説明

浸漬梅の取出し方法

【課題】 塩漬けされた梅を天日干し等のために浸漬槽から取り出す作業を自動化することによって重労働をなくす。
【解決手段】 底部域に気泡放出部10を配設可能に構成した浸漬槽4に梅5を漬け込み、囲込みカバー14を浸漬槽4内の水面付近に配置し、一定間隔で取出部材24をベルト30に取付けたベルトコンベア装置1の先端部を浸漬槽4内に入れるとともにベルトコンベア装置1の他端部を浸漬槽4外に出し、気泡放出部10からの気泡によって沈んだ梅5を水面近くに浮上させ、囲込みカバー14で梅5を囲込みつつ浮上した梅5をベルトコンベア装置1によって浸漬槽4外に取り出すようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塩に漬けた梅を簡単に取り出す方法に関する。
【背景技術】
【0002】
梅干の産地などで大量の梅干を生産する場合には以下のように処理されることが一般的である。
まず、6月に収穫した梅(完熟梅)を流水で洗浄し、洗浄された梅の中から虫に食われたものや傷のあるものなどを取り除き、選別機でサイズ別に選別する。その後、生梅に対し重量比で20%〜23%程度の塩によって浸漬槽(浸漬樽)内で20日前後、塩漬けにする。生梅と塩を漬け込むと、塩の浸透作用によって生梅から梅酢が上がってきて浸漬槽内で生梅が梅酢に漬かった状態となり、その状態で一定期間放置する。
【0003】
その後、塩漬けにされた梅を浸漬槽から人手で取り出し、適当量、容器に取って4〜6日程度、天日干し(所謂、土用干し)にする。さらに、天日干しされた梅は樽詰めにされて農家から出荷される。このようにして出荷された梅は味付けされた後、適宜、パック詰等されて販売される。
梅干の製造方法の一例として下記特許文献1には、低塩梅干を製造するために塩漬けされた梅を木炭入りの水で塩抜きにする技術が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−4873「低塩梅干の製造方法」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記梅干の製造において、浸漬槽内で梅酢に漬かった梅を人手で取り出す作業は大変な重労働であり、大きな課題になっていた。
図5は浸漬槽41内で梅酢に漬かった梅を人手で取り出す様子を示す図である。
浸漬槽41に梅を塩で漬け込む前に予め引上用ネット46を浸漬槽41内に入れておき、梅酢に沈んだ梅を浸漬槽41から取り出すときは、引上用ネット46を引き上げることによって梅を水面近くまで浮上させた状態で梅を傷つけぬように掬い具47で慎重に取り出していた。
この作業は中腰で重量のある梅を梅を傷めないように掬い上げる必要があり、腰を痛めることが多い重労働である。しかも、この作業を天日干しする期間に亘って何百回も行う必要があり、梅干生産農家や梅干製造メーカーにとって大きな負担となっていた。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は上記課題を解決できる浸漬梅の取出し方法を提供することにある。
具体的な目的の一例を示すと、以下の通りである。
(a)塩漬けされた梅を天日干し等のために浸漬槽から取り出す作業を自動化することによって重労働をなくすとともに作業を効率化できるようにする。
(b)浸漬梅の取出し方法に最適な取出装置及び浸漬槽を提供する。
なお、上記に記載した以外の発明の課題、その解決手段及びその効果は後述する明細書内の記載において詳しく説明する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は多面的に表現できるが、例えば、代表的なものを挙げると、次のように構成したものである。なお、下記各発明において、各符号は後述する実施形態との対応関係を分かりやすくするために一例として示したものであり、本発明の各構成要素は、実施形態に記載した符号に係る構成に限定されないことは言うまでもない。
本発明に係る浸漬梅の取出し方法は、底部域に気泡放出部10を配設可能に構成した浸漬槽4に梅を漬け込み、囲込み手段25を前記浸漬槽4内の水面付近に配置し、所定間隔で取出部材24をベルト30に取付けたベルトコンベア装置1の先端部を前記浸漬槽4内に入れるとともに前記ベルトコンベア装置1の他端部を前記浸漬槽4外に出し、前記気泡放出部10からの気泡によって沈んだ梅5を水面近くに浮上させ、前記囲込み手段25で梅5を囲込みつつ浮上した梅を前記取出部材24で掬って前記ベルトコンベア装置1によって搬送して前記浸漬槽4外に取り出すようにしたことを特徴とする。
本発明であれば、気泡によって沈んだ梅を水面近くに浮上させるので梅を傷めるおそれをなくすことができる。また、囲込みカバーで梅を囲込みつつ浮上した梅を取出部材で掬うようにしているので、梅を傷めることなく効率的に梅を浸漬槽外に取り出すことができる。
【0008】
前記囲込み手段25を前記ベルトコンベア装置1の先端部域に取付けることが好ましい。
この構成であれば、囲込み手段をベルトコンベア装置の先端部域に取付けることによって囲込み手段の位置決め等が良好に行えるとともにベルトコンベア装置を浸漬槽に入れるだけで梅の取出しが可能になる。
前記囲込み手段25の突出量を調整する調整機構部20を前記ベルトコンベア装置1に設けることが好ましい。
この構成であれば、囲込み手段の突出量を調整することができるので、浸漬槽の形状や梅の浮上状態に応じてベルトコンベア装置に対する囲込み手段の位置を適切に調整することができる。
【0009】
また、前記囲込み手段25を上下方向に延びる壁を備えた囲み体で構成してあり、前記囲み体の下側域を水中に位置させ、前記囲み体を仕切りとして機能するように配置させることもできる。
囲み体としては透明な環形フェンスなどが例示できる。
この構成であれば、囲み体を水面の仕切りとして機能させているので、囲み体内で浮上した梅は囲み体内に滞留させることができ、ベルトコンベア装置での梅の取出しを効率化できる。
前記囲込み手段25を囲込みカバー14で構成し、前記囲込みカバー14が前記ベルトコンベア装置1のベルト30の少なくとも前方領域22を覆うように構成することが好ましい。
この構成であれば、少なくとも前方領域を上から覆うように囲込みカバーを設けることで、気泡によって上昇してきた梅をその覆い面でベルトコンベア装置の取り出し位置まで誘導することができ、梅の取出し作業を効率化できる。
【0010】
前記囲込みカバー14を前記浸漬槽4の水中に突入させた状態で使用することが好ましい。
この構成であれば、気泡の作用によって浮上する梅が囲込みカバーを外れて逃げることを抑制して効率的に梅を掬い上げることができる。
前記囲込みカバー14の覆い部材29を透明材料で構成することが好ましい。
この構成であれば、囲込みカバーに梅が取り込まれる様子を外部から見ることができる。
【0011】
前記気泡放出部10を前記浸漬槽4のほぼ中心位置に配置するように構成することが好ましい。
この構成であれば、浸漬槽内のほぼ中心位置から上昇する気泡によって浸漬槽の中心部から周辺部に流れる対流を起こすことができ、一度中心部から外れた梅を再び中心部に戻して取り出すことが可能になる。
前記囲込みカバー14の覆い部材29がカバーする囲い領域31が、取出部材24が折り返す領域32と前記前方領域22とを含んで構成されることが好ましい。
この構成であれば、囲込みカバーによって囲い込まれた梅を逃がすことを抑制して効率的に梅を掬い上げることができる。
【0012】
略L字形に形成された導入管7の先端部域に複数の開口12を設けることによって前記気泡放出部10を形成し、前記気泡放出部10に達するように前記導入管7中に空気を送るホース8を入れるように構成することもできる。
この構成であれば、予め略L字形の導入管を浸漬槽内に配置することで位置決めすることができる。また、導入管中にホースを入れることによって簡単な構成で気泡放出部から気泡を出すことができる。
前記浸漬槽4の壁面に係合部17を構成し、その係合部17に前記導入管7を係合させて固定し、前記導入管7の前記気泡放出部10を前記浸漬槽4のほぼ中心位置に配置できるように構成することもできる。
前記線形係合部17としては溝部17や係合突起などが例示できる。
この構成であれば、前記気泡放出部を前記浸漬槽のほぼ中心位置に配置することが簡単に行える。
【0013】
前記ベルトコンベア装置1の前記取出部材24を前記ベルトの幅方向に延びる立設された板部2で構成し、前記板部2に排水孔13を設けることもできる。
前記ベルトコンベア装置1の前記取出部材24を前記ベルト30に取付けた網受体で構成することもできる。
【発明の効果】
【0014】
以上、説明したように本発明であれば、塩漬けされた梅を天日干し等のために浸漬槽から取り出す作業を自動化することによって重労働をなくすことができるとともに作業を効率化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明に係る浸漬梅の取出方法の一実施形態を説明するための概略構成図、図2はベルトコンベア装置の先端部域の様子を示す斜視図、図3は導入管の先端部を拡大して描いた拡大縦断面図である。
この浸漬梅の取出方法は、梅5を塩漬けする浸漬槽4と、気泡放出部10と、ベルトコンベア装置1とを必要とする。
【0016】
浸漬槽4は直方体形のものが使用されることが多い。浸漬槽4には略L字形の導入管7を塩漬けする前から入れておくことが好ましい。直方体の容器を使用し、気泡放出部10を浸漬槽4の底壁4aのほぼ中心位置に配置することによって梅5の対流9を360度回りにおいて同じように形成することができる。なお、直方体の大きさは一辺が1800mm程度のものが使用される。
【0017】
浸漬槽4に梅5を塩漬けする場合には、浸漬槽4の底壁4aと側壁4bに沿って槽外まで達するような引上用ネット6を敷いて、その引上用ネット6上に梅5を塩漬けする。
気泡を発生させる装置は少なくともポンプ11と、そのポンプ11からの空気を導くホース8と、ホース8からの空気が放出される気泡放出部10とを備えている。図1及び図3に示す構成ではホース8とは別体で塩化ビニールなどで略L字形の導入管7を設け、気泡放出部10は導入管7の先端部に設けてある。
そして図3に示すように、導入管7中にホース8を入れて気泡放出部10にまでホース8の先端が達するようにする。気泡放出部10は導入管7の先端部域の上側面に小径の開口12を複数設けることで構成してある。導入管7の最先端部は図3に示す構成では気密されて閉じているものが示してある。なお、気泡が開口12から良好に出る状態ならば導入管7の最先端部は開いていても良い。
ホース8によって送り込まれる空気の量は好ましくは毎分30リットル〜70リットルであり、さらに好ましくは毎分40リットル〜60リットルである。梅酢は浮力が大きいので少量の気泡を放出するだけで梅酢に沈んだ梅を浮上させることができ、大量の気泡を放出する必要はない。
【0018】
ベルトコンベア装置1は持ち運び自在の大きさと重量に構成してあり、基端側にモータ3が取付けてある。
ベルトコンベア装置1のベルト30にはベルト幅方向に延びる取出部材24が取付けてある。図1、図2に示す構成では取出部材24はベルト30の回動方向に所定間隔で立設した板部2で構成してある。板部2は梅5を掬えるようにベルト平面に対して傾斜して立設されている。板部2には円形などの排水孔13が形成してあり、板部2で梅5を掬い上げた場合に一緒に掬い上げる水(梅酢)を浸漬槽4に戻すことができる。
【0019】
ベルトコンベア装置1はその枠体26に図示しない係止具が取付けてある。係止具は基端側からベルト全長の1/4〜1/2の位置に取付けてあり、浸漬槽4の側壁4bの上部にその係止具を引っ掛けてベルトコンベア装置1の先端部を下にして斜めに浸漬槽4に突入させることができるように構成してある。
【0020】
また、図2に示すようにベルトコンベア装置1の先端部域には囲込み手段25としての囲込みカバー14を取り付られるように構成してある。
囲込みカバー14は囲い領域31を覆うように構成されたカバーである。囲い領域31とは、取出部材24(板部2)が折り返す領域32とベルト30を延長した前方領域22とを含んで構成される。囲込みカバー14はベルトコンベア装置1の枠体26に調整機構部20を介して着脱自在に取付けられる。
図2に示す構成では囲込みカバー14は、ほぼベルト横幅程度に距離をおいて立設された一対の支持棒27・27を前記前方領域22に向かってやや下方に向けて延設し、それら一対の支持棒27・27を覆うように覆い部材29としての透明樹脂膜(覆い面)を取付けた構成にしてある。覆い部材29のベルト30の延出方向に対する傾斜角度θは10度〜45度程度に設定され、好ましくは30度前後(25度〜35度)である。
覆い部材29を透明材料で構成するのはベルトコンベア装置1の先端部域において梅5を取り出す様子を外部から判別できるようにするためである。また、覆い部材29を柔軟性のある樹脂膜で構成するのは梅5を取り込むときに梅を傷つけることを抑制するためである。但し、柔軟性のない成型透明樹脂で覆い部材29を製造することも可能である。
【0021】
図2に示す調整機構部20は囲込みカバー14の突出量を調整できるように前後方向のスライド機構を有している。この実施形態ではスライド機構は枠体26の長手方向に複数の係合孔18を設け、その係合孔18に支持棒27・27の基端をボルト等によって取付けることで構成してある。
他の調整機構部20としてはスライド機構とともに囲込みカバー14の傾斜角度θの調整機構を備えてもよい。
【0022】
図1に示すようにベルトコンベア装置1の基端側が突出する浸漬槽4の横側には水が入れられた一時保持槽16が設けられている。そして、ベルトコンベア装置1によって搬送された梅5が基端側から一時保持槽16に落下した時に梅5を一時的に保管して、天日干しの処理に備えることができるようにしてある。このように水を蓄えた一時保持槽16を利用することによって落下した梅5を傷つけることなく、円滑な取り出しが可能になる。
また、落下する梅を受ける一時保持槽16の水面位置は浸漬槽4の水面位置よりも高くすることが好ましい。そのために図1に示す構成では浸漬槽4の底壁4a位置を一時保持槽16の設置面よりも相対的に下側に設けている。
なお、図1においてはベルトコンベア装置1の基端部は浸漬槽5の側壁4bから大きく突出した状態で描いているが、実際の突出長さはもう少し短いものである。
【0023】
上記構成の浸漬梅の取出方法の作用について簡単に説明する。
まず、浸漬槽4内に導入管7を配設し、その浸漬槽4内に引上用ネット6を敷いた状態で水洗された梅5を塩漬けする。
所定期間経過して梅酢に沈んだ梅5を浸漬槽5から取り出すときは、導入管7内にホース8を通すとともにそのホース8に空気送出ポンプ11を接続して、導入管7の先端部の気泡放出部10から気泡を放出させる。
一方、ベルトコンベア装置1の基端部を浸漬槽4の外に迫出した状態で、囲込みカバー14を取付けたベルトコンベア装置1の先端部を浸漬槽4の中心位置の液面より下方に突入させる。この状態では囲込みカバー14の先端部は浸漬槽4の水面位置より下方に潜った位置になる。なお、ベルトコンベア装置1は斜めに傾いた状態で浸漬槽4内に入れられることになる。
【0024】
このように設定した状態で、気泡放出部10から気泡を連続的に放出するとともにベルト30を回転させると、水中の梅5の表面に気泡が付着したり、上昇する気泡に押し上げられるようにして水面近くに梅5が浮上することになる。浮上した梅5は囲込みカバー14によってベルトコンベア装置1の前方領域22及び取出部材24が折り返す領域32に集まり、この状態においてベルト30を回転させると、水面近くに浮上している梅5を下方から掬い上げるようにしてベルト30の板部2によって掬うことができる。
板部2の排水孔13から液体が流れ落ち、板部2に残った梅5はベルトコンベア装置1によって搬送され、基端部側から一時保管槽16に落とされる。
【0025】
この取り出し処理において、図1に示すように斜めに水中に突入された囲込みカバー14の覆い部材29がその覆い面で前方領域22において上昇してくる梅5をガイドして取出部材24が折り返す領域32に誘導する。そして、その板部2が折り返す領域32において下方から板部2によって掬い上げるので自然と板部2内に梅5を入れることができ、梅5と板部2とが擦れ合うこともなく、良好に取り出すことができる。
また、浸漬槽4の中心位置に存在する気泡放出部10から放出された気泡によって浸漬槽4の中心部を上昇し、かつ浸漬槽4の周辺部を下降する対流9を生じさせることができるので、ベルトコンベア装置1によって拾うことができなかった梅5も再び浸漬槽5の中心部に押し戻され、中心部を上昇する気泡の流れに乗ることにより、最終的にはベルトコンベア装置1によって掬い上げることができる。
このような作用によってほとんど全ての梅を自動的にかつ効率的に浸漬槽から取り出すことが可能になる。また、梅の取出しが進んで梅の数が少なくなった場合には、引上用ネット6を水面近くに引上げ(例えば、図5で示す状態)ることによって梅の移動できる範囲を狭めて最後の一個まで取り出すことができる。
なお、傷付きやすい梅や高価な梅は気泡の放出量を小さくして徐々に水面に上がってくるようにし、丈夫な梅や安価な梅は気泡の放出量を増やして囲込みカバー14内の梅の数を増やすようにすることもできる。このように本実施形態に係る方法であれば、気泡の放出量を変えることで梅の取り出し状態や梅の取り出し数量を調整することができる利点がある。
【0026】
(第2実施形態)
図4は本発明の第2実施形態を示す図であり、図4(a)は浸漬槽の平面図、図4(b)は浸漬槽の縦断面図、図4(c)は導入管の斜視図である。
この第2実施形態は、前記実施形態の導入管7を浸漬槽4の底壁4a又は側壁4bの少なくとも一方に組み込み自在に構成した点を特徴としている。
この実施形態では、浸漬槽4の底壁4aには溝部17が形成され、その溝部17に導入管7が嵌合するように構成してある。導入管7の先端部には前記実施形態と同様に複数の開口を備えた気泡放出部10が形成してあり、その気泡放出部10の位置までホース8を通す構成になっている。また、導入管7は管の延びる方向に縦割りに分割自在に構成してある。
【0027】
この実施形態であれば、導入管7を縦割りし、気泡放出部10に達する位置までホース8を入れた状態で導入管7を浸漬槽4の溝部17に嵌め込むことによって正確に浸漬槽4の中心位置に気泡放出部10を位置させることができる利点がある。また、導入管7は縦割りに分割自在なので、導入管7の内部を簡単に掃除できる。導入管7を外した状態では溝部17内も同様に掃除ができるので衛生的に保つことができる。
【0028】
本発明は上記実施形態の構成に限らず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
(1)前記実施形態では浸漬槽を直方体形状にしたものを例示したが、縦断面図が長方形のような立方体形状でも構成できる。但し、気泡が放出される中心位置からの距離が360度ほぼ一定になる直方体形状や円柱形状の方が好ましい。また、衛生的に保つことが出来るのであれば、浸漬槽壁内に導入管を埋め込んだ構成や、浸漬槽壁内にホースを埋め込んだ構成も採用できる。
(2)前記第1実施形態では囲込みカバーをベルトコンベア装置の先端部に取付けた構成を例示したが、囲込みカバーをベルトコンベア装置とは別の支持部材で支持するとともにベルトコンベア装置の前方領域にその囲込みカバーを位置させることもできる。
但し、囲込みカバーの支持部材を別途設けることは、その支持部材を浸漬槽に取付ける操作と、ベルトコンベア装置の前記前方領域と囲込みカバーの位置を合わせる操作が余計に必要になることから、ベルトコンベア装置に囲込みカバーを一体的に取付ける構成が好ましい。
(3)前記第1実施形態では浸漬槽内に予め引上用ネットを敷設した形態を例示したが、引上用ネットを敷かず、塩漬けする方法を除外するものではない。但し、梅の取出しが進み、浸漬槽内の梅が少なくなると梅を水面近くに集めることが難しくなるため、梅の移動範囲を狭くするために引上用ネットはあった方が好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は本発明に係る浸漬梅の取出方法の一例を説明するための概略構成図である。
【図2】図2はベルトコンベア装置の先端部域の様子を示す斜視図である。
【図3】図3は導入管の先端部を拡大して描いた拡大縦断面図である。
【図4】図4は本発明の他の実施形態を示す図であり、図4(a)は浸漬槽の平面図、図4(b)は浸漬槽の縦断面図、図4(c)は導入管の斜視図である。
【図5】図5は従来の梅の取出し方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0030】
1…ベルトコンベア装置
2…板部(取出部材)
4…浸漬槽
5…梅
7…導入管
8…ホース
10…気泡放出部
12…導入管の開口
13…排水孔
14…囲込みカバー(囲込み手段)
17…係合部
20…調整機構部
22…前方領域
25…囲込み手段
24…取出部材
29…覆い部材
30…ベルト
31…囲い領域
32…取出部材が折り返す領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部域に気泡放出部を配設可能に構成した浸漬槽に梅を漬け込み、囲込み手段を前記浸漬槽内の水面付近に配置し、所定間隔で取出部材をベルトに取付けたベルトコンベア装置の先端部を前記浸漬槽内に入れるとともに前記ベルトコンベア装置の他端部を前記浸漬槽外に出し、前記気泡放出部からの気泡によって沈んだ梅を水面近くに浮上させ、前記囲込み手段で梅を囲込みつつ浮上した梅を前記取出部材で掬って前記ベルトコンベア装置によって搬送して前記浸漬槽外に取り出すようにしたことを特徴とする、浸漬梅の取出し方法。
【請求項2】
請求項1に記載の浸漬梅の取出し方法において、前記囲込み手段を前記ベルトコンベア装置の先端部域に取付けた、浸漬梅の取出し方法。
【請求項3】
請求項2に記載の浸漬梅の取出し方法において、前記囲込み手段の突出量を調整する調整機構部を前記ベルトコンベア装置に設けた、浸漬梅の取出し方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の浸漬梅の取出し方法において、前記囲込み手段を上下方向に延びる壁を備えた囲み体で構成してあり、前記囲み体の下側域を水中に位置させ、前記囲み体を仕切りとして機能するように配置させた、浸漬梅の取出し方法。
【請求項5】
請求項1に記載の浸漬梅の取出し方法において、前記囲込み手段を囲込みカバーで構成し、前記囲込みカバーが前記ベルトコンベア装置のベルトの少なくとも前方領域を覆うように構成した、浸漬梅の取出し方法。
【請求項6】
請求項5に記載の浸漬梅の取出し方法において、前記囲込みカバーを前記浸漬槽の水中に突入させた状態で使用する、浸漬梅の取出し方法。
【請求項7】
請求項5に記載の浸漬梅の取出し方法において、前記囲込みカバーの覆い部材を透明材料で構成した、浸漬梅の取出し方法。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の浸漬梅の取出し方法において、前記気泡放出部を前記浸漬槽のほぼ中心位置に配置するように構成した、浸漬梅の取出し方法。
【請求項9】
請求項5に記載の浸漬梅の取出し方法において、前記囲込みカバーの覆い部材がカバーする囲い領域が、取出部材が折り返す領域と前記前方領域とを含んで構成される、浸漬梅の取出し方法。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の浸漬梅の取出し方法において、略L字形に形成された導入管の先端部域に複数の開口を設けることによって前記気泡放出部を形成し、前記気泡放出部に達するように前記導入管中に空気を送るホースを入れるように構成した、浸漬梅の取出し方法。
【請求項11】
請求項10に記載の浸漬梅の取出し方法において、前記浸漬槽の壁面に係合部を構成し、その係合部に前記導入管を係合させて固定し、前記導入管の前記気泡放出部を前記浸漬槽のほぼ中心位置に配置できるように構成した、浸漬梅の取出し方法。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の浸漬梅の取出し方法において、前記ベルトコンベア装置の前記取出部材を前記ベルトの幅方向に延びる立設された板部で構成し、前記板部に排水孔を設けた、浸漬梅の取出し方法。
【請求項13】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の浸漬梅の取出し方法において、前記ベルトコンベア装置の前記取出部材を前記ベルトに取付けた網受体で構成した、浸漬梅の取出し方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−115128(P2010−115128A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289443(P2008−289443)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(508204216)
【Fターム(参考)】