説明

浴槽断熱構造

【課題】浴槽を充分に保温しつつ施工時やメンテナンス時において支障なく作業を行うことができる浴槽断熱構造を提供する。
【解決手段】浴槽2の外面に沿って変形性及び復元性を有する断熱材3が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浴槽断熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
浴槽用の断熱材としては一般的に発泡スチロール製の断熱材が用いられる。例えば特許文献1には浴槽の外側面に発泡スチロール製の断熱材を貼着することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−61372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のように浴槽の外面に設けられた断熱材は、浴槽を施工する際や、設置状態において、浴槽と床パンの間や、浴槽と躯体壁との間等の比較的狭いスペースに配置される。このため、施工時やメンテナンス時には断熱材が邪魔になり、作業に支障をきたす恐れがある。また、この点は断熱材を薄くすることで改善できるが、このように断熱材を薄くすると浴槽を充分に保温することが困難になる。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであって、浴槽を充分に保温しつつ施工時やメンテナンス時において支障なく作業を行うことができる浴槽断熱構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の浴槽断熱構造は、浴槽の外面に沿って変形性及び復元性を有する断熱材が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明にあっては、施工時やメンテナンス時においては断熱材を変形させることで、浴槽と床パンの間等の比較的狭いスペースにおいても断熱材が邪魔になり難い。従って、断熱材を厚くして浴槽の保温性を高めつつ、施工時やメンテナンス時において支障なく作業が行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態の断熱浴槽の設置状態を示す断面図である。
【図2】同上の断熱浴槽の斜視図である。
【図3】同上の断熱浴槽の設置状態を示す斜視図である。
【図4】同上の断熱浴槽のメンテナンス時において断熱材が手で変形した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を添付図面に基づいて説明する。図1乃至図4に示す本実施形態の断熱構造を適用した断熱浴槽1は、洗い場の床を構成する床パン4や、図示しない天井パネル、壁パネル等と併せて浴室ユニットを構成するものである。
【0010】
図1及び図2に示すように断熱浴槽1は浴槽2と浴槽2の外面に沿って設けられた面状の断熱材3とで構成されている。なお、図面では浴槽2の外周面のうち洗い場側の外側面に設けられた断熱材3のみが図示されているが、実際には断熱材3は浴槽2のその他の外側面にも設けられる。すなわち、浴槽2の外周面は略全体が断熱材によって覆われている。また、必要に応じて浴槽2の下面にも図示しない断熱材が設けられる。
【0011】
図1及び図3に断熱浴槽1の設置状態を示す。図に示すように設置面5上には床パン4と支持フレーム6が高さ調節できるようアジャスターボルト7を介して並べて設置され、このうちの支持フレーム6上に断熱浴槽1が設置されている。また、床パン4の断熱浴槽1側の端縁上には点検口9が形成された取付枠8が立てた状態で設けられ、この取付枠8により断熱浴槽1側と床パン4側とが仕切られている。なお、図3では断熱材3の図示を省略している。
【0012】
取付枠8の洗い場側には図示しないエプロンが着脱自在に取り付けられる。取付状態におけるエプロンは、床パン4の断熱浴槽1側の縁部から浴槽2の洗い場側のフランジ部分10までを覆う。また、エプロンが取付枠8から取り外された状態では、点検口9が洗い場側に露出する。このため、床パン4上に居る人は点検口9を介して断熱浴槽1の外面に設けられた配管やジェットバス等の付属装置のメンテナンスを行えるようになる。
【0013】
ここで、浴槽2に設けられた断熱材3は吸音材として用いられる綿材からなり、吸音性に加えて変形性及び復元性を有している。なお、変形性及び復元性を有する断熱材3とするのは、浴槽2の外周面全体に設けられる断熱材であってもよいし、浴槽2の外周面のうち、施工の際や施工状態において狭いスペースに配置されることが予想される箇所の一部に設けられる断熱材であってもよい。さらに浴槽2の下面にも断熱材3を設ける場合は、浴槽2の外面全体に設けられる断熱材3を変形性及び復元性を有するものとしてもよい。部分的に変形性及び復元性を有する断熱材を設ける場合の例としては、図1,図2等に示すように浴槽2の洗い場側に臨む外側面のみを変形性及び復元性を有する断熱材3で構成することが挙げられる。
【0014】
このように本実施形態では、浴槽2の外面に沿って設けられる断熱材3が変形性及び復元性を有している。このため、作業者の体の一部が一時的に断熱材3に当たった場合には、断熱材3が弾性的に変形した後、元の状態に復元する。従って、例えば図4に示すように浴槽2下の配管12をメンテナンスする際には、点検口9に通した手13で浴槽2と床パン4の間に配置された断熱材3を圧縮変形させて断熱材3と床パン4の間に形成された隙間11を広げることができる。この場合、前記隙間11を通して浴槽2下側に手13を伸ばしたり、浴槽2下側を視認することができ、メンテナンス作業を支障なく行うことができる。
【0015】
また、隙間11から手13を抜いて断熱材3に力が加わらない状態になると、前記変形した断熱材3は自己の復元力により変形前の元の形状に復元する。この場合、圧縮変形された断熱材3は変形前の元の厚みまで復元するので、断熱材3が薄くなることで断熱性能が低下することを防止できる。また、浴槽2の施工時等において作業者の体の一部が断熱材3に当たって断熱材3が壊れたりすることも防止できる。
【0016】
なお、本実施形態では断熱材3を綿材で構成したが、断熱材3は弾性変形可能な連続発泡材等の弾性部材で構成してもよい。また、変形性及び復元性を有する断熱材3は浴槽2の外面に直接設けてもよいし、発泡スチロール製等の変形性及び復元性を有さない断熱材を浴槽2の外面に取り付け、この上に変形性及び復元性を有する断熱材3を設けてもよい。
【符号の説明】
【0017】
2 浴槽
3 断熱材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の外面に沿って変形性及び復元性を有する断熱材が設けられたことを特徴とする浴槽断熱構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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