説明

液体吐出装置、液体吐出方法、および、プログラム

【課題】素子に印加される駆動信号の必要部分を定める印加データの送信を効率よく行えるようにする。
【解決手段】この液体吐出装置は、駆動信号生成部と、基印加データ送信部と、印加データ生成部と、駆動信号印加部とを有する。駆動信号生成部は、液体を吐出させるための動作をする素子を駆動する駆動信号を生成する。基印加データ送信部は、素子へ印加される駆動信号の必要部分を定めるための印加データの基となる基印加データであって、所定種類かつ所定ビット数の基印加データをパラレル送信する。印加データ生成部は、基印加データに基づいて、所定種類よりも少ない種類であって所定ビット数よりも多いビット数の印加データを生成する。駆動信号印加部は、印加データに基づいて、駆動信号の必要部分を素子に印加させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、液体吐出方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
対象物へ液体を吐出させる液体吐出装置としては、例えば、印刷装置、カラーフィルタ製造装置、染色装置といったように、種々のものがある。そして、印刷装置としてのインクジェットプリンタ(以下、単にプリンタともいう。)には、量の異なる複数種類のインクを吐出させるものがある。このプリンタでは、例えば、ドットの大きさを示す階調データを、駆動信号に含まれる複数の駆動パルスを選択するための印字データに翻訳する。そして、印字データに基づいて駆動パルスを選択し、量が異なる複数種類のインクを吐出させる(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−81013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したプリンタでは、印字データ(プログラムデータ)を転送する必要があるが、吐出するインクの種類と印字データの関係は固定されていた。このため、送信に時間がかかってしまうという問題があった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、素子に印加される駆動信号の必要部分を定める印加データの送信を効率よく行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための主たる発明は、(A)液体を吐出させるための動作をする素子を駆動する駆動信号を生成する駆動信号生成部と、(B)前記素子へ印加される前記駆動信号の必要部分を定めるための印加データの基となる基印加データであって所定種類かつ所定ビット数の基印加データをパラレル送信する基印加データ送信部と、(C)前記基印加データに基づいて、前記所定種類よりも少ない種類であって前記所定ビット数よりも多いビット数の前記印加データを生成する印加データ生成部と、(D)前記印加データに基づいて、前記駆動信号の必要部分を前記素子に印加させる駆動信号印加部と、を有する液体吐出装置である。
【0007】
本発明の他の特徴については、本明細書および添付図面の記載によって明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】印刷システムの構成を説明する図である。
【図2】コンピュータ、および、プリンタの構成を説明するブロック図である。
【図3】図3Aは、本実施形態のプリンタの構成を示す図である。図3Bは、本実施形態のプリンタの構成を説明する側面図である。
【図4】ヘッドユニットの構成を説明する分解斜視図である。
【図5】図5Aは、ヘッドの構造を説明する断面図である。図5Bは、ヘッドが有するノズルの配置を説明する図である。
【図6】図6Aは、フレキシブルケーブルの一部分について構成を説明する断面図である。図6Bは、フレキシブルケーブルで送信される信号を芯線毎に説明する図である。
【図7】第1転送信号から第8転送信号を模式的に説明する図である。
【図8】ヘッド制御部の全体構成を説明するためのブロック図である。
【図9】ヘッド制御部が有するシフトレジスタ群、および、制御ロジックの構成を説明する図である。
【図10】制御ロジックの具体的な構成例を説明する図である。
【図11】データ選択部の全体構成を説明する図である。
【図12】第1データ選択部〜第8データ選択部の構成を説明する図である。
【図13】q0選択回路の構成を説明する図である。
【図14】指定データの内容を説明する図である。
【図15】信号印加部の構成を説明する図である。
【図16】デコーダの構成を説明する図である。
【図17】印刷時の動作を説明するフローチャートである。
【図18】駆動信号を説明する図である。
【図19】図19Aは、第1波形部選択データを説明する図である。図19Bは、第2波形部選択データを説明する図である。図19Cは、第3波形部選択データを説明する図である。図19Dは、第4波形部選択データを説明する図である。
【図20】各転送信号の送信タイミングを説明する図である。
【図21】第2実施形態における制御ロジックの具体的構成を説明する図である。
【図22】第2実施形態におけるデータ選択部の全体構成を説明する図である。
【図23】第2実施形態における第1データ選択部〜第8データ選択部の構成を説明する図である。
【図24】第2実施形態における信号印加部の構成を説明する図である。
【図25】第2実施形態におけるデコーダの構成を説明する図である。
【図26】第2実施形態における駆動信号を説明する図である。
【図27】図27Aは、第1波形部選択データを説明する図である。図27Bは、第2波形部選択データを説明する図である。図27Cは、第3波形部選択データを説明する図である。図27Dは、第4波形部選択データを説明する図である。
【図28】図28Aは、第1印刷モードにおけるノズル列とインクの関係等を説明する図である。図28Bは、第2印刷モードにおけるノズル列とインクの関係等を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
【0010】
すなわち、(A)液体を吐出させるための動作をする素子を駆動する駆動信号を生成する駆動信号生成部と、(B)前記素子へ印加される前記駆動信号の必要部分を定めるための印加データの基となる基印加データであって所定種類かつ所定ビット数の基印加データをパラレル送信する基印加データ送信部と、(C)前記基印加データに基づいて、前記所定種類よりも少ない種類であって前記所定ビット数よりも多いビット数の前記印加データを生成する印加データ生成部と、(D)前記印加データに基づいて、前記駆動信号の必要部分を前記素子に印加させる駆動信号印加部と、を有する液体吐出装置が実現できること。
このような液体吐出装置によれば、基印加データの方が印加データよりも種類が多く1種類あたりのビット数が少なくなる。このため、基印加データの送信を、印加データそのものをパラレル送信するよりも短時間で終えることができる。その結果、印加データの送信を効率よく行うことができる。
【0011】
かかる液体吐出装置であって、前記素子の動作によって液体が吐出されるノズルを複数有するノズル群であって、吐出させる液体がそれぞれ定められている複数のノズル群を有し、前記基印加データ送信部は、前記ノズル群に応じた所定種類の基印加データをパラレル送信し、前記駆動信号印加部は、少なくとも2つの前記ノズル群について或る印加データを共用し、前記駆動信号の必要部分を前記素子に印加させる構成が好ましい。
このような液体吐出装置によれば、或る印加データが少なくとも2つのノズル群について共用されるので、ノズル群よりも少ない種類の印加データを有効に使用することができる。
【0012】
かかる液体吐出装置であって、前記印加データ生成部によって生成された印加データを吐出させる液体に応じて選択し、前記駆動信号印加部へ出力する印加データ選択部を有する構成が好ましい。
このような液体吐出装置によれば、印加データ選択部により、素子に印加される駆動信号の必要部分と液体の吐出量との関係を液体毎に変更できる。
【0013】
かかる液体吐出装置であって、前記印加データ選択部は、前記印加データを選択するための選択データであって前記吐出させる液体の種類に応じた種類の選択データを書き換え可能に記憶する選択データ記憶部を有する構成が好ましい。
このような液体吐出装置によれば、選択データ記憶部の記憶内容を書き換えることで、前記印加データを選択することができる。
【0014】
かかる液体吐出装置であって、前記印加データ生成部は、複数種類の前記基印加データを組み合わせることで前記印加データを生成する構成が好ましい。
このような液体吐出装置によれば、印加データを容易に生成することができる。
【0015】
かかる液体吐出装置であって、前記印加データ生成部は、前記印加データを記憶する印加データ記憶部を有し、前記基印加データを前記印加データ記憶部の定められた領域に記憶させることで、複数種類の前記基印加データを組み合わせる構成が好ましい。
このような液体吐出装置によれば、印加データを容易に生成することができる。
【0016】
かかる液体吐出装置であって、前記基印加データ送信部によって送信された所定種類の前記基印加データを記憶する基印加データ記憶部を有し、前記印加データ生成部は、前記基印加データ記憶部に記憶された前記基印加データを前記印加データ記憶部の定められた領域に記憶させる構成が好ましい。
このような液体吐出装置によれば、印加データ記憶部と基印加データ記憶部とが独立しているので、或る期間で液体の吐出制御をしている最中に、次の期間で用いられる選択データや吐出量データを送信することができる。
【0017】
かかる液体吐出装置であって、前記印加データは、前記素子へ印加される前記駆動信号の必要部分を前記液体の吐出量毎に定めるための複数種類のサブ印加データを有し、前記駆動信号印加部は、前記液体の吐出量を複数の前記素子のそれぞれについて示す吐出量データから、前記吐出量データに対応するサブ印加データを選択し、選択したサブ印加データに基づいて前記駆動信号の必要部分を前記素子に印加させる構成が好ましい。
このような液体吐出装置によれば、液体の吐出量に関してきめ細かな制御が行える。
【0018】
かかる液体吐出装置であって、前記駆動信号生成部は、或る期間において複数の前記駆動信号を生成し、前記駆動信号印加部は、選択された印加データに基づいて、複数の前記駆動信号から選択された駆動信号の必要部分を前記素子に印加させる構成が好ましい。
【0019】
このような液体吐出装置によれば、限られた時間であっても、駆動信号の必要部分の数を増やすことができ、液体の吐出量に関してきめ細かな制御が行える。
【0020】
かかる液体吐出装置であって、前記液体は、印刷用のインクである構成が好ましい。
このような液体吐出装置によれば、画像等の印刷を効率よく行うことができる。
【0021】
かかる液体吐出装置であって、前記素子は、ピエゾ素子である構成が好ましい。
このような液体吐出装置によれば、駆動信号に対する応答性がよいピエゾ素子を用いているので、液体の吐出量を高い精度で制御できる。
【0022】
また、次の液体吐出装置を実現することもできる。
すなわち、(A)液体を吐出させるための動作をする素子を駆動する駆動信号を生成する駆動信号生成部であって、或る期間において複数の前記駆動信号を生成する駆動信号生成部と、(B)前記素子の動作によって液体が吐出されるノズルを複数有するノズル群であって、吐出させる液体がそれぞれ定められている複数のノズル群と、(C)前記素子へ印加される前記駆動信号の必要部分を定めるための印加データの基となる基印加データであって前記ノズル群に応じた所定種類かつ所定ビット数の基印加データをパラレル送信する基印加データ送信部と、(D)前記基印加データ送信部によって送信された所定種類の前記基印加データを記憶する基印加データ記憶部と、(E)前記印加データを記憶する印加データ記憶部を有し、前記基印加データ記憶部に記憶された前記基印加データを前記印加データ記憶部の定められた領域に記憶させることで、複数種類の前記基印加データを組み合わせ、これにより、前記所定種類よりも少ない種類であって前記所定ビット数よりも多いビット数であり、かつ、前記素子へ印加される前記駆動信号の必要部分を前記液体の吐出量毎に定めるための複数種類のサブ印加データを有する前記印加データを生成する印加データ生成部と、(F)前記印加データを選択するための選択データであって前記吐出させる液体の種類に応じた種類の選択データを書き換え可能に記憶する選択データ記憶部を有し、前記印加データ生成部によって生成された印加データを吐出させる液体に応じて選択し、前記駆動信号印加部へ出力する印加データ選択部と、(G)選択された印加データに基づいて、前記駆動信号の必要部分を前記素子に印加させる駆動信号印加部であって、少なくとも2つの前記ノズル群について或る印加データを共用し、前記液体の吐出量を複数の前記素子のそれぞれについて示す吐出量データから、前記吐出量データに対応するサブ印加データを選択し、選択したサブ印加データに基づいて複数の前記駆動信号から選択された駆動信号の必要部分を前記素子に印加させる駆動信号印加部と、を有し、(H)前記液体は、印刷用のインクであり、(I)前記素子は、ピエゾ素子である、液体吐出装置を実現することもできる。
このような液体吐出装置によれば、既述のほぼ全ての効果を奏するので、本発明の目的を最も有効に達成することができる。
【0023】
また、次の液体吐出方法が実現できる。
すなわち、液体吐出方法であって、(A)液体を吐出させるための動作をする素子を駆動する駆動信号を生成すること、(B)前記素子へ印加される前記駆動信号の必要部分を定めるための印加データの基となる基印加データであって所定種類かつ所定ビット数の基印加データをパラレル送信すること、(C)前記基印加データに基づいて、前記所定種類よりも少ない種類であって前記所定ビット数よりも多いビット数の前記印加データを生成すること、(D)前記印加データに基づいて、前記駆動信号の必要部分を前記素子に印加させること、を行う液体吐出方法が実現できる。
【0024】
また、次のプログラムが実現できる。
すなわち、液体吐出装置を制御するためのプログラムであって、(A)液体を吐出させるための動作をする素子を駆動する駆動信号を駆動信号生成部に生成させること、(B)前記素子へ印加される前記駆動信号の必要部分を定めるための印加データの基となる基印加データであって所定種類かつ所定ビット数の基印加データを、基印加データ送信部にパラレル送信させること、(C)前記基印加データに基づいて、前記所定種類よりも少ない種類であって前記所定ビット数よりも多いビット数の前記印加データを、印加データ生成部に生成させること、(D)前記印加データに基づいて、駆動信号印加部により、前記駆動信号の必要部分を前記素子に印加させること、を前記液体吐出装置に行わせるプログラムが実現できる。
【0025】
===第1実施形態===
<液体吐出装置について>
液体吐出装置には、印刷装置、カラーフィルタ製造装置、ディスプレイ製造装置、半導体製造装置、およびDNAチップ製造装置など、様々な種類があり、全てについて説明することは困難である。そこで、本明細書では、インクジェットプリンタ、および、このプリンタを有する印刷システムを例に挙げて説明する。なお、印刷システムとは、印刷装置と、この印刷装置の動作を制御する印刷制御装置とを少なくとも有するシステムのことであり、液体吐出装置と吐出制御装置とを有する液体吐出システムの一形態に相当する。
【0026】
===印刷システム100の構成===
まず、印刷装置を印刷システム100とともに説明する。ここで、図1は、印刷システム100の構成を説明する図である。例示した印刷システム100は、印刷装置としてのプリンタ1と、印刷制御装置としてのコンピュータ110とを含んでいる。具体的には、この印刷システム100は、プリンタ1と、コンピュータ110と、表示装置120と、入力装置130と、記録再生装置140とを有している。
【0027】
プリンタ1は、印刷用の液体インク(以下、インクともいう。)を吐出して、用紙、布、フィルム等の媒体に画像を印刷する。なお、インクは液体に相当し、媒体は液体が吐出される対象となる対象物に相当する。また、以下の説明では、代表的な媒体である用紙S(図3Aを参照。)を例に挙げて説明する。コンピュータ110は、プリンタ1と通信可能に接続されている。そして、プリンタ1に画像を印刷させるため、コンピュータ110は、その画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。このコンピュータ110には、アプリケーションプログラムやプリンタドライバ等のコンピュータプログラムがインストールされている。表示装置120は、ディスプレイを有している。入力装置130は、例えば、キーボード131やマウス132である。記録再生装置140は、例えば、フレキシブルディスクドライブ装置141やCD−ROMドライブ装置142である。
【0028】
===コンピュータ110===
<コンピュータ110の構成について>
図2は、コンピュータ110、および、プリンタ1の構成を説明するブロック図である。まず、コンピュータ110の構成について簡単に説明する。このコンピュータ110は、前述した記録再生装置140と、ホスト側コントローラ111とを有している。記録再生装置140は、ホスト側コントローラ111と通信可能に接続されており、例えばコンピュータ110の筐体に取り付けられている。ホスト側コントローラ111は、コンピュータ110における各種の制御を行うものであり、前述した表示装置120や入力装置130も通信可能に接続されている。このホスト側コントローラ111は、インタフェース部112と、CPU113と、メモリ114とを有する。インタフェース部112は、プリンタ1との間でデータの受け渡しを行う。CPU113は、コンピュータ110の全体的な制御を行うための演算処理装置である。メモリ114は、CPU113が使用するコンピュータプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM、ROM、磁気ディスク装置等によって構成される。このメモリ114に格納されるコンピュータプログラムとしては、前述したように、アプリケーションプログラムやプリンタドライバがある。そして、CPU113は、メモリ114に格納されているコンピュータプログラムに従って各種の制御を行う。
【0029】
印刷データは、プリンタ1が解釈できる形式のデータであって、各種のコマンドデータと、ドット形成データSI(SI1〜SI8,図9を参照。)とを有する。コマンドデータとは、プリンタ1に特定の動作の実行を指示するためのデータである。このコマンドデータには、例えば、給紙を指示するコマンドデータ、搬送量を示すコマンドデータ、排紙を指示するコマンドデータがある。また、ドット形成データSIは、用紙Sの上に形成されるドットに関するデータ(ドットの色や大きさ等のデータ)であり、単位領域毎に定められる。
【0030】
ここで、単位領域とは、用紙S等の媒体上に仮想的に定められた矩形状の領域を指し、印刷解像度に応じて大きさや形が定められる。本実施形態におけるドット形成データSIは、ドットの大きさを示す。そして、ドットの大きさは、吐出されるインクの量によって定まる。また、インクの吐出は、ヘッド41が有するノズルNz毎、言い換えれば、ピエゾ素子417毎に行われる(図5Aを参照、)。このため、ドット形成データSIは、インクの吐出量を複数のピエゾ素子417のそれぞれについて示す吐出量データに相当する。なお、ノズルNzやピエゾ素子417については、あとで詳しく説明する。
【0031】
このプリンタ1において、ドット形成データSIは、2ビットのデータによって構成されている。そして、ドット形成データSIには、ドット無しに対応するデータ[00]と、小ドットの形成に対応するデータ[01]と、中ドットの形成に対応するデータ[10]と、大ドットの形成に対応するデータ[11]とがある。ここで、データ[00]はインクの非吐出を示すデータであり、データ[01]は小ドットに対応する少量のインクの吐出を示すデータである。また、データ[10]は中ドットに対応する中量のインクの吐出を示すデータであり、データ[11]は大ドットに対応する多量のインクの吐出を示すデータである。
【0032】
===プリンタ1===
<プリンタ1の構成について>
次に、プリンタ1の構成について説明する。ここで、図3Aは、本実施形態のプリンタ1の構成を示す図である。図3Bは、本実施形態のプリンタ1の構成を説明する側面図である。なお、以下の説明では、図2も参照する。
【0033】
図2に示すように、プリンタ1は、用紙搬送機構20、キャリッジ移動機構30、ヘッドユニット40、検出器群50、プリンタ側コントローラ60、および、駆動信号生成回路70を有する。なお、本実施形態において、プリンタ側コントローラ60および駆動信号生成回路70は、共通のコントローラ基板CTRに設けられている。また、ヘッドユニット40は、ヘッド制御部HCとヘッド41とを有している。そして、プリンタ側コントローラ60からヘッドユニット40へ送信されるヘッド制御信号(後述する。)、および、駆動信号生成回路70で生成された駆動信号COMは、図3Aに示すフレキシブルケーブルFCを介してヘッドユニット40へ送信される。
【0034】
このプリンタ1では、プリンタ側コントローラ60によって制御対象部、すなわち用紙搬送機構20、キャリッジ移動機構30、ヘッドユニット40(ヘッド制御部HC,ヘッド41)、および、駆動信号生成回路70が制御される。これにより、プリンタ側コントローラ60は、コンピュータ110から受け取った印刷データに基づき、用紙Sに画像を印刷させる。また、検出器群50の各検出器は、プリンタ1内の状況を監視している。そして、各検出器からの検出結果を受けたプリンタ側コントローラ60は、その検出結果に基づいて制御対象部を制御する。
【0035】
<用紙搬送機構20について>
用紙搬送機構20は、媒体を搬送させる媒体搬送部に相当する。この用紙搬送機構20は、媒体としての用紙Sを印刷可能な位置に送り込んだり、この用紙Sを搬送方向に所定の搬送量で搬送させたりするものである。この搬送方向は、次に説明するキャリッジ移動方向と交差する方向である。そして、図3Aおよび図3Bに示すように、用紙搬送機構20は、給紙ローラ21と、搬送モータ22と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。給紙ローラ21は、紙挿入口に挿入された用紙Sを搬送するためのローラである。搬送モータ22は、用紙Sを搬送方向に搬送させる際の動力を生成する。搬送ローラ23は、給紙ローラ21によって送られてきた用紙Sを印刷可能な領域まで搬送するためのローラである。プラテン24は、印刷中の用紙Sを、この用紙Sの裏面側から支持する部材である。排紙ローラ25は、印刷が終了した用紙Sを搬送するためのローラである。
【0036】
<キャリッジ移動機構30について>
キャリッジ移動機構30は、ヘッドユニット40が取り付けられたキャリッジCRをキャリッジ移動方向に移動させるためのものである。このキャリッジ移動機構30は、キャリッジモータ31と、ガイド軸32と、タイミングベルト33と、駆動プーリー34と、アイドラプーリー35とを有する。
【0037】
キャリッジモータ31は、キャリッジCRを移動させるための動力を生成する。キャリッジモータ31の回転軸には、駆動プーリー34が取り付けられている。この駆動プーリー34は、キャリッジ移動方向の一端側に配置されている。駆動プーリー34とは反対側となるキャリッジ移動方向の他端側には、アイドラプーリー35が配置されている。タイミングベルト33は、キャリッジCRに接続されているとともに、駆動プーリー34とアイドラプーリー35とに架け渡されている。ガイド軸32は、キャリッジCRを移動可能な状態で支持する。このガイド軸32は、キャリッジ移動方向に沿って取り付けられている。従って、キャリッジモータ31が動作すると、キャリッジCRは、このガイド軸32に沿ってキャリッジ移動方向に移動する。このキャリッジ移動方向には、一側から他側への移動方向と、他側から一側への移動方向が含まれている。
【0038】
ヘッドユニット40はヘッド41を有するので、キャリッジ移動方向は、ヘッド41が移動するヘッド移動方向に相当する。そして、キャリッジ移動機構30は、ヘッド41を所定方向に移動させるヘッド移動部に相当する。また、ヘッド41はノズルNzを有する。このため、ヘッド移動方向はノズル移動方向ということもでき、キャリッジ移動機構30はノズル移動部ということもできる。
【0039】
なお、このプリンタ1では、キャリッジCRおよびこのキャリッジCRに取り付けられた部品(以下、キャリッジCR等ともいう。)が移動し、他の部分は移動しない。このため、キャリッジCR等は可動部と表現することもできる。そして、キャリッジCR等を除いた部分については、便宜上、プリンタ本体(液体吐出装置本体に相当する。)と表現することもある。
【0040】
<ヘッドユニット40について>
次にヘッドユニット40について説明する。ここで、図4は、ヘッドユニット40の構成を説明する分解斜視図である。図5Aは、ヘッド41の構造を説明するための断面図である。図5Bは、ヘッド41が有するノズルNzの配置を説明する図である。
【0041】
ヘッドユニット40は、インクを用紙Sに向けて吐出させるためのものであり、例えば、図4に示すように、ヘッド41と、ヘッド制御部HCと、ヘッド側配線部材42とを有する。このヘッドユニット40は、キャリッジCRに取り付けられており、キャリッジCRと共に移動される。そして、このヘッドユニット40が有するヘッド41は、媒体との対向面であるヘッドケース43の下面に配置されている。また、ヘッド制御部HCは、ヘッド側配線部材42に設けられた状態でヘッドケース43の内部に配置されている。このヘッド側配線部材42は、複数の配線を樹脂製フィルムによって挟み込んだものであり、可撓性を有している。なお、ヘッド側配線部材42と前述したフレキシブルケーブルFCとは、電気的に接続されている。この電気的な接続は、例えば、図示しない中継基板を介してなされる。この中継基板は、ヘッド側配線部材42用のコネクタと、フレキシブルケーブルFC用のコネクタと、これらのコネクタ同士を電気的に接続するための基板側配線とを有し、キャリッジCRに取り付けられている。
【0042】
説明の都合上、ここではヘッド41の構成について説明し、ヘッド制御部HCの構成については後で説明する。図5Aに示すヘッド41は、流路ユニット41Aと、アクチュエータユニット41Bとを有する。流路ユニット41Aは、ノズルNzが設けられたノズルプレート411と、インク貯留室412aとなる開口部が形成された貯留室形成基板412と、インク供給口413aが形成された供給口形成基板413とを有する。アクチュエータユニット41Bは、圧力室414aとなる開口部が形成された圧力室形成基板414と、圧力室414aの一部を区画する振動板415と、供給側連通口416aとなる開口部が形成された蓋部材416と、振動板415の表面に形成されたピエゾ素子417とを有する。このヘッド41には、インク貯留室412aから圧力室414aを通ってノズルNzに至る一連の流路が形成されている。使用時において、この流路はインクで満たされており、ピエゾ素子417を変形させることで、対応するノズルNzからインクを吐出させることができる。従って、ピエゾ素子417は、液体としてのインクを吐出させるための動作をする素子に相当する。そして、ピエゾ素子417は、液体の吐出口としてのノズルNz毎に設けられている。このようなピエゾ素子417は、駆動信号COMに対する応答性がよいので、インクの吐出量を高い精度で制御することができる。
【0043】
図5Bに示すように、このヘッド41において、ノズルNzは、所定ピッチで搬送方向に並べられ、ノズル列(第1ノズル列N1〜第8ノズル列N8)を構成している。このようなノズル列N1〜N8は、複数のノズルNzからなるノズル群に相当する。このヘッド41では、吐出させるインクの種類をノズル列毎に定めることができる。すなわち、吐出させる液体の種類をノズル群毎に定めることができる。
【0044】
これらのノズル列N1〜N8は、キャリッジ移動方向に位置を異ならせて複数列設けられている。例示したヘッド41は、8つのノズル列を有している。具体的には、図5Bの左側から順に、ブラックインクを吐出させる第1ノズル列N1および第2ノズル列N2と、シアンインクを吐出させる第3ノズル列N3と、マゼンタインクを吐出させる第4ノズル列N4と、ライトシアンインクを吐出させる第5ノズル列N5と、ライトマゼンタインクを吐出させる第6ノズル列N6と、イエローインクを吐出させる第7ノズル列N7と、レッドインクを吐出させる第8ノズル列N8を有している。
【0045】
また、各ノズル列N1〜N8は、180dpi相当の間隔で配置された所定数(例えば96個)のノズルNzを有している。そして、第1ノズル列N1、第3ノズル列N3、第6ノズル列N6、および、第8ノズル列N8(便宜上、第1ノズル列グループともいう。)は、各ノズルNzの搬送方向の位置が揃っている。同様に、第2ノズル列N2、第4ノズル列N4、第5ノズル列N5、および、第7ノズル列N7(便宜上、第2ノズル列グループともいう。)も、各ノズルNzの搬送方向の位置が揃っている。加えて、第1ノズル列グループと第2ノズル列グループとは、ノズルNzの形成位置が搬送方向に半ピッチずれている。ここで、第1ノズル列と第2ノズル列はともにブラックインクを吐出させるため、ブラックインクを吐出させるノズルNzは搬送方向について360dpi相当の間隔で配置されている。
【0046】
<検出器群50について>
検出器群50は、プリンタ1の状況を監視するためのものである。図3A,図3Bに示すように、この検出器群50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出器53、および、紙幅検出器54等が含まれている。リニア式エンコーダ51は、キャリッジCR(ヘッド41,ノズルNz)のキャリッジ移動方向の位置を検出するためのものである。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23の回転量を検出するためのものである。紙検出器53は、印刷される用紙Sの先端位置を検出するためのものである。紙幅検出器54は、印刷される用紙Sの幅を検出するためのものである。
【0047】
<プリンタ側コントローラ60について>
プリンタ側コントローラ60は、プリンタ1の制御を行うものである。このプリンタ側コントローラ60は、図2に示すように、インタフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、制御ユニット64とを有する。インタフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110との間でデータの受け渡しを行う。CPU62は、プリンタ1の全体的な制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM、ROM等の記憶素子によって構成される。そして、CPU62は、各制御対象部を制御する。例えば、CPU62は、制御ユニット64を介して用紙搬送機構20やキャリッジ移動機構30を制御する。また、CPU62は、ヘッド41の動作を制御するためのヘッド制御信号をヘッド制御部HCに出力したり、駆動信号COMを生成させるための制御信号を駆動信号生成回路70に出力したりする。このようなCPU62の動作は、メモリ63に記憶されているコンピュータプログラムに従ってなされる。このため、このコンピュータプログラムは、各制御対象部を制御するためのコードを有する。
【0048】
<駆動信号生成回路70について>
駆動信号生成回路70は、ピエゾ素子417を動作させるための駆動信号COMを生成する。前述したように、ピエゾ素子417は、液体を吐出させるための動作をする素子である。このため、駆動信号生成回路70は、この素子を駆動するための駆動信号を生成する駆動信号生成部に相当する。このプリンタ1では、プリンタ側コントローラ60からの制御信号に基づき、駆動信号生成回路70は駆動信号COMを生成する。プリンタ側コントローラ60からの制御信号は、例えば、出力電圧を指示する電圧指示信号である。この電圧指示信号は、例えば10ビットのデジタル値で出力電圧を表す。そして、駆動信号生成回路70は、この電圧指示信号に対応する電圧値のアナログ信号を出力する。このため、電圧指示信号は、DAC値とも呼ばれる。なお、この駆動信号生成回路70は、電流増幅回路も有している(図示せず。)。この電流増幅回路は、出力されたアナログ信号について、その電流を増幅させる。これにより、多数のピエゾ素子417が同時にオン状態になって大きな電流が流れたとしても、電流が不足する不具合を防止できる。
【0049】
次に、駆動信号COMについて説明する。なお、駆動信号COMの詳細は後で説明するため、ここでは駆動信号COMの概略について説明する。このプリンタ1で用いられる駆動信号COMは、例えば図18に示す波形である。この駆動信号COMは、複数の波形部(第1波形部SS1〜第8波形部SS8)から構成されている。各波形部は、ピエゾ素子417を動作させるための駆動パルス(第1駆動パルスPS1〜第8駆動パルスPS8)を有している。ここで、駆動パルスは、ノズルNzからインクを吐出させるための吐出パルスと、メニスカス(ノズルNzで露出しているインクの自由表面)を微振動させるための微振動パルスとを含んでいる。なお、例示した駆動信号COMは、8つの波形部を有し、これらの波形部が1つの繰り返し単位となっている。つまり、駆動信号生成回路70は、これらの波形部を繰り返し生成する。そして、インクの吐出量、つまり、ドット形成データSIに応じて、これらの波形部を選択的にピエゾ素子417へ印加することで、ノズルNzから吐出させるインクの量を制御している。
【0050】
波形部のピエゾ素子417への選択的な印加は、複数種類の波形部選択データSP_A〜SP_D(図9を参照。)に基づいてなされる。これらの波形部選択データSP_A〜SP_Dは、例えば図19A〜図19Dにてデコード値として示すように、各ビットが各波形部SS1〜SS8に対応したデータによって構成される。そして、この波形部選択データSP_A〜SP_Dの或るビットがデータ[1]の場合、対応する波形部がピエゾ素子417へ印加される。一方、或るビットがデータ[0]の場合、対応する波形部はピエゾ素子417へ印加されない。すなわち、この波形部選択データSP_A〜SP_Dは、ピエゾ素子417へ印加される駆動信号COMの必要部分を定めるための印加データに相当する。そして、このプリンタ1では、波形部選択データSP_A〜SP_Dを用いてヘッド制御部HCが有するスイッチ861(図16を参照。)を制御し、必要な波形部SS1〜SS8をピエゾ素子417へ印加させている。
【0051】
===本実施形態の主要部(概要)===
前述の構成を有するプリンタ1では、印加データとしての波形部選択データ(SP_A〜SP_D)を用い、必要な波形部SS1〜SS8をピエゾ素子417へ印加させている。これらの波形部選択データは、ノズル列N1〜N8毎に設定できることが望ましい。すなわち、インクの吐出量とピエゾ素子417に印加される波形部の関係は、そのインクに応じて選択できることが望ましい。これは、インク毎にその特性が異なるからである。また、高品位な画像を印刷するためには、インクと印刷モードに応じて吐出量を最適化することが好ましい。
【0052】
加えて、前述したヘッドユニット40の取り付け方向は、プリンタ1の機種によって異なる場合がある。例えば、ノズルNzの形成面の方向に180度回転して取り付けられる場合がある。この場合、ヘッドユニット40を単に回転させて取り付けたのでは、ヘッド移動方向に対する各ノズル列N1〜N8の通過順序(吐出されるインクの順序)が、ヘッドユニット40の取り付け方向に応じて異なってしまう。この観点からしても波形部選択データはノズル列N1〜N8毎に設定できることが望ましい。
【0053】
しかしながら、仮に波形部選択データの種類とインクの種類を同数にして1対1に対応付けたとすると、波形部選択データは、対応するインク専用となってしまう。つまり、波形部選択データと吐出するインクの種類との関係が固定化されてしまう。このため、インクの種類との関係を変更する場合には、波形部選択データをその都度更新する必要があり、制御が煩雑になってしまうという問題があった。
【0054】
また、インクの種類との関係が固定化されている場合、所定データ量の波形部選択データを全てのインク(全てのノズル群)について送信する必要がある。このため、波形部選択データの送信に要する時間が増えてしまい、好ましくない。
【0055】
そこで、このプリンタ1では、図8に示すように、複数種類の波形部選択データSP_A〜SP_Dを記憶する波形部選択データメモリ821〜824(印加データ記憶部に相当する。)と、波形部選択データメモリ821〜824に記憶された複数種類の波形部選択データSP_A〜SP_Dを選択するデータ選択部83(印加データ選択部に相当する。)とを、ヘッド制御部HCに設けている。そして、データ選択部83で選択された波形部選択データSP_A〜SP_Dに基づいて、駆動信号COMが有する波形部SS1〜SS8(必要部分に相当する。)をピエゾ素子417へ印加している。これにより、そのインクの吐出に使用される波形部選択データを、波形部選択データメモリ821〜824に記憶された複数種類の波形部選択データSP_A〜SP_Dから選択することができる。このため、ピエゾ素子417に印加される駆動信号COMの必要部分と、インクの吐出量の関係を容易に変更することができる。
【0056】
また、このプリンタ1では、波形部選択データSP_A〜SP_Dの基となる所定種類かつ所定ビット数の基波形部選択データSP1〜SP8(基印加データに相当する。)を、プリンタ側コントローラ60(基印加データ送信部に相当する。)からパラレル送信する。そして、ヘッド制御部HCでは、送信された基波形部選択データSP1〜SP8から波形部選択データSP_A〜SP_Dを生成する。ここで、生成される波形部選択データSP_A〜SP_Dは、所定種類よりも少ない種類であって所定ビット数よりも多いビット数とする。このように構成することで、基波形部選択データSP1〜SP8の方が波形部選択データSP_A〜SP_Dよりも種類が多く1種類あたりのビット数が少なくなる。このため、基波形部選択データSP1〜SP8の送信を、波形部選択データSP_A〜SP_Dそのものをパラレル送信するよりも短時間で終えることができる。その結果、波形部選択データSP_A〜SP_Dの送信を効率よく行うことができる。以下、これらの点について詳細に説明する。
【0057】
===主要部の詳細===
<フレキシブルケーブルFCについて>
まず、プリンタ側コントローラ60からの信号送信に用いられるフレキシブルケーブルFCについて説明する。ここで、図6Aは、フレキシブルケーブルFCの一部分について構成を説明する断面図である。図6Bは、フレキシブルケーブルFCで送信される信号を芯線CW毎に説明する図である。前述したように、フレキシブルケーブルFCは、プリンタ側コントローラ60とヘッド制御部HCとを電気的に接続するためのものである。このように、フレキシブルケーブルFCが用いられている理由は、このプリンタ1では、画像を印刷する際に、ヘッドユニット40等が取り付けられたキャリッジCRをキャリッジ移動方向へ往復移動させているからである。つまり、可動部に設けられたヘッド制御部HC等とプリンタ側コントローラ60とを電気的に接続するためにフレキシブルケーブルFCが用いられている。そして、ヘッドユニット40を移動させる関係から、ヘッドユニット40側に搭載できる部品のスペースは限られる。このため、ヘッドユニット40側に搭載する部品は、なるべく少ないことが望ましい。そこで、このプリンタ1では、駆動信号COMの印加に必要とされる最小限の部品でヘッド制御部HCを構成し、プリンタ本体側に設けられたプリンタ側コントローラ60でこのヘッド制御部HCを制御するようにしている。
【0058】
フレキシブルケーブルFCは、例えば図6Aに示すように、互いに平行に配置された複数の芯線CWを、樹脂製のフィルムで覆った構成である。そして、1本の芯線CWで1種類の信号を送信できる。例えば、図6Bに示すように、転送信号TR1〜TR8、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、N−チャージ信号NCHG、クロック信号SCK、ロジック用電源VDD、および、駆動信号COMを送信できる。なお、図示の例では芯線CWが2層に配置されている。そして、各信号を送信するための芯線CWが千鳥状に配置され、これらの芯線CWの間に他の芯線CWが配置されている。そして、他の芯線CWがグランド用となっている。このように信号用の芯線CW同士の間にグランド用の芯線CWを配置することにより、信号同士の干渉を防止している。
【0059】
<ヘッド制御信号について>
送信される信号の中で、転送信号TR1〜TR8、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、N−チャージ信号NCHG、および、クロック信号SCKは、ヘッド41を制御するためのヘッド制御信号に相当する。そして、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、および、N−チャージ信号NCHGは、駆動信号COMをピエゾ素子417へ印加するための制御信号に相当する。
【0060】
転送信号TR1〜TR8は、各ノズル列N1〜N8に対応した種類が用意される。前述したように、吐出させるインクはノズル列毎に定めることができる。そして、各転送信号TR1〜TR8はヘッド制御部HCに対し、異なる芯線CWを通じてパラレル送信される。なお、この転送信号TR1〜TR8の内容については、後で詳しく説明する。
【0061】
ラッチ信号LATは、記憶信号に相当し、ドット形成データSIや基波形部選択データSP1〜SP8を、ヘッド制御部HCが有する所定の記憶部(ラッチ回路841a,841b、および、波形部選択データメモリ821〜824,後述する。)へ記憶させる際に用いられる。すなわち、ラッチ信号LATはラッチパルスを有しており、このラッチパルスが規定するタイミングでドット形成データSIや基波形部選択データSP1〜SP8が記憶(ラッチ)される。これらのドット形成データSIや基波形部選択データSP1〜SP8は、転送信号TR1〜TR8に含まれている。また、ラッチ信号LATは、駆動信号COMが有する1番目の波形部(第1波形部SS1)について、ピエゾ素子417へ印加させるタイミングも規定している。
【0062】
チェンジ信号CHは、駆動信号COMが有する2番目以降の波形部(第2波形部SS2〜第8波形部SS8)について、ピエゾ素子417へ印加させるタイミングを規定する。すなわち、チェンジ信号CHはチェンジパルスを有しており、このチェンジパルスが規定するタイミングで、対応する波形部の印加或いは非印加が選択される。
【0063】
この説明から判るように、ラッチパルスおよびチェンジパルスは、各波形部SS1〜SS8の印加開始タイミングを規定するタイミングパルスに相当する。そして、ラッチパルスは、駆動信号COMの或る繰り返し単位から次の繰り返し単位への切り替えタイミングも規定している。また、チェンジパルスは、駆動信号COMの或る繰り返し単位内において、或る波形部から次の波形部へ切り替わるタイミングも規定している。
【0064】
N−チャージ信号NCHGは、ドット形成データSIに拘わらず、駆動信号COMを全てのピエゾ素子417に印加する際に用いられるものである。これにより、自然放電等によってピエゾ素子417の電位が低下した場合でも、ピエゾ素子417を所定電位に調整することができる。なお、このN−チャージ信号NCHGは、Lレベルで有効な信号である。すなわち、N−チャージ信号NCHGがLレベルになると、Lレベルの期間に亘り、全てのピエゾ素子417に対して駆動信号COMが印加される。
【0065】
クロック信号SCKは、ヘッド制御部HCが動作する際のタイミングを規定する信号である。このクロック信号SCKは、例えば、転送信号TR1〜TR8をヘッド制御部HCへ転送する際に用いられる。
【0066】
<転送信号TR1〜TR8について>
次に、転送信号TR1〜TR8について説明する。図7は、転送信号TR1〜TR8を模式的に説明する図である。図7に示すように、転送信号TR1〜TR8は、第1転送信号TR1から第8転送信号TR8までの8つの信号で構成されている。これらの第1転送信号TR1から第8転送信号TR8は、ドット形成データSIと、指定データSLと、基波形部選択データ(SP1〜SP8)とを有している。
【0067】
第1転送信号TR1は、第1ドット形成データSI1(SI1a,SI1b)、第1指定データSL1、および、第1基波形部選択データSP1を有し、第2転送信号TR2は、第2ドット形成データSI2(SI2a,SI2b)、第2指定データSL2、および、第2基波形部選択データSP2とを有している。他の転送信号TR3〜TR8も同様である。すなわち、第3転送信号TR3は、第3ドット形成データSI3(SI3a,SI3b)、第3指定データSL3、および、第3基波形部選択データSP3を有し、第4転送信号TR4は、第4ドット形成データSI4(SI4a,SI4b)、第4指定データSL4、および、第4基波形部選択データSP8を有している。第5転送信号TR5は、第5ドット形成データSI5(SI5a,SI5b)、第5指定データSL5、および、第5基波形部選択データSP5を有し、第6転送信号TR6は、第6ドット形成データSI6(SI6a,SI6b)、第6指定データSL6、および、第6基波形部選択データSP6を有している。第7転送信号TR7は、第7ドット形成データSI7(SI7a,SI7b)、第7指定データSL7、および、第7基波形部選択データSP7を有し、第8転送信号TR8は、第8ドット形成データSI8(SI8a,SI8b)、第8指定データSL8、および、第8基波形部選択データSP8を有している。
【0068】
なお、各ドット形成データSI1〜SI8および各指定データSL1〜SL8は、各ノズル列N1〜N8に対応している。例えば、第1ドット形成データSI1および第1指定データSL1は第1ノズル列N1用のデータであり、第8ドット形成データSI8および第8指定データSL8は第8ノズル列N8用のデータである。一方、各基波形部選択データSP1〜SP8は、各ノズル列N1〜N8に対応していない。
【0069】
ドット形成データSIは、前述したように2ビットである。そして、各転送信号TR1〜TR8に含まれるドット形成データSIは、上位ビット群(SI1a,SI2a,…,SI8a)と下位ビット群(SI1b,SI2b,…,SI8b)とに分けられている。すなわち、上位ビット群は、そのノズル列における1番目のノズルNzに対応するものからn番目(例えば96番目)のノズルNzに対応するものまでのnビットで構成されている。下位ビット群も同様にnビットで構成されている。
【0070】
指定データSL(SL1〜SL8)は、ヘッド制御部HCで生成された複数種類の波形部選択データSP_A〜SP_Dのうち、そのノズル列(第1ノズル列N1〜第8ノズル列N8)で使用されるものを指定するものである。例えば、第1指定データSL1は第1ノズル列N1で用いられる波形部選択データSP_A〜SP_Dを指定し、第8指定データSL8は第8ノズル列N8で用いられる波形部選択データSP_A〜SP_Dを指定する。ここで、波形部選択データSP_A〜SP_Dは、ピエゾ素子417へ印加される駆動信号COMの必要部分を定めるための印加データである。このため、指定データSLは、印加データを選択するための選択データに相当する。なお、このプリンタ1において指定データSLは2ビットである。このため、4種類の波形部選択データSP_A〜SP_Dの中から、1つの波形部選択データを指定することができる。
【0071】
基波形部選択データSP1〜SP8は、波形部選択データSP_A〜SP_Dの基となるデータである。すなわち、ヘッド制御部HCは、送信された基波形部選択データSP1〜SP8に基づいて波形部選択データSP_A〜SP_Dを生成する。このため、基波形部選択データSP1〜SP8は基印加データに相当する。ここで、基波形部選択データは所定種類かつ所定ビット数とされる。本実施形態では、第1基波形部選択データSP1から第8基波形部選択データSP8までの8種類が用意され、それぞれが16ビットとされている。そして、ヘッド制御部HCで生成される波形部選択データSP_A〜SP_Dは、基波形部選択データSP1〜SP8に比べて、種類が少なくビット数が多くなっている。この実施形態における波形部選択データSP_A〜SP_Dは4種類であって、それぞれが32ビットである。
【0072】
各転送信号TR1〜TR8は、プリンタ側コントローラ60によって送信される。このため、プリンタ側コントローラ60は、基印加データ(基波形部選択データSP1〜SP8)を送信する基印加データ送信部、吐出量データ(ドット形成データSI)を送信する吐出量データ送信部、選択データ(指定データSL)を送信する選択データ送信部に相当する。また、各転送信号TR1〜TR8は、それぞれ別個の芯線CWを通じてパラレル送信される。このため、各芯線CWは、吐出量データ、選択データ、および、基印加データを送信するための共通の配線に相当する。そして、1本の芯線CWで複数種類のデータを送信することで、芯線CWの数をできるだけ少なくしている。
【0073】
<ヘッド制御部HCについて>
次にヘッド制御部HCについて説明する。ここで、図8は、ヘッド制御部HCの全体構成を説明するためのブロック図である。図9は、ヘッド制御部HCが有するシフトレジスタ群81、および、制御ロジック82の構成を説明する図である。図8に示すように、ヘッド制御部HCは、シフトレジスタ群81と、制御ロジック82と、データ選択部83と、信号印加部SGとを有する。
【0074】
<シフトレジスタ群81について>
シフトレジスタ群81は、プリンタ側コントローラ60からパラレル送信された各転送信号TR1〜TR8をそれぞれ記憶する。このため、シフトレジスタ群81は、第1転送信号TR1に対応する第1グループ81Aから第8転送信号TR8に対応する第8グループ81Hまでの8つのグループを有する。そして、クロック信号SCKで規定されるタイミング毎に、各グループ81A〜81Hには対応する転送信号TR1〜TR8が1ビットずつセットされる。各転送信号TR1〜TR8が最後のビットまでセットされると、各転送信号TR1〜TR8に含まれるデータが対応する記憶部へ記憶される。例えば、ドット形成データSI1〜SI8は、ピエゾ素子417に対応する組毎に、ラッチ回路(第1ラッチ回路841aおよび第2ラッチ回路841b,図15を参照。)でラッチされる。指定データSL1〜SL8は、データ選択部83が有する指定データメモリ831(図12を参照。)に記憶される。基波形部選択データSP1〜SP8は、制御ロジック82が有する波形部選択データメモリ821〜824に記憶される。これらのデータの中で、ドット形成データSI1〜SI8および基波形部選択データSP1〜SP8は、ラッチ信号LAT(記憶信号に相当する。)が有するラッチパルスに基づいて対応するメモリに記憶される。また、指定データSL1〜SL8は、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、および、N−チャージ信号NCHGの組み合わせが、通常の制御では用いられない特定の組み合わせになった場合に、指定データメモリ831に記憶される。
【0075】
このシフトレジスタ群81は、プリンタ側コントローラ60からの送信データ(各転送信号TR1〜TR8)を記憶する送信データ記憶部に相当する。また、シフトレジスタ群81は、その一部の領域で、基印加データとしての基波形部選択データSP1〜SP8を記憶する。このため、基印加データ記憶部にも相当する。加えて、シフトレジスタ群81は、ラッチ信号LATでラッチされる前の各転送信号TR1〜TR8を一時的に記憶する。このため、一時記憶部にも相当する。
【0076】
<制御ロジック82について>
次に制御ロジック82について説明する。ここで、図10は、制御ロジック82の具体的な構成例を説明する図である。制御ロジック82は、波形部選択データSP_A〜SP_Dを記憶する波形部選択データメモリ(821〜824)と、波形部選択データSP_A〜SP_Dをデータ選択部83へ出力するデータ出力部825とを有する。
【0077】
まず、波形部選択データメモについて説明する。波形部選択データメモリは、印加データ記憶部に相当するものであり、パターンメモリとも呼ばれる。この波形部選択データメモリは、第1波形部選択データSP_Aを記憶するための第1波形部選択データメモリ821と、第2波形部選択データSP_Bを記憶するための第2波形部選択データメモリ822と、第3波形部選択データSP_Cを記憶するための第3波形部選択データメモリ823と、第4波形部選択データSP_Dを記憶するための第4波形部選択データメモリ824とを有する。各波形部選択データメモリ821〜824は、いずれも同じ構成であり、1ビットのデータを記憶可能な複数のレジスタRGを有している。各レジスタRGは、例えばD−FF(delay flip flop)回路によって構成される。
【0078】
そして、図10では、各波形部選択データメモリ821〜824の1つについて、その構成例を説明している。説明の便宜上、図10では、各レジスタRGを、列方向(縦方向)に8個、行方向(横方向)に4個のマトリクス状に配置している。同じ列に属する8個のレジスタRG(以下、レジスタ群ともいう。)は、ドット形成データSIで規定される1つの階調で使用されるサブ波形部選択データq0〜q3を記憶する。
【0079】
この例において、波形部選択データSP_A〜SP_Bのそれぞれは、4種類のサブ波形部選択データq0〜q3(サブ印加データに相当する。)を有している。例えば、左端の列に属するレジスタ群は、ドット無しのデータ[00]に対応するサブ波形部選択データq0を記憶する。左から2番目の列に属するレジスタ群は、小ドットのデータ[01]に対応するサブ波形部選択データq1を記憶する。同様に、左から3番目の列に属するレジスタ群は、中ドットのデータ[10]に対応するサブ波形部選択データq2を記憶し、右端の列に属するレジスタ群は、大ドットのデータ[11]に対応するサブ波形部選択データq3を記憶する。また、各サブ波形部選択データq0〜q3は、駆動信号COMが有する各波形部SS1〜SS8(必要部分に相当する。)のピエゾ素子417への印加、非印加を規定する。レジスタ群において、図中最も上側に位置するレジスタRGには第1波形部SS1の印加、非印加を規定するデータが記憶され、上側から2番目に位置するレジスタRGには第2波形部SS2の印加、非印加を規定するデータが記憶される。他のレジスタRGも同様であり、最も下側に位置するレジスタRGには第8波形部SS8の印加、非印加を示すデータが記憶される。
【0080】
そして、この例では、複数の基波形部選択データを組み合わせることで、1つの波形部選択データが生成される。例えば、図9に示すように、第1基波形部選択データSP1と第2基波形部選択データSP2とで第1波形部選択データSP_Aが生成され、第3基波形部選択データSP3と第4基波形部選択データSP4とで第2波形部選択データSP_Bが生成される。同様に、第5基波形部選択データSP5と第6基波形部選択データSP6とで第3波形部選択データSP_Cが生成され、第7基波形部選択データSP7と第8基波形部選択データSP8とで第4波形部選択データSP_Dが生成される。
【0081】
各波形部選択データSP_A〜SP_Dの生成は、シフトレジスタ群81に一時的に記憶された各基波形部選択データSP1〜SP8を、波形部選択データメモリ821〜824の定められた領域に格納することで行われる。図10の例では、図の上半部分に位置する16個のレジスタRGには奇数番目の基波形部選択データSP1,SP3,SP5,SP7が記憶され、下半部分に位置する16個のレジスタRGには偶数番目の基波形部選択データSP2,SP4,SP6,SP8が記憶されている。
【0082】
このように、複数の基波形部選択データ(SP1〜SP8)を組み合わせて1つの波形部選択データ(SP_A〜SP_D)を生成すると、組み合わせ次第で波形部選択データSP_A〜SP_Dの内容を変えられるので、生成される波形部選択データSP_A〜SP_Dの自由度を高めることができる。そして、ビット数の多い波形部選択データSP_A〜SP_Dであっても容易に生成することができる。また、波形部選択データSP_A〜SP_Dのビット数が増やせることから、駆動信号COMが有する波形部(SS1〜SS8)の数、つまり、選択される必要部分の数を増やすことができる。
【0083】
また、各波形部選択データSP_A〜SP_Dを生成するにあたり、シフトレジスタ群81に記憶された基波形部生成データSP1〜SP8を、波形部選択データメモリ821〜824の定められた領域に格納するように構成した場合には、波形部選択データを効率よく短時間で生成することができる。
【0084】
次に、データ出力部825について説明する。データ出力部825は、マルチプレクサ825a〜825dと、カウンタCTとを有している。
【0085】
マルチプレクサ825a〜825dは、レジスタ群を構成する各レジスタRGに記憶されているデータを、カウンタCTからの出力に応じて選択して出力するものである。このカウンタCTは、ラッチパルスでリセットされ、チェンジパルスが入力される毎にカウントアップされるものである。各マルチプレクサ825a〜825dは、リセットによって第1波形部SS1用のサブ波形部選択データq0〜q3を選択する。その後、各マルチプレクサ825a〜825dは、カウンタCTの出力がカウントアップされる毎に、選択するデータを切り替える。例えば、第2波形部SS2用のサブ波形部選択データq0〜q3、第3波形部用のサブ波形部選択データq0〜q3、…と選択するデータを切り替える。つまり、マルチプレクサ825a〜825dは、ラッチ信号LAT、および、チェンジ信号CHに基づいて、対象となるレジスタRGを切り替え、そのレジスタRGに記憶されているデータ出力する。その結果、データ出力部825からは、4種類のサブ波形部選択データq0〜q3からなる波形部選択データSP_A〜SP_Dが出力される。
【0086】
<データ選択部83について>
次にデータ選択部83について説明する。ここで、図11は、データ選択部83の全体構成を説明する図である。図12は、データ選択部83を構成する第1データ選択部83A〜第8データ選択部83Hの構成を説明する図である。図13は、各データ選択部83が有するq0選択回路832の構成を説明する図である。
【0087】
図11に示すように、データ選択部83は、制御ロジック82から出力された複数種類の波形部選択データSP_A〜SP_Dを選択し、各ノズル列N1〜N8に対応して設けられた信号印加部SGへ出力するものである。そして、各信号印加部SGは、データ選択部83で選択された波形部選択データSP_A〜SP_Dを用いてインクの吐出を制御する。データ選択部83は、ノズル列に対応する数が設けられる。この実施形態では、8つのノズル列N1〜N8が設けられているので、第1ノズル列N1に対応する第1データ選択部83Aから第8ノズル列N8に対応する第8データ選択部83Hまでの8個が設けられている。そして、各データ選択部83A〜83Hには、第1波形部選択データSP_Aから第4波形部選択データSP_Dのそれぞれと、対応する指定データSLが入力されている。指定データSLは、対応するノズル列用のものが入力される。すなわち、第1データ選択部83Aには、第1ノズル列N1で使用される波形部選択データSP_A〜SP_Dを選択するための第1指定データSL1が入力される。また、第2データ選択部83には、第2ノズル列N2で使用される波形部選択データSP_A〜SP_Dを選択するための第2指定データSL2が入力される。以下同様に入力され、第8データ選択部83Hには、第8ノズル列N8で使用される波形選択データSP_A〜SP_Dを選択するための第8指定データSL8が入力される。
【0088】
各データ選択部83A〜83Hは同じ構成である。図12に示すように、各データ選択部83A〜83Hは、指定データメモリ831、q0選択回路832、q1選択回路833、q2選択回路834、および、q3選択回路835を有している。q0選択回路832は、第1波形部選択データSP_Aから第4波形部選択データSP_Dのそれぞれが有するサブ波形部選択データq0から、指定データSLで指定されたサブ波形部選択データq0を選択して出力するものである。同様に、q1選択回路833はサブ波形部選択データq1を、q2選択回路834はサブ波形部選択データq2を、q3選択回路835はサブ波形部選択データq3を、それぞれ選択して出力するものである。
【0089】
各選択回路832〜835は、同じ構成である。例えば、q0選択回路832は、図13に示すように、4つのアンド回路832a〜832dと、1つのオア回路832eとを有している。第1アンド回路832aには、第1波形部選択データSP_Aのサブ波形部印加データq0(A)と、指定データSLの上位ビットA1の反転データと、指定データSLの下位ビットA2の反転データとが入力されている。なお、指定データSLの反転データは、インバータINVによって生成されている。そして、指定データSL[00]の場合に、第1アンド回路832aは、第1波形部選択データSP_Aのサブ波形部印加データq0(A)を出力する。第2アンド回路832bには、第2波形部選択データSP_Bのサブ波形部印加データq0(B)と、指定データSLの上位ビットA1の反転データと、指定データSLの下位ビットA2のデータとが入力されている。このため、指定データSL[01]の場合に、第2アンド回路832bは、第2波形部選択データSP_Bのサブ波形部印加データq0(B)を出力する。第3アンド回路832cには、第3波形部選択データSP_Cのサブ波形部印加データq0(C)と、指定データSLの上位ビットA1のデータと、指定データSLの下位ビットA2の反転データとが入力されている。このため、指定データSL[10]の場合に、第3アンド回路832cは、第3波形部選択データSP_Cのサブ波形部印加データq0(C)を出力する。第4アンド回路832dには、第4波形部選択データSP_Dのサブ波形部印加データq0(D)と、指定データSLの上位ビットA1のデータと、指定データSLの下位ビットA2のデータとが入力されている。このため、指定データSL[11]の場合に、第4アンド回路832dは、第4波形部選択データSP_Dのサブ波形部印加データq0(D)を出力する。オア回路832eには、各アンド回路832a〜832dから出力されたサブ波形部選択データq0(A)〜q0(D)が入力されている。このため、オア回路832eからは、指定データSLで指定されたサブ波形部選択データq0(A)〜q0(D)が出力される。
【0090】
指定データメモリ831は、選択データ記憶部に相当するものであり、指定データSL(選択データに相当する。)を書き換え可能に記憶する。図12および図13に示すように、指定データメモリ831は、指定データSLの上位ビットA1を記憶するレジスタ831aと、下位ビットA2を記憶するレジスタ831bとを有している。これらのレジスタ831a,831bは、ヘッド制御信号が通常の使用状態(すなわち、駆動信号COMをピエゾ素子417へ印加させる状態)では用いられない特定の組み合わせの場合に、指定データSLを記憶する。例えば、ラッチ信号LATがHレベル、チェンジ信号CHがHレベル、および、N−チャージ信号NCHGがLレベルの場合に、指定データSLを記憶する。このため、これらのレジスタ831a,831bのクロック端子には、アンド回路830が接続されている。このアンド回路830の入力には、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、および、N−チャージ信号NCHGの反転信号が入力されている。
【0091】
このようなデータ選択部83を設けることで、このプリンタ1では、制御ロジック82から出力された複数種類の波形部選択データSP_A〜SP_Dのうち、所望の波形部選択データを信号印加部SGへ出力することができる。これにより、吐出させるインク毎に、波形部選択データSP_A〜SP_Dを選択することができる。そして、指定データSLを書き換えることで、吐出されるインクと波形部選択データSP_A〜SP_Dの関係を容易に変更することができる。また、指定データメモリ831を制御するための専用の信号線を省略することができ、配線の簡素化が図れる。さらに、誤って指定データSLが記憶されてしまう不具合を防止することができる。
【0092】
<指定データSLについて>
次に指定データSLについて説明する。ここで、図14は、指定データSLの内容を説明する図である。前述したように、指定データSLは、使用される波形選択データSP_A〜SP_Dをノズル列N1〜N8毎に指定するために使用される。この実施形態では、ブラックインク用の第1ノズル列N1に対応する第1指定データSL1はデータ[00]である。これにより、第1波形部選択データSP_Aが指定される。同様に、ブラックインク用の第2ノズル列N2に対応する第2指定データSL2もデータ[00]である。シアンインク用の第3ノズル列N3に対応する第3指定データSL3はデータ[01]である。これにより、第2波形部選択データSP_Bが指定される。マゼンタインク用の第4ノズル列N4に対応する第4指定データSL4もデータ[01]である。ライトシアンインク用の第5ノズル列N5に対応する第5指定データSL5、および、ライトマゼンタインク用の第6ノズル列N6に対応する第6指定データSL6はデータ[10]である。これにより、第3波形部選択データSP_Cが指定される。イエローインク用の第7ノズル列N7に対応する第7指定データSL7はデータ[01]である。これにより、第2波形部選択データSP_Bが指定される。レッドインク用の第8ノズル列N8に対応する第8指定データSL8はデータ[11]である。これにより、第4波形部選択データSP_Dが指定される。
【0093】
このように、各指定データSL1〜SL8を用いて、波形部選択データSP_A〜SP_Dをノズル列N1〜N8毎に指定しているので、各ノズル列N1〜N8とインクの組み合わせが変わったとしても、容易に対応することができる。
【0094】
また、この例では、吐出させるインクの種類よりも少ない種類の波形部選択データを用意し、或る波形部選択データを複数種類のインクの吐出に用いている。言い換えれば、データ選択部83は、或る波形部選択データを複数のノズル列に対して選択している。これにより、インクの種類よりも少ない種類の波形部選択データを有効に使用することができる。
【0095】
<信号印加部SGについて>
次に、信号印加部SGについて説明する。ここで、図15は、信号印加部SGの構成を説明する図である。図16は、デコーダ851の構成を説明する図である。図8に示すように、信号印加部SGは、複数のノズル列N1〜N8のそれぞれに対応して設けられている。つまり、各ノズル列N1〜N8が有するピエゾ素子群PZnのそれぞれに対応して設けられている。そして、1つの信号印加部SGは、例えば図15に示すように、ラッチ回路群84、デコーダ群85、および、スイッチ群86を有する。
【0096】
ラッチ回路群84は、ピエゾ素子417毎(ノズルNz毎)に設けられた第1ラッチ回路841aと第2ラッチ回路841bの組を有している。これらの第1ラッチ回路841aおよび第2ラッチ回路841bの組は、ラッチ信号LATが有するラッチパルスに基づき、シフトレジスタ群81にセットされたドット形成データSIであってそのピエゾ素子417に対応するドット形成データSIをラッチする。すなわち、第1ラッチ回路841aはドット形成データSIの上位ビットをラッチし、第2ラッチ回路841bはドット形成データSIの下位ビットをラッチする。そして、ラッチされたドット形成データSIの上位ビットと下位ビットの組は、対応するデコーダ851へ出力される。
【0097】
デコーダ群85は、ピエゾ素子417毎に設けられた複数のデコーダ851を有する。各デコーダ851は同じ構成であり、4つのアンド回路851a〜851dと1つのオア回路851eを有している。第1アンド回路851aには、サブ波形部印加データq0と、ドット形成データSIの上位ビットの反転データと、ドット形成データSIの下位ビットの反転データとが入力されている。このため、ドット形成データSI[00]の場合に、第1アンド回路851aはサブ波形部印加データq0を出力する。第2アンド回路851bには、サブ波形部印加データq1と、ドット形成データSIの上位ビットの反転データと、ドット形成データSIの下位ビットのデータとが入力されている。このため、ドット形成データSI[01]の場合に、第2アンド回路851bはサブ波形部印加データq1を出力する。第3アンド回路851cには、サブ波形部印加データq2と、ドット形成データSIの上位ビットのデータと、ドット形成データSIの下位ビットの反転データとが入力されている。このため、ドット形成データSI[10]の場合に、第3アンド回路851cはサブ波形部印加データq2を出力する。第4アンド回路851dには、サブ波形部印加データq3と、ドット形成データSIの上位ビットのデータと、ドット形成データSIの下位ビットのデータとが入力されている。このため、ドット形成データSI[11]の場合に、第4アンド回路851dは、サブ波形部印加データq3を出力する。オア回路851eは、各アンド回路851a〜851dから出力されたサブ波形部選択データq0〜q3と、N−チャージ信号NCHGの反転信号とが入力されている。このため、オア回路851eからは、ドット形成データSIで指定されたサブ波形部選択データq0〜q3が出力される。また、N−チャージ信号NCHGが[0](Lレベル)の場合、オア回路851eは、ドット形成データSIの内容に拘わらず、データ[1](Hレベル)を出力する。
【0098】
スイッチ群86は、ピエゾ素子417への駆動信号COMの印加を制御するスイッチであって、ピエゾ素子417毎に設けられた複数のスイッチ861を有している。このスイッチ861は、デコーダ851から出力された波形部選択データSP_A〜SP_Dに基づいて動作をする。なお、ここでの波形部選択データSP_A〜SP_Dは、サブ波形部選択データq0〜q3のうち、ドット形成データSIによって選択されたものを意味する。そして、スイッチ861は、波形部選択データSP_A〜SP_Dがデータ[1]の期間に亘って、駆動信号COMをピエゾ素子417に印加する。また、データ[0]の期間は、駆動信号COMをピエゾ素子417へ印加させない。そして、駆動信号COMが印加されている期間に亘って、ピエゾ素子417は、駆動信号COMに応じて変形し、インクを吐出させるための動作等を行う。また、N−チャージ信号NCHGがLレベルの期間では、波形部選択データSP_A〜SP_Dの内容に拘わらず、ピエゾ素子417に駆動信号COMが印加される。
【0099】
なお、ピエゾ素子417は、コンデンサのように振る舞う。すなわち、駆動信号COMの印加が停止された場合において、停止直前の電位を維持する。言い換えれば、停止直前の変形状態を維持する。
【0100】
<信号印加部SGのまとめ>
このように、例示した信号印加部SGでは、複数種類のサブ印加データq0〜q3のうちドット形成データSIの内容に応じたものを、波形部選択データSP_A〜SP_Dとしてスイッチ861へ出力する。これにより、吐出されるインクの量をきめ細かに制御することができる。また、ラッチ回路群84やデコーダ群85がロジック回路によって構成されているので、動作周波数を高めても駆動信号COMの必要部分をピエゾ素子417へ印加できる。その結果、ドット形成データSIの内容に応じた複数種類の制御を効率よく行うことができる。
【0101】
<印刷時の動作について>
次に、印刷時の動作について説明する。ここで、図17は、印刷時の動作を説明するフローチャートである。この動作は、プリンタ側コントローラ60によって制御される。すなわち、プリンタ側コントローラ60のCPU62が、メモリ63に記憶されたコンピュータプログラムに従って行う。このため、コンピュータプログラムは、この動作を行わせるためのコードを有する。
【0102】
この動作では、まず、印刷命令の受信がなされる(S10)。ここでは、プリンタ側コントローラ60がコンピュータ110からの印刷命令を受信する。この印刷命令は、例えば、印刷データのヘッダに含まれている。そして、プリンタ側コントローラ60は、受信した印刷データに含まれる各種のコマンドに基づき、制御対象部を制御し、以下の給紙動作(S20)、ドット形成動作(S30)、搬送動作(S40)、排紙判断(S50)、排紙動作(S60)、印刷終了判断(S70)を行う。
【0103】
給紙動作(S20)は、用紙Sを印刷開始位置(頭出し位置とも言う)まで搬送する動作である。この給紙動作において、プリンタ側コントローラ60は用紙搬送機構20を制御し、用紙Sを印刷開始位置に移動させる。そして、このプリンタ1では、この給紙動作のタイミングで指定データSLを更新する。例えば、この給紙動作の最中に、最初に印刷される画像(ラスタライン)の転送信号TR1〜TR8をシフトレジスタ群81に記憶させる。その後、プリンタ側コントローラ60は、ラッチ信号LATおよびチェンジ信号CHをHレベルに、N−チャージ信号NCHGをLレベルにすることで、指定データSLを指定データメモリ831に記憶させる。
【0104】
ドット形成動作(S30)は、キャリッジ移動方向へ移動するヘッド41からインクを断続的に吐出させ、用紙S上にドットを形成する動作である。この動作において、プリンタ側コントローラ60は、キャリッジ移動機構30を制御してキャリッジCRを移動させる。また、ヘッド制御部HCを制御してヘッド41からインクを吐出させる。なお、このドット形成動作については後で説明する。
【0105】
搬送動作(S40)は、用紙Sを搬送方向に移動させる動作である。この搬送動作において、プリンタ側コントローラ60は、用紙搬送機構20を制御して用紙Sを搬送方向に搬送する。この搬送動作により、ヘッド41は、ドット形成動作によって形成されたドットの位置とは異なる位置に、ドットを形成することができる。
【0106】
排紙判断(S50)は、印刷対象となっている用紙Sを排出するか否かの判断である。この判断時において、この用紙Sに関するドット形成データSIが残っていれば排出は行われない。すなわち、プリンタ側コントローラ60は、ドット形成データSIがなくなるまでドット形成動作(S30)と搬送動作(S40)とを繰り返し行う。
【0107】
排紙動作(S60)は、用紙Sを排出する動作であり、印刷中の用紙Sに対するドット形成データSIがなくなった場合に行われる。この排紙動作においてプリンタ側コントローラ60は、用紙搬送機構20を制御して用紙Sを排出させる。なお、排紙判断は、印刷データに含まれる排紙コマンドに基づいて行ってもよい。
【0108】
印刷終了判断(S70)は、印刷を続行するか否かの判断である。この印刷終了判断は、例えば、次の用紙Sに対するドット形成データSIの有無で行う。この判断において、次の用紙Sに印刷を行うのであれば、給紙動作(S20)に戻って印刷を続行する。次の用紙Sに印刷を行わないのであれば、印刷動作を終了する。
【0109】
<ドット形成動作について>
次に、ドット形成動作について説明する。ここで、図18は、駆動信号COMを説明する図である。図19Aは、第1波形部選択データSP_Aを説明する図である。図19Bは、第2波形部選択データSP_Bを説明する図である。図19Cは、第3波形部選択データSP_Cを説明する図である。図19Dは、第4波形部選択データSP_Dを説明する図である。図20は、各転送信号TR1〜TR8の送信タイミングを説明する図である。ドット形成動作では、駆動信号COMを生成し、ドット形成データSIに応じてこの駆動信号COMの必要部分をピエゾ素子417へ印加する。
【0110】
<駆動信号COMについて>
まず、駆動信号COMについて説明する。図18に示すように、駆動信号COMは、8つの波形部SS1〜SS8を有している。すなわち、期間T1で生成される第1波形部SS1、期間T2で生成される第2波形部SS2、期間T3で生成される第3波形部SS3、期間T4で生成される第4波形部SS4、期間T5で生成される第5波形部SS5、期間T6で生成される第6波形部SS6、期間T7で生成される第7波形部SS7、および、期間T8で生成される第8波形部SS8を有している。そして、駆動信号生成回路70は、これらの第1波形部SS1から第8波形部SS8までを繰り返し単位とし、各波形部SS1〜SS8を繰り返し生成している。
【0111】
各波形部SS1〜SS8は、ピエゾ素子417を動作させるための駆動パルスを有している。すなわち、第1波形部SS1は第1駆動パルスPS1を有する。この第1駆動パルスPS1は、約7plのインクを吐出させるための吐出パルスである。第2波形部SS2は第2駆動パルスPS2を有する。この第2駆動パルスPS2は、インクが吐出されない程度の弱い圧力変動を圧力室414a内のインクに与える微振動パルスである。これにより、メニスカスが微振動してノズルNz付近のインク増粘が防止される。第3波形部SS3は第3駆動パルスPS3を有する。この第3駆動パルスPS3は、第1駆動パルスPS1と同様の機能を有する。第4波形部SS4は第4駆動パルスPS4を有する。この第4駆動パルスPS4は、約1.5plのインクを吐出させるための吐出パルスである。第5波形部SS5は第5駆動パルスPS5を有する。この第5駆動パルスPS5もまた、第1駆動パルスPS1と同様の機能を有する。第6波形部SS6は第6駆動パルスPS6を有する。この第6駆動パルスPS6は、約3plのインクを吐出させるための吐出パルスである。第7波形部SS7は第7駆動パルスPS7を有する。この第7駆動パルスPS7もまた、第1駆動パルスPS1と同様の機能を有する。第8波形部SS8は第8駆動パルスPS8を有する。この第8駆動パルスPS8は、微振動パルスである。
【0112】
<各波形部選択データSP_A〜SP_Dについて>
図19Aに示す第1波形部選択データSP_Aにおいて、ドット無し(ドット形成データSI[00])に対応するサブ波形部選択データq0は、データ[01000001]である。これにより、第2波形部SS2と第8波形部SS8がピエゾ素子417に印加され、第2駆動パルスPS2および第8駆動パルスPS8によってメニスカスの微振動が行われる。小ドットの形成(ドット形成データSI[01])に対応するサブ波形部選択データq1は、データ[00001000]である。これにより、第5波形部SS5がピエゾ素子417に印加され、第5駆動パルスPS5によって約7plのインクが吐出される。中ドットの形成(ドット形成データSI[10])に対応するサブ波形部選択データq2は、データ[00101000]である。これにより、第3波形部SS3および第5波形部SS5がピエゾ素子417に印加され、第3駆動パルスPS3および第5駆動パルスPS5によって約14plのインクが吐出される。大ドットの形成(ドット形成データSI[11])に対応するサブ波形部選択データq3は、データ[10101010]である。これにより、第1波形部SS1、第3波形部SS3、第5波形部SS5および第7波形部SS7がピエゾ素子417に印加され、第1駆動パルスPS1、第3駆動パルスPS3、第5駆動パルスPS5および第7駆動パルスPS7によって約28plのインクが吐出される。
【0113】
図19Bに示す第2波形部選択データSP_Bにおいて、サブ波形部選択データq0は、データ[01000001]である。これにより、第2駆動パルスPS2および第8駆動パルスPS8によってメニスカスの微振動が行われる。サブ波形部選択データq1は、データ[00000100]である。これにより、第6駆動パルスPS6によって約3plのインクが吐出される。サブ波形部選択データq2は、データ[00001100]である。これにより、第5駆動パルスPS5および第6駆動パルスPS6によって約10plのインクが吐出される。大ドットの形成に対応するサブ波形部選択データq3は、データ[10101010]である。これにより、第1駆動パルスPS1、第3駆動パルスPS3、第5駆動パルスPS5および第7駆動パルスPS7によって約28plのインクが吐出される。
【0114】
図19Cに示す第3波形部選択データSP_Cにおいて、サブ波形部選択データq0は、データ[01000001]である。これにより、第2駆動パルスPS2および第8駆動パルスPS8によってメニスカスの微振動が行われる。サブ波形部選択データq1は、データ[00010000]である。これにより、第4駆動パルスPS4によって約1.5plのインクが吐出される。サブ波形部選択データq2は、データ[00100000]である。これにより、第3駆動パルスPS3によって約7plのインクが吐出される。大ドットの形成に対応するサブ波形部選択データq3は、データ[10101000]である。これにより、第1駆動パルスPS1、第3駆動パルスPS3および第5駆動パルスPS5によって約21plのインクが吐出される。
【0115】
図19Dに示す第4波形部選択データSP_Dにおいて、サブ波形部選択データq0は、データ[01000001]である。これにより、第2駆動パルスPS2および第8駆動パルスPS8によってメニスカスの微振動が行われる。サブ波形部選択データq1は、データ[00000100]である。これにより、第6駆動パルスPS6によって約3plのインクが吐出される。サブ波形部選択データq2は、データ[00101000]である。これにより、第3駆動パルスPS3および第5駆動パルスPS5によって約14plのインクが吐出される。大ドットの形成に対応するサブ波形部選択データq3は、データ[10101010]である。これにより、第1駆動パルスPS1、第3駆動パルスPS3、第5駆動パルスPS5および第7駆動パルスPS7によって約28plのインクが吐出される。
【0116】
このように、4種類の波形部選択データSP_A〜SP_Dを用いることで、ドット形成データSIは共通であっても、インクの種類に適した吐出量を選択することができる。すなわち、インクの吐出量をきめ細かに制御することができる。
【0117】
<転送信号TR1〜TR8の送信について>
前述したように、このプリンタ1では、各転送信号TR1〜TR8をプリンタ側コントローラ60からヘッド制御部HCへ送信する。このとき、或る繰り返し単位の駆動信号COMによるインクの吐出制御を行っている期間に、次の繰り返し単位で用いられる各転送信号TR1〜TR8を送信する。図20の例では、或る繰り返し期間TAにおいて、次の繰り返し期間TBで用いられる各転送信号TR1〜TR8を送信している。これらの転送信号TR1〜TR8はヘッド制御部HCが有するシフトレジスタ群81に記憶される。各転送信号TR1〜TR8が有する基波形部選択データSP1〜SP8とドット形成データSIは、繰り返し期間TBの開始タイミングを規定するラッチパルスのタイミングで所定の記憶部(波形部選択データメモリ821〜824、第1ラッチ回路841a、第2ラッチ回路841b)に記憶される。これにより、基波形部選択データSP1〜SP8から波形部選択データSP_A〜SP_Dが生成され、第1波形部SS1用の波形部選択データSP_A〜SP_Dが信号印加部SGへ出力される。
【0118】
繰り返し期間TBでは、次の繰り返し期間で用いられる各転送信号TR1〜TR8が送信され、シフトレジスタ群81に記憶される。ここで、シフトレジスタ群81と所定の記憶部とは独立されており、かつ、各転送信号TR1〜TR8が有する基波形部選択データSP1〜SP8やドット形成データSIは所定の記憶部へ記憶されているので、インクの吐出制御には支障がない。従って、繰り返し期間TBにおいて、インクの吐出制御を行いつつ、次の期間における準備を行うことができる。例えば、チェンジパルスのタイミングで、第2波形部SS2以降に用いられる波形部選択データSP_A〜SP_Dを出力しつつ、各転送信号TR1〜TR8をシフトレジスタ群81にセットできる。その結果、各転送信号TR1〜TR8の送信を効率よく行うことができる。
【0119】
<第1実施形態のまとめ>
以上説明した第1実施形態では、各指定データSL1〜SL8によって複数種類の波形部選択データSP_A〜SP_Dを、ノズル列N1〜N8毎に選択できる。このため、ノズル列N1〜N8と波形部選択データSP_A〜SP_Dとの関係を変更したい場合に、この変更を容易に行うことができる。例えば、印刷モードが変わった場合に、変更後の印刷モードに迅速に対応できる。また、或るヘッドユニット40を、取り付け方向が異なる装置に取り付けた場合にも、容易に対応できる。
【0120】
また、この第1実施形態では、4種類かつ32ビットの波形部選択データSP_A〜SP_Dを生成するに際し、8種類かつ16ビットの基波形部選択データSP1〜SP8をヘッド制御部HCへパラレル送信している。このため、送信を短時間で終えることができ、制御の効率化が図れる。
【0121】
===第2実施形態===
前述した第1実施形態では、駆動信号生成回路70は1種類の駆動信号COMを生成していた。この構成では、駆動信号COMが有する波形部の数を増やすと、駆動信号COMの繰り返し単位が過度に長くなり、インクの吐出周波数を高くすることが難しくなる。第2実施形態は、このような事情に鑑みてなされたものであり、或る期間において駆動信号生成回路70から複数種類の駆動信号COMを生成させ、これらの駆動信号COMが有する波形部を選択的にピエゾ素子417へ印加することで、インクの吐出周波数を高めている。
【0122】
以下、第2実施形態について説明する。ここで、図21から図25は、第2実施形態のプリンタ1を説明する図である。すなわち、図21は、制御ロジック82の具体的構成を説明する図である。図22は、データ選択部83の全体構成を説明する図である。図23は、データ選択部83を構成する第1データ選択部83A〜第8データ選択部83Hの構成を説明する図である。図24は、信号印加部SGの構成を説明する図である。図25は、デコーダ851の構成を説明する図である。なお、第2実施形態に関し、第1実施形態と共通する部分については、説明を省略する。
【0123】
<制御ロジック82について>
この第2実施形態において、駆動信号生成回路70は、印刷動作の期間中に亘って、2種類の駆動信号COM_A,COM_Bを同時に生成する(図26を参照。)。これらの駆動信号COM_A,COM_Bについては後述するが、それぞれ4つの波形部SS11〜SS14,SS15〜SS18を有している。このため、図21に示すように、各波形部選択データSP_A〜SP_Dは、第1駆動信号COMが有する波形部SS11〜SS14を選択するためのサブ波形部選択データq0〜q3と、第2駆動信号COMが有する波形部SS15〜SS18を選択するためのサブ波形部選択データq4〜q7とを有する。
【0124】
この実施形態では、第1基波形部選択データSP1が、第1波形部選択データSP_Aのサブ波形部選択データq0〜q3となり、第2基波形部選択データSP2が、第1波形部選択データSP_Aのサブ波形部選択データq4〜q7となる。また、第3基波形部選択データSP3が、第2波形部選択データSP_Bのサブ波形部選択データq0〜q3となり、第4基波形部選択データSP4が、第2波形部選択データSP_Bのサブ波形部選択データq4〜q7となる。同様に、第5基波形部選択データSP5が、第3波形部選択データSP_Cのサブ波形部選択データq0〜q3となり、第6基波形部選択データSP6が、第3波形部選択データSP_Cのサブ波形部選択データq4〜q7となり、第7基波形部選択データSP7が、第4波形部選択データSP_Dのサブ波形部選択データq0〜q3となり、第8基波形部選択データSP8が、第4波形部選択データSP_Dのサブ波形部選択データq4〜q7となる。
【0125】
これに伴い、制御ロジック82が有する波形部選択データメモリ821〜824は、波形部選択データq0〜q3を記憶するレジスタRGと、波形部選択データq4〜q7を記憶するレジスタRGとを有することになる。また、データ出力部825が有するマルチプレクサ825a〜825hも、サブ波形部選択データq0〜q7のそれぞれに対応して設けられる。さらに、マルチプレクサ825a〜825hを制御するためのカウンタも、波形部選択データq0〜q3用のカウンタCTAと、波形部選択データq4〜q7用のカウンタCTBとが設けられる。そして、波形部選択データq0〜q3を出力するマルチプレクサ825a〜825dは、ラッチ信号LAT(ラッチパルス)および第1チェンジ信号CHA(第1チェンジパルス)に基づき、出力するデータの内容を切り替える。また、波形部選択データq4〜q7を出力するマルチプレクサ825e〜825hは、ラッチ信号LATおよび第2チェンジ信号CHB(第2チェンジパルス)に基づき、出力するデータの内容を切り替える。
【0126】
<データ選択部83について>
本実施形態のデータ選択部83もまた、第1データ選択部83A〜第8データ選択部83Hを有する。そして、各データ選択部83A〜83Hは、制御ロジック82から出力された複数種類の波形部選択データSP_A〜SP_Dを、各ノズル列N1〜N8に対応して設けられた信号印加部SGに選択して出力する。ここで、本実施形態では、各波形部選択データSP_A〜SP_Dが8種類のサブ波形部選択データq0〜q7を有している。このため、図23に示すように、各データ選択部83は、q0選択回路832〜q7選択回路839からなる8個の選択回路を有する。そして、q0選択回路832〜q3選択回路835は、前述した第1実施形態のものと同じ構成である(図12を参照。)。また、q4選択回路836は、サブ波形部選択データq6(A)〜q6(D)のうち、指定データSLで指定されたものを出力する。さらに、q5選択回路837、q6選択回路838、q7選択回路839も同様である。
【0127】
なお、q4選択回路836〜q7選択回路839の構成も、第1実施形態のq0選択回路832と同様であるので、その説明は省略する。また、指定データSLについても、その内容は第1実施形態で説明したものと同様であるので(図14を参照。)、その説明は省略する。
【0128】
<信号印加部SGについて>
図24に示すように、本実施形態の信号印加部SGも、ラッチ回路群84、デコーダ群85、および、スイッチ群86を有する。
【0129】
ラッチ回路群84は、第1実施形態のものと同様に、ピエゾ素子417毎に設けられた第1ラッチ回路841aと第2ラッチ回路841bの組を有している。デコーダ群85は、複数のデコーダ851を有する。ここで、この実施形態のデコーダ851は、図25に示すように、サブ波形部選択データq0〜q3を選択して出力する第1デコード部851Aと、サブ波形部選択データq4〜q7を選択して出力する第2デコード部851Bとを有する。第1デコード部851Aは、4つのアンド回路851a〜851dと1つのオア回路851eを有しており、その構成は第1実施形態とほぼ同じである。すなわち、第1デコード部851Aは、ドット形成データSIに応じてサブ波形部選択データq0〜q3の何れかを出力する。なお、オア回路851eにN−チャージ信号NCHGが入力されていない点が、第1実施形態のデコーダ851と相違している。
【0130】
第2デコード部851Bもまた、4つのアンド回路851f〜851iと1つのオア回路851jを有している。第1アンド回路851fには、波形部印加データq4と、ドット形成データSIの上位ビットの反転データと、ドット形成データSIの下位ビットの反転データとが入力されている。このため、ドット形成データSI[00]の場合に、第1アンド回路851fはサブ波形部印加データq4を出力する。第2アンド回路851gには、サブ波形部印加データq5と、ドット形成データSIの上位ビットの反転データと、ドット形成データSIの下位ビットのデータとが入力されている。このため、ドット形成データSI[01]の場合に、第2アンド回路851gはサブ波形部印加データq5を出力する。第3アンド回路851hには、サブ波形部印加データq6と、ドット形成データSIの上位ビットのデータと、ドット形成データSIの下位ビットの反転データとが入力されている。このため、ドット形成データSI[10]の場合に、第3アンド回路851hはサブ波形部印加データq6を出力する。第4アンド回路851iには、サブ波形部印加データq7と、ドット形成データSIの上位ビットのデータと、ドット形成データSIの下位ビットのデータとが入力されている。このため、ドット形成データSI[11]の場合に、第4アンド回路851iは、サブ波形部印加データq7を出力する。オア回路851jは、各アンド回路851f〜851iから出力されたサブ波形部選択データq4〜q7と、N−チャージ信号NCHGの反転信号とが入力されている。このため、オア回路851jからは、ドット形成データSIで指定されたサブ波形部選択データq4〜q7が出力される。また、N−チャージ信号NCHGが[0]の場合、オア回路851jは、ドット形成データSIの内容に拘わらず、データ[1]を出力する。
【0131】
スイッチ群86は、ピエゾ素子417毎に設けられた第1スイッチ861Aと第2スイッチ861Bの組を有している。ここで、第1スイッチ861Aは、第1デコード部851Aから出力されたサブ波形部選択データq0〜q3に基づいて第1駆動信号COMのピエゾ素子417への印加を制御する。第2スイッチ861Bは、第2デコード部851Bから出力されたサブ波形部選択データq4〜q7に基づいて第2駆動信号COMのピエゾ素子417への印加を制御する。そして、ドット形成データSI[00]の場合、第1デコード部851Aはサブ波形部選択データq0を出力し、第2デコード部851Bはサブ波形部選択データq4を出力する。また、ドット形成データSI[01]の場合、第1デコード部851Aはサブ波形部選択データq1を出力し、第2デコード部851Bはサブ波形部選択データq5を出力する。同様に、ドット形成データSI[10]の場合、第1デコード部851Aはサブ波形部選択データq2を、第2デコード部851Bはサブ波形部選択データq6をそれぞれ出力し、ドット形成データSI[11]の場合、第1デコード部851Aはサブ波形部選択データq3を、第2デコード部851Bはサブ波形部選択データq7をそれぞれ出力する。
【0132】
従って、このプリンタ1では、ドット形成データSIの内容に応じてデコーダ851(851A,851B)から出力されたサブ波形部選択データq0〜q3とサブ波形部選択データq4〜q7によって、第1スイッチ861Aと第2スイッチ861Bが制御される。そして、第1駆動信号COM_Aや第2駆動信号COM_Bの必要部分がピエゾ素子417へ印加される。
【0133】
<駆動信号COM_A,COM_Bについて>
まず、駆動信号COM_A,COM_Bについて説明する。ここで、図26は、第2実施形態における駆動信号COM_A,COM_Bを説明する図である。第1駆動信号COM_Aおよび第2駆動信号COM_Bはそれぞれ4つの波形部を有している。すなわち、第1駆動信号COM_Aは、期間T1で生成される第1波形部SS11、期間T2で生成される第2波形部SS12、期間T3で生成される第3波形部SS13、および、期間T4で生成される第4波形部SS14を有する。同様に、第2駆動信号COM_Bは、期間T1で生成される第5波形部SS15、期間T2で生成される第6波形部SS16、期間T3で生成される第7波形部SS17、および、期間T4で生成される第8波形部SS18を有する。そして、駆動信号生成回路70は、第1駆動信号COM_Aについては第1波形部SS11から第4波形部SS14を繰り返し単位とし、第2駆動信号COM_Bについては第5波形部SS15から第8波形部SS18を繰り返し単位とし、これらの波形部SS11〜SS18を繰り返し生成している。
【0134】
各波形部SS11〜SS18は、ピエゾ素子417を動作させるための駆動パルスを有している。すなわち、第1波形部SS11は第1駆動パルスPS11を有する。この第1駆動パルスPS11は、約7plのインクを吐出させるための吐出パルスである。本実施形態における第1駆動パルスPS11は、第1実施形態の第1駆動パルスPS1と同じ波形をしている。第2波形部SS12は第2駆動パルスPS12を有する。この第2駆動パルスPS12は、約3plのインクを吐出させるための吐出パルスである。本実施形態における第2駆動パルスPS12は、第1実施形態の第6駆動パルスPS6と同じ波形をしている。第3波形部SS13は第3駆動パルスPS13を有する。この第3駆動パルスPS13は、第1駆動パルスPS11と同様の機能を有する。第4波形部SS14は第4駆動パルスPS14を有する。この第4駆動パルスPS14は、微振動パルスである。第5波形部SS15は第5駆動パルスPS15を有する。この第5駆動パルスPS15もまた、微振動パルスである。第6波形部SS16は第6駆動パルスPS16を有する。この第6駆動パルスPS16は、第1駆動パルスPS11と同様の機能を有する。第7波形部SS17は第7駆動パルスPS17を有する。この第7駆動パルスPS17は、約1.5plのインクを吐出させるための吐出パルスである。本実施形態における第7駆動パルスPS17は、第1実施形態の第4駆動パルスPS4と同じ波形をしている。第8波形部SS18は第8駆動パルスPS18を有する。この第8駆動パルスPS18は、第1駆動パルスPS11と同様の機能を有する。
【0135】
<波形部選択データSP_A〜SP_Dについて>
次に、波形部選択データSP_A〜SP_Dについて説明する。ここで、図27Aは、第1波形部選択データSP_Aを説明する図である。図27Bは、第2波形部選択データSP_Bを説明する図である。図27Cは、第3波形部選択データSP_Cを説明する図である。図27Dは、第4波形部選択データSP_Dを説明する図である。前述したように、このプリンタ1では、サブ波形部選択データq0〜q3とサブ波形部選択データq4〜q7によって、第1駆動信号COM_Aや第2駆動信号COM_Bの必要部分がピエゾ素子417へ印加される。
【0136】
図27Aに示す第1波形部選択データSP_Aにおいて、ドット無しに対応するサブ波形部選択データq0はデータ[0001]であり、サブ波形部選択データq4はデータ[1000]である。これにより、期間T1で第5波形部SS15が、期間T4で第4波形部SS14がそれぞれピエゾ素子417に印加される。その結果、第5駆動パルスPS15および第4駆動パルスPS14によってメニスカスの微振動が行われる。小ドットの形成に対応するサブ波形部選択データq1はデータ[0010]であり、サブ波形部選択データq5はデータ[0000]である。これにより、期間T3で第3波形部SS13がピエゾ素子417に印加され、第3駆動パルスPS13によって約7plのインクが吐出される。中ドットの形成に対応するサブ波形部選択データq2はデータ[0010]であり、サブ波形部選択データq6はデータ[0100]である。これにより、期間T2で第6駆動パルスPS16が、期間T3で第3駆動パルスPS13がそれぞれピエゾ素子417へ印加される。その結果、約14plのインクが吐出される。大ドットの形成に対応するサブ波形部選択データq3はデータ[1010]であり、サブ波形部選択データq7はデータ[0101]である。これにより、期間T1で第1波形部SS11が、期間T2で第6波形部SS16が、期間T3で第3波形部SS13が、期間T4で第8波形部SS18がそれぞれピエゾ素子417に印加される。その結果、第1駆動パルスPS11、第6駆動パルスPS16、第3駆動パルスPS13および第8駆動パルスPS18によって約28plのインクが吐出される。
【0137】
図27Bに示す第2波形部選択データSP_Bにおいて、ドット無しに対応するサブ波形部選択データq0はデータ[0001]であり、サブ波形部選択データq4はデータ[1000]である。これにより、第5駆動パルスPS15および第4駆動パルスPS14によってメニスカスの微振動が行われる。小ドットの形成に対応するサブ波形部選択データq1はデータ[0100]であり、サブ波形部選択データq5はデータ[0000]である。これにより、期間T2で第2波形部SS12がピエゾ素子417に印加され、第2駆動パルスPS12によって約3plのインクが吐出される。中ドットの形成に対応するサブ波形部選択データq2はデータ[0110]であり、サブ波形部選択データq6はデータ[0000]である。これにより、期間T2で第2駆動パルスPS12が、期間T3で第3駆動パルスPS13がそれぞれピエゾ素子417へ印加される。その結果、約10plのインクが吐出される。大ドットの形成に対応するサブ波形部選択データq3はデータ[1010]であり、サブ波形部選択データq7はデータ[0101]である。これにより、第1駆動パルスPS11、第6駆動パルスPS16、第3駆動パルスPS13および第8駆動パルスPS18によって約28plのインクが吐出される。
【0138】
図27Cに示す第3波形部選択データSP_Cにおいて、ドット無しに対応するサブ波形部選択データq0はデータ[0001]であり、サブ波形部選択データq4はデータ[1000]である。これにより、第5駆動パルスPS15および第4駆動パルスPS14によってメニスカスの微振動が行われる。小ドットの形成に対応するサブ波形部選択データq1はデータ[0000]であり、サブ波形部選択データq5はデータ[0010]である。これにより、期間T3で第7波形部SS17がピエゾ素子417に印加され、第7駆動パルスPS17によって約1.5plのインクが吐出される。中ドットの形成に対応するサブ波形部選択データq2はデータ[0000]であり、サブ波形部選択データq6はデータ[0100]である。これにより、期間T2で第6駆動パルスPS16がピエゾ素子417へ印加される。その結果、約7plのインクが吐出される。大ドットの形成に対応するサブ波形部選択データq3はデータ[1010]であり、サブ波形部選択データq7はデータ[0100]である。これにより、第1駆動パルスPS11、第6駆動パルスPS16および第3駆動パルスPS13によって約21plのインクが吐出される。
【0139】
図27Dに示す第4波形部選択データSP_Dにおいて、ドット無しに対応するサブ波形部選択データq0はデータ[0001]であり、サブ波形部選択データq4はデータ[1000]である。これにより、第5駆動パルスPS15および第4駆動パルスPS14によってメニスカスの微振動が行われる。小ドットの形成に対応するサブ波形部選択データq1はデータ[0100]であり、サブ波形部選択データq5はデータ[0000]である。これにより、期間T2で第2波形部SS12がピエゾ素子417に印加され、第2駆動パルスPS12によって約3plのインクが吐出される。中ドットの形成に対応するサブ波形部選択データq2はデータ[0010]であり、サブ波形部選択データq6はデータ[0100]である。これにより、期間T2で第6駆動パルスPS16が、期間T3で第3駆動パルスPS13がそれぞれピエゾ素子417へ印加される。その結果、約14plのインクが吐出される。大ドットの形成に対応するサブ波形部選択データq3はデータ[1010]であり、サブ波形部選択データq7はデータ[0101]である。これにより、第1駆動パルスPS11、第6駆動パルスPS16、第3駆動パルスPS13および第8駆動パルスPS18によって約28plのインクが吐出される。
【0140】
このように本実施形態でも、4種類の波形部選択データSP_A〜SP_Dを用いることで、ドット形成データSIは共通であっても、インクの種類に適した吐出量を選択することができる。さらに本実施形態では、或る期間において複数種類の駆動信号COM_A,COM_Bを生成し、これらの駆動信号COM_A,COM_Bから選択された波形部SS11〜SS18をピエゾ素子417へ印加しているので、限られた期間であってもインクの吐出量をきめ細かに制御することができる。すなわち、インクの吐出周波数を高めつつ、インクの吐出量を制御することができる。
【0141】
===その他の実施形態===
上記の各実施形態は、印刷装置としてのプリンタ1について記載されているが、このプリンタ1によるインクの吐出制御方法の開示や、このプリンタ1を制御するためのコンピュータプログラム、このプログラムが有するコードについての開示も含まれている。また、上記の各実施形態は、プリンタ1を有する印刷システム100について記載されているが、その中には液体吐出装置及び液体吐出システムの開示も含まれている。また、液体を吐出して各種の処理操作を行う装置、および、この装置の制御方法も含まれている。さらに、上記の各実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0142】
<印刷モードの変更について>
印刷モードの変更に関し、インクカートリッジICの差し替えを契機に行ってもよい。ここで、図28Aは、第1印刷モードにおけるノズル列とインクの関係等を説明する図である。また、図28Bは、第2印刷モードにおけるノズル列とインクの関係等を説明する図である。
【0143】
図28Aの第1印刷モード(或る印刷モードに相当する。)では、8つのノズル列N1〜N8のそれぞれから異なるインクを吐出させている。すなわち、第1ノズル列N1からはブラックインクを吐出させ、第2ノズル列N2からはグレーインクを吐出させている。また、第3ノズル列N3からはシアンインクを吐出させ、第4ノズル列N4からはマゼンタインクを吐出させている。さらに、第5ノズル列N5からはライトシアンインクを、第6ノズル列N6からはライトマゼンタインクをそれぞれ吐出させ、第7ノズル列N7からはイエローインクを、第8ノズル列N8からはレッドインクをそれぞれ吐出させている。この第1印刷モードでは、各ノズル列N1〜N8から異なる種類のインクを吐出させているので、高品位の画像を印刷することができる。
【0144】
一方、図28Bの第2印刷モード(他の印刷モードに相当する。)では、8つのノズル列N1〜N8から4種類のインクを吐出させている。すなわち、2つのノズル列で同じインクを吐出させている。例えば、第1ノズル列N1および第2ノズル列N2からはブラックインクを吐出させ、第3ノズル列N3および第5ノズル列N5からはシアンインクを吐出させている。また、第4ノズル列N4および第6ノズル列N6からはマゼンタインクを吐出させ、第7ノズル列N7および第8ノズル列N8からはイエローインクを吐出させている。ここで、同じ色のインクを吐出させるノズル列同士は、図5Bに示すように、各ノズルNzの形成位置が互いに半ピッチずれている。このため、キャリッジCRの1回の移動において、前述した各実施形態よりも倍の密度でドットを形成することができる。このため、この印刷モードでは、高い密度の画像を高速で印刷することができる。
【0145】
そして、第1印刷モードから第2印刷モードの切り替えは、キャリッジCRに装着されるインクカートリッジIC(図3Aを参照。)を変更することで行われる。具体的には、装着されたインクカートリッジICが第1印刷モード用のものか、第2印刷モード用のものかを、プリンタ側コントローラ60に認識させる。この認識の方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、インクカートリッジICに設けられた接点付きのメモリ(図示せず)に対応する印刷モードの情報を記憶させ、この印刷モードの情報をプリンタ側コントローラ60に読み取らせることで、プリンタ側コントローラ60に認識させることができる。
【0146】
プリンタ側コントローラ60は、認識した印刷モードに基づいて各指定データSL1〜SL8を定める。そして、定めた指定データSL1〜SL8を各転送情報TR1〜TR8に含ませて、ヘッド制御部HCに送信する。これにより、印刷モードに応じて、各波形部選択データSP_A〜SP_Dを、所定のノズル列N1〜N8の吐出に用いることができる。その結果、インクカートリッジICの装着に伴って、そのインクに適した波形部選択データSP_A〜SP_Dでの印刷ができる。
【0147】
<指定データSLの更新について>
前述した各実施形態では、給紙動作(S10)にて指定データSLを更新していた。しかし、指定データSLの更新タイミングは、この例に限定されるものではない。例えば、搬送動作(S40)のタイミングで、指定データSLを更新するようにしてもよい。勿論、他のタイミングで更新してもよい。
【0148】
<駆動信号COMについて>
駆動信号生成回路70で生成される駆動信号COMに関し、第1実施形態では1種類であり、第2実施形態では2種類であった。しかし、駆動信号COMを3種類以上生成するように構成してもよい。
【0149】
<階調数について>
前述した各実施形態では、ドット形成データSIは2ビットで構成され、4階調でドットの形成を行っていた。言い換えれば、インクの吐出量を4段階で制御していた。しかし、階調数は4つに限定されるものではない。例えば、8階調(3ビット)で構成してもよいし、それ以外の階調数としてもよい。
【0150】
<基波形部選択データについて>
説明の都合上、基波形部選択データSP1〜SP8は、それぞれ16ビットとしたが16ビットに限定されるものではない。例えば、32ビットとしてもよいし、それ以上であってもよい。
【0151】
<吐出させるインクの種類について>
前述した各実施形態では、7種類のインク(図14を参照)、8種類のインク(図28Aを参照。)、4種類のインク(図28Bを参照。)を吐出させる構成について説明した。吐出させるインクの種類は、これらに限定されるものではなく、種々定めることができる。
【0152】
<ノズル群について>
前述した各実施形態では、同じ種類の液体を吐出するノズル群がノズル列によって構成されていた。そして、1つのヘッド41が8つのノズル列を有していた。しかし、ノズル列は、8つに限定されるものではなく、複数であればよい。また、ノズル群はノズル列に限られない。例えば、1つのノズル列内に、同じ液体を吐出させる複数のグループがあれば、各グループがノズル群を構成する。
【0153】
<ヘッド41から吐出される液体について>
前述した各実施形態では、プリンタ1の実施形態であったので、液状のインクを吐出させていた。しかし、吐出させる液体は、液状であればインクに限られるものではない。その用途に応じた液体を吐出させればよい。そして、各実施形態のように、液体が印刷用のインクである場合には、画像等の印刷を効率よく行うことができる。
【0154】
<他の応用例について>
また、前述の実施形態では、プリンタ1が説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の液体吐出装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。
【符号の説明】
【0155】
1 プリンタ,20 用紙搬送機構,21 給紙ローラ,22 搬送モータ,23 搬送ローラ,24 プラテン,25 排紙ローラ,30 キャリッジ移動機構,31 キャリッジモータ,32 ガイド軸,33 タイミングベルト,34 駆動プーリー,35 アイドラプーリー,40 ヘッドユニット,41 ヘッド,41A 流路ユニット,411 ノズルプレート,412 貯留室形成基板,412a インク貯留室,413 供給口形成基板,413a インク供給口,41B アクチュエータユニット,414 圧力室形成基板,414a 圧力室,415 振動板,416 蓋部材,416a 供給側連通口,417 ピエゾ素子,42 ヘッド側配線部材,43 ヘッドケース,50 検出器群,51 リニア式エンコーダ,52 ロータリー式エンコーダ,53 紙検出器,54 紙幅検出器,60 プリンタ側コントローラ,61 インタフェース部,62 CPU,63 メモリ,64 制御ユニット,70 駆動信号生成回路,81 シフトレジスタ群(81A 第1グループ〜81H 第8グループ),82 制御ロジック,821 第1波形部選択データメモリ,822 第2波形部選択データメモリ,823 第3波形部選択データメモリ,824 第4波形部選択データメモリ,825 データ出力部(825a〜825h マルチプレクサ),83 データ選択部,830 アンド回路,831 指定データメモリ(831a レジスタ,831b レジスタ),832 q0選択回路,832a 第1アンド回路,832b 第2アンド回路,832c 第3アンド回路,832d 第4アンド回路,832e オア回路,833 q1選択回路,834 q2選択回路,835 q3選択回路,84 ラッチ回路群,841a 第1ラッチ回路,841b 第2ラッチ回路,85 デコーダ群,851 デコーダ,851A 第1デコード部,851B 第2デコード部,851a 第1アンド回路,851b 第2アンド回路,851c 第3アンド回路,851d 第4アンド回路,851e オア回路,851f 第1アンド回路,851g 第2アンド回路,851h 第3アンド回路,851i 第4アンド回路,851j オア回路,86 スイッチ群,861 スイッチ,861A 第1スイッチ,861B 第2スイッチ,100 印刷システム,110 コンピュータ,111 ホスト側コントローラ,112 インタフェース部,113 CPU,114 メモリ,120 表示装置,130 入力装置,131 キーボード,132 マウス,140 記録再生装置,141 フレキシブルディスクドライブ装置,142 CD−ROMドライブ装置,S 用紙,CTR コントローラ基板,HC ヘッド制御部,SG 信号印加部,RG レジスタ,CT カウンタ,CTA カウンタ,CTB カウンタ,INV インバータ,CR キャリッジ,N1 第1ノズル列,N2 第2ノズル列,N3 第3ノズル列,N4 第4ノズル列,N5 第5ノズル列,N6 第6ノズル列,N7 第7ノズル列,N8 第8ノズル列,Nz ノズル,PZn ピエゾ素子群,FC フレキシブルケーブル,CW 芯線,COM 駆動信号,COM_A 第1駆動信号,COM_B 第2駆動信号,SS1 第1波形部,SS2 第2波形部,SS3 第3波形部,SS4 第4波形部,SS5 第5波形部,SS6 第6波形部,SS7 第7波形部,SS8 第8波形部,SS11 第1波形部,SS12 第2波形部,SS13 第3波形部,SS14 第4波形部,SS15 第5波形部,SS16 第6波形部,SS17 第7波形部,SS18 第8波形部,PS1 第1駆動パルス,PS2 第2駆動パルス,PS3 第3駆動パルス,PS4 第4駆動パルス,PS5 第5駆動パルス,PS6 第6駆動パルス,PS7 第7駆動パルス,PS8 第8駆動パルス,PS11 第1駆動パルス,PS12 第2駆動パルス,PS13 第3駆動パルス,PS14 第4駆動パルス,PS15 第5駆動パルス,PS16 第6駆動パルス,PS17 第7駆動パルス,PS18 第8駆動パルス,TR1 第1転送信号,TR2 第2転送信号,TR3 第3転送信号,TR4 第4転送信号,TR5 第5転送信号,TR6 第6転送信号,TR7 第7転送信号,TR8 第8転送信号,SI1 第1ドット形成データ,SI2 第2ドット形成データ,SI3 第3ドット形成データ,SI4 第4ドット形成データ,SI5 第5ドット形成データ,SI6 第6ドット形成データ,SI7 第7ドット形成データ,SI8 第8ドット形成データ,SP1 第1基波形部選択データ,SP2 第2基波形部選択データ,SP3 第3基波形部選択データ,SP4 第4基波形部選択データ,SP5 第5基波形部選択データ,SP6 第6基波形部選択データ,SP7 第7基波形部選択データ,SP8 第8基波形部選択データ,SL1 第1指定データ,SL2 第2指定データ,SL3 第3指定データ,SL4 第4指定データ,SL5 第5指定データ,SL6 第6指定データ,SL7 第7指定データ,SL8 第8指定データ,SP_A 第1波形部選択データ,SP_B 第2波形部選択データ,SP_C 第3波形部選択データ,SP_D 第4波形部選択データ,LAT ラッチ信号,CH チェンジ信号,NCHG N−チャージ信号,SCK クロック信号,VDD ロジック用電源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)液体を吐出させるための動作をする素子を駆動する駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
(B)前記素子へ印加される前記駆動信号の必要部分を定めるための印加データの基となる基印加データであって所定種類かつ所定ビット数の基印加データをパラレル送信する基印加データ送信部と、
(C)前記基印加データに基づいて、前記所定種類よりも少ない種類であって前記所定ビット数よりも多いビット数の前記印加データを生成する印加データ生成部と、
(D)前記印加データに基づいて、前記駆動信号の必要部分を前記素子に印加させる駆動信号印加部と、
を有する液体吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体吐出装置であって、
前記素子の動作によって液体が吐出されるノズルを複数有するノズル群であって、吐出させる液体がそれぞれ定められている複数のノズル群を有し、
前記基印加データ送信部は、
前記ノズル群に応じた所定種類の基印加データをパラレル送信し、
前記駆動信号印加部は、
少なくとも2つの前記ノズル群について或る印加データを共用し、前記駆動信号の必要部分を前記素子に印加させる、液体吐出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の液体吐出装置であって、
前記印加データ生成部によって生成された印加データを吐出させる液体に応じて選択し、前記駆動信号印加部へ出力する印加データ選択部を有する、液体吐出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液体吐出装置であって、
前記印加データ選択部は、
前記印加データを選択するための選択データであって前記吐出させる液体の種類に応じた種類の選択データを書き換え可能に記憶する選択データ記憶部を有する、液体吐出装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
前記印加データ生成部は、
複数種類の前記基印加データを組み合わせることで前記印加データを生成する、液体吐出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の液体吐出装置であって、
前記印加データ生成部は、
前記印加データを記憶する印加データ記憶部を有し、
前記基印加データを前記印加データ記憶部の定められた領域に記憶させることで、複数種類の前記基印加データを組み合わせる、液体吐出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の液体吐出装置であって、
前記基印加データ送信部によって送信された所定種類の前記基印加データを記憶する基印加データ記憶部を有し、
前記印加データ生成部は、
前記基印加データ記憶部に記憶された前記基印加データを前記印加データ記憶部の定められた領域に記憶させる、液体吐出装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
前記印加データは、
前記素子へ印加される前記駆動信号の必要部分を前記液体の吐出量毎に定めるための複数種類のサブ印加データを有し、
前記駆動信号印加部は、
前記液体の吐出量を複数の前記素子のそれぞれについて示す吐出量データから、前記吐出量データに対応するサブ印加データを選択し、選択したサブ印加データに基づいて前記駆動信号の必要部分を前記素子に印加させる、液体吐出装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
前記駆動信号生成部は、
或る期間において複数の前記駆動信号を生成し、
前記駆動信号印加部は、
選択された印加データに基づいて、複数の前記駆動信号から選択された駆動信号の必要部分を前記素子に印加させる、液体吐出装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
前記液体は、
印刷用のインクである、液体吐出装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
前記素子は、
ピエゾ素子である、液体吐出装置。
【請求項12】
(A)液体を吐出させるための動作をする素子を駆動する駆動信号を生成する駆動信号生成部であって、或る期間において複数の前記駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
(B)前記素子の動作によって液体が吐出されるノズルを複数有するノズル群であって、吐出させる液体がそれぞれ定められている複数のノズル群と、
(C)前記素子へ印加される前記駆動信号の必要部分を定めるための印加データの基となる基印加データであって前記ノズル群に応じた所定種類かつ所定ビット数の基印加データをパラレル送信する基印加データ送信部と、
(D)前記基印加データ送信部によって送信された所定種類の前記基印加データを記憶する基印加データ記憶部と、
(E)前記印加データを記憶する印加データ記憶部を有し、
前記基印加データ記憶部に記憶された前記基印加データを前記印加データ記憶部の定められた領域に記憶させることで、複数種類の前記基印加データを組み合わせ、これにより、前記所定種類よりも少ない種類であって前記所定ビット数よりも多いビット数であり、かつ、前記素子へ印加される前記駆動信号の必要部分を前記液体の吐出量毎に定めるための複数種類のサブ印加データを有する前記印加データを生成する印加データ生成部と、(F)前記印加データを選択するための選択データであって前記吐出させる液体の種類に応じた種類の選択データを書き換え可能に記憶する選択データ記憶部を有し、
前記印加データ生成部によって生成された印加データを吐出させる液体に応じて選択し、前記駆動信号印加部へ出力する印加データ選択部と、
(G)選択された印加データに基づいて、前記駆動信号の必要部分を前記素子に印加させる駆動信号印加部であって、
少なくとも2つの前記ノズル群について或る印加データを共用し、
前記液体の吐出量を複数の前記素子のそれぞれについて示す吐出量データから、前記吐出量データに対応するサブ印加データを選択し、選択したサブ印加データに基づいて複数の前記駆動信号から選択された駆動信号の必要部分を前記素子に印加させる駆動信号印加部と、を有し、
(H)前記液体は、
印刷用のインクであり、
(I)前記素子は、
ピエゾ素子である、液体吐出装置。
【請求項13】
液体吐出方法であって、
(A)液体を吐出させるための動作をする素子を駆動する駆動信号を生成すること、
(B)前記素子へ印加される前記駆動信号の必要部分を定めるための印加データの基となる基印加データであって所定種類かつ所定ビット数の基印加データをパラレル送信すること、
(C)前記基印加データに基づいて、前記所定種類よりも少ない種類であって前記所定ビット数よりも多いビット数の前記印加データを生成すること、
(D)前記印加データに基づいて、前記駆動信号の必要部分を前記素子に印加させること、を行う液体吐出方法。
【請求項14】
液体吐出装置を制御するためのプログラムであって、
(A)液体を吐出させるための動作をする素子を駆動する駆動信号を駆動信号生成部に生成させること、
(B)前記素子へ印加される前記駆動信号の必要部分を定めるための印加データの基となる基印加データであって所定種類かつ所定ビット数の基印加データを、基印加データ送信部にパラレル送信させること、
(C)前記基印加データに基づいて、前記所定種類よりも少ない種類であって前記所定ビット数よりも多いビット数の前記印加データを、印加データ生成部に生成させること、
(D)前記印加データに基づいて、駆動信号印加部により、前記駆動信号の必要部分を前記素子に印加させること、
を前記液体吐出装置に行わせるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−254638(P2012−254638A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−189774(P2012−189774)
【出願日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【分割の表示】特願2011−265597(P2011−265597)の分割
【原出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】