説明

液体供給装置

【課題】殺菌のための殺菌水供給手段を持たない人体局部温水洗浄便座に後付で、殺菌液を適切なタイミングで供給でき、人体局部温水洗浄便座の衛生性を確保できる液体供給装置を提供することである。
【解決手段】 本発明では、人体局部温水洗浄便座に送信される無線信号を受信する無線受信手段と、殺菌水を生成する殺菌水生成手段と、前記殺菌水生成手段で生成される殺菌水を供給可能な殺菌水供給手段と、前記受信部で受けた無線信号を判別し、前記殺菌水生成手段と前記殺菌水供給手段を制御する制御手段とを有し、前記人体局部温水洗浄便座の流路の途中に、前記殺菌水を供給可能なように前記殺菌水供給手段を連結可能としたことを特徴とする液体供給装置を特徴とする液体供給装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水にて人体の局部を洗浄可能な人体局部温水洗浄便座と組み合わせて使用すること可能な液体供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人体局部温水洗浄便座は、温水を貯水する形式として、水道水を貯水タンク内に導入して、貯水タンク内に配置されたヒータにて過熱して、温水にし、流路の末端のノズルから温水を噴出し、人体の局部を洗浄するものである。
貯水タンクは、温度が、常時40℃前後に加温されているため、細菌類が繁殖する恐れがあり、細菌が混入した温水を人体の局部に噴出してしまうという恐れがあるので、殺菌手段をもったものもある。
例えば、保温された温水タンク内で細菌類が発生することを防止するために、人体局部を洗浄するノズルの上流側にある加熱タンクの上流側に殺菌装置を組み合わせるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
このような場合、当初から殺菌機能を有しない衛生洗浄装置では後から殺菌機能を組み込むことはできないという問題があった。
【0003】
また、流路の途中に薬剤徐放カートリッジを貯水槽と洗浄ノズルとを連結する配水管に装着して、洗浄ノズルを長期に亘って殺菌状態にしておくものもある。(例えば、特許文献2参照。)。
しかし、当初から殺菌機能を有しない衛生洗浄装置でも後から殺菌機能を組み込むことは可能であるが、通水のたびに殺菌液が供給されることになるため、カートリッジの交換など寿命に関して課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−081681号公報
【特許文献2】特開平09−184181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、本発明の課題は、殺菌のための殺菌水供給手段を持たない人体局部温水洗浄便座に後付で、殺菌液を適切なタイミングで供給でき、人体局部温水洗浄便座の衛生性を確保できる液体供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明は、人体局部温水洗浄便座に送信される無線信号を受信する無線受信手段と、殺菌水を生成する殺菌水生成手段と、前記殺菌水生成手段で生成される殺菌水を供給可能な殺菌水供給手段と、前記受信部で受けた無線信号を判別し、前記殺菌水生成手段と前記殺菌水供給手段を制御する制御手段とを有し、前記人体局部温水洗浄便座の流路の途中に、前記殺菌水を供給可能なように前記殺菌水供給手段を連結可能としたことを特徴とする液体供給装置を特徴とする液体供給装置とする。
本発明によれば、殺菌手段を有さない温水洗浄便座であっても、簡単な接続作業のみで、殺菌水を温水洗浄便座の動作に連動して供給することが可能となり、温水洗浄便座の衛生性を確保することが可能となる。
【0007】
また、請求項2の発明は、前記液体供給装置に、更に、計時手段を有し、前記殺菌水供給手段の供給時間を前記制御手段にて制御することを特徴とする。
本発明によれば、殺菌水の供給時間を任意に設定できるので、殺菌水をより効果的に利用可能となる。
【0008】
また、請求項3の発明は、前記人体局部温水洗浄便座は、温水を貯水する貯水する貯水タンクを有し、前記液体供給手段は、前記貯水タンクの上流側に連結し、定期的に貯水タンク内に殺菌水を供給することを特徴とする。
本発明によれば、貯水タンク内に殺菌水を定期的に供給することで、貯水タンク内に混入した細菌を殺菌でき、温水洗浄便座の衛生性を確保できる。
【0009】
また、請求項4の発明は、前記人体局部温水洗浄便座は、人体の局部洗浄の停止信号に基づいて、停止し、その後連続して、人体局部洗浄ノズルを洗浄する動作を連続して行う制御を有し、前記液体供給手段は、前記停止信号を受信した際に、前記殺菌水生成手段及び殺菌水供給手段を駆動させ、殺菌水を人体局部温水洗浄便座へ供給することを特徴とする。
本発明によれば、温水洗浄便座の洗浄ノズルを殺菌水にて洗浄できるようになるため、温水洗浄便座の衛生性を確保できる。
【0010】
また、請求項5の発明は、前記液体供給装置に、更に、無線信号を送信する手段を有し、前記液体供給装置の制御手段によって、前記人体局部温水洗浄便座への殺菌水の供給を制御することを特徴とする。
本発明によれば、液体供給手段によって、定期的な温水洗浄便座への殺菌水の供給など適当なタイミングでの殺菌水の供給が可能となる。
【0011】
また、請求項6の発明は、前記殺菌水供給手段は、連結した人体局部温水洗浄便座の流路から水を供給し、その水を電解した次亜塩素水を生成する電解槽であることを特徴とする。
本発明によれば、水道水から殺菌水を生成できるので、殺菌液の補充などのメンテナンスが不要となる。
【0012】
また、請求項7の発明は、前記液体供給手段は、前記殺菌水生成手段が動作中に、報知する報知手段を更に有することを特徴とする。
本発明によれば、殺菌水が供給されていることを使用者が認知できるので、衛生性を感じて利用してもらえる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、殺菌のための殺菌水供給手段を持たない人体局部温水洗浄便座に後付で、殺菌水を適切なタイミングで供給でき、人体局部温水洗浄便座の衛生性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の液体供給装置を人体局部温水洗浄便座と組み合わせた状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の液体供給装置を示す斜視図である。
【図3】本発明の液体供給装置と人体局部温水洗浄便座の動作関連を示すシステムブロック図である。
【図4】本発明の液体供給装置の動作タイミングを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の液体供給装置を温水洗浄便座と組み合わせた状態を示す斜視図である。図1を使用して本発明の全体構成を詳説する。
図示しない吐水手段と加温手段と貯留手段と給水手段を有する人体局部温水洗浄便座1は、洋風大便器2に取り付けられ、便座3と便ふた4を回動自在に枢支している。壁には無線送信手段としてのリモコン5が固定されており、人体局部温水洗浄便座1の本体6に対して使用者の操作内容を送信している。無線送信の方法としては、赤外線通信や特定小電力無線通信などが上市されている。供給する水は分岐金具7で人体局部温水洗浄便座1の本体6とタンク装置8に分流されている。分岐金具7には後述の液体供給装置9が取り付けられ、所定のタイミングで人体局部温水洗浄便座1の本体6に殺菌水を供給するようになっている。
【0016】
図2は、本発明の液体供給装置を示す斜視図である。図2を使用して本発明の液体供給装置を詳説する。
液体供給装置9は分岐金具7の部分、または、本図のように給水ホース10の途中に接続可能に設けられるようになっており、電源に接続することにより、図示しない開閉弁を開弁可能することができ、液体供給装置9内に設けられた図示しない殺菌水貯水槽内の殺菌水を給水ホース10内の人体局部温水洗浄便座1の流路内に供給できるようになっている。なお、液体供給装置は、人体局部温水洗浄便座1の流路の任意の場所に接続可能である。
【0017】
また、液体供給装置の人体局部温水洗浄便座1への接続に際してはコントローラーや操作部を置き換えることなく、複雑な配線処理や大掛かりな交換作業を不要としている。即ち、液体供給装置9の外郭には、リモコン5が人体局部温水洗浄便座1の本体6に向けて送信した操作情報を傍受するための無線受信手段11が配置されている。また、液体供給装置9の外郭には、表示手段12が設けられ、後付けした液体供給装置9の動作を使用者が認知できるようになっている。液体供給装置9の殺菌方法としては、殺菌剤を徐放するものだけでなく、水を電解して次亜塩素酸水を生成するものであれば、供給される水を使って殺菌性能を有する液体を供給することができるため、消耗品交換の手間をなくすことが可能である。即ち、殺菌水は、前記した予め殺菌水を貯める貯水槽であっても銀イオンや次亜塩素酸水を生成できる電解槽などの殺菌水生成手段を適宜選択利用すればよい。
【0018】
図3は、本発明の液体供給装置と人体局部温水洗浄便座1の動作関連を示すシステムブロック図である。図3を使用して各部の動作を詳説する。
リモコン5に組み込まれた無線送信手段13は、使用者のリモコン5又は人体局部温水洗浄便座1のスイッチ操作を受け、人体局部温水洗浄便座1の本体6に組み込まれた無線受信手段14に向けて人体局部温水洗浄便座1の動作信号を送信する。動作信号はトイレ内全体に搬送されるため、液体供給装置9に組み込まれた無線受信手段11も操作信号を受信することが可能であり、液体供給装置9は単独で人体局部温水洗浄便座1の動作状況を認識することが可能である。また、時計手段15によって動作時刻は検知され、人体局部温水洗浄便座1の動作状態は動作時刻記憶手段16に記憶されることになる。なお、計時手段15は、殺菌水供給手段19となる開閉弁の開放時間を調整することも可能である。
【0019】
また、人体局部温水洗浄便座1の動作信号を液体供給装置9が無線受信手段11によって、受信されるとその受信信号が、例えば、人体局部温水洗浄便座1が、局部洗浄後、使用者による洗浄を停止する信号に基づいて、洗浄動作を停止し、その後、連続して洗浄ノズルを洗浄する動作を連続して行う制御をする場合など、そのような人体洗浄ノズルを洗浄する動作を伴う場合には、その信号に同期させて、殺菌水生成手段18、時計手段18を動作させ、人体局部温水洗浄便座1の流路に接続されている殺菌水供給手段19となる、人体局部温水洗浄便座の流路に臨む開閉弁を開放することによって、殺菌水を流路内に供給するようにすることができ、人体局部温水洗浄便座1の衛生性を確保できる。なお、前記開閉弁を定期的に開放することで、殺菌水は、流路に拡散除放されるので、人体局部温水洗浄便座1の動作信号に同期させないで、殺菌水を人体局部温水洗浄便座に供給することを併用しても良い。
【0020】
また、液体供給装置9に、人体局部温水洗浄便座1の動作を制御可能な送信手段を配置している。前記動作は、人体局部温水洗浄便座1の流路内の水が流動する動作を制御できるだけのもので良い。このような動作を制御できることで、液体供給装置9の殺菌水供給手段18からの殺菌水を効果的にタイミングにて人体局部温水洗浄便座へ供給することが可能となる。
【0021】
本実施例において殺菌水は次亜塩素酸水を想定している。次亜塩素酸水は0.1ppmまで殺菌性を保ちながら、人体への影響は無いとされている。しかし殺菌に供したものを人体に向けて吐出することは推奨されるものではない。本発明においては、衛生洗浄状態の使用状態を後述のように学習し、不使用と推定される時刻帯の手前の時刻帯において次亜塩素酸水を創成するように配慮されている。
【0022】
また、例えば、人体局部温水洗浄便座において、貯水手段となる貯水タンクを有する形式の場合には、創成された次亜塩素酸水は、人体局部温水洗浄便座の局部洗浄動作に連動し、殺菌水が流路内に投入され、貯水タンク内に流動するが、投入初期には、貯水タンクないの雑菌を殺菌するのに必要な濃度であるが、その後、貯水タンク内の温水に希釈されたり、温水中で保温されることによって、0.05ppmまで減少するようになる状態で供給するように調整し、そのまま局部洗浄に利用するようにしても良い。また、貯水タンクを持たない形式のものでは、殺菌水を投入し、流路内及びノズル表面を殺菌したのち、殺菌水を含まない水を通水し、殺菌水を流路内から排出するようにしても良い。
【0023】
図4は、本発明の液体供給装置の動作タイミングを示す模式図である。図4を使用して不使用時間帯と使用時間帯を判定するアルゴリズムを詳説する。
本アルゴリズムは各時刻帯の使用者を計数する方法であり、1時間当たり2人以上使用された場合に「使用時間帯」であると判断するようになっている。本発明者の確認によれば殺菌の頻度としては1回/日が妥当であると判断しており、本図のような使用時間帯であることを学習した場合、翌日は24時から1時の間の使用に際して液体供給装置の殺菌液供給手段18を制御手段17が駆動することになる。
【0024】
また、殺菌水の流路内への投入のタイミングについては、使用者が人体局部温水洗浄便座に着座した際に本体から信号が出て、着座捨て水とともに温水準備工程に入り、ノズルをクリーニングする動作に入るので、その着座信号を受信した際に所定量の殺菌水を投入するようにしたり、また、局部洗浄後におしり洗浄スイッチを止めると人体局部温水洗浄便座は、ノズルを後洗浄するので、その洗浄停止信号を受信して殺菌水を投入しても良い。更には、人体局部温水洗浄便座にお掃除スイッチがある場合には、そのお掃除スイッチに連動させて殺菌水を投入しても良い。すなわち、人体局部温水洗浄便座のノズルから洗浄水を吐水するタイミングでは、流路内は、水が流動する状態になるので、そのタイミングで殺菌水を投入すれば、殺菌水は、液体供給装置の下流側へ殺菌水を投入し、流路内を殺菌することが可能となり、人体局部温水洗浄便座の衛生性を確保できる。
【符号の説明】
【0025】
1…人体局部温水洗浄便座
2…洋風大便器
3…便座
4…便ふた
5…リモコン
6…本体
7…分岐金具
8…タンク装置
9…液体供給装置
10…給水ホース
11…無線受信手段
12…表示手段
13…無線送信手段
14…無線受信手段
15…時計手段
16…動作時刻記憶手段
17…制御手段
18…殺菌液生成手段
19…殺菌水供給手段(開閉弁)
20…無線送信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体局部温水洗浄便座に送信される無線信号を受信する無線受信手段と、殺菌水を生成する殺菌水生成手段と、前記殺菌水生成手段で生成される殺菌水を供給可能な殺菌水供給手段と、前記受信部で受けた無線信号を判別し、前記殺菌水生成手段と前記殺菌水供給手段を制御する制御手段とを有し、前記人体局部温水洗浄便座の流路の途中に、前記殺菌水を供給可能なように前記殺菌水供給手段を連結可能としたことを特徴とする液体供給装置を特徴とする液体供給装置。
【請求項2】
前記液体供給装置に、更に、計時手段を有し、前記殺菌水供給手段の供給時間を前記制御手段にて制御することを特徴とする請求項1に記載の液体供給装置。
【請求項3】
前記人体局部温水洗浄便座は、温水を貯水する貯水する貯水タンクを有し、前記液体供給手段は、前記貯水タンクの上流側に連結し、定期的に貯水タンク内に殺菌水を供給することを特徴とする請求項1又は2に記載の液体供給装置。
【請求項4】
前記人体局部温水洗浄便座は、人体の局部洗浄の停止信号に基づいて、停止し、その後連続して、人体局部洗浄ノズルを洗浄する動作を連続して行う制御を有し、前記液体供給手段は、前記停止信号を受信した際に、前記殺菌水生成手段及び殺菌水供給手段を駆動させ、殺菌水を人体局部温水洗浄便座へ供給することを特徴とする請求項1又は2に記載の液体供給装置。
【請求項5】
前記液体供給装置に、更に、無線信号を送信する手段を有し、前記液体供給装置の制御手段によって、前記人体局部温水洗浄便座への殺菌水の供給を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液体供給装置。
【請求項6】
前記殺菌水供給手段は、連結した人体局部温水洗浄便座の流路から水を供給し、その水を電解した次亜塩素水を生成する電解槽であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液体供給装置。
【請求項7】
前記液体供給手段は、前記殺菌水生成手段が動作中に、報知する報知手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液体供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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