説明

消臭剤及びそれを用いる消臭方法

【課題】悪臭を発生している消臭対象物に、噴霧、添加、散布することで、該悪臭を効果的に低減し得る新規な消臭剤、及びこの消臭剤を用いる消臭方法を提供する。
【解決手段】エーテル型非イオン性界面活性剤を有効成分として含む水溶液又は水性懸濁液からなる消臭剤、及びこの消臭剤を、消臭対象物表面又は臭気雰囲気に散布又は噴霧することを特徴とする消臭方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消臭剤及びそれを用いる消臭方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、エーテル型非イオン性界面活性剤を有効成分とし、場合により香料を含む水溶液型又は水性懸濁型であって、悪臭を発生している消臭対象物に、噴霧、添加、散布することで、該悪臭を効果的に低減し得る消臭剤、及びこの消臭剤を用いる消臭方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、生活環境や意識の変化にともない、身の回りの悪臭の防止が強く要求されており、生ゴミや、トイレ等の悪臭を有効に解消ないしは抑制することが求められている。
一般的な悪臭成分としては、メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチルなどの硫黄化合物や、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、インドールなどの窒素化合物、更には、プロピオン酸、酪酸などの低級脂肪酸、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどが挙げられる。
これら悪臭成分は様々に入り混じり、日常生活に限定しても、食品類の腐敗臭、衣類や寝具から発生する臭気、喫煙により発生するたばこ臭等、非常に多種多様の悪臭が存在する。
一方、下水処理場やし尿処理場をはじめ、食品工場、紙パルプ工場などの有機性産業排水の処理工程などにおいては、各種の汚泥スラリーを脱水して得られる脱水ケーキが発生し、この脱水ケーキからは、硫化水素やメチルメルカプタンなどの悪臭物質に由来する臭気が発生する。また、原油や灯油、軽油、潤滑油、ギャー油などの漏洩若しくは不法投棄などによる汚染土壌も悪臭を発生する。
このような悪臭に対して、種々の消臭技術が開発されている。
例えば、下水処理場の汚泥濃縮工程後の混合生汚泥スラリーに、亜硝酸塩を添加して脱水処理し、脱水ケーキから発生する硫化水素やメチルメルカプタンなどの悪臭物質に由来する臭気を効果的に防止する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この技術においては、即効性については不十分であり、また硫化水素やメチルメルカプタン以外の臭気成分に対して十分な効果が得られにくい。
また、植物精油などの芳香系消臭剤(マスキング剤)を用いる技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この技術においては、必ずしも悪臭自体を低減(抑制)するものではなく、また、芳香に対する嗜好に個人差があるため、人によっては、その消臭剤を散布/噴霧しても環境を改善する効果が低い場合がある。
さらに、汚染土壌の消臭方法として、HLB値が4〜15の非イオン性界面活性剤のO/W型エマルションを対象土壌に散布する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、この技術においては、効果が不十分であり、また、油分を多量に含むため、排液などに散布した場合には、液が白濁する場合があるなどの問題を有している。
【特許文献1】特許第3605821号公報
【特許文献2】特開平4−53563号公報
【特許文献3】特開2004−89822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、このような事情のもとで、悪臭を発生している消臭対象物に、噴霧、添加、散布することで、該悪臭を効果的に低減し得る新規な消臭剤、及びこの消臭剤を用いる消臭方法を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の界面活性剤を含む水溶液又は水性懸濁液が、硫化水素やメチルメルカプタン以外の臭気成分、アンモニア、さらにはプロピオン酸、酪酸、吉草酸などの有機酸、臭気成分が特定されない生ごみやし尿、腐敗臭などに有効であることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1]エーテル型非イオン性界面活性剤を有効成分として含む水溶液又は水性懸濁液からなる消臭剤、
[2]エーテル型非イオン性界面活性剤が、HLB値(親水性と親油性のバランスを表す指標)13〜20のものである上記[1]項に記載の消臭剤、
[3]エーテル型非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルフェノール−ホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー及びポリオキシエチレンプロピレンアルキルエーテルの中から選ばれる少なくとも1種である上記[1]又は[2]項に記載の消臭剤、
[4]非イオン性界面活性剤の含有量が1〜90質量%である上記[1]〜[3]項のいずれかに記載の消臭剤、
[5]さらに、香料を含む上記[1]〜[4]項のいずれかに記載の消臭剤、
[6]香料の含有量が0.1〜5質量%である上記[5]項に記載の消臭剤、
[7]上記[1]〜[6]項のいずれかに記載の消臭剤を、消臭対象物表面又は臭気雰囲気に散布又は噴霧することを特徴とする消臭方法、及び
[8]消臭剤を、消臭対象物表面に対して、0.01〜5mmの皮膜を形成するように散布又は噴霧する上記[7]項に記載の消臭方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、エーテル型非イオン性界面活性剤を有効成分として含み、場合により香料を含む水溶液型又は水性懸濁型の消臭剤であって、消臭対象物に、噴霧、添加、散布することで、悪臭を効果的に低減し得る消臭剤、及びこの消臭剤を用いる消臭方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の消臭剤は、エーテル型非イオン性界面活性剤を有効成分として含む水溶液又は水性懸濁液からなることを特徴とする。
本発明の消臭剤において、有効成分として用いられるエーテル型非イオン性界面活性剤としては、HLB値が13〜20の範囲にあるものが好ましく用いられる。このHLB値は、親水性と親油性のバランスを表す指標であり、その値が小さいほど、親油性が高い。HLB値が上記範囲を逸脱するものでは、消臭効果が十分に発揮されない。消臭効果をよりよく発揮させるには、HLB値が15〜20の範囲にあるものがより好ましく、17〜20の範囲にあるものがさらに好ましい。なお、該HLB値は、グリフィン法により算出した値である。
該エーテル型非イオン性界面活性剤としては、HLB値が上記の範囲にあればよく、特に制限されず、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、アルキルフェノール−ホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどを挙げることができる。これらの中で、性能の点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルフェノール−ホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー及びポリオキシエチレンプロピレンアルキルエーテルが好適である。
【0007】
前記のポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、アルキル基の炭素数が8〜30、特に8〜11又は20〜25のものが好ましく、例えばポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどを用いることができる。また、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルとしては、例えばポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテルなどを用いることができる。
これらのエーテル型非イオン性界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の消臭剤においては、前記エーテル型非イオン性界面活性剤の含有量は、消臭効果及び取扱い性などの観点から、1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がより好ましく、10〜70質量%がさらに好ましい。
消臭剤の形態は、純水(イオン交換水)を媒体とする水溶液であってもよいし、水性懸濁液であってもよい。水性懸濁液の場合、エーテル型非イオン性界面活性剤の含有量やエチレンオキシドの付加モル数などによって、O/W型懸濁液又はW/O型懸濁液になるが、いずれの形態であってもよい。安定性の面では、水溶液が好ましい。
本発明の消臭剤においては、必要に応じ香料を含有することができる。この香料はマスキング剤として機能し、エーテル型非イオン性界面活性剤のみでは、臭気を完全に防止することができない場合に有効である。
【0008】
前記香料としては、天然香料、合成香料及び調合香料のいずれも用いることができる。
天然香料及び合成香料としては、例えばメチルイオノン、サリチル酸ヘキシル、イオノン、ヘディオン、フェノキシエタノール、アンバーコア、セドリルメチルエーテル、シネオール、カンファー、ピネン、リモネン、ターピネオール、リナロール、酢酸リナロール、ネロール、酢酸ネリル、カルバクロール、チモール、シトロネロール、シトラール、ゲラニオール、サンタロール、ボルネオール、カルボン、シンナミックアルデヒド、酢酸ベンジル、オイゲノール、セドレン、酢酸ボルニル、メントール、メントン、メチルチャビコール、サイメン、プレゴール、アネトール、シヨン、ラバンジュロール、セージオイル、タイムオイル、バジルオイル、ペパーミントオイル、ハッカオイル、ローズマリーオイル、ユーカリプタスオイル、マジョラムオイルセージ、シトロネラオイル、シダーウッドオイル、スイートオレンジオイル、ベルガモットオイル、ラベンダーオイル、シンナモンオイル、レモンオイル、ライムオイル、ひのきオイルなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、調合香料としては、次のような香調のベース類がある。レモン調、ライム調、オレンジ調、スイートオレンジ調、マンダリン調、ベルガモット調等のシトラスタイプベース、プチグレン調、ネロリ調、レモングラス調、アグルメン調、等のフレッシュタイプベース、アップル調、ピーチ調、ストロベリー調、ココナッツ調、パイナップル調、ラズベリー調、ウォーターメロン調等のフルーティタイプベース、ローズ調、ジャスミン調、ムゲ調、ライラック調、カーネーション調、ヒアシンス調、チュベローズ調、ガーデニア調、ミモザ調、ナルシス調、バイオレット調、イラン調、フローラルブーケ調等のフローラルタイプベース、シナモンバーク調、シナモンリーフ調、クローブ調、ピメントベリー調、ナツメグ調、ペッパー調、カルダモン調、コリアンダー調、クミン調等のスパイシータイプベース、シダーウッド調、ベチバー調、サンダルウッド調、グアイアックウッド調、ウディアンバー調、ウディイリス調等のウッディタイプベース、スモーキー調、キノリン調等のレザータイプ、バニラ調、トンカ調、ハネー調、ピュアーバルサム調等のスゥイートタイプベース、その他アルデハイディックタイプベース、アンバータイプベース、アニマルタイプベース、アニスタイプベース、アロマティックハーバルタイプベース、アガータイプベース、アクアタイプベース、カンファーシネオールタイプベース、グリーンタイプベース、シードタイプベース、ハーブタイプベース、パインタイプベース、パチュリタイプベース、バルサミックタイプベース、ミントタイプベース、ムスクタイプベース、モスタイプベース、ラベンダータイプベース、リナロールタイプベース、レジンタイプベース等が挙げられる。
本発明の消臭剤においては、前記香料は、マスキング効果及び経済性のバランスの観点から、0.1〜5質量%を含有することが好ましく、0.1〜3質量%含有することがより好ましい。
【0009】
本発明の消臭剤には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じて、各種殺菌剤や静菌剤、例えばヒノキチオール、塩酸クロルヘキシジン、フェノキシタノール、ヘキサクロロフェン、2,4,4'−トリクロロ−2'−ヒドロキシジフェニルエーテル、(トリクロサン)、ビチオノール、3,4,4'−トリクロロカルバニリド(TCC)、塩化ベンザルコニウム、1−ヒドロキシピリジン−2−チオン(ジンクピリチオン)、チラム(テトラメチルチウラムジスルフィド)、ハロカルバン、サリチル酸、カプリル酸又はその塩、カプリン酸又はその塩、ウンデシレン酸又はその塩、ピリチオン又はその塩、亜硝酸又はその塩などを適宜含有させることができる。
次に、本発明の消臭方法について説明する。
本発明の消臭方法は、前述した本発明の消臭剤を、消臭対象物表面又は臭気雰囲気に散布又は噴霧することを特徴とする。
本発明の消臭方法において、消臭対象物表面に消臭剤を散布又は噴霧する場合、前記消臭対象物としては、悪臭ガス(有機酸など)自体、又はガスが発生している固体、液体など、具体的には、海洋生物の廃棄物(貝、魚、クラゲなど)、回収した使用済みペットボトル、排水処理系で油やスカムが浮いている槽、酵母の廃液などを挙げることができる。
これらの消臭対象物の表面に、本発明の消臭剤を散布又は噴霧する方法としては、手で直接に散布や添加してもよいし、あるいは散布機、噴霧機、ポンプなどの機器を使用してもよい。
本発明の消臭剤の散布量や噴霧量に特に制限はないが、消臭効果及び経済性などの観点から、消臭対象物表面に原液や1〜50質量%程度の希釈液で0.01〜5mmの皮膜を形成するような量が好ましく、1〜3mmの皮膜を形成するような量がより好ましい。
【0010】
一方、臭気雰囲気に、本発明の消臭剤を散布又は噴霧する場合、該臭気雰囲気としては、工場やレストランの排気ダクトや煙突、コークス炉(製鉄会社など)、回収した使用済みペットボトル置き場、スクラバー出口などを挙げることができる。
これらの臭気雰囲気に、本発明の消臭剤を散布又は噴霧する方法としては、手で直接散布してもよいし、あるいは散布機や噴霧機などの機器を使用してもよい。
本発明の消臭剤の散布量や噴霧量に特に制限はないが、消臭効果及び経済性などの観点から、原液や1〜10質量%程度の希釈液で臭気雰囲気に0.01〜10g/m3になるような量が好ましく、0.1〜1g/m3になるような量がより好ましい。
本発明の消臭剤は、エーテル型非イオン性界面活性剤を有効成分とし、場合により香料を含む水溶液型又は水性懸濁型であって、悪臭を発生している固体や液体などに噴霧、添加、散布することで、あるいは臭気雰囲気に噴霧や散布することで、悪臭を効果的に低減し、生活環境や作業環境の改善を図ることができる。
これは、エーテル型非イオン性界面活性剤が、有機酸などの悪臭物質を水中に分散させ、揮発性を抑制する効果により、さらに、場合により含有される香料のマスキング効果により、悪臭が低減されるものと考えられる。
【実施例】
【0011】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、消臭剤の調製に使用した薬品を以下に示す。
・界面活性剤A;花王(株)製、商品名「エマルゲン1135S−70」、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、HLB値17.9、アルキル基の炭素数11
・界面活性剤B;花王(株)製、商品名「エマルゲン430」、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、HLB値16.2
・界面活性剤C;花王(株)製、商品名「エマルゲン2025G」、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、HLB値15.7
・界面活性剤D;花王(株)製、商品名「エマルゲン1108」、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、HLB値13.4
・界面活性剤E;花王(株)製、商品名「エマルゲン404」、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、HLB値8.8
・界面活性剤F;日本油脂(株)製、商品名「ノニオンOT221」、ポリエチレングリコールソルビタンモノオレート、HLB値15.0
・界面活性剤G;日本油脂(株)製、商品名「パーソフトSK」、アルキル硫酸エステルナトリウム塩
・界面活性剤H;旭電化工業(株)製、商品名「アデカトールNP−683」、ノニルフェノールエトキシレート、HLB値12.4
・界面活性剤I;日本油脂(株)製、商品名「王洗S」、分岐アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
・界面活性剤J;ライオン(株)製、商品名「ライポンLS−250」、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
・界面活性剤K;花王(株)製、商品名「レオドール440」、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、HLB値11.8
・界面活性剤L;花王(株)製、商品名「レオドールTW−O120V」、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、HLB値15.0
・界面活性剤M;花王(株)製、商品名「レオドールTW−O106V」、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、HLB値10.0
・界面活性剤N;花王(株)製、商品名「レオドールスーパーTW−L120」、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、HLB値16.7
・鉱物油;(株)ジャパンエナジー製、商品名「MTF−120」、パラフィン系炭化水素
・香料I;ターピネオール
・香料II;リモネン
【0012】
実施例1〜7及び比較例1〜12
第3表に示す組成の消臭剤を調製し、下記の試験を行った。その結果を第1表に示す。
(1)試験−1
悪臭の発生している液体(純水に酪酸を添加して調製)20mLを50mLプラスチックビンに入れ、各薬品を150mg/L添加して充分混合した後pHを7.3に調整した。その後、プラスチックビンを軽く3回振って臭気強度、不快度を下記の基準に従って判定した。
(2)試験−2
試料は固体廃棄物(机上で調製した汚泥脱水ケーキを長期保管したもの)とした。
300mLビーカー(直径80mm)に上記の試料10gを入れて各薬品を散布し、臭気強度、不快度を下記の基準に従って判定した。
各薬品は水道水で30%に希釈し、その後市販香水噴霧器を用いて希釈液を1.3mL散布した(表面に対する厚さ0.25mm相当)。
(3)試験−3
試料はビール会社の排水処理場より採取した固体廃棄物(脱水ケーキ)とした。
300mLビーカー(直径80mm)に、上記の試料10gを入れて各薬品を散布し、臭気強度、不快度を下記の基準に従って判定した。
各薬品は水道水で30%に希釈し、その後市販香水噴霧器を用いて希釈液を1.3mL散布した(表面に対する厚さ0.25mm相当)。
<臭気強度の評価基準>
第1表に、6段階 臭気強度表示法を示す。
【0013】
【表1】

【0014】
<不快度の評価基準>
第2表に、9段階 快・不快度表示法を示す。
【0015】
【表2】

【0016】
試験1〜3とも、結果は3人の平均値で、臭気強度又は不快度が1ポイント以上改善したものを(良好)とした。
【0017】
【表3】

【0018】
実施例8〜12
試験−4を下記の方法で行った。
プロピオン酸、イソ吉草酸、酪酸がそれぞれ約5ppmとなるように調整した臭気ガスを用いて、図1に示す装置を使用して臭気ガスを各種薬液(50mL)に通気し、テドラーバックに採取したガスの濃度を検知管で測定した。結果を第4表に示す。
なお、各種薬液(純水によるブランクも含む)はpH2.0とした。(下げないと純水に悪臭ガスが吸収されるため)。
【0019】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の消臭剤は、エーテル型非イオン性界面活性剤を有効成分とし、場合により香料を含む水溶液型又は水性懸濁型であって、悪臭を発生している固体や液体などに噴霧、添加、散布することで、あるいは臭気雰囲気に噴霧や散布することで、悪臭を効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】試験−4で用いた装置の概要図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エーテル型非イオン性界面活性剤を有効成分として含む水溶液又は水性懸濁液からなる消臭剤。
【請求項2】
エーテル型非イオン性界面活性剤が、HLB値(親水性と親油性のバランスを表す指標)13〜20のものである請求項1に記載の消臭剤。
【請求項3】
エーテル型非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルフェノール−ホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー及びポリオキシエチレンプロピレンアルキルエーテルの中から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の消臭剤。
【請求項4】
非イオン性界面活性剤の含有量が1〜90質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の消臭剤。
【請求項5】
さらに、香料を含む請求項1〜4のいずれかに記載の消臭剤。
【請求項6】
香料の含有量が0.1〜5質量%である請求項5に記載の消臭剤。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の消臭剤を、消臭対象物表面又は臭気雰囲気に散布又は噴霧することを特徴とする消臭方法。
【請求項8】
消臭剤を、消臭対象物表面に対して、0.01〜5mmの皮膜を形成するように散布又は噴霧する請求項7に記載の消臭方法。

【図1】
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