説明

液体収容容器

【課題】液体容器の外装部材の形状を変化させることなく、収容する液体の容量や状態によって外観上の意匠性や装飾性を高めることができる液体収容容器の提供を目的とする。
【解決手段】第一筐体2と、第一筐体と一体的に重ね合わせ可能な第二筐体3と、からなる容器1であって、容器の少なくとも一部は透光性の素材で形成され、第一筐体重ね合わせ面5と第二筐体重ね合わせ面6の少なくとも一方に微細な液体流路溝8が設けられ、第一筐体と前記第二筐体を一体的に重ね合わせることで液体流路溝が液体の流路となり且つ貯留収容する液体貯留部9を形成することで、収容する液体の容量や状態によって外観上の見た目が変化する。また液体貯留部の一端が開口10部に連結されていることで、容易に液体を出し入れできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を収容する液体収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体の収容容器については、収容する液体の種別や用途にとって、吐出しやすい形状、密閉度や堅牢度の優位性、意匠性などが重要視される。その中でも洗剤などの生活用品や化粧品などの収容容器では特に容器外装部や広告表示部の意匠性を重要視しているが、これは容器の意匠性や装飾性の優劣が消費者の購買意識を刺激し、売上数に大きく影響するからである。よって収容容器を設計製造する際には容器外装部や広告表示部といった外観上の意匠性や装飾性をいかに上げるかが重要になる。
【0003】
容器の外装に関しては、例えば特許文献1に示すようなものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特願平8−218891公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の収容容器は不透明な外装の意匠性は高めたものの、収容する内容物が容器の外観変化に寄与することはないため、使用前も使用中も使用後も一定の外観形状で変化が無い。
【0006】
そこで本発明は、液体容器の外装部材の形状を変化させることなく、収容する液体の容量や状態によって外観上の意匠性や装飾性を高めることができる液体収容容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る態様の液体収容容器は第一筐体と、前記第一筐体と一体的に重ね合わせ可能な第二筐体と、からなる容器であって、前記容器の少なくとも一部は透光性の素材で形成され、第一筐体重ね合わせ面と第二筐体重ね合わせ面の少なくとも一方に微細な液体流路溝が設けられ、前記第一筐体と前記第二筐体を一体的に重ね合わせることで前記液体流路溝が液体の流路となり且つ貯留収容する液体貯留部を形成し、前記液体貯留部の一端が開口部に連結されていることを特徴としている。
【0008】
本発明の別の態様もまた液体収容容器である。この液体収容容器は第一筐体と、前記第一筐体に一体的に重ね合わせ可能な第二筐体と、前記第一筐体と前記第二筐体の間にサンドイッチ状に挟み重ね合わせたセパレート部材と、からなる容器であって、前記容器の少なくとも一部は透光性の素材で形成され、第一筐体重ね合わせ面と第一筐体重ね合わせ面に対向する第一筐体側のセパレート部材重ね合わせ面の少なくとも一面に微細な液体流路溝が設けられ、第二筐体重ね合わせ面と第二筐体重ね合わせ面に対向する第二筐体側のセパレート部材重ね合わせ面の少なくとも一面に微細な液体流路溝が設けられ、前記第一筐体と前記第二筐体と前記セパレート部材とを一体的に重ね合わせることで前記液体流路溝が液体の流路となり且つ貯留収容する液体貯留部を形成し、前記液体貯留部の一端が開口部に連結されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明は、第一筐体と、前記第一筐体と一体的に重ね合わせ可能な第二筐体と、からなる容器であって、前記容器の少なくとも一部は透光性の素材で形成され、第一筐体の重ね合わせ面と第二筐体の重ね合わせ面の少なくとも一方に微細な液体流路溝が設けられている。
【0010】
この前記液体流路溝は、第一筐体と第二筐体を一体的に重ね合わせることで液体の流路となり且つ貯留収容する液体貯留部となる。そのため前記液体貯留部に貯留した液体は一部が透光性の素材で形成された容器を介して外部から視認でき、液体状態を意匠の一部として認識させられる。
【0011】
また液体貯留部の一端は開口部に連結されており、液体を出し入れすることで液体容量が増減し外部から視認される液体状態が変化し、外観上の意匠変化をもたらす。
これによって液体容器の外装部材の形状を変化させることなく外観上の意匠性や装飾性を高めることができる。
【0012】
請求項2に係る発明は、第一筐体と、第一筐体に一体的に重ね合わせ可能な第二筐体と、第一筐体と第二筐体の間にサンドイッチ状に挟み重ね合わせたセパレート部材と、からなる容器であって、容器の少なくとも一部は透光性の素材で形成され、第一筐体重ね合わせ面と第一筐体重ね合わせ面に対向する第一筐体側のセパレート部材重ね合わせ面の少なくとも一面に微細な液体流路溝が設けられるが、第二筐体重ね合わせ面と第二筐体重ね合わせ面に対向する第二筐体側のセパレート部材重ね合わせ面の少なくとも一面にも微細な液体流路溝が設けられている。
【0013】
この液体流路溝は、第一筐体と第二筐体とセパレート部材とを一体的に重ね合わせることで液体の流路となり且つ貯留収容する液体貯留部となる。そのため液体貯留部に貯留した液体は一部が透光性の素材で形成された容器を介して外部から視認でき、液体状態を意匠の一部として認識させられる。
【0014】
また第一筐体側液体貯留部と第二筐体側液体貯留部はそれぞれ別の色や特性を持つ液体を貯留収容することが可能である。そのため、セパレート部材の一部が透光性の素材で形成されていれば、第一筐体側から容器を見た際に第一筐体側の液体色と第二筐体側の液体が重なって見える効果を生み、セパレート部材の一部が非透光性の素材であっても第一筐体側から見た際と第二筐体側から見た際では異なった状態として視認され、外観上の意匠変化をもたらす。
これによって液体容器の外装部材の形状を変化させることなく外観上の意匠性や装飾性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態に係る液体収容容器の斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係る容器の部品構成斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係る液体収容容器の液体貯留収容時を示し、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【図4】第2の実施形態に係る液体収容容器の斜視図である。
【図5】第2の実施形態に係る液体収容容器の部品構成斜視図である。
【図6】第2の実施形態に係る液体収容容器の液体貯留収容時を示し、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【図7】第3の実施形態に係る液体収容容器の液体貯留収容時を示し(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【図8】第4の実施形態に係る液体収容容器を示し、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【図9】第5の実施形態に係る液体収容容器を示し、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【図10】第6の実施形態に係る液体収容容器を示し、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の好適な実施形態について、添付図面に基づいて説明する。
なお、実施形態は以下の形態に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得るものであれば他の態様も可能である。
【0017】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施形態に係る液体収容容器の斜視図である。
この液体収容容器の容器1は、図2に示す通り、第一筐体重ね合わせ面5に微細な液体流路溝8を設けた第一筐体2と、第一筐体2同様に第二筐体重ね合わせ面6に微細な液体流路溝8を設けた第二筐体3とから成っている。この液体流路溝8は断面形状が半円形状になっており、第一筐体2と第二筐体3を重ね合わせ接合させることで液体流路溝8の断面形状が閉合した円状形状となり、液体の流路となり且つ貯留収容する液体貯留部9を形成する。
【0018】
液体貯留部9は一端が開口部10に連結されているため、開口部10から液体を出し入れすることが可能である。容器1は透光性の素材で形成され、液体貯留部9が外部から視認可能になっている。
図3に示す通り、貯留収容する液体20は着色されている状態のほうが視認効果が高い。
【0019】
容器1は貯留収容されている液体の状態を視認できる程度の透光性素材であれば如何なるものであってもよく、アクリル樹脂やABS樹脂などであってもよい。
【0020】
(第2の実施の形態)
図4は、第2の実施形態に係る液体収容容器の斜視図である。尚、第1の実施形態に係る液体収容容器と同様の部分においては適宜省略し、異なる部分を主に説明する。
【0021】
この液体収容容器の容器1は、図5に示す通り、第一筐体重ね合わせ面5に微細な液体流路溝8を設けた第一筐体2と、第一筐体同様に第二筐体重ね合わせ面6に微細な液体流路溝8を設けた第二筐体3と、第一筐体2と第二筐体3の間にサンドイッチ状に挟み重ね合わせた平板状のセパレート部材4から成っている。この液体流路溝8は断面形状が半円形状になっており、第一筐体2と第二筐体3にセパレート部材4を挟み重ね合わせ接合させることで液体流路溝8の断面形状が閉合した半円形状となり、液体の流路となり且つ貯留収容する液体貯留部9を形成する。
【0022】
一端が開口部10aに連結された第一筐体2側と開口部10bに連結された第二筐体3側の液体貯留部9にはそれぞれに性質や色の異なった液体20a、20bを収容することが可能である。容器1は透光性の素材で形成され、例えば第一筐体2側から視認した際に第一筐体2側の液体20aと第二筐体3側の液体20bの色が重なって視認される。また液体20a、20b容量の差も目視できるため、液体容量の増減による外観上の変化が生まれる。
【0023】
(第3の実施の形態)
図7は、第3の実施形態に係る液体収容容器の正面図、および側面図である。尚、第1の実施形態に係る液体収容容器と同様の部分においては適宜省略し、異なる部分を主に説明する。
【0024】
第3の実施形態は第1の実施形態の応用例である。
容器1は透光性の素材から成っており、正面から見た際には液体貯留部9が雪の結晶を模した形状になっている。この液体貯留部に着色した液体20を貯留収容し液体を開口部10から出し入れすることで、液体20が少なくなった際には雪の結晶が消えてゆくような外観上の変化が生まれる。
尚、容器蓋装着用ねじ22は容器蓋23を装着する際に必要な部位だが説明は省略する。
【0025】
(第4の実施の形態)
図8は、第4の実施形態に係る液体収容容器の正面図、および側面図である。尚、第1または第3の実施形態に係る液体収容容器と同様の部分においては適宜省略し、異なる部分を主に説明する。
【0026】
第4の実施形態は第1または第3の実施形態の応用例であり、カラーマーカーのインク収容容器である。
容器1は透光性の素材から成っており、液体貯留部9は広葉樹などの葉の葉脈を模した形状になっている。この液体貯留部9に着色した液体状のインク21を貯留収容し、インク21が開口部10に装着したペン先フェルト24に吸い上げられて書類などにマーキングすることができる。マーキングすることでインク21が減ってゆき、葉の色が消えてゆくような外観上の変化が生まれる。
【0027】
(第5の実施の形態)
図9は、第5の実施形態に係る液体収容容器の正面図、および側面図である。尚、第1または第4の実施形態に係る液体収容容器と同様の部分においては適宜省略し、異なる部分を主に説明する。
【0028】
第5の実施形態は第1または第4の実施形態の応用例である。容器1は透光性の素材から成っており、液体貯留部9はイチョウの葉脈を模した形状になっている。
【0029】
(第6の実施の形態)
図10は、第6の実施形態に係る液体収容容器の正面図、および側面図である。尚、第1の実施形態に係る液体収容容器と同様の部分においては適宜省略し、異なる部分を主に説明する。
【0030】
第6の実施形態は第1の実施形態の応用例であり、香水容器である。容器1は透光性の素材から成っており、液体貯留部9は花弁脈を模した形状になっている。この液体貯留部9に着色した液体20を貯留収容し液体を開口部10から出し入れするが、図は開口部10に容器蓋23が装着されている状態を表している。
【0031】
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば容器1が2次曲面状の部材で形成されたりしてもよい。また液体貯留部9が一筆書き文字状であったり、人間の血管を模した形状であったり、野菜断面の繊維脈を模した形状であってもよい。また貯留収容する液体20が無色透明であった場合、容器1は光の屈折率の違う素材を使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
上述の発明は、香水等の化粧品容器、筆記具等のインク収容容器、台所用洗剤等の容器、ジュースのような流動性液体の容器、目薬等の液体薬品容器としても利用可能である。また食塩など液体と同様に流動性のある微細な粉体や粒状物の容器としても利用可能である。
【符号の説明】
【0033】
1・・・容器
2・・・第一筐体
3・・・第二筐体
4・・・セパレート部材
5・・・第一筐体重ね合わせ面
6・・・第二筐体重ね合わせ面
7・・・セパレート部材重ね合わせ面
8・・・液体流路溝
9・・・液体貯留部
10・・・開口部
20・・・液体
21・・・インク
22・・・容器蓋装着用ねじ
23・・・容器蓋
24・・・ペン先フェルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一筐体と、前記第一筐体と一体的に重ね合わせ可能な第二筐体と、からなる容器であって、前記容器の少なくとも一部は透光性の素材で形成され、第一筐体重ね合わせ面と第二筐体重ね合わせ面の少なくとも一方に微細な液体流路溝が設けられ、前記第一筐体と前記第二筐体を一体的に重ね合わせることで前記液体流路溝が液体の流路となり且つ貯留収容する液体貯留部を形成し、前記液体貯留部の一端が開口部に連結されていることを特徴とする液体収容容器。
【請求項2】
第一筐体と、前記第一筐体に一体的に重ね合わせ可能な第二筐体と、前記第一筐体と前記第二筐体の間にサンドイッチ状に挟み重ね合わせたセパレート部材と、からなる容器であって、前記容器の少なくとも一部は透光性の素材で形成され、第一筐体重ね合わせ面と第一筐体重ね合わせ面に対向する第一筐体側のセパレート部材重ね合わせ面の少なくとも一面に微細な液体流路溝が設けられ、第二筐体重ね合わせ面と第二筐体重ね合わせ面に対向する第二筐体側のセパレート部材重ね合わせ面の少なくとも一面に微細な液体流路溝が設けられ、前記第一筐体と前記第二筐体と前記セパレート部材とを一体的に重ね合わせることで前記液体流路溝が液体の流路となり且つ貯留収容する液体貯留部を形成し、前記液体貯留部の一端が開口部に連結されていることを特徴とする液体収容容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−225274(P2011−225274A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108701(P2010−108701)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成21年10月21日〜25日 デザインウエーブ開催委員会主催の「平成21年 デザインウエーブ2009イン富山」に出品
【出願人】(510017837)
【Fターム(参考)】