液体噴射装置、および医療機器
【課題】液体噴射装置のアプリケーターの内部で雑菌などが増殖することを回避する。
【解決手段】アプリケーターを、ノズルが形成された先端部と先端部が着脱可能に装着される本体部とに分割し、先端部には先端側メモリーを搭載して噴射特性データを記憶しておく。液体噴射装置の制御部は、先端側メモリーから読み出した噴射特性データに基づいて本体部を駆動する。こうすれば、先端部が長時間に亘って取り付けられたままになることがないので、内部で雑菌などが増殖することを回避することができる。また、先端部が噴射特性のものに取り替えられた場合でも、取り替え前と同じように液体を噴射することができる。
【解決手段】アプリケーターを、ノズルが形成された先端部と先端部が着脱可能に装着される本体部とに分割し、先端部には先端側メモリーを搭載して噴射特性データを記憶しておく。液体噴射装置の制御部は、先端側メモリーから読み出した噴射特性データに基づいて本体部を駆動する。こうすれば、先端部が長時間に亘って取り付けられたままになることがないので、内部で雑菌などが増殖することを回避することができる。また、先端部が噴射特性のものに取り替えられた場合でも、取り替え前と同じように液体を噴射することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を噴射して生物組織を切開あるいは切除する液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水や生理食塩水などの液体を、ノズルから生物組織に向けてパルス状に噴射することによって生物組織を切開あるいは切除する液体噴射装置が開発されている(特許文献1)。このように液体をパルス状に噴射する液体噴射装置を用いた手術では、少ない噴射量で生物組織を切開あるいは切除することができるので、噴射した液体によって術部の視界が妨げられることを回避することができる。また、神経や血管等を傷つけずに臓器などの組織だけを選択的に切開あるいは切除することができるので、患者の負担を小さくすることも可能となる。
【0003】
この液体噴射装置は、液体を噴射するノズルが形成されて操作者が手に持って操作する噴射部(以下、アプリケーターと呼ぶ)や、アプリケーターに液体を供給するための供給ポンプや、供給ポンプとアプリケーターとを接続する接続チューブなどを備えている。また、アプリケーターには、供給ポンプからの液体が供給される液体室や、液体室を変形させることによって液体室の容積を減少させるアクチュエーター等が内蔵されている。そして、液体室に液体を供給した状態でアクチュエーターを駆動し、液体室の容積を減少させることによって、液体室内の液体を加圧してノズルからパルス状に液体を噴射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−82202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような液体噴射装置には次のような問題があった。すなわち、アプリケーターはノズルの部分で内部の液体が外気と接している。このため、液体を噴射しない状態が続くと、ノズルの部分からアプリケーターの内部に外気が入り込む可能性がある。その結果、長い時間が経過する間には、アプリケーターの内部で雑菌などが繁殖することが起こり得るという問題があった。
【0006】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、アプリケーターのノズルから液体を噴射する液体噴射装置で、アプリケーターの内部で雑菌などが繁殖することを防止可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の液体噴射装置は次の構成を採用した。すなわち、
ノズルからパルス状に液体を噴射する噴射部と、該噴射部に液体を供給する液体供給手段と、前記噴射部が液体を噴射する動作を制御する制御部とを有する液体噴射装置において、
前記噴射部は、
前記ノズルと該ノズルに接続されて前記液体供給手段から液体が供給される液体室とが設けられた先端部と、
前記液体室を変形させるアクチュエーターが設けられ、且つ、前記先端部が着脱可能に装着される本体部と
を備え、
前記先端部には、前記液体室の変形に応じて前記ノズルが液体を噴射する特性に関するデータである噴射特性データを記憶した先端側メモリーが設けられており、
前記制御部は、前記先端側メモリーから読み出した前記噴射特性データに基づいて前記アクチュエーターを駆動する
ことを特徴とする。
【0008】
このような本発明の液体噴射装置においては、液体を噴射する噴射部が、先端部と本体部とに分割されており、先端部にはノズルおよび液体室が設けられ、本体部にはアクチュエーターが設けられている。また、先端部は本体部に対して着脱可能に構成されている。従って、先端部を本体部に装着して本体部のアクチュエーターを駆動すると、液体室が変形して容積が減少し、容積の減少分に相当する液体がノズルから噴射される。また、先端部にはメモリー(先端側メモリー)が搭載されており、このメモリーには、液体室の変形に応じてノズルが液体を噴射する特性に関するデータ(噴射特性データ)が記憶されている。尚、ノズルが液体を噴射する特性(噴射特性)としては、たとえば液体の噴射速度や、液体の噴射量、更には、噴射された液体の塊りについての形状(たとえば噴射された液体の塊りが棒形状なのか、あるいは後方に尾を引いた紡錘形状なのか等)とすることができる。そして、液体噴射装置の制御部は、先端側メモリーから噴射特性データを読み出して、噴射特性データに基づいてアクチュエーターを駆動することによって液体を噴射する。尚、アクチュエーターは、液体室を変形させて液体室の容積を変更させることができるのであればよい。従って、電動モーターを用いたアクチュエーターや、電磁石を用いたアクチュエーター、圧電素子を用いたアクチュエーターなど、種々のアクチュエーターを用いることができる。
【0009】
こうすれば、液体噴射装置の噴射部の中で、内部を液体が通過する先端部だけを取り替えることができる。このため、同じ先端部を長期間に亘って使い続けなくてよいので、噴射部の内部で雑菌などが増殖することを回避することが可能となる。また、先端部には先端側メモリーが設けられており、先端側メモリーには噴射特性データが記憶されている。そして、液体噴射装置の制御部は、噴射特性データに基づいてアクチュエーターを駆動する。このため、先端部が取り替えられて噴射特性が変化した場合でも、新たな先端部に応じてアクチュエーターを適切に駆動することができる。その結果、先端部を取り替えた前後でも、取り替えによる影響を受けずに、同じような状態で液体を噴射することが可能となる。
【0010】
また、上述した本発明の液体噴射装置においては、噴射部の本体部にもメモリー(本体側メモリー)を設けておき、本体側メモリーに、アクチュエーターの駆動特性を示すデータ(駆動特性データ)を記憶しておいてもよい。ここで、駆動特性データとは、アクチュエーターに駆動信号を印加した時のアクチュエーターの変形量に関するデータである。従って、駆動特性データとしては、駆動信号と、その駆動信号を印加した時のアクチュエーターの変形量とを対応付けて記憶したデータを用いることができる。あるいは、圧電素子をアクチュエーターとして用いた場合のように、駆動信号の電圧とアクチュエーターの変形量とに比例関係が成り立つ場合には、比例係数の値を駆動特性データとして用いることができる。もちろん、電磁石をアクチュエーターとして用いた場合のように、駆動信号の電流とアクチュエーターの変形量とに比例関係が成り立つ場合には、この比例係数の値を駆動特性データとして用いることもできる。そして、液体噴射装置の制御部は、先端側メモリーから読み出した噴射特性データだけでなく、本体側メモリーから読み出した駆動特性データにも基づいてアクチュエーターを駆動するようにしてもよい。
【0011】
噴射部の本体部も、長期間に亘る使用によって特性の劣化や故障などのトラブルが生じ得るので交換が必要となる。本体部が交換された場合、たとえ先端部は同じものを使っていても、交換の前後では同じように液体を噴射できなくなる場合が起こり得る。そこで、先端側メモリーから読み出した噴射特性データと、本体側メモリーから読み出した駆動特性データとに基づいてアクチュエーターを駆動する。こうすれば、本体部が取り替えられた場合でも、先端部と新たな本体部との組み合わせに応じて、適切にアクチュエーターを駆動することができるので、本体部を交換した場合でも同じように液体を噴射することが可能となる。
【0012】
また、上述した本発明の液体噴射装置は、生物組織に液体を噴射することによって生物組織を切開、あるいは切除することができるので、医療機器として好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施例の液体噴射装置の大まかな構成を示した説明図である。
【図2】アプリケーターの本体部に先端部を組み付ける様子を示した説明図である。
【図3】アプリケーターの詳細な構成を示した断面図である。
【図4】圧電素子に印加する駆動信号を例示した説明図である。
【図5】制御部の構成を示したブロック図である。
【図6】制御部で行われる噴射制御処理のフローチャートである。
【図7】駆動条件に応じて要求噴射速度が設定されている様子を例示した説明図である。
【図8】先端側メモリーに記憶されている噴射特性データを例示した説明図である。
【図9】本体側メモリーに記憶されている駆動特性データを例示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.装置構成:
A−1.液体噴射装置の構成:
A−2.アプリケーターの構成:
A−3.制御部の構成:
B.噴射制御処理:
【0015】
A.装置構成 :
A−1.液体噴射装置の構成 :
図1は、本実施例の液体噴射装置10の大まかな構成を示した説明図である。図示した液体噴射装置10は、水や生理食塩水などの液体を生物組織に向けて噴射することで、生物組織を切開あるいは切除する手術方法に用いられるものである。
【0016】
図示されているように、本実施例の液体噴射装置10は、操作者が手に持って操作して液体を噴射するアプリケーター100と、アプリケーター100に液体を供給する液体供給手段300と、噴射する液体を収容する液体容器306と、アプリケーター100や液体供給手段300の動作を制御する制御部200などから構成されている。尚、本実施例では、アプリケーター100が本発明における「噴射部」に対応する。
【0017】
アプリケーター100は、大まかには本体部110と、本体部110に対して着脱可能に取り付けられた先端部120などから構成されている。先端部120には液体噴射管124が立設されており、液体噴射管124の先端にはノズル122が形成されている。また、先端部120には、本体部110に組み付けられる側に、液体が充填される液体室126が設けられている。この液体室126は、液体噴射管124を介してノズル122と接続されている。更に、液体室126には、第2接続チューブ304から流体が供給される。また、本体部110には、積層型の圧電素子によって構成された圧電素子112が設けられている。詳細には後述するが、本体部110に対して先端部120を取り付けて圧電素子112に駆動信号を印加すると、圧電素子112が伸縮することによって液体室126の容積が変動し、その結果、液体室126内の液体が122からパルス状に噴射される。従って、本実施例においては圧電素子112が、本発明における「アクチュエーター」に対応する。もちろん、アクチュエーターは、圧電素子112以外の手段(たとえばモーターあるいは電磁石などで駆動されるピストン機構)によって構成しても良い。アプリケーター100の詳細な構成については後述する。
【0018】
液体供給手段300は、第1接続チューブ302を介して液体容器306と接続されており、液体容器306から吸い上げた液体を、第2接続チューブ304を介してアプリケーター100の液体室126に供給する。本実施例の液体供給手段300は、2つのピストンがシリンダー内で摺動する構成となっており、双方のピストンの移動速度を適切に制御することで、アプリケーター100に向かって液体を一定の圧力で圧送することが可能である。
【0019】
制御部200は、アプリケーター100の圧電素子112に対しては駆動信号を出力し、液体供給手段300に対しては制御信号を出力することによって、アプリケーター100および液体供給手段300の動作を制御する。また、制御部200には、ON/OFF式のスイッチ類や回転式のスイッチ類が設けられており、液体噴射装置10の操作者は、これらスイッチ類を操作することによって、液体噴射装置10の動作条件を設定する。
【0020】
A−2.アプリケーターの構成 :
図2は、アプリケーター100の本体部110に先端部120を取り付ける様子を示した説明図である。図2(a)に示されるように、本体部110の外周側面には複数(図示した例では3つ)の雌型ロック部110Lが等間隔に設けられており、先端部120の外周側面には複数(図示した例では3つ)の雄型ロック部120Lが等間隔に設けられている。本体部110に先端部120を装着する際には、雌型ロック部110Lに対して雄型ロック部120Lが同じ位置にならないようにしながら、先端部120を本体部110の合わせ面110sに当接させる。そして、図2(b)に示されるように、先端部120を本体部110に当接させたまま先端部120を反時計方向に回転させる。すると、先端部120に形成された雄型ロック部120Lが、本体部110の雌型ロック部110Lに嵌合して、先端部120を本体部110に堅固に装着することができる。また、本体部110から先端部120を取り外す際には、先端部120を時計回りに回転させる。すると、雌型ロック部110Lと雄型ロック部120Lとの嵌合が解除されて、本体部110から先端部120を取り外すことが可能となる。
【0021】
また、後述するように本実施例では先端部120にはメモリーが内蔵されている。更に、本体部110の合わせ面110sには接続端子114が設けられている。本体部110に先端部120を取り付けると、接続端子114を介して先端部120のメモリーのデータを読み出したり、あるいはデータを書き込んだりすることが可能となる。
【0022】
図3は、アプリケーター100の詳細な構成を示した断面図である。図3(a)には、本体部110から先端部120を取り外した状態が示されており、図3(b)には、本体部110に先端部120を装着した状態が示されている。図3(a)に示されるように、本体部110には、先端部120との合わせ面110sの内側に、円形の浅い凹部111が形成されており(図2(a)参照)、凹部111の中央位置には金属薄板などで形成された円形のダイアフラム110dが取り付けられている。そして、ダイアフラム110dの裏面側には、円形の補強板116を介して圧電素子112が接着によって取り付けられている。また、本体部110には本体側メモリー110mも内蔵されている。本体側メモリー110mは、図示しない配線を介して制御部200に接続される。
【0023】
先端部120は、本体部110と合わさる側の面の中央位置が、浅い円形の凹形状に形成されるとともに、この凹形状の開口部がシリコン樹脂などの弾性に富んだ薄膜128で覆われることによって液体室126が形成されている。この液体室126は、入口流路126iを介して第2接続チューブ304に接続され、また出口流路126oを介して液体噴射管124に接続されている。液体噴射管124の先端にはノズル122が取り付けられており、ノズル122には、液体を噴射するための液体噴射開口部122oが開口している。
【0024】
また、先端部120の液体室126が形成されている部分は、本体部110の凹部111に対してインロウに形成されている。そして、図2に示したようにして、先端部120を本体部110に取り付けて雄型ロック部120Lと雌型ロック部110Lとを嵌合させると、図3(b)に示したように、液体室126の薄膜128が、本体部110のダイアフラム110dに密着するようになっている。従って、先端部120を本体部110に装着した状態で圧電素子112に駆動信号を印加すると、圧電素子112が伸張して、補強板116、ダイアフラム110dを介して薄膜128を変形させる。その結果、液体室126の容積が減少して液体室126内の液体が加圧され、出口流路126o、液体噴射管124を介してノズル122からパルス状に液体が噴射される。
【0025】
また、先端部120には先端側メモリー120mも内蔵されている。先端部120を本体部110に取り付けると、先端側メモリー120mが図示しない配線や、図2に示した接続端子114を介して制御部200に接続される。
【0026】
図4は、圧電素子112に印加される駆動信号を例示した説明図である。駆動信号は、初期の電圧(図示した例では電圧0)から電圧Vだけ上昇した後、再び初期の電圧まで下降する。圧電素子112は、印加される電圧が上昇すると伸張して液体室126の容積を減少させる。ここで、圧電素子112の変形量(従って、液体室126の容積変化量)は、印加される電圧の変化量にほぼ比例するから、初期の電圧からの電圧上昇量(ここでは電圧V)を大きくすると、より多くの液体がノズル122から噴射される。そして、初期の電圧から最大電圧まで上昇する時間を同じとしておけば、ノズル122からは、より勢いよく液体が噴射されることになる。
【0027】
A−3.制御部の構成 :
図5は、制御部200の大まかな構成を示した説明図である。制御部200には、図1を用いて前述した操作部210の他に、処理部202や、通信部204や、駆動部206や、記憶部208などが設けられている。通信部204は、本体部110の本体側メモリー110mや先端部120の先端側メモリー120mに記憶されているデータの読み出しを行う。駆動部206は、アプリケーター100の圧電素子112に対しては図4に示す駆動信号を出力し、液体供給手段300に対しては液体供給手段300の動作を制御する制御信号を出力する。処理部202は、通信部204や駆動部206の動作を統括するとともに、液体噴射装置10の操作者が操作部210を用いて設定した動作条件を検出して、液体噴射装置10を適切に動作させるための処理を実行する。また、記憶部208には、処理部202が液体噴射装置10を適切に動作させるために必要な各種のデータやプログラムが記憶されている。
【0028】
以上に説明したように、本実施例の液体噴射装置10では、アプリケーター100の中で液体が通過する部分である先端部120が、本体部110に対して着脱可能となっている。液体が通過する部分は、液体噴射装置10の使用後に液体が付着した状態で時間が経過すると、雑菌が増殖する可能性がある。しかし、本実施例の液体噴射装置10では、先端部120だけを付け替えることができるので、アプリケーター100を清潔な状態に保っておくことが可能となる。
【0029】
もっとも、先端部120を付け替えると、たとえ同じ型番の先端部120を付け替えた場合でも(圧電素子112の駆動条件は全く変えていないにも拘わらず)、液体の噴射状態が微妙に変わってしまうことが起こり得る。手術などのような細かい作業を行う場合、こうした事態は好ましいことではない。そこで、本実施例の液体噴射装置10では、先端部120が付け替えられた場合でも、常に同じ状態で液体を噴射することが可能なように、以下のような処理を行う。
【0030】
B.噴射制御処理 :
図6は、先端部120が付け替えられても安定した状態で液体を噴射するために行われる噴射制御処理のフローチャートである。この処理は、液体噴射装置10の操作者が液体噴射装置10を起動すると制御部200の処理部202によって開始され、液体噴射装置10の運転が終了されるまで実行される。
【0031】
噴射制御処理を開始すると、先ず始めに、液体噴射装置10の動作条件を検出する(ステップS100)。図1を用いて前述したように、液体噴射装置10の操作者は、制御部200に設けられた操作部210を用いて、液体噴射装置10の動作件を設定することができる。制御部200の処理部202は、この設定内容を検出する。
【0032】
続いて、検出した動作条件に対応する要求噴射速度を取得する(ステップS102)。ここで、要求噴射速度とは、操作部210に設定された動作状態に対応して実現されるべき液体の噴射速度(ノズル122から噴射される液体の速度)である。制御部200の記憶部208には、操作部210に設定された動作条件と、要求噴射速度とを対応付けるデータが記憶されている。処理部202は、このデータを参照することによって、要求噴射速度を取得する。
【0033】
ここで、本実施例の液体噴射装置10が、動作条件に応じて要求噴射速度を取得しているのは次の理由による。ノズル122からの噴射速度が変われば、生物組織を切開する態様(切れ味など)は変化する。逆に言えば、ある態様で生物組織を切開しようとした場合、最適な噴射速度が存在する。従って、液体噴射装置10の操作者が、ある動作条件を設定したということは、その動作条件(正確には、操作者が動作条件を設定した意図)に応じた最適な噴射速度が存在するものと考えられる。そこで、操作者によって設定された動作条件に応じて、液体噴射装置10が実現するべき最適な噴射速度(要求噴射速度)を取得することとしている。
【0034】
尚、以上の説明から明らかなように、動作条件に対して取得するパラメーターは噴射速度に限らず、生物組織を切開する態様に影響を与え得るパラメーターであれば、どのようなパラメーターであってもよい。たとえば、図4に例示した駆動信号を印加する周波数(1秒間に駆動信号を印加する回数)や、初期の電圧から最大電圧まで上昇するまでの時間(電圧上昇の傾き)などのパラメーターを取得することも可能である。以下では、これらパラメーターの代表例として要求噴射速度を取得しているものとして説明する。
【0035】
図7は、操作部210に設定された動作条件と、要求噴射速度とを対応付けるデータを例示した説明図である。たとえば、動作条件としては、「条件1」、「条件2」、「条件3」といったように個別の条件が設定されており、ON/OFF式のスイッチなどを用いて何れかの動作条件を選択するような場合には、それぞれの動作条件に対して要求噴射速度が記憶されている。あるいは、回転式のスイッチなどを用いて連続的に動作条件を変化させることが可能となっている場合には、図7(b)に例示したように、連続的に変化する動作条件に対して要求噴射速度が記憶されている。尚、連続的に変化する全ての動作条件に対して要求噴射速度を記憶しておくことは不可能なので、実際には、飛び飛びの動作条件に対する要求噴射速度を記憶しておき、動作条件が検出されると、補間演算によって対応する要求噴射速度を算出する。以上のようにして要求噴射速度を取得したら、今度は、先端部120の先端側メモリー120mから噴射特性データを読み出す(ステップS104)。
【0036】
図8は、先端側メモリー120mに記憶されている噴射特性データを例示した説明図である。噴射特性データとは、ある噴射速度を実現するために必要なダイアフラム110dの変位量を示すデータである。尚、ここでは、電圧の立ち上がり時間(初期の電圧から最大電圧に達するまでの時間)は変わらないものとしている。このようなデータは、異なる変位量でダイアフラム110dを変形させて、ノズル122から噴射される液体の噴射速度を実測することによって求めることができる。図8中に示した黒丸は、ある変位量でダイアフラム110dを変形させたときに実測された噴射速度を表している。
【0037】
続いて、先端側メモリー120mから読み出した噴射特性データに基づいて、ダイアフラム110dの要求変位量を決定する(ステップS106)。ここで、要求変位量とは、ステップS102で取得した要求噴射速度を実現するために必要なダイアフラム110dの変位量である。また、前述したように要求噴射速度とは、操作者が設定した動作条件を実現するための噴射速度である。従って、要求変位量でダイアフラム110dを変形させれば、要求噴射速度が実現され、その結果、操作者によって設定された動作条件が実現されることになる。また、噴射特性データには、ダイアフラム110dの変位量と液体の噴射速度との対応関係が示されているから、噴射特性データに基づいて、要求噴射速度に対応する変位量(要求変位量)を決定することができる。図8中では、要求噴射速度から要求変位量を決定する様子を、太い実線の矢印で表している。
【0038】
以上のようにして、ダイアフラム110dの要求変位量を決定したら、今度は、本体側メモリー110mから駆動特性データを読み出す(ステップS108)。ここで、駆動特性データとは、圧電素子112に印加する駆動信号と、圧電素子112の変位量との関係を示すデータである。本実施例では、駆動信号の電圧(駆動電圧)と、圧電素子112の変位量との対応関係を示すデータを駆動特性データとして使用する。
【0039】
図9は、本体側メモリー110mに記憶されている駆動特性データを例示した説明図である。図9中に示した黒丸は、ある駆動電圧を圧電素子112に印加したときに実測された圧電素子112の変位量を表している。周知のように、圧電素子112は印加された電圧に比例して変形する。しかし、電圧に対する変位量の比例係数は圧電素子112毎に固体差があるので、同じ駆動電圧を印加した場合でも、得られる変位量は圧電素子112毎に異なっている。そこで、本体部110に搭載されている圧電素子112毎に、図9に示すような駆動特性データを実測して、本体側メモリー110mに記憶しておく。尚、圧電素子112の変位量は駆動電圧に比例するから、図9に例示したデータ(複数の駆動電圧での変位量を示すデータ)の代わりに、駆動電圧に対する変位量の比例係数を、駆動特性データとして用いることもできる。
【0040】
次に、本体側メモリー110mから読み出した駆動特性データに基づいて、圧電素子112に印加する駆動電圧の最大値(図4では電圧Vに相当)を決定する(ステップS110)。すなわち、ステップS106で決定した要求変位量を実現するために必要な最大の駆動電圧を決定する。前述したように、駆動特性データは圧電素子112に印加する駆動電圧と、圧電素子112の変位量との対応関係を示しているから、駆動特性データを参照することで、要求変位量に対応する最大の駆動電圧を決定することができる。図9中では、要求変位量から最大の駆動電圧を決定する様子を、太い実線で表している。また、前述したように、要求変位量は、要求噴射速度を実現するために必要な変位量であり、要求噴射速度は、操作者が設定した動作条件を実現するための噴射速度である。従って、ステップS110で決定した最大の駆動電圧となる駆動信号を印加すれば、ダイアフラム110dの要求変位量が実現され、ノズル122での要求噴射速度が実現されて、その結果、操作者が設定した動作条件を実現することができる。
【0041】
以上のようにして、操作者が設定した動作条件に対応する駆動信号を決定したら、その駆動信号を圧電素子112に出力する(ステップS112)。続いて、液体噴射装置10の操作者によって動作条件が変更されたか否かを判断する(ステップS114)。操作者が操作部210を操作して動作条件を変更すると、制御部200の処理部202は、直ちにそのことを検出することができる。
【0042】
その結果、動作条件が変更されていない場合は(ステップS114:no)、今度は、液体噴射装置10の運転終了か否かを判断する(ステップS116)。液体噴射装置10の運転を終了する際にも、操作者が操作部210を操作するから、制御部200の処理部202は、液体噴射装置10の動作終了か否かを判断することができる。その結果、運転終了でもなかった場合は(ステップS116:no)、ステップS112に戻って、先に決定した最大の駆動電圧で、圧電素子112への駆動信号の出力を継続する。その後、上述したように、駆動条件が変更されているか否か、および運転終了か否かを判断する(ステップS114、S116)。このような操作を繰り返しているうちに、駆動条件が変更されたと判断した場合は(ステップS114:yes)、ステップS100に戻って、新たな駆動条件を検出した後、続く上述した一連の処理を行う。また、運転終了と判断した場合は(ステップS116:yes)、図6に示した噴射制御処理を終了する。
【0043】
以上に詳しく説明したように、本実施例の液体噴射装置10では、アプリケーター100の先端部120に先端側メモリー120mが搭載されており、先端側メモリー120mには、その先端部120の噴射特性データが記憶されている。そして、制御部200は、先端側メモリー120mから読み出した噴射特性データに基づいて、本体部110の圧電素子112を駆動する。このため、たとえ先端部120が取り替えられた場合でも、新たな先端部120に応じて圧電素子112を駆動することができるので、先端部120の取り換え前後で、同じように切開することが可能となる。
【0044】
また、本体部110についても長い期間に亘って使用している間には、ダイアフラム110dなどに亀裂が入るなどのトラブルが発生することがある。液体噴射装置10の使用中にこのようなトラブルが発生することを避けるためには、本体部110についても、定期的に交換することが望ましい。上述した本実施例の液体噴射装置10では、本体部110にも本体側メモリー110mを搭載しており、本体側メモリー110mから読み出した駆動特性データに基づいて圧電素子112を駆動している。このため、本体部110が取り替えられた場合でも、新たな本体部110に応じて圧電素子112を駆動することができるので、本体部110の取り換え前後で、同じように切開することが可能となる。
【0045】
以上、本発明の液体噴射装置について、実施例を用いて説明したが、本発明は上記の実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0046】
例えば、上述した実施例では、先端部120を取り替える場合でも、同じタイプの(型番が同じ)先端部120に取り替えるものとして説明した。この場合は、圧電素子112に印加する駆動信号は、駆動電圧や駆動周波数や電圧の傾き(あるいは立ち上がり時間)等を補正した駆動信号となる。しかし、先端部120を取り替える際に、異なるタイプの先端部120に付け替えるようにしてもよい。このような場合は、駆動電圧や駆動周波数や電圧の傾き、立ち上がり時間などを補正するのではなく、新たに付け替えられた先端部120に応じて、新たな波形の駆動信号に変更することができる。たとえば、先端部120の先端側メモリー120mに、先端部120の型式などを示すデータを記憶しておき、このデータを読み出して、圧電素子112に印加する駆動信号の波形を選択しても良い。もちろん、先端部120のタイプに応じて選択した駆動信号の波形に対して、上述した実施例のように、噴射特性データに基づいて駆動電圧を修正した駆動信号を、圧電素子112に印加しても良い。
【符号の説明】
【0047】
10…液体噴射装置、 100…アプリケーター、 110…本体部、
110L…雌型ロック部、 110d…ダイアフラム、
110m…本体側メモリー、 110s…合わせ面、 111…凹部、
112…圧電素子、 114…接続端子、 116…補強板、
120…先端部、 120L…雄型ロック部、 120m…先端側メモリー、
122…ノズル、 122o…液体噴射開口部、 124…液体噴射管、
126…液体室、 126i…入口流路、 126o…出口流路、
128…薄膜、 200…制御部、 202…処理部、 204…通信部、
206…駆動部、 208…記憶部、 210…操作部、
300…液体供給手段、 302…第1接続チューブ、
304…第2接続チューブ、 306…液体容器
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を噴射して生物組織を切開あるいは切除する液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水や生理食塩水などの液体を、ノズルから生物組織に向けてパルス状に噴射することによって生物組織を切開あるいは切除する液体噴射装置が開発されている(特許文献1)。このように液体をパルス状に噴射する液体噴射装置を用いた手術では、少ない噴射量で生物組織を切開あるいは切除することができるので、噴射した液体によって術部の視界が妨げられることを回避することができる。また、神経や血管等を傷つけずに臓器などの組織だけを選択的に切開あるいは切除することができるので、患者の負担を小さくすることも可能となる。
【0003】
この液体噴射装置は、液体を噴射するノズルが形成されて操作者が手に持って操作する噴射部(以下、アプリケーターと呼ぶ)や、アプリケーターに液体を供給するための供給ポンプや、供給ポンプとアプリケーターとを接続する接続チューブなどを備えている。また、アプリケーターには、供給ポンプからの液体が供給される液体室や、液体室を変形させることによって液体室の容積を減少させるアクチュエーター等が内蔵されている。そして、液体室に液体を供給した状態でアクチュエーターを駆動し、液体室の容積を減少させることによって、液体室内の液体を加圧してノズルからパルス状に液体を噴射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−82202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような液体噴射装置には次のような問題があった。すなわち、アプリケーターはノズルの部分で内部の液体が外気と接している。このため、液体を噴射しない状態が続くと、ノズルの部分からアプリケーターの内部に外気が入り込む可能性がある。その結果、長い時間が経過する間には、アプリケーターの内部で雑菌などが繁殖することが起こり得るという問題があった。
【0006】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、アプリケーターのノズルから液体を噴射する液体噴射装置で、アプリケーターの内部で雑菌などが繁殖することを防止可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の液体噴射装置は次の構成を採用した。すなわち、
ノズルからパルス状に液体を噴射する噴射部と、該噴射部に液体を供給する液体供給手段と、前記噴射部が液体を噴射する動作を制御する制御部とを有する液体噴射装置において、
前記噴射部は、
前記ノズルと該ノズルに接続されて前記液体供給手段から液体が供給される液体室とが設けられた先端部と、
前記液体室を変形させるアクチュエーターが設けられ、且つ、前記先端部が着脱可能に装着される本体部と
を備え、
前記先端部には、前記液体室の変形に応じて前記ノズルが液体を噴射する特性に関するデータである噴射特性データを記憶した先端側メモリーが設けられており、
前記制御部は、前記先端側メモリーから読み出した前記噴射特性データに基づいて前記アクチュエーターを駆動する
ことを特徴とする。
【0008】
このような本発明の液体噴射装置においては、液体を噴射する噴射部が、先端部と本体部とに分割されており、先端部にはノズルおよび液体室が設けられ、本体部にはアクチュエーターが設けられている。また、先端部は本体部に対して着脱可能に構成されている。従って、先端部を本体部に装着して本体部のアクチュエーターを駆動すると、液体室が変形して容積が減少し、容積の減少分に相当する液体がノズルから噴射される。また、先端部にはメモリー(先端側メモリー)が搭載されており、このメモリーには、液体室の変形に応じてノズルが液体を噴射する特性に関するデータ(噴射特性データ)が記憶されている。尚、ノズルが液体を噴射する特性(噴射特性)としては、たとえば液体の噴射速度や、液体の噴射量、更には、噴射された液体の塊りについての形状(たとえば噴射された液体の塊りが棒形状なのか、あるいは後方に尾を引いた紡錘形状なのか等)とすることができる。そして、液体噴射装置の制御部は、先端側メモリーから噴射特性データを読み出して、噴射特性データに基づいてアクチュエーターを駆動することによって液体を噴射する。尚、アクチュエーターは、液体室を変形させて液体室の容積を変更させることができるのであればよい。従って、電動モーターを用いたアクチュエーターや、電磁石を用いたアクチュエーター、圧電素子を用いたアクチュエーターなど、種々のアクチュエーターを用いることができる。
【0009】
こうすれば、液体噴射装置の噴射部の中で、内部を液体が通過する先端部だけを取り替えることができる。このため、同じ先端部を長期間に亘って使い続けなくてよいので、噴射部の内部で雑菌などが増殖することを回避することが可能となる。また、先端部には先端側メモリーが設けられており、先端側メモリーには噴射特性データが記憶されている。そして、液体噴射装置の制御部は、噴射特性データに基づいてアクチュエーターを駆動する。このため、先端部が取り替えられて噴射特性が変化した場合でも、新たな先端部に応じてアクチュエーターを適切に駆動することができる。その結果、先端部を取り替えた前後でも、取り替えによる影響を受けずに、同じような状態で液体を噴射することが可能となる。
【0010】
また、上述した本発明の液体噴射装置においては、噴射部の本体部にもメモリー(本体側メモリー)を設けておき、本体側メモリーに、アクチュエーターの駆動特性を示すデータ(駆動特性データ)を記憶しておいてもよい。ここで、駆動特性データとは、アクチュエーターに駆動信号を印加した時のアクチュエーターの変形量に関するデータである。従って、駆動特性データとしては、駆動信号と、その駆動信号を印加した時のアクチュエーターの変形量とを対応付けて記憶したデータを用いることができる。あるいは、圧電素子をアクチュエーターとして用いた場合のように、駆動信号の電圧とアクチュエーターの変形量とに比例関係が成り立つ場合には、比例係数の値を駆動特性データとして用いることができる。もちろん、電磁石をアクチュエーターとして用いた場合のように、駆動信号の電流とアクチュエーターの変形量とに比例関係が成り立つ場合には、この比例係数の値を駆動特性データとして用いることもできる。そして、液体噴射装置の制御部は、先端側メモリーから読み出した噴射特性データだけでなく、本体側メモリーから読み出した駆動特性データにも基づいてアクチュエーターを駆動するようにしてもよい。
【0011】
噴射部の本体部も、長期間に亘る使用によって特性の劣化や故障などのトラブルが生じ得るので交換が必要となる。本体部が交換された場合、たとえ先端部は同じものを使っていても、交換の前後では同じように液体を噴射できなくなる場合が起こり得る。そこで、先端側メモリーから読み出した噴射特性データと、本体側メモリーから読み出した駆動特性データとに基づいてアクチュエーターを駆動する。こうすれば、本体部が取り替えられた場合でも、先端部と新たな本体部との組み合わせに応じて、適切にアクチュエーターを駆動することができるので、本体部を交換した場合でも同じように液体を噴射することが可能となる。
【0012】
また、上述した本発明の液体噴射装置は、生物組織に液体を噴射することによって生物組織を切開、あるいは切除することができるので、医療機器として好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施例の液体噴射装置の大まかな構成を示した説明図である。
【図2】アプリケーターの本体部に先端部を組み付ける様子を示した説明図である。
【図3】アプリケーターの詳細な構成を示した断面図である。
【図4】圧電素子に印加する駆動信号を例示した説明図である。
【図5】制御部の構成を示したブロック図である。
【図6】制御部で行われる噴射制御処理のフローチャートである。
【図7】駆動条件に応じて要求噴射速度が設定されている様子を例示した説明図である。
【図8】先端側メモリーに記憶されている噴射特性データを例示した説明図である。
【図9】本体側メモリーに記憶されている駆動特性データを例示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.装置構成:
A−1.液体噴射装置の構成:
A−2.アプリケーターの構成:
A−3.制御部の構成:
B.噴射制御処理:
【0015】
A.装置構成 :
A−1.液体噴射装置の構成 :
図1は、本実施例の液体噴射装置10の大まかな構成を示した説明図である。図示した液体噴射装置10は、水や生理食塩水などの液体を生物組織に向けて噴射することで、生物組織を切開あるいは切除する手術方法に用いられるものである。
【0016】
図示されているように、本実施例の液体噴射装置10は、操作者が手に持って操作して液体を噴射するアプリケーター100と、アプリケーター100に液体を供給する液体供給手段300と、噴射する液体を収容する液体容器306と、アプリケーター100や液体供給手段300の動作を制御する制御部200などから構成されている。尚、本実施例では、アプリケーター100が本発明における「噴射部」に対応する。
【0017】
アプリケーター100は、大まかには本体部110と、本体部110に対して着脱可能に取り付けられた先端部120などから構成されている。先端部120には液体噴射管124が立設されており、液体噴射管124の先端にはノズル122が形成されている。また、先端部120には、本体部110に組み付けられる側に、液体が充填される液体室126が設けられている。この液体室126は、液体噴射管124を介してノズル122と接続されている。更に、液体室126には、第2接続チューブ304から流体が供給される。また、本体部110には、積層型の圧電素子によって構成された圧電素子112が設けられている。詳細には後述するが、本体部110に対して先端部120を取り付けて圧電素子112に駆動信号を印加すると、圧電素子112が伸縮することによって液体室126の容積が変動し、その結果、液体室126内の液体が122からパルス状に噴射される。従って、本実施例においては圧電素子112が、本発明における「アクチュエーター」に対応する。もちろん、アクチュエーターは、圧電素子112以外の手段(たとえばモーターあるいは電磁石などで駆動されるピストン機構)によって構成しても良い。アプリケーター100の詳細な構成については後述する。
【0018】
液体供給手段300は、第1接続チューブ302を介して液体容器306と接続されており、液体容器306から吸い上げた液体を、第2接続チューブ304を介してアプリケーター100の液体室126に供給する。本実施例の液体供給手段300は、2つのピストンがシリンダー内で摺動する構成となっており、双方のピストンの移動速度を適切に制御することで、アプリケーター100に向かって液体を一定の圧力で圧送することが可能である。
【0019】
制御部200は、アプリケーター100の圧電素子112に対しては駆動信号を出力し、液体供給手段300に対しては制御信号を出力することによって、アプリケーター100および液体供給手段300の動作を制御する。また、制御部200には、ON/OFF式のスイッチ類や回転式のスイッチ類が設けられており、液体噴射装置10の操作者は、これらスイッチ類を操作することによって、液体噴射装置10の動作条件を設定する。
【0020】
A−2.アプリケーターの構成 :
図2は、アプリケーター100の本体部110に先端部120を取り付ける様子を示した説明図である。図2(a)に示されるように、本体部110の外周側面には複数(図示した例では3つ)の雌型ロック部110Lが等間隔に設けられており、先端部120の外周側面には複数(図示した例では3つ)の雄型ロック部120Lが等間隔に設けられている。本体部110に先端部120を装着する際には、雌型ロック部110Lに対して雄型ロック部120Lが同じ位置にならないようにしながら、先端部120を本体部110の合わせ面110sに当接させる。そして、図2(b)に示されるように、先端部120を本体部110に当接させたまま先端部120を反時計方向に回転させる。すると、先端部120に形成された雄型ロック部120Lが、本体部110の雌型ロック部110Lに嵌合して、先端部120を本体部110に堅固に装着することができる。また、本体部110から先端部120を取り外す際には、先端部120を時計回りに回転させる。すると、雌型ロック部110Lと雄型ロック部120Lとの嵌合が解除されて、本体部110から先端部120を取り外すことが可能となる。
【0021】
また、後述するように本実施例では先端部120にはメモリーが内蔵されている。更に、本体部110の合わせ面110sには接続端子114が設けられている。本体部110に先端部120を取り付けると、接続端子114を介して先端部120のメモリーのデータを読み出したり、あるいはデータを書き込んだりすることが可能となる。
【0022】
図3は、アプリケーター100の詳細な構成を示した断面図である。図3(a)には、本体部110から先端部120を取り外した状態が示されており、図3(b)には、本体部110に先端部120を装着した状態が示されている。図3(a)に示されるように、本体部110には、先端部120との合わせ面110sの内側に、円形の浅い凹部111が形成されており(図2(a)参照)、凹部111の中央位置には金属薄板などで形成された円形のダイアフラム110dが取り付けられている。そして、ダイアフラム110dの裏面側には、円形の補強板116を介して圧電素子112が接着によって取り付けられている。また、本体部110には本体側メモリー110mも内蔵されている。本体側メモリー110mは、図示しない配線を介して制御部200に接続される。
【0023】
先端部120は、本体部110と合わさる側の面の中央位置が、浅い円形の凹形状に形成されるとともに、この凹形状の開口部がシリコン樹脂などの弾性に富んだ薄膜128で覆われることによって液体室126が形成されている。この液体室126は、入口流路126iを介して第2接続チューブ304に接続され、また出口流路126oを介して液体噴射管124に接続されている。液体噴射管124の先端にはノズル122が取り付けられており、ノズル122には、液体を噴射するための液体噴射開口部122oが開口している。
【0024】
また、先端部120の液体室126が形成されている部分は、本体部110の凹部111に対してインロウに形成されている。そして、図2に示したようにして、先端部120を本体部110に取り付けて雄型ロック部120Lと雌型ロック部110Lとを嵌合させると、図3(b)に示したように、液体室126の薄膜128が、本体部110のダイアフラム110dに密着するようになっている。従って、先端部120を本体部110に装着した状態で圧電素子112に駆動信号を印加すると、圧電素子112が伸張して、補強板116、ダイアフラム110dを介して薄膜128を変形させる。その結果、液体室126の容積が減少して液体室126内の液体が加圧され、出口流路126o、液体噴射管124を介してノズル122からパルス状に液体が噴射される。
【0025】
また、先端部120には先端側メモリー120mも内蔵されている。先端部120を本体部110に取り付けると、先端側メモリー120mが図示しない配線や、図2に示した接続端子114を介して制御部200に接続される。
【0026】
図4は、圧電素子112に印加される駆動信号を例示した説明図である。駆動信号は、初期の電圧(図示した例では電圧0)から電圧Vだけ上昇した後、再び初期の電圧まで下降する。圧電素子112は、印加される電圧が上昇すると伸張して液体室126の容積を減少させる。ここで、圧電素子112の変形量(従って、液体室126の容積変化量)は、印加される電圧の変化量にほぼ比例するから、初期の電圧からの電圧上昇量(ここでは電圧V)を大きくすると、より多くの液体がノズル122から噴射される。そして、初期の電圧から最大電圧まで上昇する時間を同じとしておけば、ノズル122からは、より勢いよく液体が噴射されることになる。
【0027】
A−3.制御部の構成 :
図5は、制御部200の大まかな構成を示した説明図である。制御部200には、図1を用いて前述した操作部210の他に、処理部202や、通信部204や、駆動部206や、記憶部208などが設けられている。通信部204は、本体部110の本体側メモリー110mや先端部120の先端側メモリー120mに記憶されているデータの読み出しを行う。駆動部206は、アプリケーター100の圧電素子112に対しては図4に示す駆動信号を出力し、液体供給手段300に対しては液体供給手段300の動作を制御する制御信号を出力する。処理部202は、通信部204や駆動部206の動作を統括するとともに、液体噴射装置10の操作者が操作部210を用いて設定した動作条件を検出して、液体噴射装置10を適切に動作させるための処理を実行する。また、記憶部208には、処理部202が液体噴射装置10を適切に動作させるために必要な各種のデータやプログラムが記憶されている。
【0028】
以上に説明したように、本実施例の液体噴射装置10では、アプリケーター100の中で液体が通過する部分である先端部120が、本体部110に対して着脱可能となっている。液体が通過する部分は、液体噴射装置10の使用後に液体が付着した状態で時間が経過すると、雑菌が増殖する可能性がある。しかし、本実施例の液体噴射装置10では、先端部120だけを付け替えることができるので、アプリケーター100を清潔な状態に保っておくことが可能となる。
【0029】
もっとも、先端部120を付け替えると、たとえ同じ型番の先端部120を付け替えた場合でも(圧電素子112の駆動条件は全く変えていないにも拘わらず)、液体の噴射状態が微妙に変わってしまうことが起こり得る。手術などのような細かい作業を行う場合、こうした事態は好ましいことではない。そこで、本実施例の液体噴射装置10では、先端部120が付け替えられた場合でも、常に同じ状態で液体を噴射することが可能なように、以下のような処理を行う。
【0030】
B.噴射制御処理 :
図6は、先端部120が付け替えられても安定した状態で液体を噴射するために行われる噴射制御処理のフローチャートである。この処理は、液体噴射装置10の操作者が液体噴射装置10を起動すると制御部200の処理部202によって開始され、液体噴射装置10の運転が終了されるまで実行される。
【0031】
噴射制御処理を開始すると、先ず始めに、液体噴射装置10の動作条件を検出する(ステップS100)。図1を用いて前述したように、液体噴射装置10の操作者は、制御部200に設けられた操作部210を用いて、液体噴射装置10の動作件を設定することができる。制御部200の処理部202は、この設定内容を検出する。
【0032】
続いて、検出した動作条件に対応する要求噴射速度を取得する(ステップS102)。ここで、要求噴射速度とは、操作部210に設定された動作状態に対応して実現されるべき液体の噴射速度(ノズル122から噴射される液体の速度)である。制御部200の記憶部208には、操作部210に設定された動作条件と、要求噴射速度とを対応付けるデータが記憶されている。処理部202は、このデータを参照することによって、要求噴射速度を取得する。
【0033】
ここで、本実施例の液体噴射装置10が、動作条件に応じて要求噴射速度を取得しているのは次の理由による。ノズル122からの噴射速度が変われば、生物組織を切開する態様(切れ味など)は変化する。逆に言えば、ある態様で生物組織を切開しようとした場合、最適な噴射速度が存在する。従って、液体噴射装置10の操作者が、ある動作条件を設定したということは、その動作条件(正確には、操作者が動作条件を設定した意図)に応じた最適な噴射速度が存在するものと考えられる。そこで、操作者によって設定された動作条件に応じて、液体噴射装置10が実現するべき最適な噴射速度(要求噴射速度)を取得することとしている。
【0034】
尚、以上の説明から明らかなように、動作条件に対して取得するパラメーターは噴射速度に限らず、生物組織を切開する態様に影響を与え得るパラメーターであれば、どのようなパラメーターであってもよい。たとえば、図4に例示した駆動信号を印加する周波数(1秒間に駆動信号を印加する回数)や、初期の電圧から最大電圧まで上昇するまでの時間(電圧上昇の傾き)などのパラメーターを取得することも可能である。以下では、これらパラメーターの代表例として要求噴射速度を取得しているものとして説明する。
【0035】
図7は、操作部210に設定された動作条件と、要求噴射速度とを対応付けるデータを例示した説明図である。たとえば、動作条件としては、「条件1」、「条件2」、「条件3」といったように個別の条件が設定されており、ON/OFF式のスイッチなどを用いて何れかの動作条件を選択するような場合には、それぞれの動作条件に対して要求噴射速度が記憶されている。あるいは、回転式のスイッチなどを用いて連続的に動作条件を変化させることが可能となっている場合には、図7(b)に例示したように、連続的に変化する動作条件に対して要求噴射速度が記憶されている。尚、連続的に変化する全ての動作条件に対して要求噴射速度を記憶しておくことは不可能なので、実際には、飛び飛びの動作条件に対する要求噴射速度を記憶しておき、動作条件が検出されると、補間演算によって対応する要求噴射速度を算出する。以上のようにして要求噴射速度を取得したら、今度は、先端部120の先端側メモリー120mから噴射特性データを読み出す(ステップS104)。
【0036】
図8は、先端側メモリー120mに記憶されている噴射特性データを例示した説明図である。噴射特性データとは、ある噴射速度を実現するために必要なダイアフラム110dの変位量を示すデータである。尚、ここでは、電圧の立ち上がり時間(初期の電圧から最大電圧に達するまでの時間)は変わらないものとしている。このようなデータは、異なる変位量でダイアフラム110dを変形させて、ノズル122から噴射される液体の噴射速度を実測することによって求めることができる。図8中に示した黒丸は、ある変位量でダイアフラム110dを変形させたときに実測された噴射速度を表している。
【0037】
続いて、先端側メモリー120mから読み出した噴射特性データに基づいて、ダイアフラム110dの要求変位量を決定する(ステップS106)。ここで、要求変位量とは、ステップS102で取得した要求噴射速度を実現するために必要なダイアフラム110dの変位量である。また、前述したように要求噴射速度とは、操作者が設定した動作条件を実現するための噴射速度である。従って、要求変位量でダイアフラム110dを変形させれば、要求噴射速度が実現され、その結果、操作者によって設定された動作条件が実現されることになる。また、噴射特性データには、ダイアフラム110dの変位量と液体の噴射速度との対応関係が示されているから、噴射特性データに基づいて、要求噴射速度に対応する変位量(要求変位量)を決定することができる。図8中では、要求噴射速度から要求変位量を決定する様子を、太い実線の矢印で表している。
【0038】
以上のようにして、ダイアフラム110dの要求変位量を決定したら、今度は、本体側メモリー110mから駆動特性データを読み出す(ステップS108)。ここで、駆動特性データとは、圧電素子112に印加する駆動信号と、圧電素子112の変位量との関係を示すデータである。本実施例では、駆動信号の電圧(駆動電圧)と、圧電素子112の変位量との対応関係を示すデータを駆動特性データとして使用する。
【0039】
図9は、本体側メモリー110mに記憶されている駆動特性データを例示した説明図である。図9中に示した黒丸は、ある駆動電圧を圧電素子112に印加したときに実測された圧電素子112の変位量を表している。周知のように、圧電素子112は印加された電圧に比例して変形する。しかし、電圧に対する変位量の比例係数は圧電素子112毎に固体差があるので、同じ駆動電圧を印加した場合でも、得られる変位量は圧電素子112毎に異なっている。そこで、本体部110に搭載されている圧電素子112毎に、図9に示すような駆動特性データを実測して、本体側メモリー110mに記憶しておく。尚、圧電素子112の変位量は駆動電圧に比例するから、図9に例示したデータ(複数の駆動電圧での変位量を示すデータ)の代わりに、駆動電圧に対する変位量の比例係数を、駆動特性データとして用いることもできる。
【0040】
次に、本体側メモリー110mから読み出した駆動特性データに基づいて、圧電素子112に印加する駆動電圧の最大値(図4では電圧Vに相当)を決定する(ステップS110)。すなわち、ステップS106で決定した要求変位量を実現するために必要な最大の駆動電圧を決定する。前述したように、駆動特性データは圧電素子112に印加する駆動電圧と、圧電素子112の変位量との対応関係を示しているから、駆動特性データを参照することで、要求変位量に対応する最大の駆動電圧を決定することができる。図9中では、要求変位量から最大の駆動電圧を決定する様子を、太い実線で表している。また、前述したように、要求変位量は、要求噴射速度を実現するために必要な変位量であり、要求噴射速度は、操作者が設定した動作条件を実現するための噴射速度である。従って、ステップS110で決定した最大の駆動電圧となる駆動信号を印加すれば、ダイアフラム110dの要求変位量が実現され、ノズル122での要求噴射速度が実現されて、その結果、操作者が設定した動作条件を実現することができる。
【0041】
以上のようにして、操作者が設定した動作条件に対応する駆動信号を決定したら、その駆動信号を圧電素子112に出力する(ステップS112)。続いて、液体噴射装置10の操作者によって動作条件が変更されたか否かを判断する(ステップS114)。操作者が操作部210を操作して動作条件を変更すると、制御部200の処理部202は、直ちにそのことを検出することができる。
【0042】
その結果、動作条件が変更されていない場合は(ステップS114:no)、今度は、液体噴射装置10の運転終了か否かを判断する(ステップS116)。液体噴射装置10の運転を終了する際にも、操作者が操作部210を操作するから、制御部200の処理部202は、液体噴射装置10の動作終了か否かを判断することができる。その結果、運転終了でもなかった場合は(ステップS116:no)、ステップS112に戻って、先に決定した最大の駆動電圧で、圧電素子112への駆動信号の出力を継続する。その後、上述したように、駆動条件が変更されているか否か、および運転終了か否かを判断する(ステップS114、S116)。このような操作を繰り返しているうちに、駆動条件が変更されたと判断した場合は(ステップS114:yes)、ステップS100に戻って、新たな駆動条件を検出した後、続く上述した一連の処理を行う。また、運転終了と判断した場合は(ステップS116:yes)、図6に示した噴射制御処理を終了する。
【0043】
以上に詳しく説明したように、本実施例の液体噴射装置10では、アプリケーター100の先端部120に先端側メモリー120mが搭載されており、先端側メモリー120mには、その先端部120の噴射特性データが記憶されている。そして、制御部200は、先端側メモリー120mから読み出した噴射特性データに基づいて、本体部110の圧電素子112を駆動する。このため、たとえ先端部120が取り替えられた場合でも、新たな先端部120に応じて圧電素子112を駆動することができるので、先端部120の取り換え前後で、同じように切開することが可能となる。
【0044】
また、本体部110についても長い期間に亘って使用している間には、ダイアフラム110dなどに亀裂が入るなどのトラブルが発生することがある。液体噴射装置10の使用中にこのようなトラブルが発生することを避けるためには、本体部110についても、定期的に交換することが望ましい。上述した本実施例の液体噴射装置10では、本体部110にも本体側メモリー110mを搭載しており、本体側メモリー110mから読み出した駆動特性データに基づいて圧電素子112を駆動している。このため、本体部110が取り替えられた場合でも、新たな本体部110に応じて圧電素子112を駆動することができるので、本体部110の取り換え前後で、同じように切開することが可能となる。
【0045】
以上、本発明の液体噴射装置について、実施例を用いて説明したが、本発明は上記の実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0046】
例えば、上述した実施例では、先端部120を取り替える場合でも、同じタイプの(型番が同じ)先端部120に取り替えるものとして説明した。この場合は、圧電素子112に印加する駆動信号は、駆動電圧や駆動周波数や電圧の傾き(あるいは立ち上がり時間)等を補正した駆動信号となる。しかし、先端部120を取り替える際に、異なるタイプの先端部120に付け替えるようにしてもよい。このような場合は、駆動電圧や駆動周波数や電圧の傾き、立ち上がり時間などを補正するのではなく、新たに付け替えられた先端部120に応じて、新たな波形の駆動信号に変更することができる。たとえば、先端部120の先端側メモリー120mに、先端部120の型式などを示すデータを記憶しておき、このデータを読み出して、圧電素子112に印加する駆動信号の波形を選択しても良い。もちろん、先端部120のタイプに応じて選択した駆動信号の波形に対して、上述した実施例のように、噴射特性データに基づいて駆動電圧を修正した駆動信号を、圧電素子112に印加しても良い。
【符号の説明】
【0047】
10…液体噴射装置、 100…アプリケーター、 110…本体部、
110L…雌型ロック部、 110d…ダイアフラム、
110m…本体側メモリー、 110s…合わせ面、 111…凹部、
112…圧電素子、 114…接続端子、 116…補強板、
120…先端部、 120L…雄型ロック部、 120m…先端側メモリー、
122…ノズル、 122o…液体噴射開口部、 124…液体噴射管、
126…液体室、 126i…入口流路、 126o…出口流路、
128…薄膜、 200…制御部、 202…処理部、 204…通信部、
206…駆動部、 208…記憶部、 210…操作部、
300…液体供給手段、 302…第1接続チューブ、
304…第2接続チューブ、 306…液体容器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルからパルス状に液体を噴射する噴射部と、該噴射部に液体を供給する液体供給手段と、前記噴射部が液体を噴射する動作を制御する制御部とを有する液体噴射装置において、
前記噴射部は、
前記ノズルと該ノズルに接続されて前記液体供給手段から液体が供給される液体室とが設けられた先端部と、
前記液体室を変形させるアクチュエーターが設けられ、且つ、前記先端部が着脱可能に装着される本体部と
を備え、
前記先端部には、前記液体室の変形に応じて前記ノズルが液体を噴射する特性に関するデータである噴射特性データを記憶した先端側メモリーが設けられており、
前記制御部は、前記先端側メモリーから読み出した前記噴射特性データに基づいて前記アクチュエーターを駆動する
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射装置であって、
前記アクチュエーターは、駆動信号が印加されることによって変形して、前記液体室を変形させるアクチュエーターであり、
前記本体部には、前記アクチュエーターに前記駆動信号を印加した時の該アクチュエーターの変形量に関するデータである駆動特性データを記憶した本体側メモリーが設けられており、
前記制御部は、前記噴射特性データと、前記本体側メモリーから読み出した前記駆動特性データとに応じて決定された前記駆動電圧を用いて、前記アクチュエーターを駆動する
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の液体噴射装置を備える医療機器。
【請求項1】
ノズルからパルス状に液体を噴射する噴射部と、該噴射部に液体を供給する液体供給手段と、前記噴射部が液体を噴射する動作を制御する制御部とを有する液体噴射装置において、
前記噴射部は、
前記ノズルと該ノズルに接続されて前記液体供給手段から液体が供給される液体室とが設けられた先端部と、
前記液体室を変形させるアクチュエーターが設けられ、且つ、前記先端部が着脱可能に装着される本体部と
を備え、
前記先端部には、前記液体室の変形に応じて前記ノズルが液体を噴射する特性に関するデータである噴射特性データを記憶した先端側メモリーが設けられており、
前記制御部は、前記先端側メモリーから読み出した前記噴射特性データに基づいて前記アクチュエーターを駆動する
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射装置であって、
前記アクチュエーターは、駆動信号が印加されることによって変形して、前記液体室を変形させるアクチュエーターであり、
前記本体部には、前記アクチュエーターに前記駆動信号を印加した時の該アクチュエーターの変形量に関するデータである駆動特性データを記憶した本体側メモリーが設けられており、
前記制御部は、前記噴射特性データと、前記本体側メモリーから読み出した前記駆動特性データとに応じて決定された前記駆動電圧を用いて、前記アクチュエーターを駆動する
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の液体噴射装置を備える医療機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2013−85865(P2013−85865A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231422(P2011−231422)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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