説明

浴槽へのコーナー収納箱の取付構造

【課題】浴槽全体の大型化を防止しながら、フランジ部にコーナー収納箱を収納可能にする。
【解決手段】浴槽1の上端外周に形成されたフランジ部2における壁面14側同士が交わる浴室隅部のコーナー部分2Aに、フランジ部2下方の浴槽裏側3に連通する切欠き部4を切欠加工し、該切欠き部4の平面視形状と対応する平面視外郭形状を有するコーナー収納箱5をフランジ部2上方から該切欠き部4に取り外し可能に嵌め込むようにした浴槽へのコーナー収納部材の取付構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽へのコーナー収納箱の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、浴槽にシャンプー等の入浴用品を収納する収納部を設けるにあたって、浴槽の上端外周に形成されるフランジ部のうち、洗い場とは反対側の壁面側のフランジ部の長辺全長に亘って収納部を有する縦長のカウンタを増設したもの(例えば特許文献1)や、浴槽頭側に位置するフランジ部の短辺に沿って横長の蓋付き収納部を増設したもの(例えば、特許文献2)が知られている。
【0003】
ところが上記特許文献1、2に見られる従来例では、壁面側のフランジ部或いは浴槽頭側のフランジ部よりも外方に突出するように収納部を増設しているため、浴槽全体の大型化を招くという問題がある。
【特許文献1】実開平7−24189号公報
【特許文献2】実開平7−27391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その課題とするところは、浴槽全体の大型化を防止しながら、浴槽のフランジ部の形状的に広いコーナー部分を利用してコーナー収納箱を収めることができると共に、コーナー部分における浴槽裏側のデッドスペースを有効利用できる浴槽へのコーナー収納箱の取付構造を提供することにある。さらに、コーナー収納箱内への水の流入や、コーナー収納箱と切欠き部との隙間から浴槽裏側への水の流入を防止でき、さらにコーナー収納箱内に流入した水を外部に排水可能とする浴槽へのコーナー収納箱の取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の課題を解決するために、本発明は、浴槽1の上端外周に形成されたフランジ部2における壁面14側同士が交わる浴室隅部のコーナー部分2Aに、フランジ部2下方の浴槽裏側3に臨ませて切欠き部4を切欠加工し、該切欠き部4の平面視形状と対応する平面視外郭形状を有するコーナー収納箱5をフランジ部2上方から該切欠き部4に取り外し可能に嵌め込んでなることを特徴としている。
【0006】
このような構成とすることで、切欠き部4の上方から切欠き部4に収まる形状のコーナー収納箱5を嵌め込むことによって、コーナー収納箱5が切欠き部4内に収まって外方に突出することがないため、コーナー収納箱5によって浴槽1全体の大型化を招くことがなくなると共に、コーナー部分における浴槽裏側3のデッドスペースを収納空間として有効利用できる。
【0007】
また、上記コーナー収納箱5の底面部5aに、コーナー収納箱5内部に流入した水を外部へ排出するためのドレン管6を接続するのが好ましく、この場合、仮りにコーナー収納箱5内に水が流入しても、その水は底面部5aのドレン管6から排水できるので、コーナー収納箱5内にストックされている小物浴室用品が水浸しになることがない。
【0008】
また、上記切欠き部4の切欠き木口4aに沿って木口カバー材7を覆設し、上面が開口したコーナー収納箱5の上面開口部8を上蓋9で開閉可能に覆うと共に、コーナー収納箱5の上面開口部8の外周縁を該木口カバー材7の上面に乗載することで、該上蓋9をフランジ部2上面2aよりも一段高く配置するのが好ましく、この場合、フランジ部2上面2aを伝い流れる湯水が上蓋9に達し難くなり、コーナー収納箱5の防水性を確保できると共に、木口カバー材7によってコーナー収納箱5と切欠き部4との隙間から浴槽裏側3への水の流入も防止できるようになる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明は、フランジ部の形状的に広いコーナー部分にコーナー収納箱を収めることができ、浴槽全体の大型化を招くことがなく、しかもコーナー部分における浴槽裏側のデッドスペースを有効利用できるものである。さらにコーナー収納箱を取り外した状態で切欠き部を利用して浴槽裏側の配管の点検・修理等が可能となり、メンテナンス向上を図ることが可能となる。
【0010】
請求項2記載の発明は、コーナー収納箱内に流入した水を底面部のドレン管から排水できるので、コーナー収納箱内部が水浸しになることがない。
【0011】
請求項3記載の発明は、上面開口部を上蓋で開閉するコーナー収納箱を防水構造にできると共に、木口カバー材によってコーナー収納箱と切欠き部との隙間から浴槽裏側への水の流入も同時に防止可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0013】
本実施形態の浴槽1は、図3に示すように、平面視長方形状に形成され、その上端外周に形成されたフランジ部2の一方側の長辺10が洗い場30に対向し、他方側の長辺11が洗い場30と反対側の壁面14に対向している。フランジ部2の一方側の短辺12は入浴者の頭部がくる浴槽頭側1Aに位置し、他方側の短辺13は入浴者の足部がくる浴槽足側1Bに位置している。
【0014】
上記フランジ部2の4つのコーナー部分2A〜2Dは、それぞれ形状的に広いスペースを有している。ここで、洗い場30側の2つのコーナー部分2C,2Dは、例えば浴槽1出入りの際の腰掛けスペースや、ポップアップ排水栓のような浴槽排水装置や水栓器具等の取り付けスペースとして活用できるが、一方、洗い場30とは反対側の壁面14側同士が交わる浴室隅部の2つのコーナー部分2A,2Bは活用できる用途はなく、そのうえこれらコーナー部分2A(2B)の下方の浴槽裏側3はそれぞれ広いデッドスペースとなっている。
【0015】
本発明においては、フランジ部2の壁面14側のコーナー部分2A,2Bのいずれか一方に、浴槽1側に向かって平面視円弧状に切欠き部4が切欠加工されている。図1の例では、切欠き部4は、浴槽足側1Bに位置するフランジ部2の短辺13と、壁面14側に位置するフランジ部2の長辺11とのなすコーナー部分2Aに切欠加工されているが、コーナー部分2Bに切欠き部4を設けてもよい。図3中の15は切欠き部4の切欠き木口4aに沿わせてフランジ部2下面に設けられる補強用リブであり、フランジ部2の強度確保が図られる。
【0016】
上記切欠き部4の切欠き木口4aにはその全長に亘って、図1、図2に示す円弧状の木口カバー材7が覆設されている。木口カバー材7は、防水性及び防湿性を有する材料で断面コ字状に形成され、切欠き部4の切欠き木口4aに対して横方向から嵌め込んだ状態でその上片7aがフランジ部上面2aに隙間なく密着している。
【0017】
上記切欠き部4には、掃除用具やシャンプー等の小物浴室用品をストックするためのコーナー収納箱5が嵌め込まれる。コーナー収納箱5の上面開口部8は取手(図示せず)を備えた上蓋9にて開閉自在とされる。コーナー収納箱5の平面視外郭形状は、切欠き部4の平面視形状と対応する同一形状、寸法に形成されている。本例では、平面視円弧状に曲成された前面部16と平面視で直交する背面部17と側面部18とを有する平面視扇形状に形成されており、前面部16が切欠き部4の木口カバー材7と同じ曲率で曲成され、背面部17がフランジ部2の長辺11の延長線上に配置され、側面部18がフランジ部2の短辺13の延長線上に配置されることで、切欠き部4内からコーナー収納箱5が外方にはみ出すことなくぴったりと納まるようにしている。また本例のコーナー収納箱5の前面部16の上端には、図2(b)に示すように、木口カバー材7の上片7aに乗載されるつば部19が突設されており、つば部19が木口カバー材7の上片7aに乗ることで、コーナー収納箱5の上面開口部8を開閉する上蓋9がフランジ部上面2aよりも上方に一段高く配置される。
【0018】
なお本例では、コーナー収納箱5の背面部17及び側面部18の上端にもつば部20(図2a)が設けられ、壁面14に取り付けた壁面支持具21にて該つば部20を支持するようにしている。
【0019】
上記コーナー収納箱5の底面部5aには、コーナー収納箱5内部に流入した水を外部に排水するためのドレン管6が取り付けられている。ドレン管6は例えば浴槽1内の水を排水する外部排水管に分岐接続されている。
【0020】
しかして、上記構成によれば、フランジ部2の壁面14側のコーナー部分2Aに切欠き部4を形成し、切欠き部4の上方からコーナー収納箱5を嵌め込むことによって、コーナー収納箱5が切欠き部4内に収まるため浴槽1全体の大型化を招くことがなくなる。また、コーナー収納箱5の上端外周のつば部19,20が木口カバー材7及び壁面支持具21にてそれぞれ支持された状態で、コーナー収納箱5の略全体がフランジ部2下方の浴槽裏側3に収納保持されるようになる。さらに、コーナー部分における浴槽裏側3のデッドスペースをコーナー収納箱5の収納空間として有効活用することができる。そのうえ切欠き部4の下面に設けられる補強用リブ15によって切欠き部4の強度を確保していると共に、コーナー収納箱5の背面部17及び側面部18を浴室の壁面14に固定した壁面支持具21にて支持しているので、コーナー収納箱5の支持強度を確保できるものである。
【0021】
しかも、上記切欠き部4はフランジ部2の浴槽足側1Bの短辺13と壁面14側の長辺11とのなすコーナー部分2Aに設けられているので、切欠き部4に収納されるコーナー収納箱5が浴槽足側1Bに位置するようになり、入浴者にとって圧迫感をなくすことができる。
【0022】
また、コーナー収納箱5の上面開口部8を上蓋9にて開閉可能に覆うと共に、木口カバー材7によって上蓋9をフランジ部上面2aよりも上方に一段高い位置に納めるようにしたので、フランジ部上面2aを伝い流れる湯水が上蓋9に達し難くなり、結果、上蓋9と上面開口部8との隙間からコーナー収納箱5内部への水の流入を効果的に防止できるようになる。しかも、防水性及び防湿性を有する木口カバー材7によってコーナー収納箱5の前面部16上端のつば部19と切欠き部4の切欠き木口4aとの間隙が埋められるようになり、さらに壁面14側に取り付けた壁面支持具21にてコーナー収納箱5の背面部17上端及び側面部18上端と壁面14との間隙が埋められるようになるので、コーナー収納箱5と壁面14との隙間から浴槽裏側3への水の流入も確実に防止できる構造となる。万一、上蓋9と上面開口部8との隙間からコーナー収納箱5内部に水が流入した場合でも、コーナー収納箱5の底面部5aに設けたドレン管6から排水されるので、流入した水がコーナー収納箱5内部に溜まることがなく、従って、コーナー収納箱5内にストックされている小物浴室用品が水浸しになることもない。
【0023】
また本例ではコーナー収納箱5の上蓋9の上面を、小物置きスペースや風呂蓋(巻き蓋)置きスペースとして活用できる利点もある。なお上蓋9は開閉式に限らず、着脱式であってもよい。
【0024】
一方、配管の点検等を行なう場合は、コーナー収納箱5を切欠き部4から取り外す。このとき上蓋9に取手を設けておくことにより、取り外しが容易となる。このとき開放される切欠き部4がフランジ部2下方の浴槽裏側3に開放されるので、点検口として利用できる。つまり、従来技術で述べた特許文献1、2等に開示された収納部は取り外しができず、点検口としての機能は備わっていないが、本発明ではコーナー収納箱5を嵌め込むための切欠き部4が点検口としても機能するので、洗い場30から離れた壁面14側からの配管の点検・修理等が可能となり、メンテナンス性を向上させることができる効果も得られる。
【0025】
前記切欠き部4は、フランジ部2の壁面14側のコーナー部分2A又は2Bのいずれか一方に設けてもよいが、両方に設けてもよい。
【0026】
また前記実施形態では切欠き部4の平面視形状を円弧状とし、コーナー収納箱5を平面視扇形状としたが、これらの形状以外に例えば切欠き部4の平面視形状を三角形状或いは四角形とし、これに合わせてコーナー収納箱5の平面視外郭形状を対応させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態の浴槽へのコーナー収納部材の取付構造を説明する分解斜視図である。
【図2】(a)は同上のコーナー収納箱の取り付け状態を説明する側面断面図、(b)は(a)のE部の拡大断面図である。
【図3】同上の浴槽と洗い場とを説明する平面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 浴槽
2 フランジ部
2A コーナー部分
2a フランジ部上面
3 浴槽裏側
4 切欠き部
4a 切欠き木口
5 コーナー収納箱
5a 底面部
6 ドレン管
7 木口カバー材
8 上面開口部
9 上蓋


【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の上端外周に形成されたフランジ部における壁面側同士が交わる浴室隅部のコーナー部分に、フランジ部下方の浴槽裏側に臨ませて切欠き部を切欠加工し、該切欠き部の平面視形状と対応する平面視外郭形状を有するコーナー収納箱をフランジ部上方から該切欠き部に取り外し可能に嵌め込んでなることを特徴とする浴槽へのコーナー収納箱の取付構造。
【請求項2】
上記コーナー収納箱の底面部に、コーナー収納箱内部に流入した水を外部へ排出するためのドレン管を接続したことを特徴とする請求項1記載の浴槽へのコーナー収納箱の取付構造。
【請求項3】
上記切欠き部の切欠き木口に沿って木口カバー材を覆設し、上面が開口したコーナー収納箱の上面開口部を上蓋で開閉可能に覆うと共に、コーナー収納箱の上面開口部の外周縁を該木口カバー材の上面に乗載することで、該上蓋をフランジ部上面よりも一段高く配置したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の浴槽へのコーナー収納箱の取付構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−142610(P2010−142610A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326524(P2008−326524)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】