説明

浴槽

【課題】 要介助者が浴槽へ出入りするときに手摺に足が引っ掛かることを抑制することができる浴槽を提供する。
【解決手段】 浴槽10は、桶状のバスタブ11を有しており、該バスタブ11の第1及び第2長側壁22a,22bの内面の上端部には複数の取付凹部24が凹設されている。該取付凹部24の内側には、要介護者の入浴を補助するための手摺り棒32が設けられているとともに、該手摺り棒32は、その全体が該取付凹部24の内側に収容されるように配置されており、該バスタブ11の内側へ突出しないように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、要介助者補助のための手摺りを取り付けた浴槽に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、高齢者、障害者等のような足腰に不安のある要介助者の浴槽への出入りを補助するために、特許文献1〜特許文献3に示されるような手摺りを取り付けた浴槽が提供されている。このような浴槽では、手摺りを浴槽本体の長側壁の上端面から、あるいは長側壁の内面上から突出して形成している。また該浴槽においては、長側壁の上端面又は長側壁の内面と該手摺りの間に手を入れるための隙間が形成されているものが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−18980号公報
【特許文献2】特開2006−263231号公報
【特許文献3】特開2000−152889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来の浴槽については、浴槽への出入りのために手摺りを設けることが、要介助者にとって却って危険になるおそれがあった。これは、要介助者は運動機能が低下しているのみならず、反射速度、視力もまた低下している可能性が高く、極僅かな突起でさえも要介助者の足が容易に引っ掛かってしまうためである。
すなわち、要介助者が浴槽本体の長側壁を跨ごうとするとき、長側壁の上端よりもさらに上に手摺りが存在するため、足が上がりきらずに該手摺に引っ掛かってしまう。特に、一部の浴槽は該浴槽の底が浴室の床に比べて低くなっており、このような浴槽の側壁上端に手摺りを取り付けると、浴槽から外へ出ようとする要介助者が該手摺りに頻繁に引っ掛かる。
浴槽本体の長側壁の内面上に手摺りが存在する場合には、水による光の屈折等で手摺りの位置が把握しづらくなっているため、要介助者は該手摺りを避けたつもりで該手摺に足を引っ掛かけたり、該手摺で膝や脛を打ってしまう。また多くの要介助者は、長側壁の内面に足を接触させつつ滑らせながら上げ下ろしすることで浴槽の縁や浴槽の底を確認しているため、長側壁の内面上に手摺りを突出して取り付けると、該手摺りに手を掛けるために形成された隙間に足や膝が入り込み易く、特に高い確率で要介護者が引っ掛かってしまう。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、要介助者が浴槽へ出入りするときに手摺に足が引っ掛かることを抑制することができる浴槽を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の浴槽の発明は、桶状のバスタブを有しており、該バスタブの側壁の内面の上端部には複数の取付凹部が凹設されており、該取付凹部の内側には要介護者の入浴を補助するための手摺り棒が、その全体が該取付凹部の内側に収容されるようにして、設けられていることを要旨とする。
上記構成の浴槽によれば、バスタブの側壁の内面に凹設された取付凹部に手摺り棒を、その全体が取付凹部の内側に収容されるようにして設ける構成となっている。このため、手摺り棒は、取付凹部の内側からバスタブ内に突出することなく、バスタブの側壁内に配されている。また取付凹部内に設けられた手摺り棒は、バスタブの側壁の内面の上端部、つまり該バスタブの開口の直近位置であって要介護者がバスタブに出入りするときに確認がしやすい部位に配置されている。従って、要介護者がバスタブに出入りするときに手摺り棒に引っ掛かることを抑制することができる。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の浴槽の発明において、上記バスタブと、上記手摺り棒及び該手摺り棒の両端に取り付けられた一対の固定板を備えてなる手摺りユニットと、を有しており、該手摺りユニットは、その全体が該取付凹部の内側に収容された状態で該バスタブに固定されていることを要旨とする。
上記構成の浴槽によれば、バスタブの側壁の内面に凹設された取付凹部に手摺りユニットを、その全体が取付凹部の内側に収容されるようにして固定する構成となっている。このため、手摺りユニットを構成する固定板及び手摺り棒は、取付凹部の内側からバスタブ内に突出することなく、バスタブの側壁内に配されている。またバスタブと手摺りユニットとを別体で構成したことにより、バスタブと手摺り棒を一体で構成することに比べて、成形時の浴槽形状が複雑になることを抑制することができる。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の浴槽の発明において、該取付凹部は、側壁の内面に臨む部位と、側壁の上端面に臨む部位と、の2面が開放された形状となるように、該側壁の内面の上縁に凹設されていることを要旨とする。
上記構成の浴槽によれば、側方に加えて上方からも手摺りユニットの手摺り棒に触れて、これを把持することができる。特に上方から手摺り棒を把持できるようになると、手摺り棒を該側壁の上端から突出させることなく設けることができるとともに、要介護者が側壁を跨いでバスタブに出入りするときに該手摺り棒を支えとすることができる。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載の浴槽の発明において、該バスタブにおいて、同じ側壁の内面上に設けられた複数の該取付凹部は、該側壁の幅方向における中央線を基準として、線対称の位置関係となるように配置されていることを要旨とする。
上記構成の浴槽によれば、バスタブの設置方向、設置位置が異なる浴室に該浴槽を設置する場合であっても、例えば取付凹部の位置を変更する等のようなバスタブの設計変更を行わずともよく、対応することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、要介助者が浴槽へ出入りするときに手摺に足が引っ掛かることを抑制することができる浴槽を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)は実施形態の浴槽を示す分解斜視図、(b)は図1(a)中のA−A線における断面図。
【図2】手摺りユニットを示す斜視図。
【図3】バスタブを示す断面図。
【図4】別形態の浴槽を示す斜視図。
【図5】別形態の浴槽を示す斜視図。
【図6】浴槽にオプションユニットの一例を装着した状態を示す斜視図。
【図7】浴槽にオプションユニットの一例を装着した状態を示す斜視図。
【図8】オプションユニットの一例を示す断面図。
【図9】浴槽にオプションユニットの一例を装着した状態を示す斜視図。
【図10】浴槽にオプションユニットの一例を装着した状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の浴槽を具体化した一実施形態について説明する。
図1(a)に示すように、浴槽10は、バスタブ11と、要介護者の入浴を補助するために設けられた手摺りユニット12と、を有している。
該バスタブ11は、平面視で長方形状をなす底板21と、該底板21の両長辺側縁に立設された第1及び第2長側壁22a,22bと、該底板21の両短辺側縁に立設された第1及び第2短側壁23a,23bと、によって桶状に形成されている。そして要介護者等は、該バスタブ11内に入り込み、底板21上に座って該バスタブ11内に溜められた湯に浸かることで入浴する。
なお本実施形態のバスタブ11は、浴室の隅角で蛇口13が設けられた壁に図中で左奥側の第2短側壁23bが接し、該蛇口13が設けられた壁と隣接する壁に図中で右奥側の第2長側壁22bが接するように配置されており、主に要介護者は、第1短側壁23a側に頭を向けて入浴する。またバスタブ11には、各側壁が中空のものと、中実のものとがあるが、何れのものであってもよい。
【0012】
該バスタブ11の内側となる面を内面として、第1及び第2長側壁22a,22bの内面の上端部であって上縁には、上記手摺りユニット12を取り付けるための複数の取付凹部24が凹設されている。
図1(b)に示すように、該取付凹部24は、例えば第1及び第2長側壁22a,22bをその内面が凹むように成形したり、一部を切除したり等して形成されたものであり、第1及び第2長側壁22a,22bの内面の上縁で角部に凹設され、その内面の断面形状がL字状をなしている。従って、該取付凹部24は、第1及び第2長側壁22a,22bの内面に臨む部位である前面24aと、第1及び第2長側壁22a,22bの上端面に臨む部位である上面24bと、の2面が開放された形状となる。
なお、該取付凹部24は、第1及び第2長側壁22a,22bを貫通するように形成された穴ではなく、第1及び第2長側壁22a,22bを凹ませる等することで凹所として形成されたものである。これは、該取付凹部24を穴として形成した場合には、湯が該穴から外へ抜け出てしまうことで該バスタブ11内に溜めることが出来る湯量が減ってしまうためである。
【0013】
図2に示すように、上記手摺りユニット12は、対向配置された一対の固定板31と、該一対の固定板31間を繋ぐ手摺り棒32と、を備えている。該手摺り棒32は、要介護者が握りやすいように丸棒形状とされている。また該手摺り棒32は、該バスタブ11の取付凹部24に手摺りユニット12を取り付けた状態で、第1及び第2長側壁22a,22bの内面から該バスタブ11の内部へ突出しないようにするため、該固定板31の略中央位置に繋がるように配設されている。さらに該手摺りユニット12においては、一対の固定板31の周縁の間に断面L字状をなす連結板33が架設されており、該手摺りユニット12の強度を向上させている。
なお、該手摺りユニット12は、合成樹脂、金属等を材料に用いて一体成形してもよく、また、例えば固定板31及び連結板33を合成樹脂で一体成形したうえで、金属製の手摺り棒32をボルト固定、接着等して接合してもよい。
【0014】
当該浴槽10において、上記手摺りユニット12は、上記バスタブ11の取付凹部24に嵌め込まれたうえで、固定板31を該取付凹部24の内面に接着、溶着、超音波接着、ボルト締め等による螺着などの方法により接合することで固定される。また手摺りユニット12のバスタブ11に対する固定強度を上げたい場合は、連結板33を固定板31と同様の方法で取付凹部24の内面に接合してもよい。
該固定板31は、取付凹部24の内面で接合される部位と略等しい大きさに形成されている。また上述したように、手摺り棒32は固定板31の略中央位置に繋がるように配設されている。従って、手摺りユニット12は、その全体が取付凹部24の内側に収容された状態でバスタブ11に固定されているため、第1及び第2長側壁22a,22bの内面から突出しておらず、さらには第1及び第2長側壁22a,22bの上面からも突出していない。
【0015】
図1(a)及び図3に示すように、本実施形態の取付凹部24は、第1長側壁22aの内面上縁に2つ、第2長側壁22bの内面上縁に2つの計4つが設けられている。第1長側壁22aに設けられた2つ、あるいは第2長側壁22bに設けられた2つのように、同じ側壁に設けられた複数の取付凹部24は、互いの間に間隔を空けて配設され配設されている。このように取付凹部24同士の間に間隔を空けることで、第1長側壁22aの上面あるいは内面で手摺りユニット12同士の間に平面部25が形成されるため、該平面部25に座ったり、手をついたり等することができ、使い勝手を向上させることができる。
該バスタブ11において、同じ側壁の内面上に設けられた2つの取付凹部24は、該側壁の幅方向における中央線(図3中に一点鎖線Cで示す)を基準として、線対称の位置関係となるように配置されている。このため該バスタブ11に手摺りユニット12を取り付けた当該浴槽10は、第1短側壁23a側に頭を向けて入浴する場合と、第2短側壁23b側に頭を向けて入浴する場合とで手摺りユニット12の位置関係に差異が無いように構成されている。従って当該浴槽10を設計の異なる浴室(例えば蛇口13が設けられた壁に第1短側壁23aが接し、該蛇口13が設けられた壁と隣接する壁に第2長側壁22bが接するようにバスタブ11を配置する必要がある浴室)に設置する場合であっても、当該浴槽10の設計を変更することなく同一のものを設置することができる。
【0016】
さて上記浴槽10に要介助者が入浴するとき、要介助者は介助者に介添えされながら、第1長側壁22aの上面で開放された取付凹部24の内側に手を差し入れ、手摺り棒32を握り、体を支える。この後、要介助者は、該手摺り棒32を握って体を支えたまま、足を上げて第1長側壁22aを跨ぎ越す。このとき第1長側壁22aの上面に手摺りユニット12が突出していないため、要介助者は手摺りを跨ぐために足を上げ直したり、あるいは足を上げ損なって手摺りに引っ掛かったり等することなく、第1長側壁22aを楽に跨ぎ越すことができる。
第1長側壁22aを跨ぎ越した後、要介助者は足を、該第1長側壁22aの内面上で滑り伝わらせながら、あるいは第1長側壁22aの内面の直近位置で移動させながら、バスタブ11の底板21上に下ろす。このとき第1長側壁22aの内面に手摺りユニット12が突出していないため、要介助者は手摺りに引っ掛かったり、当たったり、あるいは手摺りを避けるために一旦足をバスタブ11の外に戻して再び第1長側壁22aの跨ぎ越しをやり直したり等することなく、底板21上に足を楽に下ろすことができる。
【0017】
以下、上記実施形態とは異なる別形態の浴槽について説明する。
図4に示すように、手摺りユニット12を使用しない場合、カバー体41を取付凹部24に取り付けることで、該取付凹部24を塞いでもよい。該カバー体41は、取付凹部24の前面と上面を塞ぐことが出来るように、断面逆L字状に形成されている。また該カバー体41は、取付凹部24から手摺りユニット12が取り外されたうえで該取付凹部24に接合してもよく、あるいは取付凹部24に手摺りユニット12が取り付けられたままの状態で該手摺りユニット12を覆うように取付凹部24に嵌着されてもよい。
【0018】
図5に示すように、取付凹部24は、第1及び第2長側壁22a,22bの上縁に設けられることに限らず、上端部であれば上縁よりも下方に設けてもよい。この場合、取付凹部24の内面形状は。前面が開放されたコ字状となる。またコ字状をなす該取付凹部24に上記のようなカバー体41を取り付けるように構成してもよく、このような場合のカバー体41は、板状に形成される。
【0019】
上記実施形態の浴槽10は、手摺りユニット12を取付用フックとして用いることにより、種々のオプションユニットを装着することが可能である。該オプションユニットは、該手摺りユニット12の手摺り棒32に嵌着される環状固定体51を備えていることが必須となる。該環状固定体51は、C環筒状をなし、その開環部位から内側に手摺りユニット12の手摺り棒32を嵌入するように構成されている(例えば図8参照)。該環状固定体51においては、開環部位からの手摺り棒32の抜け出しを規制するために該開環部位を閉塞する閉塞手段を設けてもよく、また手摺り棒32上での摺動を抑制するために内周面に滑り止め手段を設けてもよく、さらに手摺り棒32を締め付けることで環状固定体51を手摺り棒32に固定する緊結手段を設けてもよい。
【0020】
上記オプションユニットとして、図6に示すように、一対の該環状固定体51と、これら環状固定体51を連結する棒体52と、を備えているサポート手摺りユニット42が挙げられる。該サポート手摺りユニット42は、棒体52が対向配置された第1及び第2長側壁22a,22bの間に架設されるように構成されている。そして要介護者は、入浴中に該棒体52を掴むことで体を支えたり、あるいは棒体52を握ることで立ち上がったり等する。
また該サポート手摺りユニット42は、例えば要介護者がバスタブ11内に入るとき等に必要に応じて着脱されるが、該着脱時には環状固定体51を手摺り棒32の上方から嵌め入れ、あるいは手摺り棒32の上方へ取り外すことができる。加えて、該サポート手摺りユニット42は、着脱のために大きく上下移動させる必要が無く、さらに一方の環状固定体51を手摺りユニット12に取り付けておいて、この手摺りユニット12に取り付けられた環状固定体51を中心に他方の環状固定体51を上下に回動させることで、着脱作業を容易に行うことが出来る。
【0021】
上記オプションユニットとして、図7、図8に示すように、環状固定体51と、該環状固定体51から上方に延設された支持杆53と、該支持杆53の上方に支持された鞍台54と、該鞍台54から立設された手摺杆55と、を備えている出入り補助用サポート手摺りユニット43が挙げられる。該出入り補助用サポート手摺りユニット43において鞍台54は、支持杆53の上端から側方へ延設された上壁部54aと、該上壁部54aの先端から垂下された前垂壁部54bと、によって側面視で横L字状に形成されており、第1長側壁22aの上端に被さるように構成されている。また鞍台54の前垂壁部54bには、外側から内側に向かってねじ込むことにより第1長側壁22aの外面に圧接されて、該鞍台54を第1長側壁22aに固定する固定手段56が螺着されている。
該出入り補助用サポート手摺りユニット43は、第1長側壁22aの上端に固定装着されるように構成されている。そして要介護者は、バスタブ11内に入るべく該第1長側壁22aを跨ごうとするとき、該出入り補助用サポート手摺りユニット43の手摺杆55を握り掴むことで体を支えることができる。
該出入り補助用サポート手摺りユニット43においては、固定手段56をねじ込むときに、環状固定体51が手摺り棒32の上方から嵌め入れられていることから横方向へ移動しづらくなっている。このため、例えば壁体を第1長側壁22aの内面に押し当てながら固定手段56をねじ込むことで壁体と固定手段56の間に第1長側壁22aを挟み込む固定方式のものに比べ、該出入り補助用サポート手摺りユニット43は、第1長側壁22aへの固定が確実であり、使用時における外れ、ぐらつきを抑えることができる。特に、該環状固定体51に上記のような開環部位を閉塞する閉塞手段を設けた場合には、環状固定体51が手摺り棒32の上方向へ移動しづらくなるため、該環状固定体51が該手摺り棒32から外れたり、該環状固定体51がぐらついたりすることを抑制することができ、手摺り棒32に対する該環状固定体51の固定をより確実なものとすることができる。
【0022】
上記オプションユニットとして、図9に示すように、一対の環状固定体51と、これら環状固定体51から下方に延設された一対の吊下杆57と、一対の吊下杆57の間に架設された座板58と、を備えているバスボードユニット44が挙げられる。
該バスボードユニット44は、座板58が対向配置された第1及び第2長側壁22a,22bの間に架設されるように構成されている。そして要介護者は、入浴中に該座板58に座ることで体を支えたり、あるいは該座板58を踏み台とすることでバスタブ11内へ出入りする。
該バスボードユニット44においては、環状固定体51が手摺り棒32の上方から下方へ向かって嵌め入れられており、要介護者の使用時には座板58から吊下杆57を介して環状固定体51に下方への加重が加わることになるめ、該使用時に誤って外れることを防止することができる。
【0023】
上記オプションユニットとして、図10に示すように、環状固定体51と、該環状固定体51から横方向に延設された介助板59と、該介助板59の端部から垂下された支持脚60と、を備えている介助ユニット45が挙げられる。
該介助ユニット45は、介助板59が第1長側壁22aの上端から側方へ張り出すように構成されている。そして介助者は、入浴時に要介護者を介助板59に座らせる等して体重を預けさせることにより、要介護者の体の方向を変えたり、足を持ち上げたり等する。
該介助ユニット45においては、環状固定体51が手摺り棒32の上方から嵌め入れられており、要介護者を座らせると介助板を介して環状固定体51に下方への加重が加わることになるため、足を持ち上げたり等するときに誤って外れることを防止することができる。
【0024】
なお、上記した浴槽10については、バスタブ11の取付凹部24に手摺りユニット12を取り付けた構成のものとしたが、これに限らず、取付凹部24内に手摺り棒32のみを設けた構成のものとしてもよい。具体例としては、バスタブ11の成形時に取付凹部24の内側に手摺り棒32を一体的に成形する、バスタブ11とは別体で形成された手摺り棒32を取付凹部24の内側に接着、螺着、溶着、融着等の手段で接合固定する、などが挙げられる。
【符号の説明】
【0025】
10 浴槽
11 バスタブ
12 手摺りユニット
22a 第1長側壁
22b 第2長側壁
24 取付凹部
31 固定板
32 手摺り棒
C 中央線



【特許請求の範囲】
【請求項1】
桶状のバスタブを有しており、
該バスタブの側壁の内面の上端部には複数の取付凹部が凹設されており、
該取付凹部の内側には要介護者の入浴を補助するための手摺り棒が、その全体が該取付凹部の内側に収容されるようにして、設けられている
ことを特徴とする浴槽。
【請求項2】
上記バスタブと、上記手摺り棒及び該手摺り棒の両端に取り付けられた一対の固定板を備えてなる手摺りユニットと、を有しており、
該手摺りユニットは、その全体が該取付凹部の内側に収容された状態で該バスタブに固定されている
請求項1に記載の浴槽。
【請求項3】
該取付凹部は、側壁の内面に臨む部位と、側壁の上端面に臨む部位と、の2面が開放された形状となるように、該側壁の内面の上縁に凹設されされている
請求項1又は請求項2に記載の浴槽。
【請求項4】
該バスタブにおいて、同じ側壁の内面上に設けられた複数の該取付凹部は、該側壁の幅方向における中央線を基準として、線対称の位置関係となるように配置されている
請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載の浴槽。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−36557(P2011−36557A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188597(P2009−188597)
【出願日】平成21年8月17日(2009.8.17)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】