説明

液体処理装置

【課題】使い方が簡単で、液体の性質を効率良く改質することのできる液体処理装置を提供する。
【解決手段】液体処理装置10は、液体Wを貯留可能な貯留槽1と、貯留槽1に収容された液体Wを吸い込んで再び貯留槽1へ戻すための液体送給手段であるポンプPと、ポンプPによって移動する液体Wの流動経路18から三方弁18vを介して分岐した2系統の液体導入経路18a,18bにそれぞれ接続された二つの微細気泡発生器MB1,MB2と、を備えている。貯留槽1は4枚の側板1a,1b,1c,1dおよび底板1eで形成された直方体形状であり、上面開口部には着脱可能な蓋体10aが被せられ、底板1eの下面側に、流動経路18の上流側端部および液体流出管2の上流側端部が接続されている。液体流出管2の下流側には開閉栓2aが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水、油脂類などの各種液体、複数の成分からなる混合液体、気体や溶質などが溶け込んだ液体及びその他の各種液体の性質を改質するための液体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水、油脂類その他の液体中へ微細気泡を送り込んだり、当該液体中で微細気泡を発生させたりすると液体の性質が変化することが知られている。このため、従来、液体中で微細気泡を発生させるための様々な機材が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1記載に記載の「液体の浄化処理方法」は、被処理液が収納された処理タンク内の底部側からオゾンと空気との混合気体を微細気泡群の状態に順次曝気させて連続的に供給するものである。この浄化処理方法は、飲料水、工業用水、軽油、重油または廃油などの液体浄化手段として利用することができるとされている。
【0004】
特許文献2記載の「水中溶存酸素増大方法およびその装置」は、酸素発生装置で発生させた酸素を、触媒、光、放電などの所定手段を用いて活性状態とし、水中に気泡として放出させるものである。この水中溶存酸素増大方法で改質・改良した水は、農林水産業、動力エネルギー燃料産業、酵素産業、環境保全に有効利用できるとされている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−329988号公報
【特許文献2】特開2000−334282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2記載の発明によれば、水や油脂類などの性質を各種用途に適したものに改質することができるとされているが、これらの発明で採用されている微細気泡発生手段(ディフューザあるいは散気管)によって形成される気泡のサイズは比較的大きいのが実状である。このため、前記微細気泡発生手段によって形成される微細気泡の液体改質作用は不十分である。
【0007】
また、特許文献1記載の発明は、生体に悪影響を及ぼす可能性のあるオゾンや紫外線が用いられているため、慎重な取り扱いが必要で使い勝手が悪く、引用文献2記載の発明は、酸素発生装置などの高価な装置が必要であるため、一般的な使用には不向きである。さらに、引用文献1,2記載の発明はいずれも構成が複雑であるため、使い方が難しく、メンテナンス性も悪い。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、使い方が簡単で、液体の性質を効率良く改質することのできる液体処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の液体処理装置は、液体を貯留可能な貯留槽と、前記貯留槽に収容された液体を吸い込んで再び前記貯留槽へ戻す液体送給手段と、前記液体送給手段によって移動する液体の流動経路に設けられた微細気泡発生器と、を備え、
前記微細気泡発生器が、仮想中心線を包囲して設けられた周壁と前記周壁の前記仮想中心線方向の両端に設けられた隔壁とで形成された流体旋回室と、前記仮想中心線に対してねじれの位置をなす方向に沿って前記流体旋回室内へ流体を導入するため前記流体旋回室に連通して設けられた液体導入経路と、前記流体旋回室内に気体を導入するため前記流体旋回室の一方の前記隔壁に開設された気体導入経路と、前記流体旋回室内の気液を前記貯留槽内の液体中へ吐出するため前記流体旋回室の他方の前記隔壁に開設された吐出口と、を有することを特徴とする。
ここで、前記「液体」とは、水、油脂類などの各種液体、複数の液体成分からなる混合液体、気体や溶質などの非気体成分が溶け込んだ液体及びその他の各種液体を含むものとする。
【0010】
このような構成において、液体送給手段により液体導入経路を介して流体旋回室内へ液体を送給すれば、液体は流体旋回室の仮想中心線に対してねじれの位置をなす方向に沿って流体旋回室内へ送り込まれるため、流体旋回室内には、仮想中心線の周りで回転する旋回流が発生し、その中心部分である仮想中心線に沿って負圧空洞部が形成される。このため、流体旋回室の一方の隔壁に開設された気体導入経路を経由して流体旋回室内へ気体(大気中の空気)が導入され、流体旋回室内には気液旋回流が形成される。
【0011】
この負圧空洞部は渦キャビテーションとも呼ばれるが、成長した渦キャビテーションの先端部が気液旋回流によって引き千切られ、サイズが小さな大量の微細気泡混じりの流体となって、流体旋回室の他方の隔壁に開設された吐出口から貯留槽内の液体中へ吐出される。このように、貯留槽内の液体中に向かって大量の微細気泡混じりの流体を吐出させることにより、液体の性質を効率良く改質することができる。また、液体の貯留槽と、貯留槽内の液体を吸い込んで再び貯留槽へ戻す液体送給手段と、液体送給手段によって移動する液体の流動経路に設けられた微細気泡発生器と、を備えた簡素な構成であるため、使い方も簡単である。
【0012】
ここで、前記流体旋回室内における前記仮想中心線周りの気液の旋回方向が互いに異なる複数の前記微細気泡発生器を設けることができる。このような構成とすれば、流体旋回室内での気液の旋回方向が互いに異なる複数の微細気泡発生器から、それぞれ旋回方向の異なる微細気泡混じりの流体が吐出口から貯留槽内の液体中へ吐出されるため、液体をさらに効率良く改質することができる。
【0013】
この場合、前記液体送給手段によって移動する液体を複数の前記微細気泡発生器のいずれかへ選択的に供給するための切替手段を設けることもできる。このような構成とすれば、旋回方向を右または左の一方のみに限定した微細気泡混じりの流体を貯留槽内の液体中へ吐出することができるため、液体の改質状態を選択することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、使い方が簡単で、液体の性質を効率良く改質することのできる液体処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の第1実施形態である液体処理装置の概略構造を示す垂直断面図、図2は図1のX−X線における断面図、図3は図1に示す液体処理装置の一部拡大断面図、図4は図3のA−A線における断面図、図5は図3のB−B線における断面図、図6は図1に示す液体処理装置を構成する微細気泡発生器付近の一部拡大断面図である。
【0016】
図1に示す液体処理装置10は、液体Wを貯留可能な貯留槽1と、貯留槽1に収容された液体Wを吸い込んで再び貯留槽1へ戻すための液体送給手段であるポンプPと、ポンプPによって移動する液体Wの流動経路18から三方弁18vを介して分岐した2系統の液体導入経路18a,18bにそれぞれ接続された二つの微細気泡発生器MB1,MB2と、を備えている。貯留槽1は4枚の側板1a,1b,1c,1dおよび底板1eで形成された直方体形状であり、上面開口部には着脱可能な蓋体10aが被せられ、底板1eの下面側に、流動経路18の上流側端部および液体流出管2の上流側端部が接続されている。液体流出管2の下流側には開閉栓2aが設けられ、この開閉栓2aを開閉操作することにより、吐出口2bからの液体Wの吐出、停止が行われる。なお、貯留槽1の形状は直方体形状に限定するものではないので、円筒形状や多角筒形状なども採用することができる。
【0017】
貯留槽1において互いに対向する側壁1a,1b外面の底板1e寄りの位置にそれぞれ微細気泡発生器MB1,MB2が取り付けられ、これらの微細気泡発生器MB1,MB2の上方に冷却手段3が配置されている。また、大気中の空気を微細気泡発生器MB1,MB2に供給するための気体導入経路14a,14bがそれぞれ微細気泡発生器MB1,MB2に接続され、気体導入経路14a,14bの上流側は給気管14に合流している。給気管14の途中には気体浄化器AFが配置されている。
【0018】
ポンプPはモータ(図示せず)で駆動され、その電源は電源コード4の差込プラグ4aを商用電源に接続することによって得る。ポンプPは流動経路18を経由して貯留槽1内から吸い込んだ液体Wを、三方弁18vから分岐した2系統の液体導入経路18a,18bをそれぞれ経由して微細気泡発生器MB1,MB2に送給する。電源コード4の途中には、ポンプPの稼働時間の設定および自動停止をするためのタイマTが設けられている。なお、冷却器3も電源コード4からの給電によって作動する。
【0019】
ここで、図3〜図6に基づいて、微細気泡発生器MB1,MB2の構造、機能などについて説明する。なお、微細気泡発生器MB1,MB2は、図3に示すように、互いに対向する側板1a,1bに取り付けられた状態で互いに鏡面対象な構造であり、構成部分も同じであるため、以下、微細気泡発生器MB1について説明し、微細気泡発生器MB2については、微細気泡発生器MB1の構成部分と同じ符号を付して説明を省略する。
【0020】
図3に示すように、微細気泡発生器MB1,MB2は、貯留槽1の側板1a,1bの外面に配置され、それぞれの吐出口28が側板1a,1bに設けられた貫通孔1f,1gに連通した状態で固定されている。また、貫通孔1f,1gは互いの軸心が同一直線Sをなす位置に開設されているため、微細気泡発生器MB1,MB2は、同一直線S上で互いに対向した状態に配置されている。
【0021】
図3〜図5に示すように、微細気泡発生器MB1は、仮想中心線25cを包囲して設けられた周壁25dと周壁25dの仮想中心線25c方向の両端に設けられた隔壁25a,25bとで形成された流体旋回室25と、仮想中心線25cに対してねじれの位置をなす方向に沿って流体旋回室25内へ液体Wを導入するため流体旋回室25に連通して設けられた液体導入経路18a(18b)と、流体旋回室25内に気体(空気)を導入するため流体旋回室25の一方の隔壁25aに開設された気体導入経路14a(14b)と、流体旋回室25の他方の隔壁25bに開設された吐出口28と、を備えている。液体導入経路18a(18b)は液体導入口27により流体旋回室25に連通し、気体導入経路14a(14b)は気体導入口26により流体旋回室25に連通している。
【0022】
図1に示すように、貯留槽1内に液体Wが収容された状態でポンプPを作動させると、貯留槽1内から流動経路18を経由して吸い込まれた液体Wが、液体導入経路18aを経由して液体導入口27から流体旋回室25内へ流入し、図4〜図6に示すように、流体旋回室25内に旋回流Rが発生する。そして、旋回流Rのほぼ仮想中心線に沿って略紡錘形状の負圧空洞部Vが出現し、この負圧空洞部Vの一方の端部は流体旋回室25の隔壁25aに開設された気体導入口26付近に位置し、他方の端部は流体旋回室25の隔壁25bに開設された吐出口28付近に位置するとともに、吐出口28付近に位置する負圧空洞部Vの端部は括れた状態となる。
【0023】
このように流体旋回室25内に出現する負圧空洞部Vの負圧により、気体導入口26付近にも負圧が生じるため、この負圧に起因する吸引力により、気体導入経路14a(14b)を経由して大気中から吸引された空気が気体導入口26から流体旋回室25内の負圧空洞部V内へ連続的に流入し、流体旋回室25内に導入された液体Wとともに旋回流Rを形成する。
【0024】
負圧空洞部V内へ流入した空気は、流体旋回室25内に発生している旋回流Rに連行され吐出口28から吐出される。このとき、負圧空洞部Vの吐出口28側の端部において旋回流Rによってねじ切られて微細気泡NBとなり、旋回Rを形成する液体Wとともに、微細気泡NB混じりの流体となって吐出口28および貫通孔1f(1g)を通過して貯留槽1内へ吐出される。
【0025】
貯留槽1内へ吐出された微細気泡NB混じりの流体は、液体W中に拡散していき、当該液体W中へ、大気中の空気に含まれる酸素や窒素などを供給、溶解させることができる。このような過程をタイマTで設定した所定時間継続することにより、液体Wの性質を改質することができる。改質された液体Wは開閉栓2aを開いて、吐出口2bから流出させることができる。液体処理装置10は、図1に示す蓋体10aを取り外して貯留槽1内へ液体Wを注入した後、ポンプPを作動させるだけで使用できるため、使い方も極めて簡単である。
【0026】
なお、本実施形態の液体処理装置10では、微細気泡発生器MB1,MB2に対し大気中の空気を供給しているが、これに限定するものではないので、その他の気体を供給することにより、空気以外の各種気体を液体W中へ供給、溶解させることもできる。また、微細気泡発生器MB1,MB2に対して、それぞれ異なる種類の気体を供給することにより、複数種類の気体を液体W中へ供給、溶解させることもできる。
【0027】
一方、微細気泡発生器MB1,MB2においては、流体旋回室25内に出現する負圧空洞部Vの一方の端部から空気を導入しながら他方の端部の延長方向に向かって微細気泡NB混じりの流体を放出する。このため、この負圧空洞部Vは流体旋回室25の仮想中心線25c付近に安定的に存在し続け、その両端もそれぞれ気体導入口26付近および吐出口28付近に安定的に位置する。従って、負圧空洞部Vが流体旋回室25の内面などに接触せず、微細気泡発生器MB1,MB2内にキャビテーション・エロージョンが発生しないので、耐久性に優れている。
【0028】
また、微細気泡発生器MB1,MB2は、図3〜図5に示すように、略円筒形状をした流体旋回室25に液体導入口27、気体導入口26および吐出口28を開設した簡素な構造であるため、取り扱いは容易であり、液体Wや空気に伴って流入した異物が詰まり易い細かな流路もないので、トラブルが少なく、定期的メンテナンスも不要である。
【0029】
また、図6に示すように、流体旋回室25の隔壁25aに開設された気体導入口26を、流体旋回室25の仮想中心線25cに沿って内側へ突出させて配置するとともに、流体旋回室25の周壁25dと気体導入口26との間に、滑らかに連続した凹曲面21を設けている。従って、負圧空洞部Vは流体旋回室25の仮想中心線25c付近に安定的に存在し続け、その両端部も吐出口28付近および気体導入口26付近に安定的に位置する。
【0030】
このように、気体導入口26を流体旋回室25の内側へ突出させて配置するとともに凹曲面21を設けたことによって負圧空洞部Vの気体導入口26側の端部が不規則に移動するのを防止することができる。従って、流体旋回室25の隔壁25a,25bにキャビテーション・エロージョンなどが生じることもなくなり、優れた耐久性が得られる。また、図3,図6に示すように、流体旋回室25の隔壁25b寄りの領域には、他の領域より内径の大きい予備旋回部25pを設けている。このため、液体導入口27から導入された液体Wを予備旋回部25pにおいて一旦整流した後、流体旋回室25全体へ導入することができる。これによって、液体導入口27から導入される液体Wの圧力変動が緩衝され、圧力変動に起因する負圧空洞部Vの移動を防止することができるため、キャビテーション・エロージョン防止に有効である。
【0031】
また、図6に示すように、微細気泡発生器MB1,MB2においては、液体導入口27の開口面積を吐出口28の開口面積より大としているため、流体旋回室25内へ送給される液体Wの入り口よりも微細気泡NB混じりの流体の出口の方が小さくなっている。従って、ポンプPによって送給される液体Wの圧力によって流体旋回室25内の流体圧が高まり、吐出口28から放出される微細気泡NB混じりの流体の流勢が増大するため、貯留室1内の液体Wを強く撹拌することができる。このため、貯留槽1内の液体Wの循環が良好となり、液体Wの改質状態を均一化することができる。
【0032】
さらに、液体処理装置10を構成する微細気泡発生器MB1,MB2の流体旋回室25内においては、図4,図5に示すように、回転方向が互いに反対の旋回流Rが発生する。即ち、図4に示す微細気泡発生器MB1の流体旋回室25内には吐出口28に向かって右回り旋回流Rが発生し、図5に示す微細気泡発生器MB2の流体旋回室25内には吐出口28に向かって左回り旋回流Rが発生する。従って、微細気泡発生器MB1,MB2が両方とも稼働しているときは、図2に示すように、微細気泡発生器MB1,MB2から吐出される微細気泡NB混じりの流体は直線Sを中心に同方向に旋回しながら貯留槽1内の液体W中を拡散していく。
【0033】
一方、図1に示す三方弁18vを操作して、微細気泡発生器MB1,MB2のいずれか片方のみに液体Wを送給するように設定すれば、右回り旋回流Rのみまたは左回り旋回流Rのみによって形成される微細気泡NB混じりの流体を貯留槽1内の液体W中へ放出することができる。
【0034】
なお、微細気泡発生器MB1,MB2の配置個数・配置位置などは限定しないので、例えば、図2に示すように、側壁1c,1dにも微細気泡発生器MB1,MB2を取り付けることもできる。また、貯留槽1の形状・サイズなども限定しないので、水平断面形状が多角形あるいは円形の貯留槽とし、その側壁に複数の微細気泡発生器MB1,MB2を配置することもできる。
【0035】
液体処理装置10の用途は限定しないので、様々な分野で使用可能であるが、例えば、一般家庭の飲料水の改質装置として使用することができる。この場合、処理対象液体Wである井戸水を貯留槽1内に入れ、ポンプPを所定時間稼働させて前述の処理を行うと、井戸水を大幅に改質することができる。この処理によって得られた改質水を飲料に供すると美味であり、健康増進にも有効であり、改質水を炊飯その他の調理に使用すると御飯や料理の風味、味が向上する。また、改質水を化粧水として使用すると、肌に潤いが生じ、化粧を落とす際の落ちも良くなる、という効果が得られた。また、液体処理装置10は各種食品加工用水の改質にも使用することができ、改質後の水を用いて生産、製造された食品は、未加工水の場合に比べ、味、風味、食感などの品質が向上する。
【0036】
液体処理装置10で井戸水を処理することにより、前述した効果が得られる理由は不明であるが、井戸水中の溶解物がイオン化すること、微細気泡NBの破裂時に発生する超音波による改質作用、溶存酸素濃度や溶存窒素濃度の増大などによるものではないかと推測される。
【0037】
次に、図7〜図11に基づいて、本発明の第2,第3実施形態について説明する。図7は本発明の第2実施形態である液体処理装置の概略構造を示す垂直断面図、図8は図7に示す液体処理装置を構成する微細気泡発生器付近の一部拡大断面図、図9は本発明の第3実施形態である液体処理装置の概略構造を示す垂直断面図、図10は図9に示す液体処理装置を構成する微細気泡発生器付近の一部拡大断面図、図11は本発明の第4実施形態である液体処理装置の概略構造を示す垂直断面図である。なお、図7〜図11において図1〜図6と同符号を付している部分は前述した液体処理装置10の構成部分と同じ構造、機能を有する部分であり、説明を省略する。
【0038】
図7に示す液体処理装置40は、液体Wを貯留可能な貯留槽41と、貯留槽41に収容された液体Wを流動経路48を経由して吸い込んで再び貯留槽41へ戻すためのポンプP2と、ポンプP2の下流側に設けられた液体導入経路18aに接続された微細気泡発生器MB1と、貯留槽41内へ液体Wを供給するためのポンプP1と、改質された貯留槽41内の液体Wを他の場所へ送給するためのポンプP3と、を備えている。微細気泡発生器MB1は貯留槽41内の底板41b上面の略中央部分に設置され、貯留槽41内の上方には、液体Wの液面高さを検知するセンサ42が配置されている。ポンプP1の下流側に接続された給液管43は、貯留槽41の側壁41a内面に沿って上方に配管され、その先端部分は液体Wの液面から突出した位置で逆U字状に湾曲している。
【0039】
貯留槽41内に液体Wを収容した状態でポンプP2を作動させると、貯留槽41内から液体導入経路18を経由して吸い込まれた液体Wが、液体導入経路18aを経由して微細気泡発生器MB1へ供給され、図8に示すように、微細気泡発生器MB1の液体導入口27から流体旋回室25内へ流入し、流体旋回室25内に旋回流Rが発生する。そして、前出と同様、旋回流Rによって形成された微細気泡NB混じりの流体が吐出口28を通過して貯留槽41内の液体W中へ放出されることにより、液体Wの改質が行われる。
【0040】
改質された貯留槽41内の液体Wは、必要に応じて、ポンプP3により別の場所へ送給される。貯留槽41内の液体Wが減少してその液面が下がるとセンサ42がそれを検知してポンプP1が作動し、給液管43を経由して、新たな液体Wが貯留槽41内へ供給される。そして、貯留槽41内の液体Wが所定量に達するとセンサ42がそれを検知してポンプP1を停止する。このようなポンプP1の始動・停止並びにポンプP2の始動・停止などは、タイマTに内蔵された制御回路(図示せず)によって行われる。
【0041】
液体処理装置40の用途は限定しないので様々な分野で使用可能であるが、比較的大量の液体Wを処理することができるので、例えば、畜産用水の改質装置として好適に使用することができる。井戸水を液体処理装置40で改質して養豚場の豚に与えたところ、次のような効果が得られた。
(1)飼育日数が90%程度に短縮された。
(2)給餌量が90%程度まで削減された。
(3)事故率が5%から1%未満まで減少した。
(4)豚肉100g中の遊離アミノ酸18種類の量が約30%増加した。
(5)旨み、甘み成分の多い遊離アミノ酸比の肉質に改善された。
(6)脂肪酸組成においてはリノール酸、リノレイン酸の比率が多い肉質となった。
【0042】
液体処理装置40で井戸水を処理することにより、前述した種々の効果が得られる理由は、現時点では不明であるため、その解明は今後の課題である。
【0043】
次に、図9に示す液体処理装置50においては、貯留槽51内に収容された液体WをポンプPで吸い込んで微細気泡発生器MB1へ送り込み、微細気泡発生器MB1で形成される微細気泡NB混じりの流体を貯留槽51内の液体W中へ放出することにより、液体Wに浸漬された容器Q内の液体W1の性質を改質することができる。液体処理装置50の用途は限定しないが、例えば、液体(水)W1が収容された容器Q(ペットボトル)を貯留槽51内の液体W中に浸漬して処理すると、処理後の液体(水)W1は改質され、飲用すると美味であり、健康増進にも有効である。また、化粧水としても好適に使用することができる。
【0044】
なお液体処理装置50において処理可能な容器Qの材質はPET(ポリエチレンテレフタレート)に限定されないので、PE(ポリエチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PP(ポリプロピレン)、PA(ナイロン)、PS(ポリスチレン)、PMP(ポリメチルペンテン)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)、PC(ポリカーボネート)などの各種合成樹脂製容器に収容された液体も同様に処理することができる。
【0045】
微細気泡発生器MB1で形成される微細気泡NB混じりの流体で液体Wを改質することにより、当該液体Wと非接触状態にある容器Q内の液体W1が改質される理由は現時点で不明であるが、微細気泡NBが破裂する際に生じる超音波による改質作用ではないかと推測される。
【0046】
また、液体処理装置50においては、液体W中に浸漬された容器Qの底面が貯留槽51内の底板51b上面に密着するのを避けるため、底板51b上面に立設された複数の支柱51cによって水平保持された支持部材51aを設けている。図10に示すように、支持部材51aは通液性、通気性を有しているため、微細気泡発生器MB1の吐出口28及び底板51bに開設された貫通孔51hを通過して放出される微細気泡NB混じりの流体は支持部材51aを通過して液体W中へ拡散する。
【0047】
さらに、液体処理装置50は、水などの入ったペットボトルなどの容器Qをそのまま液体W中に浸漬して処理することができるので、使い方が簡単で手間がかからず、衛生的であり、飲料水を処理する際に好適に使用することができる。
【0048】
次に、図11に示す液体処理装置60は、図1に示す液体処理装置10から液体流出管2及び開閉栓2aを省略した構造である。微細気泡発生器MB1,MB2で形成される微細気泡NB混じりの流体はそれぞれ側板1a,1bから液体W中へ放出されるため、液体W1が収容された容器Qを底板1e上面に載置することができる。
【0049】
液体処理装置60は、液体W1が収容された容器Qをそのまま液体Wに浸漬して処理することができるため、前述した液体処理装置50と同様の作用効果を得ることができる。なお、液体処理装置50,60は貯留槽51,1内の液体Wに液体W1の入った容器Qをそのまま浸漬して処理するものであるが、この使い方に限定するものではないので、処理対象である液体を、直接、貯留槽51,1内に入れて改質処理することも可能であり、これによって液体処理装置10,40と同様の作用効果を得ることができる。
【0050】
なお、本発明の液体処理装置は前述した実施形態に限定するものではなく、処理対象液体も水に限定するものではないので、水以外の液体、例えば、液体燃料、アルコール飲料、液体調味料、調理用油脂類などを処理することもできる。また、液体処理装置10,40の微細気泡発生器MB1,2に空気以外の気体、例えば、オゾン、二酸化炭素などを供給して微細気泡NBを発生させることもできる。例えば、液体処理装置10,40の貯留槽1,41に水を入れ、微細気泡発生器MB1,2にオゾンを供給すると、水中の細菌類を滅菌することができ、二酸化炭素を供給すると、炭酸水を生成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、飲料水、畜産用水、工業用水、食品製造用水、液体調味料あるいは油脂類などの改質手段として各種産業分野で広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1実施形態である液体処理装置の概略構造を示す垂直断面図である。
【図2】図1のX−X線における断面図である。
【図3】図1に示す液体処理装置の一部拡大断面図である。
【図4】図3のA−A線における断面図である。
【図5】図3のB−B線における断面図である。
【図6】図1に示す液体処理装置を構成する微細気泡発生器付近の一部拡大断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態である液体処理装置の概略構造を示す垂直断面図である。
【図8】図7に示す液体処理装置を構成する微細気泡発生器付近の一部拡大断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態である液体処理装置の概略構造を示す垂直断面図である。
【図10】図9に示す液体処理装置を構成する微細気泡発生器付近の一部拡大断面図である。
【図11】本発明の第4実施形態である液体処理装置の概略構造を示す垂直断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1,41,51 貯留槽
1a,1b,1c,1d 側板
1e 底板
1f,1g,51h 貫通孔
2 液体流出管
2a 開閉栓
2b 吐出口
3 冷却手段
4 電源コード
10,40,50,60 液体処理装置
10a 蓋体
14 給気管
14a,14b 気体導入経路
18,48 流動経路
18a,18b 液体導入経路
18v 三方弁
21 凹曲面
25 流体旋回室
25a,25b 隔壁
25c 仮想中心線
25d 周壁
25p 予備旋回部
26 気体導入口
27 液体導入口
28 吐出口
41a 側壁
41b,51b 底板
42 センサ
43 給液管
51a 支持部材
AF 気体浄化器
MB1,MB2 微細気泡発生器
NB 微細気泡
P,P1,P2,P3 ポンプ
T タイマ
Q 容器
S 直線
W,W1 液体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留可能な貯留槽と、前記貯留槽に収容された液体を吸い込んで再び前記貯留槽へ戻す液体送給手段と、前記液体送給手段によって移動する液体の流動経路に設けられた微細気泡発生器と、を備え、
前記微細気泡発生器が、仮想中心線を包囲して設けられた周壁と前記周壁の前記仮想中心線方向の両端に設けられた隔壁とで形成された流体旋回室と、前記仮想中心線に対してねじれの位置をなす方向に沿って前記流体旋回室内へ流体を導入するため前記流体旋回室に連通して設けられた液体導入経路と、前記流体旋回室内に気体を導入するため前記流体旋回室の一方の前記隔壁に開設された気体導入経路と、前記流体旋回室内の気液を前記貯留槽内の液体中へ吐出するため前記流体旋回室の他方の前記隔壁に開設された吐出口と、を有することを特徴とする液体処理装置。
【請求項2】
前記流体旋回室内における前記仮想中心線周りの気液の旋回方向が互いに異なる複数の前記微細気泡発生器を設けた請求項1記載の液体処理装置。
【請求項3】
前記液体送給手段によって移動する液体を複数の前記微細気泡発生器のいずれかへ選択的に供給するための切替手段を設けた請求項2記載の液体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−101329(P2009−101329A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−277859(P2007−277859)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(597073405)株式会社 多自然テクノワークス (12)
【出願人】(592104025)
【Fターム(参考)】