浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置
【課題】I形およびL形の両仕様に対応でき、部材選択ミス等の発生を招くおそれのない浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置を提供する。
【解決手段】浴槽Tの側壁外面に設けられる槽外取付部材71を備え、その槽外取付部材71は、浴槽Tの側壁外面に固定される槽外取付部材本体710と、この槽外取付部材本体710内の流路の後端ポート部710a,710bに連通して後壁から突出する外管接続部720A,720Bとから構成されており、前記外管接続部720A,720Bは、管軸に対して交差する方向に沿って傾斜した接合面721a,722aを存在させて基端部721側と先端部722側とに2分割され、先端部722側を基端部721側に対してI形仕様対応状態とL形仕様対応状態とを選択して接合できるように構成されている。
【解決手段】浴槽Tの側壁外面に設けられる槽外取付部材71を備え、その槽外取付部材71は、浴槽Tの側壁外面に固定される槽外取付部材本体710と、この槽外取付部材本体710内の流路の後端ポート部710a,710bに連通して後壁から突出する外管接続部720A,720Bとから構成されており、前記外管接続部720A,720Bは、管軸に対して交差する方向に沿って傾斜した接合面721a,722aを存在させて基端部721側と先端部722側とに2分割され、先端部722側を基端部721側に対してI形仕様対応状態とL形仕様対応状態とを選択して接合できるように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、浴槽側壁に貫通状態で取り付けられて、浴槽外に設置されている給湯機に配管接続するために使用される浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置の関する。
【背景技術】
【0002】
近年、浴槽の給湯システムでは、浴槽外に設置されている給湯機で沸かした温水を浴槽内に送る湯張り機能と、浴槽内の温水を吸い込んで給湯機に送り、該給湯機で兼加熱して高温水として浴槽内に戻す追い焚き機能とを備えるものが多く普及している。
【0003】
そして、このような給湯システムでは、外部の給湯機との間の循環流路の配管のために浴槽側壁に給湯口アダプタが浴槽の側壁を貫通状態で取り付けられる。
【0004】
前記給湯口アダプタは、所定の流路形成を行う流路形成ユニットを浴槽の側壁部内面側に取り付ける槽内取付部材と、浴槽側壁を挟んで槽外取付部材とを備えており、この槽外取付部材における外管接続部に前記給湯機からに配管である外管が接続されるようになっている。
【0005】
槽外取付部材は、一般に、合成樹脂等で筒形に形成された本体と、この本体における一対の後端ポート部に連通する外管接続部が該本体の背面壁から外方へ突出する状態で一体形成されている(例えば、特許文献1参照)、
【特許文献1】特開平11−337186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この種の配管においては、槽外取付部材における外接続部が本体の後端ポート部から管軸に沿って真っ直ぐ突出している仕様、いわゆるI形仕様を採用して該外管接続部に給湯機からの外管を接続する場合と、槽外取付部材における外接続部が本体の後端ポート部から管軸に対して略直角に曲がった方向へ延びる仕様、いわゆるL形仕様を採用して該外管接続部に給湯機からの外管を接続する場合との二つがある。
【0007】
しかし、従来の槽外取付部材では、外管接続部の突出する状態が前記I形仕様に対応したものと、L形仕様に対応したものとに個別に製作されていたので、予めこれら2種のものを用意しなければならないうえ、施工あたってこれら2種のものの選択を誤ると、施工作業が大幅に遅れてしまうといった問題を起きるおそれがあった。
【0008】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、一種類の槽外取付部材でI形およびL形の両仕様に対応でき、用意する部材点数を削減できるとともに、部材選択ミス等の発生を招くおそれのない浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、以下の手段によって解決される。
【0010】
(1)浴槽の側壁外面側に設けられる槽外取付部材を備え、浴槽の内部と外部との間で流路を形成するようにした浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置において、
前記槽外取付部材は、前記浴槽の側壁外面側に固定される槽外取付部材本体と、この槽外取付部材本体内の流路の後端ポート部に連通するとともに、該槽外取付部材本体の後壁から突出する外管接続部とから構成されており、
前記外管接続部は、前記後端ポート部の管軸に対して交差する方向に沿って傾斜した接合面を存在させて基端部側と先端部側とに2分割されるとともに、この外管接続部が前記後端ポート部の管軸に沿った方向へ突出する状態で先端部側の傾斜接合面を基端部側の傾斜接合面に接合したI形仕様対応状態と、この外管接続部が前記後端ポート部の管軸に対して屈曲する状態で先端部側の傾斜接合面を前記基端部側の傾斜接合面に接合したL形仕様対応状態とが選択可能に構成されていることを特徴する浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置。
【0011】
(2)前記先端部および基端部の両傾斜接合面は、後端ポート部の管軸に対する交差角度が45°に設定されている前項1に記載の浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置。
【0012】
(3)前記外管接続部は、互いに並列状に配置された一対のものが互いに基部側で連結されている前項1または2に記載の浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置。
【0013】
(4)前記外管接続部の基端部における傾斜接合面が、その接合面に直交する方向に延びる直線状部を介して基端部に設けられるとともに、先端部における傾斜接合面が、その接合面に直交する方向に延びる直線状部を介して先端部に設けられる前項1〜3のいずれか一つの項に記載の浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置。
【0014】
(5)前記外管接続部における基端部および先端部には、それぞれ各接合面回りのフランジが形成されている前項1〜4のいずれか一つの項に記載の浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置。
【0015】
(6)前記基端部側のフランジと先端部側のフランジとがねじ止めで結合されている前項5に記載の浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置。
【0016】
(7)前記基端部側のフランジと先端部側のフランジとが、両フランジを径方向から弾性的に抱持し、且つ管軸方向から挟持するクイックファスナーで結合されている前項5に記載の浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置。
【発明の効果】
【0017】
前項(1)に記載の発明によれば、槽外取付部材における外管接続部が槽外取付部材本体の後端ポート部の管軸に対して交差する方向に沿って傾斜した接合面を存在させて基端部側と先端部側とに2分割されているから、前記先端部が後端ポート部の管軸に沿った方向へ突出するように該先端部の傾斜接合面を後端部の接合面に接合・結合すれば、いわゆるI形仕様に対応でき、また、前記先端部が後端ポート部管軸に対して屈曲して突出するように該先端部の傾斜接合面を後端部の接合面に接合・結合すれば、いわゆるL形仕様に対応できる。
【0018】
つまり、外管接続部形状が異なる2種類の槽外取付部材を用意しなくても、上記I形仕様とL形仕様に対応できるので、部材点数が削減され、管理しやすくなり、しかも、I形用とL形用とを取り違えるといったミスを招くおそれはが解消される。
【0019】
前項(2)に記載の発明によれば、両傾斜接合面における後端ポート部の管軸に対する交差角度が45°であるので、外管接続部をL形仕様に対応するように接続した場合、先端部が基端部に対して90°の角度で屈曲した状態となる。
【0020】
前項(3)に記載の発明によれば、外管接続部が、互いに並列状に配置された一対のものが互いに基部側で連成されているから、一対のものの各先端部を各基端部に対する接合を速やかに行うことができる。
【0021】
前項(4)に記載の発明によれば、前記外管接続部における基端側と先端部側の接合部位を挟む管軸方向の両側部位が直線状部で構成されているので、十分なスペースが確保されて、基端側と先端部側との接合・結合作業が支障なく行える。
【0022】
前項(5)に記載の発明によれば、外管接続部における基端部と先端部とを両フランジを介して確実に結合できる。
【0023】
前項(6)に記載の発明によれば、外管接続部における基端部と先端部とをねじ止めで堅固に結合できる。
【0024】
前項(7)に記載の発明によれば、外管接続部における基端部と先端部とをクイックファスナーで速やかに結合できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は、この発明に係る浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置を示す一部破断平面図、図2は、同じく浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置を示す分解斜視図、図3は、浴槽用給湯口アダプタにおける流路形成ユニットの分解斜視図である。
【0027】
なお、この実施形態における浴槽用給湯アダプタにおける外管接続装置は、浴槽外に設置されている給湯機(図示せず)からの温水を浴槽T内に供給する湯張り(貯湯)機能と、浴槽T内の温水を給湯機に吸い込んで加熱した高温水を浴槽T内に戻す追い焚き機能とを備えた浴槽給湯システムに適用するものであり、いわゆる無極タイプとして、給湯機に繋がる往き管と戻り管に対する接続が逆になっても同じ機能が得られるようになっている。
【0028】
図1および図2において、この外管接続装置が適用された給湯口アダプタAは、浴槽Tの内部と外部との間で所定流路を形成する流路形成ユニット10と、流路形成ユニット10を該浴槽Tの側壁Taの内面側に取り付ける槽内取付部材72と、前記浴槽Tの側壁Taの外面側に配備されて、槽内取付部材72を浴槽Tに固定する槽外取付部材71と、フィルタ部材73との4つの主要部品の他に、槽外側のリング状パッキング81、Oリング82、槽内側のリング状パッキング83、リング状滑りシート84および流路形成ユニット10の回り止め用ロックピン85等の付属部品で構成されている。
【0029】
前記流路形成ユニット10は、既述の無極タイプとして流路を形成するものであり、例えば硬質合成樹脂で成形された円盤部1aの中央後面側に流路分岐部1b(図5参照)および流路筒部1cが一体形成されたユニット本体1と、前記円盤部1aの前面に嵌着される前板2と、前記円盤部1aの中央弁部における弁座枠31と、流路分岐部1bに配置されたゴム板からなる第1および第2の弁体32A,32Bとを備えている。
【0030】
前記ユニット本体1の円盤部1aの周縁上半部には、前方へ突出して突縁部11が一体形成されており、この突縁部11に係止して装着される前板2と前記円盤部1aの前面との間で区画室10aが構成されている。
【0031】
図3〜図6に示すように、ユニット本体1の円盤部1aにおける中央部には、弁部3を構成する開口部12が形成され、この開口部12が縦隔壁13と左右の横桟14,14によって上下左右の流路孔15a〜15dに4分割されている。
【0032】
そして、左側上下の流通孔15a,15bは、後方外側へ開放される一方、右側上下のの流路孔15c,15dは、流路分岐部1bの縦隔壁13を直線部とする半円形の連絡室10b(図5参照)を経て後部の円筒状流路筒部1c内に連通している。
【0033】
また、下側左右の流通孔15b,15dには、それぞれ開口縁の左右部および下辺部と中間のリブにより、前面側に臨む第1および第2吐出弁座33a,33bが形成されている。
【0034】
弁座枠31は、ユニット本体1の開口部12の上部側に前方から嵌着することにより、後方側に臨む第1および第2吸込弁座34a,34bを構成するものであり、外形が略半円形の硬質合成樹脂等からなり、上側左右の流路孔15a,15cのそれぞれに対応する左右一対の流路窓31a・・・を有するとともに、頂部と左右両端部とに突起状の当接片31bが形成され、また、下縁の中央部と左右両側に取付孔31c・・・が形成されている。
【0035】
第1および第2の弁体32A,32Bは、ユニット本体1の開口部12を左右に分割した各形状に対応しており、上半部が第1および第2吸込弁35a,35bとしてそれぞれ上側左右の流通孔15a,15cに嵌入されるサイズに形成される一方、下半部が第1および第2吐出弁36a,36bとして下側左右の流通孔15b,15dの第1および第2吐出弁座33a,33bに嵌合するサイズに形成されている。そして、両弁体32A,32Bの上下方向の中間部には、左右両側の取付孔32a,32aと、その間の横方向のリブ32bとが設けられている。
【0036】
そして、ユニット本体1側には、図3に示すように、左右の横桟14,14の各両端部に前方へ突出するピン14aが形成されており、このピン14aを前記弁体32A,32B側の取付孔32aおよび弁座枠31側の取付孔31cにそれぞれ圧入することにより、これら弁体32A,32および弁座枠31がユニット本体1の円盤部1aに装着される。
【0037】
また、ユニット本体1の円盤部1aの前面側には、下部の左右両側の直線部を内側にした弓形の凸部からなるセパレータ部4A,4Aの他に、上側突縁部11の左右内縁側に係止ピン11bや前板受け片16bが形成されている。
【0038】
前記係止ピン11bを前板2側の複数の孔2bに圧入させて該前板2がユニット本体1の円盤部1aの前面側に対向して装着される。
【0039】
さらに、ユニット本体1には、その中央上部に位置してロックピン挿通用のピン孔17が形成されている。また、円盤部1aの突縁部の頂端近傍に前方へ開く切欠部18が形成されており、さらに、円盤部1aの後面側には、図6およびお図7にも示すように、全周にわたる後方突縁部11cが一体形成され、その内周面には、係止突起19が周方向へ等配して形成されている。
【0040】
前記前板2は、図3に示すように、前記ユニット本体21の円盤部1aに対応した円形に形成されており、その上半部には、上段側の左右の流路孔15a,15cに対向する領域に多数の小孔からなる吸込孔20・・・が貫通形成されている。さらに、円盤部1aの両側縁部には、ユニット本体1の各係止ピン11bに圧入される係止孔2b,2bが形成されている。また、前板2の周縁の2個所には、ユニット本体1側の各係止溝11aの入口部となる切欠2cが形成されている。
【0041】
上記ピン孔17にロックピン85を挿通させることにより、流路形成ユニット10の回り止めが行われるようになっている。
【0042】
また、図8に示すように、前板2の後面側には、ピン孔17の位置から左右両側へ円弧状に延びる円弧隔壁リブ21,21、ピン孔17から真下に直線的に延びる縦隔壁リブ22、縦隔壁22の中間部と左右両端の円弧隔壁リブ21,21の間を繋ぐ横隔壁リブ23,23、各横隔壁リブ23から外向き斜め下方へ分岐した吐出ガイドリブ24,24、左右両側の円弧隔壁リブ21,21における横隔壁リブ23との接合部よりも下方部分に外側に対向する弧状の導出ガイドリブ25,25がそれぞれ突設されている。
【0043】
また、前板2の後面側には、ユニット本体1側のセパレータ部4A,4Aに対応する弓形の浅い凹部27,27が形成され、さらに、ユニット本体1側の第1および第2吐出弁座33a,33bの下縁部との対向位置には、直線状V字溝29,29(図8)が設けられている。
【0044】
流路形成ユニット10は、第1および第2弁体32A,32Bと弁座枠31を装着したユニット本体1の円盤部1aに対し、前板2の係止孔2b,2bにユニット本体1側の係止ピン11b,11bを挿入して該前板2を内嵌係止させることにより、該円盤部1aと前板2との間で既述した区画室10aを構成したものである。
【0045】
この区画室10aでは、図9に示すように、ユニット本体1側の突縁部11と、前板2側のリブ21〜25とが隔壁を構成し、また、ユニット本体1側のセパレータ部4A,4と前記前板受け16bも前板2の後面に密着して壁体となっている。
【0046】
これにより、区画室10a内の上部側には、隔壁リブ21〜23に囲まれて隔絶された左右の第1および第2吸込室51a,51bが形成されるとともに、上部側周縁に突縁部11と円弧隔壁リブ21,21との間に混合用流路6Aが構成されている。また、該区画室10a内の下部には、縦隔壁リブ22の下方を仮想境界として、左右の第1および第2吐出室52a,52bに区画されている。
【0047】
そして、第1吸込室52aには第1吸込弁35aが、第2吸込室52bには第2吸込弁35bがそれぞれ臨み、また、第1吐出室52aには第1吐出弁36aが、第2吐出室52bには第1吐出弁36bがそれぞれ臨んでいる。
【0048】
また、区画室10aの突縁部11がない下部側は、スリット状に外部に開放した吐出口53を構成している。さらに、第1および第2吐出室52a,52bでは、それぞれ吐出弁36a,36bの流出口54と吐出口53との間がセパレータ部4Aにより左右に別けられている。両吐出室52a,52bは、縦隔壁リブ22の下端22aの下方に構成される連通口55によって連通している。
【0049】
前記混合用流路6Aは、ユニット本体1の突縁部11に設けていた切欠18が頂部で導入口60として外部に開口する一方、左右両側において、吐出ガイドリブ24の下端と導出ガイドリブ25との間が導入口61(図9)として第1および第2吐出室52a,52bの側方に臨んでいる。
【0050】
図1,2に示すように前記槽内取付部材72は、例えばポリアセラート樹脂等の硬質樹脂成形物からなり、両端が開放された筒状部72aの前端にフランジ部72bが一体形成されており、筒状部72aの外周面には、槽外取付部材71の雌ねじ74aに螺合される雄ねじ74bが形成されている。
【0051】
また、前記フランジ部72bの前面側には、前記ロックピン85の先端に嵌合される多数の有底のロック孔76・・・が円周方向へ一定間隔毎に設けられている。
【0052】
つまり、前記流路形成ユニット10のピン孔17にロックピン85を強制的に圧入した際に、そのロックピン85の先端部が前記ロック孔76・・・の一つに嵌合し、これにより流路形成ユニット10の回転変移が阻止されるようになっている。
【0053】
前記リング状滑りシート84とリング状パッキング83は、使用するに際して、前記筒状部72aにそれぞれ嵌着されるものである。
【0054】
前記フィルタ部材73は、例えば硬質合成樹脂製の皿形の成形物からなり、前面壁部には、多数の吸込孔78が形成されており、前記流路形成ユニット10の前面側に装着されるようになっている。
【0055】
前記槽外取付部材71は、例えば黄銅やスイテンレスないしは合成樹脂(この例では、ポリアセラート樹脂等の硬質樹脂成形物)からなる槽外取付部材本体710と、この槽外取り付け部材本体710における一対の後端ポート710a,710b(図12参照)にそれぞれ連通する一対の外管接続部720A,720Bとを備えている。
【0056】
槽外取付部材本体710は、外筒部71aと、この外筒部71aの前縁に一体形成されたフランジ部71bと、外筒部71aの前部よりに管軸方向後方側で同軸上に位置して、該外筒部71aに一体形成された内筒部71cと有しており、前記フランジ部71bには、合成ゴム等からなる断面略U字形のリング状パッキング81が嵌着されている。
【0057】
前記槽外取付部材本体710における外筒部71aと内筒部71cとの間の環状空間7aが前記一方の外管接続部720Aに連通し、また、内筒部71cに内部空間7bが他方の外管接続部720Bに連通するようになっている。
【0058】
前記外筒部71aの前部内周面に雌ねじ74a形成されており、また、外筒部71aの前端側内周面には、前記Oリング82が装着されている。
【0059】
前記槽外取付部材71における外管接続部720A,720Bは、図10〜図16にも示すように、それぞれ基端部721と先端部722とに2分割されており、各分割面721a,722aは、それぞれ前記後端ポート部710a,710bの各管軸に対して交差する方向に沿って傾斜、例えば45°の角度で傾斜して接合面として構成されており、基端部721と先端部722とを各接合面721a,722aをそのまま接合することにより、外管接続部720A,720Bが図11および図12にも示すように、前記後端ポート部710a,710bの管軸に略沿った方向へ突出する状態の仕様、いわゆるI形仕様で使用できる。
【0060】
また、前記基端部721と先端部722とを前記後端ポート部710a,710bの各管軸回りで相対的に180°反転させて各接合面721a,722aを接合することにより、外管接続部720A,720Bが図14〜図16に示すように、前記後端ポート部710a,710bの管軸に対して略90°に屈曲して側方へ突出する状態での仕様、いわゆるL形仕様でも使用できるようになっている。
【0061】
前記外管接続部720A,720Bにおける基端部721および先端部722の各接合面721a,722aの回りには、それぞれフランジ721b,722bがそれぞれ一体形成されている。
【0062】
この例では、一方の外管接続部720Aにおける基端部721のフランジ721bと他方の外管接続部720Bにおける基端部721のフランジ721bとが一体形成されており、また、一方の外管接続部720Aにおける先端部722のフランジ722bと他方の外管接続部720Bにおける先端部722のフランジ722bとが一体形成されている。これにより、一対の外管接続部720A,720Bの取り扱い、つまり両外管接続部720A,720Bの各先端部722,722を一緒に組み付けることができる。
【0063】
前記基端部721側のフランジ721bの適所には、ねじ孔721cが形成される一方、先端部722側のフランジ722bには、ねじ孔721c対応してねじ挿通孔722c(図15参照)がそれぞれ形成されている。
【0064】
また、前記一方の外管接続部720Aにおける基端部721の傾斜接合面721aと他方の外管接続部720Bにおける先端部722の傾斜接合面722aとの間には、両者721a,722aのいずれか一方に形成されている環状溝725(図12、図15、図16参照)に嵌着されたOリング724が介在されている。
【0065】
前記基端部721側のフランジ721bと先端部722側のフランジ722bとは、前記フランジ722bのねじ挿通孔722cに挿通されたねじ800・・・をフランジ721bのねじ孔721cに螺合して締め付け固定されるようになっている。
【0066】
勿論、両フランジ721b,722bの両方にねじ挿通孔を設けて、ねじ800とナットで締め付けるようにしてもよい。
【0067】
つぎに、上記構成の給湯口アダプタAを浴槽Tの側壁Taに取り付ける手順を簡単に説明する。
【0068】
まず、槽外取付部材71と、槽内取付部材72とを浴槽側壁Taの貫通孔Hを通して螺合し、両者71,72のフランジ部71b,72b間でパッキング81,83を介して浴槽側壁Taを内外から挟着する。
【0069】
すなわち、浴槽側壁Taの貫通孔Hをの外側に配置した槽外取付部材71の外筒部71aに、槽内取付部材72の筒状部72aを該浴槽側壁Taの貫通孔Hを通して合わせ、槽内取付部材72側の回転操作により、筒状部72aの雄ねじ外筒部71aの雌ねじ74aに螺合して締め付ければよい。
【0070】
両取付部材71,72の螺合結合操作が完了すれば、槽外取付部材72における外管接続部720A,720Bの各先端部722,722に、給湯機に繋がる往き管と戻り管とを接続する。これに際して、往き管および戻り管の接続仕様に応じて槽外取付部材72における外管接続部720A,720Bの組み付けを行うが、これについては、後述する。
【0071】
一方、浴槽Tの内側より槽内取付部材72における流路形成ユニット10およびフィルタ部材73を取り付ける。このような給湯口アダプタAの各部材の取付手順は、周知であるから、ここでの詳しい説明は省略する。
【0072】
このようにして浴槽Tの側壁Taに貫通状態で取り付けられた給湯口アダプタAでは、図1に示すように、流路形成ユニット10の区画室10aの左側に位置する第1吸込室51aおよび第1吐出室52a(図9参照)から流路分岐室1bを経て流路筒部1cの外側に繋がる流路F1は、槽外取付部材71における外筒部71aと内筒部71cとの間の環状空間7aを通して外管接続部720Aに連通している。
【0073】
また、前記流路形成ユニット10の区画室10aの右側に位置する第2吸入室51bおよび第2吐出室52bから流路分岐室1bを経て流路筒部1cの内側に繋がる流路F2は、槽外取付部材71における内筒部71cの内部空間7bにより外管接続部720Bに連通している。
【0074】
この例での給湯口アダプタAは、無極タイプであり、2つの流路F1,F2のいずれかが吸込側になっても、また、吐出側になっても同じ機能が得られる。
【0075】
例えば、図1において、流路F1が給湯機の吸込側往き管に繋がっておれば、追い焚き時に、給湯機側からの強制吸引によって第2吸込弁35bが内側へ変形し開弁し、第2吸込室51bの前面側から浴槽温水が流路F2へ流入して給湯機側へ送られるが、下方の第2吐出弁35bは、給湯機側からの強制吸引によって閉弁状態を維持する。
【0076】
一方、吐出側となった流路F1には、給湯機側から温水が送給されるから、その送圧力によって第1吐出弁36aが外側へ変形して閉弁し、第1吐出室521aに流入した供給温水が吐出口53を通って浴槽T内に放出されるが、上方の第1吸込弁35aは、前記送圧力により開弁状態を維持する。
【0077】
従って、流路F1が吸込側、流路F2が吐出側と逆の接続になっても、第1吸込室51aより浴槽温水を吸い込み、第2吐出室52bから供給温水を吐出するだけで、同じことである。なお、湯張り作動時には、給湯機側から両流路F1,F2を通して温水が供給されるから、両吐出口36a,36bが閉弁し、第1および第2吐出室52a,52bの両方の吐出口53から供給温水が放出される。勿論、この時には、両吸込弁35a,35bは閉弁している。
【0078】
この例の給湯口アダプタAでは、追い焚きにおいて、例えば第2吸込室51bから浴槽温水を吸い込み、第1吐出室52aから供給温水を吐出する場合、第1吐出室52aからの略下向きの吐出流は、セパレータ部4Aによって白矢印のように左右、つまり中央側と側方側との分流して浴槽T内に放出される。
【0079】
この時、セパレータ部4Aで流路が狭まって流速が増すため、該吐出流の近傍に誘引力を及ぼし、この誘引力が混合用流路6Aの導出口61に作用するこにより、黒矢印で示すように、浴槽T内の温水が断続的導出口61から混合用流路6Aに流入し、導出口61から断続的に導出して側方側の吐出流に巻き込まれる。
【0080】
また、中央側においても同様の誘引力が働くため、休止している第2吐出室52bに入り込んでいる浴槽温水が黒矢印のように、連通口55から第1吐出室52a側に連続的に導出され、該中央側の吐出流に巻き込まれる。
【0081】
従って、給湯機からの高温水と温度の低い浴槽温水とが吐出口53近傍で混合され、吐出流は、降温した状態で浴槽T内に放出されるうえ、吐出流量が増大することによって、浴槽T内での攪拌作用も大きくなるから、浴槽T内の局部的な高温部が生じたりするのが防止される。
【0082】
ところで、前記給湯機に繋がる往き管と戻り管とを接続するに先立って、槽外取付部材71における外管接続部720A,720Bについて、接続態様がI形仕様かL形仕様かに応じて組み立てを行う。
【0083】
具体的には、前記給湯機に繋がる往き管と戻り管とを前記槽外取付部材71における外管接続部720A,720Bに対してI形仕様で接続する場合には、まず、外管接続部720A,720Bにおける各傾斜接合面722aの環状溝725にそれぞれOリング724を嵌着した後、該外管接続部720A,720Bにおける各基端部721の傾斜接合面721aに対して、各先端部722を図10〜図12に示す姿勢にしてからその傾斜接合面722aを接合する。
【0084】
この状態で前記外管接続部720A,720Bにおける基端部721側のフランジ721bと先端部722側のフランジ722bとを、一方のフランジ722bのねじ挿通孔722cに挿通したねじ800・・・を他方のフランジ721bのねじ孔721cに螺合して締め付けて結合する。
【0085】
これにより、前記外管接続部720A,720Bにおける基端部721に対して先端部722が槽外取付部材本体710の後端ポート部710の管軸(基端部721の管軸)に沿って真っ直ぐ後方へ延びる状態のI形の仕様状態で結合されることになる。
【0086】
また、前記給湯機に繋がる往き管と戻り管とを前記槽外取付部材71における外管接続部720A,720Bに対してL形仕様で接続する場合には、上記と同様にOリング724を嵌着した後、該外管接続部720A,720Bにおける各基端部721の傾斜接合面721aに対して、各先端部722を図13〜図16に示す姿勢にしてからその傾斜接合面722aを接合する。
【0087】
この状態で上記と同様に、外管接続部720A,720Bにおける基端部721側のフランジ721bと先端部722側のフランジ722bとをねじ800で締め付ければ、簡単に両フランジ721b,722bが結合される。
【0088】
これにより、前記外管接続部720A,720Bにおける基端部721に対して先端部722が槽外取付部材本体710の後端ポート部710の管軸(基端部721の管軸)に対して交差する方向に沿って延びるL形の仕様状態で結合されることになる。
【0089】
このように、槽外取り付け部材71における外管接続部720A,720Bをそれぞれ基端部721と先端部722とに2分割し、各分割面721a,722aが、図11および図12に示すように、それぞれ前記後端ポート部710a,710bの各管軸に対して45°の角度で傾斜して接合面として構成されいるから、槽外取付部材72として、その外管接続部720A,720BがI形とL形の2種のものを用意しなくても、1種のものでI形の仕様とL形の仕様に対応することができる。従って、この共用化によって部材点数を削減でき、管理がしやすくなるうえ、外管接続部の形状が異なる2種の槽外取付部材72を取り違えてしまうおそれもなくなる。
【0090】
なお、この例では、前記基端部721の傾斜接合面721aと先端部722の傾斜接合面722aとが45°に傾斜しているから、L形仕様において、前記基端部721に対して先端部722が直角に屈曲して突出する状態となるが、両傾斜接合面721a,722aの傾斜角度は、45°に限定されるものではない。
【0091】
図17および図18は、前記槽外取付部材72の外管接続部720A,720Bの変形構造を示すものであり、図10〜図16と同一もくは相当部所には、同一符号を付してそれらの説明は、省略する。
【0092】
図17および図18において、前記外管接続部720A,720Bにおける両接合面721a,722aを挟む管軸方向の両側部位は、該管軸に沿った直線状部750で構成されている。すなわち基端部721における傾斜接合面721aは、その接合面721aに直交する方向に延びる直線状部750を介して基端部721に設けられるとともに、先端部722における傾斜接合面722aは、その接合面722aに直交する方向に延びる直線状部750を介して先端部722に設けられている。
【0093】
そして、外管接続部720A,720Bにおける基端部721側のフランジ721bと先端部722側のフランジ722bとの結合には、結合部材として、例えばクイックファスナー900が使用されている。
【0094】
このクイックファスナー900は、例えば図19に示すように、平板状の基部61の両端に互いに対向する円弧状の一対の弾性挟着片910,910が一体形成されており、前記両フランジ721b,722bを径方向から弾性的に抱持するとともに、管軸方向から挟着するものであり、両弾性挟着片910,910には、装着状態で前記フランジ721b,722bに嵌合する長孔913、913が該弾性挟着片910,910の長さ方向へ沿って形成されている。なお、両弾性挟着片910,910の各先端部910a,910aは、前記フランジ721b,722bに嵌め込むのを容易にさせるために、それぞれ外方側へ屈曲されている。
【0095】
この例においては、図17に示すように、前記外管接続部720A,720Bにおける基端部721に対して先端部722が槽外取付部材本体710の後端ポート部710の管軸(基端部721の管軸)に沿った方向、具体的には、前記管軸に平行して後方へ延びる状態で結合されるから、前記フランジ721b,722bをクイックファスナー900で結合すれば、外管接続部720A,720BがI形の仕様で使用できるこになる。
【0096】
また、外管接続部720A,720Bにおける基端部721に対して先端部722を図17の位置から管軸回りで180°回転変移させて図18に示す状態で前記傾斜接合面721a,722aを接合してから、前記フランジ721b,722bをクイックファスナー900で結合すれば、外管接続部720A,720BがI形の仕様で使用できることになる。
【0097】
この場合、前記外管接続部720A,720Bにおける両傾斜接合面721a,722aを挟む管軸方向の両側部位は、該管軸に沿った直線状部750で構成されているから前記フランジ721b,722bに対してクイックファスナー900による結合操作をスペース的に支障なく行うことができる。
【0098】
なお、この実施形態では、無極タイプで、しかも混合用流路を有する浴槽用給湯口アダプタAを例示したが、これに限定されるものではなく、例えば槽内取付部材72側フランジ72bに対して流路形成ユニット10を取り付ける形式のアダプタ等、広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】この発明の第1実施形態に係る浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置が適用された給湯口アダプタを組み付け状態で示す縦断側面図である。
【図2】同浴槽用給湯口アダプタの分解斜視図である。
【図3】同浴槽用給湯口アダプタにおける流路形成ユニットを示す分解斜視図である。
【図4】同流路形成ユニットにおけるユニット本体を示す正面図である。
【図5】図4のB−B線に沿った断面矢視図である。
【図6】同ユニット本体の背面図である。
【図7】同ユニット本体の側面図である。
【図8】同流路形成ユニットにおける前板の背面図である。
【図9】同流路形成ユニットの縦断正面図である。
【図10】同浴槽用給口アダプタにおける槽外取付部材をI形仕様状態で示す側面図である。
【図11】同槽外取付部材をI形仕様状態で示す平面図である。
【図12】同槽外取付部材をI形仕様状態で示す平面断面図である。
【図13】同槽外取付部材をL形仕様状態で示す側面図である。
【図14】同槽外取付部材をL形仕様状態で示す平面図である。
【図15】同槽外取付部材をL形仕様状態で示す側面断面図である。
【図16】同槽外取付部材をL形仕様状態で示す平面断面図である。
【図17】同槽外取付部材の外管接続部の変形例をI形仕様状態で示す側面断面図である。
【図18】同外管接続部の変形例をL形仕様状態で示す側面断面図である。
【図19】図8および図9で使用したクイックファスナーを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0100】
10・・・流路形成ユニット
71・・・槽外取付部材
72・・・槽内取付部材
710・・・槽外取付部材本体
710a,710b・・・槽外取付部材本体の後端ポート部
720A,720B・・・槽外取付部材における外管接続部
721・・・外管接続部の基端部
721a・・・外管接続部の基端部の傾斜接合面
721b・・・外管接続部の基端部側のフランジ
722・・・外管接続部の先端部
722a・・・外管接続部の先端部の傾斜接合面
722b・・・外管接続部の先端部のフランジ
750・・・直線部
800・・・ねじ
900・・・クイックファスナー
A・・・浴槽用給湯口アダプタ
H・・・浴槽側壁の貫通孔
T・・・浴槽
Ta・・・浴槽の側壁
【技術分野】
【0001】
この発明は、浴槽側壁に貫通状態で取り付けられて、浴槽外に設置されている給湯機に配管接続するために使用される浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置の関する。
【背景技術】
【0002】
近年、浴槽の給湯システムでは、浴槽外に設置されている給湯機で沸かした温水を浴槽内に送る湯張り機能と、浴槽内の温水を吸い込んで給湯機に送り、該給湯機で兼加熱して高温水として浴槽内に戻す追い焚き機能とを備えるものが多く普及している。
【0003】
そして、このような給湯システムでは、外部の給湯機との間の循環流路の配管のために浴槽側壁に給湯口アダプタが浴槽の側壁を貫通状態で取り付けられる。
【0004】
前記給湯口アダプタは、所定の流路形成を行う流路形成ユニットを浴槽の側壁部内面側に取り付ける槽内取付部材と、浴槽側壁を挟んで槽外取付部材とを備えており、この槽外取付部材における外管接続部に前記給湯機からに配管である外管が接続されるようになっている。
【0005】
槽外取付部材は、一般に、合成樹脂等で筒形に形成された本体と、この本体における一対の後端ポート部に連通する外管接続部が該本体の背面壁から外方へ突出する状態で一体形成されている(例えば、特許文献1参照)、
【特許文献1】特開平11−337186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この種の配管においては、槽外取付部材における外接続部が本体の後端ポート部から管軸に沿って真っ直ぐ突出している仕様、いわゆるI形仕様を採用して該外管接続部に給湯機からの外管を接続する場合と、槽外取付部材における外接続部が本体の後端ポート部から管軸に対して略直角に曲がった方向へ延びる仕様、いわゆるL形仕様を採用して該外管接続部に給湯機からの外管を接続する場合との二つがある。
【0007】
しかし、従来の槽外取付部材では、外管接続部の突出する状態が前記I形仕様に対応したものと、L形仕様に対応したものとに個別に製作されていたので、予めこれら2種のものを用意しなければならないうえ、施工あたってこれら2種のものの選択を誤ると、施工作業が大幅に遅れてしまうといった問題を起きるおそれがあった。
【0008】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、一種類の槽外取付部材でI形およびL形の両仕様に対応でき、用意する部材点数を削減できるとともに、部材選択ミス等の発生を招くおそれのない浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、以下の手段によって解決される。
【0010】
(1)浴槽の側壁外面側に設けられる槽外取付部材を備え、浴槽の内部と外部との間で流路を形成するようにした浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置において、
前記槽外取付部材は、前記浴槽の側壁外面側に固定される槽外取付部材本体と、この槽外取付部材本体内の流路の後端ポート部に連通するとともに、該槽外取付部材本体の後壁から突出する外管接続部とから構成されており、
前記外管接続部は、前記後端ポート部の管軸に対して交差する方向に沿って傾斜した接合面を存在させて基端部側と先端部側とに2分割されるとともに、この外管接続部が前記後端ポート部の管軸に沿った方向へ突出する状態で先端部側の傾斜接合面を基端部側の傾斜接合面に接合したI形仕様対応状態と、この外管接続部が前記後端ポート部の管軸に対して屈曲する状態で先端部側の傾斜接合面を前記基端部側の傾斜接合面に接合したL形仕様対応状態とが選択可能に構成されていることを特徴する浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置。
【0011】
(2)前記先端部および基端部の両傾斜接合面は、後端ポート部の管軸に対する交差角度が45°に設定されている前項1に記載の浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置。
【0012】
(3)前記外管接続部は、互いに並列状に配置された一対のものが互いに基部側で連結されている前項1または2に記載の浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置。
【0013】
(4)前記外管接続部の基端部における傾斜接合面が、その接合面に直交する方向に延びる直線状部を介して基端部に設けられるとともに、先端部における傾斜接合面が、その接合面に直交する方向に延びる直線状部を介して先端部に設けられる前項1〜3のいずれか一つの項に記載の浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置。
【0014】
(5)前記外管接続部における基端部および先端部には、それぞれ各接合面回りのフランジが形成されている前項1〜4のいずれか一つの項に記載の浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置。
【0015】
(6)前記基端部側のフランジと先端部側のフランジとがねじ止めで結合されている前項5に記載の浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置。
【0016】
(7)前記基端部側のフランジと先端部側のフランジとが、両フランジを径方向から弾性的に抱持し、且つ管軸方向から挟持するクイックファスナーで結合されている前項5に記載の浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置。
【発明の効果】
【0017】
前項(1)に記載の発明によれば、槽外取付部材における外管接続部が槽外取付部材本体の後端ポート部の管軸に対して交差する方向に沿って傾斜した接合面を存在させて基端部側と先端部側とに2分割されているから、前記先端部が後端ポート部の管軸に沿った方向へ突出するように該先端部の傾斜接合面を後端部の接合面に接合・結合すれば、いわゆるI形仕様に対応でき、また、前記先端部が後端ポート部管軸に対して屈曲して突出するように該先端部の傾斜接合面を後端部の接合面に接合・結合すれば、いわゆるL形仕様に対応できる。
【0018】
つまり、外管接続部形状が異なる2種類の槽外取付部材を用意しなくても、上記I形仕様とL形仕様に対応できるので、部材点数が削減され、管理しやすくなり、しかも、I形用とL形用とを取り違えるといったミスを招くおそれはが解消される。
【0019】
前項(2)に記載の発明によれば、両傾斜接合面における後端ポート部の管軸に対する交差角度が45°であるので、外管接続部をL形仕様に対応するように接続した場合、先端部が基端部に対して90°の角度で屈曲した状態となる。
【0020】
前項(3)に記載の発明によれば、外管接続部が、互いに並列状に配置された一対のものが互いに基部側で連成されているから、一対のものの各先端部を各基端部に対する接合を速やかに行うことができる。
【0021】
前項(4)に記載の発明によれば、前記外管接続部における基端側と先端部側の接合部位を挟む管軸方向の両側部位が直線状部で構成されているので、十分なスペースが確保されて、基端側と先端部側との接合・結合作業が支障なく行える。
【0022】
前項(5)に記載の発明によれば、外管接続部における基端部と先端部とを両フランジを介して確実に結合できる。
【0023】
前項(6)に記載の発明によれば、外管接続部における基端部と先端部とをねじ止めで堅固に結合できる。
【0024】
前項(7)に記載の発明によれば、外管接続部における基端部と先端部とをクイックファスナーで速やかに結合できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は、この発明に係る浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置を示す一部破断平面図、図2は、同じく浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置を示す分解斜視図、図3は、浴槽用給湯口アダプタにおける流路形成ユニットの分解斜視図である。
【0027】
なお、この実施形態における浴槽用給湯アダプタにおける外管接続装置は、浴槽外に設置されている給湯機(図示せず)からの温水を浴槽T内に供給する湯張り(貯湯)機能と、浴槽T内の温水を給湯機に吸い込んで加熱した高温水を浴槽T内に戻す追い焚き機能とを備えた浴槽給湯システムに適用するものであり、いわゆる無極タイプとして、給湯機に繋がる往き管と戻り管に対する接続が逆になっても同じ機能が得られるようになっている。
【0028】
図1および図2において、この外管接続装置が適用された給湯口アダプタAは、浴槽Tの内部と外部との間で所定流路を形成する流路形成ユニット10と、流路形成ユニット10を該浴槽Tの側壁Taの内面側に取り付ける槽内取付部材72と、前記浴槽Tの側壁Taの外面側に配備されて、槽内取付部材72を浴槽Tに固定する槽外取付部材71と、フィルタ部材73との4つの主要部品の他に、槽外側のリング状パッキング81、Oリング82、槽内側のリング状パッキング83、リング状滑りシート84および流路形成ユニット10の回り止め用ロックピン85等の付属部品で構成されている。
【0029】
前記流路形成ユニット10は、既述の無極タイプとして流路を形成するものであり、例えば硬質合成樹脂で成形された円盤部1aの中央後面側に流路分岐部1b(図5参照)および流路筒部1cが一体形成されたユニット本体1と、前記円盤部1aの前面に嵌着される前板2と、前記円盤部1aの中央弁部における弁座枠31と、流路分岐部1bに配置されたゴム板からなる第1および第2の弁体32A,32Bとを備えている。
【0030】
前記ユニット本体1の円盤部1aの周縁上半部には、前方へ突出して突縁部11が一体形成されており、この突縁部11に係止して装着される前板2と前記円盤部1aの前面との間で区画室10aが構成されている。
【0031】
図3〜図6に示すように、ユニット本体1の円盤部1aにおける中央部には、弁部3を構成する開口部12が形成され、この開口部12が縦隔壁13と左右の横桟14,14によって上下左右の流路孔15a〜15dに4分割されている。
【0032】
そして、左側上下の流通孔15a,15bは、後方外側へ開放される一方、右側上下のの流路孔15c,15dは、流路分岐部1bの縦隔壁13を直線部とする半円形の連絡室10b(図5参照)を経て後部の円筒状流路筒部1c内に連通している。
【0033】
また、下側左右の流通孔15b,15dには、それぞれ開口縁の左右部および下辺部と中間のリブにより、前面側に臨む第1および第2吐出弁座33a,33bが形成されている。
【0034】
弁座枠31は、ユニット本体1の開口部12の上部側に前方から嵌着することにより、後方側に臨む第1および第2吸込弁座34a,34bを構成するものであり、外形が略半円形の硬質合成樹脂等からなり、上側左右の流路孔15a,15cのそれぞれに対応する左右一対の流路窓31a・・・を有するとともに、頂部と左右両端部とに突起状の当接片31bが形成され、また、下縁の中央部と左右両側に取付孔31c・・・が形成されている。
【0035】
第1および第2の弁体32A,32Bは、ユニット本体1の開口部12を左右に分割した各形状に対応しており、上半部が第1および第2吸込弁35a,35bとしてそれぞれ上側左右の流通孔15a,15cに嵌入されるサイズに形成される一方、下半部が第1および第2吐出弁36a,36bとして下側左右の流通孔15b,15dの第1および第2吐出弁座33a,33bに嵌合するサイズに形成されている。そして、両弁体32A,32Bの上下方向の中間部には、左右両側の取付孔32a,32aと、その間の横方向のリブ32bとが設けられている。
【0036】
そして、ユニット本体1側には、図3に示すように、左右の横桟14,14の各両端部に前方へ突出するピン14aが形成されており、このピン14aを前記弁体32A,32B側の取付孔32aおよび弁座枠31側の取付孔31cにそれぞれ圧入することにより、これら弁体32A,32および弁座枠31がユニット本体1の円盤部1aに装着される。
【0037】
また、ユニット本体1の円盤部1aの前面側には、下部の左右両側の直線部を内側にした弓形の凸部からなるセパレータ部4A,4Aの他に、上側突縁部11の左右内縁側に係止ピン11bや前板受け片16bが形成されている。
【0038】
前記係止ピン11bを前板2側の複数の孔2bに圧入させて該前板2がユニット本体1の円盤部1aの前面側に対向して装着される。
【0039】
さらに、ユニット本体1には、その中央上部に位置してロックピン挿通用のピン孔17が形成されている。また、円盤部1aの突縁部の頂端近傍に前方へ開く切欠部18が形成されており、さらに、円盤部1aの後面側には、図6およびお図7にも示すように、全周にわたる後方突縁部11cが一体形成され、その内周面には、係止突起19が周方向へ等配して形成されている。
【0040】
前記前板2は、図3に示すように、前記ユニット本体21の円盤部1aに対応した円形に形成されており、その上半部には、上段側の左右の流路孔15a,15cに対向する領域に多数の小孔からなる吸込孔20・・・が貫通形成されている。さらに、円盤部1aの両側縁部には、ユニット本体1の各係止ピン11bに圧入される係止孔2b,2bが形成されている。また、前板2の周縁の2個所には、ユニット本体1側の各係止溝11aの入口部となる切欠2cが形成されている。
【0041】
上記ピン孔17にロックピン85を挿通させることにより、流路形成ユニット10の回り止めが行われるようになっている。
【0042】
また、図8に示すように、前板2の後面側には、ピン孔17の位置から左右両側へ円弧状に延びる円弧隔壁リブ21,21、ピン孔17から真下に直線的に延びる縦隔壁リブ22、縦隔壁22の中間部と左右両端の円弧隔壁リブ21,21の間を繋ぐ横隔壁リブ23,23、各横隔壁リブ23から外向き斜め下方へ分岐した吐出ガイドリブ24,24、左右両側の円弧隔壁リブ21,21における横隔壁リブ23との接合部よりも下方部分に外側に対向する弧状の導出ガイドリブ25,25がそれぞれ突設されている。
【0043】
また、前板2の後面側には、ユニット本体1側のセパレータ部4A,4Aに対応する弓形の浅い凹部27,27が形成され、さらに、ユニット本体1側の第1および第2吐出弁座33a,33bの下縁部との対向位置には、直線状V字溝29,29(図8)が設けられている。
【0044】
流路形成ユニット10は、第1および第2弁体32A,32Bと弁座枠31を装着したユニット本体1の円盤部1aに対し、前板2の係止孔2b,2bにユニット本体1側の係止ピン11b,11bを挿入して該前板2を内嵌係止させることにより、該円盤部1aと前板2との間で既述した区画室10aを構成したものである。
【0045】
この区画室10aでは、図9に示すように、ユニット本体1側の突縁部11と、前板2側のリブ21〜25とが隔壁を構成し、また、ユニット本体1側のセパレータ部4A,4と前記前板受け16bも前板2の後面に密着して壁体となっている。
【0046】
これにより、区画室10a内の上部側には、隔壁リブ21〜23に囲まれて隔絶された左右の第1および第2吸込室51a,51bが形成されるとともに、上部側周縁に突縁部11と円弧隔壁リブ21,21との間に混合用流路6Aが構成されている。また、該区画室10a内の下部には、縦隔壁リブ22の下方を仮想境界として、左右の第1および第2吐出室52a,52bに区画されている。
【0047】
そして、第1吸込室52aには第1吸込弁35aが、第2吸込室52bには第2吸込弁35bがそれぞれ臨み、また、第1吐出室52aには第1吐出弁36aが、第2吐出室52bには第1吐出弁36bがそれぞれ臨んでいる。
【0048】
また、区画室10aの突縁部11がない下部側は、スリット状に外部に開放した吐出口53を構成している。さらに、第1および第2吐出室52a,52bでは、それぞれ吐出弁36a,36bの流出口54と吐出口53との間がセパレータ部4Aにより左右に別けられている。両吐出室52a,52bは、縦隔壁リブ22の下端22aの下方に構成される連通口55によって連通している。
【0049】
前記混合用流路6Aは、ユニット本体1の突縁部11に設けていた切欠18が頂部で導入口60として外部に開口する一方、左右両側において、吐出ガイドリブ24の下端と導出ガイドリブ25との間が導入口61(図9)として第1および第2吐出室52a,52bの側方に臨んでいる。
【0050】
図1,2に示すように前記槽内取付部材72は、例えばポリアセラート樹脂等の硬質樹脂成形物からなり、両端が開放された筒状部72aの前端にフランジ部72bが一体形成されており、筒状部72aの外周面には、槽外取付部材71の雌ねじ74aに螺合される雄ねじ74bが形成されている。
【0051】
また、前記フランジ部72bの前面側には、前記ロックピン85の先端に嵌合される多数の有底のロック孔76・・・が円周方向へ一定間隔毎に設けられている。
【0052】
つまり、前記流路形成ユニット10のピン孔17にロックピン85を強制的に圧入した際に、そのロックピン85の先端部が前記ロック孔76・・・の一つに嵌合し、これにより流路形成ユニット10の回転変移が阻止されるようになっている。
【0053】
前記リング状滑りシート84とリング状パッキング83は、使用するに際して、前記筒状部72aにそれぞれ嵌着されるものである。
【0054】
前記フィルタ部材73は、例えば硬質合成樹脂製の皿形の成形物からなり、前面壁部には、多数の吸込孔78が形成されており、前記流路形成ユニット10の前面側に装着されるようになっている。
【0055】
前記槽外取付部材71は、例えば黄銅やスイテンレスないしは合成樹脂(この例では、ポリアセラート樹脂等の硬質樹脂成形物)からなる槽外取付部材本体710と、この槽外取り付け部材本体710における一対の後端ポート710a,710b(図12参照)にそれぞれ連通する一対の外管接続部720A,720Bとを備えている。
【0056】
槽外取付部材本体710は、外筒部71aと、この外筒部71aの前縁に一体形成されたフランジ部71bと、外筒部71aの前部よりに管軸方向後方側で同軸上に位置して、該外筒部71aに一体形成された内筒部71cと有しており、前記フランジ部71bには、合成ゴム等からなる断面略U字形のリング状パッキング81が嵌着されている。
【0057】
前記槽外取付部材本体710における外筒部71aと内筒部71cとの間の環状空間7aが前記一方の外管接続部720Aに連通し、また、内筒部71cに内部空間7bが他方の外管接続部720Bに連通するようになっている。
【0058】
前記外筒部71aの前部内周面に雌ねじ74a形成されており、また、外筒部71aの前端側内周面には、前記Oリング82が装着されている。
【0059】
前記槽外取付部材71における外管接続部720A,720Bは、図10〜図16にも示すように、それぞれ基端部721と先端部722とに2分割されており、各分割面721a,722aは、それぞれ前記後端ポート部710a,710bの各管軸に対して交差する方向に沿って傾斜、例えば45°の角度で傾斜して接合面として構成されており、基端部721と先端部722とを各接合面721a,722aをそのまま接合することにより、外管接続部720A,720Bが図11および図12にも示すように、前記後端ポート部710a,710bの管軸に略沿った方向へ突出する状態の仕様、いわゆるI形仕様で使用できる。
【0060】
また、前記基端部721と先端部722とを前記後端ポート部710a,710bの各管軸回りで相対的に180°反転させて各接合面721a,722aを接合することにより、外管接続部720A,720Bが図14〜図16に示すように、前記後端ポート部710a,710bの管軸に対して略90°に屈曲して側方へ突出する状態での仕様、いわゆるL形仕様でも使用できるようになっている。
【0061】
前記外管接続部720A,720Bにおける基端部721および先端部722の各接合面721a,722aの回りには、それぞれフランジ721b,722bがそれぞれ一体形成されている。
【0062】
この例では、一方の外管接続部720Aにおける基端部721のフランジ721bと他方の外管接続部720Bにおける基端部721のフランジ721bとが一体形成されており、また、一方の外管接続部720Aにおける先端部722のフランジ722bと他方の外管接続部720Bにおける先端部722のフランジ722bとが一体形成されている。これにより、一対の外管接続部720A,720Bの取り扱い、つまり両外管接続部720A,720Bの各先端部722,722を一緒に組み付けることができる。
【0063】
前記基端部721側のフランジ721bの適所には、ねじ孔721cが形成される一方、先端部722側のフランジ722bには、ねじ孔721c対応してねじ挿通孔722c(図15参照)がそれぞれ形成されている。
【0064】
また、前記一方の外管接続部720Aにおける基端部721の傾斜接合面721aと他方の外管接続部720Bにおける先端部722の傾斜接合面722aとの間には、両者721a,722aのいずれか一方に形成されている環状溝725(図12、図15、図16参照)に嵌着されたOリング724が介在されている。
【0065】
前記基端部721側のフランジ721bと先端部722側のフランジ722bとは、前記フランジ722bのねじ挿通孔722cに挿通されたねじ800・・・をフランジ721bのねじ孔721cに螺合して締め付け固定されるようになっている。
【0066】
勿論、両フランジ721b,722bの両方にねじ挿通孔を設けて、ねじ800とナットで締め付けるようにしてもよい。
【0067】
つぎに、上記構成の給湯口アダプタAを浴槽Tの側壁Taに取り付ける手順を簡単に説明する。
【0068】
まず、槽外取付部材71と、槽内取付部材72とを浴槽側壁Taの貫通孔Hを通して螺合し、両者71,72のフランジ部71b,72b間でパッキング81,83を介して浴槽側壁Taを内外から挟着する。
【0069】
すなわち、浴槽側壁Taの貫通孔Hをの外側に配置した槽外取付部材71の外筒部71aに、槽内取付部材72の筒状部72aを該浴槽側壁Taの貫通孔Hを通して合わせ、槽内取付部材72側の回転操作により、筒状部72aの雄ねじ外筒部71aの雌ねじ74aに螺合して締め付ければよい。
【0070】
両取付部材71,72の螺合結合操作が完了すれば、槽外取付部材72における外管接続部720A,720Bの各先端部722,722に、給湯機に繋がる往き管と戻り管とを接続する。これに際して、往き管および戻り管の接続仕様に応じて槽外取付部材72における外管接続部720A,720Bの組み付けを行うが、これについては、後述する。
【0071】
一方、浴槽Tの内側より槽内取付部材72における流路形成ユニット10およびフィルタ部材73を取り付ける。このような給湯口アダプタAの各部材の取付手順は、周知であるから、ここでの詳しい説明は省略する。
【0072】
このようにして浴槽Tの側壁Taに貫通状態で取り付けられた給湯口アダプタAでは、図1に示すように、流路形成ユニット10の区画室10aの左側に位置する第1吸込室51aおよび第1吐出室52a(図9参照)から流路分岐室1bを経て流路筒部1cの外側に繋がる流路F1は、槽外取付部材71における外筒部71aと内筒部71cとの間の環状空間7aを通して外管接続部720Aに連通している。
【0073】
また、前記流路形成ユニット10の区画室10aの右側に位置する第2吸入室51bおよび第2吐出室52bから流路分岐室1bを経て流路筒部1cの内側に繋がる流路F2は、槽外取付部材71における内筒部71cの内部空間7bにより外管接続部720Bに連通している。
【0074】
この例での給湯口アダプタAは、無極タイプであり、2つの流路F1,F2のいずれかが吸込側になっても、また、吐出側になっても同じ機能が得られる。
【0075】
例えば、図1において、流路F1が給湯機の吸込側往き管に繋がっておれば、追い焚き時に、給湯機側からの強制吸引によって第2吸込弁35bが内側へ変形し開弁し、第2吸込室51bの前面側から浴槽温水が流路F2へ流入して給湯機側へ送られるが、下方の第2吐出弁35bは、給湯機側からの強制吸引によって閉弁状態を維持する。
【0076】
一方、吐出側となった流路F1には、給湯機側から温水が送給されるから、その送圧力によって第1吐出弁36aが外側へ変形して閉弁し、第1吐出室521aに流入した供給温水が吐出口53を通って浴槽T内に放出されるが、上方の第1吸込弁35aは、前記送圧力により開弁状態を維持する。
【0077】
従って、流路F1が吸込側、流路F2が吐出側と逆の接続になっても、第1吸込室51aより浴槽温水を吸い込み、第2吐出室52bから供給温水を吐出するだけで、同じことである。なお、湯張り作動時には、給湯機側から両流路F1,F2を通して温水が供給されるから、両吐出口36a,36bが閉弁し、第1および第2吐出室52a,52bの両方の吐出口53から供給温水が放出される。勿論、この時には、両吸込弁35a,35bは閉弁している。
【0078】
この例の給湯口アダプタAでは、追い焚きにおいて、例えば第2吸込室51bから浴槽温水を吸い込み、第1吐出室52aから供給温水を吐出する場合、第1吐出室52aからの略下向きの吐出流は、セパレータ部4Aによって白矢印のように左右、つまり中央側と側方側との分流して浴槽T内に放出される。
【0079】
この時、セパレータ部4Aで流路が狭まって流速が増すため、該吐出流の近傍に誘引力を及ぼし、この誘引力が混合用流路6Aの導出口61に作用するこにより、黒矢印で示すように、浴槽T内の温水が断続的導出口61から混合用流路6Aに流入し、導出口61から断続的に導出して側方側の吐出流に巻き込まれる。
【0080】
また、中央側においても同様の誘引力が働くため、休止している第2吐出室52bに入り込んでいる浴槽温水が黒矢印のように、連通口55から第1吐出室52a側に連続的に導出され、該中央側の吐出流に巻き込まれる。
【0081】
従って、給湯機からの高温水と温度の低い浴槽温水とが吐出口53近傍で混合され、吐出流は、降温した状態で浴槽T内に放出されるうえ、吐出流量が増大することによって、浴槽T内での攪拌作用も大きくなるから、浴槽T内の局部的な高温部が生じたりするのが防止される。
【0082】
ところで、前記給湯機に繋がる往き管と戻り管とを接続するに先立って、槽外取付部材71における外管接続部720A,720Bについて、接続態様がI形仕様かL形仕様かに応じて組み立てを行う。
【0083】
具体的には、前記給湯機に繋がる往き管と戻り管とを前記槽外取付部材71における外管接続部720A,720Bに対してI形仕様で接続する場合には、まず、外管接続部720A,720Bにおける各傾斜接合面722aの環状溝725にそれぞれOリング724を嵌着した後、該外管接続部720A,720Bにおける各基端部721の傾斜接合面721aに対して、各先端部722を図10〜図12に示す姿勢にしてからその傾斜接合面722aを接合する。
【0084】
この状態で前記外管接続部720A,720Bにおける基端部721側のフランジ721bと先端部722側のフランジ722bとを、一方のフランジ722bのねじ挿通孔722cに挿通したねじ800・・・を他方のフランジ721bのねじ孔721cに螺合して締め付けて結合する。
【0085】
これにより、前記外管接続部720A,720Bにおける基端部721に対して先端部722が槽外取付部材本体710の後端ポート部710の管軸(基端部721の管軸)に沿って真っ直ぐ後方へ延びる状態のI形の仕様状態で結合されることになる。
【0086】
また、前記給湯機に繋がる往き管と戻り管とを前記槽外取付部材71における外管接続部720A,720Bに対してL形仕様で接続する場合には、上記と同様にOリング724を嵌着した後、該外管接続部720A,720Bにおける各基端部721の傾斜接合面721aに対して、各先端部722を図13〜図16に示す姿勢にしてからその傾斜接合面722aを接合する。
【0087】
この状態で上記と同様に、外管接続部720A,720Bにおける基端部721側のフランジ721bと先端部722側のフランジ722bとをねじ800で締め付ければ、簡単に両フランジ721b,722bが結合される。
【0088】
これにより、前記外管接続部720A,720Bにおける基端部721に対して先端部722が槽外取付部材本体710の後端ポート部710の管軸(基端部721の管軸)に対して交差する方向に沿って延びるL形の仕様状態で結合されることになる。
【0089】
このように、槽外取り付け部材71における外管接続部720A,720Bをそれぞれ基端部721と先端部722とに2分割し、各分割面721a,722aが、図11および図12に示すように、それぞれ前記後端ポート部710a,710bの各管軸に対して45°の角度で傾斜して接合面として構成されいるから、槽外取付部材72として、その外管接続部720A,720BがI形とL形の2種のものを用意しなくても、1種のものでI形の仕様とL形の仕様に対応することができる。従って、この共用化によって部材点数を削減でき、管理がしやすくなるうえ、外管接続部の形状が異なる2種の槽外取付部材72を取り違えてしまうおそれもなくなる。
【0090】
なお、この例では、前記基端部721の傾斜接合面721aと先端部722の傾斜接合面722aとが45°に傾斜しているから、L形仕様において、前記基端部721に対して先端部722が直角に屈曲して突出する状態となるが、両傾斜接合面721a,722aの傾斜角度は、45°に限定されるものではない。
【0091】
図17および図18は、前記槽外取付部材72の外管接続部720A,720Bの変形構造を示すものであり、図10〜図16と同一もくは相当部所には、同一符号を付してそれらの説明は、省略する。
【0092】
図17および図18において、前記外管接続部720A,720Bにおける両接合面721a,722aを挟む管軸方向の両側部位は、該管軸に沿った直線状部750で構成されている。すなわち基端部721における傾斜接合面721aは、その接合面721aに直交する方向に延びる直線状部750を介して基端部721に設けられるとともに、先端部722における傾斜接合面722aは、その接合面722aに直交する方向に延びる直線状部750を介して先端部722に設けられている。
【0093】
そして、外管接続部720A,720Bにおける基端部721側のフランジ721bと先端部722側のフランジ722bとの結合には、結合部材として、例えばクイックファスナー900が使用されている。
【0094】
このクイックファスナー900は、例えば図19に示すように、平板状の基部61の両端に互いに対向する円弧状の一対の弾性挟着片910,910が一体形成されており、前記両フランジ721b,722bを径方向から弾性的に抱持するとともに、管軸方向から挟着するものであり、両弾性挟着片910,910には、装着状態で前記フランジ721b,722bに嵌合する長孔913、913が該弾性挟着片910,910の長さ方向へ沿って形成されている。なお、両弾性挟着片910,910の各先端部910a,910aは、前記フランジ721b,722bに嵌め込むのを容易にさせるために、それぞれ外方側へ屈曲されている。
【0095】
この例においては、図17に示すように、前記外管接続部720A,720Bにおける基端部721に対して先端部722が槽外取付部材本体710の後端ポート部710の管軸(基端部721の管軸)に沿った方向、具体的には、前記管軸に平行して後方へ延びる状態で結合されるから、前記フランジ721b,722bをクイックファスナー900で結合すれば、外管接続部720A,720BがI形の仕様で使用できるこになる。
【0096】
また、外管接続部720A,720Bにおける基端部721に対して先端部722を図17の位置から管軸回りで180°回転変移させて図18に示す状態で前記傾斜接合面721a,722aを接合してから、前記フランジ721b,722bをクイックファスナー900で結合すれば、外管接続部720A,720BがI形の仕様で使用できることになる。
【0097】
この場合、前記外管接続部720A,720Bにおける両傾斜接合面721a,722aを挟む管軸方向の両側部位は、該管軸に沿った直線状部750で構成されているから前記フランジ721b,722bに対してクイックファスナー900による結合操作をスペース的に支障なく行うことができる。
【0098】
なお、この実施形態では、無極タイプで、しかも混合用流路を有する浴槽用給湯口アダプタAを例示したが、これに限定されるものではなく、例えば槽内取付部材72側フランジ72bに対して流路形成ユニット10を取り付ける形式のアダプタ等、広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】この発明の第1実施形態に係る浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置が適用された給湯口アダプタを組み付け状態で示す縦断側面図である。
【図2】同浴槽用給湯口アダプタの分解斜視図である。
【図3】同浴槽用給湯口アダプタにおける流路形成ユニットを示す分解斜視図である。
【図4】同流路形成ユニットにおけるユニット本体を示す正面図である。
【図5】図4のB−B線に沿った断面矢視図である。
【図6】同ユニット本体の背面図である。
【図7】同ユニット本体の側面図である。
【図8】同流路形成ユニットにおける前板の背面図である。
【図9】同流路形成ユニットの縦断正面図である。
【図10】同浴槽用給口アダプタにおける槽外取付部材をI形仕様状態で示す側面図である。
【図11】同槽外取付部材をI形仕様状態で示す平面図である。
【図12】同槽外取付部材をI形仕様状態で示す平面断面図である。
【図13】同槽外取付部材をL形仕様状態で示す側面図である。
【図14】同槽外取付部材をL形仕様状態で示す平面図である。
【図15】同槽外取付部材をL形仕様状態で示す側面断面図である。
【図16】同槽外取付部材をL形仕様状態で示す平面断面図である。
【図17】同槽外取付部材の外管接続部の変形例をI形仕様状態で示す側面断面図である。
【図18】同外管接続部の変形例をL形仕様状態で示す側面断面図である。
【図19】図8および図9で使用したクイックファスナーを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0100】
10・・・流路形成ユニット
71・・・槽外取付部材
72・・・槽内取付部材
710・・・槽外取付部材本体
710a,710b・・・槽外取付部材本体の後端ポート部
720A,720B・・・槽外取付部材における外管接続部
721・・・外管接続部の基端部
721a・・・外管接続部の基端部の傾斜接合面
721b・・・外管接続部の基端部側のフランジ
722・・・外管接続部の先端部
722a・・・外管接続部の先端部の傾斜接合面
722b・・・外管接続部の先端部のフランジ
750・・・直線部
800・・・ねじ
900・・・クイックファスナー
A・・・浴槽用給湯口アダプタ
H・・・浴槽側壁の貫通孔
T・・・浴槽
Ta・・・浴槽の側壁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の側壁外面側に設けられる槽外取付部材を備え、浴槽の内部と外部との間で流路を形成するようにした浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置において、
前記槽外取付部材は、前記浴槽の側壁外面側に固定される槽外取付部材本体と、この槽外取付部材本体内の流路の後端ポート部に連通するとともに、該槽外取付部材本体の後壁から突出する外管接続部とから構成されており、
前記外管接続部は、前記後端ポート部の管軸に対して交差する方向に沿って傾斜した接合面を存在させて基端部側と先端部側とに2分割されるとともに、この外管接続部が前記後端ポート部の管軸に沿った方向へ突出する状態で先端部側の傾斜接合面を基端部側の傾斜接合面に接合したI形仕様対応状態と、この外管接続部が前記後端ポート部の管軸に対して屈曲する状態で先端部側の傾斜接合面を前記基端部側の傾斜接合面に接合したL形仕様対応状態とが選択可能に構成されていることを特徴する浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置。
【請求項2】
前記先端部および基端部の両傾斜接合面は、後端ポート部の管軸に対する交差角度が45°に設定されている請求項1に記載の浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置。
【請求項3】
前記外管接続部は、互いに並列状に配置された一対のものが互いに基部側で連結されている請求項1または2に記載の浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置。
【請求項4】
前記外管接続部の基端部における傾斜接合面が、その接合面に直交する方向に延びる直線状部を介して基端部に設けられるとともに、先端部における傾斜接合面が、その接合面に直交する方向に延びる直線状部を介して先端部に設けられる請求項1〜3のいずれか一つの項に記載の浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置。
【請求項5】
前記外管接続部における基端部および先端部には、それぞれ各接合面回りのフランジが形成されている請求項1〜4のいずれか一つの項に記載の浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置。
【請求項6】
前記基端部側のフランジと先端部側のフランジとがねじ止めで結合されている請求項5に記載の浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置。
【請求項7】
前記基端部側のフランジと先端部側のフランジとが、両フランジを径方向から弾性的に抱持し、且つ管軸方向から挟持するクイックファスナーで結合されている請求項5に記載の浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置。
【請求項1】
浴槽の側壁外面側に設けられる槽外取付部材を備え、浴槽の内部と外部との間で流路を形成するようにした浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置において、
前記槽外取付部材は、前記浴槽の側壁外面側に固定される槽外取付部材本体と、この槽外取付部材本体内の流路の後端ポート部に連通するとともに、該槽外取付部材本体の後壁から突出する外管接続部とから構成されており、
前記外管接続部は、前記後端ポート部の管軸に対して交差する方向に沿って傾斜した接合面を存在させて基端部側と先端部側とに2分割されるとともに、この外管接続部が前記後端ポート部の管軸に沿った方向へ突出する状態で先端部側の傾斜接合面を基端部側の傾斜接合面に接合したI形仕様対応状態と、この外管接続部が前記後端ポート部の管軸に対して屈曲する状態で先端部側の傾斜接合面を前記基端部側の傾斜接合面に接合したL形仕様対応状態とが選択可能に構成されていることを特徴する浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置。
【請求項2】
前記先端部および基端部の両傾斜接合面は、後端ポート部の管軸に対する交差角度が45°に設定されている請求項1に記載の浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置。
【請求項3】
前記外管接続部は、互いに並列状に配置された一対のものが互いに基部側で連結されている請求項1または2に記載の浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置。
【請求項4】
前記外管接続部の基端部における傾斜接合面が、その接合面に直交する方向に延びる直線状部を介して基端部に設けられるとともに、先端部における傾斜接合面が、その接合面に直交する方向に延びる直線状部を介して先端部に設けられる請求項1〜3のいずれか一つの項に記載の浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置。
【請求項5】
前記外管接続部における基端部および先端部には、それぞれ各接合面回りのフランジが形成されている請求項1〜4のいずれか一つの項に記載の浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置。
【請求項6】
前記基端部側のフランジと先端部側のフランジとがねじ止めで結合されている請求項5に記載の浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置。
【請求項7】
前記基端部側のフランジと先端部側のフランジとが、両フランジを径方向から弾性的に抱持し、且つ管軸方向から挟持するクイックファスナーで結合されている請求項5に記載の浴槽用給湯口アダプタにおける外管接続装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−133653(P2010−133653A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−310518(P2008−310518)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(594107103)株式会社ハタノ製作所 (40)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(594107103)株式会社ハタノ製作所 (40)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]