説明

液体クロマトグラフ及び分離カラム

【課題】
より高圧力で高速分析を行っても分離性能を低下させない。
【解決手段】
サンプルおよび溶離液がモノリス構造体2に流入する分離カラム1を用いた液体クロマトグラフにおいて、モノリス構造体2を被覆する被覆材3と、被覆材3で被覆されたモノリス構造体2が挿入された支持体4と、被覆材3と支持体4の間に抵抗体5が充填され、溶離液がモノリス構造体2と抵抗体5の両方に流れることによって、それらの内部の圧力勾配がつり合い、モノリス構造体2と被覆3の間に液体が漏出しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフ及び分離カラムに関する。例えば、特に分析時間を短くするものに好適である。
【背景技術】
【0002】
高速液体クロマトグラフ等の分離カラムとして、例えば、三次元ネットワーク状の骨格とその空隙(流路,マクロポア,スルーポア)が一体となった構造を持つ多孔質体(モノリス構造体,モノリスロッド,モノリシックシリカロッド)を分離用充填剤としたモノリスカラムを使用することで、高速分析・高分離性能化が図られている。これは、モノリスカラムが一般に使用されている粒子充填型カラムと比較して表面積は大きいが、空隙率が大きく流動抵抗が小さいためである。
【0003】
分離用充填剤としてモノリス構造体を機能させるために、それを保持する方法として、モノリス構造体の外周面に樹脂被覆材を設け、さらにその外周をPEEK材で固定することが知られ、例えば特許文献1に記載されている。分離用充填剤としてのモノリス構造体は、その外径,そりなどを高精度に成形することが困難であるため、モノリス構造体を細管に入れるだけではそれらの間に隙間を生じやすい。その場合、カラム側面から溶離液が漏出し、測定精度の高いクロマトグラムが得られない。
【0004】
【特許文献1】特開平11−64314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術によるモノリスカラムの構造では、従来の粒子充填型カラムの場合よりも高い20〜30メガパスカル程度の圧力では使用可能である。しかし、より高速な分析が可能な、送液ポンプの実質的な圧力限界である50〜100メガパスカル程度の圧力の場合、分離性能が低下する恐れがある。なぜなら、モノリス構造体を流れる液体の圧力によって樹脂被覆材が押し広げられ、モノリス構造体と樹脂被覆材との隙間に測定対象であるサンプルを含む液体(溶離液)が漏出するためである。また、その場合、樹脂被覆がモノリス構造体を保持できないため、モノリス構造体が液体圧力によってカラム下端に押付けられて破損する恐れもある。
【0006】
本発明の目的は、より高圧力で高速分析を行っても分離性能を低下させない分離カラムと、それを用いた液体クロマトグラフを提供することにある。例えば、より高速な分析が可能な、送液ポンプの実質的な圧力限界である50〜100メガパスカル程度の圧力で分析を行っても分離性能が低下しない分離カラムと、それを用いた液体クロマトグラフを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの特徴は、分離用充填剤を被覆する被覆材と、前記被覆材で被覆された前記分離用充填剤が挿入された支持体と、前記被覆材と前記支持体の間に抵抗体を有し、前記抵抗体をせき止めるフィルタを備えた分離カラムとすることにある。
【0008】
本発明の他の特徴は、モノリス構造体を被覆する被覆材と、前記被覆材で被覆された前記モノリス構造体が挿入された支持体と、前記被覆材と支持体の間に抵抗体が充填され、さらに、前記抵抗体をせき止めるフィルタを備えたモノリスカラムとすることにある。
【0009】
本発明のさらに他の特徴は、前記分離カラム又は前記モノリスカラムを用いるに好適な液体クロマトグラフにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より高圧力で高速分析を行っても分離性能を低下させない分離カラムと、それを用いた液体クロマトグラフを提供することができる。例えば、より高速な分析が可能な、送液ポンプの実質的な圧力限界である50〜100メガパスカル程度の圧力で分析を行っても分離性能が低下しない分離カラムと、それを用いた液体クロマトグラフが提供できる。
【0011】
更に例えば、本発明のカラムの構造では、液体がモノリス構造体と抵抗体の両方に流れ、それぞれの圧力がつり合うことで、モノリス構造体と被覆材の間に隙間が生じない。これによって、モノリス構造体と被覆材の間への液体の漏出が防止される。また、モノリス構造体と被覆材の間の摩擦力が保持されるためモノリス構造体が固定される。これらの効果から、高い圧力に対しても使用することができ、分析時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(合流式)
図1,図2を用いて、合流式と称する本発明の第一の実施例について説明する。
【0013】
図1は分離カラム1の断面図である。モノリス構造体2が被覆材3で覆われ、支持体4に挿入されている。被覆材3と支持体4の間には、抵抗体5が充填されている。支持体4の両端はフィルタ6,キャップ7,パッキン8がある。
【0014】
被覆材3には、樹脂材,ガラス,金属材料などを用いることができる。フッ素系樹脂の熱収縮チューブを用いる場合、その内径がモノリス構造体2の外径よりも常温では大きく、加温することで小さくなるものを選択することで、組立が容易となる。また、流動性の樹脂やガラスのコーティング,金属蒸着などを被覆材3として利用すれば、その強度によってモノリスカラムの強度が高まり、信頼性を向上させることができる。
【0015】
支持体4には、金属や、アクリル,PEEKなどの樹脂材料を用いることができる。
【0016】
抵抗体5には、樹脂,金属,ガラスなどの粒子を用いることができる。これらの粒子がモノリス構造体のマクロポアよりも小さい場合、モノリス構造体内部に粒子が侵入して流体抵抗が高まる可能性があるため、粒子の大きさはモノリス構造体のマクロポアよりも大きい方が望ましい。例えば、マクロポアの大きさが平均1.3μmであるとき、平均径2.0μmの粒子を用いることができる。
【0017】
フィルタ6には、金属の焼結体を用いることができる。抵抗体5に平均径2.0μmの粒子を用いた場合は、フィルタ径は例えば1.0μmとすることで、抵抗体5の分離カラム1外部への流出を防ぐ。
【0018】
キャップ7には、支持体4と同様にステンレスなどの金属材料や、アクリル,PEEKなどの樹脂材料を用いることができる。キャップ7は支持体4にネジによって固定される。キャップ7と支持体4の間にはパッキン8が挿入されている。パッキン8は例えばフッ素系樹脂からなり、キャップ7と支持体4に押されて変形しキャップ7および支持体4にそれぞれ密着することで、分離カラム1内部に流入する液体のキャップ7と支持体4の接続部からの漏出を防止する。また、パッキン8はフィルタ6の外周部に密着していて隙間はなく、抵抗体5が分離カラム1外部に流出することはない。
【0019】
分離カラム1に溶離液を流す配管11は、配管接続部品12を介してキャップ7に接続される。
【0020】
図2は、分離カラム1を用いた液体クロマトグラフである。溶離液201を保管する溶離液タンク202,溶離液を送液するポンプ203,サンプル204,サンプル容器205,オートサンプラ206,分離カラム1,検出器207,廃液208を保管する廃液タンク209、およびそれらを接続する配管210からなる。
【0021】
分離カラム1に注入された溶離液は、分離カラム1内の上流側のフィルタ6を通過した後に、モノリス構造体2,抵抗体5に分岐して流れる。これら2つの流れは下流側のフィルタ6において合流し、一体となって分離カラム1から排出され、その下流に接続された検出器207に送液される。モノリス構造体2と抵抗体5は被覆材3で隔離されているため、これら2つの流れは、上流側のフィルタ6において分岐した後に下流側のフィルタ6で合流するまで互いに混合しない。
【0022】
抵抗体5の流体抵抗をモノリス構造体2の流体抵抗よりも十分大きくすることによって、抵抗体5を流れる溶離液の流量を小さくしてそれに含まれるサンプルの体積を小さくすることができる。この場合、検出器207は抵抗体5を流れたサンプルをノイズとして検出する。これによって、モノリス構造体2を通ったサンプルのみを検出器207によって検出することができる。抵抗体5の流体抵抗を大きくするには、抵抗体5に粒子を用いる場合にはそのできるだけ小さい径の粒子を用いる、もしくは、被覆材3と支持体4の隙間をできるだけ小さくすることで実現できる。
【0023】
モノリス構造体2と抵抗体5に流れる溶離液の流量は、それぞれの透過率と断面積によって決まる流体抵抗の比により決定される。また、それぞれの流体抵抗は全ての箇所で均一であるため、ポンプ203の送液流量が一定の場合、分離カラム1の長さ方向の圧力勾配はモノリス構造体2と抵抗体5で等しい。したがって、被覆材3の内側であるモノリス構造体2を流れる溶離液の圧力と、被覆材3の外側である抵抗体5を流れる圧力は、長さ方向において等しくなり、モノリス構造体2と被覆材3の間に隙間はできず溶離液がモノリス構造体から漏出することはない。
【0024】
モノリス構造体2と抵抗体5の流体抵抗が異なるとき、ポンプ203の送液流量が変化するとき、分離カラム1内において、モノリス構造体2の圧力勾配と抵抗体5の圧力勾配がつり合うまでに時間がかかる。したがって、ポンプ203の送液流量を変化させる場合は、流量変化分に応じた時間だけ送液した後に分析を開始する方が望ましい。
【0025】
モノリス構造体2と抵抗体5の流体抵抗が等しいとき、ポンプ203の送液流量の変化に伴う、モノリス構造体2の圧力勾配の時間変化と抵抗体5の圧力勾配の時間変化は等しくなる。この場合、モノリス構造体2と抵抗体5の圧力勾配をつり合わせるためのポンプ203の送液は必要ない。透過率と断面積によって抵抗体5の流体抵抗を調整でき、モノリス構造体の流体抵抗と等しくすることができる。
【0026】
本実施例のカラムの構造では、液体がモノリス構造体2と抵抗体5の両方に流れ、それぞれの圧力がつり合うことで、モノリス構造体2と被覆材3の間に隙間が生じない。これによって、モノリス構造体2と被覆材3の間への液体の漏出が防止される。また、モノリス構造体2と被覆材3の間の摩擦力が保持されるためモノリス構造体2が固定される。これらの効果から、高い圧力に対しても使用することができ、分析時間を短縮することができる。
【0027】
(下流分岐式)
図3,図4を用いて、下流分岐式と称する本発明の第二の実施例について説明する。第一の実施例と同じ符号は、同一物又は相当物を示す。
【0028】
図3は、モノリス構造体2に流れた溶離液と抵抗体5を流れた溶離液をカラム出口側で分岐させて分離カラム外に排出する分離カラム301の断面図である。分離カラム301は、図1に示した分離カラム1の構造に加えて、シール部材311,フィルタ312,アダプタ313,パッキン314からなる。支持体304は、アダプタ313と接続する構造を持つ。
【0029】
シール部材311には、樹脂材,ゴム,金属などを用いることができる。
【0030】
フィルタ312には、フィルタ6と同様に金属の焼結体などを用いることができる。抵抗体5に平均径2.0μmの粒子を用いた場合は、フィルタ径は例えば1.0μmとすることで、抵抗体5の分離カラム1外部への流出を防ぐ。
【0031】
アダプタ313には、支持体4やキャップ7と同様に、ステンレスなどの金属材料や、アクリル,PEEKなどの樹脂材料を用いることができる。アダプタ313は、抵抗体5を流れた溶離液を分離カラム301外へ排出する配管(抵抗体を流れる移動相用配管321)を、配管接続部品322を介して支持体304と接続する。
【0032】
パッキン314には、パッキン8と同様に、例えばフッ素系樹脂からなり、アダプタ313と支持体304に押されて変形しアダプタ313および支持体304にそれぞれ密着することで、分離カラム301から排出する溶離液のアダプタ313と支持体304の接続部からの漏出を防止する。
【0033】
図4は、図3に示した分離カラム301を用いた液体クロマトグラフである。図2に示した構成に加えて、分離カラム301内の抵抗体5を通過した溶離液用の配管(抵抗体を流れる移動相用配管321)と、圧力調整部401からなる。
【0034】
ポンプ203で送液され、分離カラム301に流入した溶離液は、フィルタ6においてモノリス構造体2,抵抗体5に分岐する。フィルタ6よりも下流の2つの溶離液は、被覆材3によって隔離され混合されない。モノリス構造体2を通過した溶離液はキャップ7を通過して分離カラム外に排出され、下流側に接続された検出器207に送液される。一方、抵抗体5を通過した溶離液は、フィルタ312,アダプタ313を通過して分離カラム外に排出される。このとき、抵抗体5を通過した溶離液はシール部材311によってキャップ7側には流入せず、モノリス構造体2を通過した液とはカラム出口で合流しない。したがって、検出器207には抵抗体5を通過したサンプルは流入せず、モノリス構造体2を通過したサンプルのみが流入されるため、図2に示した液体クロマトグラフよりも測定感度が向上する。
【0035】
抵抗体5はフィルタ6,フィルタ312によってせき止められ、分離カラム301外に排出されない。モノリス構造体2の出口の圧力は、分離カラム301の下流に接続される配管と検出器207の圧損によって大気圧よりも高い。したがって、モノリス構造体2の圧力勾配と、抵抗体5の圧力勾配をつりあわせるために、配管と検出器207とを合わせた圧損と等しい圧力調整部401を設ける。圧力調整部401は、例えばシリカ粒子を充填した細管を用いることができる。
【0036】
ポンプ203の送液流量が変化するとき、分離カラム301内において、モノリス構造体2の圧力勾配と抵抗体5の圧力勾配がつり合うまでに時間がかかる。したがって、ポンプ203の送液流量を変化させる場合は、流量変化分に応じた時間だけ送液した後に分析を開始する方が望ましい。
【0037】
本実施例のカラムの構造では、液体がモノリス構造体2と抵抗体5の両方に流れ、それぞれの圧力がつり合うことで、モノリス構造体2と被覆材3の間に隙間が生じない。これによって、モノリス構造体2と被覆材3の間への液体の漏出が防止される。また、モノリス構造体2と被覆材3の間の摩擦力が保持されるためモノリス構造体2が固定される。これらの効果から、高い圧力に対しても使用することができ、分析時間を短縮することができる。
【0038】
(上流分岐式)
図5,図6を用いて、上流分岐式と称する本発明の第三の実施例について説明する。第一及び第二の実施例と同じ符号は、同一物又は相当物を示す。
【0039】
図5は、モノリス構造体2に流入する溶離液と抵抗体5を流入する溶離液が異なり、分離カラム出口側で合流して分離カラム外に排出する分離カラム501の断面図である。図1に示した構造に加えて、シール部材511,フィルタ512,アダプタ513,パッキン514からなる。また、支持体504はアダプタ513と接続する構造を持つ。
【0040】
シール部材511には、樹脂材,ゴム,金属などを用いることができる。
【0041】
フィルタ512には、フィルタ6と同様に金属の焼結体などを用いることができる。抵抗体5に平均径2.0μmの粒子を用いた場合は、フィルタ径は例えば1.0μmとすることで、抵抗体5の分離カラム501外部への流出を防ぐ。
【0042】
アダプタ513には、支持体4やキャップ7と同様に、ステンレスなどの金属材料や、アクリル,PEEKなどの樹脂材料を用いることができる。アダプタ513は、抵抗体5に溶離液を流入させる配管(抵抗体を流れる移動相用配管521)を、配管接続部品522を介して支持体504と接続する。
【0043】
パッキン514には、パッキン8と同様に、例えばフッ素系樹脂からなり、アダプタ513と支持体504に押されて変形しアダプタ513および支持体504にそれぞれ密着することで、抵抗体5に流入する溶離液のアダプタ513と支持体504の接続部からの漏出を防止する。
【0044】
図6は、図5に示した分離カラム501を用いた液体クロマトグラフである。図2に示した構成に加えて、オートサンプラ206の上流で溶離液を分岐させる分岐コネクタ601,抵抗体5に流す溶離液用の配管(抵抗体を流れる移動相用配管521),圧力調整部602からなる。
【0045】
ポンプ203で送液される溶離液は、分岐コネクタ601によって分岐され、分離カラム501内のモノリス構造体2,抵抗体5にそれぞれ送液される。モノリス構造体2に送液される溶離液にはオートサンプラ206によってサンプル204が注入される。一方、抵抗体5に送液される溶離液にはサンプルは注入されない。これら2つの溶離液は、分離カラム501内に流入した後、シール部材511と被覆材3によって隔離される。フィルタ506において2つの溶離液は合流し、分離カラム501外に排出され、下流に接続される検出器207に送液される。したがって、サンプルはモノリス構造体2のみを通過し、抵抗体5は通過しないため、図2に示した液体クロマトグラフよりも測定感度が向上する。
【0046】
抵抗体はフィルタ6,512によってせき止められ、分離カラム501外に排出されない。モノリス構造体2の入口の圧力は、その上流に接続される配管とオートサンプラ206の圧損によって分岐コネクタ601出口の圧力よりも低い。その圧力と抵抗体5入口の圧力をつり合わせるために圧力調整部602を設ける。圧力調整部602は、例えばシリカ粒子を充填した細管などを用いることができる。
【0047】
ポンプ203の送液流量が変化するとき、分離カラム301内において、モノリス構造体2の圧力勾配と抵抗体5の圧力勾配がつり合うまでに時間がかかる。したがって、ポンプ203の送液流量を変化させる場合は、流量変化分に応じた時間だけ送液した後に分析を開始する方が望ましい。
【0048】
本実施例のカラムの構造では、液体がモノリス構造体2と抵抗体5の両方に流れ、それぞれの圧力がつり合うことで、モノリス構造体2と被覆材3の間に隙間が生じない。これによって、モノリス構造体2と被覆材3の間への液体の漏出が防止される。また、モノリス構造体2と被覆材3の間の摩擦力が保持されるためモノリス構造体2が固定される。これらの効果から、高い圧力に対しても使用することができ、分析時間を短縮することができる。
【0049】
(非流入式)
図7を用いて、非流入式と称する本発明の第四の実施例について説明する。第一の実施例と同じ符号は、同一物又は相当物を示す。
【0050】
図7は、抵抗体5へ溶離液が流入しない分離カラム701の断面図である。図1に示した構造に加えて、上流側シール部材711,下流側シール部材712からなる。
【0051】
上流側シール部材711,下流側シール部材712には、樹脂材,ゴム,金属などを用いることができる。
【0052】
分離カラム701は、図2に示した分離カラム1を分離カラム701に置き換えた構成の液体クロマトグラフにおいて用いることができる。
【0053】
分離カラム701に注入された溶離液は、分離カラム上流側シール部材711,下流側シール部材712,被覆剤3によって、抵抗体5には流入せず、モノリス構造体2のみを流れる。分離カラム701の抵抗体5は、樹脂,金属,ガラスなどの粒子からなり、被覆剤3と支持体4の間の隙間に充分密に充填されている。したがって、モノリス構造体2に流れる溶離液の圧力に対して、抵抗体5が反力を与えるため、モノリス構造体2と被覆剤3との間に溶離液が漏出しない。
【0054】
分離カラム701においては、抵抗体5は上流側シール部材711,下流側シール部材712,被覆剤3によってせき止められるため、フィルタ6は必ずしも必要ない。
【0055】
本実施例のカラムの構造では、液体がモノリス構造体2のみに流れ、その圧力と充分密に充填された抵抗体5の反力がつり合うことで、モノリス構造体2と被覆材3の間に隙間が生じない。これによって、モノリス構造体2と被覆材3の間への液体の漏出が防止される。また、モノリス構造体2と被覆材3の間の摩擦力が保持されるためモノリス構造体2が固定される。これらの効果から、高い圧力に対しても使用することができ、分析時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施の形態による分離カラムを示す断面図。
【図2】本発明の一実施の形態による液体クロマトグラフを示すブロック図。
【図3】本発明の一実施の形態による分離カラムを示す断面図。
【図4】本発明の一実施の形態による液体クロマトグラフを示すブロック図。
【図5】本発明の一実施の形態による分離カラムを示す断面図。
【図6】本発明の一実施の形態による液体クロマトグラフを示すブロック図。
【図7】本発明の一実施の形態による分離カラムを示す断面図。
【符号の説明】
【0057】
1,701 分離カラム
2 モノリス構造体
3 被覆材
4,304,504 支持体
5 抵抗体
6,312,512 フィルタ
7 キャップ
8,314,514 パッキン
11 配管
12 配管接続部品
201 溶離液
202 溶離液保管タンク
203 ポンプ
204 サンプル
205 サンプル容器
206 オートサンプラ
207 検出器
208 廃液
209 廃液タンク
301,501 分離カラム
311,511 シール部材
313,513 アダプタ
321,521 抵抗体を流れる移動相用配管
322,522 配管接続部品
401,602 圧力調整部
601 分岐コネクタ
711 上流側シール部材
712 下流側シール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料及び溶離液が流入する分離用充填剤を有する分離カラムにおいて、
前記分離用充填剤の外周を被覆する被覆材と、
前記被覆材で被覆された前記分離用充填剤が挿入された支持体と、
前記被覆材と前記支持体との間に充填される空隙を有する抵抗体と、
前記分離用充填材および前記抵抗体に試料及び溶離液を流入させる、もしくは前記分離用充填材および前記抵抗体から試料及び溶離液を排出する配管接続部品と、
前記抵抗体端部と前記配管接続部品との間に位置しそれらを隔てるフィルタと、
を備えたことを特徴とする分離カラム。
【請求項2】
請求項1において、前記分離用充填材は多孔質体で円筒形状に成型されたモノリス構造体であることを特徴とする分離カラム。
【請求項3】
請求項1において、前記抵抗体を球状または破砕型の粒子であることを特徴とする分離カラム。
【請求項4】
請求項3において、前記粒子の大きさが1〜3μmとしたことを特徴とする分離カラム。
【請求項5】
請求項1において、
前記抵抗体端部に位置し、前記被覆材と前記支持体に密着したシール材と、
前記分離用充填材を通過した溶離液をカラム外に排出する配管接続部品と、
前記抵抗体を通過した溶離液をカラム外に排出する配管接続部品と、
を持つことを特徴とする分離カラム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の分離カラムと、分離カラムを流れた試料を検出する検出部と、検出部を流れた試料及び溶離液を保管する廃液部を備えた液体クロマトグラフにおいて、
前記分離用充填材を通過した試料及び溶離液をカラム外に排出する前記配管接続部品に接続される配管と、
前記抵抗体を通過した試料及び溶離液をカラム外に排出する前記配管接続部品に接続される配管と、
を持つことを特徴とする液体クロマトグラフ。
【請求項7】
請求項6記載の液体クロマトグラフにおいて、前記抵抗体を通過した溶離液をカラム外に排出する前記配管接続部品の下流に圧力調整部を持つことを特徴とする液体クロマトグラフ。
【請求項8】
請求項1において、
前記抵抗体端部に位置し、前記被覆材と前記支持体に密着したシール材と、
前記分離用充填材に試料及び溶離液を流入させる配管接続部品と、
前記抵抗体に溶離液を流入させる配管接続部品と、
を持つことを特徴とする分離カラム。
【請求項9】
請求項8記載の分離カラムを備えた液体クロマトグラフにおいて、
前記分離用充填材に試料及び溶離液を流入させる前記配管接続部品に接続される配管と、
前記抵抗体に溶離液を流入させる前記配管接続部品に接続される配管と、
分離カラム上流で溶離液を分岐させる配管コネクタと、
を持つことを特徴とする液体クロマトグラフ。
【請求項10】
請求項9記載の液体クロマトグラフにおいて、前記配管コネクタの下流かつ前記分離用充填材に溶離液を流入させる前記配管接続部品の上流に圧力調整部を持つことを特徴とする液体クロマトグラフ。
【請求項11】
試料及び溶離液が流入する分離用充填剤を有する分離カラムにおいて、
前記分離用充填剤を被覆する被覆材と、前記被覆材で被覆された前記分離用充填剤が挿入された支持体と、
前記被覆材と支持体の間に配置された抵抗体と、
前記抵抗体をせき止めるフィルタと、を備えた分離カラム。
【請求項12】
請求項11記載の分離カラムと、
分離カラムを流れた試料を検出する検出部と、
検出部を流れた試料及び溶離液を保管する廃液部と、を備えた液体クロマトグラフ。
【請求項13】
請求項12記載の液体クロマトグラフにおいて、
前記分離用充填材を通過した試料及び溶離液をカラム外に排出する前記配管接続部品に接続される配管と、
前記抵抗体を通過した試料及び溶離液をカラム外に排出する前記配管接続部品に接続される配管と、
を持つことを特徴とする液体クロマトグラフ。
【請求項14】
試料及び溶離液が流入する分離用充填剤を有する分離カラムにおいて、
前記分離用充填剤を被覆する被覆材と、
前記被覆材で被覆された前記分離用充填剤が挿入された支持体と、
前記被覆材と支持体の間に配置された抵抗体と、
を備えた分離カラム。
【請求項15】
請求項14において、前記抵抗体を球状または破砕型の粒子であることを特徴とする分離カラム。
【請求項16】
請求項15において、前記粒子の大きさが1〜3μmとしたことを特徴とする分離カラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−264859(P2009−264859A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113301(P2008−113301)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)