説明

液体タンクの車載構造

【課題】車両に対する液体タンクの着脱作業を効率よく行なうことが出来るようにする。
【解決手段】 第1孔部20,21を有する保持板15,16上に載置される左側および右側液体タンク14A,14Bと、左側および右側液体タンク14A,14Bに対し着脱自在に当接し第2孔部47,48が穿設された上面当接部材31と、第1孔部20,21および第2孔部47,48に挿通される固定ロッド51,52と、固定ロッド51,52が第1角度にある場合には第1孔部20,21内を通過し得るが、第2角度にある場合には第1孔部20,21内を通過し得ない第1固定部55と、固定ロッド51,52の角度に関わらず第1孔部20,21内を通過し得ない第2固定部56とを備え、第1固定部55と第2固定部56とは、保持板15,16の板厚L10よりも僅かに長い距離L9離隔して配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体タンクの車載構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両にはガソリン,軽油,エンジン冷却水といった液体を貯えるタンクが搭載されている。また、バッテリも内部に電解液を貯えており、広義には液体タンクであるといえる。
なお、バッテリを車両に搭載する技術を示す文献の一例としては、以下の特許文献1が挙げられる。
【0003】
また、近年、液体尿素(液体ユリア)を貯えるユリアタンクを車両に搭載する技術が実用化されている。
このユリアタンクに貯えられた液体ユリアは、ユリア噴霧装置により、排気系内に噴霧され、これにより、排ガス中の窒素酸化物(NOx)を低減できるようになっている。
このようなユリアタンクを車両に搭載するための従来構造を図13に示す。
【0004】
この図13に示すように、車両のシャシメンバ101には、水平方向に延在する2本の保持メンバ102,102が溶接されている。また、これらの保持メンバ102,102の上には2つのユリアタンク103,103が載置されるようになっている。
これらの保持メンバ102,102の中央部近傍には、それぞれ、断面が中空で鉛直方向に立設するピラー部材104が設けられている。
【0005】
そして、各ユリアタンク103は、金属製のバンド105により、保持メンバ102とピラー部材104とに固定されている。
このバンド105は、一端がピラー部材104に対して図示しないボルトより固定され、他端が保持メンバ102に対し図示しないピンにより固定されている。
【特許文献1】特開平8−301027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図13に示す構造では、ユリアタンク103の着脱に手間がかかり、且つ、コストの増大を招くという課題がある。
特に、ユリアタンク103の車載または取り外し作業の際、ピラー部材104の内部に誤ってナット(図示略)を落とす場合もある。この場合、ピラー部材104の内部に落ちたナットを引き上げることは困難であるため、通常、新たなナットを用いることとなり、不必要なコスト増大を招くという事態も生じている。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑み案出されたもので、車両に対する液体タンクの着脱作業を効率よく行なうことが出来る、液体タンクの車載構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の液体タンクの車載構造(請求項1)は、液体タンクの車載構造であって、一方の液体タンクである左側液体タンクおよび該左側液体タンクの右側に配設された他方の液体タンクである右側液体タンクとが載置された保持板を有し該車両の車体に取り付けられた保持メンバと、該保持板に穿設された第1孔部と、該左側液体タンクおよび該右側液体タンク双方の上面に対し着脱自在に当接する上面当接部材と、該上面当接部材に穿設された第2孔部と、該第1孔部および該第2孔部に挿通される固定ロッドと、該第1孔部の下方で該固定ロッドに固定され、該固定ロッドが第1角度にある場合には該第1孔部内を通過し得るとともに、該固定ロッドが第2角度にある場合には該第1孔部内を通過し得ない第1固定部と、該第1孔部の上方で該固定ロッドに固定され、該固定ロッドが該第1角度にあっても該第2角度にあっても該第1孔部内を通過し得ない第2固定部と、該第2孔部の上方で該固定ロッドに形成されたネジ溝と、該上面当接部材の上面に当接し、該ネジ溝に螺合することで第2角度にある該固定ロッドを上方に引き上げ該第1固定部を該保持板の下面に当接させるナットとを備え、該第1固定部と該第2固定部とは、該保持メンバの該保持板の板厚よりも僅かに長い距離離隔して配設されていることを特徴としている。
【0009】
また、請求項2記載の本発明の液体タンクの車載構造は、請求項1記載の内容において、該保持メンバに設けられ該左側液体タンクの左側面に当接する左下外側保持部と、該保持メンバに設けられ該右側液体タンクの右側面に当接する右下外側保持部とをさらに備えるとともに、該第2固定部は、該固定ロッドが第2角度にある場合に該左側液体タンクの右側面に当接する直線部分を有する左端部と、該固定ロッドが第2角度にある場合に該右側液体タンクの左側面に当接し、該左端部の直線部分と略平行な直線部分を有する右端部とを有する長方形の平板部材であって、該固定ロッドが第2角度にある場合に、該左下外側保持部と該第2固定部の該左端部とは、該左側液体タンクの幅だけ離隔して配設され、該右下外側保持部と該第2固定部の該右端部とは、該右側液体タンクの幅だけ離隔して配設されていることを特徴としている。
【0010】
また、請求項3記載の本発明の液体タンクの車載構造は、請求項2記載の内容において、該第1孔部は、該保持メンバの該保持板に穿設された長方形の長孔であり、該第1固定部は、該長孔の長辺長よりも短く且つ該長孔の短辺長よりも長い突起部であり、該突起部および平板部材は、該突起部の長手軸線と該平板部材の長手軸線とが略直交するように配設されていることを特徴としている。
【0011】
また、請求項4記載の本発明の液体タンクの車載構造は、請求項1〜3いずれか1項に記載の内容において、該上面当接部材は、該左側液体タンクと該右側液体タンクとに亘って設けられた一対の帯部材と、該一対の帯部材のそれぞれと直交し且つ該一対の帯部材を中央近傍で相互に接続する中央部材と、該一対の帯部材と該中央部材とにより挟まれた部分に形成された開口部とを有し、H字形状に形成されていることを特徴としている。
【0012】
また、請求項5記載の本発明の液体タンクの車載構造は、請求項1〜4いずれか1項に記載の内容において、該一対の帯部材の左端部に設けられ該左側液体タンクの左側面に当接する左上外側保持部と、該一対の帯部材の右端部に設けられ該右側液体タンクの右側面に当接する右上外側保持部とをさらに備えることを特徴としている。
また、請求項6記載の本発明の液体タンクの車載構造は、請求項4または5に記載の内容において、該上面当接部材の下面に設けられ該左側液体タンクの右側面に当接する左上内側保持部と、該上面当接部材の下面に設けられ該右側液体タンクの左側面に当接する右上内側保持部とをさらに備えることを特徴としている。
【0013】
また、請求項7記載の本発明の液体タンクの車載構造は、請求項2に記載の内容において、該固定ロッドに固定され、該第2固定部の上側任意の位置に該第2固定部と同形状に形成され且つ上面視で該第2固定部と略一致するように配設された第3固定部をさらに備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の液体タンクの車載構造によれば、固定ロッドを回転させるだけで、固定ロッドと保持メンバとの容易に着脱させることが可能となる。また、第1固定部と第2固定部とが保持板の板厚よりも僅かに長い距離だけ離隔して配設されているので、上面当接部材が左側液体タンクおよび右側液体タンクから離脱した場合であっても、固定ロッドが倒れないようにすることが可能となる。このように、車両に対する液体タンクの着脱作業を効率よく行なうことが出来る。(請求項1)
また、固定ロッドが第2角度にある場合に、左側液体タンクおよび右側液体タンクを規定位置に確実に車載するとともに、固定ロッドが第1角度にある場合に、左側液体タンクおよび右側液体タンクの車載を禁止することが可能となる。(請求項2)
また、コストの上昇を抑制しながら、保持メンバに対し固定ロッドを容易に着脱できるようにすることが出来る。(請求項3)
上面当接部材を、左側液体タンクおよび右側液体タンクから離脱させずとも、開口部を通じて、これらの左側液体タンクおよび右側液体タンクのメンテナンス作業を行なうことが可能となる。(請求項4)
また、左側液体タンクおよび右側液体タンクが水平方向に揺動することを効果的に防止することが可能となる。(請求項5および請求項6)
また、固定ロッドが第2角度にある場合に、第3固定部が、左側液体タンクの右側面および右側液体タンクの左側面に当接することで、左側液体タンクの右側面および右側液体タンクの左側面が変形することを抑制することが可能となる。(請求項7)
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面により、本発明の一実施形態に係る液体タンクの車載構造について説明すると、図1はその全体構成を示す模式的な上面図、図2はその全体構成を示す模式的な正面図であって図1のII矢視図、図3は第1保持メンバおよび第2保持メンバを示す模式的な上面図であってA固定ロッドおよびB固定ロッドが固定角度にある場合を示すものである。
【0016】
また、図4は第1保持メンバおよび第2保持メンバを示す模式的な上面図であってA固定ロッドおよびB固定ロッドが解除位置にある場合を示すものであり、図5はH形カバーを示す模式的な上面図である。
また、図6(A)はA固定ロッドまたはB固定ロッドを示す模式的な正面図、図6(B)はA固定ロッドまたはB固定ロッドを示す模式的な側面図である。また、図7は図6(B)の模式的なVII−VII矢視断面図、図8は図6(B)の模式的なVIII−VIIIの矢視断面図である。
【0017】
さらに、図9は解除角度にあるA固定ロッドが自立可能であることを示す模式図、図10は固定角度にあるA固定ロッドが自立可能であることを示す模式図、図11および図12はA固定ロッドが固定角度にある場合にはAユリアタンクおよびBユリアタンクの車載が禁止されることを示す模式図である。
図1および図2に示すように、車幅方向で且つ水平に延在する金属性の水平シャシメンバ11は、鉛直に延在する複数の鉛直シャシメンバ18A,18Bおよび18Cの上端と溶接されている。また、この水平シャシメンバ11には、車長方向で且つ水平に延在する金属性の第1保持メンバ(保持メンバ)12と第2保持メンバ(保持メンバ)13とが溶接されている。なお、これらの第1保持メンバ12と第2保持メンバ13とは、互いに離隔して配設されているが、同じ形状,寸法,材質の部品である。
【0018】
また、第1保持メンバ12の上面を第1保持板(保持板)15といい、また、第2保持メンバ12の上面を第2保持板(保持板)16という。これらの第1保持板15および第2保持板16の上には、後述するAユリアタンク(左側液体タンク)14AおよびBユリアタンク(右側液体タンク)14Bが載置されるようになっている。
また、第1保持メンバ12の先端部12Aと、第2保持メンバ13の先端部13Aとは、車幅方向で且つ水平に延在する接続メンバ17によって相互接続されている。
【0019】
さらに、接続メンバ17と、鉛直シャシメンバ18Bの下端とは、斜めに延在する補強メンバ19によって相互接続されている。
図3および図4に示すように、第1保持メンバ12の中央近傍には底孔20が穿設されるとともに、第2保持メンバ13の中央近傍には底孔21が穿設されている。なお、これらの底孔(第1孔部)20,21は、ともに、同じ大きさの長方形状の長孔である。
【0020】
また、第1保持メンバ12および第2保持メンバ13の上には、左下外側メンバ(左下外側保持部)22および右下外側メンバ(右下外側保持部)23が設けられている。
これらのうち、左下外側メンバ22は、水平シャシメンバ11に近接した位置において、第1保持メンバ12および第2保持メンバ13の延在方向(車長方向)と直交する方向(車幅方向)に延在し、第1保持12メンバおよび第2保持メンバ13の双方に溶接された断面L字形の金属製の部品である。
【0021】
右下外側メンバ23は、第1保持メンバ12の先端部12Aおよび第2保持メンバ13の先端部13A近傍において、左下外側メンバ22の延在方向と平行に延在し、第1保持メンバ12および第2保持メンバ13の双方に溶接された断面L字形の金属製の部品である。
左下外側メンバ22のうち右下外側メンバ23と対向する面(左下外側メンバ22の内面)、および、右下外側メンバ23のうち左下外側メンバ23と対向する面(右下外側メンバ23の内面)には、それぞれ、ラバーシート24が貼付されている。つまり、左下外側メンバ22の内面は、このラバーシート24を介してAユリアタンク14Aの左側面に当接し、また、右下外側メンバ23の内面は、このラバーシート24を介してBユリアタンク14Bの右側面に当接するようになっている。これにより、金属製の左下外側メンバ22がAユリアタンク14Aを傷つけることを防ぐと共に、金属製の右下外側メンバ23がBユリアタンク14Bを傷つける事態を防ぐことが出来るようになっている。
【0022】
図1に示すように、第1保持メンバ12と第2保持メンバ13とには、Aユリアタンク14AおよびBユリアタンク14Bが載置されている。これらのAユリアタンク14AおよびBユリアタンク14Bはともに液体尿素(液体ユリア)を貯える金属製の液体タンクである。また、これらのAユリアタンク14AおよびBユリアタンク14Bの外面には、図示しない種々のセンサが設けられている。
【0023】
第1保持メンバ12および第2保持メンバ13上において、Aユリアタンク14Aは水平シャシメンバ11に近接して設けられている。また、Bユリアタンク14Bは、第1保持メンバ12および第2保持メンバ13上において、先端部12A,13Aに近接し、Aユリアタンク14Aと並列に設けられている。
また、Aユリアタンク14Aには、フィラーネック25が形成され、さらにこのフィラーネック25にはフィラーキャップ26が設けられている。
【0024】
フィラーネック25は円筒状の部品であって、その開口(図示略)を通じてAユリアタンク14A内に液体ユリアが供給出来るようになっている。また、フィラーキャップ26は、フィラーネック25の開口を着脱可能に覆うものである。
Aユリアタンク14AとBユリアタンク14Bとの間には、所定の幅(図1中符号W1参照)を有する隙間Gが設けられている。そして、この隙間Gを確保することにより、車体の捩れや車両の振動などに起因してAユリアタンク14AとBユリアタンク14Bとの間に相対変位が生じ、これらのタンク14Aおよび14Bが互いに擦れるような事態が生じることを防ぐことが出来るようになっている。
【0025】
また、Aユリアタンク14AとBユリアタンク14Bとは、接続パイプ27によって接続されている。そして、この接続パイプ27は、Aユリアタンク14A内とBユリアタンク14B内とを互いに連通するようになっている。したがって、Aユリアタンク14Aのフィラーネック25を通じてAユリアタンク14A内に供給された液体ユリアは、この接続パイプ27を通じてBユリアタンク14B内にも供給されるようになっている。
【0026】
図1および図2に示すように、Aユリアタンク14AとBユリアタンク14Bの上面には、H形カバー(上面当接部材)31が設けられている。このH形カバー31は、Aユリアタンク14AとBユリアタンク14Bの上面に対し着脱自在に当接し、これらのAユリアタンク14AとBユリアタンク14Bを上方から固定する部品である。
このH形カバー31は、第1帯部材32,第2帯部材33,中央部材34,A開口部35およびB開口部36を有しH字形状に形成されている。
【0027】
これらのうち、第1帯部材32は、第1保持メンバ12に沿って延在し、Aユリアタンク14AとBユリアタンク14Bとに亘って設けられた帯状の部品である。
第2帯部材33は、第2保持メンバ13に沿って延在し、Aユリアタンク14AとBユリアタンク14Bとに亘って設けられた帯状の部品である。なお、これらの第1帯部材32および第2帯部材33は、ともに、同じ形状で且つ同じ寸法であり、互いに平行して配設されている。
【0028】
中央部材34は、第1帯部材32および第2帯部材33のそれぞれと直交し、且つ、第1帯部材32の中央近傍と第2帯部材33の中央近傍とを接続する部品である。
なお、第1帯部材32のうち、その一端部32Aから中央部材34までの間の部分を第1左ウィング32Bといい、第1帯部材32の他端部32Dから中央部材34までの間の部分を第1右ウィング32Cという。また、第2帯部材33のうち、第2帯部材33の一端部33Aから中央部材34までの間の部分を第2左ウィング33Bといい、第2帯部材33の他端部33Dから中央部材34までの間の部分を第2右ウィング33Cという。
【0029】
また、A開口部(開口部)35は、第1左ウィング32B,中央部材34および第2左ウィング33Bにより挟まれて形成された開口である。また、B開口部(開口部)36は、第1右ウィング32C,中央部材34および第2右ウィング33Cにより挟まれて形成された開口である。
また、図5に示すように、H形カバー31の下面には、左外側フランジ41,41,右外側フランジ42,42,左内側フランジ43および右内側フランジ44が形成されている。
【0030】
左外側フランジ(左上外側保持部)41は、第1帯部材32の一端部32A、および、第2帯部材33の一端部33Aにそれぞれ形成されたフランジであって、ラバーシート45が貼付されている。したがって、これらの左外側フランジ41,41は、ラバーシート45を介して、Aユリアタンク14Aの左側面に当接するようになっている。
右外側フランジ(右上外側保持部)42は、第1帯部材32の他端部32D、および、第2帯部材33の他端部33Dにそれぞれ形成されたフランジであって、ラバーシート45が貼付されている。したがって、これらの右外側フランジ43,43は、ラバーシート45を介して、Bユリアタンク14Bの右側面に当接するようになっている。
【0031】
左内側フランジ(左上内側保持部)43は、中央部材34の下面に設けられたフランジであって、内面にはラバーシート46が貼付されている。そして、この左内側フランジ43は、このラバーシート46を介して、Aユリアタンク14Aの右側面に当接するようになっている。
右内側フランジ(右上内側保持部)44は、中央部材34の下面に設けられたフランジであって、内面にはラバーシート46が貼付されている。そして、この右内側フランジ43は、ラバーシート46を介して、Bユリアタンク14Bの左側面に当接するようになっている。
【0032】
また、このH形カバー31には、Aカバー孔(第2孔部)47およびBカバー孔(第2孔部)48が穿設されている。また、これらのAカバー孔47とBカバー孔48との間の距離L2は、図3に示す、第1保持メンバ12に穿設された底孔20と第2保持メンバ13に穿設された底孔21との間の離隔距離L3と等しくなるように設定されている。
Aカバー孔47は、第1帯部材32と中央部材34とが交差する部分に穿設された円形の孔であって、後述するA固定ロッド51が挿通されるようになっている。
【0033】
Bカバー孔48は、第2帯部材33と中央部材34とが交差する部分に穿設された円形の孔であって、後述するB固定ロッド52が挿通されるようになっている。
なお、Aカバー孔47の形状はBカバー孔48と同じ形状で且つ同じ大きさである。また、Aカバー孔47およびBカバー孔48の内径D1は、A固定ロッド51およびB固定ロッド52の外径D2(図6参照)よりも僅かに大きく形成されている。
【0034】
図6(A)および(B)に示すように、A固定ロッド51およびB固定ロッド52は、金属製の円柱であって、その上端にはネジ溝53が形成されるとともに、その下端には下端突起部55が設けられている。さらに、このA固定ロッド51には、下側平板56および上側平板58が設けられている。
また、B固定ロッド52には、A固定ロッド51に設けられている下端突起部55,下側平板56および上側平板58と同一のものが、A固定ロッド51と同じ位置に設けられている。したがって、ここでは、A固定ロッド51に設けられた下端突起部55,下側平板56および上側平板58について説明し、B固定ロッド52に設けられた下端突起部55,下側平板56および上側平板58についての説明は原則として省略する。
【0035】
ネジ溝53は、ナット54(図2参照)が螺合する部分である。
下端突起部55は、A固定ロッド51の下端に溶接された金属製の円柱である。また、図3や図4に示すように、この下端突起部55の全長L55と、底孔20の長辺長L5とは、以下の式(1)に示す関係にある。
55<L5 ・・・(1)
また、底孔20の短辺長L7と下端突起部55の全長L55とは、以下の式(2)に示す関係にある。
【0036】
55>L7 ・・・(2)
つまり、下端突起部の全長L55は、底孔20の長辺長L5よりも短く形成されているが、底孔20の短辺長L7よりも長く形成されているのである。
また、下端突起部55の外径D55と、底孔20の長辺長L5および短辺長L7とは、以下の式(3)に示す関係にある。
【0037】
55<L7<L5 ・・・(3)
つまり、下端突起部の外径D55は、底孔20の長辺長L5よりも短く、且つ、底孔20の短辺長L7よりも短く形成されているのである。
なお、図3に示すように、下端突起部55の長手軸線C1と底孔20の長手軸線C2とが直交する場合におけるA固定ロッド51の軸周りの回転角度を固定角度(第2角度)とする。同様に、下端突起部55の長手軸線C1と底孔21の長手軸線C2とが直交する場合におけるB固定ロッド52の軸周りの回転角度を固定角度(第2角度)とする。
【0038】
一方、図4に示すように、下端突起部55の長手軸線C1と底孔20の長手軸線C2とが一致する場合におけるA固定ロッド51の角度を解除角度(第1角度)とする。同様に、下端突起部55の長手軸線C1と底孔21の長手軸線C2とが一致する場合におけるB固定ロッド52の角度を解除角度(第1角度)とする。
つまり、解除角度を0度または180度と仮定すると、固定角度は90度または270度になる。
【0039】
したがって、A固定ロッド51に設けられた下端突起部55は、A固定ロッド51が固定角度にある場合には底孔20を通過し得ないが、A固定ロッド51が解除角度にある場合には、底孔20内を通過し得るようになっている。同様に、B固定ロッド51に設けられた下端突起部55は、B固定ロッド52が固定角度にある場合には底孔21を通過し得ないが、B固定ロッド52が解除角度にある場合には、底孔21内を通過し得るようになっている。
【0040】
さらに、図6(A)および(B)に示すように、A固定ロッド51には、下端突起部55よりも上方に下側平板56が固定されている。
この下側平板56は、図7に示すように、長方形の平板の部品であって、左端部(長辺)56Aおよび右端部(長辺)56Bはそれぞれラバーシート57により覆われている。また、この左端部56Aは、A固定ロッド51が固定角度にある場合に、ラバーシート57を介してAユリアタンク14Aの右側面に当接するようになっている。一方、右端部56Bは、A固定ロッド51が固定角度にある場合に、ラバーシート57を介してBユリアタンク14Bの左側面に当接するようになっている。
【0041】
また、図2に示すように、この下側平板56の下面と下端突起部55の上端との間の距離L9は、第1保持メンバ12の第1保持板15の板厚L10よりも僅かに長くなるように設定されている。
また、図7に示すように、下側平板56の幅W56は、Aユリアタンク14AとBユリアタンク14Bとの間に形成された隙間Gの幅W1(図1参照)と等しくなるように設定されている。つまり、下側平板56の幅W56は、以下の式(4)を満たすように設定されている。
【0042】
56=W1 ・・・(4)
一方、下側平板56の長さL56は、Aユリアタンク14AとBユリアタンク14Bとの間に形成された隙間Gの幅W1よりも大きくなるように設定されており、換言すれば、下側平板56の長さL56は、以下の式(5)を満たすように設定されている。
56>W1 ・・・(5)
また、A固定ロッド51が固定角度にある場合(即ち、図3に示す場合)において、左下外側メンバ22と下側平板56の左端部56Aとは、Aユリアタンク14Aの幅W14A(図2参照)だけ離隔して配設されている。同様に、右下外側メンバ23と下側平板56の右端部56Bとは、Bユリアタンク14Bの幅W14B(図2参照)だけ離隔して配設されている。
【0043】
つまり、図2に示すように、左下外側メンバ22と右下外側メンバ23との間の距離L11は、Aユリアタンク14Aの幅W14Aと、Bユリアタンク14Bの幅W14Bと、Aユリアタンク14AとBユリアタンク14Bとの間に形成された基準隙間Gの幅W1とを合算することにより設定されている。換言すれば、距離L11は、以下の式(6)により設定されるようになっている。
【0044】
11=W14A+W14B+W1 ・・・(6)
また、図3や図4に示すように、下側平板56の長さL56と、底孔20の長辺長L5および短辺長L7とは、以下の式(7)の関係を満たすようになっている。
56>L5>L7 ・・・(7)
したがって、A固定ロッド51に設けられた下側平板56は、A固定ロッド51が固定角度にあっても、解除角度にあっても、底孔20内を通過し得ないようになっている。同様に、B固定ロッド52に設けられた下側平板56は、B固定ロッド52が固定角度にあっても、解除角度にあっても、底孔21内を通過し得ないようになっている。
【0045】
また、この下側平板56は、その長手軸線C3が、下端突起部55の長手軸線C1と直交するように配設されている。
図6(A)に示すように、A固定ロッド51には、下側平板56から上方へ距離L12だけ離隔して、上側平板(第3固定部)58が設けられている。同様に、B固定ロッド52にも、下側平板56から上方へ距離L12だけ離隔して、上側平板58が設けられている。
【0046】
なお、本実施形態においては、この上側平板58を、A固定ロッド51およびB固定ロッド52にそれぞれ1つずつ設けた場合を例にとって説明しているが、複数個設けてもよい。この場合、Aユリアタンク14AおよびBユリアタンク14Bの変形をより効果的に抑制することが出来る。
図8に示すように、この上側平板58は、長方形の平板の部品であって、左端部(直線部分)58Aおよび右端部(直線部分)58Bはそれぞれラバーシート59により覆われている。また、A固定ロッド51が固定角度にある場合、この左端部58Aは、ラバーシート59を介してAユリアタンク14Aの右側面に当接するようになっている。
【0047】
一方、右端部58Bは、A固定ロッド51が固定角度にある場合に、ラバーシート59を介してBユリアタンク14Bの左側面に当接するようになっている。
また、この上側平板58の形状および寸法は、上述した下側平板56と同じである。また、この上側平板58は、上面視において、下側平板56と一致するように配設されている。
【0048】
つまり、下式(8)に示すように、上側平板58の幅W58と下側平板56の幅W56とは等しくなるように設定されている。
58=W56 ・・・(8)
また、下式(9)に示すように、上側平板58の長さL58と下側平板56の長さL58とは等しくなるように設定されている。
【0049】
58=L56 ・・・(9)
したがって、図2に示すように、A固定ロッド51が固定角度にある場合、Aユリアタンク14AとBユリアタンク14Bとの間には、幅W56の下側平板56および幅W58の上側平板58が介装されるようになっている。
一方、図11に示すように、A固定ロッド51が解除角度にある場合、Aユリアタンク14AとBユリアタンク14Bとの間には、長さL56の下側平板56および長さL58の上側平板58が介装されるようになっている。もっとも、A固定ロッド51が解除角度にある場合には、Aユリアタンク14AおよびBユリアタンク14Bを第1保持メンバ12および第2保持メンバ13上に載置することは出来ないようになっている。なお、この点の詳細は後述する。
【0050】
また、本実施形態においては、下側平板56および上側平板58が、共に、長方形の平板部品である場合について説明したが、これに限定するものではない。幅W58および幅W56に相当する平行な直線部分を有し、且つ、この平行な直線部分が最大幅を形成する形状であれば、下側平板56および上側平板58が、共に、長方形の平板部品である場合と同様の効果を得ることが出来るようになっている。
【0051】
本発明の一実施形態に係る液体タンクの車載構造は上述のように構成されているので、以下のような作用および効果を奏する。
Aユリアタンク14AおよびBユリアタンク14Bを車載する前準備として、まずユーザは、図9に示すように、A固定ロッド51の下端突起部55を、第1保持メンバ12の底孔20に挿入する。また、図示はしないが、A固定ロッド51の場合と同様に、B固定ロッド52の下端突起部55を第2保持メンバ13の底孔21に挿入する。
【0052】
このとき、図9の鎖線で示すように、A固定ロッド51は、若干傾くことはあっても、倒れないようになっている。これは、下端突起部55と下側平板56とが第1保持メンバ12の第1保持板15の板厚L10よりも僅かに長い距離だけ離隔して配設されていることによる。つまり、A固定ロッド51が傾くと、下端突起部55が第1保持板15の裏面に当接するとともに、下側平板56が第1保持板15の表面に当接することで、Aユリアタンク14AやBユリアタンク14Bの有無に関わらず、A固定ロッド51を自立させることが出来るのである。
【0053】
また、下側平板56は、比較的広い面積を有する長方形の平板である。そして、この下側平板56が第1保持メンバ12の第1保持板15または第2保持メンバ13の第2保持板16の上に当接している場合、比較的大きな力が第1固定ロッド51または第2固定ロッド52に加わったとしても、容易には倒れにくくなっている。
その後、図10に示すように、ユーザは、A固定ロッド51を固定位置に回転させる。また、図示はしないが、A固定ロッド51の場合と同様に、B固定ロッド52を固定位置に回転させる。これにより、ユーザは、図2に示すように、Aユリアタンク14AおよびBユリアタンク14Bを、第1保持メンバ12および第2保持メンバ13の上に載置することが出来る。
【0054】
換言すれば、図11に示すように、A固定ロッド51およびB固定ロッド52を解除位置にしたままでは、Aユリアタンク14AおよびBユリアタンク14Bを第1保持メンバ12および第2保持メンバ13の上に載置することは出来ない。これは以下のような理由によるものである。
つまり、Aユリアタンク14Aの左側面は、左下外側メンバ22により保持されるとともに、Bユリアタンク14Bの右側面は、右下外側メンバ23により保持されている。そして、式(6)を用いて上述したように、左下外側メンバ22と右下外側メンバ23との間の距離L11は、Aユリアタンク14Aの幅W14Aと、Bユリアタンク14Bの幅W14Bと、Aユリアタンク14AとBユリアタンク14Bとの間に形成された基準隙間Gの幅W1とを合算することにより設定されている。
【0055】
また、式(4)を用いて上述したように、下側平板56の幅W56は、Aユリアタンク14AとBユリアタンク14Bとの間の基準隙間Gの幅W1と等しくなるように設定されている。また、式(8)を用いて上述したように、上側平板58の幅W58は、下側平板56の幅W56と等しくなるように設定されている。
さらに、式(5)を用いて上述したように、下側平板56の長さL56は、基準隙間Gの幅W1よりも大きくなるように設定されている。また、式(9)を用いて上述したように、上側平板58の長さL58は、下側平板56の長さL56と等しくなるように設定されている。
【0056】
このため、図11に示すように、A固定ロッド51が固定角度にある場合、Aユリアタンク14Aの左側面とBユリアタンク14Bの右側面との間の距離L13は、Aユリアタンク14Aの幅W14Aと、Bユリアタンク14Bの幅W14Bと、下側平板56の長さL56(または上側平板58の長さL58)とを合算した距離となる。即ち、距離L13は、以下の式(10)により算出されるようになっている。
【0057】
13=W14A+W14B+L56 ・・・(10)
しかしながら、この距離L13は、左下外側メンバ22と右下外側メンバ23との間の距離L11よりも長いため(L13>L11)、実際には、Aユリアタンク14AおよびBユリアタンク14Bを左下外側メンバ22と右下外側メンバ23との間に載置することは出来ない。
【0058】
また、図3や図4に示すように、下側突起部55の長手軸線C1と下側平板56の長手軸線C3とが直交するように、下側突起部55と下側平板56とが配設されている。同様に、下側突起部55の長手軸線C1と上側平板58の長手軸線C4とが直交するように、下側突起部55と上側平板58とが配設されている。
つまり、A固定ロッド51が固定角度にある場合(即ち、図2に示す場合)においては、Aユリアタンク14AおよびBユリアタンク14Bを、左下外側メンバ22と右下外側メンバ23との間に載置することが許容され、他方、A固定ロッド51が解除角度にある場合(即ち、図11に示す場合)においては、Aユリアタンク14AおよびBユリアタンク14Bを左下外側メンバ22と右下外側メンバ23との間に載置することが出来ないようになっている。なお、図2にはA固定ロッド51を例示しているが、B固定ロッド52についても同様である。
【0059】
このように、A固定ロッド51が第1保持メンバ12の底孔20から抜け得る状態、または、B固定ロッド52が第2保持メンバ13の底孔21から抜け得る状態で、Aユリアタンク14AおよびBユリアタンク14Bが、第1保持メンバ12および第2保持メンバ14に載置される事態を防ぐことが出来る。
つまり、下側平板56は、図9および図10に示すように、A固定ロッド51が底孔20を通じて第1保持メンバ12の下方へ落下することを防ぐストッパとして用いられるだけでなく、A固定ロッド51を第1保持メンバ12の上で自立させるためにも用いられる。さらに、この下側平板56は、A固定ロッド51が解除角度にある場合には、Aユリアタンク14AおよびBユリアタンク14Bが車載できないようにするインヒビタとしても用いられるのである。
【0060】
このように、部品点数の増大を出来るだけ抑制しながら、Aユリアタンク14AおよびBユリアタンク14Bの車載または取り外し作業の効率を向上させ、且つ、A固定ロッド51およびB固定ロッド52が固定角度にない場合には、Aユリアタンク14AおよびBユリアタンク14Bが誤って車載されることを防ぐことが出来る。
また、図12に示すように、Aユリアタンク14AとBユリアタンク14Bとを、接続パイプ27により既に接続していた場合、Aユリアタンク14AとBユリアタンク14Bとの間の隙間Gの幅W1は変更できない。
【0061】
また、式(5)および式(9)を用いて上述したように、上側平板58の長さL58は隙間Gの幅W1よりも長く設定されている。
したがって、Aユリアタンク14AとBユリアタンク14Bとを、接続パイプ27により既に接続していた場合、A固定ロッド51またはB固定ロッド52が解除角度にあると、上側平板58がAユリアタンク14AとBユリアタンク14Bとの間に、そもそも入り込むことが出来ない。
【0062】
このように、A固定ロッド51、または、B固定ロッド52が解除位置にある状態で、Aユリアタンク14AおよびBユリアタンク14Bが、第1保持メンバ12および第2保持メンバ14に載置されることが禁止される。
その後、図1および図2に示すように、ユーザは、H形カバー31をAユリアタンク14AおよびBユリアタンク14Bの上面に載置する。このとき、H形カバー31のAカバー孔47に対してA固定ロッド51が挿入されるとともに、H形カバー31のBカバー孔48に対してB固定ロッド52が挿入される。
【0063】
そして、A固定ロッド51のネジ溝53およびB固定ロッド52のネジ溝53のそれぞれにナット54が螺合されると、固定角度にあるA固定ロッド51およびB固定ロッド52が、それぞれ上方へ引き上げられる。その後、A固定ロッド51の下端に設けられた下端突起部55が第1保持メンバ12の第1保持板15の裏面に当接するとともに、B固定ロッド51の下端に設けられた下端突起部55が第2保持メンバ13の第2保持板16の裏面に当接する。
【0064】
これにより、Aユリアタンク14AおよびBユリアタンク14Bは、第1保持メンバ12および第2保持メンバ13とH形カバー31との間で挟持される。
また、H形カバー31に設けられた左外側フランジ41および右外側フランジ42により、Aユリアタンク14AおよびBユリアタンク14Bが水平方向に揺動することを効果的に防止することが出来る。また、H形カバー31に設けられた左内側フランジ43および右内側フランジ44により、Aユリアタンク14AおよびBユリアタンク14Bが水平方向に揺動することを効果的に防止することが出来る。
【0065】
さらに、H形カバー31を、第1帯部材32,第2帯部材33,中央部材34,A開口部35およびB開口部36を有するH字形状に形成することで、このH形カバー31を、Aユリアタンク14AおよびBユリアタンク14Bから離脱させずとも、A開口部35およびB開口部36を通じて、これらのユリアタンク14AおよびBユリアタンク14Bメンテナンス作業を行なうことが出来る。
【0066】
また、A固定ロッド51およびB固定ロッド52が固定角度にある場合、Bユリアタンク14Bを、左下外側メンバ22および左外側フランジ41と下側平板56の左端部56Aおよび上側平板58の左端部58Aとにより挟持することが可能となるとともに、Aユリアタンク14Aを、右下外側メンバ23および右外側フランジ42と下側平板56の右端部56Bおよび上側平板の右端部58Bとにより挟持することが可能となる。
【0067】
また、ナット54がネジ溝53に螺合していくと、Aユリアタンク14Aの左側面、および、Bユリアタンク14Bの右側面に、比較的大きな力が作用する。このとき、下側平板56の左端部56Aおよび上側平板58の左端部58Aが、Bユリアタンク14Bの右側面に当接し、下側平板56の右端部56Bおよび上側平板58の右端部58Bが、Aユリアタンク14Aの左側面に当接するので、Bユリアタンク14Bの右側面、および、Aユリアタンク14Aの左側面が変形しにくくすることが出来る。
【0068】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
上述の実施形態においては、液体タンクが、液体尿素(液体ユリア)を貯える金属製のタンクである場合を例にとって説明したがこれに限定するものではない。例えば、液体タンクとして、ガソリンや軽油を貯える燃料タンクを用いても良いし、エンジン冷却水を貯えるリザーバタンクであっても良い。また、金属製のタンクではなく、樹脂製のタンクであってもよい。
【0069】
もっとも、液体ユリアを貯えるタンクには、種々のセンサが取り付けられ定期的なメンテナンスが必要となったり、必要な剛性を確保するといった理由によりタンクの材質を金属にしたりすることが好ましく、このような金属製の液体ユリア用タンクに本発明を適用すると、そのメリットが大きい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施形態に係る液体タンクの車載構造の全体構成を示す模式的な上面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る液体タンクの車載構造の全体構成を示す模式的な正面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る液体タンクの車載構造において、保持メンバを主に示す模式的な上面図であって、A固定ロッドおよびB固定ロッドが固定角度にある場合を示す。
【図4】本発明の一実施形態に係る液体タンクの車載構造において、保持メンバを主に示す模式的な上面図であって、A固定ロッドおよびB固定ロッドが解除角度にある場合を示す。
【図5】本発明の一実施形態に係る液体タンクの車載構造において、H形カバーを示す模式的な上面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る液体タンクの車載構造において、A固定ロッドまたはB固定ロッドを示す模式的な正面図が(A),模式的な側面図が(B)である。
【図7】本発明の一実施形態に係る液体タンクの車載構造において、下側平板を示す模式的な上面図であって、図6(B)の模式的なVII−VII矢視断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る液体タンクの車載構造において、上側平板を示す模式的な上面図であって、図6(B)の模式的なVIII−VIII矢視断面図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る液体タンクの車載構造において、解除角度にあるA固定ロッドが自立可能であることを示す模式図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る液体タンクの車載構造において、固定角度にあるA固定ロッドが自立可能であることを示す模式図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る液体タンクの車載構造において、A固定ロッドが解除角度にある場合にはAユリアタンクおよびBユリアタンクの車載が禁止されることを示す模式図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る液体タンクの車載構造において、A固定ロッドが解除角度にある場合にはAユリアタンクおよびBユリアタンクの車載が禁止されることを示す模式図である。
【図13】従来のユリアタンクを示す模式的な斜視図である。
【符号の説明】
【0071】
12 第1保持メンバ(保持メンバ)
13 第2保持メンバ(保持メンバ)
14A Aユリアタンク(左側液体タンク;液体タンク)
14B Bユリアタンク(右側液体タンク;液体タンク)
15 第1保持板(保持板)
16 第2保持板(保持板)
20,21 底孔(第1孔部)
22 左下外側メンバ(左下外側保持部)
23 右下外側メンバ(右下外側保持部)
31 H形カバー(上面当接部材)
32 第1帯部材(帯部材)
33 第2帯部材(帯部材)
34 中央部材
35 A開口部(開口部)
36 B開口部(開口部)
41 左外側フランジ(左上外側保持部)
42 右外側フランジ(右上外側保持部)
43 左内側フランジ(左上内側保持部)
44 右内側フランジ(右上内側保持部)
47 Aカバー孔(第2孔部)
48 Bカバー孔(第2孔部)
51 A固定ロッド(固定ロッド)
52 B固定ロッド(固定ロッド)
53 ネジ溝
54 ナット
55 下端突起部(第1固定部)
56 下側平板(第2固定部)
56A 下側平板の左端部(左端部)
56B 下側平板の右端部(右端部)
14A Aユリアタンクの幅
14B Bユリアタンクの幅
5 底孔20,21の長辺長
7 底孔20,21の短辺長
9 下側平板56の下面と下端突起部55の上端との間の距離
10 保持板の板厚
1 下端突起部55の長手軸線
3 下側平板56の長手軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体タンクの車載構造であって、
一方の液体タンクである左側液体タンクおよび該左側液体タンクの右側に配設された他方の液体タンクである右側液体タンクとが載置された保持板を有し該車両の車体に取り付けられた保持メンバと、
該保持板に穿設された第1孔部と、
該左側液体タンクおよび該右側液体タンク双方の上面に対し着脱自在に当接する上面当接部材と、
該上面当接部材に穿設された第2孔部と、
該第1孔部および該第2孔部に挿通される固定ロッドと、
該第1孔部の下方で該固定ロッドに固定され、該固定ロッドが第1角度にある場合には該第1孔部内を通過し得るとともに、該固定ロッドが第2角度にある場合には該第1孔部内を通過し得ない第1固定部と、
該第1孔部の上方で該固定ロッドに固定され、該固定ロッドが該第1角度にあっても該第2角度にあっても該第1孔部内を通過し得ない第2固定部と、
該第2孔部の上方で該固定ロッドに形成されたネジ溝と、
該上面当接部材の上面に当接し、該ネジ溝に螺合することで第2角度にある該固定ロッドを上方に引き上げ該第1固定部を該保持板の下面に当接させるナットとを備え、
該第1固定部と該第2固定部とは、該保持メンバの該保持板の板厚よりも僅かに長い距離離隔して配設されている
ことを特徴とする、液体タンクの車載構造。
【請求項2】
該保持メンバに設けられ該左側液体タンクの左側面に当接する左下外側保持部と、
該保持メンバに設けられ該右側液体タンクの右側面に当接する右下外側保持部とをさらに備えるとともに、
該第2固定部は、
該固定ロッドが第2角度にある場合に該左側液体タンクの右側面に当接する直線部分を有する左端部と、
該固定ロッドが第2角度にある場合に該右側液体タンクの左側面に当接し、該左端部の直線部分と略平行な直線部分を有する右端部とを有する長方形の平板部材であって、
該固定ロッドが第2角度にある場合に、
該左下外側保持部と該第2固定部の該左端部とは、該左側液体タンクの幅だけ離隔して配設され、
該右下外側保持部と該第2固定部の該右端部とは、該右側液体タンクの幅だけ離隔して配設されている
ことを特徴とする、請求項1記載の液体タンクの車載構造。
【請求項3】
該第1孔部は、該保持メンバの該保持板に穿設された長方形の長孔であり、
該第1固定部は、該長孔の長辺長よりも短く且つ該長孔の短辺長よりも長い突起部であり、
該突起部および平板部材は、該突起部の長手軸線と該平板部材の長手軸線とが略直交するように配設されている
ことを特徴とする、請求項2記載の液体タンクの車載構造。
【請求項4】
該上面当接部材は、
該左側液体タンクと該右側液体タンクとに亘って設けられた一対の帯部材と、
該一対の帯部材のそれぞれと直交し且つ該一対の帯部材を中央近傍で相互に接続する中央部材と、
該一対の帯部材と該中央部材とにより挟まれた部分に形成された開口部とを有し、
H字形状に形成されている
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体タンクの車載構造。
【請求項5】
該一対の帯部材の左端部に設けられ該左側液体タンクの左側面に当接する左上外側保持部と、
該一対の帯部材の右端部に設けられ該右側液体タンクの右側面に当接する右上外側保持部とをさらに備える
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体タンクの車載構造。
【請求項6】
該上面当接部材の下面に設けられ該左側液体タンクの右側面に当接する左上内側保持部と、
該上面当接部材の下面に設けられ該右側液体タンクの左側面に当接する右上内側保持部とをさらに備える
ことを特徴とする、請求項4または5に記載の液体タンクの車載構造。
【請求項7】
該固定ロッドに固定され、該第2固定部の上側任意の位置に該第2固定部と同形状に形成され且つ上面視で該第2固定部と略一致するように配設された第3固定部をさらに備える
ことを特徴とする、請求項2に記載の液体タンクの車載構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−307943(P2008−307943A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155490(P2007−155490)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(303002158)三菱ふそうトラック・バス株式会社 (1,037)
【Fターム(参考)】