説明

浴室用椅子

【課題】 肛門付近を洗う際にも腰を上げずに洗うことができ、また、浴室用椅子に浴室用マットを立て掛けることができ、浴室内の掃除をする者の足元付近への洗浄水やシャワー水等の散水を防止するつい立てとしても利用でき、かつ、その使用後は、乾燥し易い状態に載置できる浴室用椅子を提供する。
【解決手段】 座部101の中央部分に凹溝部103を設け、凹溝部103は浴室用マットを立て掛けるマット立掛部105とシャワーヘッドを載置するシャワーヘッド載置部104を有する浴室用椅子100である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浴室内で使用する浴室用椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入浴する者が髪や身体を腰掛けた状態で洗うために用いる浴室用椅子が広く知られている。図9(A)に示すように、浴室用椅子900は、例えば合成樹脂製の座部901と脚部902を備えたものがある(下記特許文献1参照)。座部901は緩やかな皿溝で中央部分に小さな孔を開けた形状であり、皿溝は使用者が腰掛けやすいように緩やかに形成され、中央部分の孔は皿溝に溜まる洗浄水を流出させるために形成されている。また、脚部902は筒状に形成され、座部901に周設される支持脚と一体となっている。
【特許文献1】特開2000−51111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の浴室用椅子は、肛門付近を洗うには腰を上げてからでなければ洗うことができないため、使用者は、その度に立ち上がるのが面倒であり、また、椅子に腰掛けた状態では肛門付近が接触しているので、次にそれを使う人にとって抵抗感が大きいという問題があった。
【0004】
ところで、浴室内を掃除する際、掃除をする者はシャワーなどを用いて浴槽や洗い場などを清掃するが、この時、洗浄水やシャワー水等が足元付近にも散水され、衣服が汚れてしまうという問題があった。また、浴室内では図9(b)に示すような浴室用マット903を用いる場合もある。浴室用マット903は入浴する者の足が、冷えた洗い場に触れないように、あるいは滑り止めに敷いて使用するものであり、これを敷くことにより入浴時は有効である。しかしながら、浴室用マット903を浴室内で敷いたままにし、洗浄水で濡らしたままの状態にしておくと、洗い場との間で湿気を帯び、これが元になってカビが発生し、不衛生となるという問題がある。浴室用マット903を使用した後は、立て掛けて乾燥させるのが良いが、浴室内でそういった場所はほとんどないという問題があった。
【0005】
本発明は、こうした問題に着目し、肛門付近を洗う際にも腰を上げずに洗うことができ、また、浴室用椅子に浴室用マットを立て掛けることができ、浴室内の掃除をする者の足元付近への洗浄水やシャワー水等の散水を防止するつい立てとしても利用でき、かつ、その使用後は、乾燥し易い状態に載置できる浴室用椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の発明は、座部の中央部分に凹溝部を設けることを特徴とする浴室用椅子である。
【0007】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の浴室用椅子について、前記凹溝部は浴室用マットを立て掛けるマット立掛部を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の浴室用椅子について、前記凹溝部はシャワーヘッドを載置するシャワーヘッド載置部を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の浴室用椅子について、脚部に切欠溝部を設け、該切欠溝部は洗浄用具を収納するスペースを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の浴室用椅子によれば、肛門付近を洗う際にも腰を上げずに洗うことができ、次の人が使用する際にも抵抗感なく使用できる。また、浴室用椅子に浴室用マットを立て掛けることで、浴室内の掃除をする者の足元付近への洗浄水やシャワー水等の散水を防止するつい立てとしても利用でき、使用者の衣服が濡れるのを防止できる。また、入浴後や掃除後、浴室用椅子に浴室用マットを立て掛けることで、洗浄水を乾燥し易い状態に載置でき、カビなどの発生を防止し、衛生を保つことができる。また、切欠溝部に石鹸やシャンプー、あるいはスポンジや洗浄タオル等の洗浄用具を収納することができるので、すぐにこれらを取り出すことができて便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。ただし、本発明は以下で説明する範囲に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲であれば、適宜に変更、実施できるものである。
【0012】
以下、図1乃至図8を用いて、本実施例で用いる浴室用椅子を説明する。浴室用椅子100は、座部101と脚部102を備え、座部101の中央部分には凹溝部103を設けている。そして凹溝部103にはシャワーヘッド601を載置するシャワーヘッド載置部104と浴室用マット701を立て掛けるマット立掛部105を有している。
【0013】
シャワーヘッド載置部104はシャワーヘッド601を載置できる略円状のスペース、及び浴室用椅子100を使用する人が座部101に腰掛けた際、シャワーヘッド載置部104に載置したシャワーヘッド601からの放水を効率良く行うスペースを備えている(図6参照)。これにより、浴室用椅子100を使用する人が座部101に腰掛けた際は、腰を上げずに肛門付近を洗うことができ、シャワーヘッド載置部104にシャワーヘッド601を載置することで、そこから放水されるシャワー水によりきれいに洗浄することができる。また、この時、座部101には使用者の肛門付近が接触しないので、次の人が使用する際にも抵抗感なく使用することができる。
【0014】
一方、マット立掛部105は浴室用マット701の幅と略同じ幅のスペースを備えている(図7参照)。これにより、浴室用マット701の使用時は従来と同様に敷いて使用でき、一方、その使用後はマット立掛部105に立て掛けた状態にすることで、浴室内の掃除をする際、使用者の足元付近への洗浄水やシャワー水等の散水を防止するつい立てとしても利用でき、使用者の衣服が濡れるのを防止できる。また、入浴後や掃除後は、使用時に付いた洗浄水を乾燥し易い状態に載置でき、カビなどの発生を防止し、衛生を保つことができる。
【0015】
さらに、脚部102には石鹸801やシャンプー、あるいはスポンジ802や洗浄タオル等の洗浄用具を収納できるスペースを有する切欠溝部106を設けている(図8参照)。これにより、使用者は髪や身体を洗う際に、すぐにこれらを取り出すことができて便利である。
【0016】
以上、本実施例の浴室用椅子によれば、肛門付近を洗う際にも腰を上げずに洗うことができ、次の人が使用する際にも抵抗感なく使用できる。また、浴室用椅子に浴室用マットを立て掛けることで、浴室内の掃除をする者の足元付近への洗浄水やシャワー水等の散水を防止するつい立てとしても利用でき、使用者の衣服が濡れるのを防止できる。また、入浴後や掃除後、浴室用椅子に浴室用マットを立て掛けることで、洗浄水を乾燥し易い状態に載置でき、カビなどの発生を防止し、衛生を保つことができる。
【0017】
なお、図示するシャワーヘッド載置部104は略円状のスペースを設ける形態を例に示したが、その形状については適宜に変更、設計できるものである。また、図示する切欠溝部106は脚部102の両端に配設する形態を例に示したが、その位置や数についても適宜に変更、設計できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明の浴室用椅子は、家庭内はもちろん、大衆浴場で利用することもできる。大衆浴場では衛生面や利便性が重要視されているので、そのような場で用いることは好適である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の浴室用椅子の斜視図
【図2】本発明の浴室用椅子の正面図
【図3】本発明の浴室用椅子の平面図
【図4】本発明の浴室用椅子の側面図
【図5】図2のA−A線に沿う断面図
【図6】浴室用椅子の載置部にシャワーを置いた状態を示す図
【図7】浴室用椅子の載置部に浴室用マットを置いた状態を示す図
【図8】浴室用椅子の洗浄用具収納部に石鹸等を置いた状態を示す図
【図9】従来の浴室用椅子(A)と浴室用マット(B)を示す図
【符号の説明】
【0020】
100 浴室用椅子
101 座部
102 脚部
103 凹溝部
104 シャワーヘッド載置部
105 マット立掛部
106 切欠溝部
601 シャワーヘッド
701 浴室用マット
801 石鹸(洗浄用具)
802 スポンジ(洗浄用具)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部の中央部分に凹溝部を設けることを特徴とする浴室用椅子。
【請求項2】
前記凹溝部は浴室用マットを立て掛けるマット立掛部を有することを特徴とする請求項1に記載の浴室用椅子。
【請求項3】
前記凹溝部はシャワーヘッドを載置するシャワーヘッド載置部を有することを特徴とする請求項1に記載の浴室用椅子。
【請求項4】
脚部に切欠溝部を設け、該切欠溝部は洗浄用具を収納するスペースを有することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の浴室用椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−218066(P2006−218066A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−34007(P2005−34007)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(505052674)有限会社中島鉄工所 (4)
【Fターム(参考)】