説明

浴槽装置

【課題】浴槽内に、入浴者のリラックス感を高める水流を生じさせることができる浴槽装置を提供する。
【解決手段】浴槽1と、浴槽の内部に貯留された浴槽水を吸い込んで、2箇所以上から浴槽の内部に吐出させ、これら吐出流を浴槽の内部で衝突させる吐出流衝突手段とを備えている。前記吐出流衝突手段は、前記吐出流を短辺側浴槽壁3a近傍で衝突させ、それぞれが前記浴槽の内部に臨む吐出口を有する複数の吐出ノズル7、7を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、相対向する一対の短辺側浴槽壁のそれぞれに吐出ノズルを設け、各吐出ノズルから対向壁方向へ直線的に水流を生じさせる浴槽があった。通常、入浴者は、浴槽長辺方向に体を伸ばして入浴するため、対向壁からの水流は入浴者に遮られ、また入浴者背側の水流は入浴者の背中の狭い同一部に連続的に衝突するため、刺激が強く、不快に感じる場合があり、そのため長い時間の噴流浴を楽しむことは難しい。
【0003】
また、特許文献2には、円形浴槽の湾曲した浴壁壁に沿って水流を生じさせるものが開示されているが、入浴者に対して一方向から一様に水流があたるため、人によっては、飽きやすく、また流される不安感を感じる場合もある。そのため、リラックスして長い時間の噴流浴を楽しむことは難しい。
【特許文献1】特開平7−178142号公報
【特許文献2】特開平8−38570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、浴槽内に、入浴者のリラックス感を高める水流を生じさせることができる浴槽装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、浴槽と、前記浴槽の内部に貯留された浴槽水を吸い込んで、2箇所以上から前記浴槽の内部に吐出させ、これら吐出流を前記浴槽の内部で衝突させる吐出流衝突手段と、を備えたことを特徴とする浴槽装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、浴槽内に、入浴者のリラックス感を高める水流を生じさせることができる浴槽装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0008】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る浴槽装置の概略構成を表す模式図である。
【0009】
本実施形態に係る浴槽装置は、浴槽1と、浴槽1の内部に貯留された浴槽水を吸い込んで、2箇所以上から浴槽1の内部に吐出させ、これら吐出流を浴槽1の内部で衝突させる吐出流衝突手段とを備える。
【0010】
浴槽1は、略平行に相対向する一対の長辺側浴槽壁4a、4bと、略平行に相対向する一対の短辺側浴槽壁3a、3bとを有する。
【0011】
吐出流衝突手段は、具体的には、例えば長辺側浴槽壁4bに開口された吸入口5と、吸入口5に連通した循環路13、14と、循環路13、14の途中に設けられた加圧装置であるポンプ15と、短辺側浴槽壁3aに設けられた2つの吐出ノズル7とを有する。
【0012】
ポンプ15が駆動されると、浴槽1の内部に貯留された浴槽水(湯も含む)は吸入口5を介して循環路13へと吸い込まれる。
【0013】
一般に、入浴者は、一方の短辺側浴槽壁(図1に表す具体例では短辺側浴槽壁3a)に背をもたれかけて、他方の短辺側浴槽壁(図1に表す具体例では短辺側浴槽壁3b)に足を向けた姿勢で入浴するため、吸入口5を短辺側浴槽壁に形成した場合には、入浴者の背中や足裏で吸入口5がふさがれポンプ15に過剰の負荷がかかることが懸念される。したがって、吸入口5は、入浴者の身体の一部等によってふさがれにくい長辺側浴槽壁に形成するのが望ましい。なお、図1に表す具体例では、吸入口5を、長辺側浴槽壁4bに形成したが、図3に表す後述する具体例のように長辺側浴槽壁4aに形成してもよい。
【0014】
循環路13の一端は吸入口5に接続され、他端はポンプ15の吸入口に接続されている。循環路14の一端はポンプ15の吐出口に接続され、他端は吐出ノズル7に接続されている。ポンプ15は、吸入口5から循環路13内に浴槽水を吸い込むと共に、その吸い込んだ浴槽水を加圧してポンプ15の下流側の循環路14に吐出する。このポンプ15から吐出された加圧浴槽水は、吐出ノズル7の流水導入口に流入する。使用していないときに、ポンプ15内部の残留水を抜くために、ポンプ15は吐出ノズル7よりも上方に設けることが望ましい。また、ポンプ15への浴槽水の吸入を補助するため、浴槽水水位以下の高さにポンプ15を設置することが望ましい。
【0015】
2つの吐出ノズル7は、短辺側浴槽壁3a内壁面に、略同じ高さに所定距離間して設けられている。2つの吐出ノズル7は、互いの吐出口を、浴槽短辺方向の中心に向けて対向させている。吐出ノズル7が設けられた一方の短辺側浴槽壁3aの反対側の他方の短辺側浴槽壁3bの上方には図示しない浴槽側水栓が設けられるため、通常、入浴者は自然と吐出ノズル7が設けられた側の短辺側浴槽壁3aに背中を向けた姿勢で入浴する。
【0016】
浴槽1近傍に設けられた図示しないコントローラのスイッチを入浴者が操作すると、ポンプ15が起動し、浴槽1内に貯留された浴槽水が吸入口5から循環路13内へと吸入される。この吸入された浴槽水は、ポンプ15にて加圧されて、循環路14を介して、吐出ノズル7に導入され、各吐出ノズル7の吐出口から浴槽1内に貯留された浴槽水内に吐出される。
【0017】
2つの吐出ノズル7は、互いの吐出口を、浴槽短辺方向の中心に向けて対向させているため、各吐出ノズル7の吐出口から吐出された吐出流の1次流(吐出流が浴槽水中を流れることにより生じた粘性による副次流ではなく且つ衝突前の主流)は、短辺側浴槽壁3aに沿って流れ、短辺側浴槽壁3a近傍における浴槽短辺方向の中央付近で衝突する。
【0018】
この吐出流の衝突により、短辺側浴槽壁3a近傍の圧力が高くなり、またその衝突が短辺側浴槽壁3a近傍で起こるためにその衝突流の短辺側浴槽壁3a側への逃げ道がないため、衝突流は、短辺側浴槽壁3aに背中を向けている入浴者のその背中に向けて押し出される。
【0019】
前述した2つの吐水流の衝突により複雑な渦流れが生じ、入浴者の背中側へ押し出される水流は一様とならず、広い面にてランダムな水流となる。このランダムな水流を、入浴者は背中の広範囲にわたって受けることで、背中を揺らされているように感じ、この揺られ感がリラックス効果を生み出す。そのため、まっすぐな噴流を直接局所的に受けるよりも、長時間の噴流浴を楽しめる。さらに、複雑な渦流れが入浴者の肌表面を柔らかくさする効果を生むため、リラックス効果を生むと共に、肌接触水の頻繁な交代により、接触界面が更新され、肌を温める効果を生む。
また、吐出流衝突手段は、浴槽1内で衝突させるべき吐出流を間欠的に吐出することもできる。本実施形態では、具体的には、ポンプ15のモータへの印加電圧を制御することで、吐出ノズル7から間欠的に水流を吐出させることができる。吐出ノズル7からの吐出を間欠的にすると、入浴者の背中側へ押し出される衝突流が間欠的に発生するため、入浴者はよりいっそう背中を揺らされているように感じ、人によっては体の浮遊感を感じることもできる。
【0020】
以下、本発明の他の実施形態について説明する。なお、前述した第1の実施形態と同じ構成部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0021】
[第2の実施形態]
図2は、本発明の第2の実施形態に係る浴槽装置の概略構成を表す模式図である。
【0022】
本実施形態では、2つの吐出ノズル7は、長辺側浴槽壁4a、4b内に収めて設けており、浴槽内部に突き出ていない。2つの吐出ノズル7は、入浴者に吐出流が直接当たらないように、短辺側浴槽壁3a近傍の位置で、吐出流を短辺側浴槽壁3aに沿わせるように、吐出方向が短辺側浴槽壁3aに対して略平行もしくは吐出口を短辺側浴槽壁3a側に若干傾けて設けられている。
【0023】
本実施形態においても、各吐出ノズル7の吐出口から吐出された吐出流の1次流は、短辺側浴槽壁3aに対して略平行に流れ、短辺側浴槽壁3a近傍における浴槽短辺方向の中央付近で衝突する。この吐出流の衝突により、短辺側浴槽壁3a近傍の圧力が高くなり、またその衝突が短辺側浴槽壁3a近傍で起こるためにその衝突流の短辺側浴槽壁3a側への逃げ道がないため、衝突流は、短辺側浴槽壁3aに背中を向けている入浴者のその背中に向けて押し出される。
【0024】
前述した2つの吐水流の衝突により複雑な渦流れが生じ、入浴者の背中側へ押し出される水流は一様とならず、広い面にてランダムな水流となる。このランダムな水流を、入浴者は背中の広範囲にわたって受けることで、背中を揺らされているように感じ、この揺られ感がリラックス効果を生み出す。そのため、まっすぐな噴流を直接局所的に受けるよりも、長時間の噴流浴を楽しめる。また、2つの吐出ノズル7が浴槽1の内槽内に突き出していないため、入浴時にノズルが邪魔にならないとの利点を有している。
【0025】
[第3の実施形態]
図3は、本発明の第3の実施形態に係る浴槽装置の概略構成を表す模式図である。
【0026】
本実施形態では、一対の長辺側浴槽壁4a、4bのそれぞれに吐出ノズル21が設けられている。各吐出ノズル21は、浴槽長辺方向の略中央もしくは若干足側の短辺側浴槽壁3bに寄った位置に設けられている。各吐出ノズル21の吐出口は、入浴者の背が向けられる短辺側浴槽壁3aに向けられている。
【0027】
図4は、吐出ノズル21の拡大断面図を表す。図4に表す吐出ノズル21は、図3において一方の長辺側浴槽壁4aに設けられた吐出ノズル21であるが、他方の長辺側浴槽壁4bに設けられた吐出ノズル21も同様に構成される。
【0028】
吐出ノズル21は、長辺側浴槽壁4aに取り付けられる取付部材31と、この取付部材31に対して回動自在に保持される球体33とを有する。取付部材31の内部にはL字状の流水導入路34が形成されている。球体33の内部には一端に吐出口37を、他端に前記流水導入路34に連通する流水導入部35を有するL字状に屈曲した流路36が形成されている。球体33は、吐出口37を短辺側浴槽壁3aに向けた状態で、取付部材31に対して保持される。
【0029】
各吐出ノズル21の流水導入路34は、図3に表す循環路27、切替手段(例えば三方弁、電動三方弁)30、および循環路28を介して、ポンプ15の吐出口に接続されている。
【0030】
入浴者の背が向けられる短辺側浴槽壁3aには、2つの噴流ノズル22が、略同じ高さで、浴槽短辺方向に離間して設けられている。各噴流ノズル22の噴出口は、足側の短辺側浴槽壁3bに対向している。各噴流ノズル22は、循環路26、切替手段30および循環路28を介して、ポンプ15の吐出口に接続されている。
【0031】
入浴者の足が向けられる短辺側浴槽壁3bにおいて、浴槽短辺方向の略中央にはノズル装置23が設けられている。図5に表すように、ノズル装置23は、上ノズル23aと、この下方に設けられた下ノズル23bとを有する。上ノズル23aは、水平に対して約3°上方に傾けられ、その噴出口からは浴槽水水面へ向けて噴出流が噴出される。下ノズル23bは、水平に対して約17°下方に傾けられ、その噴出口からは浴槽底面へ向けて噴出流が噴出される。
【0032】
上ノズル23aと下ノズル23bは、それぞれ、循環路27、切替手段30および循環路28を介して、ポンプ15の吐出口に接続されている。
【0033】
ポンプ15の吸入口は、循環路25を介して、長辺側浴槽壁4aに形成された吸入口5と接続されている。
【0034】
循環路28と循環路27とを連通させた状態で、ポンプ15が起動すると、浴槽1内に貯留された浴槽水が吸入口5から循環路25内へと吸入される。この吸入された浴槽水は、ポンプ15にて加圧されて、循環路28、27を介して、吐出ノズル21に導入され、各吐出ノズル21の吐出口から浴槽1内に貯留された浴槽水内に吐出される。
【0035】
2つの吐出ノズル21は、その吐出口を、短辺側浴槽壁3aに向けているため、各吐出ノズル21の吐出口から吐出された吐出流の1次流は、長辺側浴槽壁4a、4bに沿って流れ、さらに長辺側浴槽壁4a、4bと短辺側浴槽壁3aとのコーナー部壁面に沿って流れ入浴者の両腕の外側から背中側に回り込んで短辺側浴槽壁3aに沿って流れ、短辺側浴槽壁3a近傍における浴槽短辺方向の中央付近で衝突する。
【0036】
この吐出流の衝突により、短辺側浴槽壁3a近傍の圧力が高くなり、またその衝突が短辺側浴槽壁3a近傍で起こるためにその衝突流の短辺側浴槽壁3a側への逃げ道がないため、衝突流は、短辺側浴槽壁3aに背中を向けている入浴者のその背中に向けて押し出される。
【0037】
前述した2つの吐水流の衝突により、図6に表すように、複雑な渦流れが生じ、入浴者の背中側へ押し出される水流は一様とならず、広い面にてランダムな水流となる。このランダムな水流を、入浴者は背中の広範囲にわたって受けることで、背中を揺らされているように感じ、この揺られ感がリラックス効果を生み出す。そのため、まっすぐな噴流を直接局所的に受けるよりも、長時間の噴流浴を楽しめる。さらに、複雑な渦流れが入浴者の肌表面を柔らかくさする効果を生むため、リラックス効果を生むと共に、肌接触水の頻繁な交代により、接触界面が更新され、肌を温める効果を生む。また、吐出ノズル21からの吐出を間欠的にすると、入浴者の背中側へ押し出される衝突流が間欠的に発生するため、入浴者はよりいっそう背中を揺らされているように感じ、人によっては体の浮遊感を感じることもできる。
本発明者等は、実際に14人の人に、従来の水流浴(入浴者の背中に向けてまっすぐな気泡入り噴流をあてる場合)と、本実施形態の水流浴(前述した2つのノズル21からの吐水流を衝突させ、この衝突により生じた水流を入浴者の背中に作用させる場合)とを体験してもらって、アンケートをとった。この結果、14人中8人が、本実施形態の水流浴を選ぶとの回答を得た。また、体験者からは、本実施形態の水流浴について、自然な流れ、全身を包み込む、揺られる、浮く、間接的な刺激、ふんわり当たるなどの意見が得られた。
【0038】
本実施形態においても、ポンプ15の駆動モータへの印加電圧を制御することで、吐出ノズル21からの吐出を間欠的にして、もしくは吐出流量を制御して、略正弦波のような揺らぎ感のある水流を浴槽1内に作り出すことが可能である。あるいは、切替手段30の切替制御によって、循環路28と循環路27との間を間欠的に連通させることによっても、吐出ノズル21からの水流吐出を間欠的にできる。
【0039】
また、循環路28と循環路27とを連通させた状態で、ポンプ15が起動すると、前述した吐出ノズル21以外にも、図5に表す上ノズル23a及び下ノズル23bから噴流が噴出される。上ノズル23a及び下ノズル23bから噴出された1次流は、浴槽1内における水面および底面に沿って流れる。上ノズル23aからの水流は、入浴者の腹部、胸部に達し、さらに背中に回り込む。下ノズル23bからの水流は、浴槽底面に当たって入浴者の背中の下から上へと流れる。
【0040】
上ノズル23a及び下ノズル23bからの水流は、進むにつれて粘性により1次流近傍に副次流(乱流)を生成する。この生成された副次流は、入浴者に柔らかな水流感を感じさせる。さらにその柔らかな水流は、肌表面に微小渦を発生させ、これにより、強い衝突感や強い水流感なしに、肌接触水の頻繁な交代により、接触界面が更新され、肌を温める効果を生むと共に、柔らかくさすられている感じを受けるため、リラックスできる。前述した吐出ノズル21からの吐出流の衝突による衝突流の効果と併せて、よりリラックス感を向上させることができる。
【0041】
さらに、入浴者の背が向けられる短辺側浴槽壁3aに設けた噴流ノズル22からは、入浴者の背中や腰に対してまっすぐに進む噴流、もしくは入浴者の背中や腰の広い範囲にあたる旋回流を噴出させて、比較的強い刺激によるマッサージ効果を入浴者にもたらせることもできる。
【0042】
前述したノズル21、23a、23bからの吐出流によるリラックスモードと、ノズル22からの噴出流によるマッサージモードとは、切替手段30によって、循環路28と循環路27とを連通させるか、あるいは循環路28と循環路26とを連通させるかによって選択できる。入浴者は、リラックスモードとマッサージモードの両方が楽しめるため、飽きづらく、長く噴流浴が楽しめる。
【0043】
浴槽1内に貯留された浴槽水の排水時には、切替手段30としての例えば三方弁を連続的に切り替える、もしくは循環路27および循環路28の双方に連通する位置で固定することにより、ポンプ15の停止状態におけるリラックスモード循環路とマッサージモード循環路の両モード循環路を同時または交互に連通して、循環路内の残水を排水するようにすれば、循環路内に残水が残らず衛生的である。
【0044】
各ノズル21、22、23a、23bからの吐出流量は、コントローラに具備した例えば強・中・弱スイッチの切り替えにより、ポンプ15の駆動モータへの印加電圧を制御することで可変させることが可能である。
【0045】
第3の実施形態において前述した説明では、リラックスモード時にノズル21に加圧浴槽水を供給する循環路27と、マッサージモード時にノズル22に加圧浴槽水を供給する循環路26とを切替手段30を介して接続させた構成としたが、切替手段30を設けず、循環路27、26のそれぞれに加圧浴槽水を供給する2つのポンプを設けてもよい。ただし、前述したように、リラックスモード用の循環路27と、マッサージモード用の循環路26とを切替手段30を介して接続し、それら両循環路27、26で1つのポンプ15を共用すれば、ポンプ自体及びポンプの駆動系統の個数増大を抑えてコスト低減が図れ、また配管長を短くでき圧損を抑制できる。
【0046】
[第4の実施形態]
図7は、本発明の第4の実施形態に係る浴槽装置の概略構成を表す模式図である。
【0047】
本実施形態では、吐出ノズル21用の循環系統と、上ノズル23a及び下ノズル23b用の循環系統とを、別々に分けて設けている。
【0048】
一方の長辺側浴槽壁4aにおいて、吐出ノズル21の吐出方向の反対側の短辺側浴槽壁3b近くには吸入口46が形成され、その吸入口46は循環路47を介してポンプ42の吸入口に接続されている。ポンプ42の吐出口は、循環路48を介して上ノズル23a及び下ノズル23bに接続されている。
【0049】
他方の長辺側浴槽壁4bにおいて、吐出ノズル21の吐出方向の反対側の短辺側浴槽壁3b近くには吸入口43が形成され、その吸入口43は循環路44を介してポンプ41の吸入口に接続されている。ポンプ41の吐出口は、循環路45を介して吐出ノズル21に接続されている。
【0050】
ポンプ41とポンプ42とは、交互に間欠的に駆動される。これにより、2つの吐出ノズル21からの吐出流の衝突に生じたランダムな水流によって、入浴者が背中側から圧力を受ける場合と、上ノズル23a及び下ノズル23bからの吐出流が入浴者の背中に回り込んで入浴者の背中に作用する場合との両方の圧力が存在することから、入浴者を揺らす効果が増大する。なお、これを、2つのポンプを用いず、1つのポンプと例えば三方弁などの切替手段との組み合わせにて実現してもよい。
【0051】
[第5の実施形態]
図8は、本発明の第5の実施形態に係る浴槽装置の概略構成を表す模式図である。
【0052】
本実施形態では、2つの吐出ノズル7を長辺側浴槽壁4a、4b内に収めて設けた点は図2に表す第2の実施形態と同様であるが、本実施形態では、各吐出ノズル7を、浴槽長辺方向の略中央に設けている。
【0053】
各吐出ノズル7の吐出口から吐出された吐出流の1次流は、短辺側浴槽壁3aに対して略平行に流れ、浴槽1の中央付近、すなわち入浴者の腹部付近で衝突する。これら2つの吐水流の衝突により複雑な渦流れが生じ、このランダムな水流を、入浴者は腹部及びその近傍の広範囲にわたって受けることで、体を揺らされているように感じ、この揺られ感がリラックス効果を生み出す。
【0054】
衝突流を生じさせるための吐出流を吐出するノズルの吐出口の形状は、円形でもよいが、前述したノズル21のように、浴槽壁面に沿わせて流れを生じさせる場合には、図9に表す吐出口71のように浴槽壁の縦方向に長く延びた楕円形状、または図10に表す吐出口72のように浴槽壁の縦方向に長く延びた矩形状、または図11に表す吐出口73のように浴槽壁の縦方向に長く延び、角が丸まった矩形状とするのが望ましい。
【0055】
このように、吐出口を、浴槽壁の縦方向に延びた扁平状にすることで、浴槽壁面に沿って流れる水量が増加し、その流れが所望の場所にて衝突する衝突水量を増大させることにつながり、揺られ感の向上を図れる。
【0056】
前述した実施形態では、主に2つのノズルより吐水される吐水流を衝突させる場合について説明したが、例えば、図1に表す第1の実施形態において、吐出ノズル7を縦方向(浴槽深さ方向)に上下2式設け、上下2水準高さにて、同時に水流を衝突させても良い。また、それら上下2水準高さの水流衝突を交互に切り替えるようにし、入浴者に、さらに強く体が揺らされている感じを感じさせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る浴槽装置の概略構成を表す模式図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る浴槽装置の概略構成を表す模式図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る浴槽装置の概略構成を表す模式図である。
【図4】図3に表す吐出ノズル21の拡大断面図である。
【図5】図3に表すノズル装置23の構成を表す模式図である。
【図6】図3に表す2つの吐出ノズル21から吐出された水流が衝突する様子を表す写真図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る浴槽装置の概略構成を表す模式図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係る浴槽装置の概略構成を表す模式図である。
【図9】本発明の実施形態に係る浴槽装置における吐出ノズルの吐出口の具体例を表す模式図である。
【図10】本発明の実施形態に係る浴槽装置における吐出ノズルの吐出口の他の具体例を表す模式図である。
【図11】本発明の実施形態に係る浴槽装置における吐出ノズルの吐出口のさらに他の具体例を表す模式図である。
【符号の説明】
【0058】
1…浴槽、5…吸入口、7…吐出ノズル、21…吐出ノズル、22…噴流ノズル、23a,23b…噴流ノズル、71〜73…吐出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽と、
前記浴槽の内部に貯留された浴槽水を吸い込んで、2箇所以上から前記浴槽の内部に吐出させ、これら吐出流を前記浴槽の内部で衝突させる吐出流衝突手段と、
を備えたことを特徴とする浴槽装置。
【請求項2】
前記吐出流衝突手段は、前記吐出流を短辺側浴槽壁近傍で衝突させることを特徴とする請求項1記載の浴槽装置。
【請求項3】
前記吐出流衝突手段は、それぞれが前記浴槽の内部に臨む吐出口を有する複数の吐出ノズルを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の浴槽装置。
【請求項4】
前記吐出ノズルは、短辺側浴槽壁に保持されたことを特徴とする請求項3記載の浴槽装置。
【請求項5】
前記吐出ノズルが保持された前記短辺側浴槽壁は、入浴者の背中が向けられる側の短辺側浴槽壁であることを特徴とする請求項4記載の浴槽装置。
【請求項6】
前記吐出流衝突手段は、前記吐出流を間欠的に吐出させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の浴槽装置。
【請求項7】
前記吐出流が浴槽壁に沿って流れるように、前記吐出ノズルにおける吐出方向が設定されたことを特徴とする請求項3記載の浴槽装置。
【請求項8】
前記吐出ノズルの吐出口が、前記浴槽壁の縦方向に延びた扁平状に形成されたことを特徴とする請求項7記載の浴槽装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−136590(P2008−136590A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−324244(P2006−324244)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】