説明

浴室暖房装置

【課題】入浴者の体温の温度変化を検知して肌寒く感じているか判断し、風量を調節して快適に使用することのできる浴室暖房装置を提供することを目的とする。
【解決手段】浴室暖房装置は浴室内空気を循環させる循環ファン6と、前記循環ファン6からの風量を決める風量可変手段15と、浴室内の表面温度を検知する表面温度検知部5と、前記表面温度検知部5の検知した表面温度が人体の温度か否かを判断する人検知手段13と、前記表面温度が人体の温度であったときに、前記表面温度と所定の時間経過後に検知した表面温度とから入浴者の体温が所定の値を越えて低下しているか判断する温度変化判定手段14と、前記温度変化判定手段14の結果から風量可変手段15を動作させる制御部10とを備え、入浴者の体温が所定の値を越えて低下している場合に前記循環ファン6からの風量を絞ることを特徴とする浴室暖房装置を得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば浴室内の人を検知し、風による肌寒さを軽減させる浴室暖房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この浴室暖房装置は、暖房運転中において浴室への人の出入りを感知できる人体センサによって人体の動きが感知された場合、暖房の設定温度および循環ファンの風量が、自動的に下げられて、緩やかな暖房を行い、入浴者に対する温度及び温風から来る不快感をなくすものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、その浴室暖房装置について図6を参照しながら説明する。
【0004】
図6に示すように、この装置は、本体101と浴室内の空気を暖める熱交換器102 と熱交換器102によって暖められた空気を浴室内に送るための循環ファン103と浴室内の温度を測定する温度センサ104が設けられおり、暖房運転中において浴室内の人の出入りを感知できる人体センサ105が設けられている。暖房運転中において人体センサ105によって浴室内に人体が感知されない場合、暖房の設定温度および循環ファン103の風量を上げて、浴室内を予め定めた設定温度まで急速暖房を行い、人体センサ105によって人体が感知された場合、設定温度および循環ファン103の風量を自動的に下げて、緩やかな暖房を行う構成となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−10267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の浴室暖房装置では、人体センサによって人が感知されたら風量を下げて風による不快感をなくすという構成であるが、上記のような構成の場合、実際に浴室内にて風が入浴者に当たり肌寒く感じているかどうかまでは判断できず、人の有無のみで判断しているため入浴者が実際に不快に感じていない場合でも風量を下げているということがあった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、入浴者の体温の温度変化を検知して肌寒く感じているか判断し、自動運転させることによって、快適に使用することのできる浴室暖房装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、この目的を達成するために、本発明は、浴室暖房装置は浴室内空気を循環させる循環ファンと、循環ファンによって吸込まれた浴室内空気に熱を加える加熱部と、前記加熱部によって暖められた空気の風量を決める風量可変手段と、浴室内の表面温度を検知する表面温度検知部と、前記表面温度検知部の検知した表面温度が人体の温度か否かを判断する人検知手段と、前記表面温度が人体の温度であったときに、前記表面温度と所定の時間経過後に検知した表面温度とから入浴者の体温が所定の値を越えて低下しているか判断する温度変化判定手段と、前記温度変化判定手段の結果から風量可変手段を動作させる制御部とを備え、入浴者の体温が所定の値を越えて低下している場合に前記循環ファンからの風量を絞ることを特徴としてものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、浴室暖房装置は浴室内空気を循環させる循環ファンと、循環ファンによって吸込まれた浴室内空気に熱を加える加熱部と、前記加熱部によって暖められた空気の風量を決める風量可変手段と、浴室内の表面温度を検知する表面温度検知部と、前記表面温度検知部の検知した表面温度が人体の温度か否かを判断する人検知手段と、前記表面温度が人体の温度であったときに、前記表面温度と所定の時間経過後に検知した表面温度とから入浴者の体温が所定の値を越えて低下しているか判断する温度変化判定手段と、前記温度変化判定手段の結果から風量可変手段を動作させる制御部とを備え、入浴者の体温が所定の値を越えて低下している場合に前記循環ファンからの風量を絞るという構成にし、前記制御部は、浴室内に人がいる場合に前記温度変化判定手段の結果から入浴者の体温が所定の値を越えて低下しているか判断し、前記風量可変手段を動作させるので、入浴者の体が濡れた状態で風が当たり体温低下している場合には肌寒く感じていると判断できるため、風量を絞った運転を実施することにより、肌寒さを感じることなく快適に入浴することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1の浴室暖房装置の示す側断面図
【図2】同浴室暖房装置の制御部の接続について示す図
【図3】同浴室暖房装置の制御動作に関するフローチャート
【図4】本発明の実施の形態2の浴室暖房装置を示す側断面図
【図5】同浴室暖房装置の制御部の接続について示す図
【図6】同浴室暖房装置の制御動作に関するフローチャート
【図7】従来の浴室暖房装置の側断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の請求項1記載の浴室暖房装置は浴室内空気を循環させる循環ファンと、循環ファンによって吸込まれた浴室内空気に熱を加える加熱部と、前記加熱部によって暖められた空気の風量を決める風量可変手段と、浴室内の表面温度を検知する表面温度検知部と、前記表面温度検知部の検知した表面温度が人体の温度か否かを判断する人検知手段と、前記表面温度が人体の温度であったときに、前記表面温度と所定の時間経過後に検知した表面温度とから入浴者の体温が所定の値を越えて低下しているか判断する温度変化判定手段と、前記温度変化判定手段の結果から風量可変手段を動作させる制御部とを備え、入浴者の体温が所定の値を越えて低下している場合に前記循環ファンからの風量を絞るという構成にし、前記制御部は、浴室内に人がいる場合に前記温度変化判定手段の結果から入浴者の体温が所定の値を越えて低下しているか判断し、前記風量可変手段を動作させるので、入浴者の体が濡れた状態で風が当たり体温低下している場合には肌寒く感じていると判断できるため、風量を絞った運転を実施することにより、肌寒さを感じることなく快適に入浴することができる。
【0012】
また、制御部は、基準となる温度変化の情報として所定の値を記憶しており、表面温度検知部において検知した表面温度と所定の時間経過後に検知した表面温度とから入浴者の体温が所定の値を越えて低下しているか温度変化判定手段にて判断することにより、入浴者が肌寒く感じているか判断することができる。
【0013】
また、表面温度検知部は、サーモパイル型センサとするものである。これにより、天井などの離れた位置から入浴者の体温を測定することができるので、入浴者の温度変化による本体の制御をすることができる。
【0014】
また、表面温度検知部は、天井面に対して40〜50°の角度で配置するものである。これにより、人が浴室におり、風が直接当たる場所にいる場合にサーモパイル型センサが適切に検知するので、人がいる場合に温度を精度良く検知することができる。
【0015】
また、表面温度検知部は、洗い場方向に配置するものである。これにより、人が洗い場にいる場合のみサーモパイル型センサが検知することになるので、浴槽に入っていたり、浴室に人がいない場合は、肌寒く感じることもないため、通常運転とすることで浴室内の温度を適切に保つことができる。
【0016】
また、風量可変手段は、暖房運転中に温度変化判定手段の結果により風量を制御するものである。これにより、入浴する以外の目的で使用の場合、例えば乾燥運転をする場合には、表面温度に関係なく通常運転とすることができるので、適切に乾燥運転をすることができる。
【0017】
また、風量可変手段は、暖房運転中に洗い場から人がいなくなった場合に人検知手段により人がいないことを検知するため風量を元の運転状態に戻すものである。これにより、洗い場から人がいなくなった場合には、温度変化があるため人検知手段において判断するので、風量を元に戻しても入浴者がいないため肌寒く感じることもなく浴室内の温度を適切に保つことができる。
【0018】
また、暖房運転中に人検知手段により人検知が一定時間なかった場合には、機器を停止させるものである。これにより、暖房運転中に人検知が一定時間ない場合は、入浴者が浴室におらず、無駄に運転していることになるので、一定時間経過後に機器を停止させることによって無駄な電力を削減することができる。
【0019】
また、温度変化判定手段の結果から風量可変手段が切り替わったことを報知する手段を備えたものである。これにより、入浴者は風量が切り替わったことがわかるため、風量が自動で切り替わったことを誤動作と間違えることなく正常動作であることが認識できる。
【0020】
また、風向可変手段を備え温度変化判定手段結果から前記循環ファンからの風向を変更するという構成にし、前記制御部は、浴室内に人がいる場合に前記温度変化判定手段の結果から入浴者の体温が所定の値を越えて低下しているか判断し、前記風向可変手段を動作させるので、入浴者の体が濡れた状態で風が当たり体温低下している場合には肌寒く感じていると判断できるため、風向を変更し入浴者に直接風が当たらないように運転することにより、肌寒さを感じることなく快適に入浴することができる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0022】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1について図1を参照しながら説明する。
【0023】
図1に示すように、本発明の浴室暖房装置は、浴室1の天井に取り付けられている本体2と、本体2の下面に浴室の天井面3に対して40〜50°の角度で洗い場方向に取り付けられて入浴者4がいる場所の温度を表面温度Tとして検出する表面温度検知部5を備えている。
【0024】
表面温度検知部5は、サーモパイル型センサを用いて浴室1の洗い場方向の表面温度Tを検知するものである。
【0025】
また、本体2は、浴室内空気を循環させる循環ファン6と、浴室内空気を循環ファン6によって吸い込む吸い込み口7と、吸い込み口7から吸い込まれた浴室空気に熱を加えるえる加熱部8と、加熱部8によって暖められた空気を浴室1に吹き出す吹き出し口9を備えている。
【0026】
前記循環ファン6は、一例としてモータ6aを用いて、モータ6aを回転させることによって前記本体2の下面にある吸い込み口7から浴室内空気を取り込んで前記吹き出し口9から空気を送り出すものである。また、モータ6aは、少なくとも2ノッチ以上回転数が変更できるモータを使用するものである。
【0027】
また、加熱部8は、一例として、PTCヒータ等を用いて暖房運転中に循環ファン6によって取り込まれた浴室内空気を暖めるものである。
【0028】
また、本体2には、表面温度検知部5からの検出温度に応じて循環ファン6の風量を制御する制御部10を備えている。
【0029】
制御部10は、基準となる温度変化の情報として表面温度検知部5が検知した温度が人体の温度か判定する基準の温度として所定の温度T1と浴室利用者の体温が低下しているか判定する温度差として所定の温度T2を記憶しており、表面温度検知部5が検知した表面温度Tを所定の時間間隔t1で読み込む温度検知手段11と、読み込んだ表面温度Tを記憶する記憶手段11aと、前記所定の時間間隔t1を創出する第1タイマー手段12と、温度検知手段11が読み込んだ表面温度Tと所定の温度T1を比較して、前記表面温度Tを人体の温度と判断する人検知手段13と、人検知手段13が表面温度Tを人体の温度と判定したときに体温の低下を判断する温度変化判定手段14と、温度変化判定手段14の判定結果から循環ファン6の風量を決定する風量可変手段15を備えている。
【0030】
人検知手段13は、人体の温度を判定する所定の温度T1を閾値として、表面温度Tと所定の温度T1を比較する比較手段13aを有しており、表面温度検知部5を用いて検知した表面温度Tが前記所定の温度T1以上、例えば所定の温度T1が平均皮膚温度の33℃であった場合に表面温度Tが33℃以上の場合は、表面温度Tを人体の温度Taと判断し、表面温度Tが33℃未満の場合は、表面温度Tは人体の温度Taではないと判断するものである。
【0031】
また、制御部10は、所定の時間間隔t2を創出する第2タイマー手段16を備え、前記温度変化判定手段14は、前記温度検知手段11が読み込んだ現在の人体の温度Taと所定の時間間隔t2後の人体の温度Tbとの温度差Txを検出し、所定の温度T2と比較してこの所定の温度T2を超えて温度が低下しているときに、浴室使用者の体温の低下と判断するものである。
【0032】
所定の時間間隔t2は例えば5秒程度の時間が良い。
【0033】
前記第1タイマー手段12は、表面温度検知部5で検知する表面温度Tを温度検知手段11へ読み込む時間間隔を創出するものであり、所定の時間間隔t1(t2>t1)、例えば1秒に1回取り込むようすることで浴室内の変化を検出することができるものである。
【0034】
また、所定の温度T2の一例として例えば1℃以上体温が低下したら入浴者が肌寒く感じていると判断するとした場合、所定の温度T2を1℃とし、前記表面温度検知部5で検知した現在の人体の温度Taと所定の時間間隔t2後の人体の温度Tbとの温度差Txが1℃以上の場合は、前記制御部10は入浴者が肌寒く感じていると判断できるものである。
【0035】
また、本体2には、前記温度変化判定手段14の結果から前記風量可変手段15によって風量が切り替わったことを報知する報知部17と、前記浴室1の内部または外部の壁に設けられた前記制御部10に運転信号を送る操作部18が備えられている。
【0036】
報知部17は、一例としてLEDやブザーなどを用いて風量可変手段15によって循環ファン6の風量を変更した場合は、制御部10からの信号により入浴者に風量が変更したことを伝えるものである。
【0037】
操作部18は運転モードを設定する操作スイッチと運転モードを表示するためのLEDやLCD等から構成されるものである。
【0038】
上記構成において、本実施の形態の浴室暖房装置の動作を図3のフローチャートを用いて説明する。
【0039】
まず、入浴する前に本体2を暖房運転で動作させて浴室1を暖める場合、操作部18を操作する。操作部18からの信号により制御部10は、循環ファン6と加熱部8の通電を開始させる。それと同時に第1タイマー手段12が動作開始し、表面温度検知部5が浴室1の洗い場の表面温度を第1タイマー手段12によって決められた所定の時間間隔t1で検知し始める。次に暖められている浴室1に人が入ると表面温度検知部5によって入浴者4の体温が表面温度Tとして温度検知手段11に読み込まれることとなる。そして、その読み込まれた表面温度Tは、人検知手段13で、前記制御部10に記憶されている所定の温度T1と比較され、所定の温度T1よりも高いと認識されると表面温度Tは人体の温度Taと判断され、洗い場に人がいると判断することができる。さらに、人検知手段13によって洗い場に人の存在が確認されると第2タイマー手段16が動作を開始し、所定の時間間隔t2をカウントすることとなる。この間に第1タイマー手段12によって所定の時間間隔t1がカウントされその都度表面温度Tが温度検知手段11によって読み込まれ、記憶手段11aに記憶されることとなる。
【0040】
前記所定の時間間隔t2がカウントアップされると、温度変化判定手段14は、先の表面温度T(人体の温度Ta、すなわち先に人体の温度として判断された温度)と現在の表面温度T(所定の時間間隔t2後の人体の温度Tb)との温度差Txを算出して、前記制御部10に記憶されている所定の温度T2と比較する。
【0041】
その結果、Ta−Tbである温度差Txが所定の温度T2より大きい場合は、前記入浴者4は体が濡れた状態で風が当たって体温が下がっており、肌寒いと感じていると判断できるので、風量可変手段15を動作させることでモータ6aの回転数を低回転にし、循環ファン6からの風量が低下させる。入浴者に循環ファン6から当たる風量が小さくなるので肌寒く感じなくなり、快適に入浴をすることができる。
【0042】
つまり、入浴者4の体が濡れた状態で風が当たると体温が顕著にさがり、肌寒いと感じる。そこで、本実施の形態のように入浴者4を検知した後の所定の時間間隔t2ごとに、入浴者4の人体の温度を比較して、循環ファン6の風量を調節することで、入浴者4が肌寒く感じないように浴室暖房装置の運転をすることができ、快適に入浴をすることができる。
【0043】
また、表面温度検知部5に、サーモパイル型センサを用いて浴室1の洗い場方向の表面温度Tを検知することで、表面温度を測定することができ、入浴者がいる場合は人の表面温度を検知することになるため、洗い場に人がいると判断することができ、さらには人の体温も測定できるため、入浴者が肌寒く感じているかどうか判断することができる。
【0044】
また、表面温度検知部5を本体2の下面に浴室の天井面3に対して40〜50°の角度で洗い場方向に取り付けることで、人が浴室におり、風が直接当たる場所にいる場合に表面温度検知部5により入浴者の体温を適切に検知することができるので、人がいる場合に体温を精度良く検知することができる。
【0045】
また、操作部18からの信号が暖房以外の場合は、入浴者がいないか、入浴者が肌寒く感じることがない状態であるため本実施の形態記載の制御を行う必要がない。そのため、表面温度検知部5、第1タイマー手段12は動作させず、本体2は操作部18からの信号通りの運転を行うため、例えば乾燥運転時の場合は、表面温度とは関係なく通常運転とすることができるため複雑な処理や無駄な電力を削減することができ、適切に運転を行うことができる。
【0046】
また、暖房運転中に前記浴室1に人が入っていない場合、表面温度検知部5によって検知した表面温度Tは、温度検知手段11によって読み込まれるが、人検知手段13によって所定の温度T1よりも温度が低いと認識されるため、表面温度Tは人体の温度ではない、すなわち洗い場に人がいないと判断されるので風量は変更されず、操作部18からの信号通りの運転モードを継続することができる。
【0047】
さらに前記浴室1の洗い場に人が居た状態から前記入浴者4が浴槽に入った場合は、表面温度検知部5が洗い場に向いているため、その結果から洗い場の表面温度Tは人検知手段13によって所定の温度T1よりも温度が低いと認識されることになり、洗い場に人がいないと判断されるので風量は元の運転モードの状態に戻ることができる。これらの動作により洗い場に人がいない場合は、風量を下げることがなくなるため浴室1内を積極的に暖房して適切な温度に保つことができる。
【0048】
さらに、第3タイマー手段19を設けて、時間カウントを行ない、暖房運転が開始されて所定の時間間隔taの間、表面温度検知部5が検知して、温度検知手段11の読み込んだ表面温度Tが一度も所定の温度T1以上とならない場合は、浴室1に入浴者4がいないと判断し、浴室暖房装置を停止させることができるので、入浴者4が使用後切り忘れた場合でも自動で停止させることができ、安全かつ無駄な電力を削減できる。
【0049】
また、入浴者4が浴室に入った直後は、体が濡れていないため本体2からの風が当たっている場合でも寒さを感じないことがある。このような場合に温度変化判定手段14は、表面温度検知部5によって検知された入浴者4の人体温度と所定の時間間隔t2後に検知した人体温度との温度差Txと所定の温度T2を比較し、結果がTx<T2であれば、入浴者はそれほど肌寒さを感じていないものと判断することになる。その場合は、風量可変手段15を動作させず循環ファン6からの風量は変更しない。
【0050】
このように、本体2は入浴者4が実際に肌寒く感じている場合のみ、風量を下げて運転するため浴室1内を適切な温度に保ち、かつ入浴者4は風による不快感が少ない浴室暖房装置を提供できる。
【0051】
また、入浴者4が前記浴室1の洗い場にいる状態で温度変化判定手段14の結果から風量可変手段15が動作し、循環ファン6からの風量が下がった場合に、自動運転中に操作部18を操作していないのにもかかわらず風量が下がったことを入浴者4が誤動作と間違わないように、LEDやブザー等で報知部17を動作させることで、入浴者4に風量が切り替わったことを知らせることができ、誤動作ではないことを認識させることができる。
【0052】
なお、本実施の形態では天井に取り付けられた浴室暖房装置について記載してきたが、前記浴室の壁に取り付けられる浴室暖房装置であっても良い。
【0053】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2について図4を参照しながら説明する。実施の形態1と同一部分は同一番号を附し詳細な説明を簡略化する。
【0054】
実施の形態2では、入浴者4の体が濡れている際に風が当たって肌寒く感じている場合に別の手段を用いて風による不快感を少なくする実施の形態として、本体2には、表面温度検知部5からの検出温度に応じて循環ファン6の風を制御する制御部10を備えている。
【0055】
制御部10は、表面温度検知部5が検知した表面温度Tを所定の時間間隔t1で読み込む温度検知手段11と、読み込んだ表面温度Tを記憶する記憶手段11aと、前記所定の時間間隔t1を創出する第1タイマー手段12と、温度検知手段11が読み込んだ表面温度Tと所定の温度T1を比較して、前記表面温度Tを人体の温度と判断する人検知手段13と、人検知手段13が表面温度Tを人体の温度と判定したときに体温の低下を判断する温度変化判定手段14と、温度変化判定手段14の判定結果から循環ファン6の風向を決定する風向可変手段20を備えている。
【0056】
また、前記風向可変手段20の一例として、本体2の吹き出し口9にステッピングモータ等を用いたルーバー21が設けられている。前記ルーバー21は、洗い場に人がいる場合、温度検知手段11が読み込んだ表面温度Tと所定の温度T1を比較して、人検知手段13が表面温度Tを人体の温度と判定したときに体温の低下を判断する温度変化判定手段14の判定結果が前記入浴者4の体温が所定の温度T1低下している場合は、風向可変手段20が動作し、ルーバー21の向きを洗い場方向に向かないように動作させ、前記入浴者4に直接風が当たらないようにするものである。洗い場に人がいなくなった場合は、前記風向可変手段20は、元の運転モードに戻すものである。
【0057】
上記構成において、本実施の形態の浴室暖房装置の動作を図3のフローチャートを用いて説明する。
【0058】
まず、入浴する前に本体2を暖房運転で動作させて浴室1を暖める場合、操作部18を操作する。操作部18からの信号により制御部10は、循環ファン6と加熱部8の通電を開始させる。それと同時に第1タイマー手段12が動作開始し、表面温度検知部5が浴室1の洗い場の表面温度を第1タイマー手段12によって決められた所定の時間間隔t1で検知し始める。次に暖められている浴室1に人が入ると表面温度検知部5によって入浴者4の体温が表面温度Tとして温度検知手段11に読み込まれることとなる。そして、その読み込まれた表面温度Tは、人検知手段13で、所定の温度T1と比較され、所定の温度T1よりも高いと認識されると表面温度Tは人体の温度Taと判断され、洗い場に人がいると判断される。さらに、人検知手段13によって洗い場に人の存在が確認されると第2タイマー手段16が動作を開始し、所定の時間間隔t2をカウントすることとなる。この間に第1タイマー手段12によって所定の時間間隔t1がカウントされその都度表面温度Tが温度検知手段11によって読み込まれ、記憶手段11aに記憶されることとなる。
【0059】
前記所定の時間間隔t2がカウントアップされると、温度変化判定手段14は、先の表面温度T(人体の温度Ta、すなわち先に人体の温度として判断された温度)と現在の表面温度T(所定の時間間隔t2後の人体の温度Tb)との温度差Txを算出して、所定の温度T2と比較する。
【0060】
その結果、Ta−Tbである温度差Txが所定の温度T2より大きい場合は、前記入浴者4は体が濡れた状態で風が当たって体温が下がっており、肌寒いと感じていると判断できるので、風向可変手段20を動作させることでモータ6aの向きを変更し、循環ファン6からの風向が例えば浴槽側に向くことで、入浴者に循環ファン6からの風が直接当たることがなくなるので肌寒く感じなくなり、快適に入浴をすることができる。
【0061】
つまり、入浴者4の体が濡れた状態で風が当たると体温が顕著にさがり、肌寒いと感じる。そこで、本実施の形態のように入浴者4を検知した後の所定の時間間隔t2ごとに、入浴者4の人体の温度を比較して、循環ファン6の風向を変更することで、入浴者4が肌寒く感じないように浴室暖房装置の運転をすることができ、快適に入浴をすることができる。
【0062】
さらに前記浴室1の洗い場に人が居た状態から前記入浴者4が浴槽に入った場合は、表面温度検知部5が洗い場に向いているため、その結果から洗い場の表面温度Tは人検知手段13によって所定の温度T1よりも温度が低いと認識されることになり、洗い場に人がいないと判断されるので風向は元の運転モードの状態に戻ることができる。これらの動作により洗い場に人がいない場合は、風向を変更することがなくなるため浴室1内を均一に暖房して適切な温度に保つことができる。
【0063】
また、入浴者4が浴室に入った直後は、体が濡れていないため本体2からの風が当たっている場合でも寒さを感じないことがある。このような場合に温度変化判定手段14は、表面温度検知部5によって検知された入浴者4の人体温度と所定の時間間隔t2後に検知した人体温度との温度差Txと所定の温度T2を比較し、結果がTx<T2であれば、入浴者はそれほど肌寒さを感じていないものと判断することになる。その場合は、風向可変手段20を動作させず循環ファン6からの風向は変更しない。
【0064】
このように、本体2は入浴者4が実際に肌寒く感じている場合のみ、風向を変更して運転するため浴室1内を適切な温度に保ち、かつ入浴者4は風による不快感が少ない浴室暖房装置を提供できる。
【0065】
なお、本実施の形態では天井に取り付けられた浴室暖房装置について記載してきたが、前記浴室の壁に取り付けられる浴室暖房装置であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、集合住宅や戸建住宅の浴室に設置され、入浴中に風による肌寒さを少なくすることができる浴室暖房装置に適用できる。
【符号の説明】
【0067】
1 浴室
2 本体
3 天井面
4 入浴者
5 表面温度検知部
6 循環ファン
7 吸い込み口
8 加熱部
9 吹き出し口
10 制御部
11 温度検知手段
12 第1タイマー手段
13 人検知手段
14 温度変化判定手段
15 風量可変手段
16 第2タイマー手段
17 報知部
18 操作部
19 第3タイマー手段
20 風向可変手段
21 ルーバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室暖房装置は浴室内空気を循環させる循環ファンと、
循環ファンによって吸込まれた浴室内空気に熱を加える加熱部と、
前記加熱部によって暖められた空気の風量を決める風量可変手段と、
浴室内の表面温度を検知する表面温度検知部と、
前記表面温度検知部の検知した表面温度が人体の温度か否かを判断する人検知手段と、
前記表面温度が人体の温度であったときに、前記表面温度と所定の時間経過後に検知した表面温度とから入浴者の体温が所定の値を越えて低下しているか判断する温度変化判定手段と、前記温度変化判定手段の結果から風量可変手段を動作させる制御部とを備え、入浴者の体温が所定の値を越えて低下している場合に前記循環ファンからの風量を絞ることを特徴とする浴室暖房装置。
【請求項2】
制御部は、基準となる温度変化の情報として所定の値を記憶しており、表面温度検知部において検知した表面温度と所定の時間経過後に検知した表面温度とから入浴者の体温が所定の値を越えて低下しているか温度変化判定手段にて判断することを特徴とする請求項1記載の浴室暖房装置。
【請求項3】
表面温度検知部は、サーモパイル型センサとすることを特徴とする請求項1記載の浴室暖房装置。
【請求項4】
表面温度検知部は、天井面に対して40〜50°の角度で配置することを特徴とする請求項3記載の浴室暖房装置。
【請求項5】
表面温度検知部は、洗い場方向に配置することを特徴とする請求項2または請求項4記載の浴室暖房装置。
【請求項6】
風量可変手段は、暖房運転中に温度変化判定手段の結果により風量を制御することを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の浴室暖房装置。
【請求項7】
風量可変手段は、暖房運転中に洗い場から人がいなくなった場合に人検知手段により温度変化を検知するため風量を元の運転状態に戻すことを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の浴室暖房装置。
【請求項8】
暖房運転中に人検知手段により人検知が一定時間なかった場合には、機器を停止させることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の浴室暖房装置。
【請求項9】
表面温度検知部の結果から風量可変手段が切り替わったことを報知する手段を備えたことを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の浴室暖房装置。
【請求項10】
風向可変手段を備え、温度変化判定手段結果から前記循環ファンからの風向を変更することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一つに記載の浴室暖房装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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