説明

消石灰、消石灰の製造方法および酸性ガス除去剤

【課題】BET比表面積および消石灰の有効性分量を十分に大きくすると共にCODを低く抑えた消石灰および消石灰の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の消石灰は、生石灰1と水3を反応させる消化工程4によって製造される消石灰であって、消化工程4に用いられる所定の添加剤2が添加され、添加剤2は、ヒドロキシル基を有する有機化合物とニ酸化ケイ素を含有する無機化合物とが組み合わされた物質を含む。これらの添加剤によって製造される消石灰は、低いCODと高いBET比表面積を両立でき、酸性ガス除去剤などに最適に利用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高比表面積を有する消石灰に関するものであり、特に酸性ガス除去剤として適用される場合に化学的酸素要求量(以下、「COD」という)を低減できる消石灰、消石灰の製造方法および酸性ガス除去剤に関する。
【背景技術】
【0002】
生石灰は、石灰石(主成分は、炭酸カルシウム)を焼成することで得られる。焼成によって得られた生石灰は、水と反応されることで(生石灰が水と反応することを「消化」という)消石灰となる。この消石灰は、強い塩基性を有するので、塩化水素ガスなどの酸性ガスを除去する酸性ガス除去剤として用いられる。
【0003】
例えば、ごみ焼却炉においては、塩化水素ガスを始めとする酸性ガスが発生するので、この酸性ガスを除去するために、消石灰を原料とする酸性ガス除去剤が焼却炉に投入されることがある。特に、焼却炉の排ガス煙道に、粉体である消石灰が投入されることが多い。このとき、粉体である消石灰と酸性ガスとは、消石灰の表面で反応して、消石灰は、酸性ガスとの反応を通じて酸性ガスを除去する。このように、消石灰は、その表面において酸性ガスと反応を生じさせるので、BET比表面積が大きいことが好適である。
【0004】
このような状況に基づいて、BET比表面積の大きな消石灰の開発が進められてきている。
【0005】
消石灰は、生石灰と水との消化反応によって製造されるが、この消化反応において種々の添加剤が加えられることで、BET比表面積を調整することが行われている。
【0006】
例えば、添加剤としては、種々の有機化合物や無機化合物が用いられており、種々の技術が提案されている(例えば、特許文献1、2、3、4、5参照)。
【0007】
特許文献1は、消化工程において有機化合物を添加する技術を開示する。このとき、特許文献1は、オキシカルボン酸、エタノールアミン類、エチレングリコール類を、添加剤として開示する。
【0008】
特許文献2は、消化工程において、エタノールを多量に含む水を用いる技術を開示している。特許文献1、2は、有機化合物を消化工程において用いる技術を開示している。特に、特許文献1、2は、分子内にヒドロキシル基を有する有機化合物を、消化工程において用いる技術を開示する。
【0009】
特許文献3は、消化工程において、無機化合物を添加する技術を開示する。特許文献3は、アルカリ土類金属の酸化物に、石炭灰、ケイ砂、ベントナイト、カオリナイトのケイ素供給物質を混合した物質を、消化工程における添加剤として開示している。このようにして消化工程を経て得られる消石灰が、脱硫剤として用いられる。
【0010】
また、特許文献4は、消化工程において、珪酸アルカリ、ケイ酸塩、含水珪酸、無水珪酸および結晶性珪酸を、添加剤として用いる技術を開示する。これらの添加剤を用いて、生石灰を消化して、消石灰を得る技術を開示する。
【0011】
更に、特許文献5は、添加剤として、ケイ素供給物質である二酸化ケイ素含有の物質を混合した物質を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平9−278435号公報
【特許文献2】特開平9−110425号公報
【特許文献3】特開平5−154335号公報
【特許文献4】特開2003−327427号公報
【特許文献5】特開2001−276566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1や2のように、有機化合物を添加する技術は、種々に提案されている。あるいは、特許文献3に開示されるように、石炭灰などの二酸化ケイ素含有の物質が、消化工程における添加剤として使用されることは、種々に提案されている。また、特許文献5は、二酸化ケイ素含有の物質に加えて、有機溶剤を添加する技術を開示している。
【0014】
有機化合物が添加剤として用いられる場合には、得られる消石灰に有機化合物が残存する。消石灰は、焼却炉に投入されたり吹き込まれたりして酸性ガス除去剤として利用されるが、消石灰に有機化合物が残存していると、CODが、増加するとの問題が生じる。加えて、酸性ガス処理時に一酸化炭素を発生させる問題も生じる。
【0015】
無機化合物が添加剤として用いられる場合には、BET比表面積が十分に確保できない問題がある。BET比表面積が不十分であると、当然ながら、酸性ガス除去剤としての有用性が低いことになる。また、無機化合物である二酸化ケイ素を添加剤として用いる場合には、BET比表面積を十分に大きくするために、多量の二酸化ケイ素を必要として消石灰の有効成分量が少なくなる問題が生じる。
【0016】
あるいは、特許文献5は、無機化合物を添加剤としつつ有機溶剤を追加する技術を開示している。しかしながら、特許文献5は、有機溶剤を生石灰の分散用として利用しており(例えば実施例7−1〜7−3など)、BET比表面積を大きくする効果を生じさせていない。すなわち、無機化合物を添加剤とする場合におけるBET比表面積を改善する技術を開示していない。
【0017】
すなわち、従来技術において開示されるように、消化工程において添加される添加剤に無機化合物が用いられる場合であっても有機化合物が用いられる場合であっても、それぞれにメリットとデメリットが存在する。従来技術では、このメリットおよびデメリットのバランスを考慮した添加剤および消石灰は、提案されていなかった。
【0018】
以上のように、従来技術では、(1)BET比表面積を十分に大きくする、(2)CODを低く抑える、(3)得られる消石灰の有効成分量を十分に確保する、との全てをバランスよく実現することができない問題があった。
【0019】
本発明は、上記課題に鑑み、BET比表面積および消石灰の有効成分量を十分に大きくすると共にCODを低く抑えた消石灰および消石灰の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題に鑑み、本発明の消石灰は、生石灰と水を反応させる消化工程によって製造される消石灰であって、前記消化工程に用いられる所定の添加剤が添加され、前記添加剤は、ヒドロキシル基を有する有機化合物とニ酸化ケイ素を含有する無機化合物とが組み合わされた物質を含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明の消石灰は、BET比表面積を十分に確保しつつ、十分な有効成分量を確保できる。同時に、CODの値を低くすることができる。
【0022】
特に、消化工程の添加剤として、有機化合物と無機化合物を組み合わせた物質を用いることで、大きなBET比表面積と低いCOD値を両立させることができる。
【0023】
結果として、本発明の酸性ガス除去剤は、一酸化炭素やCODを低く抑えることができ、環境負荷を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1における消石灰の製造工程を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1における無機化合物の配合比率に対する消石灰のBET比表面積を示すグラフである。
【図3】本発明の実施の形態1における有機化合物と有機化合物の組み合わせによる添加剤によって製造される消石灰のBET比表面積を示すグラフである。
【図4】本発明の実施の形態1における無機化合物の添加量の変動における消石灰のBET比表面積を示すグラフである。
【図5】本発明の実施の形態2における消石灰の製造工程を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の第1の発明に係る消石灰は、生石灰と水を反応させる消化工程によって製造される消石灰であって、前記消化工程に用いられる所定の添加剤が添加され、前記添加剤は、ヒドロキシル基を有する有機化合物とニ酸化ケイ素を含有する無機化合物とが組み合わされた物質を含む。
【0026】
この構成により、製造される消石灰は、そのBET比表面積を増加させるとともにCODの値を抑えることができる。
【0027】
本発明の第2の発明に係る消石灰では、第1の発明に加えて、前記消石灰は、BET比表面積が、20m/g以上であって、更に好ましくは35m/g以上である。
【0028】
この構成により、得られる消石灰は、十分なBET比表面積を備える。
【0029】
本発明の第3の発明に係る消石灰では、第1又は第2の発明に加えて、前記ヒドロキシル基を有する有機化合物は、グリコール類、糖類およびエタノールアミン類からなる群の少なくとも一つから選択される。
【0030】
この構成により、添加剤に用いられる有機化合物は、種々の物質から選択できるので、消石灰の製造を容易にするとともに製造コストを低減できる。加えて、これらの有機化合物によって、製造される消石灰のBET比表面積を増加させる。
【0031】
本発明の第4の発明に係る消石灰では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、前記グリコール類は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびグリセリンからなる群の少なくとも一つから選択される。
【0032】
本発明の第5の発明に係る消石灰では、第1から第4のいずれかの発明に加えて、前記糖類は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、キシリトース、スクロース、マルトース、ラクトース、トレハロース、ソルビトールおよびキシリトールからなる群の少なくとも一つから選択される。
【0033】
本発明の第6の発明に係る消石灰では、第1から第5のいずれかの発明に加えて、前記エタノールアミン類は、エタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンからなる群の少なくとも一つから選択される。
【0034】
これらの構成により、添加剤に用いられる有機化合物が、種々の物質から選択できる。結果として、消石灰の製造を容易とするとともに製造コストを低減できる。
【0035】
本発明の第7の発明に係る消石灰では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、前記二酸化ケイ素を含有する無機化合物は、シリカゲル、珪藻土およびゼオライトからなる群の少なくとも一つから選択される。
【0036】
本発明の第8の発明に係る消石灰では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、前記二酸化ケイ素を含有する無機化合物は、アロフェン、イモゴライト、酸性白土および活性白土からなる群の少なくとも一つから選択される。
【0037】
これらの構成により、添加剤の無機化合物が、種々の物質から選択できる。結果として、消石灰の製造を容易とするとともに製造コストを低減できる。加えて、無機化合物の作用によって、BET比表面積を増加させつつCODを減少させる。
【0038】
本発明の第9の発明に係る消石灰では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、前記添加剤は、(1)前記生石灰への添加、(2)前記水への添加、(3)前記生石灰と水との混合物への添加、において、(1)から(3)の少なくとも一つの手段で添加される。
【0039】
この構成により、添加剤の効果を様々に得ることができる。
【0040】
本発明の第10の発明に係る消石灰では、第3から第9のいずれかの発明に加えて、前記ヒドロキシル基を有する有機化合物の群から選択される少なくとも一つの添加量は、前記生石灰に対して、0.01重量%〜10重量%である。
【0041】
この構成により、製造される消石灰のBET比表面積とCODとのバランスが最適化される。
【0042】
本発明の第11の発明に係る消石灰では、第1から第10のいずれかの発明に加えて、前記二酸化ケイ素を含有する無機化合物の添加量は、前記生石灰に対して、0.01重量%〜15重量%であり、更に好ましくは0.01重量%〜10重量%である。
【0043】
この構成により、製造される消石灰のBET比表面積とCODとのバランスが最適化される。
【0044】
(実施の形態1)
【0045】
実施の形態1について説明する。
(消石灰の一般的な製造工程)
【0046】
まず、図1を用いて、添加剤を用いた消石灰の製造工程を説明する。図1は、本発明の実施の形態1における消石灰の製造工程を示すブロック図である。図1は、消石灰の製造工程を模式的に表している。
【0047】
消化工程4は、生石灰1と水3を反応させる工程である。このため、消化工程4に対して(例えば、消化工程4を行う攪拌機などに)、原料となる生石灰1および水3が投入される。更に、添加剤2も消化工程4に投入される。なお、添加剤2は、消化工程4に投入されても良いし、水3に予め添加されておいてもよいし、生石灰1に予め添加されておいても良い。
【0048】
消化工程4では、投入された生石灰1、水3および添加剤2が攪拌されながら、消化反応が生じる。
【0049】
消化工程4に続いて、熟成工程5において、消化反応を生じた混合物が熟成される。熟成工程5に続いて、乾燥工程6において乾燥されて、消石灰が製造される。
【0050】
このように、消石灰は、生石灰と水との消化反応を基本とし、添加剤によって、製造される消石灰の性能等が変わってくる。
【0051】
(全体概要)
【0052】
実施の形態1における消石灰は、生石灰と水を反応させる消化工程によって製造される消石灰であって、消化工程に必要な所定の添加剤が添加されて、製造される消石灰である。所定の添加剤は、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物とが、組み合わされた物質を含む。
【0053】
生石灰と水を反応させただけの消石灰は、BET比表面積が10m/g〜20m/gであって、BET比表面積が十分ではない。BET比表面積が十分に大きいことは、消石灰が酸性ガス除去剤などとして使用される場合に、高い酸性ガスの吸着性能を示すことになる。このため、BET比表面積が十分に大きいことは、消石灰の製造においては重要な要素である。
【0054】
所定の添加剤が、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物とが、組み合わされた物質を含む場合には、この添加剤は、BET比表面積を大きくすることに対する寄与と、CODを低く抑えることに対する寄与とを生じさせる。このため、実施の形態1における消石灰は、BET比表面積が20m/g以上であって、好ましくは30m/g以上、更に好ましくは35m/g以上を有するようになる。
【0055】
これは、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物との相乗効果であって、この相乗効果が、BET比表面積を大きくする。有機化合物は、消化工程において生石灰に混合されることでそのBET比表面積を拡大させる。このとき、無機化合物は、有機化合物の生石灰への均一な分散を促進させつつ、有機化合物とともに生石灰中に広く分散する。また、添加される無機化合物がカルシウムイオンを補足する役割を果たし、BET比表面積の拡大に作用すると思われる。この有機化合物と無機化合物との複数段階による相乗効果によって、消化工程でのBET比表面積を増加させる。結果として、製造される消石灰のBET比表面積が大きくなる。
【0056】
また、二酸化ケイ素を含有する無機化合物は、非常に高いBET比表面積を有するものが多い。この二酸化ケイ素を含有する無機化合物が添加剤に含まれていることによって、製造される消石灰のBET比表面積が大きくなる。消化工程が終了した後で、二酸化ケイ素を含有する無機化合物を混合させた場合では、消石灰と混合させる無機化合物の加重平均で算出されるBET比表面積が得られるだけである。これに対して、実施の形態1における添加剤のように消化工程において無機化合物が添加されることで、加重平均よりも高いBET比表面積が得られるようになる。
【0057】
また、有機化合物と無機化合物とが混合された添加剤によって、有機化合物の添加量が減らせるだけでなく、有機化合物と無機化合物の併用による、それぞれのBET比表面積に対する寄与が相乗される。この結果、高いBET比表面積が得られる。
【0058】
ここで、BET比表面積が20m/g以上であることが一つの基準であるのは、一般的に市販されている消石灰のBET比表面積が10〜20m/g程度であり、これを超えるBET比表面積を有する消石灰が求められているからである。当然ながら、更にBET比表面積が大きいことが好ましい。消石灰が酸性ガス除去剤として用いられる場合には、使いきりであるので、一回の使用で非常に高い吸着性能を有することが求められる。この点から、市販品のBET比表面積を越える程度から、更に高いBET比表面積を有することが求められる。この点から、20m/gを十分に越えていると考えられる30m/gや35m/gは更に好ましい基準である。
【0059】
また添加剤は、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物とが組み合わされた物質を有することで、添加剤全体に占める有機化合物の量を減少させることができる。添加剤の一部が、無機化合物で置き換えられるからである。添加剤に含まれる有機化合物の量が相対的に減少することは、製造される消石灰に含まれる有機化合物の残存量が減少することになる。
【0060】
有機化合物の残存量が少なければ、当然ながらCODの値も減少する。CODが減少すれば、消石灰が酸性ガス除去剤として利用される場合に、環境負荷が小さいことになる。
【0061】
特に、消石灰が酸性ガス除去剤として用いられる場合には、消石灰は使いきりであるので、CODの値が小さいことで環境負荷がより少なくなる。
【0062】
なお、無機化合物は、有機化合物量を減らしつつ有機化合物の均一的な混合を助けたりBET比表面積を拡大したりする以外の作用については明確ではない。しかしながら、カルシウムイオンを捕捉する役割を果たしており、この役割がBET比表面積を拡大させる要因を形成していると思われる。
【0063】
以上のように、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物の組み合わせである添加剤が、消化工程において用いられることで、BET比表面積が大きく、CODの値が小さい消石灰を製造できる。
【0064】
なお、添加剤は、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物の組み合わせ以外に、不可避な混合物、製造で必要となる他の混合物あるいは改良に用いられる他の混合物を含むことを除外するものではない。
【0065】
(ヒドロキシル基を有する有機化合物)
添加剤は、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物との組み合わせである。
【0066】
ヒドロキシル基を有する有機化合物は、グリコール類、糖類およびエタノールアミン類からなる群の少なくとも一つから選択される。これらの群の少なくとも一つから選択されるということは、ヒドロキシル基を有する有機化合物が、グリコール類、糖類およびエタノールアミン類のいずれか一つが選択されても良いし、2種類以上が選択されても良いということである。
【0067】
グリコール類、糖類およびエタノールアミン類の少なくとも一つが選択されるのは、これらがヒドロキシル基を有する有機化合物として入手が容易であって、その取り扱いが容易であるからである。また、これらの有機化合物のそれぞれは、対応する化合物の種類も豊富であるので、製造コスト(入手コストも含めて)を抑えることができるからである。
【0068】
グリコール類は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびグリセリンからなる群の少なくとも一つから選択される。
【0069】
これらの物質は、入手が容易であるし取り扱いが容易であるからである。
【0070】
また、糖類は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、キシリトース、スクロース、マルトース、ラクトース、トレハロース、ソルビトールおよびキシリトールからなる群の少なくとも一つから選択される。ここで、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノースおよびキシリトースのそれぞれは、単糖類である。また、スクロース、マルトース、ラクトースおよびトレハロースのそれぞれは、ニ糖類である。また、ソルビトールおよびキシリトールのそれぞれは、還元糖である。
【0071】
エタノールアミン類は、エタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンからなる群の少なくとも一つから選択される。これらも、エタノールアミン類のうちで入手が容易な物質だからである。これらは、入手が容易なものも入手が不便なものも含んでいるが、一般的あるいは代替品として利用できるエタノールアミン類である。これら多数の種類の糖類が利用されることで、入手経路の確保やコスト変動などに柔軟に対応して、消石灰が製造できる。
【0072】
グリコール類、糖類、エタノールアミン類のそれぞれで列挙されている上述の物質のそれぞれは、入手容易性、コスト、取り扱い容易性、生じさせる効果などにおいて、相違するものであるが、目的とする消石灰の性能、必要な手順、コスト、製造工場における原料入手ネットワークなどに応じて、柔軟に対応できる。すなわち、上述のように、ヒドロキシル基を有する有機化合物として、種々の物質が使用の範疇に含まれることで、消石灰の製造を容易とすることができる。
【0073】
上述のこれらグリコール類、糖類、エタノールアミン類のそれぞれで列挙されている物質のうち、単一の種類のみが添加剤に用いられても良いし、複数の種類が添加剤に用いられてもよい。また、これらの有機化合物と無機化合物とが予め混合された添加剤が、生石灰と水との消化工程に混合されても良いし、有機化合物のみが生石灰や水に混合されてから(あるいはその前に)、無機化合物が生石灰や水(あるいは、有機化合物が混合されている生石灰や水)に混合されても良い。
【0074】
添加剤として、上記に列挙された有機化合物が用いられれば良い。また、これらの有機化合物を含む廃棄物や副産物が、有機化合物として利用されても良い。
【0075】
(無機化合物)
添加剤には、二酸化ケイ素を含有する無機化合物も用いられる。添加剤は、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物とが混合された物質(混合物)を有するからである。
【0076】
二酸化ケイ素を含有する無機化合物が含有されることで、有機化合物の添加量が減少してCODを減少させ、有機化合物との相乗効果によってBET比表面積を増加させる。
【0077】
二酸化ケイ素を含有する無機化合物は、シリカゲル、珪藻土およびゼオライトからなる群の少なくとも一つから選択される。これらの種類の物質は、比較的容易に入手が可能であって、取り扱いも容易だからである。添加剤には、シリカゲル、珪藻土およびゼオライトのいずれか一種が混合されても良いし、2種以上の物質が混合されても良い。
【0078】
あるいは、二酸化ケイ素を含有する無機化合物は、アロフェン、イモゴライト、酸性白土および活性白土からなる群の少なくとも一つから選択される。これらの種類の物質も、入手や取り扱いが容易である。また、アロフェン、イモゴライト、酸性白土および活性白土のそれぞれは、従来技術において用いられていることがないが、消化工程で用いられる添加剤として、CODの低減、BET比表面積の増加に寄与する物質である。これらの無機化合物の内、いずれか一種が混合されても良いし、2種以上が混合されても良い。
【0079】
また、無機化合物として、シリカゲル、珪藻土、ゼオライト、アロフェン、イモゴライト、酸性白土および活性白土からなる群の少なくとも一つが任意に選択されても良い。あるいは、この群の2種以上が、任意に選択されても良い。例えば、無機化合物として、シリカゲルとアロフェンとの組み合わせが選択されても良い。
【0080】
また、有機化合物は、上述の通り、グリコール類、糖類およびエタノールアミン類から少なくとも一つが選択される。このため、無機化合物は、選択される有機化合物の種類に応じて決定されても良い。発明者の所見では、有機化合物は、グリコール類、糖類およびエタノールアミン類から少なくとも一つが選択され、無機化合物は、シリカゲル、珪藻土、ゼオライト、アロフェン、イモゴライト、酸性白土および活性白土から少なくとも一つが選択され、選択された有機化合物と無機化合物との組み合わせであれば、添加剤の作用効果は十分である。しかしながら、BET比表面積やCODを、特定範囲に収めたい場合やコストを考慮した場合には、ある有機化合物の種類とある無機化合物の種類とのマッチングが最適なこともある。このような組み合わせの最適性がある場合には、添加剤は、この組み合わせによって得られる。
【0081】
上述に列挙された無機化合物は、入手容易性、コスト、取り扱い容易性、生じさせる効果などにおいて、相違するものであるが、目的とする消石灰の性能、必要な手順、コスト、製造工場における原料入手ネットワークなどに応じて、柔軟に対応できる。すなわち、無機化合物として多くの種類が対象であることで、消石灰の製造容易性を高め、製造コストを下げることができる。また、これらの無機化合物を含む触媒の廃棄物や副産物が、無機化合物として利用されても良い。
【0082】
無機化合物は、予め有機化合物と混合されて、有機化合物と無機化合物とが混合された添加剤が得られてもよい。この場合には、有機化合物と無機化合物との組み合わせの混合物である添加剤が、生石灰に投入されたり、水に投入されたり、生石灰と水との混合物に投入されたりする。
【0083】
また、無機化合物は、予め有機化合物と混合されるのではなく、生石灰、水および生石灰と水との混合物の少なくとも一つに、有機化合物と別に投入されても良い。すなわち、有機化合物と無機化合物のそれぞれが、個別に投入されることで、結果的に有機化合物と無機化合物との組み合わせが、添加剤としての役割を果たすことでも良い。
【0084】
以上のように、二酸化ケイ素を含有する無機化合物において、種々の物質が選択されることでCODを低くしつつBET比表面積の大きな消石灰を、容易かつ低コストで製造できる。
【0085】
(添加剤による効果)
ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物との組み合わせによる添加剤が用いられることの効果を、実験結果より説明する。
【0086】
発明者は、実際にヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物との組み合わせによる添加剤を製造し、この添加剤を消化工程に用いて消石灰を製造した。
【0087】
以下で説明する比較例および実施例は、次のような製造工程で製造される消石灰である。
【0088】
(製造工程)
60℃である400gの水に、添加剤(添加剤を投入する場合)を予め投入して、分散させる。この添加剤が分散されている状態の水の中に、60gの生石灰が投入されて攪拌される。この攪拌を通じて、15分間に渡って消化を行う。
【0089】
消化工程の後で、150μmの篩で分級して、篩を通過した粒子のみがブフナーロートで減圧濾過される。なお、150μmの篩には、残渣はほとんど見られなかった。
【0090】
更に、この濾過された粒子が110℃で一昼夜乾燥されて、消石灰が得られる。以下に記載する比較例および実施例のそれぞれは、添加剤の添加内容が異なるだけで、製造工程はここに記載した通りである。
【0091】
なお、実施例や比較例に用いる無機化合物そのもののBET比表面積、水分等の含有量を、表1に示す。表1に示されるとおり、無機化合物として選択されるそれぞれの無機化合物は、そのBET比表面積や水分に相違を有する。消石灰の製造に当たっては、必要となるBET比表面積や水分などに応じて、無機化合物が選択されればよい。
【0092】
【表1】

【0093】
(比較例1−1)
比較例1−1は、60gの生石灰に消化工程に用いる400gの水のみを反応させて、添加剤を用いないで製造された消石灰である。
【0094】
(比較例1−2)
比較例1−2は、60gの生石灰、400gの水、有機化合物のみからなる添加剤が用いられて製造された消石灰である。ここで、添加剤は、生石灰に対して1.0重量%の有機化合物であるエチレングリコールを含んでいる。
【0095】
(実施例1)
実施例1は、60gの消石灰、400gの水、有機化合物と無機化合物の組み合わせによる添加剤が用いられて製造された消石灰である。ここで、添加剤は、生石灰に対して0.5重量%のエチレングリコール(有機化合物)と生石灰に対して1.0重量%のゼオライト(無機化合物)を含んでいる。
【0096】
比較例1−1、比較例1−2および実施例1の消石灰のそれぞれを表2に示す。
【0097】
【表2】

【0098】
表2から明らかな通り、比較例1−1(添加剤を全く使用しない消石灰)は、BET比表面積が11.8m/gである。市販品の消石灰と同様に、BET比表面積は小さい。また、比較例1−2(有機化合物のみの添加剤を使用した消石灰)は、BET比表面積は、31.5m/gであり十分とも思えるが、CODの値が220ppmと高く、BET比表面積とCODの値とのバランスが悪い。
【0099】
これらの比較例に対して、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物との組み合わせである添加剤を用いた実施例1では、BET比表面積は34.5m/gと大きく、CODは120ppmと小さい。また、両者のバランスも優れている。このように、実施の形態1において説明したヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物との組み合わせである添加剤を用いて製造される消石灰は、高いBET比表面積および小さいCODを両立させることができる。
【0100】
また、有機化合物の種類を変えた場合であっても、有機化合物のみの添加剤の場合に比して有機化合物と無機化合物との組み合わせによる添加剤の方が、製造される消石灰のBET比表面積およびCODに好影響を与える。
【0101】
(比較例2−1)
比較例2−1は、60gの生石灰、400gの水、有機化合物のみからなる添加剤が用いられて製造された消石灰である。ここで、添加剤は、生石灰に対して1.0重量%の有機化合物であるプロピレングリコールを含んでいる。
【0102】
(実施例2−1)
実施例2−1は、60gの生石灰、400gの水、有機化合物と無機化合物の組み合わせからなる添加剤が用いられて製造された消石灰である。ここで、添加剤は、生石灰に対して0.5重量%のプロピレングリコールと1.0重量%のゼオライトとの組み合わせを含んでいる。実施例2−1は、比較例2−1と対応するものである。
【0103】
(比較例2−2)
比較例2−2は、60gの生石灰、400gの水、有機化合物のみからなる添加剤が用いられて製造された消石灰である。ここで、添加剤は、生石灰に対して1.0重量%のジプロピレングリコールを含んでいる。
【0104】
(実施例2−2)
実施例2−2は、60gの生石灰、400gの水、有機化合物と無機化合物との組み合わせからなる添加剤が用いられて製造された消石灰である。ここで、添加剤は、生石灰に対して0.5重量%のジプロピレングリコールと生石灰に対して1.0重量%のゼオライトの組み合わせを含んでいる。実施例2−2は、比較例2−2に対応するものである。
【0105】
(比較例2−3)
比較例2−3は、60gの生石灰、400gの水、有機化合物のみからなる添加剤が用いられて製造された消石灰である。ここで、添加剤は、消石灰に対して、1.0重量%のグリセリンを含んでいる。
【0106】
(実施例2−3)
実施例2−3は、60gの生石灰、400gの水、有機化合物と無機化合物との組み合わせからなる添加剤が用いられて製造された消石灰である。ここで、添加剤は、生石灰に対して0.5重量%のグリセリンと生石灰に対して1.0重量%のゼオライトとの組み合わせを含んでいる。実施例2−3は、比較例2−3に対応するものである。
【0107】
以上の、比較例2−1〜実施例2−3までで製造された消石灰の結果を、表3に示す。
【0108】
【表3】

【0109】
表3から明らかな通り、比較例2−1で得られる消石灰では、BET比表面積は33.1m/g、CODは190ppmである。比較例2−1に対応する実施例2−1で得られる消石灰では、BET比表面積は36.9m/g、CODは90ppmである。比較例2−1と実施例2−1との比較からわかる通り、有機化合物だけの添加剤の場合に比べて、有機化合物と無機化合物との組み合わせによる添加剤によって、BET比表面積は増加しCODは低減している。無機化合物が添加剤に加わることで、有機化合物の量が相対的に減少してCODが低減するとともに、有機化合物の均一な混合や無機化合物のカルシウム補足能とによって消石灰のBET比表面積が増加するからである。
【0110】
このように、有機化合物として、プロピレングリコールが選択された場合でも、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物との組み合わせからなる添加剤によって、BET比表面積の増加とCODの低減が実現される。
【0111】
また、表3から明らかな通り、比較例2−2で得られる消石灰では、BET比表面積が32.1m/g、CODは180ppmである。比較例2−2に対応する実施例2−2で得られる消石灰では、BET比表面積が34.5m/gであり、CODは、100ppmである。比較例2−2と実施例2−2との比較からわかる通り、有機化合物だけの添加剤の場合に比べて、有機化合物と無機化合物との組み合わせによる添加剤によって、BET比表面積は増加しCODは低減している。実施例2−1の場合と同様である。
【0112】
このように、有機化合物として、ジプロピレングリコールが選択された場合でも、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物との組み合わせからなる添加剤によって、BET比表面積の増加とCODの低減が実現される。
【0113】
また、表3から明らかな通り、比較例2−3で得られる消石灰では、BET比表面積が30.3m/gであり、CODが190ppmである。比較例2−3に対応する実施例2−3で得られる消石灰では、BET比表面積は34.0m/gであり、CODは110ppmである。比較例2−3と実施例2−3との比較からわかる通り、有機化合物だけの添加剤の場合に比べて、有機化合物と無機化合物との組み合わせによる添加剤によって、BET比表面積は増加しCODは低減している。実施例2−1、2−2の場合と同様である。
【0114】
このように、有機化合物として、グリセリンが選択された場合でも、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物との組み合わせからなる添加剤によって、BET比表面積の増加とCODの低減が実現される。
【0115】
表2および表3の結果からわかる通り、添加剤が、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物の組み合わせであることで、有機化合物のみの添加剤が用いられる場合よりも、BET比表面積を増加させるとともにCODを減少させた消石灰を製造できる。添加剤が無機化合物だけの場合に対しても同様である。すなわち、添加剤が二酸化ケイ素を含有する無機化合物のみである場合は、添加剤が有機化合物と無機化合物との組み合わせの場合よりも、CODは低くなるが、BET比表面積拡大への効果は低い。
【0116】
(有機化合物と無機化合物との組み合わせが効果的である実験結果)
添加剤として、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物との組み合わせが用いられる場合についての実験結果について説明する。
【0117】
添加剤は、ジエチレングリコール(ヒドロキシル基を有する有機化合物)とゼオライト(二酸化ケイ素を含有する無機化合物)と、の組み合わせである。
【0118】
発明者は、添加剤全体を100重量%として、この添加剤全体に対するゼオライト(無機化合物)の比率を変化させた上で、製造される消石灰のBET比表面積を測定した。測定結果を図2に示す。図2は、本発明の実施の形態1における無機化合物の配合比率に対する消石灰のBET比表面積を示すグラフである。
【0119】
図2のグラフでは、横軸は添加剤全体に対するゼオライトの比率を示している。縦軸は、製造される消石灰のBET比表面面積を示している。図2のグラフの原点における値「0」は、無機化合物であるゼオライトが全く含まれていない添加剤(有機化合物だけの添加剤)を示しており、図2のグラフの原点の対称位置である値「100」である点は、有機化合物であるジエチレングリコールが全く含まれていない添加剤(無機化合物だけの添加剤)を示している。
【0120】
なお、添加剤そのものは、添加剤中の配合比率に関係なく、生石灰に対して1重量%が添加される。
【0121】
図2のグラフから明らかな通り、添加剤が有機化合物だけ(グラフの原点に対応する位置)の場合であっても、添加剤が無機化合物だけ(グラフの右端)の場合であっても、BET比表面積は、十分に大きくならない。グラフからは、ある程度、添加剤が有機化合物と無機化合物との組み合わせであることが、BET比表面積に効果的であることが分かる。
【0122】
ここで、無機化合物は、添加剤に所定量含まれていることが好ましいが、図2のグラフから読み取れるように、二酸化ケイ素を含有する無機化合物が添加剤に対して、10重量%〜85重量%であることが好ましい。二酸化ケイ素を含有する無機化合物が、添加剤においてこの範囲であることで、製造される消石灰のBET比表面積は、35m/g以上となるからである。BET比表面積が、35m/g以上であることで、消石灰が酸性ガス除去剤として用いられる場合の、酸性ガスの除去能力が高まるからである。
【0123】
なお、図2の実験や比較例や実施例においては、BET比表面積を、その結果の一つの基準としているが、BET比表面積は、添加剤の配合比率や構成物質によっても変化し、生石灰、水、添加剤の量によっても変動する。このため、図2のグラフにおけるBET比表面積の値は、添加剤が有機化合物と無機化合物との組み合わせを含んでいることが好ましいとの傾向を示すものであって、この値が絶対的な値であるわけではない。
【0124】
また、添加剤が有機化合物と有機化合物との組み合わせである場合は、有機化合物と無機化合物との組み合わせの場合と異なり、有機化合物同士の配合比率によって製造される消石灰のBET比表面積には好影響を与えない。
【0125】
図3は、本発明の実施の形態1における有機化合物と有機化合物の組み合わせによる添加剤によって製造される消石灰のBET比表面積を示すグラフである。図3は、図2と異なり、添加剤が、有機化合物であるジエチレングリコールとジプロピレングリコールとを含んでいる。この添加剤において、ジプロピレングリコールの量が、添加剤に対して変化する状態を示している。図3のグラフでは、図2のグラフと同じく、横軸はジプロピレングリコールの添加量を示し、縦軸は製造される消石灰のBET比表面積を示している。
【0126】
図3より明らかな通り、添加剤におけるジプロピレングリコールの添加量の比率が増加してもBET比表面積は増加しない。このように、添加剤が有機化合物と有機化合物との組み合わせである場合には、その比率を変化させたとしても、BET比表面積の増加につながることはない。
【0127】
図3のグラフからも、添加剤が、有機化合物と無機化合物との組み合わせであることが、製造される消石灰の性能向上に好ましいことが分かる。
【0128】
(有機化合物の添加量)
次に、添加剤に含まれる有機化合物の、生石灰に対する添加量によって、製造される消石灰のBET比表面積やCODに与える影響について説明する。発明者は、複数の実験によって、有機化合物の添加量による消石灰への影響を客観化した。これを、実施例3のシリーズにおける各実施例に基づいて説明する。
【0129】
まず、実施例3のシリーズでの各実施例は、ヒドロキシル基を有する有機化合物としてジエチレングリコールが選択され、二酸化ケイ素を含有する無機化合物としてゼオライトが選択されている。各実施例では、ゼオライトは、生石灰に対して1.0重量%として固定され、ジエチレングリコールの量が少しずつ変更されて、実験されている。
【0130】
(実施例3−1)
実施例3−1は、60gの生石灰、400gの水、有機化合物と無機化合物との組み合わせからなる添加剤が用いられて製造された消石灰である。ここで、添加剤は、生石灰に対して0.005重量%のジエチレングリコールと生石灰に対して1.0重量%のゼオライトとの組み合わせを含んでいる。
【0131】
(実施例3−2)
実施例3−2は、60gの生石灰、400gの水、有機化合物と無機化合物との組み合わせからなる添加剤が用いられて製造された消石灰である。ここで、添加剤は、生石灰に対して0.01重量%のジエチレングリコールと生石灰に対して1.0重量%のゼオライトとの組み合わせを含んでいる。
【0132】
(実施例3−3)
実施例3−3は、60gの生石灰、400gの水、有機化合物と無機化合物との組み合わせからなる添加剤が用いられて製造された消石灰である。ここで、添加剤は、生石灰に対して0.1重量%のジエチレングリコールと生石灰に対して1.0重量%のゼオライトとの組み合わせを含んでいる。
【0133】
(実施例3−4)
実施例3−4は、60gの生石灰、400gの水、有機化合物と無機化合物との組み合わせからなる添加剤が用いられて製造された消石灰である。ここで、添加剤は、生石灰に対して0.5重量%のジエチレングリコールと生石灰に対して1.0重量%のゼオライトとの組み合わせを含んでいる。
【0134】
(実施例3−5)
実施例3−5は、60gの生石灰、400gの水、有機化合物と無機化合物との組み合わせからなる添加剤が用いられて製造された消石灰である。ここで、添加剤は、生石灰に対して1.0重量%のジエチレングリコールと生石灰に対して1.0重量%のゼオライトとの組み合わせを含んでいる。
【0135】
(実施例3−6)
実施例3−6は、60gの生石灰、400gの水、有機化合物と無機化合物との組み合わせからなる添加剤が用いられて製造された消石灰である。ここで、添加剤は、生石灰に対して5.0重量%のジエチレングリコールと生石灰に対して1.0重量%のゼオライトとの組み合わせを含んでいる。
【0136】
(実施例3−7)
実施例3−7は、60gの生石灰、400gの水、有機化合物と無機化合物との組み合わせからなる添加剤が用いられて製造された消石灰である。ここで、添加剤は、生石灰に対して10重量%のジエチレングリコールと生石灰に対して1.0重量%のゼオライトとの組み合わせを含んでいる。
【0137】
(実施例3−8)
実施例3−1は、60gの生石灰、400gの水、有機化合物と無機化合物との組み合わせからなる添加剤が用いられて製造された消石灰である。ここで、添加剤は、生石灰に対して15重量%のジエチレングリコールと生石灰に対して1.0重量%のゼオライトとの組み合わせを含んでいる。
【0138】
以上の、実施例3−1〜3−8によって製造された消石灰の結果を、表4に示す。
【0139】
【表4】

【0140】
表4に示されるとおり、実施例3−1〜3−8のそれぞれは、製造された消石灰において、BET比表面積とCODの値を有する。
【0141】
表4から示されるとおり、実施例3−1で製造される消石灰では、BET比表面積が32.3m/gでありCODが6.0ppmである。CODの値はかなり低いが、BET比表面積は十分に高くなく、CODを抑えることができても、BET比表面積を十分に高めることができない。すなわち、実施例3−1で示される添加剤における有機化合物の比率は、適切とはいえない。
【0142】
実施例3−2で製造される消石灰では、BET比表面積が33.6m/gでありCODが6.7ppmである。CODの値も十分に低い上、BET比表面積も実施例3−1の場合に比して増加しており、有機化合物の比率が、生石灰に対して0.01重量%程度であれば、十分なBET比表面積とCODとを両立できる。
【0143】
実施例3−3で製造される消石灰では、BET比表面積が35.4m/gでありCODが43ppmである。BET比表面積は十分に大きく、CODも十分に小さい。すなわち、所望される消石灰が製造される。実施例3−3の結果からわかる通り、有機化合物の比率が、生石灰に対して0.1重量%であれば、十分なBET比表面積とCODとを両立できる。
【0144】
実施例3−4で製造される消石灰では、BET比表面積が37.1m/gでありCODが120ppmである。BET比表面積の大きさとCODの抑制が両立されている。このことから、有機化合物の比率が生石灰に対して0.5重量%であることは、十分なBET比表面積とCODとの両立に適当である。
【0145】
実施例3−5で製造される消石灰では、BET比表面積が37.7m/gでありCODが200ppmである。BET比表面積の大きさとCODの抑制が両立されている。このことから、有機化合物の比率が生石灰に対して1.0重量%であることは、十分なBET比表面積とCODとの両立に適当である。
【0146】
実施例3−6で製造される消石灰では、BET比表面積が39.0m/gであり、CODは820ppmである。BET比表面積は十分であるが、CODがやや大きい。このことから、有機化合物の比率が生石灰に対して5.0重量%であることは、BET比表面積とCODの両立に対応できるレベルである。
【0147】
実施例3−7で製造される消石灰では、BET比表面積は39.4m/gと大きいが、CODの値も1500ppmと非常に大きくなってしまっている。CODが1500ppmと大きい場合には、消石灰が酸性ガス除去剤として用いられる場合に、二酸化炭素排出量が大きくなってしまう。このことから、有機化合物は、生石灰に対して10重量%程度までであることが、十分なBET比表面積と小さいCODにとって必要であることがわかる。
【0148】
実施例3−8では、BET比表面積が39.5m/gと大きいものの、CODも1900ppmと非常に大きくなってしまう。有機化合物が生石灰に対して15重量%であることは、十分なBET比表面積と小さいCODにとっては不適切である。
【0149】
以上、表4に示される実施例3のシリーズでの実験結果より、添加剤に用いられるヒドロキシル基を有する有機化合物の添加量は、生石灰に対して、0.01重量%〜10重量%であることが好ましいと考えられる。また、表4からわかる通り、更に好ましくは、ヒドロキシル基を有する有機化合物の添加量は、生石灰に対して、0.1重量%〜5重量%である。
【0150】
(無機化合物の添加量)
また、添加剤に含まれる無機化合物は、生石灰に対して0.01重量%〜15重量%であり、更に好ましくは、0.01重量%〜10重量%であることが好ましい。図4は、本発明の実施の形態1における無機化合物の添加量の変動における消石灰のBET比表面積を示すグラフである。
【0151】
図4のグラフの基となる実験では、生石灰に対して1重量%で固定されたジエチレングリコール(図4中ではDEGと示す)と、生石灰に対して0重量%から20重量%まで変化させたゼオライトを添加した消石灰のBET比表面積が測定された。図4のグラフの横軸は、生石灰に対する無機化合物であるゼオライトの添加比率を重量%で示している。図4のグラフの縦軸は、得られた消石灰のBET比表面積を示している。有機化合物であるジエチレングリコールの添加比率が固定されていることで、消石灰に対する無機化合物の寄与度を見ることができる。
【0152】
図4のグラフから明らかな通り、無機化合物であるゼオライトの添加比率が増加するにつれて、得られる消石灰のBET比表面積が増加する。しかしながら、無機化合物であるゼオライトの添加比率が15重量%を超えると、得られる消石灰のBET比表面積の増加が頭打ちになってくる。更には、無機化合物であるゼオライトの添加比率が10重量%を超えると、得られる消石灰のBET比表面積の増加が難しくなってきている。
【0153】
図4から見出せるこれらの結果に基づけば、添加剤に含まれる無機化合物は、生石灰に対して、0.01重量%〜15重量%、更に好ましくは0.01重量%〜10重量%程度であることが好ましい。
【0154】
(無機化合物の添加について)
実施の形態1における消石灰では、消化工程に用いられる添加剤に二酸化ケイ素を含有する無機化合物を含む。この無機化合物は、有機化合物の添加量を減少させるとともに、有機化合物との相乗効果によってBET比表面積を増加させる。
【0155】
一方で、有機化合物を用いずに無機化合物だけの添加剤の場合には、CODは低くできるが、BET比表面積は大きくできない。例えば、60gの生石灰、60gの水、添加剤によって製造される消石灰であって、添加剤がシリカゲルのみを含む場合には、製造される消石灰のCODは、5.9ppmと低いが、BET比表面積は30.0m/gと小さくなる。これでは、不十分である。
【0156】
このように、実施の形態1における消石灰は、消化工程で用いられる添加剤は、有機化合物と無機化合物との組み合わせを含む。ここで、無機化合物としては、シリカゲル、珪藻土、ゼオライト、アロフェン、イモゴライト、酸性白土および活性白土の少なくとも一つが選択される。いずれの無機化合物が選択される場合でも、多少の相違はあっても、十分なBET比表面積とCODが得られる。
【0157】
実施例4のシリーズにおいて、無機化合物がいずれであっても、製造される消石灰のBET比表面積とCODが十分であることを示す。なお、実施例4のシリーズでの実験では、実施例1〜3と異なり、生石灰60gに対して水も60gであり、消化工程における水の温度を25℃に設定している。このため、実施例1〜3での実験結果よりは、BET比表面積の絶対値は見た目上小さくなる。しかしながら、製造される消石灰に求められる基準を下回るものではない。
なお、実施例4のシリーズの消石灰は、篩による分級および減圧濾過が行われず、110℃で乾燥されて製造される。
【0158】
(実施例4−1)
実施例4−1は、60gの生石灰、60gの水(消化工程での温度は25℃)、添加剤によって製造される消石灰である。添加剤は、生石灰に対して0.2重量%のジエチレングリコール(有機化合物)と生石灰に対して1.0重量%のアロフェン含有土である。
【0159】
(実施例4−2)
実施例4−2は、60gの生石灰、60gの水(消化工程での温度は25℃)、添加剤によって製造される消石灰である。添加剤は、生石灰に対して0.2重量%のジエチレングリコール(有機化合物)と生石灰に対して1.0重量%のゼオライトである。
【0160】
(実施例4−3)
実施例4−3は、60gの生石灰、60gの水(消化工程での温度は25℃)、添加剤によって製造される消石灰である。添加剤は、生石灰に対して0.2重量%のジエチレングリコール(有機化合物)と生石灰に対して1.0重量%の活性白土Aである。
【0161】
(実施例4−4)
実施例4−4は、60gの生石灰、60gの水(消化工程での温度は25℃)、添加剤によって製造される消石灰である。添加剤は、生石灰に対して0.2重量%のジエチレングリコール(有機化合物)と生石灰に対して1.0重量%の活性白土Bである。
【0162】
(実施例4−5)
実施例4−5は、60gの生石灰、60gの水(消化工程での温度は25℃)、添加剤によって製造される消石灰である。添加剤は、生石灰に対して0.2重量%のジエチレングリコール(有機化合物)と生石灰に対して1.0重量%の酸性白土である。
【0163】
(実施例4−6)
実施例4−6は、60gの生石灰、60gの水(消化工程での温度は25℃)、添加剤によって製造される消石灰である。添加剤は、生石灰に対して0.2重量%のジエチレングリコール(有機化合物)と生石灰に対して1.0重量%の珪藻土である。
【0164】
(実施例4−7)
実施例4−7は、60gの生石灰、60gの水(消化工程での温度は25℃)、添加剤によって製造される消石灰である。添加剤は、生石灰に対して0.2重量%のジエチレングリコール(有機化合物)と生石灰に対して1.0重量%のシリカゲルである。
【0165】
以上の、実施例4−1から実施例4−7までについて、表5に示す。
【0166】
【表5】

【0167】
表5に示されるとおり、実施例4−1で製造される消石灰のBET比表面積は28.2m/gであり、CODは130ppmである。実施例4−2で製造される消石灰のBET比表面積は35.8m/gであり、CODは120ppmである。実施例4−3で製造される消石灰のBET比表面積は29.1m/gであり、CODは110ppmである。実施例4−4で製造される消石灰のBET比表面積は33.5m/gであり、CODは110ppmである。実施例4−5で製造される消石灰のBET比表面積は26.3m/gであり、CODは130ppmである。実施例4−6で製造される消石灰のBET比表面積は26.6m/gであり、CODは120ppmである。実施例4−7で製造される消石灰では、BET比表面積は34.1m/gであり、CODは110ppmである。
【0168】
いずれも、十分な大きさのBET比表面積と十分に小さいCODを示している。
【0169】
このように、無機化合物の種類によって、得られる消石灰の細かな差はあるが、いずれであっても良好な結果が確認できる。このため、実施の形態1における消石灰を製造する者は、シリカゲル、珪藻土、ゼオライト、アロフェン、イモゴライト、酸性白土および活性白土の少なくとも一つを、無機化合物として任意に選択することができる。
【0170】
以上、実施の形態1における消石灰は、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物との組み合わせからなる添加剤を用いて製造される。この結果、十分に大きなBET比表面積を確保するとともにCODを低減できる。
【0171】
なお、実施の形態1において実験結果として説明しているCODの値は、環境省告示46号に準じて得た溶出液をJIS K 0102 17に順次、過マンガン酸カリウムで測定した結果である。
【0172】
(実施の形態2)
【0173】
次に、実施の形態2について説明する。
【0174】
実施の形態2では、実施の形態1で説明した消石灰の製造方法について説明する。
【0175】
図5は、本発明の実施の形態2における消石灰の製造工程を示すブロック図である。
【0176】
消石灰は、生石灰1および水3の少なくとも一方に、所定の添加剤2を混合する第1混合工程7と、生石灰1に水3を混合する第2混合工程8と、生石灰1、水3、添加剤を反応させる消化工程4と、熟成工程5および乾燥工程6を経て、製造される。
【0177】
消化工程4において、生石灰1、水3および添加剤2が消化反応を生じさせる。この消化反応によって、消石灰となる物質が得られる。この消石灰となる物質が所定時間熟成された上で、乾燥させられると、最終的な消石灰が得られる。
【0178】
消化工程4において用いられる添加剤2は、実施の形態1で説明したように、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物との組み合わせである。
【0179】
ここで、添加剤2は、(1)生石灰1へ添加される、(2)水3へ添加される、(3)生石灰1と水3の混合物へ添加される、の少なくとも一つの手段で添加される。図5においては、添加剤2が生石灰1へ添加される矢印A、添加剤2が水3に添加される矢印B、添加剤2が生石灰1と水3の混合物に添加される矢印Cが示されている。添加剤2は、これら(1)〜(3)のいずれの方法で添加されても良い。
【0180】
例えば、(2)のように水3に添加剤が添加される場合には、添加剤の分散および攪拌が十分に行われるので、添加剤による高い効果が期待できる。もちろん、(1)や(2)の手段によって添加剤を添加する場合でも、添加剤による効果は得られる。
【0181】
また、生石灰1と水3とは、同量であってもよいし、異なる量であってもよい。生石灰1と水3とが同量である場合には、消化工程4を行う攪拌機に投入される生石灰1の量に応じて、ほぼ同量の水3の量を制御して加えることで、生石灰1と水3との消化工程が開始される。熟成工程5は、熟成機で行われる。また、乾燥工程6は、高温での長時間にわたる乾燥を避けるため、乾燥用熱風と含水消石灰が数秒から数分で接触できるスプレードライヤーや気流式乾燥機が用いられることが望ましい。
【0182】
あるいは、生石灰1と水3とが異なる量である場合には、生石灰1を水3に投入してスラリー状とする。スラリー状となったものが振動篩などで分級されて、フィルタープレスなどで濾過される。この消化工程を経たあとで、消石灰は、気流乾燥機などで乾燥や分級される。このような、湿式消化法で消石灰が製造されても良い。あるいは、生石灰1に対して同量以下の水3による乾式消化法であってもよい。コストなどの面から、半湿式消化法が採用されても良いが、いずれの方法で、消石灰が製造されても良い。
【0183】
以上のような製造工程を経て、消石灰は製造される。このとき、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物との組み合わせからなる添加剤が用いられることで、製造される消石灰は、BET比表面積が大きく、CODの値は小さいものである。
【0184】
また、実施の形態1、2で説明された消石灰は、ごみ焼却炉などに投入される酸性ガス除去剤として利用される。特に、BET比表面積が大きいので、酸性ガスの吸着性能が高くなり、CODが低いことで、環境負荷も小さな酸性ガス除去剤として利用できる。
【0185】
以上、実施の形態1〜2で説明された消石灰や消石灰の製造方法は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0186】
1 生石灰
2 添加剤
3 水
4 消化工程
5 熟成工程
6 乾燥工程
7 第1混合工程
8 第2混合工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生石灰と水を反応させる消化工程によって製造される消石灰であって、
前記消化工程に用いられる所定の添加剤が添加され、
前記添加剤は、ヒドロキシル基を有する有機化合物とニ酸化ケイ素を含有する無機化合物とが組み合わされた物質を含む、消石灰。
【請求項2】
前記消石灰は、BET比表面積が、20m/g以上であって、更に好ましくは35m/g以上である、請求項1記載の消石灰。
【請求項3】
前記ヒドロキシル基を有する有機化合物は、グリコール類、糖類およびエタノールアミン類からなる群の少なくとも一つから選択される、請求項1又は2記載の消石灰。
【請求項4】
前記グリコール類は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびグリセリンからなる群の少なくとも一つから選択される、請求項1から3のいずれか記載の消石灰。
【請求項5】
前記糖類は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、キシリトース、スクロース、マルトース、ラクトース、トレハロース、ソルビトールおよびキシリトールからなる群の少なくとも一つから選択される、請求項1から4のいずれか記載の消石灰。
【請求項6】
前記エタノールアミン類は、エタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンからなる群の少なくとも一つから選択される、請求項1から5のいずれか記載の消石灰。
【請求項7】
前記二酸化ケイ素を含有する無機化合物は、シリカゲル、珪藻土およびゼオライトからなる群の少なくとも一つから選択される、請求項1から6のいずれか記載の消石灰。
【請求項8】
前記二酸化ケイ素を含有する無機化合物は、アロフェン、イモゴライト、酸性白土および活性白土からなる群の少なくとも一つから選択される、請求項1から6のいずれか記載の消石灰。
【請求項9】
前記添加剤は、(1)前記生石灰への添加、(2)前記水への添加、(3)前記生石灰と水との混合物への添加、において、(1)から(3)の少なくとも一つの手段で添加される、請求項1から8のいずれか記載の消石灰。
【請求項10】
前記ヒドロキシル基を有する有機化合物の群から選択される少なくとも一つの添加量は、前記生石灰に対して、0.01重量%〜10重量%である、請求項3から9のいずれか記載の消石灰。
【請求項11】
前記二酸化ケイ素を含有する無機化合物の添加量は、前記生石灰に対して、0.01重量%〜15重量%であり、更に好ましくは0.01重量%〜10重量%である、請求項1から10のいずれか記載の消石灰。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか記載の消石灰を有効成分とする、酸性ガス除去剤。
【請求項13】
生石灰および水の少なくとも一方に、所定の添加剤を混合する第1混合工程と、
前記生石灰に前記水を混合する第2混合工程と、
前記生石灰、前記添加剤および前記水と、を反応させる消化工程と、を備え、
前記添加剤は、ヒドロキシル基を有する有機化合物とニ酸化ケイ素を含有する無機化合物とが組み合わされた物質を含む、消石灰の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−46366(P2012−46366A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188210(P2010−188210)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(397006793)古手川産業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】