説明

浴槽用循環具

【課題】弾性変形部が補強されて耐久性を有すると共に、構成を簡単にでき、製造効率を向上させ、製造コストの低減を図ることができる浴槽用循環具を提供する。
【解決手段】浴槽用循環具のアダプター16外面に装着されるフィルターカバーの内周面には径方向内側に突出する係合突起が設けられ、アダプター16の外周部にはアダプター本体16aに片持ち支持されて周方向に延び径方向に弾性変形する弾性変形部41が設けられる。該弾性変形部41の外周面には軸線方向に延び前記係合突起を案内する案内溝44と、軸線方向に延びる係止突条45と、保持溝46と、前記係合突起の抜け出しを規制するために周方向に延びる規制片47及び軸線方向に延びる規制突条48とが設けられる。そして、弾性変形部41とアダプター本体16aとの間には、くの字状をなし、ばね性を有する補強リブ49が一体的に架設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽の側壁に取付けられ、浴槽水を外部の給湯器を介して循環させる配管を浴槽に接続し、浴槽水を循環して加熱するための浴槽用循環具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の浴槽用循環具においては、浴槽の側壁に設けられた貫通孔に浴槽内から挿通された締付筒体が浴槽外の外部筒体に締付けられて側壁に固定されている。該締付筒体内には、浴槽水の吸入用通路及び給湯器で加熱された加熱水を浴槽内へ吐出する吐出用通路が区画形成されたアダプターが挿入されて固定されている。該アダプターの外面には、ごみなどの異物が吸入用通路に入り込まないようにするためのフィルターカバーが装着されている。一般に、該フィルターカバーの内面に設けられる凸部とアダプターに設けられる凸部とがアダプターに形成される弾性変形部の変形により係止され、フィルターカバーの抜け止めが行われている。しかし、浴槽用循環具を掃除するためにフィルターカバーの脱着を繰返し行うと、弾性変形部が次第に変形したり、損傷を受けたりするという問題があった。
【0003】
このような問題を解決するための方策が検討されている。具体的に説明すると、フィルターカバー(フィルタ部材)は、該フィルターカバーの凸部と、アダプター(アダプタヘッド)の係止凸部とを係合させて抜け止め保持されている(例えば特許文献1を参照)。すなわち、フィルタ部材の内周面には内方に突出する凸部が設けられ、アダプタヘッドの外周面には弾性変形することによりフィルタ部材の凸部が通過可能な係止凸部を有するステンレス鋼製の板バネが弾性変形可能に取り付けられている。
【特許文献1】特許第3709796号公報(第1頁、第4頁及び第6頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載されている浴槽用循環具では、アダプタヘッドの板バネが塑性変形を防止するためにステンレス鋼で形成されていることから、この板バネをアダプタヘッドに組付ける作業が非常に面倒であると共に、作業時間が長くなって製造効率が悪く、製造コストも嵩むという欠点があった。
【0005】
そこで本発明の目的とするところは、弾性変形部が補強されて耐久性を有すると共に、構成を簡単にでき、製造効率を向上させ、製造コストの低減を図ることができる浴槽用循環具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の浴槽用循環具は、浴槽の側壁に貫通された状態で固定され、外部の給湯器と浴槽内との間で浴槽水の循環を行わせるための浴槽用循環具である。そして、浴槽の側壁に設けられた貫通孔に浴槽内から挿通された状態で浴槽外の外部筒体に締付けられて側壁に固定される締付筒体と、該締付筒体内に挿入されて固定され、浴槽水の吸入用通路及び給湯器で加熱された加熱水を浴槽内へ吐出する吐出用通路が区画形成されたアダプターとを備え、該アダプターの外面にはフィルターカバーが装着され、該フィルターカバーの内周面には径方向内側に向かって突出する係合突起が設けられると共に、アダプターの外周部にはアダプター本体に片持ち支持されて周方向に延び径方向に弾性変形する弾性変形部を備え、該弾性変形部の外周面にはフィルターカバーの係合突起を案内、保持する案内保持部を設け、かつ弾性変形部とアダプター本体との間にばね性を有する補強リブを一体的に架設したことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る浴槽用循環具は、請求項1において、前記補強リブは、くの字状をなしていることを特徴とする。
請求項3に係る浴槽用循環具は、請求項1又は請求項2において、前記補強リブは、くの字状を形成する一対のリブ片が端部で連結されて構成され、両リブ片の内側のなす角度は鋭角に設定されていることを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る浴槽用循環具は、請求項1から請求項3のいずれか1項において、前記補強リブは薄片状に形成されていることを特徴とする。
請求項5の浴槽用循環具は、請求項1から請求項4のいずれか1項に係る発明において、前記補強リブは、弾性変形部の先端側とアダプター本体との間に設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項6の浴槽用循環具は、請求項3から請求項5のいずれか1項に係る発明において、前記補強リブは、一対のリブ片の連結部における断面形状が内面では鋭角状に形成され、外面では円弧状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に係る浴槽用循環具においては、吸入用通路と吐出用通路が区画形成されたアダプターの外周部には、アダプター本体に片持ち支持されて周方向に延び径方向に弾性変形する弾性変形部が設けられ、該弾性変形部と前記アダプター本体との間にはばね性を有する補強リブが一体的に架設されている。このため、弾性変形部の弾性変形が補強リブにより補強されて弾性変形部の耐久性を向上させることができる。また、補強リブは、従来のステンレス鋼製の板バネとは異なり、弾性変形部及びアダプター本体と同一材質で一体的に形成することができるため、構成を簡単にでき、製造効率を向上させ、製造コストの低減を図ることができる。
【0011】
請求項2の浴槽用循環具では、補強リブはくの字状をなしている。このため、請求項1に係る発明の効果に加えて、補強リブの変形(屈曲)を容易に行うことができる。
請求項3の浴槽用循環具では、補強リブは、くの字状を形成する一対のリブ片が端部で連結されて構成され、両リブ片の内側のなす角度は鋭角に設定されている。このため、請求項1又は請求項2に係る発明の効果に加えて、補強リブの屈曲が容易で、弾性変形部の弾性変形を安定した状態で円滑に行うことができる。
【0012】
請求項4の浴槽用循環具では、補強リブは薄片状に形成されていることから、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果に加えて、補強リブの変形が一層容易で、弾性変形部の弾性変形をさらに円滑に行うことができる。
【0013】
請求項5の浴槽用循環具では、補強リブは弾性変形部の先端側とアダプター本体との間に設けられていることから、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明の効果に加えて、弾性変形部の弾性変形を有効に受け止めることができる。
【0014】
請求項6の浴槽用循環具では、補強リブは、前記一対のリブ片の連結部における断面形状が内面では鋭角状に形成され、外面では円弧状に形成されている。このため、請求項3から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加えて、補強リブの内面形状により補強リブの屈曲を容易にできると共に、補強リブの外面形状により補強リブの耐久性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の最良と思われる実施形態につき、図面に基づいて詳細に説明する。
図5(a)及び(b)に示すように、本実施形態の浴槽用循環具11は、浴槽の側壁12に設けられた貫通孔13に内側から挿入される締付筒体14と、側壁12の外部に配設される外部筒体15と、前記締付筒体14に挿入固定されるアダプター16と、該アダプター16に装着されるフィルターカバー17とを備えている。本実施形態の浴槽用循環具11は有極性のものであり、給湯器からの配管18及び給湯器への配管19(図6(b)を参照)と、浴槽用循環具11の吐出用開口部38に連通する接続口22及び吸入用開口部37に連通する接続口20とがそれぞれ接続されるように予め定められている。
【0016】
図5(a)、(b)及び図6(a)、(b)に示すように、前記外部筒体15は黄銅などの金属又はポリフェニレンサルファイド(PPS)などの合成樹脂からなり、その後端部(図6(a)の左端部)には、浴槽外部に配設された給湯器の強制循環配管の配管19に接続される接続口20及び配管18に接続される接続口22が設けられている。接続口22の内周には、Oリング24が嵌め込まれている。外部筒体15の開口端部内周面には雌ねじ部25が螺刻されている。外部筒体15の開口端部にはフランジ部26が設けられると共に、そのフランジ部26にはシール材27が被せられ、側壁12の外側面との間の水密が確保されている。
【0017】
締付筒体14はポリアセタール等の合成樹脂により円筒状に形成され、その前端部(図5(a)及び(b)の右端部)にはフランジ28が突設されている。締付筒体14の外周面には雄ねじ部29が螺刻され、その雄ねじ部29が前記外部筒体15の雌ねじ部25に螺合され、締付筒体14と外部筒体15とが浴槽の側壁12を挟んで連結固定されるようになっている。締付筒体14の内周面には軸線方向に延びる複数の回り止め突条30が設けられている。フランジ28の外周面には環状係合溝31が凹設されている。該フランジ28と側壁12の内側面との間にはゴム製のパッキン32が挟着され、両者間の水密が確保されている。
【0018】
アダプター16はポリアセタール等の合成樹脂により略円筒状に形成され、その前端部の内周面には周方向に延びる抜け防止爪33(図4(c)を参照)が突設され、前記締付筒体14の環状係合溝31に係合されるようになっている。これらアダプター16の抜け防止爪33と、締付筒体14の環状係合溝31との係合により、アダプター16の抜け出しが防止されるようになっている。
【0019】
図1(a)〜(c)に示すように、アダプター16の中心部には、前記外部筒体15の中心部に設けられた接続口22に接続される吐出用通路34が設けられ、その周囲には外部筒体15の接続口20に接続される吸入用通路35が設けられている。これらの吸入用通路35と吐出用通路34との間には、水の流れを仕切る区画壁36が設けられている。吸入用通路35の前方には吸入用開口部37が設けられるとともに、吐出用通路34の前方にはその方向が90度変更された(図1(b)の下方向)吐出用開口部38が設けられている。アダプター16の前部には位置決め用の係合突条40が周方向に複数設けられ、前記締付筒体14の回り止め突条30に係合してアダプター16の周方向への回転が規制されている。
【0020】
図2(a)及び(b)に示すように、アダプター16の外周部には、図2(b)の右端部のアダプター本体16aに片持ち支持されて周方向左方に延び、径方向に弾性変形する弾性変形部41が突設されている。係る弾性変形部41の外周面にはフィルターカバー17の係合突起43を案内、保持する案内保持部60が設けられている。該案内保持部60は、アダプター16の軸線方向に延び係合突起43を案内する案内溝44と、該案内溝44に周方向の隣接位置で軸線方向に延びる係止突条45と、該係止突条45に周方向の隣接位置で形成される保持溝46と、周方向に延びる規制片47及び軸線方向に延びる規制突条48とより構成されている。そして、フィルターカバー17の係合突起43は案内溝44から係止突条45を乗り越え、保持溝46に到ることでその位置に保持され、抜け出しが規制される。前記係止突条45の頂部は、フィルターカバー17の係合突起43が係止突条45を乗り越えやすいように断面円弧状に形成されている。ここで、案内溝44の中央に位置する位置合せ溝44aは、案内溝44より深く、軸線方向に延びる帯状に形成され、フィルターカバー17の係合突起43との位置合せ(目印)に使用するようになっている。なお、この位置合せ溝44aの部分を赤く塗るなどして判別しやすくすることもできる。
【0021】
弾性変形部41の先端部とアダプター本体16aとの間には、くの字状(断面くの字状)をなし、ばね性を有する薄片状の補強リブ49が一体的に架設されている。該補強リブ49は係合突起43により弾性変形部41から最も力を受けやすい弾性変形部41の前端部(フィルターカバー17側端部)に設けられ、その機能を有効に発揮できるようになっている。また、補強リブ49は弾性変形部41の基端側に凸となるように構成され、弾性変形部41及びアダプター本体16aに対する補強リブ49の接続部をできるだけ弾性変形部41の先端側に設けることができる。このため、弾性変形部41の弾性変形を安定した状態で行うことができる。当該補強リブ49は、射出成形法などの成形方法によりアダプター本体16a及び弾性変形部41と一体的に形成される。
【0022】
当該補強リブ49は、くの字状を形成する一対のリブ片49a、49bが端部で連結されて構成され、両リブ片49a、49bの内側のなす角度は鋭角、例えば40°に設定され、弾性変形部41の弾性変形を支えて耐久性を図ると共に、補強リブ49が変形(屈曲)しやすく、弾性変形部41の弾性変形を補助するように構成されている。上記角度は30〜60°程度が好ましく、40°が最も好ましい。この角度が30°より小さい場合又は60°より大きい場合には、補強リブ49の付勢力が弱くなって弾性変形部41の支持、補強が不十分となる。また、前記一対のリブ片49a、49bの連結部50における断面形状が内面では鋭角状に形成され、外面では円弧状に形成され、その内面形状により補強リブ49の屈曲を容易にし、外面形状により補強リブ49の耐久性を高めるようになっている。
【0023】
補強リブ49の厚さは、例えば0.7mm程度に設定される。この厚さは0.5〜2.5mmであることが好ましい。厚さが0.5mmを下回ると、補強リブ49が薄くなり過ぎてその付勢力が弱く、弾性変形部41を十分に支持、補強することができなくなる。その一方、2.5mmを上回ると、補強リブ49が厚くなり過ぎて屈曲し難くなり、弾性変形部41の弾性変形が困難になる。
【0024】
前記アダプター16の前部にはステンレス鋼製のフィルターカバー17が装着されている。図3(a)〜(d)に示すように、フィルターカバー17は有底円筒状をなし、多数の流通孔51を有する前面板52と、その周囲から後方へ延びる周壁板53とより一体形成されている。周壁板53の内周面には3箇所にほぼ半球状をなす係合突起43が突設され、前記アダプター16の案内溝44に位置合せして嵌め込んでからフィルターカバー17を周方向に回動させ、係止突条45を乗り越えて保持溝46に位置させることにより、フィルターカバー17の周方向及び軸線方向への動きを規制するように構成されている。図3(c)及び(d)に示すように、フィルターカバー17の周壁板53の1箇所には挿通孔54が開口され、前記アダプター16の吐出用開口部38に連通されるようになっている。
【0025】
上記のように構成された浴槽用循環具11を浴槽の側壁12に取付固定する場合には、図5(a)に示すように、浴槽の側壁12に設けられた貫通孔13に内側から締付筒体14をパッキン32を嵌挿した状態で挿通し、その雄ねじ部29を側壁12の外側に配設された外部筒体15の雌ねじ部25に螺合して締付け固定する。次いで、アダプター16の吸入用通路35を締付筒体14内に挿入するようにしてアダプター16の抜け防止爪33を締付筒体14の環状係合溝31に係合させる。このようにして、吸入用通路35が外部筒体15の接続口20に接続されると共に、吐出用通路34が外部筒体15の接続口22に接続される。
【0026】
続いて、フィルターカバー17をアダプター16に固定することにより、浴槽用循環具11が図5(b)に示すように構成される。そして、外部筒体15の接続口20を配管19に、接続口22を配管18に、それぞれ接続する。その状態で、浴槽外の給湯器で浴槽水を循環させると、浴槽水はフィルターカバー17の前面から吸い込まれ、吸入用開口部37を通って吸入用通路35に流れ、さらに配管19を経て給湯器へと流れる。給湯器で加熱された加熱水は配管18から吐出用通路34を介して吐出用開口部38からフィルターカバー17の挿通孔54を経て浴槽内へ吐出される。
【0027】
次に、本実施形態の浴槽用循環具について作用を説明する。
さて、フィルターカバー17をアダプター16に装着する場合には、図4(a)に示すように、フィルターカバー17の係合突起43をアダプター16の弾性変形部41の案内溝44に位置合せし、フィルターカバー17をアダプター16側に押圧して嵌め込む。続いて、図4(b)に示すように、フィルターカバー17を周方向(図中左方向)に回動させ、係合突起43をアダプター16の係止突条45に当接させる。
【0028】
次いで、図4(c)に示すように、フィルターカバー17を周方向にさらに回動させると、係合突起43は係止突条45上に乗り上げる。このとき、弾性変形部41は径方向内側へ押圧されるため、弾性変形部41はその基端部を中心に先端部が径方向内側へ弾性変形する。それと同時に、補強リブ49は弾性変形部41の弾性変形により径方向内側へ付勢され、その一対のリブ片49a、49bが近づくように屈曲する。このため、弾性変形部41の弾性変形が補強リブ49により支持、補強される。従って、フィルターカバー17のアダプター16への脱着を繰返し行っても、十分に耐えることができる。
【0029】
次に、図4(d)に示すように、フィルターカバー17を周方向にさらに回動させると、係合突起43は弾性変形部41の保持溝46に誘導される。係合突起43が保持溝46に到ると、弾性変形部41の係止突条45、規制突条48及び規制片47により係合突起43はその位置に位置決め保持される。その場合、弾性変形部41は径方向内側への押圧力が開放されるため、元の位置まで戻る。このとき、補強リブ49は弾性変形部41からの付勢力によって径方向内側へ付勢されていたため、弾性変形部41を元に戻す方向に付勢する。従って、弾性変形部41の弾性変形を安定した状態で行わせることができる。このようにして、アダプター16へのフィルターカバー17の装着が完了する。
【0030】
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 実施形態における浴槽用循環具11では、アダプター16の外周部には、アダプター本体16aに片持ち支持されて周方向に延び径方向に弾性変形する弾性変形部41が設けられ、該弾性変形部41とアダプター本体16aとの間にはばね性を有する補強リブ49が一体的に架設されている。
【0031】
このため、弾性変形部41の弾性変形が補強リブ49により補強されて弾性変形部41の耐久性を向上させることができる。また、補強リブ49は、従来のステンレス鋼製の板バネとは異なり、弾性変形部41及びアダプター本体16aと同一材質で一体的に形成することができるため、構成を簡単にでき、製造効率を向上させ、製造コストの低減を図ることができる。
【0032】
前記補強リブがくの字状をなしていることにより、その屈曲を容易に行うことができる。
・ 前記補強リブ49は、くの字状を形成する一対のリブ片49a、49bが端部で連結されて構成され、両リブ片49a、49bの内側のなす角度は鋭角に設定されることにより、補強リブ49の屈曲が容易で、弾性変形部41の弾性変形を安定した状態で円滑に行うことができる。
【0033】
・ 補強リブ49は薄片状に形成されることにより、補強リブ49の変形が一層容易で、弾性変形部41の弾性変形をさらに円滑に行うことができる。
・ 補強リブ49は弾性変形部41の先端側とアダプター本体16aとの間に設けられていることにより、弾性変形部41の弾性変形を有効に受け止めることができる。
【0034】
・ 補強リブ49は、前記一対のリブ片49a、49bの連結部50における断面形状が内面では鋭角状に形成され、外面では円弧状に形成されることにより、補強リブ49の内面形状により補強リブ49の屈曲を容易にできると共に、補強リブ49の外面形状により補強リブ49の耐久性を向上させることができる。
【0035】
・ 補強リブ49を設けたことにより、成形時に弾性変形部41の規制片47におけるひけなどによる弾性変形部41の変形を防止することができる。
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
【0036】
・ 図7(a)に示すように、補強リブ49のリブ片49a、49bの連結部50の内側に断面矩形状(凹状)の切欠き55を形成することができる。このように構成した場合、補強リブ49の屈曲を容易にすることができる。
【0037】
・ 図7(b)に示すように、補強リブ49のリブ片49a、49bの連結部50の内側に断面円弧状の切欠き56を形成することができる。この場合、補強リブ49の屈曲を容易にすることができる。
【0038】
・ 図7(c)に示すように、補強リブ49のリブ片49a、49bを基端側が厚く、連結部50側が薄くなるようにテーパ状に形成することができる。この場合、補強リブ49の強度を保持しつつ、屈曲を容易にすることができる。
【0039】
・ 前記補強リブ49の幅は弾性変形部41の幅に到るまで適宜設定することができ、弾性変形部41の幅の半分又は弾性変形部41と同じになるように設定することも可能である。
【0040】
・ 前記補強リブ49を弾性変形部41の先端側に凸となるように構成することもできる。
・ 前記補強リブ49を、断面W状、断面波状などのばね性を有する形状に構成することも可能である。
【0041】
・ 浴槽用循環具11としては、給湯器からの配管18及び給湯器への配管19と、浴槽用循環具11の接続口22及び接続口20との接続が定められていない無極性のタイプのものを使用することもできる。
【0042】
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記補強リブは、弾性変形部の基端側に凸となるように形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の浴槽用循環具。このように構成した場合、請求項1から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加えて、弾性変形部及びアダプター本体に対する補強リブの接続部をできるだけ弾性変形部の先端側に設けることができ、弾性変形部の弾性変形を安定した状態で行うことができる。
【0043】
・ 前記補強リブは、弾性変形部のフィルターカバー側端部に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の浴槽用循環具。このように構成した場合、請求項1から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加えて、補強リブの機能を最も有効に発揮することができる。
【0044】
・ 前記案内保持部は、アダプターの軸線方向に延びフィルターカバーの係合突起を案内する案内溝と、該案内溝に周方向の隣接する位置で軸線方向に延びる係止突条と、該係止突条に周方向の隣接する位置で形成される保持溝と、前記案内溝及び係止突条を通って保持溝に案内された前記係合突起の抜け出しを規制するために周方向に延びる規制片及び軸線方向に延びる規制突条とより構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の浴槽用循環具。このように構成した場合、請求項1から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加え、フィルターカバーの係合突起は案内溝から係止突条を乗り越えて保持溝に到り、その位置で保持される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】(a)はアダプターを示す左側面図、(b)はアダプターを示す断面図及び(c)はアダプターを示す右側面図。
【図2】(a)はアダプターの弾性変形部を拡大して示す平面図及び(b)はアダプターの弾性変形部及び補強リブを拡大して示す正面図。
【図3】(a)はフィルターカバーを示す左側面図、(b)はフィルターカバーを示す断面図、(c)はフィルターカバーを示す右側面図及び(d)はフィルターカバーを示す底面図。
【図4】(a)〜(d)は浴槽用循環具の作用を説明するための図であって、アダプターを示す左側面図。
【図5】(a)は浴槽用循環具を分解して示す断面図、(b)は浴槽用循環具の組付け状態を示す断面図。
【図6】(a)は組付け状態の浴槽用循環具を示す正面図及び(b)は浴槽用循環具の左側面図。
【図7】(a)〜(c)は本発明の別例を示す図であって、アダプターの弾性変形部及び補強リブを拡大して示す正面図。
【符号の説明】
【0046】
11…浴槽用循環具、12…側壁、13…貫通孔、14…締付筒体、15…外部筒体、16…アダプター、16a…アダプター本体、17…フィルターカバー、34…吐出用通路、35…吸入用通路、41…弾性変形部、43…係合突起、49…補強リブ、49a、49b…リブ片、50…連結部、60…案内保持部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の側壁に貫通された状態で固定され、外部の給湯器と浴槽内との間で浴槽水の循環を行わせるための浴槽用循環具であって、
浴槽の側壁に設けられた貫通孔に浴槽内から挿通された状態で浴槽外の外部筒体に締付けられて側壁に固定される締付筒体と、該締付筒体内に挿入されて固定され、浴槽水の吸入用通路及び給湯器で加熱された加熱水を浴槽内へ吐出する吐出用通路が区画形成されたアダプターとを備え、該アダプターの外面にはフィルターカバーが装着され、該フィルターカバーの内周面には径方向内側に向かって突出する係合突起が設けられると共に、アダプターの外周部にはアダプター本体に片持ち支持されて周方向に延び径方向に弾性変形する弾性変形部を備え、該弾性変形部の外周面にはフィルターカバーの係合突起を案内、保持する案内保持部を設け、かつ弾性変形部とアダプター本体との間にばね性を有する補強リブを一体的に架設したことを特徴とする浴槽用循環具。
【請求項2】
前記補強リブは、くの字状をなしていることを特徴とする請求項1に記載の浴槽用循環具。
【請求項3】
前記補強リブは、くの字状を形成する一対のリブ片が端部で連結されて構成され、両リブ片の内側のなす角度は鋭角に設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の浴槽用循環具。
【請求項4】
前記補強リブは薄片状に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の浴槽用循環具。
【請求項5】
前記補強リブは、弾性変形部の先端側とアダプター本体との間に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の浴槽用循環具。
【請求項6】
前記補強リブは、一対のリブ片の連結部における断面形状が内面では鋭角状に形成され、外面では円弧状に形成されていることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の浴槽用循環具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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