は、配置領域30が接触領域のみからなる場合に前記力のモーメントの最大値を発生させる単位領域Uを含むように設定されている。ここで、非接触領域は、配置領域30が接触領域のみからなる場合と比べて力のモーメントの最大値が小さくなるように、設定されている。このため、壁部材2の荷重によってフランジ11に発生する変形量の最大値が、減少する。
【0037】
本実施形態に係る浴室ユニットの効果を説明する。
【0038】
本実施形態に係る浴室ユニットでは、非接触領域41、42、43、44は、フランジ長さの最大値L1、L2、L3、L4を与える位置P1、P2、P3、P4を含むように設定されている。このため、壁部材2の荷重によってフランジ11に発生する変形量の最大値が低下する。
【0039】
また、本実施形態に係る浴室ユニットでは、非接触領域41、42、43、44は、フランジ11に段差を形成することによって形成されている。浴槽10は例えば、樹脂成形により形成されるので、金型に凸部を形成することによって比較的容易に非接触領域が形成される。このため、浴槽10が樹脂成形により形成される場合に、非接触領域を壁部材2に形成する場合と比べて、コスト及び工数が削減される。
【0040】
また、本実施形態に係る浴室ユニットでは、配置領域30は、フランジ11の外周Cに含まれる3つの辺S1、S2、S3に沿って設けられている。このため、利用者が出入り可能な浴室ユニットが構成される。
【0041】
また、本実施形態に係る浴室ユニットでは、配置領域30が接触領域のみからなる場合と比べて力のモーメントの最大値が小さくなるように、非接触領域41、42、43、44は、前記場合において力のモーメントの最大値を発生させる単位領域Uを含むように設定されている。このため、壁部材2の荷重によってフランジ11に発生する変形量の最大値が、減少する。
【符号の説明】
【0042】
2 壁部材
2a 下面
10 浴槽
11 フランジ
20 槽本体
30 配置領域
31、32、33 接触領域
41、42、43、44 非接触領域
B4 境界線
C 外周
L、L1、L2、L3 フランジ長さ
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽本体と該槽本体から水平方向の外側に広がるフランジとを有する浴槽と、前記フランジ上に置かれる壁部材とを備えている、浴室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、従来の浴室の展開図である。浴室は、床部材101、壁部材102、103、及び浴槽110を有している。壁部材102は、浴槽110上に置かれており、壁部材103は、床部材101上に置かれている。壁部材103は、壁部材102よりも浴槽110の高さだけ長い。浴槽110は、槽本体120と、該槽本体120から水平方向の外側に広がるフランジ111とを有している。特許文献1は、このような浴室の一例を開示している。
【0003】
図9は、従来の浴槽110の平面図である。図9において、フランジ111の外周Cは、4つの辺S1、S2、S3、S4からなる四角形形状を有している。壁部材102を配置するための配置領域130が、3つの辺S1、S2、S3に沿ってフランジ111の上面に設けられている。3つの辺S1、S2、S3に沿う配置領域130には、壁部材102が配置されている。一方、辺S4に沿う周辺部は開放されており、該周辺部に壁部材102は配置されていない。壁部材102の下面及びフランジ111の上面は平坦であり、壁部材102の下面がフランジ111の上面に全面的に接触する。壁部材102は接着剤を用いてフランジ111に固定され、壁部材102はフランジ111に一体化される。接着による固定の後、壁部材102とフランジ111との接続部を被覆するようにシール剤が塗布される。この結果、接続部の水密性が確保され、浴室内の水が浴室外に漏れることが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−156816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
配置領域130に壁部材102の荷重が加わるため、この配置領域130は下方に変位する。配置領域130の各部における変位は、配置領域130の各部における変形の影響を受ける。各部における変形量が大きくなるにつれて、各部における変位量も大きくなる。ここで、任意位置における変位量は、この位置における変形前から変形後までの変化量であり、任意位置における変形量は、この位置における単位長さ当たりの変位量である。配置領域130の各部における変形量は、配置領域130の各部に発生する力のモーメントの大きさによって変化する。力のモーメントは、作用点に掛かる荷重と、作用点と回転の中心との距離とによって特定される。このため、力のモーメントは、作用点に掛かる荷重が大きくなるにつれて、作用点と回転の中心との距離が長くなるにつれて、大きくなる。
【0006】
図9において、フランジ111の外周Cは、頂点P1、長手中央部P5、及び短手中央部P6を含んでいる。頂点P1において、外周Cに含まれる2つの辺が合流している。一方、フランジ111と槽本体120との境界線B4は、四隅に丸みを有する四角形形状を有している。ここで、フランジ長さLが特定されている。フランジ長さLは、外周C上の位置Pから境界線B4までの最短距離である。フランジ長さLは、上述した作用点と回転の中心との距離に概ね一致する。壁部材102の厚み及び高さは一定であるので、単位面積当たりの配置領域130に掛かる壁部材102の荷重は一定である。この場合、力のモーメントの大きさは、フランジ長さLのみに比例する。
【0007】
図10は、図9のA−A断面図であり、図11は、図9のB−B断面図であり、図12は、図9のC−C断面図である。図9から図12において、頂点P1におけるフランジ長さL1は、長手中央部P5におけるフランジ長さL5及び短手中央部P6におけるフランジ長さL6よりも長い。このため、頂点P1に掛かる力のモーメントは、中央部P5、P6に掛かる力のモーメントよりも大きい。この結果、フランジ111の四隅が最も下方に変位する。そうすると、浴室が使用されるとき、フランジ111の四隅に水が溜まってしまう。
【0008】
フランジ111の変形量を抑制するために、フランジ111の剛性を強化することが検討されている。剛性の強化は、例えば、フランジ111の下側で浴槽110にリブを設けることや、浴槽110の肉厚を増加させることによって行われる。しかし、これらの対応は、浴槽110のコストアップを招くため、望ましくない。
【0009】
そこで、本発明は、フランジの剛性を強化することなく、壁部材の荷重によってフランジに発生する変形量の最大値を減少できる浴槽を有する浴室ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る浴室ユニットは、槽本体と該槽本体から水平方向の外側に広がるフランジとを有する浴槽と、前記フランジ上に置かれる壁部材とを備えている、浴室ユニットであって、前記壁部材を配置するための配置領域が、前記フランジの外周の少なくとも一部に沿って前記フランジの上面に設けられており、該配置領域は、前記壁部材の下面に対向しており、該配置領域は、前記壁部材が前記配置領域に接触する接触領域と、前記壁部材が前記配置領域に接触しない非接触領域とを含んでおり、前記配置領域に含まれる前記外周上の任意の位置が、フランジ長さを与えており、該フランジ長さは、前記位置から前記フランジと前記槽本体との境界線までの距離であり、前記非接触領域は、前記フランジ長さの最大値を与える前記位置を含むように設定されている。
【0011】
好ましくは、前記壁部材の下面は、平坦面であり、前記接触領域は、平坦面であり、前記非接触領域は、前記接触領域よりも下方に形成される面である。
【0012】
好ましくは、前記外周は、平面視において、4つの辺を有する四角形形状を有しており、前記配置領域は、前記4つの辺のうちの3つの辺に沿って設けられており、前記境界線は、平面視において、四角形形状又は四隅に丸みを有する四角形形状を有しており、前記非接触領域は、前記外周の四隅に設けられている。
【0013】
また、本発明に係る浴室ユニットは、槽本体と該槽本体から水平方向の外側に広がるフランジとを有する浴槽と、前記フランジ上に置かれる壁部材とを備えている、浴室ユニットであって、前記壁部材を配置するための配置領域が、前記フランジの外周の少なくとも一部に沿って前記フランジの上面に設けられており、該配置領域は、前記壁部材の下面に対向しており、該配置領域は、前記壁部材が前記配置領域に接触する接触領域と、前記壁部材が前記配置領域に接触しない非接触領域とを含んでおり、前記配置領域は、同一面積を有する複数の単位領域に分割されており、任意の前記単位領域に発生する力のモーメントが、該単位領域に掛かる前記壁部材の荷重と、前記単位領域の重心位置から前記フランジと前記槽本体との境界線までの最短距離と、によって特定されており、前記配置領域が前記接触領域のみからなる場合と比べて前記力のモーメントの最大値が小さくなるように、前記非接触領域は、前記場合において前記力のモーメントの最大値を発生させる前記単位領域を含むように設定されている。
【0014】
本発明に係る浴室ユニットにおいて、フランジの外周の形状及び境界線の形状は、限定されない。また、境界線は、フランジ及び槽本体を区分するように浴槽において曲率が変化する線状位置、あるいはフランジに荷重が掛かった場合に応力集中が発生する浴槽上の線状位置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る浴室ユニットは、壁部材の荷重によってフランジに発生する変形量の最大値を減少できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、浴室の一部の斜視図である。
【図2】図2は、浴槽の斜視図である。
【図3】図3は、浴槽の横断面図である。
【図4】図4は、浴槽の平面図である。
【図5】図5は、第1短辺に沿う配置領域に関連する、壁部材及びフランジの側面図である。
【図6】図6は、第2辺及び第3辺の合流部分を示すフランジの斜視図である。
【図7】図7は、浴槽の平面図である。
【図8】図8は、従来の浴室の展開図である。
【図9】図9は、従来の浴槽の平面図である。
【図10】図10は、図9のA−A断面図である。
【図11】図11は、図9のB−B断面図である。
【図12】図12は、図9のC−C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、浴室の一部の斜視図である。図1において、浴室は、床部材1、壁部材2、3、4、及び浴槽10を有している。浴槽10は、フランジ11を有している。壁部材2は、浴槽10のフランジ11上に置かれている。壁部材3は、床部材1上に置かれている。壁部材3は、壁部材2よりも浴槽10の高さだけ長い。壁部材4は、フランジ11と床部材1との間に配置されている。
【0018】
浴室の少なくとも一部は、浴室ユニットを構成している。浴室ユニットは、少なくとも、浴槽10及び該浴槽10上に置かれる壁部材2を備えている。浴室ユニットは、更に、床部材1、壁部材3、4を含んでも良い。
【0019】
図2は、浴槽10の斜視図である。図3は、浴槽10の横断面図である。図2、図3において、浴槽10は、下方から上方に向けて、脚部12(図3)、底部13、下屈曲部14、側壁15、上屈曲部16、及びフランジ11を有している。脚部12は、底部13の下面に固定されている。底部13は、水平方向に広がっている。下屈曲部14は、底部13の外側端から上方に向けて屈曲している。側壁15は下屈曲部14の上端から上方に延びている。上屈曲部15は、側壁15の上端から水平方向の外側へと屈曲している。フランジ11は、上屈曲部15の外側端から水平方向の外側に広がっている。脚部12、底部13、下屈曲部14、側壁15、上屈曲部16、及びフランジ11は、いずれも概ね一定の厚さを有している。槽本体20は、脚部12、底部13、下屈曲部14、側壁15、及び上屈曲部16により構成されている。槽本体20は、水を溜める容器を形成している。
【0020】
図2、図3において、底部13、下屈曲部14、側壁15、上屈曲部16、及びフランジ11は、境界線B1、B2、B3、及びB4によって区分されている。これらの境界線B1、B2、B3、及びB4は、曲率が変化する位置を指している。つまり、底部13、下屈曲部14、側壁15、上屈曲部16、及びフランジ11の曲率は、互いに異なっている。
【0021】
図4は、浴槽10の平面図である。図4において、フランジ11の外周Cは、4つの辺を有する四角形形状を有している。4つの辺は、第1辺S1、第2辺S2、第3辺S3、及び第4辺S4からなっている。第2辺S2及び第4辺S4は、第1辺S1及び第3辺S3よりも長い。フランジ11の上面には、壁部材2を配置するための配置領域30が設けられている。配置領域30は、第1辺S1、第2辺S2、及び第3辺S3に沿って設けられている。配置領域30は、壁部材2の下面2a(図5)に対向している。配置領域30の幅は、壁部材2の幅に等しい。つまり、この配置領域30は、フランジ11の上面に投影された壁部材2の下面2aの正射影に等しい。第1辺S1に沿う配置領域30に1つの壁部材2が配置され、第2辺S2に沿う配置領域30に2つの壁部材2が配置され、第3辺S3に沿う配置領域に1つの壁部材2が配置されている。一方、利用者が浴槽10と床部材1との間を移動できるように、第4辺S4に沿う周辺部は開放されており、該周辺部に壁部材2は配置されていない。
【0022】
図4において、配置領域30は、壁部材2が配置領域30に接触する接触領域31、32、33と、壁部材2が配置領域30に接触しない非接触領域41、42、43、44とを含んでいる。接触領域及び非接触領域は、フランジ11の上面に段差を形成することによって、設けられている。
【0023】
図5は、第1辺S1に沿う配置領域30に関連する、壁部材2及びフランジ11の側面図である。図5において、壁部材2の下面2aは平坦面であり、接触領域31は平坦面であり、非接触領域41、42は、接触領域31よりも下方に形成される面である。このため、接触領域31は下面2aに接触するが、非接触領域41、42は下面2aに接触しない。同様に、接触領域31、32、33は、同一平面上にあり、非接触領域41、42、43、44は、接触領域31、32、33よりも下方にある。
【0024】
図6は、第2辺S2及び第3辺S3の合流部分を示すフランジ11の斜視図である。非接触領域43は、フランジ11の隅に設けられている。平面視において、非接触領域43の形状は、L字である。
【0025】
図2、図4に示されるように、非接触領域41、44の形状はI字であり、非接触領域42、43の形状はL字である。
【0026】
非接触領域41、42、43、44は、配置領域30におけるフランジ11の変形量の最大値を減少させるために設けられている。非接触領域41、42、43、44は、次に述べる規則に基づいて、決定されている。
【0027】
図4において、配置領域30の各部における変形は、該各部に発生する力のモーメントが大きくなるにつれて、大きくなる。力のモーメントは、作用点に掛かる荷重と、作用点と回転の中心との距離によって特定される。配置領域30内に配置される壁部材2の厚み及び高さが一定である場合、単位面積当たりの配置領域30に掛かる壁部材2の荷重は一定である。このため、配置領域30の各部に掛かる荷重は、一定である。この場合、力のモーメントの大きさは、作用点と回転の中心との距離のみに比例する。このため、前記距離の最大値を低下させることによって、フランジ11に発生する変形量の最大値を低下させることができる。
【0028】
図4は、フランジ11の外周C及び境界線B4を示している。境界線B4は、上述したように、フランジ11と上屈曲部16とを区分する境界である。この境界線B4は、平面視において、四隅に丸みを有する四角形形状である。境界線B4は、上述したように曲率が変化する位置である。この境界線B4が、回転の中心に設定されている。また、配置領域30に荷重が掛かるため、配置領域30に含まれる外周C上の任意の位置Pを、荷重が掛かる位置に設定できる。つまり、外周C上の位置Pは、作用点である。このため、作用点と回転の中心との距離は、外周C上の位置Pから境界線B4までの最短距離である。この距離は、フランジ11の上面における長さであるので、以下、フランジ長さLと呼ぶ。
【0029】
図4において、頂点P1、P2、P3、P4は、外周Cに含まれる4つの頂点を示しており、長手中間点P5は、第2辺S2の中間に位置しており、短手中間点P6は、第3辺S3の中間に位置している。頂点P1、P2、P3、P4におけるフランジ長さL1、L2、L3、L4は、長手中間点P5におけるフランジ長さL5、及び短手中間点P6におけるフランジ長さL6よりも長い。
【0030】
非接触領域は、フランジ長さの最大値を与える位置Pを含むように設定されている。4つの頂点P1、P2、P3、P4は、フランジ長さの最大値を与えている。このため、非接触領域41、42、43、44が、頂点P1、P2、P3、P4を含むように設定されている。この結果、接触領域31、32、33に含まれる外周C上の位置Pが与えるフランジ長さの最大値が、非接触領域41、42、43、44に含まれる外周C上の位置Pが与えるフランジ長さの最大値よりも、小さくなる。例えば、頂点P1は、非接触領域41においてフランジ長さの最大値を与える位置である。
【0031】
配置領域30に非接触領域が含まれる場合、単純には、配置領域30が接触領域のみからなる場合と比べて、力のモーメントの最大値は低下する。
【0032】
しかしながら、非接触領域の設定は、次の制限を受ける。非接触領域の発生により、配置領域30に占める接触領域の割合が低下する。このため、配置領域30が接触領域のみからなる場合と比べて、単位面積当たりの接触領域に掛かる荷重が増大する。したがって、非接触領域が占める割合が大きくなるにつれて、接触領域における力のモーメントが増大する。最終的には、フランジ長さの短縮による効果が、単位面積当たりに掛かる荷重の増大によって打ち消されてしまう。つまり、非接触領域が配置領域内で占有できる割合には上限がある。このため、厳密には、配置領域30が接触領域のみからなる場合と比べて、力のモーメントの最大値が小さくなるように、非接触領域が設定される。
【0033】
一例として、長辺の長さが1600mm、短辺の長さが800mmである場合に、300mmの長さを有する非接触領域が長辺の両側に配置され、200mmの長さを有する非接触領域が短辺の両側に配置される。ここで、長辺は、第2辺S2及び第4辺S4を指しており、短辺は、第1辺S1及び第3辺S3を指している。この例の場合、配置領域に占める非接触領域の割合は、1/2より小さい。このため、接触領域における単位面積当たりの荷重の増大は2倍よりも小さい。一方、フランジ長さの最大値は1/2以下に減少している。このため、この例では、力のモーメントの最大値が小さくなるように、非接触領域が設定されている。
【0034】
図7を参照して、単位面積当たりの配置領域30に掛かる壁部材2の荷重が変化する場合における、配置領域30の各部に発生する力のモーメント及び非接触領域の設定を、より詳細に説明する。フランジ11の外周Cに沿って壁部材2の厚み及び高さが変化する場合、単位面積当たりの配置領域30に掛かる壁部材2の荷重が変化する。この場合、力のモーメントを特定するために、フランジ長さLだけでなく単位領域Uに掛かる荷重を考慮する必要がある。
【0035】
図7は、浴槽10の平面図である。図7において、配置領域30は、外周Cに沿って、同一面積を有する複数の単位領域Uに分割されている。ここで、配置領域30の各部を表現するために、単位領域Uが導入されている。任意の単位領域に発生する力のモーメントは、この単位領域に掛かる壁部材2の荷重と、この単位領域の重心位置Gから境界線B4までの最短距離Lgと、によって特定されている。単位領域Uの幅(壁部材2の厚み)はフランジ長さLと比べて十分小さいので、この最短距離Lgは実質的にフランジ長さLに相当する。
【0036】
非接触領域は、配置領域30が接触領域のみからなる場合に前記力のモーメントの最大値を発生させる単位領域Uを含むように設定されている。ここで、非接触領域は、配置領域30が接触領域のみからなる場合と比べて力のモーメントの最大値が小さくなるように、設定されている。このため、壁部材2の荷重によってフランジ11に発生する変形量の最大値が、減少する。
【0037】
本実施形態に係る浴室ユニットの効果を説明する。
【0038】
本実施形態に係る浴室ユニットでは、非接触領域41、42、43、44は、フランジ長さの最大値L1、L2、L3、L4を与える位置P1、P2、P3、P4を含むように設定されている。このため、壁部材2の荷重によってフランジ11に発生する変形量の最大値が低下する。
【0039】
また、本実施形態に係る浴室ユニットでは、非接触領域41、42、43、44は、フランジ11に段差を形成することによって形成されている。浴槽10は例えば、樹脂成形により形成されるので、金型に凸部を形成することによって比較的容易に非接触領域が形成される。このため、浴槽10が樹脂成形により形成される場合に、非接触領域を壁部材2に形成する場合と比べて、コスト及び工数が削減される。
【0040】
また、本実施形態に係る浴室ユニットでは、配置領域30は、フランジ11の外周Cに含まれる3つの辺S1、S2、S3に沿って設けられている。このため、利用者が出入り可能な浴室ユニットが構成される。
【0041】
また、本実施形態に係る浴室ユニットでは、配置領域30が接触領域のみからなる場合と比べて力のモーメントの最大値が小さくなるように、非接触領域41、42、43、44は、前記場合において力のモーメントの最大値を発生させる単位領域Uを含むように設定されている。このため、壁部材2の荷重によってフランジ11に発生する変形量の最大値が、減少する。
【符号の説明】
【0042】
2 壁部材
2a 下面
10 浴槽
11 フランジ
20 槽本体
30 配置領域
31、32、33 接触領域
41、42、43、44 非接触領域
B4 境界線
C 外周
L、L1、L2、L3 フランジ長さ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽本体と該槽本体から水平方向の外側に広がるフランジとを有する浴槽と、前記フランジ上に置かれる壁部材とを備えている、浴室ユニットであって、
前記壁部材を配置するための配置領域が、前記フランジの外周の少なくとも一部に沿って前記フランジの上面に設けられており、該配置領域は、前記壁部材の下面に対向しており、該配置領域は、前記壁部材が前記配置領域に接触する接触領域と、前記壁部材が前記配置領域に接触しない非接触領域とを含んでおり、
前記配置領域に含まれる前記外周上の任意の位置が、フランジ長さを与えており、該フランジ長さは、前記位置から前記フランジと前記槽本体との境界線までの距離であり、
前記非接触領域は、前記フランジ長さの最大値を与える前記位置を含むように設定されている、浴室ユニット。
【請求項2】
前記壁部材の下面は、平坦面であり、
前記接触領域は、平坦面であり、
前記非接触領域は、前記接触領域よりも下方に形成される面である、請求項1に記載の浴室ユニット。
【請求項3】
前記外周は、平面視において、4つの辺を有する四角形形状を有しており、
前記配置領域は、前記4つの辺のうちの3つの辺に沿って設けられており、
前記境界線は、平面視において、四角形形状又は四隅に丸みを有する四角形形状を有しており、
前記非接触領域は、前記外周の四隅に設けられている、請求項1又は2に記載の浴室ユニット。
【請求項4】
槽本体と該槽本体から水平方向の外側に広がるフランジとを有する浴槽と、前記フランジ上に置かれる壁部材とを備えている、浴室ユニットであって、
前記壁部材を配置するための配置領域が、前記フランジの外周の少なくとも一部に沿って前記フランジの上面に設けられており、該配置領域は、前記壁部材の下面に対向しており、該配置領域は、前記壁部材が前記配置領域に接触する接触領域と、前記壁部材が前記配置領域に接触しない非接触領域とを含んでおり、
前記配置領域は、同一面積を有する複数の単位領域に分割されており、任意の前記単位領域に発生する力のモーメントが、該単位領域に掛かる前記壁部材の荷重と、前記単位領域の重心位置から前記フランジと前記槽本体との境界線までの最短距離と、によって特定されており、
前記配置領域が前記接触領域のみからなる場合と比べて前記力のモーメントの最大値が小さくなるように、前記非接触領域は、前記場合において前記力のモーメントの最大値を発生させる前記単位領域を含むように設定されている、浴室ユニット。
【請求項1】
槽本体と該槽本体から水平方向の外側に広がるフランジとを有する浴槽と、前記フランジ上に置かれる壁部材とを備えている、浴室ユニットであって、
前記壁部材を配置するための配置領域が、前記フランジの外周の少なくとも一部に沿って前記フランジの上面に設けられており、該配置領域は、前記壁部材の下面に対向しており、該配置領域は、前記壁部材が前記配置領域に接触する接触領域と、前記壁部材が前記配置領域に接触しない非接触領域とを含んでおり、
前記配置領域に含まれる前記外周上の任意の位置が、フランジ長さを与えており、該フランジ長さは、前記位置から前記フランジと前記槽本体との境界線までの距離であり、
前記非接触領域は、前記フランジ長さの最大値を与える前記位置を含むように設定されている、浴室ユニット。
【請求項2】
前記壁部材の下面は、平坦面であり、
前記接触領域は、平坦面であり、
前記非接触領域は、前記接触領域よりも下方に形成される面である、請求項1に記載の浴室ユニット。
【請求項3】
前記外周は、平面視において、4つの辺を有する四角形形状を有しており、
前記配置領域は、前記4つの辺のうちの3つの辺に沿って設けられており、
前記境界線は、平面視において、四角形形状又は四隅に丸みを有する四角形形状を有しており、
前記非接触領域は、前記外周の四隅に設けられている、請求項1又は2に記載の浴室ユニット。
【請求項4】
槽本体と該槽本体から水平方向の外側に広がるフランジとを有する浴槽と、前記フランジ上に置かれる壁部材とを備えている、浴室ユニットであって、
前記壁部材を配置するための配置領域が、前記フランジの外周の少なくとも一部に沿って前記フランジの上面に設けられており、該配置領域は、前記壁部材の下面に対向しており、該配置領域は、前記壁部材が前記配置領域に接触する接触領域と、前記壁部材が前記配置領域に接触しない非接触領域とを含んでおり、
前記配置領域は、同一面積を有する複数の単位領域に分割されており、任意の前記単位領域に発生する力のモーメントが、該単位領域に掛かる前記壁部材の荷重と、前記単位領域の重心位置から前記フランジと前記槽本体との境界線までの最短距離と、によって特定されており、
前記配置領域が前記接触領域のみからなる場合と比べて前記力のモーメントの最大値が小さくなるように、前記非接触領域は、前記場合において前記力のモーメントの最大値を発生させる前記単位領域を含むように設定されている、浴室ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−106890(P2013−106890A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256149(P2011−256149)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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