説明

浴室内装板音出力システム

【課題】外観及び防水性に優れ、周囲の浴室の壁や天井等の振動を防止でき、尚且つ高音質の音を出力できる浴室内装板音出力システムを提供する。
【解決手段】浴室の壁1又は天井2を構成する防水パネル3を備える。防水パネル3は、防水板7と、防水板7の対向する一対の端縁部の室外側の面に固着した外フレーム部8を備える。防水板7の室外側の面に防水板7を振動して浴室内に音を出力する励振器5を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は壁や天井から音を出力する浴室内装板音出力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の浴室には、図4に示すように浴室の壁1や天井2に開口部20を設け、この開口部20にスピーカ装置21を組み込んだものがある。しかし、このようにスピーカ装置21を設けた場合、浴室の内装板である壁1又は天井2とスピーカ装置21の外観が一致せず見栄えが悪い。またスピーカ装置21側に浴室の水が至らないよう防水する必要があり、さらにスピーカ装置21として防錆性や耐水性の高いものを利用する必要があり、構造が複雑化しまたコストがかかる。
【0003】
また、例えば特許文献1には天井に開口した作業口に作業口蓋を構成するスピーカ装置を設けたものがあるが、このものも天井とは別に設けたスピーカ装置が外観を阻害し、またスピーカ装置の外周縁から浴室内の水がスピーカ装置の励振器側に浸入する恐れがある。またスピーカ装置の振動が周囲の天井に伝わるという問題がある。
【特許文献1】特開2006−133639号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、浴室の壁又は天井から音を出力でき、外観及び防水性に優れ、周囲の浴室の壁や天井等の振動を防止でき、尚且つ高音質の音を出力できる浴室内装板音出力システムを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る浴室内装板音出力システムは、浴室の壁1又は天井2を構成する防水パネル3を備え、該防水パネル3は、防水板7と、防水板7の対向する一対の端縁部の室外側の面に設けた外フレーム部8を備え、防水板7の室外側の面に防水板7を振動して浴室内に音を出力する励振器5を設けて成ることを特徴とする。このように励振器5を壁1又は天井2を構成する防水パネル3の防水板7の室外側の面に設けることで、励振器5により防水板7を振動して天井又は壁から音を出力できる。また励振器5が浴室内側に露出せず、励振器5側に浴室内の水や湿気が侵入することを防水板7によって防止できる。また外フレーム部8で防水板7を補強することができ、尚且つこの防水板7はその室外側の面における外側端部に外フレーム部8を設けたことで、励振器5による防水板7の振動が周囲の壁1や天井2に伝わることを防止できる。
【0006】
また前記一対の外フレーム部8間に中フレーム9を架設すると共に該中フレーム9を防水板7の室外側の面に固着し、これら中フレーム9と外フレーム部8で防水板7を複数の区画10に区切り、一つの区画10の室外側の面に前記励振器5を1個だけ設けることが好ましい。一対の外フレーム部8間に中フレーム9を架設すると共に該中フレーム9を防水板7の室外側の面に固着することで、防水板7を更に補強することができ、尚且つこの防水板7の室外側の面に外フレーム部8と中フレーム9を設け、これら外フレーム部8及び中フレーム9によって区切られた一つの区画10の室外側の面に励振器5を設けることで、励振器5による区画10部分の振動が他の区画10に伝わることを防止できる。
【0007】
また音源からの音信号を増幅して励振器5に入力するアンプ装置13を浴室外側に配置することが好ましい。アンプ装置13により増幅した音を浴室内に出力できる。
【0008】
また前記励振器5を浴室全体で複数備え、音源から出力した音信号をサラウンド処理して前記各励振器5に入力する音処理部を設けることが好ましい。浴室にサラウンド処理した音を出力できる。
【0009】
また前記防水パネル3を複数備え、前記励振器5を複数の防水パネル3の夫々に設けることが好ましい。励振器5による防水板7の振動が他の励振器5側に伝わることを一層防止できる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明では、浴室の壁又は天井から音を出力できる。また、励振器が防水パネルの防水板の室外側に位置して室内側に露出せず、外観が良い。また励振器側に浴室内の水や湿気が侵入することを防水板によって防止でき、励振器のために特別な防水構造を設ける必要がなく、また励振器として防錆性や耐水性のない安価なものを利用できる。また、防水板はその室外側の面における外側端部に外フレーム部を設けているので、励振器による防水板の振動が周囲に伝わることを防止でき、またこれにより励振器により防水板を部分的に独立して振動させることができ、高音質の音を防水板から出力できる。
【0011】
また請求項2に係る発明では、請求項1に係る発明の効果に加えて、励振器による区画部分の振動が他の区画に伝わることを防止でき、より一層高音質の音を出力できる。
【0012】
また請求項3に係る発明では、請求項1又は請求項2に係る発明の効果に加えて、アンプ装置により増幅した音を浴室内に出力でき、またアンプ装置を浴室外側に配置したことで、アンプ装置に浴室内の水がかかることを防止でき、またアンプ装置と加振器を接続する配線も室外に配置できる。
【0013】
また請求項4に係る発明では、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、浴室にサラウンド処理した臨場感のある音を出力できる。
【0014】
また請求項5に係る発明では、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、励振器による防水板の振動が他の励振器側に伝わることを一層防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。図1に示す本実施形態の一例の浴室内装板音出力システムは平面視矩形のユニットバスに適用したものであって、浴室の四方の壁1及び天井2の夫々を複数枚の防水パネル3を並設して構成してある。浴室の床4及び壁1及び天井2には励振器5を設けてあり、これら複数の励振器5を振動することで、対応する床4又は壁1又は天井2を振動して浴室の複数箇所から音を出力できるようになっている。
【0016】
図1に示すように励振器5は、床4に1個、対向する壁1の夫々に1個、天井2に2個設けてある。以下、特に区別する場合には、床4に設けた励振器5を床用励振器5a、壁1に設けた励振器5を壁用励振器5b、天井2に設けた励振器5を天井用励振器5cと記載する。
【0017】
床用励振器5aは床4の浴槽6を設けた側と反対側に形成された洗い場4aに設けてある。また壁用励振器5bは浴槽6側の壁1及び洗い場4a側の壁1に1個ずつ設けてあり、両壁用励振器5bは対向している。また天井用励振器5cは浴槽6側と洗い場4a側とに1個ずつ設けてあり、一方の天井用励振器5cは浴槽6の上方に位置し、他方の天井用励振器5cは洗い場4aの上方に位置する。
【0018】
各壁用励振器5b及び各天井用励振器5cは壁1又は天井2を構成する防水パネル3に設けてあり、以下、図3に基づいて励振器5を設けた防水パネル3について詳述する。なお床4に設けた励振器5は床4パンの下面に固着したものである。また上記天井用励振器5cを設けた防水パネル3及び壁用励振器5bを設けた防水パネル3は同様の構成を有するものであるため、以下では天井用励振器5cを設けた防水パネル3についてのみ説明し、壁用励振器5bを設けた防水パネル3については図示及び説明を省略する。
【0019】
図3に示すように、天井2を構成する防水パネル3は、防水性を有する合成樹脂や金属板等で形成された防水板7と、防水板7の室外側の面に固着される外フレーム部8及び中フレーム9とで構成してある。外フレーム部8は防水板7の4辺の外側端部の夫々に設けてある。防水板7の隣接する辺に設けた外フレーム部8の長手方向の端部同士は接続され、これら4本の外フレーム部8により矩形状の外枠を構成している。
【0020】
中フレーム9は防水板7の両側端部に設けた一対の外フレーム部8間に架設してあり、これら外フレーム部8及び中フレーム9で防水板7を補強して防水パネル3としての強度を高めている。外フレーム部8及び中フレーム9は共に剛性の高い金属等の材質で形成した断面ロ字状の長尺なフレーム材で構成してあり、防水板7において前記剛性の高い外フレーム部8及び中フレーム9が固着された部分は振動がほとんど生じない非振動部となる。なお中フレーム9は1対の対向する外フレーム部8間にのみ架設してあっても良いし、2対の対向する外フレーム部8間に架設してあっても良い。さらに中フレーム9は外フレーム部8の長手方向において1本だけ設けてあっても良いし、複数本設けてあっても良い。また外フレーム部8は例えば金属製の防水板7の外側端部を背方に折曲げるなどして構成しても良い。
【0021】
防水板7は上記外フレーム部8及び中フレーム9により複数に区切られており、これにより形成された各区画10は前記中フレーム9及び外フレーム部8のいずれもが固着しない部分となり、振動が生じ易い振動部となる。そしてこれら防水板7の全ての区画10のうち任意の区画10の室外側の面に天井用励振器5cを設けてあり、該天井用励振器5cは矩形状の区画10において対向する端縁間の中間に位置している。なお本例では1枚の防水パネル3に対して1個の励振器5を設けているが、各区画10に1個ずつ設けるのであれば、一枚の防水パネル3に対して複数の励振器5を設けても良い。
【0022】
上記防水板7において各区画10の室外側の面には発泡ウレタンからなる断熱材11を貼着してある。ここで天井用励振器5cを設けた区画10に設けられる断熱材11は天井用励振器5cを囲繞するように貼着してあり、この断熱材11は防水パネル3に断熱性能を付与することに加えて、防水板7における励振器5の周囲部分の振動を抑制する役割も果たしている。なお天井用励振器5cを設けていない区画10に設けられる断熱材11は区画10の略全面に亘って設けてある。
【0023】
図2は本例の浴室内装板音出力システムのブロック図であって、音源18が接続される1個のアンプ装置13で構成した音信号入力手段と、音信号入力手段から出力された音信号が入力される前記各励振器5(壁用励振器5b及び天井用励振器5c及び床用励振器5a)を備えている。
【0024】
アンプ装置13に接続される音源18としては、浴室用のテレビや、ステレオ装置等が挙げられる。アンプ装置13は浴室の水がかからない室外側に配設してあり、具体的には浴室の天井2裏に配設してある。アンプ装置13は、音源18に接続されて音信号が入力される入力部14と、入力部14から入力した音信号をサラウンド信号に処理する音処理部15と、音処理部15を介して入力された音信号を増幅するアンプ部16を備え、音処理部15及びアンプ部16で処理した音信号を各励振器5に割り振って出力する。なおアンプ部16と各励振器5を接続する配線17は例えば天井2裏や壁1裏、床4下に通されて室内に露出しないように引き廻される。また本例のアンプ装置13は、計5個の励振器5に対して1個のアンプ部16から音信号を割り振って入力するものである。
【0025】
上記浴室内装板音出力システムにより浴室内に音を出力するには音源18から音信号を出力する。これにより音源18からの音信号は入力部14、音処理部15、アンプ部16を介してアンプ装置13から出力され、該音信号が前記2個の天井用励振器5c及び2個の壁用励振器5b及び1個の床用励振器5aに入力され、これにより各励振器5により対応する防水板7の区画10部分又は床4パンが独立して振動し、しかして各励振器5により駆動する防水板7の区画10部分又は床4パンから音が出力される。
【0026】
上記本例の浴室内装板音出力システムにあっては、浴室の床及び壁及び天井に設けた励振器5を駆動することで、浴室の複数箇所から音を出力して室内にサラウンドのような演出効果の高い音を出力できる。しかも壁1又は天井2に設けられる各励振器5は防水板7の室外側の面に設けたものであるので、各励振器5が浴室内側に露出せず、外観が良い。また防水性を有する防水板7により、浴室内の水が励振器5側に流れることを防止でき、励振器5のために特別に防水構造を設ける必要もない。またこの防水板7はその室外側の面における外側端部に外フレーム部8を固着したものであるので、励振器5による防水板7の振動が周囲の防水パネル3等に伝わることを防止でき、またこの場合、励振器5により防水板7を独立して振動させることができて高音質の音を防水板7から出力できる。
【0027】
さらに本例では一対の外フレーム部8間に中フレーム9を架設すると共に中フレーム9を防水板7の室外側の面に固着し、中フレーム9と外フレーム部8で区切られた区画10に励振器5を設けてあるので、励振器5による区画10部分の振動が他の区画10に伝わることを防止でき、一層高音質の音を出力できる。またアンプ装置13を浴室外側に配置したので、アンプ装置13に浴室内の水がかかることを防止でき、またアンプ装置13と各励振器5を接続する配線17も室外に配置できる。
【0028】
なお本例では浴室の壁1及び天井2を構成する防水パネル3に上記励振器5を設けたが、壁1又は天井2のいずれか一方を構成する防水パネル3にのみ励振器5を設けても良い。また本例では外フレーム部8を防水板7の4辺に設けたが、外フレーム部8は一対の対向する2辺にのみ設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態の一例の浴室内装板音出力システムを示す説明図である。
【図2】同上のブロック図である。
【図3】同上の天井を構成する防水パネルの断面図である。
【図4】従来のスピーカ装置の取付構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 壁
2 天井
3 防水パネル
5 励振器
7 防水板
8 外フレーム部
9 中フレーム
10 区画
13 アンプ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室の壁又は天井を構成する防水パネルを備え、該防水パネルは、防水板と、防水板の対向する一対の端縁部の室外側の面に設けた外フレーム部を備え、防水板の室外側の面に防水板を振動して浴室内に音を出力する励振器を設けて成ることを特徴とする浴室内装板音出力システム。
【請求項2】
前記一対の外フレーム部間に中フレームを架設すると共に該中フレームを防水板の室外側の面に固着し、これら中フレームと外フレーム部で防水板を複数の区画に区切り、一つの区画の室外側の面に前記励振器を1個だけ設けて成ることを特徴とする請求項1に記載の浴室内装板音出力システム。
【請求項3】
音源からの音信号を増幅して励振器に入力するアンプ装置を浴室外側に配置して成ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の浴室内装板音出力システム。
【請求項4】
前記励振器を浴室全体で複数備え、音源から出力した音信号をサラウンド処理して前記各励振器に入力する音処理部を設けて成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の浴室内装板音出力システム。
【請求項5】
前記防水パネルを複数備え、前記励振器を複数の防水パネルの夫々に設けて成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の浴室内装板音出力システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−267081(P2008−267081A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−114699(P2007−114699)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】