説明

浴槽エプロン構造

【課題】上方に外すためのスペースを設ける必要がなく、また、前方に障害物があっても良好に着脱できる作業口蓋を設けた浴槽エプロン構造を提供する。
【解決手段】エプロン2の作業口Hに着脱可能に作業口蓋3が嵌め込まれ、作業口Hの内周上縁には内周上縁傾斜部2aが形成され、作業口蓋3の外周上縁には外周上縁傾斜部3dが形成され、作業口蓋3が上方へ押し上げられた時に、内周上縁傾斜部2aに沿って外周上縁傾斜部3dがスライドして、作業口蓋3の上端側が手前側へ外れるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽に設けられるエプロンの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽のエプロンに作業口を設け、この作業口に着脱可能に作業口蓋が取り付けられたものが存在し、作業口蓋は手前に引いて外すように構成されている場合と、特許文献1に開示されているように、上にスライドさせて取り外すことができるように構成されたものとがある。
【特許文献1】特開2001−17337号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
作業口蓋を手前に引いて外す構造では、作業口蓋を手前に引く際の手掛かりが必要となり、また、手前側に障害物がある場合には、作業口蓋の着脱が困難となるという問題点があった。
また、特許文献1に開示されているように、上にスライドさせて外す構造では、作業口の上方にスペースが必要となり、上方スペースを確保せねばならないという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、作業口蓋を手前に引っ張らなくても手前側に外すことができ、しかも上方に外すためのスペースを設ける必要のない浴槽エプロン構造を提供するものであり、その請求項1は、作業口を有し、該作業口には着脱可能に作業口蓋が嵌め込まれてなる浴槽エプロンにおいて、前記作業口の内周上縁と前記作業口蓋の外周上縁の少なくとも一方側には、前記作業口蓋が上方へ押し上げられた時に、該作業口蓋の上縁を手前側へスライドさせることのできる傾斜部が設けられていることである。
【0005】
また請求項2は、前記作業口蓋の下端側は、該作業口蓋の上端が手前側へ回転できるようにエプロンに掛止されていることである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、作業口を有し、該作業口には着脱可能に作業口蓋が嵌め込まれてなる浴槽エプロンにおいて、前記作業口の内周上縁と前記作業口蓋の外周上縁の少なくとも一方側には、前記作業口蓋が上方へ押し上げられた時に、該作業口蓋の上縁を手前側へスライドさせることのできる傾斜部が設けられていることにより、作業口蓋を上方へ押し上げると、傾斜部を介して斜めにスライドして作業口蓋が手前側に外れることとなり、作業口蓋を手前に引っ張らなくても手前に外すことができ、しかも上方には外すためのスペースを設ける必要がないものとなる。
【0007】
また、前記作業口蓋の下端側は、該作業口蓋の上端が手前側へ回転できるようにエプロンに掛止されていることにより、作業口蓋の下端側をエプロンに上方から差し込むことで、作業口蓋の上端側を斜めにスライドさせて固定することができ、エプロンのコーナー部にも良好に作業口蓋を取り付けることができ、また、エプロン下方で前方に障害物があっても作業口蓋の着脱が可能なものとなる。
【実施例】
【0008】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、浴槽エプロンの要部構成図であり、浴槽1の洗い場側にはエプロン2が取り付けられており、このエプロン2には作業口蓋3が着脱可能に嵌め込まれている。この作業口蓋3は、図2の縦断面拡大構成図で示すような構造で、エプロン2に形成されている作業口Hに嵌め込まれて取り付けられている。
【0009】
図2において、エプロン2の作業口Hの内周上縁には、表面側から裏側に下傾状に傾斜して内周上縁傾斜部2aが形成されており、また、作業口Hの内周下端には、略水平状に表側から裏側へ内周下縁水平部2bが形成されている。
一方、作業口蓋3は、前片3aの外周に裏側へ折り曲げて側片3bが一体形成されており、上端側の外周上縁には前片3aから側片3bの裏側に向かって下傾する外周上縁傾斜部3dが形成されている。
また、前片3aの下部部位には裏側へ凹み状に手を掛けることのできる手掛け凹部3cが形成されている。
【0010】
なお、作業口Hの上部部位には、一対の上受け金具5,5がエプロン2側に固定されており、また、エプロン2の作業口H内の下部部位には、一対の下受け金具6,6が固設されている。また、作業口蓋3の裏側の上部部位には、一対の上掛止金具7,7が固設されており、また、作業口蓋3の裏側の下部部位には、一対の下掛止金具8,8が固設されている。
【0011】
このような構成において、図2に示すように、作業口蓋3がエプロン2の作業口Hに嵌め込まれた状態から、手掛け凹部3c内に指を入れて作業口蓋3を上方へ押し上げることにより、エプロン側の内周上縁傾斜部2aに沿って作業口蓋3の外周上縁傾斜部3dがスライド移動して、作業口蓋3の上端側が自然に手前側に外れることとなり、作業口蓋3を上方へ押し上げるだけで良好に作業口蓋3を手前側に外すことができるものとなる。
従って、このような構造では、手前下部側に障害物がある場合でも良好に作業口蓋3を外すことができ、また、作業口蓋3を外すためのスペースをエプロン作業口内の上方に設ける必要がなく、良好に作業口蓋3を外すことができるものとなる。
【0012】
また、逆に、作業口Hに作業口蓋3を嵌め込む際には、先ず下受け金具6に下掛止金具8が載るように、上方側から作業口蓋3の下端を先ず嵌め込み、その状態で作業口蓋3の上端側を後方側へ略水平に押すことで、内周上縁傾斜部2aに沿って作業口蓋3の外周上縁傾斜部3dが斜め下方へスライドし、自然に上受け金具5に上掛止金具7が載せられて係合されることとなり、この状態で作業口蓋3の前片3aがエプロン2とほぼ面一状に作業口Hに嵌め込まれるものであり、上下方向の移動量は極めて少ないために、手前側から良好に作業口蓋3を作業口Hに嵌め込むことができるものとなる。
【0013】
次に、図3は、作業口蓋3がエプロン2のコーナー側下部部位に取り付けられている場合の斜視構成図であり、図4は、この作業口蓋3の取付状態の縦断面構成図である。
なお、この場合、図5の要部拡大図で示すように、エプロン2の作業口Hを形成する作業口内周立壁2cには、略水平に突出状にダボ9が形成されており、このダボ9に作業口蓋3の裏側下端に固設された下掛止金具8を掛止できるように構成されており、作業口Hの上端側には上受け金具5が固設され、また、この上受け金具5に係合する上掛止金具7が作業口蓋3の裏側上端部に固設されている。
なお、下掛止金具8は、作業口蓋3の裏側に固定される固定片8aと、この固定片8aの上端から逆U字状に湾曲した逆U字片8bで構成されており、この逆U字状片8bをダボ9に嵌め込み状に掛止できるものである。
【0014】
図4においても、作業口Hの内周上端には内周上縁傾斜部2aが形成されており、これに対応した傾斜状の外周上縁傾斜部3dが作業口蓋3の上端に形成されている。
このような構造では、作業口蓋3の手掛け凹部3c内に指を入れて作業口蓋3を上方へ押し上げると、内周上縁傾斜部2aに沿って作業口蓋3の外周上縁傾斜部3dが手前側へ斜めにスライドして、作業口蓋3の上端側が手前側に外れ、その状態で作業口蓋3の下端側をダボ9を中心として回転させて、良好に作業口蓋3を斜め手前側に傾斜させながら作業口Hから外すことができ、手前下方に障害物がある場合でも良好に外すことができるものとなる。
【0015】
また、作業口蓋3を作業口Hに嵌め込む時には、上方側から作業口蓋3の下端側の下掛止金具8をダボ9に嵌め込んで、作業口蓋3の上端を作業口Hに略水平状態に押し込むことで、内周上縁傾斜部2aに沿って作業口蓋3の外周上縁傾斜部3dがスライド状態で嵌め込まれ、上受け金具5と上掛止金具7が係合されるものであり、作業口蓋3の取り付けも極めて容易に行えるものである。
【0016】
次に、図6で示すものは、図3に示すようなコーナー側下部部位に設けられる作業口蓋3の下端側を変更したものであり、エプロン2の作業口Hにはダボ9が突出されており、このダボ9に作業口蓋3の下端側を回転可能に差し込んで取り付けるために、作業口蓋3の下端側には裏側へ突出してボス部3eが一体形成され、このボス部3eにビス10を介して下掛止金具8を固定しておくことができ、この下掛止金具8は、ビス10から略垂直に下方に延びる垂下片8cと、垂下片8cの下端で裏側へ湾曲したガイド片8dからなる単純な板状の金具で構成されている。
【0017】
図6に示すように、作業口蓋3の下端を上方側から僅かに斜めにしてガイド片8dをダボ9に沿わせて下方側へ差し込むことで、下掛止金具8の垂下片8cがダボ9の裏側に嵌まり込み、この状態で作業口蓋3の上端側を作業口Hに略水平に押し込むことで、内周上縁傾斜部2aに沿って外周上縁傾斜部3dが裏側へ向かってスライドして、良好に作業口Hに嵌め込まれることとなり、また作業口蓋3を取り外す際には、作業口蓋3を上へ押し上げることで、上端側が手前側にスライドして外れ、この状態でダボ9を支点として回転させて、良好に作業口蓋3を取り外すことができるものとなる。
つまり、前方下部に障害物があっても、良好に作業口蓋3を着脱できるものとなる。
【0018】
なお、図7は変更例を示すものであり、図7の縦断面図で示す構造では、エプロン2の作業口Hの内周には、上縁側および下縁側にそれぞれ水平状の内周上縁水平部2dおよび内周下縁水平部2bが形成されており、作業口蓋3の上端にのみ外周上縁傾斜部3dが形成されたものである。
このように、作業口蓋3の上端のみに外周上縁傾斜部3dを形成させておいても、手掛け凹部3c内に指を入れて作業口蓋3を上方へ持ち上げることで、良好に外周上縁傾斜部3dがエプロン2に沿って斜めにスライドし、作業口蓋3を手前側に外すことができるものである。
なお、作業口蓋3の下端は、作業口Hの内周下縁水平部2bに嵌め合わせできる略水平な下縁水平片3fとしておくことができる。
【0019】
次に、図8の縦断面拡大図で示すものは、逆にエプロン2の作業口Hの内周上端側に傾斜状に内周上縁傾斜部2aを形成させたものであり、この図8のような構造でも、手掛け凹部3cに指を入れて作業口蓋3を上方へ押し上げることで、内周上縁傾斜部2aに沿って良好に作業口蓋3の上端側が手前側に外れるものとなり、作業口蓋3を手前側に引っ張らなくても良好に手前側に外すことができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施例の作業口蓋を有する浴槽エプロンの設置状態の要部斜視構成図である。
【図2】図1における作業口蓋の取付状態の縦断面拡大構成図である。
【図3】作業口蓋をコーナー側に設けたエプロンの設置状態の要部斜視構成図である。
【図4】図3における作業口蓋の取付状態の縦断面構成図である。
【図5】図3におけるエプロンの作業口にダボを設けた要部拡大斜視構成図である。
【図6】作業口蓋の裏側下部に設けられる下掛止金具の変更例の拡大縦断面構成図である。
【図7】作業口蓋の上端側にのみ傾斜部を設けた場合の取付状態の縦断面構成図である。
【図8】作業口の上端側にのみ傾斜部を形成させた場合の取付状態の縦断面構成図である。
【符号の説明】
【0021】
1 浴槽
2 エプロン
2a 内周上縁傾斜部
2b 内周下縁水平部
2c 作業口内周立壁
2d 内周上縁水平部
3 作業口蓋
3a 前片
3b 側片
3c 手掛け凹部
3d 外周上縁傾斜部
3e ボス部
5 上受け金具
6 下受け金具
7 上掛止金具
8 下掛止金具
8a 固定片
8b 逆U字状片
8c 垂下片
8d ガイド片
9 ダボ
10 ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業口を有し、該作業口には着脱可能に作業口蓋が嵌め込まれてなる浴槽エプロンにおいて、前記作業口の内周上縁と前記作業口蓋の外周上縁の少なくとも一方側には、前記作業口蓋が上方へ押し上げられた時に、該作業口蓋の上縁を手前側へスライドさせることのできる傾斜部が設けられていることを特徴とする浴槽エプロン構造。
【請求項2】
前記作業口蓋の下端側は、該作業口蓋の上端が手前側へ回転できるようにエプロンに掛止されていることを特徴とする請求項1に記載の浴槽エプロン構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−181574(P2007−181574A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−1912(P2006−1912)
【出願日】平成18年1月6日(2006.1.6)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】