説明

液体吐出ポンプの吐出ノズル

【課題】 ノズルキャップの回動操作を容易にすると共に、ノズルキャップの切替状態を判別可能にして、液ないし泡の吐出形態を可視化する。
【解決手段】 容器体口頸部へ嵌合させた装着筒内から主筒を起立し、該主筒から射出筒を前方へ突設し、該射出筒前端部へノズルキャップ12を回動可能に嵌合させ、該ノズルキャップの回動による切替操作で液ないし泡の吐出形態を切り替え可能な液体吐出ポンプの吐出ノズルにおいて、ノズルキャップ12の周面に操作用突部13a、13b、13cを設け、該操作部を板状に形成し、1つの操作部を除いた他の操作部に切欠部を形成して、各切欠部の幅をそれぞれ異ならせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ポンプ、特にトリガーの前後方向揺動で容器体内液体をシリンダ3へ吸込み、かつ該シリンダ内液体を射出筒前端から吐出可能に設けたトリガー式液体吐出ポンプの吐出ノズルに関する。

【背景技術】
【0002】
トリガー式液体吐出ポンプとして、容器体口頸部へ嵌合させた装着筒内から主筒を起立し、該主筒前面からシリンダを、かつ主筒上端から射出筒を、それぞれ前方突設し、射出筒前部に枢着させて垂設したトリガーの上方後部に、シリンダ内へ嵌合させたプランジャ前端部を連結し、かつトリガーを前方付勢させ、更に射出筒前端部へ回動可能に液体噴出部を有するノズルキャップを嵌合させ、該嵌合部に、射出筒に対するノズルキャップの回動で、射出筒が有する射出筒孔と液体噴出部とを連通させ、又遮断させることが自在な液体通路開閉機構を設け、トリガーの前後方向揺動で容器体内液体をシリンダ内へ吸込み、かつ該シリンダ内液体を射出筒前端から噴出可能に設けたものが知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2000−70780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら特許文献1記載の発明では、ノズルキャップには、回動操作する際の指を掛けるための何等の手段も設けられていないばかりか、ノズルキャップの表面に記載された止、泡(大)、泡(小)等の文字を識別できない場合には、これらの文字を射出筒前端上面の目印に一致させることができず、所望の吐出態様や不使用時におけるノズルキャップの閉鎖状態を選択できないという欠点があった。
【0004】
本発明の主たる目的は、ノズルキャップの回動操作が容易なトリガー式液体吐出ポンプの吐出ノズルを提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、ノズルキャップ表面の表示を識別できない場合でも、所望の吐出態様や不使用時におけるノズルキャップの閉鎖状態を判別することができるトリガー式液体吐出ポンプの吐出ノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、容器体口頸部へ嵌合可能な装着筒内から主筒2を起立し、該主筒から射出筒5を前方へ突設し、該射出筒前端部へノズルキャップ12を回動可能に嵌合させ、該ノズルキャップの回動による切替操作で液ないし泡の吐出形態を切り替え可能な液体吐出ポンプの吐出ノズルにおいて、前記ノズルキャップ12の周面に操作用突部13a、13b、13c、21a、21b、21cを設けたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記ノズルキャップ12を断面多角形状に形成して、前記操作用突部13a、13b、13cをノズルキャップ12各面の上下左右方向への延長面上に突設させ、前記ノズルキャップ12の上面の左右方向中間部が射出筒前端上面の左右方向中間部に位置する目印と一致した状態において、1つの操作突部が上方を向くことを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明は、前記操作突部13a、13b、13cのそれぞれの形状を異ならせたことを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、前記操作部13a、13b、13cを板状に形成し、1つの操作部を除いた他の操作部に切欠部を形成して、各切欠部の大きさをそれぞれ異ならせたことを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明は、前記操作部21a、21b、21cを板状に形成し、1つの操作部21cを除いた他の操作部21a、21b先端に突起22を形成して、該突起の数をそれぞれ異ならせたことを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明は、前記操作用突部21a、21b、21cは前記ノズルキャップ12の外面へ嵌合させた嵌合筒20外面から突設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、ノズルキャップの周面に操作用突部を設けたので、該操作突部に指を掛けることができ、したがって、ノズルキャップの回動操作が容易である。
【0013】
また、本発明は、操作用突部13a、13b、13cをノズルキャップのそれぞれの角部からノズルキャップ12各面の上下左右方向への延長面上に突設させたので、ノズルキャップの回動操作が一層容易である。
【0014】
さらに本発明は、ノズルキャップの上面の左右方向中間部が射出筒前端上面の左右方向中間部の目印と一致した状態において、1つの操作突部が上方を向くため、ノズルキャップの切替状態が判別可能である。
【0015】
さらに本発明は、操作突部のそれぞれの形状を異ならせたので、上方を向く操作突部の形状によってノズルキャップの切替状態を判別することができる。
【0016】
さらに本発明は、操作部を板状に形成し、1つの操作部を除いた他の操作部に切欠部ないし突起を形成して、各切欠部の大きさないし突起の数をそれぞれ異ならせたので、切欠部の有無ないし切欠部の大きさの相違、突起の数の相違という簡素な手段によってノズルキャップの切替状態を判別することができる。
【0017】
さらに、本発明は、操作突部が設けられた嵌合筒をノズルキャップへ嵌合させるため、既存の液体吐出ポンプに適用することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を、図面に示す実施の形態を参照しながら説明する。
1は装着筒で、液体を収容する容器体口頸部へ嵌合可能となっている。
2は主筒で、装着筒1内から立設されている。
【0019】
5は射出筒で、主筒2から前方へ突設されており、射出筒5前部にトリガー7が枢着されている。
【0020】
10は吐出ノズルで、射出筒5の先端部内面に嵌合されたノズル内筒部11と、該ノズル内筒部の先端へ回動自在に嵌合されたノズルキャップ12とから形成されている。
【0021】
ノズルキャップ12は横断面三角形状に形成されていて、ノズルキャップのそれぞれの角部には板状の操作用突部13a、13b、13cが突設されている。これら操作用突部の突設方向には特に限定はないが、例えば、本実施形態では、図1に示すように、操作用突部13aはノズルキャップ12上面の左方向への延長面上に突設し、また、操作用突部13bはノズルキャップ右側面の上方への延長面上に突設し、さらに、操作用突部13cはノズルキャップ左側面の下方への延長面上に突設する。
【0022】
このように操作用突部13a、13b、13cはノズルキャップ12各面の前後方向を除いた上下左右方向への延長面上に突設させるのが好ましい。
【0023】
このように形成することにより、ノズルキャップ上面の左右方向中間部が、射出筒5前端上面の左右方向中間部に形成された三角形状の目印に一致した際に(図1参照)、いずれか1つの操作用突部(図1では13b)が上方を向くようにすることができる。
【0024】
操作用突部の形状についても特に限定はないが、本実施形態では、3つの操作用突部のうち2つ(13a、13b)に切欠部14a、14bを形成する。その際、一方の操作用突部13aの切欠部14aと他方の操作用突部13bの切欠部14bとの前後方向幅を異ならせる。
【0025】
このようにすることにより、上方を向いた操作用突部13bの切欠部14bの幅を触れる等して知ることでノズルキャップ12の切替状態を判別することができる。例えば、操作用突部13bが上方を向く状態ではきめの細かい泡が、操作用突部13aが上方を向く状態ではきめの粗い泡が、それぞれ吐出されるように設定しておくことにより、目視不可能な状態であっても泡の吐出形態を判別することができる。
【0026】
また、図2に示すように、切欠部が形成されていない操作用突部13cが上方を向く場合には、トリガーを引いても吐出しないように設定しておくことにより、吐出不能状態を判別することができる。
【0027】
もちろん図面に示すように、ノズルキャップ12の各面に泡(大)、泡(小)、止等の文字を付することにより、これら文字を見ることで吐出形態を知ることができるようにすることが可能である。
【0028】
なお、上記ではノズルキャップ12の断面形状は三角形状であるが、これに限定されることなく、四角形状にすることも可能であり、さらには五角形以上の多角形状に形成することも可能である。また、ノズルキャップ12の外面は断面円形状にすることも可能である。
【0029】
また、本実施形態では、操作用突部13a、13b、13cは板状に形成されているが、これに限らず単なる突起でもよい。さらに、各操作用突部の形状を切欠部の幅および切欠部の有無によって異ならせているが、これらによることなく、例えば全体の形状をそれぞれ異ならせることでも判別が可能である。
【0030】
上記では操作用突部はノズルキャップ12自体に一体に設けられているが、これに限定されることなくノズルキャップ12とは別体に設けることも可能である。すなわち、図4および図5に示すように、嵌合筒20の周面から操作用突部21a、21b、21cを突設した嵌合部材を形成して、該嵌合部材をノズルキャップ12外面へ嵌合させることも可能である。
【0031】
なお、その際、切欠部14a、14bに代えて突起22を形成してもよい。この場合には一方の操作部21aと他方の操作部21bとのそれぞれの突起22の数を異ならせる。
【0032】
次に、吐出ノズル10の構成について説明する。上述したようにノズルキャップ12を回動させることにより、吐出される液体ないし泡の形態を適宜選択することができる。例えば、ノズルキャップ12内周壁の溝とノズル内筒部11の深溝とを連通させると、トリガー7の引き寄せで、糸状あるいは水滴状の液流が噴出される。
【0033】
ノズルキャップ12の操作用突部13a、13b、13cに指をかけて回動させることで、ノズル内筒部部分に形成された液体噴射路を切り変えることができる。例えば、液体噴射路を射出筒5のオリフィス、ノズルキャップ12の内周壁の溝とノズル内筒部11の深溝とスピン溝とで構成して、射出筒5のオリフィス、溝、深溝、スピン溝を連通させることできめの細かい泡状または霧状の液体を吐出させることができる
【0034】
一方、ノズルキャップ12を回動させて、ノズルキャップの内周壁の溝とノズル内筒部の深溝とスピン溝との連通を遮断させると、トリガー7を操作しても液体は吐出されることがない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係るトリガー式液体吐出ポンプの吐出ノズルを示すもので、泡吐出可能状態を示す斜視図である。
【図2】吐出不能状態を示す図1相当図である。
【図3】図1の側面図である。
【図4】他の実施形態を示す図1相当図である。
【図5】嵌合筒から操作突部を突設した嵌合部材の側面図である。
【図6】吐出ノズル部分の断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 装着筒
2 主筒
5 射出筒
12 ノズルキャップ
13a、13b、13c、21a、21b、21c 操作用突部
14a、14b 切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体口頸部へ嵌合可能な装着筒内から主筒2を起立し、該主筒から射出筒5を前方へ突設し、該射出筒前端部へノズルキャップ12を回動可能に嵌合させ、該ノズルキャップの回動による切替操作で液ないし泡の吐出形態を切り替え可能な液体吐出ポンプの吐出ノズルにおいて、
前記ノズルキャップ12の周面に操作用突部13a、13b、13c、21a、21b、21cを設けたことを特徴とする液体吐出ポンプの吐出ノズル。
【請求項2】
前記ノズルキャップ12を断面多角形状に形成して、前記操作用突部をノズルキャップ12各面の上下左右方向への延長面上に突設させ、前記ノズルキャップ12の上面の左右方向中間部が射出筒前端上面の左右方向中間部に位置する目印と一致した状態において、1つの操作突部が上方を向くことを特徴とする請求項1記載の液体吐出ポンプの吐出ノズル。
【請求項3】
前記操作突部のそれぞれの形状を異ならせたことを特徴とする請求項1又は2記載の液体吐出ポンプの吐出ノズル。
【請求項4】
前記操作部13a、13b、13cを板状に形成し、1つの操作部13cを除いた他の操作部13a、13b先端に切欠部を形成して、各切欠部の大きさをそれぞれ異ならせたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の液体吐出ポンプの吐出ノズル。
【請求項5】
前記操作部21a、21b、21cを板状に形成し、1つの操作部21cを除いた他の操作部21a、21b先端に突起22を形成して、該突起の数をそれぞれ異ならせたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の液体吐出ポンプの吐出ノズル。
【請求項6】
前記操作用突部21a、21b、21cは前記ノズルキャップ12の外面へ嵌合させた嵌合筒20外面から突設されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の液体吐出ポンプの吐出ノズル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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