説明

消臭剤組成物

【課題】 本発明は、特にアセトアルデヒド及びホルムアルデヒド等の有害成分の消臭能に優れた消臭剤組成物を提供することを目的とする
【解決手段】 本発明の消臭剤組成物はヒドラジド化合物とセピオライトとを乾式混合して得られる粉末を有効成分として含有することを特徴とし、ヒドラジド化合物とセピオライトの配合割合はセピオライト100重量部に対してヒドラジド化合物2〜200重量部であり、またヒドラジド化合物はジヒドラジド化合物であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消臭剤組成物、更に詳しくは、特にアセトアルデヒド、ホルムアルデヒドの消臭に有効な消臭剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホルムアルデヒドは、シックハウス症候群の原因物質の一つとして危惧されており、厚生労働省は0.08ppm以下という室内環境指針値(25℃における30分平均値)を設けている。
このホルムアルデヒドを除去する方法としては、ホルムアルデヒドを吸着する吸着剤を用いる方法、光触媒によりホルムアルデヒドを分解除去する方法、或いはホルムアルデヒドを分解する酵素を用いる方法等が提案されている。
【0003】
この中、吸着剤を用いる方法としては、例えば、ヒドラジド化合物を有効成分として含有させる方法等(例えば、特許文献1〜3参照。)が提案されている。また、下記特許文献4には、セピオライトにヒドラジン塩を添着したものを脱臭剤として用いることが提案されているが、特許文献4で使用されているヒドラジン塩は、ヒドラジンの硫酸塩、塩酸塩、燐酸塩、金属塩であり、本発明で使用するヒドラジド化合物及び乾式混合して消臭剤を得る点については記載及び示唆もない。更に下記特許文献5には、分子内に第1級アミノ基を有する化合物及び珪酸マグネシウム質粘土鉱物からなる消臭剤が記載されているが、この特許文献5の方法は、ジヒドラジド化合物を含む第1級アミノ基を有する化合物とセピオライトを含む珪酸マグネシウム質粘土鉱物とを水溶媒中で混合して調製されるものであり、本発明のように乾式混合して得られるものではない。
【0004】
新築建造物において、建材等に含まれる塗料、接着剤から放散するホルムアルデヒドがシックハウス症候群を引き起こし、ホルムアルデヒドは、新築のときだけでなく、数年〜数十年単位で放散することが知られている。このため、特許文献4及び特許文献5の方法よりも更に優れたホルムアルデヒドの除去材の開発が望まれていた。
【0005】
【特許文献1】特開平8−280781号
【特許文献2】特開平10−36681号
【特許文献3】特開2001−218824号
【特許文献4】特開平11−553号
【特許文献5】特開平9−28778号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ヒドラジド化合物とセピオライトを乾式混合して得られる粉末を有効成分とするものが、特にアセトアルデヒド及びホルムアルデヒド等の有害成分の消臭能に優れたものになるということを知見し本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は、特にアセトアルデヒド、ホルムアルデヒド等の有害成分の消臭能に優れた消臭剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が提供する消臭剤組成物は、ヒドラジド化合物とセピオライトとを乾式混合して得られる粉末を有効成分として含有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の消臭剤組成物によれば、特にアセトアルデヒド、ホルムアルデヒド等の有害成分を効率よく消臭することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明する。
本発明の消臭剤組成物はヒドラジド化合物とセピオライトとを乾式混合して得られる粉末を有効成分として含有することを特徴とし、かかる構成を有する本発明の消臭剤組成物は、特にホルムアルデヒド、アセトアルデヒドのアルデヒド成分に対して優れた消臭効果を発揮する。
【0010】
第1の成分の前記ヒドラジド化合物は、分子中に1個のヒドラジド基を有する化合物、分子中に2個のヒドラジド基を有する化合物、或いはポリヒドラジド化合物を1種又は2種以上で使用することができる。
【0011】
分子中に1個のヒドラジド基を有する化合物としては、例えば、下記一般式(1)
R−CO−NHNH2 (1)
一般式(1)の式中、Rは水素原子、アルキル基又はアリール基を示し、また、アルキル基及びアリール基は置換基を有していてもよい。前記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、n−ヘキシル基、iso−ヘキシル基等の炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキル基が好ましい。また、前記アルキル基は水酸化基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。前記アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基が好ましい。また、前記アリール基は、例えばアルキル基、水酸基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
【0012】
一般式(1)で表される分子中に1個のヒドラジド基を有する化合物の具体例として、ラウリル酸ヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、ホルムヒドラジド、アセトヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、p−ヒドロキシ安息香酸ヒドラジド、ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジド等が挙げられる。
【0013】
分子中に2個のヒドラジド基を有する化合物としては、例えば、下記一般式(2)
2NHN−X−NHNH2 (2)
(式中、Xは−CO−又は−CO−A−CO−を示す。Aはアルキレン基又はアリーレン基を示す。)で表わされるジヒドラジド化合物を挙げることができる。
【0014】
一般式(2)の式中のAのアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基等の炭素数1〜12の直鎖状アルキレン基を挙げることができる。アルキレン基の置換基としては、例えば水酸基等を挙げることができる。アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基等を挙げることができ、これらの中でもフェニレン基、ナフチレン基等が好ましい。アリーレン基の置換基としては、上記アリール基の置換基と同様のものを挙げることができる。
【0015】
一般式(2)で表される分子中に2個のヒドラジド基を有する化合物の具体例としては、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン−2酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、ダイマー酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド等の2塩基酸ジヒドラジド等が挙げられる。更に、特公平2−4607号公報に記載の各種2塩基酸ジヒドラジド化合物、2,4−ジヒドラジノ−6−メチルアミノ−sym−トリアジン等も本発明のジヒドラジドとして用いることができる。
【0016】
ポリヒドラジド化合物の具体例としてはポリアクリル酸ヒドラジド等が挙げられる。
【0017】
これらのヒドラジド化合物の中、前記一般式(2)で表わされるジヒドラジド化合物が好ましく、アジピン酸ジヒドラジドが特に第2の成分のセピオライトとの相乗効果が高い点で特に好ましい。
【0018】
第2の成分のセピオライトは、化学式;Si12Mg830(OH)4(OH24・8H2O で表示される含水マグネシウムシリケートである。このセピオライトの好ましい形状は直径が0.02〜0.5ミクロンで、長さが0.5〜500ミクロン、好ましくは直径が0.05〜0.35ミクロンで、長さが1〜50ミクロンであることが好ましい。
【0019】
前記ヒドラジド化合物とセピオライトとの配合割合はセピオライト100重量部に対してヒドラジド化合物が2〜200重量部、好ましくは5〜100重量部である。この理由はヒドラジド化合物の配合量が2重量部より少なくなるとホルムアルデヒドやアセトアルデヒドの消臭性能が低下する傾向があり、一方、ヒドラジド化合物の配合量が200重量部を超えてもホルムアルデヒドの消臭性能には優れるが、その一方でアセトアルデヒドの消臭性能が低下する傾向があるためである。
【0020】
本発明の消臭剤組成物は、前記第1の成分のヒドラジド化合物と第2の成分のセピオライト以外に第3の成分として、本発明の目的と効果を損なわない範囲で他の多孔質材料、界面活性剤、その他の公知の消臭剤等の成分を含有させることができる。
【0021】
本発明の消臭剤組成物は、前記第1の成分のヒドラジド化合物と第2の成分のセピオライトとを均一な組成配合となるように乾式で十分混合処理された粉末であることが重要な要件となり、湿式で混合処理したものと比べホルムアルデヒドやアセトアルデヒドの消臭性能が極めて高くなる。
【0022】
本発明の消臭剤組成物は、強力な剪断力が作用する機械的手段にて調製される。乾式法で使用する装置としては、ハイスピードミキサー、スーパーミキサー、ターボスフェアミキサー、アイリッヒミキサー、ヘンシェルミキサー、ハイブリダイゼイションシステム、ナウターミキサー、リボンブレンダー、ジェットミル及びコスモマイザー等の装置を用いることができる。
【0023】
なお、第1の成分のヒドラジド化合物は多くの場合、柔らかい結晶粉末であるため、乾式混合処理中に微粒な粒子まで粉砕される。これに対して第2の成分のセピオライトは乾式混合処理してもその粒子寸法を保持した状態で混合処理されるので、セピオライト粒子の表面に微細なヒドラジド化合物粉末の一部又は全量が均一に適度な間隙を持って付着して存在するものになると考えられる。特に、本発明の消臭剤組成物は、十分に強力せん断力が作用する前記混合装置で乾式混合して、ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの消臭効果が極めて高い消臭剤組成物を調製する。例えば、強力せん断力が作用する混合装置としてヘンショルミキサーを用いた場合には、500m/分以上の周速度で5分以上、好ましくは1000m/分以上の周速度で10〜30分間乾式混合処理を行えばよい。
【0024】
本発明の消臭剤組成物は、そのまま粉末の状態で開口部を有する容器等に収納して用いることができるが、例えば適当な溶媒に分散させた分散液や乳化物の形態でも使用することができ、高分子化合物に配合した消臭性高分子組成物としても使用することができる。
【0025】
本発明の消臭剤組成物を適当な溶媒に分散させた分散液の形態で使用する場合、使用することができる溶媒としては公知のものが使用でき、例えば、炭素数1〜8程度の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族飽和アルコール類、シクロペンタノール、シクロヘキサノール等の脂環式アルコール類、エチレングリコール等の多価アルコール類、炭素数1〜8程度の鎖状又は分岐鎖状又は環状の脂肪族炭化水素類、アルキル部分が炭素数1〜8程度の直鎖又は分岐鎖状アルキルであるジアルキルエーテル類、ジアリールエーテル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類、ケトン類、エステル類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒、リン酸エステル類、これらの2種以上の混合溶媒等を挙げることができる。この形態で使用される本発明の消臭剤組成物の具体的な用途としては、例えば、木材(主に、合板や繊維板や化粧板等の建材、家具部品)、紙、繊維、繊維製品、樹脂成形品等の処理剤等を挙げることができる。紙、繊維、樹脂成形品(例えば、フィルムやシート)等に処理するには、分散液又は後述する乳化物の形態で、合成樹脂シートの表面や不燃紙などに塗布又は含浸させればよい。より具体的には、壁紙への適用について、合成樹脂シート(例えば塩化ビニル樹脂シート)と不燃紙とから構成されたものを例に取って説明すれば、本発明の消臭剤組成物を合成樹脂に混合成形してシート化したり、合成樹脂シートの表面に塗布したり、或いは不燃紙に含浸又は塗布したりすることができる。また、例えば、処理された不織布は、エアコンや空気清浄機のエアフィルターとして有用である。
【0026】
また、本発明の消臭剤組成物を乳化物の形態で使用する場合、公知の方法に従い、例えば、本発明の消臭剤組成物の粉末、水及び界面活性剤を適量ずつ混合することにより製造できる。さらに、この乳化物と合成樹脂エマルジョンとを混合することにより、混合乳化物として使用することもできる。ここで、該合成樹脂エマルジョンとしては、例えば酢酸ビニル重合体エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル重合体エマルジョン、酢酸ビニル−バーサテート共重合体エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、アクリル酸エステル重合体エマルジョン、アクリル酸エステル−スチレン共重合体エマルジョン、塩化ビニル重合体エマルジョン、ウレタン重合体エマルジョン、シリコーン重合体エマルジョン、エポキシ重合体エマルジョン等の乳化重合、溶液重合等により製造される合成樹脂エマルジョンやデンプン水溶液等を挙げることができる。このような乳化物の形態で使用される本発明の消臭剤組成物の具体的な用途としては、例えば、紙類(紙、壁紙等)、繊維、木材(主に合板や化粧板や繊維板等の建材)、樹脂成形品(主にフィルムやシート)等への表面処理剤や、合成樹脂への添加剤等を挙げることができる。
【0027】
また、本発明の消臭剤組成物の乳化物を、接着性高分子材料に添加混合することにより、消臭性接着剤としても使用することができる。接着性高分子材料としては、ビニル系高分子などの合成高分子及びデンプンなどの天然高分子の別を問わず用いることができる。具体的には、例えば、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、アクリル樹脂系エマルジョン、スチレン−ブタジエン共重合体エマルジョン、エチレン共重合体エマルジョン等のエマルジョン系及びデンプン水溶液、酢酸ビニル樹脂系溶液、エチレン共重合体溶液などの溶液系の溶剤揮発型接着性材料や、シアノアクリレート系、ポリウレタン系、尿素樹脂、フェノール系樹脂、フラン樹脂などの化学反応型接着性材料や、ホットメルト系接着剤などの熱溶融型接着性材料や、デンプン水溶液などの再湿型接着性材料などが挙げられる。
【0028】
更に、本発明の消臭剤組成物の粉末又は該粉末の分散液もしくは乳化物などの各種形態に調製されたものを、適当な高分子化合物と混合し、消臭性高分子組成物とすることもできる。
【0029】
本発明の消臭剤組成物を高分子化合物に配合した消臭性高分子組成物として使用する場合、使用することができる高分子化合物としては、一般的に市販されているものであれば特に制限はなく、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、フラン樹脂、アルキド樹脂、キシレン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリールフタレート樹脂等の硬化性樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンエーテル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド、熱可塑性ポリウレタン、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/非共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリテトラフルオロエチレン及びこれらの変性物等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。これら樹脂は、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよく、2種類以上の混合物であってもよい。
【0030】
本発明において、硬化性樹脂とは、熱、触媒、あるいは紫外線などの作用により化学変化をおこして架橋構造が発達し、分子量が増大して三次元網状構造を有して、硬化して半永久的に不溶性・不融性となる合成樹脂を示す。すなわち、硬化性樹脂とは、熱硬化性樹脂、触媒硬化性樹脂及び紫外線硬化性樹脂を含むものである。また、熱可塑性樹脂とは、加熱により流動性を示し、これにより賦形が可能である樹脂を示す。
【0031】
また、本発明に用いられる高分子化合物は、ゴムであってもよく、例えば天然ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム(SBR)、アクロニトリル−ブタジエン系ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ポリブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン系ゴム(EPDM)、クロロブチレンゴム(CR)、ポリイソブチレンゴム、アルリルゴム、水素化アクロニトリル−ブタジエンゴム、多硫化ゴム、ウレタンゴム、クリリスルホン化ゴム、シリコーンゴム及びこれらの変性物等が挙げられ、これらは、2種以上のブレンドゴムであってもよい。
【0032】
本発明に用いられる高分子化合物は、前記硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及びゴムから選ばれる2種以上のブレンド品であってもよい。
【0033】
本発明の消臭剤組成物の高分子化合物への配合量は、用いる高分子化合物の種類やその使用形態等により異なるが、多くの場合、高分子化合物100重量部に対して0.2〜40重量部、好ましくは0.5〜10重量部とすることが好ましい。
【0034】
更に、上記消臭性高分子組成物に、公知の発泡剤、架橋剤を添加し、消臭性高分子組成物とすることもできる。
【0035】
本発明の消臭剤組成物を含む消臭性高分子組成物は上記以外の他の成分として、例えば強化材、充填剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤、防黴剤、抗菌剤、防錆顔料、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、軟化剤、老化防止剤、可塑剤等等の従来公知の添加剤を、本発明の目的及び効果を害しない限りの添加量で含有させることができる。ここで強化材及び充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、ホワイトカーボン、カーボンブラック等の公知の無機質充填剤、チタン酸カリウムウィスカー、珪酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、ホウ酸マグネシウムウィスカー、珪酸亜鉛ウィスカー等の無機ウィスカー等を挙げることができる。
【0036】
本発明の消臭剤組成物は、通常公知の方法で各種高分子化合物に含有させることができる。例えば、硬化性樹脂であれば、本発明の消臭剤組成物を硬化性樹脂とその他の配合物を混合するさいに同時に混入する方法、樹脂成分の1種に予め本発明の消臭剤組成物を混合しておき、これを硬化性樹脂と混合する方法、熱可塑性樹脂やゴムであれば、本発明の消臭剤組成物をエクストルーダーで樹脂又はゴムに溶融混合する方法、あるいは他の粒子状物と本発明の消臭剤組成物を均一に機械的に混合した後、射出成形機で樹脂又はゴムと混合する方法等が挙げられる。このようにして得られる消臭性高分子組成物は通常公知の方法で成形することができ、例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、真空成形、プレス成形、カレンダー成形、発泡成形などを施して、シート、フィルムなどのあらゆる形状の成形品とすることができる。
【0037】
また、本発明の消臭剤組成物は、高分子化合物と必要により添加される添加剤を添加した溶媒からなる分散液を用いて、適当な材質及び形状の基材に塗布することにより、任意の形状の成形品に成形することができる。前記基材としては、特に制限されるものではないが、壁紙等の紙製品、不織布等の繊維又は繊維製品、フィルム、シート等状の合成樹脂又はその成形品、化粧板、合板等の木材及び木質製品、金属、セラミック等を使用することができる。より具体的な例示としては、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンに本発明の消臭性高分子組成物を添加混合し、成形することにより、消臭性を有する成形品を得ることができる。該成形品の具体例としては、例えばエアコンや空気清浄機のエアフィルター、フィルム、シート等として使用することができる。また、尿素樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂等のホルムアルデヒドを発生しやすい樹脂に、本発明の消臭剤組成物を配合し接着剤や塗料としても使用することができる。
【0038】
高分子化合物、好ましくは前記した合成樹脂エマルジョンに本発明の消臭剤組成物の乳化物を添加混合した形態のものは、例えば、接着剤、表面処理剤(塗料)、合成樹脂への添加剤等としても使用できる。
【0039】
従来のヒドラジド化合物とセピオライトとを溶媒中で混合処理して得られる消臭剤は、セピオライトの粒子表面にヒドラジド化合物を均一に、且つ緻密に担持させることができるが、返って該ヒドラジン化合物がセピオライトの細孔を塞ぎ、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドの消臭能が不足する結果になる。これに対して、本発明の消臭剤組成物はヒドラジド化合物粉末とセピオライト粉末とを乾式混合して得られる粉末であり、この本発明の消臭剤組成物はセピオライトの粒子表面に適度な間隙を有してヒドラジド化合物粉末が細孔を塞ぐことなく均一に付着して存在するので、セピオライトとヒドラジド化合物との相乗効果がより高まり、特にホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの消臭能に優れたものになると考えられる。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を実施例により説明するが本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0041】
なお、実施例及び比較例で用いた試料は、下記の物性を有するものを使用した。
(1)セピオライト;水澤化学工業社製、商品名;エードプラスFF
平均粒子長 40μm、BET比表面積300m2/g。
(2)アジピン酸ジヒドラジド;大塚化学社製、商品名;ケムキャッチH6000HS
平均粒径 10μm。
(3)ケイ酸アルミニウム;水澤化学工業社製、商品名;ミズカナイトHP
平均粒径4μm、BET比表面積250m2/g。
(4)活性アルミナ;水澤化学工業社製、商品名;活性アルミナMGA−B
平均粒径5μm、BET比表面積180m2/g。
(5)白土;水澤化学工業社製、商品名;ガレオンアースV2
平均粒径30μm、BET比表面積305m2/g
(6)ケイ酸;水澤化学工業社製、商品名;ミズカシルP−832
平均粒径2.5μm、BET比表面積50m2/g。
【0042】
実施例1
セピオライト50重量部とアジピン酸ジヒドラジド50重量部とを周速度1000m/分に設定した20リットル容量のヘンシェルミキサーを用いて、回転速度1000rpm(周速度1000m/分)で30分間攪拌せん断処理して、粉末状の消臭剤組成物試料を調製した。
【0043】
実施例2
セピオライト95重量部とアジピン酸ジヒドラジド5重量部とを実施例1と同様の操作条件のヘンシェルミキサーを用いて、粉末状の消臭剤組成物試料を調製した。
【0044】
実施例3
ヘンシェルミキサーを用いて10分間せん断処理した以外は、実施例1と同様にして粉末状の消臭剤組成物試料を調製した。
【0045】
比較例1
セピオライト単独を粉末状の消臭剤組成物試料とした。
【0046】
比較例2
アジピン酸ジヒドラジド単独を粉末状の消臭剤組成物試料とした。
【0047】
比較例3〜6
ケイ酸アルミニウム(比較例3)、活性アルミナ(比較例4)、白土(比較例5)、ケイ酸(比較例6)をそれぞれ50重量部とアジピン酸ジヒドラジド50重量部とを実施例1と同様の条件でヘンシェルミキサーを操作して、せん断処理した粉末状の消臭剤組成物試料を調製した。
【0048】
比較例7
セピオライト50重量部とアジピン酸ジヒドラジド50重量部及び水500重量部とを200rpmのプロペラ攪拌機で20分間攪拌した。次いで、固液分離後、乾燥を行って粉末状の消臭剤組成物試料を調製した。
【0049】
【表1】

【0050】
(消臭試験)
前記で調製した消臭剤組成物試料について、ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの消臭試験を行った。具体的な試験方法は、下記のとおりである。
【0051】
(1)ホルムアルデヒド
5Lのテドラーバックに、消臭剤組成物試料0.3gを入れた。次いで、100ppmの濃度に調製したホルムアルデヒドガス3Lを清算流量機能が付いたポンプを用いて注入した。次に、この消臭剤組成物とホルムアルデヒドガスを含むテドラーバックを23℃の環境下に放置し30分後、60分後及び120分後のテドラーバック中のホルムアルデヒド濃度をガス検知管を用いて測定した。その結果を表2に示す。なお、消臭剤組成物を注人していないものをブランクとした。
【0052】
(2)アセトアルデヒド
5Lのテドラーバックに、消臭剤組成物試料0.3gを入れた。次いで、100ppmの濃度に調製したアセトアルデヒドガス3Lを清算流量機能が付いたポンプを用いて注入した。次に、この消臭剤組成物とアセトアルデヒドガスを含むテドラーバックを23℃の環境下に放置し30分後、60分後及び120分後のテドラーバック中のアセトアルデヒド濃度をガス検知管を用いて測定した。その結果を表3に示す。なお、消臭剤組成物を注人していないものをブランクとした。
【0053】
【表2】

【0054】

【表3】

【0055】
表2の結果より、本発明の消臭剤組成物(実施例1〜3)は、比較例1〜7の従来の消臭剤組成物に比べ、ホルムアルデヒドの消臭性能に優れ、また、その効果は即効性を有し、効率的にホルムアルデヒドを消臭していることが分かる。
また、表3の結果より、本発明の消臭剤組成物(実施例1〜3)は、比較例1〜7の従来の消臭剤組成物に比べ、アセトアルデヒドに対しても消臭性能に優れ、また、その効果はホルムアルデヒドと同様に即効性を有し、効率的にアセトアルデヒドを消臭していることが分かる。更に、実施例1と実施例3の消臭剤組成物を比較すると強力な混合条件では、更に消臭性能が向上することが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドラジド化合物とセピオライトとを乾式混合して得られる粉末を有効成分として含有することを特徴とする消臭剤組成物。
【請求項2】
ヒドラジド化合物とセピオライトの配合割合がセピオライト100重量部に対してヒドラジド化合物2〜200重量部である請求項1記載の消臭剤組成物。
【請求項3】
ヒドラジド化合物が一般式;
2NHN−X−NHNH2
(式中、Xは−CO−又は−CO−A−CO−を示す。Aはアルキレン基又はアリーレン基を示す。)で表わされるジヒドラジド化合物である請求項1又は2記載の消臭剤組成物。
【請求項4】
前記ジヒドラジド化合物がアジピン酸ジヒドラジドである請求項3記載の消臭剤組成物。
【請求項5】
アセトアルデヒド及びホルムアルデヒドの消臭剤として用いられる請求項1乃至4記載の消臭剤組成物。

【公開番号】特開2007−215818(P2007−215818A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−40609(P2006−40609)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(000230593)日本化学工業株式会社 (296)
【Fターム(参考)】