説明

浴槽水循環用浄水器

【目的】 家庭用浴槽の水を連結してあるボイラー内を循環させて沸かす際、水を循環しながら浄化すると共に、ボイラー内の加熱管及び浴槽の付着物の除去、付着の抑制をして、水の節約、熱エネルギーの有効利用を計る。
【構成】 浴槽1からボイラー2へ水を循環させる循環流出穴3に挿嵌して使用する浄水器において、水の循環経路のボイラー側開口端に網体9を嵌着した筒体5の浴槽側開口端に、網体6と不織布8を重合して構成した複合フイルター7を着脱自在に嵌装し、その内部に結合剤を使用せずにアルミナボールに酸化チタンを約2000℃で低温溶射して焼成した小粒状のチタン系光半導体セラミックスボール10を充填したことを特徴としている。

【考案の詳細な説明】
【0001】
[産業上の利用分野]
本考案は、ボイラーに連結し循環しながら湯を沸かす家庭用浴槽に使用し、加熱時の循環を利用して水を清浄化する浄水器に関する。
【0002】
[従来の技術]
従来、浴槽の水をボイラー内に循環させ、加熱しながら循環する水を浄化する浄水器は多種あるが、いずれも濾化材として不織布、活性炭等を使用したもので、濾化、脱臭、殺菌効果を包含する浄化能力及び浄化持続性において満足するものでは無かった。近年、水処理用セラミックスが開発され普及し、その中でも、表面を酸化チタン処理した半導体セラミックスが利用されつつあるが、従来のチタン系半導体セラミックスは、酸化チタン粉末と結合剤との混合液をアルミナボールに塗布し、次に高温で焼成し結合剤を除去していたので被膜が多孔性となり、平滑な連続性の被膜が形成されなかった。従って、酸化チタン被膜は緻密ではなく、水処理用に使用する場合、水との接触率が高まる直径15mm以下の小粒化したチタン系半導体ボールにすることは難しく、浄化能力及びコスト面に問題があり、家庭用浴槽水の浄水剤として利用されることが少なかった。
【0003】
[考案が解決しようとする課題]
上述の通り酸化チタン被膜を形成した半導体セラミックスボールは、過去の水処理剤に比較すると浄化能力は極めて有効であるが、酸化チタン被膜を緻密化しかつ小粒化することに種々の問題があり、直径が15mm以上であるため水との接触率が低く、水処理用小形浄水器の濾材として利用し浄化能力を向上するには、コスト高の問題と共に浄水効果の面でも多くの課題が残されていた。
【0004】
[課題を解決するための手段]
本考案は、新たに開発されたチタン系光半導体セラミックスボールを濾材として循環加熱する家庭用浴槽水の循環濾化に利用した浄水器である。即ち、本考案は、循環流出穴と循環流入穴によりボイラーに連結される浴槽において、浴槽からボイラーへ水を循環させる循環流出穴に挿嵌して使用する浄水器に関し、ボイラー側開口端に網体を嵌着した筒体の浴槽側開口端に、網体と不織布を重合して構成した複合フイルターを着脱自在に嵌装し、その内部に、結合剤を使用せずにアルミナボールに酸化チタンを約2000℃で低温溶射して焼成したセラミックス複合材料である、直径5mm程度の小粒状のチタン系光半導体セラミックスボールを充填したことを特徴とする浄水器である。
【0005】
[作用]
図1及び図2により本考案の作用を説明する。浴槽1からボイラー2に循環する水は、循環流出穴3からボイラー2内に入り熱交換器により加熱されて循環流入穴4から浴槽1内に還流される。循環流出穴3に挿嵌されて固定した本考案は、筒体5の浴槽側に嵌装された複合フイルター7で、網体6により水中に浮遊する毛髪やタオル屑を除去し、不織布8により水中に含有される人体の排泄物の垢、脂肪などを除去する。次に、内部の小粒状のチタン系光半導体セラミックスボール10の間隙を通過する際、人体から排出されて水中に含有される汚濁物質をイオン吸着して除去し、同時に脱臭、殺菌作用により通過する水を浄化する。浄化された水はボイラー2に入り、加熱されて循環流入穴4から浴槽1に返るが、通過の際にイオン化されて<ボイラーの加熱管内の付着物を除去すると共に、汚濁物質の付着を抑制しながら循環流入穴4に返り、浴槽1内の水と合流して浴槽1内の湯垢等の付着を抑制し、再び循環流出穴3に入る。この循環を繰り返すので、浴槽1内の水は入湯温度に上昇するまで本考案による浄水器を幾度も通過し循環しながら浄化され、同時にボイラーの加熱管や浴槽も清浄化される。
【0006】
この際、本考案が浄水充填材として筒体5の内部に充填するチタン系光半導体セラミックスボール10は、酸化チタンを結合剤無しで直接的にアルミナボールに酸化チタンを低温溶射し、酸化チタン被膜は緻密に形成されているから半導体性が極めて良好である。実験結果によれば、水中の陰イオン(OH−1、CO2−、Clなど)から電子を正孔に取り入れ、その電子は光や周囲の熱エネルギーを得て伝導電子に変わり、この伝導電子は水中に供給されて溶存酸素に移される。伝導電子を得た溶存酸素は、イオン交換による汚濁物質の吸着、脱臭、殺菌作用と共に酸化を抑制する。この他、半導体を介する電子の出入りにより水のPH、溶存酸素量(DO)、酸化還元電位(ORP)も変わるが、飲用に供されいいるアルカリイオン水よりも遥かに小さい衛生上安全域の変化である。
【0007】
[実施例]
図1及び図2に示す実施例について説明する。浴槽1とボイラー2を循環させるために循環流出孔3と循環流入孔4を設け、本考案に係る浄水器の筒体5は図2に示す通り、浴槽1からボイラー2へ水を循環させる循環流出孔3に挿嵌し固定する。筒体5には、図1に示す通りボイラー側開口端に網体9を嵌着すると共に、浴槽側開口端に網体6と不織布8を重ね合わせて構成した複合フイルター7を着脱自在に嵌装する。網体6は入浴中の接触による不織布8の損傷を防護すると共に、毛髪やタオル屑などの粗ゴミを除去し、不織布8は人体から排泄された垢などを濾化する。筒体5の内部には、循環しながら加熱される水に伝導電子を供給し、通過する水をイオン吸着により濾化、脱臭、殺菌して浄化し、かつ、通過した水をイオン化してボイラーの加熱管内や浴槽を清浄化するため、結合剤を使用せずに小粒状のアルミナボールに酸化チタン(TiO)を約2000℃で低温溶射して焼成した直径5mm程度のチタン系光半導体セラミックスボール10を水が通過できるように多数充填する。
【0008】
[考案の効果]
本考案は、浴槽とボイラーを循環する水が加熱される過程で、繰り返し水を通過させながら筒体の入口側の複合フイルターで、毛髪、タオル屑などの粗ゴミや人体から排泄つされた垢、脂肪などを除去して濾化し、筒体内の浄水用充填材として使用するチタン系光半導体セラミックスボールが電子を水中に供給することにより、イオン吸着、酸化抑制等の作用で水中に含有される有害、発臭源となる汚濁物質を除去し、同時に脱臭、殺菌して水を浄化する。また、通過する水がイオン化されることにより、循環の繰り返し過程において、ボイラーの加熱管内及び浴槽内の付着物の除去及び付着抑制ができる。従って、浴槽水は清浄化されて永持ちし水資源の節約となり、かつ、湯の再利用及びボイラーの熱効率による省熱エネルギーできる実効を有する。また、充填材、濾化材は湯水に溶けないので消耗せず、充填材の表面に付着する水中の浮遊微粒子の除去は年1回程度の水洗で済むので維持費がかからず、ボイラー及び浴槽の保守、管理が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の1実施例の縦断面図である。
【図2】本考案の使用状態を示す概略図である。
【符号の説明】
1 浴槽
2 ボイラー
3 循環流出穴
4 循環流入穴
5 筒体
6 網体
7 複合フイルター
8 不織布
9 網体
10 チタン系光半導体セラミックスボール

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 浴槽1からボイラー2へ水を循環させる循環流出穴3に挿嵌して使用する濾過器において、ボイラー側開口端に網体9を嵌着した筒体5の浴槽側開口端に、網体6と不織布8を重合して構成した複合フイルター7を着脱自在に嵌装し、その内部に結合剤を使用せずにアルミナボールに酸化チタンを約2000℃で低温溶射して焼成した小粒状のチタン系光半導体セラミックスボール10を充填したことを特徴とする浴槽水循環用浄水器。

【図1】
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【図2】
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