説明

浴室

【課題】浴室外が浸水することを防止できる。
【解決手段】本浴室では、例えば点検口蓋32の浴槽エプロン18への取付け不良やパッキン46の劣化などにより、点検口蓋32の上部と浴槽エプロン18との間の隙間を通って浴室内28から点検口蓋32の裏側へ水が流れた場合でも(矢印W参照)、当該水は膨出部48の表面(点検口蓋32の裏面)を伝って膨出部48の下端へ流下した後で、水受け部58の内側に滴下又は流下する。水受け部58の内側に滴下又は流下した水は、水溜め部52の内側に溜まり、水溜め部52の底壁54に形成された水排出口56から浴室内28へ排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユニットバスでは、浴室内と浴室外とを仕切る縦壁(例えば、浴槽のエプロンなど)に点検口(開口)が形成されている。このような点検口は、縦壁にビス止めされる蓋体(点検口蓋)によって塞がれるようになっている(例えば、特許文献1参照)。このような点検口蓋には、縦壁との間を止水するパッキン等が取り付けられている。これにより、点検口からの漏水によって浴室外が浸水することを防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−129740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の如き構成の場合、点検口蓋に取付け不良が生じたり、パッキンが劣化した場合などには、浴室外に露出した点検口蓋の裏側に水が漏れてしまうため、浴室外が浸水する可能性がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、浴室外が浸水することを防止できる浴室を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明に係る浴室は、浴室内と浴室外とを仕切る縦壁と、前記縦壁に形成された開口と、前記縦壁の浴室内側に取り付けられ、裏側が浴室外に露出した状態で前記開口を塞ぐ蓋体と、前記蓋体と前記縦壁との間の隙間を通って浴室内から前記蓋体の裏側へ流れ前記蓋体の裏側を伝って前記蓋体の下部側へ流下した水を浴室内へ戻す水戻し手段と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の浴室では、縦壁に形成された開口が、縦壁の浴室内側に取り付けられた蓋体によって塞がれる。ここで、例えば蓋体の取付け不良などにより、蓋体と縦壁との間の隙間を通って浴室内から蓋体の裏側(浴室外へ露出した側)へ水が流れた場合には、当該水は蓋体の裏側を伝って蓋体の下部側へ流下した後で、水戻し手段によって浴室内へ戻される。これにより、浴室外が浸水することを防止できる。
【0008】
請求項2に記載の発明に係る浴室は、請求項1に記載の浴室において、前記水戻し手段は、前記蓋体の下部側に設けられ、前記流下した水を受ける水受け部と、前記蓋体の下部側に設けられ、前記水受け部が受けた水を浴室内へ排出する水排出口とを備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の浴室では、蓋体の裏側を伝って蓋体の下部側へ流下した水を蓋体の下部側に設けられた水受け部によって受けると共に、水受け部が受けた水を蓋体の下部側に設けられた水排出口から浴室内へ排出する。このように、蓋体の下部側へ流下した水を水受け部によって受けるため、蓋体の下部側へ流下した水が浴室外へ滴下することを防止できる。したがって、浴室外が浸水することを良好に防止できる。しかも、水受け部が蓋体に設けられるため、別部材を追加する場合に比べて部品点数を少なくすることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明に係る浴室は、請求項1に記載の浴室において、前記水戻し手段は、前記蓋体とは別体に形成されて前記縦壁に取り付けられ、前記流下した水を受ける水受け部材と、蓋体の下部側に設けられ、前記水受け部材が受けた水を浴室内へ排出する水排出口とを備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の浴室では、蓋体の裏側を伝って蓋体の下部側へ流下した水を縦壁に取り付けられた水受け部材によって受けると共に、水受け部材が受けた水を蓋体の下部側に設けられた水排出口から浴室内へ排出する。このように、蓋体の下部側へ流下した水を水受け部材によって受けるため、蓋体の下部側へ流下した水が浴室外へ滴下することを防止できる。したがって、浴室外が浸水することを良好に防止できる。しかも、水受け部材が蓋体と別体に形成されるため、既存の蓋体を利用することができる。したがって、既存の浴室のメンテナンスに対応することができる。また、浴室の製造コストの低コスト化を図ることができる。
【0012】
さらに、水受け部材が縦壁に取り付けられるため、例えば開口の横幅よりも十分に横長な水受け部材を開口の下縁側に取り付ける構成にすれば、浴室内から蓋体の裏側へ流れた水が開口の横縁を伝って開口の下縁側へ流下した場合でも、当該水を水受け部材によって受けることができる。これにより、浴室外が浸水することを一層良好に防止できる。
【0013】
請求項4に記載の発明に係る浴室は、請求項2又は請求項3に記載の浴室において、前記蓋体の下部側には、前記縦壁よりも浴室内側に配置され、前記流下した水が溜まる水溜め部が設けられ、前記水溜め部と浴室内とが前記水排出口を介して連通していることを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載の浴室では、蓋体の下部側に水溜め部が設けられている。この水溜め部は、縦壁よりも浴室内側に配置されており、この水溜め部と浴室内とが水排出口を介して連通している。このため、水排出口からの排水量を上回る量の水が蓋体の下部側へ流下してきた場合でも、水溜め部に水が溜まることで、蓋体の裏側へ水が溢れることを抑制できる。換言すれば、水排出口を小さく形成した場合でも、蓋体の裏側へ水が溢れることを抑制できるため、浴室内の水が水排出口を介して水溜め部側へ逆流することを抑制できる。
【0015】
請求項5に記載の発明に係る浴室は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の浴室において、前記蓋体の裏側には、前記開口を介して浴室外へ膨出した膨出部が設けられ、膨出部の外周には、前記蓋体の裏側へ流れた水を前記蓋体の下部側へ案内する案内路が設けられていることを特徴としている。
【0016】
請求項5に記載の浴室では、蓋体の裏側へ流れた水は、浴室外へ膨出した膨出部の外周に設けられた案内路に案内されて蓋体の下部側へ流下し、水戻し手段によって浴室内へ戻される。このように、蓋体の裏側へ流れた水が案内路によって案内されるため、浴室外への水の滴下を防止する上で好ましくない方向に水が流れることを防止でき、好適である。
【0017】
請求項6に記載の発明に係る浴室は、浴室内と浴室外とを仕切る縦壁と、前記縦壁に形成された開口と、前記縦壁の浴室内側に取り付けられ、前記開口を塞ぐ蓋体と、前記蓋体と前記縦壁との間の隙間を通って浴室内から浴室外へ流れた水を浴室内へ戻す水戻し手段と、を備えたことを特徴としている。
【0018】
請求項6に記載の浴室では、縦壁に形成された開口が、縦壁の浴室内側に取り付けられた蓋体によって塞がれる。ここで、例えば蓋体の取付け不良などにより、蓋体と縦壁との間の隙間を通って浴室内から浴室外へ水が流れた場合でも、当該水は水戻し手段によって浴室内へ戻される。これにより、浴室外が浸水することを防止できる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明に係る浴室では、浴室外が浸水することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係るユニットバスの主要部の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示されるユニットバスの主要部の構成を示す側面図である。
【図3】図1に示されるユニットバスの一部を拡大した分解斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るユニットバスの部分的な構成を示す縦断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るユニットバスの構成部材である点検口蓋を表側から見た斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るユニットバスの構成部材である点検口蓋を裏側から見た斜視図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係るユニットバスの部分的な構成を示す概略的な縦断面図であり、点検口蓋の裏側での水の流れ方を説明するための概念的な図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るユニットバスの部分的な構成を示す縦断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るユニットバスの構成部材である点検口蓋を裏側から見た斜視図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係るユニットバスの部分的な構成を示す縦断面図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係るユニットバスの浴槽エプロンを浴室外側から見た斜視図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係るユニットバスの構成部材である点検口蓋が点検口から取り外された状態を示す図11に対応する斜視図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係るユニットバスの部分的な構成を示す概略的な縦断面図であり、点検口蓋の裏側での水の流れ方を説明するための概念的な図である。
【図14】本発明の第3実施形態の変形例を示す縦断面図である。
【図15】本発明の第3実施形態に係る点検口蓋の変形例を示す背面図である。
【図16】本発明の第4実施形態に係るユニットバスの部分的な構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1の実施形態>
以下、図1〜図7を参照して、本発明の第1の実施形態に係る浴室としてのユニットバス12について説明する。図1には、このユニットバス12が概略的な斜視図にて示されている。また、図2には、このユニットバス12が概略的な側面図にて示されている。なお、図1及び図2では説明の都合上、ユニットバス12の側壁の一部の図示を省略してある。
【0022】
このユニットバス12では、一方に浴槽14、他方に洗い場16が設けられており、浴槽14と洗い場16との境には浴槽エプロン18(縦壁)が形成されている。また、図2に示されるように、浴槽14と洗い場16の下側には、架台20が設けられており、ユニットバス12はこの架台20を介して建物の床面22に設置されている。
【0023】
図3に示されるように、浴槽エプロン18の幅方向一端側には、方形の点検口24が形成されている。この点検口24は、浴槽14の上面に取り付けられた混合水栓26(図2では図示省略)を点検する際や、設備器具等の取付けの際などに使用されるものであり、この点検口24を介して浴室内28(図4では浴槽エプロン18の矢印A側)と浴室外30(図4では浴槽エプロン18の矢印B側)とが連通している。この点検口24は、点検口蓋32によって塞がれるようになっている。
【0024】
点検口蓋32は、樹脂材料等によって略矩形板状に形成されたものであり、四隅にネジ孔34が形成されている(図5及び図6参照)。これらのネジ孔34は、点検口24の四隅の近傍で浴槽エプロン18に形成された4つのグロメット孔36(図3参照)に対応している。各グロメット孔36には、それぞれグロメット38が装着されており、点検口蓋32の各ネジ孔34に挿入されたネジ40が各グロメット38に螺合することで、点検口蓋32が浴槽エプロン18の浴室内28側に取り付けられる。また、各ネジ40の頭部と点検口蓋32との間には、ワッシャー42及びパッキン44(止水部材)が介在され、これらのパッキン44によって各ネジ孔34が止水される構成になっている。なお、図3以外の図では、説明の都合上、ネジ40、グロメット38、ワッシャー42及びパッキン44の図示を省略してある。
【0025】
図6に示されるように、点検口蓋32の裏側(裏面)の外周部には、ゴム等の弾性体によって長尺帯状に形成されたパッキン46(止水部材)が接着されている。このパッキン46は、点検口蓋32の裏面の外周部の全周にわたって設けられており、点検口蓋32が浴槽エプロン18に取り付けられた状態(図4図示状態、以下、単に「取付状態」という)では、点検口24の外周外側で浴槽エプロン18の表面(浴室内28側の面)に密着する。これにより、点検口蓋32と浴槽エプロン18との間がパッキン46によって止水されるようになっており、浴室内28の水が点検口24を介して浴室外30に漏れることが防止される。なお、パッキン46の浴槽エプロン18への密着状態は、各ネジ40の締め付け状態に依存するようになっており、パッキン46が十分につぶれるまで各ネジ40が締め付けられることで、パッキン46による止水性が確保されるようになっている。
【0026】
一方、点検口蓋32の中央部には、点検口蓋32の裏方向(図4では矢印B方向)へ向けて膨出した膨出部48が設けられており、点検口蓋32の中央部は表側が浅底な角皿状に窪んでいる。この膨出部48は、図4に示される取付状態では、点検口24の内側を貫通して浴室外30側へ突出するようになっており、点検口蓋32は、膨出部48を含む裏側の一部が浴室外30に露出した状態で点検口24を塞ぐようになっている。
【0027】
また、膨出部48の下側で点検口蓋32の下部側には、点検口蓋32の表方向(図4では矢印A方向)へ膨出した棚部50が設けられている。この棚部50は、図4に示される取付状態において、浴室内28側へ略水平に突出して配置されるようになっており、この棚部50の上面には、石鹸やシャンプー等を載置できるようになっている。この棚部50は中空状に形成されており、内側が水溜め部52とされている。この水溜め部52の底壁54には、円形の水排出口56(貫通孔)が形成されており、この水排出口56を介して水溜め部52と浴室内28とが連通している。なお、浴室内28の気密性が問題となる場合には、水溶性の材質の部材で水排出口56に栓をすることも可能である。
【0028】
水溜め部52は、点検口蓋32の裏側で横長に開口しており、この開口は水受け部58によって覆われている。この水受け部58は、立壁58A、底壁58B、右壁58C、及び左壁58Dを備えており、長尺な角皿を半分に切断したような形状に形成されている。立壁58Aは、水溜め部52の開口に対向しており、底壁58Bは、水溜め部52の底壁54に連続している。この水受け部58は、点検口蓋32の裏側に一体に形成されたものであり、図4に示される取付状態では、点検口24の内側を貫通して浴室外30へ突出する。この水受け部58は、膨出部48よりも点検口蓋32の裏方向(図4では矢印B方向)へ突出しており、上部の開口が膨出部48の下面に対向している。水受け部58の上端開口部の面積は、膨出部48の下面の面積よりも十分に大きく形成されており、膨出部48は、下面の全体が水受け部58によって覆われている。
【0029】
次に、図7に示される概略的な縦断面図を参照して、本第1実施形態の作用及び効果について説明する。
【0030】
本第1実施形態では、例えば点検口蓋32の浴槽エプロン18への取付け不良(例えば、ネジ40の締め付け不良など)や、パッキン46の劣化などにより、点検口蓋32の上部と浴槽エプロン18との間の隙間を通って浴室内28から点検口蓋32の裏側(浴室外30へ露出した側)へ水が流れた場合には(図6及び図7の矢印W参照)、当該水は膨出部48の表面(点検口蓋32の裏面)を伝って膨出部48の下端(点検口蓋32の下部側)へ流下した後で、水受け部58の内側に滴下又は流下する。水受け部58の内側に滴下又は流下した水は、水溜め部52の内側に溜まり、水溜め部52の底壁54に形成された水排出口56から浴室内28へ排出される。
【0031】
すなわち、本第1実施形態では、点検口蓋32と浴槽エプロン18との間の隙間を通って浴室内28から浴室外30へ流れた水が、水受け部58及び水排出口56(水戻し手段)によって浴室内28へ戻される。これにより、建物の床面22等(浴室外30)が浸水することを防止できる。
【0032】
しかも、本第1実施形態では、膨出部48の下面の全体が水受け部58によって覆われているため、膨出部48の下端へ流下した水が建物の床面22に滴下することを良好に防止することができる。
【0033】
また、本第1実施形態では、点検口蓋32の下部側に水溜め部52が設けられており、この水溜め部52と浴室内28とが水排出口56を介して連通している。このため、水排出口56からの排水量を上回る量の水が点検口蓋32の下部側へ流下してきた場合でも、水溜め部52に水が溜まることで、点検口蓋32の裏側へ水が溢れることを抑制できる。換言すれば、水排出口56を小さく形成した場合でも、点検口蓋32の裏側へ水が溢れることを抑制できるため、浴室内28の水が水排出口56を介して水溜め部52側へ逆流することを抑制できる。しかも、水排出口56が水溜め部52の底壁54に形成されているため、浴室内28で入浴時に利用されるシャワーの水などが水排出口56を介して水溜め部52側へ逆流することを防止できる。
【0034】
また、本第1実施形態では、水受け部58が点検口蓋32と一体に設けられているため、別部材を追加する場合に比べて部品点数を少なくすることができる。
【0035】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。なお、前記第1の実施形態と基本的に同様の構成・作用については、前記第1の実施形態と同符号を付与しその説明を省略する。
<第2の実施形態>
図8には、本発明の第2の実施形態に係るユニットバス(浴室)の部分的な構成が縦断面図にて示されている。また、図9には、このユニットバスを構成する点検口蓋32の裏側の構成が斜視図にて示されている。
【0036】
この実施形態は、前記第1の実施形態と基本的に同様の構成とされているが、この実施形態では、点検口蓋32の裏面(膨出部48の表面)に矩形の平板60が貼り付けられている。この平板60の外周部は、膨出部48の外周よりも外側へ突出している。これにより、膨出部48の外周には、樋状ないし溝状の案内路62が形成されている。
【0037】
この実施形態では、点検口蓋32の上部と浴槽エプロン18との間の隙間を通って浴室内28から点検口蓋32の裏側へ流れた水(図9の矢印W参照)は、案内路62に案内されて膨出部48の下端へ流下し、水受け部58の内側に滴下又は流下する。水受け部58の内側に滴下又は流下した水は、水溜め部52の内側に溜まり、水溜め部52の底壁54に形成された水排出口56から浴室内28へ排出される。したがって、前記第1実施形態と基本的に同様の効果を奏する。しかも、この実施形態では、点検口蓋32の裏側へ流れた水が案内路62によって案内されるため、ユニットバス12の下側への水の滴下を防止する上で好ましくない方向に水が流れることを防止でき、好適である。
【0038】
なお、上記第2実施形態では、点検口蓋32と別体の平板60が膨出部48の表面に貼り付けられた構成にしたが、本発明はこれに限らず、膨出部48の外周にフランジ状の立壁を一体に設ける(膨出部48の外周部を樋状に形成する)ことで、案内路を形成する構成にしてもよい。
<第3の実施形態>
図10には、本発明の第3の実施形態に係るユニットバス(浴室)の部分的な構成が縦断面図にて示されている。また、図11には、このユニットバスの浴槽エプロン18が浴室外30側から見た斜視図にて示されており、図12には、浴槽エプロン18から点検口蓋70が取り外された状態が図11に対応する斜視図にて示されている。
【0039】
この実施形態は、前記第1の実施形態と基本的に同様の構成とされており、浴槽エプロン18の点検口24が点検口蓋70によって塞がれている。この点検口蓋70は、前記第1実施形態に係る点検口蓋32と基本的に同様の構成とされているが、前記第1実施形態に係る水受け部58が省略されている。その代わりに、この実施形態では、点検口蓋70とは別体に形成された水受け部材72が浴槽エプロン18の浴室外30側に取り付けられている。
【0040】
この水受け部材72は、前記第1実施形態に係る水受け部58と同様の形状に形成されており、立壁72A、底壁72B、右壁72C、及び左壁72Dを備えている。底壁72Bの立壁72Aと反対側には、断面略コ字状の引掛け部72Eが設けられており、この引掛け部72Eが点検口24の下縁部に引っ掛かることで、水受け部材72が浴槽エプロン18に取り付けられている。
【0041】
図11及び図12に示されるように、水受け部材72の長さ寸法(横幅)は、点検口24及び膨出部48の横幅よりも十分に長く形成されており、膨出部48は、下面の全体が水受け部材72によって覆われている。
【0042】
この実施形態では、図13に示されるように、点検口蓋70の上部と浴槽エプロン18との間の隙間を通って浴室内28から点検口蓋70の裏側へ流れた水は、膨出部48の表面(点検口蓋70の裏面)を伝って膨出部48の下端へ流下した後で、水受け部材72の内側に滴下又は流下する(図9及び図13の矢印W参照)。水受け部材72の内側に滴下又は流下した水は、水溜め部52の内側に溜まり、水溜め部52の底壁54に形成された水排出口56から浴室内28へ排出される。したがって、前記第1実施形態と基本的に同様の効果を奏する。
【0043】
しかも、この実施形態では、点検口24の横幅よりも十分に横長な水受け部材72が点検口24の下縁部に取り付けられているため、浴室内28から点検口蓋70の裏側へ流れた水が点検口24の横縁を伝って点検口24の下縁側へ流下した場合(図11の矢印S参照)でも、当該水を水受け部材72によって受けることができる。これにより、浴室外30が浸水することを一層良好に防止できる。
【0044】
さらに、この実施形態では、水受け部材72が、点検口蓋70と別体に形成されるため、既存の点検口蓋70を利用して本浴室を構成することができる。したがって、既存の点検口蓋70の利用により、浴室の低コスト化を図ることができる。また、既存の浴室のメンテナンスに対応することもできる。また、水受け部材72が、点検口蓋70と別体に形成されるため、水受け部材72の大きさやデザインを自由に設計することができ、好適である。
【0045】
なお、図14に示されるように、水受け部材72の引掛け部72Eを底壁72Bの下側に設ける構成にしてもよい。この構成の場合、水受け部材72の内側に滴下又は流下した水が水溜め部52側に自然に流下するため、水受け部材72の内側に長期間にわたって水が溜まること(いわゆる死に水が発生すること)を防止できる。
【0046】
また、上記第3実施形態では、水排出口56が水溜め部52の底壁54に形成された構成にしたが、本発明はこれに限らず、水排出口の構成は適宜変更することができる。例えば、図15に示されるように、パッキン46の下部の一部を削除することで、水排出口74を形成してもよい。また、例えば、浴槽エプロン18におけるパッキン46に対向する部分に凹部を設けることで、水排出口を形成する構成にしてもよい。
<第4の実施形態>
図16には、本発明の第4の実施形態に係るユニットバス(浴室)の部分的な構成が縦断面図にて示されている。この実施形態は、前記第1の実施形態と基本的に同様の構成とされており、浴槽エプロン18の点検口24が点検口蓋80によって塞がれている。この点検口蓋80は、前記第1実施形態に係る点検口蓋32と基本的に同様の構成とされているが、前記第1実施形態に係る水受け部58が省略されている。また、この実施形態では、点検口蓋80の膨出部48の膨出高さが下部側で減少しており、膨出部48の下部側には、傾斜面82が設けられている。この傾斜面82の下端部は、浴槽エプロン18よりも浴室内28側(図16では右側)に配置されている。この傾斜面82は、水排出口56と共に水戻し手段を構成している。なお、水排出口56の代わりに、図15に示される水排出口74を採用する構成にしてもよい。
【0047】
この実施形態では、点検口蓋80の上部と浴槽エプロン18との間の隙間を通って浴室内28から点検口蓋80の裏側へ流れた水は、膨出部48の表面(点検口蓋70の裏面)を伝って膨出部48の下部側へ流下する。膨出部48の下部側へ流下した水は、傾斜面82を伝って流下した後に水溜め部52の内側に滴下又は流下し、水溜め部52の底壁54に形成された水排出口56から浴室内28へ排出される。したがって、前記第1実施形態と基本的に同様の効果を奏する。しかも、この実施形態では、前記第1実施形態に係る水受け部58や前記第3実施形態に係る水受け部材72を省略することができるため、構成の簡素化を図ることができる。
【0048】
なお、上記各実施形態では、点検口蓋32、70、80が膨出部48を備えた構成にしたが、本発明はこれに限らず、膨出部48が省略された構成、すなわち点検口蓋の裏面が平坦に形成されて浴槽エプロン18よりも浴室内28側に配置された構成にしてもよい。
【0049】
また、上記各実施形態では、点検口24が浴槽エプロン18(縦壁)に形成された構成にしたが、本発明はこれに限らず、点検口がユニットバス12(浴室)の側壁等の他の縦壁に形成された構成にしてもよい。
【0050】
以上、実施形態を挙げて本発明について説明したが、上記各実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記各実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0051】
12 ユニットバス(浴室)
18 エプロン(縦壁)
24 点検口
28 浴室内
30 浴室外
32 点検口蓋(蓋体)
48 膨出部
52 水溜め部
54 底壁
56 水排出口(水戻し手段)
58 水受け部(水戻し手段)
62 案内路
70 点検口蓋(蓋体)
72 水受け部材(水戻し手段)
74 水排出口(水戻し手段)
80 点検口蓋(蓋体)
82 傾斜面(水戻し手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室内と浴室外とを仕切る縦壁と、
前記縦壁に形成された開口と、
前記縦壁の浴室内側に取り付けられ、裏側が浴室外に露出した状態で前記開口を塞ぐ蓋体と、
前記蓋体と前記縦壁との間の隙間を通って浴室内から前記蓋体の裏側へ流れ前記蓋体の裏側を伝って前記蓋体の下部側へ流下した水を浴室内へ戻す水戻し手段と、
を備えた浴室。
【請求項2】
前記水戻し手段は、前記蓋体の下部側に設けられ、前記流下した水を受ける水受け部と、前記蓋体の下部側に設けられ、前記水受け部が受けた水を浴室内へ排出する水排出口とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の浴室。
【請求項3】
前記水戻し手段は、前記蓋体とは別体に形成されて前記縦壁に取り付けられ、前記流下した水を受ける水受け部材と、蓋体の下部側に設けられ、前記水受け部材が受けた水を浴室内へ排出する水排出口とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の浴室。
【請求項4】
前記蓋体の下部側には、前記縦壁よりも浴室内側に配置され、前記流下した水が溜まる水溜め部が設けられ、前記水溜め部と浴室内とが前記水排出口を介して連通していることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の浴室。
【請求項5】
前記蓋体の裏側には、前記開口を介して浴室外へ膨出した膨出部が設けられ、膨出部の外周には、前記蓋体の裏側へ流れた水を前記蓋体の下部側へ案内する案内路が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の浴室。
【請求項6】
浴室内と浴室外とを仕切る縦壁と、
前記縦壁に形成された開口と、
前記縦壁の浴室内側に取り付けられ、前記開口を塞ぐ蓋体と、
前記蓋体と前記縦壁との間の隙間を通って浴室内から浴室外へ流れた水を浴室内へ戻す水戻し手段と、
を備えた浴室。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−240288(P2010−240288A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94748(P2009−94748)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】