説明

浴室

【課題】 浴室に設置されるイスを工夫することで、浴室で複数のイスを利用する場合に使用者が利用するシャワーの使い勝手を向上させることが可能となる。
【解決手段】 本発明にかかる浴室10設置される複数のイス240と、シャワー236と、を備え、複数のイス240の構成は、浴槽140と、浴槽140に併設される洗い場130と、洗い場130に0のうち1または複数に、シャワー236を構成する軸部を略垂直方向に回動自在に固定可能なシャワーフック242を有することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のイスを備える浴室に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅用の浴室は、浴室の一方の壁面に沿って浴槽が配置され、残る面積が洗い場となった構成が極めて多く採用されている。設置面積が限られているため、浴室は浴槽と洗い場によって二分されており、いずれも長方形をなしている。浴室への出入口は洗い場に設けられており、ほとんどの場合は洗い場の奥まった壁面に鏡やカラン(水栓)、シャワーが取り付けられている。
【0003】
また浴室には照明が取り付けられるが、一般に照明は天井ではなく壁面に取り付けられる場合が多い。これは、1つには浴室は座って利用することが多いことから、低い位置において光量を得やすくしたいためである。もう1つには、鏡を見ながら作業をしたいために、真上からの光よりも、斜めからの光の方が利用しやすいからである。同様に、鏡を見ながらの作業がしやすいという理由から、照明は鏡の上方(鏡と同じ壁面)に設けられており、カランは鏡の下方に設けられている。
【0004】
これらの理由から、長方形をなす洗い場の奥まった壁面(一般的には長方形の短辺に相当する壁面)に、鏡、照明、カラン、カウンタ(洗面器置き場)、シャワー、シャワーフックなどが配置された構成が一般的となっている。
【0005】
このような浴室は、その面積の関係上、多人数で利用するための充分な面積を確保することは難しい。しかし、親が子どもと入浴する場合や、介護者が要介護者を入浴させる場合等複数人数で上記浴室を利用したいという要請はあり、複数のイスを浴室に設ける技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0006】
特許文献1には、浴室の壁に取付け可能な大きい椅子と、当該大きい椅子に収納可能な小さい椅子を備えた浴室が記載されている。特許文献1では、大きい椅子をカウンタとして使用できるので使い勝手が向上するとしている。
【特許文献1】特開2008−29430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したような従来の浴室に複数のイスを設置して、複数人数で浴室を利用する場合、以下のような問題が生じる。
【0008】
図8は、2つのイスを配設した従来の浴室を説明するための説明図である。図8に示すように、従来の浴室10は、浴槽20と洗い場30に分割されており、洗い場30の奥まった壁12(長方形の短辺に相当する壁)に鏡32、カラン34、シャワー36、照明38、2つのイス40(図8中40a、40bで示す)を備えて構成される。図8に示す浴室10を例えば親子で利用した場合、親がイス40aを使用し、子がイス40bを使用することになる。ここで、洗い場30が細長い長方形であることから、短辺に沿って2人が座ることは難しく、必然的に長辺に沿って並ぶことになる。すると通常は、図8に示すように親は子を洗うためにカラン34やシャワー36に近い位置に座わり、子は親の前に座ることになる。親が背中を壁12に向けることにより、浴室10全体を見渡せるように視野を広げることができる。また、カラン34やシャワー36から子を遠ざけることにより、子によるいたずらのおそれを回避することが可能となる。
【0009】
ここで例えば、親が子の髪を洗う場合、親は子を洗髪した後、斜め後ろを振り返って壁12に設けられたシャワーフック42に掛止されたシャワー36を把持して、再び子の方に向きなおしてシャワー36を利用しなければならない。したがって、親等の使用者に煩雑な動作を強いることになっていた。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑み、浴室に設置されるイスを工夫することで、浴室で複数のイスを利用する場合に使用者が利用するシャワーの使い勝手を向上させることが可能な浴室を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明にかかる浴室の代表的な構成は、浴槽と、浴槽に併設される洗い場と、洗い場に設置される複数のイスと、シャワーと、を備え、複数のイスのうち1または複数に、シャワーを構成する軸部を略垂直方向に回動自在に固定可能なシャワーフックを有することを特徴とする。
【0012】
かかる構成より、シャワーをイスに固定することができる。したがって、使用者は常にシャワーを自身の手元に設置しておくことができ、例えば、浴室を親子で利用する際に、親は、両手で子を洗った後、振り返って自身の背後からシャワーを把持し、再度、子の方に向きなおすといった煩雑な動作を経ることなく、シャワーを利用することが可能となる。
【0013】
上記複数のイスは大きいイスと小さいイスの2つで構成されており、大きいイスが小さいイスを収納する入れ子構造を有してもよい。これにより、最も大きいイスの設置面積でかかる複数のイスを収納することができる。
【0014】
大きいイスは側面に小さいイスを挿入しうる開口部を備え、小さいイスを開口部から大きいイスの内部に収容可能であってもよい。これにより、大きいイスを持ち上げることなく、小さいイスを水平方向にスライドさせて収納することができる。
【0015】
上記シャワーフックは、大きいイスまたは小さいイスの側面の座面近傍に設置されていてもよい。これにより、使用者は常にシャワーを自身の手元に設置しておくことができ、使用者の利便性が向上する。また、当該イスをカウンタとして利用し、かかるイスに洗面器を設置した場合に、使用者がシャワーを把持せずとも直接洗面器に湯水を供給することができ、シャワーにカランの役割を担わせることが可能となる。
【0016】
上記大きいイスの略水平断面は略長方形であって、大きいイスに設けられたシャワーフックは、短辺の側面であって座面近傍に設置されていてもよい。略長方形であることにより、当該イスをカウンタとして利用する場合に、浴室で利用するシャンプー、リンス、ボディシャンプー等の洗浄剤と、洗面器を横に並べることができ、使い勝手が向上する。また短辺の側面にシャワーフックを備えることにより、当該大きいイスをカウンタとして利用する場合に、使用者の右手側もしくは左手側にシャワーを固定することができるため、使い勝手を向上させることが可能となる。
【0017】
複数のイスのうち最大のイスの上面に、洗面器を位置決め可能な凹部を備えてもよい。これにより、当該最大のイスをカウンタとして利用する場合に、洗面器を係止して設置することができる。また、当該最大のイスにシャワーを固定できるため、シャワーから直接洗面器に湯水を供給することが可能となる。
【0018】
当該浴室は、照明をさらに備え、洗い場は、浴槽に沿う辺を長辺とする略長方形であり、照明は洗い場の長辺に相当する壁の上方に備えられ、複数のイスは洗い場の長辺方向に並列に配置可能であってもよい。
【0019】
上記構成によれば、使用者がイスに座る場合に、どの使用者も自身の側面から照明の光を受けることになる。したがって、使用者が自身の背面で照明の光を遮る場合と比較して、遮光率を低下させることができ、視認性を向上させることが可能となる。
【0020】
上記照明は、当該照明が設けられた壁の中央よりもシャワーが設けられた壁側に設けられていてもよい。
【0021】
使用者が鏡を見ながら容易に湯水を使用できるように、シャワーが設置された壁と同一の壁に鏡を備えている場合が多い。したがって、上記照明を当該照明が設けられた壁の中央よりもシャワーが設けられた壁側の位置に配設する構成により、照明をシャワーに近づけるすなわち照明を鏡に近づけることができる。これにより、使用者が鏡を見ながら作業をする場合に、視認性を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、浴室に設置されるイスを工夫することで、浴室で複数のイスを利用する場合に使用者が利用するシャワーの使い勝手を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0024】
図1は、本実施形態にかかる浴室を示す図である。なお、本実施形態においては、近年家庭に最も普及しているユニットバスを浴室100として例示するがこれに限定するものではない。また、本実施形態では、浴室100を親子が利用する形態について説明する。
【0025】
図1に示すように、ユニットバスである浴室100は、壁(壁面)で区画された空間であり、壁120(図1中120a、120bで示す)、122(図1中122a、122bで示す)と、洗い場130と、浴槽140と、を含んで構成される。なお、壁120、122以外の壁、および浴室100外に設けられた脱衣所と通じるドアは、理解を容易にするため図示を省略する。
【0026】
壁120は、浴槽140に対向する壁である。壁122は、浴槽140に隣接し、水栓である後述するカラン234を備える壁である。なお、壁120および122は、各々2つに分割されているように見えるが、これは壁120および122が、共に2つのパネルから構成されているからである。本実施形態では、2つのパネルから構成される面を1つの壁として説明する。
【0027】
洗い場130は、使用者(本実施形態では親子)が体や髪を洗う際に利用する。本実施形態において、洗い場130は、浴槽140に沿う辺を長辺とする略長方形である。浴槽140は、湯が貯留され、使用者が入浴するための槽である。
【0028】
また、浴室100は、鏡232と、カラン234と、シャワー236と、壁付けシャワーフック238と、2つのイス240(大きいイス240a、小さいイス240bで示す)と、照明244と、複数のフック246と、複数の棚248と、を備えて構成される。
【0029】
鏡232は、使用者が自身の姿を視認するための部材である。カラン234およびシャワー236は、水栓であり、給湯装置(図示せず)から湯水が供給される。本実施形態において、鏡232およびカラン234は、直接、洗い場130の短辺に相当する壁122aに設けられている。シャワー236は、壁122aに設けられた壁付けシャワーフック238に掛止可能に設置されている。
【0030】
2つのイス240は、洗い場130に移動可能に設置されている。図2は、本実施形態にかかるイスを説明するための説明図であり、特に図2(a)は、シャワーを固定していない状態を、図2(b)はシャワーを固定している状態を示している。図3はシャワーフックの使用態様を説明する図である。
【0031】
図2に示すように、本実施形態では、大きいイス240aおよび小さいイス240bの側面の座面近傍にシャワー236を構成する軸部(シャワーヘッド)を略垂直方向に回動自在に固定可能なシャワーフック242(図2中242a、242bで示す)を備えている。これにより、シャワー236をイス240に固定することができる(図2(b)参照)。したがって、使用者は常にシャワー236を自身の手元に設置しておくことができ、例えば、浴室100を親子で利用する際に、親は、両手で子を洗った後、振り返って自身の背後に設置された壁付けシャワーフック238に掛止されたシャワー236を把持し、再度、子の方に向きなおすといった煩雑な動作を経ることなく、シャワー236を利用することが可能となる。
【0032】
またイス240の側面の座面近傍にシャワーフック242を備える構成により、当該イス240をカウンタとして利用することができる。したがって図3(a)に示すように、イス240に洗面器を設置した場合に、使用者がシャワー236を把持せずとも直接洗面器に湯水を供給することができ、シャワー236にカランの役割を担わせることが可能となる。
【0033】
またシャワーフック242a、242bにシャワー236を保持させることにより、低い位置でシャワーヘッドを回動可能に保持することができる。これにより、図3(b)に示すように小動物や靴のように小さなものを洗う際に、近い位置(低い位置)から放水することができるため、水が飛散することがなく使い勝手がよい。なお従来のように壁付けシャワーフック238しかない場合には、シャワー236の保持位置が高いために、シャワー236を手で把持して作業する必要があった。また作業のために低い姿勢をとった状態で蛇口をひねった場合には、うっかり湯水をあびてしまうおそれもあった。しかし上記構成によれば、あらかじめシャワー236を低い位置に保持することができるため、両手を用いて作業を行うことができ、また湯水をあびるおそれがないため快適に作業を行うことができる。
【0034】
ここでは、特に2つのイス240のうち大きいイス240aの略水平断面は略長方形であって、大きいイス240aに設けられたシャワーフック242aは、短辺の側面であって座面近傍に設置されている。
【0035】
これにより、大きいイス240aをカウンタとして利用する場合に、使用者の右手側もしくは左手側にシャワー236を固定することができるため、使い勝手を向上させることが可能となる。
【0036】
本実施形態において、大きいイス240aの略水平断面は、略長方形である。これにより、大きいイス240aをカウンタとして利用する場合に、浴室100で利用するシャンプー、リンス、ボディシャンプー等の洗浄剤と、洗面器を横に並べることができ、使い勝手が向上する。
【0037】
また、本実施形態では、大きいイス240aの上面に洗面器を位置決め可能な凹部240cを備えている。これにより、大きいイス240aをカウンタとして利用する場合に、洗面器を係止して設置することができる。また、大きいイス240aにシャワー236を固定できるため、シャワー236から直接洗面器に湯水を供給することが可能となる。
【0038】
図4は、本実施形態にかかるイスを説明するための説明図であり、特に図4(a)は使用時を、図4(b)は収納時を示している。
【0039】
図4に示すように、大きいイス240aは小さいイス240bよりも大きく、大きいイス240aの側面(長辺の側面)には開口部240dを有し、開口部240dから小さいイス240bを収容可能になっている。これにより、大きいイス240aを持ち上げることなく、大きいイス240aの中に小さいイス240bを水平方向にスライドさせて収納することができる。また、2つのイス240は、その1つが他の1の収納する入れ子構造を有していることから、大きいイス240aの設置面積で小さいイス240bを収納することが可能となる。
【0040】
照明244は、浴室100内の調光を行う機器である。照明244は、浴槽140と当接した壁(図示せず)と対向する壁120(本実施形態では、洗い場130の長辺に相当する壁)の上方であって、当該照明244が設けられた壁120の中央(図1中Xで示す)よりもカラン234が設けられた壁122a側の位置、すなわち壁120bに設けられている。
【0041】
図5は、照明による照射範囲を説明するための説明図である。本実施形態のように浴室100を親子で利用する場合、洗い場130が細長い長方形であることから、短辺に沿って2人が座ることは難しく、必然的に長辺に沿って並ぶことになる。すると通常、親は子を洗うためにカラン234やシャワー236に近い位置に座わり、子は親の前に座ることになる。
【0042】
図5に示すように、照明244が、壁120bに設けられる構成により、使用者(親子)がイス240に座る場合に、どの使用者も自身の側面から照明244の光を受けることになる。したがって、使用者が自身の背面で照明244の光を遮る場合と比較して、遮光率を低下させることができ、視認性を向上させることが可能となる。すなわち、親は自身の背面で照明244の光を遮り、子が見づらくなるのを防止することができる。
【0043】
また、本実施形態のように使用者が鏡232を見ながら容易に湯水を使用できるように、カラン234およびシャワー236が設置された壁122と同一の壁122に鏡232を備えている場合が多い。したがって、照明244を、照明244が設けられた壁120bの中央よりもカラン234が設けられた壁122側の位置に配設する構成により、照明244をカラン234およびシャワー236に近づけるすなわち照明244を鏡232に近づけることができる。これにより、使用者が鏡232を見ながら作業をする場合に、視認性を向上させることが可能となる。
【0044】
さらに、照明244は鏡232の上方に、すなわち鏡232は照明244の下方に設けられている。これにより、使用者は、鏡に映った自身の姿を明確に視認することができ、作業性を向上させることが可能となる。
【0045】
フック246は、後述するように大径の頭部250と小径の軸部252を有し、浴室100内の壁に所定間隔ごとに複数設置される。これにより、所定間隔ごとに複数設置されたフック246のうち、使用者が所望する位置のフック246の軸部252に、所望する部材、例えば棚248等を吊り下げ、部材を壁に設置することが可能となる。またフック246が頭部250を有することで、吊り下げられた部材はフック246の頭部250により掛止されるため、部材のフック246からの脱落を防止することができる。本実施形態において複数のフック246は、壁120b、122aおよび122bに設けられている。
【0046】
以下、フック246の詳細について説明する。図6は、フック246の詳細を示す図である。図6(a)はフック246の分解図であり、図6(b)はフック246の斜視図であり、図6(c)はフック246不使用時の側面図であり、図6(d)はフック246使用時の側面図である。
【0047】
図6(a)に示すように、フック246は、頭部250と、軸部252と、螺子254と、リング256と、ワッシャ258との、5つの部材から構成される。フック246を壁120、122に設置する際には、まず軸部252とリング256とワッシャ258を嵌合する。そして、軸部252の穴に螺子254を装嵌し、ワッシャ258を壁120、122に当接して螺子止めをすることにより、軸部252とリング256とワッシャ258が壁に螺設される。螺設後に、頭部250をリング256に嵌合することにより、図6(b)に示す状態となり、フック246が壁120、122に設置される。
【0048】
フック246の壁120、122への設置後、かかるフック246は、使用されない場合には図6(c)に示す状態となる。図6(c)に示すように、フック246は、軸部252およびリング256が頭部250に収納され、頭部250とワッシャ258が接した状態となっている。これにより、フック246内部はほぼ密閉された状態となるため、フック246内部への水等の浸入を防ぐことができる。故に、フック246内部でのカビ等細菌類の繁殖を防止し、衛生状態を良好に保つことが可能となる。
【0049】
また、図6(c)のように不使用時のフック246(軸部252収納時)は、壁120、122上に頭部の厚み分だけ突出した状態となる(厳密には、ワッシャ258の厚みも含まれる)。故に、フック246により壁上には微小な凸部が形成されるが、凹部が形成されることはない。したがって、フック246が壁120、122の清掃を妨げることがなく、且つ浴室100の美観を損ねることがない。
【0050】
更に、図6(c)に示すようにフックの頭部250が切欠250aを有することで、切欠250aの部分に指を引っ掛け、頭部250を白抜き矢印方向に、すなわち壁120、122から手前に引き出すことができる。このようにして頭部250を引き出すと、フック246は図6(d)に示す状態となり、軸部252が露出する。これにより、フック246に部材を吊り下げ可能となる。
【0051】
そして、例えば部材を吊り下げる場所を変更する等、引き出したフック246を使用しなくなる場合には、引き出した頭部250を壁120、122に向かって押し込むことにより、軸部252は頭部250に収納され、図(c)に示す状態に戻る。なお、本実施形態においては、軸部252は頭部250に収納されているが、これに限定するものではなく、軸部252を壁120、122内に収納するよう構成してもよい。
【0052】
したがって、本実施形態にかかるフック246によれば、上述したように、フック246の頭部250を壁120、122から手前に引き出すという操作でフック246を使用することが可能となり、フック246の頭部250を壁120、122に向かって押し込むという操作でフック246の軸部252を頭部250に収納可能となる。したがって、いずれにおいても簡単な操作でフック246の状態を変更することができる。
【0053】
図7は、フック246の軸部252の他の収納例を示す図である。図7(a)は、他の収納例におけるフック246の不使用時の側面図であり、図7(b)は、他の収納例におけるフック246の使用時の側面図である。なお図7中、壁120、122をハッチングで示す。
【0054】
本実施形態にかかるフック246は軸部252がフック246の頭部250に収納されるが、図7(a)に示すように、他の収納例では、壁120、122に収納部260を備え、軸部252は収納部260に収納されることにより、壁120、122に収納される。そして、フック246使用時には、本実施形態と同様に切欠250aの部分に指を引っ掛け、頭部250を白抜き矢印方向に引っ張ることにより、図7(b)に示すように頭部250は壁120、122から手前に引き出され、軸部252が露出する。これにより、フック246に部材を吊り下げ可能となる。
【0055】
フック246は、壁120、122の水平方向に複数設置されるとよい。これにより、壁120、122に吊り下げる部材の位置を水平方向に自在に変更し、使用者が所望する位置に部材を設置することができ、浴室100での利便性が向上する。また、壁120、122の水平方向に複数の部材を設置したり、吊り下げに要するフック246を水平方向に2つ以上必要とする部材を壁120、122に設置したりすることが可能となる。
【0056】
またフック246は、壁120、122の垂直方向に複数設置されるとよい。これにより、壁120、122に吊り下げる部材の位置を垂直方向に自在に変更し、使用者が所望する位置に部材を設置することができ、浴室100での利便性が向上する。また、壁120、122の垂直方向に複数の部材を設置することができ、吊り下げに要するフック246を垂直方向に2つ以上必要とする部材を壁120、122に設置したりすることが可能となる。
【0057】
更に、上述したようにフック246を、壁120、122の水平方向に複数設置し、且つ垂直方向に複数設置するとよい。これにより、フック246は壁120、122に略碁盤目状に設置されることとなるため、壁120、122の水平方向且つ垂直方向の所望の位置に部材を設置することが可能となり、利便性が格段に向上する。
【0058】
フック246を備える壁120、122は、カラン130を備える壁122aであるとよい。これにより、カラン234を備える壁122aにフック246が設置されるため、フック246に部材を吊り下げ、その壁122aに部材を設置することができる。
【0059】
またフック246を備える壁120、122は、浴槽140に対向する壁120であるとよい。これにより、浴槽140に対向する壁120にフック246が設置されるため、フック246に部材を吊り下げ、その壁120に部材を設置することができる。
【0060】
棚248は、シャンプーやリンス等の浴室で用いられる物品を収納するための部材である。棚248は、壁120、122に設置されたフック246に吊り下げられることにより、かかる壁120、122に設置される。
【0061】
以上説明した如く、本実施形態にかかる浴室100に設置されるイス240を工夫することで、浴室100で複数のイス240を利用する場合に使用者が利用するシャワー236の使い勝手を向上させることが可能となる。
【0062】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、複数のイスを備える浴室に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】実施形態にかかる浴室を示す図である。
【図2】実施形態にかかるイスを説明するための説明図である。
【図3】シャワーフックの使用態様を説明する図である。
【図4】実施形態にかかるイスを説明するための説明図である。
【図5】照明による照射範囲を説明するための説明図である。
【図6】フックの詳細を示す図である。
【図7】フックの軸部の他の収納例を示す図である。
【図8】2つのイスを配設した従来の浴室を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0065】
100 …浴室
120、122 …壁
130 …洗い場
140 …浴槽
232 …鏡
234 …カラン
236 …シャワー
238 …壁付けシャワーフック
240 …イス
240c …凹部
240d …開口部
242 …シャワーフック
244 …照明
246 …フック
248 …棚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽と、
前記浴槽に併設される洗い場と、
前記洗い場に設置される複数のイスと、
シャワーと、
を備え、
前記複数のイスのうち1または複数に、前記シャワーを構成する軸部を略垂直方向に回動自在に固定可能なシャワーフックを有することを特徴とする浴室。
【請求項2】
前記複数のイスは大きいイスと小さいイスの2つで構成されており、前記大きいイスが前記小さいイスを収納する入れ子構造を有することを特徴とする請求項1に記載の浴室。
【請求項3】
前記大きいイスは側面に前記小さいイスを挿入しうる開口部を備え、
前記小さいイスを前記開口部から前記大きいイスの内部に収容可能であることを特徴とする請求項2に記載の浴室。
【請求項4】
前記シャワーフックは、前記大きいイスまたは小さいイスの側面の座面近傍に設置されていることを特徴とする請求項2または3に記載の浴室。
【請求項5】
前記大きいイスの略水平断面は略長方形であって、
前記大きいイスに設けられたシャワーフックは、短辺の側面であって座面近傍に設置されていることを特徴とする請求項4に記載の浴室。
【請求項6】
前記大きいイスの上面に、洗面器を位置決め可能な凹部を備えることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の浴室。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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