説明

液体噴射装置および液体噴射型印刷装置

【課題】消費電力を低減することが可能な液体噴射装置を提供する。
【解決手段】駆動波形信号WCOMを変調回路26でパルス変調し、その変調信号をデジタル電力増幅回路28で電力増幅し、その電力増幅変調信号APWMを平滑フィルタ29で平滑化して駆動信号COMとして出力するにあたり、容量性負荷であるアクチュエータ22に電流を供給する必要のない駆動信号COMの電位の変化のないとき、即ち駆動波形信号WCOMの電位が変化しないときに、動作停止信号/Disableをローレベルとしてデジタル電力増幅回路28のハイサイド側スイッチング素子Q1、ローサイド側スイッチング素子Q2を共にオフ状態としてデジタル電力増幅回路28の動作を停止することにより、ハイサイド側スイッチング素子Q1、ローサイド側スイッチング素子Q2並びに平滑フィルタ29中のコイルLでの電力消費量を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータに駆動信号を印加して液体を噴射する液体噴射装置に関し、例えば微小な液体を液体噴射ヘッドのノズルから噴射して、微粒子(ドット)を印刷媒体上に形成することにより、所定の文字や画像等を印刷するようにした液体噴射型印刷装置に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
液体噴射型印刷装置では、液体噴射ヘッドのノズルから液体を噴射するために、圧電素子などのアクチュエータが設けられ、このアクチュエータに所定の駆動信号を印加しなければならない。この駆動信号は、比較的電位の高いものなので、駆動信号の基準となる駆動波形信号を電力増幅回路で電力増幅しなければならない。そこで、下記特許文献1では、アナログ電力増幅器に比べて、電力損失が極めて小さく、小型化が可能なデジタル電力増幅回路を用い、駆動波形信号を変調回路でパルス変調して変調信号とし、その変調信号をデジタル電力増幅回路で電力増幅して電力増幅変調信号とし、その電力増幅変調信号を平滑フィルタで平滑化して、駆動信号としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−168172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、液体噴射型印刷装置のアクチュエータに印加する駆動信号、或いはその基準となる駆動波形信号には、電位の変化しない部分(時間)がある。アクチュエータとして用いられる圧電素子は容量性負荷であり、駆動信号の電位が変化しないときにはアクチュエータに電流を供給する必要がない。しかしながら、前記特許文献1に記載される液体噴射型印刷装置では、駆動信号の電位が変化しないときにもデジタル電力増幅回路が動作し続け、デジタル電力増幅回路並びに平滑フィルタで電力が消費されてしまうという問題がある。
本発明は、これらの諸問題に着目して開発されたものであり、消費電力を低減することが可能な液体噴射装置および液体噴射装置を用いた液体噴射型印刷装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記諸問題を解決するため、本発明の液体噴射装置は、アクチュエータの駆動信号の基準となる駆動波形信号をパルス変調して変調信号とする変調回路と、前記変調信号を電力増幅して電力増幅変調信号とするデジタル電力増幅回路と、前記電力増幅変調信号を平滑化して前記駆動信号とする平滑フィルタと、前記アクチュエータの電位を一定に保つ場合に動作する電力増幅停止手段とを備えたことを特徴とするものである。
この液体噴射装置によれば、アクチュエータの電位を一定に保つとき、即ち駆動波形信号の電位を一定に保つときにデジタル電力増幅回路の動作を停止することとしたため、デジタル電力増幅回路並びに平滑フィルタでの電力消費量を低減することができる。
【0006】
また、前記デジタル電力増幅回路はスイッチング素子を備え、前記電力増幅停止手段は、前記デジタル電力増幅回路のすべてのスイッチング素子をオフとすることによって、前記デジタル電力増幅回路の動作を停止することを特徴とするものである。
この液体噴射装置によれば、デジタル電力増幅回路のすべてのスイッチング素子をオフとすることにより、それらスイッチング素子をハイインピーダンス状態とすることができ、これにより容量性負荷であるアクチュエータからの放電を抑制することができる。
【0007】
また、前記変調回路は、前記電力増幅停止手段によってデジタル電力増幅回路の動作が停止されるときには、前記変調信号の出力を停止することを特徴とするものである。
この液体噴射装置によれば、変調信号そのものの出力を停止することにより、変調回路並びにデジタル電力増幅回路の消費電力が削減される。
【0008】
また、前記変調回路は、第1の変調周波数を用いて前記駆動波形信号のパルス変調を行い、前記変調回路は、前記駆動波形信号の電位が変化している状態から前記駆動波形信号の電位が変化しない状態に移行するときには、パルス変調の変調周波数を前記第1の変調周波数よりも増加することを特徴とするものである。
この液体噴射装置によれば、デジタル電力増幅回路の動作を停止したときのリップル電圧を抑制することができ、電位が変化しないときの駆動信号の電位を目標値に一致させることが可能となる。
【0009】
また、前記変調回路は、第1の変調周波数を用いて前記駆動波形信号のパルス変調を行い、前記変調回路は、前記駆動波形信号の電位が変化していない状態から前記駆動波形信号の電位が変化する状態に移行するときには、パルス変調の変調周波数を前記第1の変調周波数よりも増加することを特徴とするものである。
この液体噴射装置によれば、デジタル電力増幅回路の動作を再開したときのリップル電圧を抑制することができる。
【0010】
また、前記変調信号のハイレベルの期間は第1の期間であり、また、前記変調信号のローレベルの期間は第2の期間であり、前記変調回路は、前記駆動波形信号の電位が変化していない状態から前記駆動波形信号の電位が変化する状態に移行するときには、開始直後の変調信号のハイレベルもしくはローレベルの期間を、前記第1の期間もしくは第2の期間の半分とすることを特徴とするものである。
この液体噴射装置によれば、駆動波形信号の電位が変化していない状態から変化するときのリップル電圧を抑制することができる。
【0011】
また、前記電力増幅停止手段は、前記デジタル電力増幅回路の動作停止中、前記デジタル電力増幅回路の動作を一時的に再開することを特徴とするものである。
この液体噴射装置によれば、容量性負荷からなるアクチュエータの自己放電による電位の低下を抑制することが可能となる。
また、前記駆動波形信号を記憶するメモリを備え、前記メモリは駆動波形電位差データが記憶されていることを特徴とするものである。
この液体噴射装置によれば、駆動波形信号の電位が変化するか否かの判定が容易になる。
【0012】
また、前記駆動波形信号を記憶するメモリを備え、前記メモリは駆動波形電位データと前記駆動波形信号の電位が変化しているか否かの情報が記憶されていることを特徴とするものである。
この液体噴射装置によれば、駆動波形信号の電位が変化するか否かの判定そのものが不要となる。
【0013】
また、前記駆動波形信号を記憶するメモリを備え、前記メモリは駆動波形電位データが記憶され、前記電力増幅停止手段は前記メモリから読出した駆動波形電位データの差分を算出し、前記差分が0である場合に前記デジタル電力増幅回路の動作を停止することを特徴とするものである。
この液体噴射装置によれば、メモリの容量が少なくてよい。
また、前記メモリは、前記変調回路による変調周波数が記憶されていることを特徴とするものである。
この液体噴射装置によれば、変調周波数を自在に設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の液体噴射装置を用いた液体噴射型印刷装置の一実施形態を示す概略構成正面図である。
【図2】図1の液体噴射型印刷装置に用いられる液体噴射ヘッド近傍の平面図である。
【図3】図1の液体噴射型印刷装置の制御装置のブロック図である。
【図4】各液体噴射ヘッド内のアクチュエータを駆動する駆動信号の説明図である。
【図5】スイッチングコントローラのブロック図である。
【図6】アクチュエータの駆動回路のブロック図である。
【図7】図6の駆動回路の一例を示す詳細なブロック図である。
【図8】図7の駆動回路における変調信号、ゲート−ソース間信号、出力信号の説明図である。
【図9】図8の変調信号の詳細な説明図である。
【図10】図9の変調信号の詳細な説明図である。
【図11】駆動波形信号の一例を示す波形図である。
【図12】本発明の第1実施形態を示すメモリ内容の説明図である。
【図13】図12のメモリ内容に応じて図7のコントローラで行われる演算処理のフローチャートである。
【図14】本発明の第2実施形態を示すメモリ内容の説明図である。
【図15】図14のメモリ内容に応じて図7のコントローラで行われる演算処理のフローチャートである。
【図16】本発明の第3実施形態を示すメモリ内容の説明図である。
【図17】図16のメモリ内容に応じて図7のコントローラで行われる演算処理のフローチャートである。
【図18】図6の駆動回路の他の例を示す詳細なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の液体噴射装置の第1実施形態として、液体噴射型印刷装置に適用されたものについて説明する。
図1は、第1実施形態の液体噴射型印刷装置の概略構成図であり、図において、印刷媒体1は、図の左から右に向けて矢印方向に搬送され、その搬送途中の印刷領域で印刷される、ラインヘッド型印刷装置である。
【0016】
図1中の符号2は、印刷媒体1の搬送ライン上方に設けられた複数の液体噴射ヘッドであり、印刷媒体搬送方向に2列になるように且つ印刷媒体搬送方向と交差する方向に並べて配設されて、夫々、ヘッド固定プレート11に固定されている。各液体噴射ヘッド2の最下面には、多数のノズルが形成されており、この面がノズル面と呼ばれている。ノズルは、図2に示すように、噴射する液体の色毎に、印刷媒体搬送方向と交差する方向に列状に配設されており、その列をノズル列と呼んだり、その列方向をノズル列方向と呼んだりする。そして、印刷媒体搬送方向と交差する方向に配設された全ての液体噴射ヘッド2のノズル列によって、印刷媒体1の搬送方向と交差する方向の幅全長に及ぶラインヘッドが形成されている。印刷媒体1は、これらの液体噴射ヘッド2のノズル面の下方を通過するときに、ノズル面に形成されている多数のノズルから液体が噴射され、印刷が行われる。
【0017】
液体噴射ヘッド2には、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクなどの液体が、図示しない液体タンクから液体供給チューブを介して供給される。そして、液体噴射ヘッド2に形成されているノズルから同時に必要箇所に必要量の液体を噴射することにより、印刷媒体1上に微小なドットを形成する。これを各色毎に行うことにより、搬送部4で搬送される印刷媒体1を一度通過させるだけで、1パスによる印刷を行うことができる。
【0018】
液体噴射ヘッド2のノズルから液体を噴射する方法としては、静電方式、ピエゾ方式、膜沸騰液体噴射方式などがあり、第1実施形態ではピエゾ方式を用いた。ピエゾ方式は、アクチュエータである圧電素子に駆動信号を与えると、キャビティ内の振動板が変位してキャビティ内に圧力変化を生じ、その圧力変化によって液体がノズルから噴射されるというものである。そして、駆動信号の波高値や電圧増減傾きを調整することで液体の噴射量を調整することが可能となる。なお、本発明は、ピエゾ方式以外の液体噴射方法にも、同様に適用可能である。
【0019】
液体噴射ヘッド2の下方には、印刷媒体1を搬送方向に搬送するための搬送部4が設けられている。搬送部4は、駆動ローラ8及び従動ローラ9に搬送ベルト6を巻回して構成され、駆動ローラ8には図示しない電動モータが接続されている。また、搬送ベルト6の内側には、当該搬送ベルト6の表面に印刷媒体1を吸着するための図示しない吸着装置が設けられている。この吸着装置には、例えば負圧によって印刷媒体1を搬送ベルト6に吸着する空気吸引装置や、静電気力で印刷媒体1を搬送ベルト6に吸着する静電吸着装置などが用いられる。従って、給紙ローラ5によって給紙部3から印刷媒体1を一枚だけ搬送ベルト6上に送給し、電動モータによって駆動ローラ8を回転駆動すると、搬送ベルト6が印刷媒体搬送方向に回転され、吸着装置によって搬送ベルト6に印刷媒体1が吸着されて搬送される。この印刷媒体1の搬送中に、液体噴射ヘッド2から液体を噴射して印刷を行う。印刷の終了した印刷媒体1は、搬送方向下流側の排紙部10に排紙される。なお、前記搬送ベルト6には、例えばリニアエンコーダなどで構成される印刷基準信号出力装置が取付けられている。この印刷基準信号出力装置は、搬送ベルト6とそれに吸着されて搬送される印刷媒体1とが同期して移動されることに着目し、印刷媒体1が搬送経路中の所定位置を通過した後は、搬送ベルト6の移動に伴って要求される印刷解像度相当のパルス信号を出力し、このパルス信号に応じて、後述する駆動回路から駆動信号をアクチュエータに出力することで印刷媒体1上の所定位置に所定の色の液体を噴射し、そのドットによって印刷媒体1上に所定の画像を描画する。
【0020】
第1実施形態の液体噴射装置を用いた液体噴射型印刷装置内には、液体噴射型印刷装置を制御するための制御装置が設けられている。この制御装置は、図3に示すように、ホストコンピュータ60から入力された印刷データ読込むための入力インタフェース61と、この入力インタフェース61から入力された印刷データに基づいて印刷処理等の演算処理を実行するマイクロコンピュータで構成される制御部62と、前記給紙ローラ5に接続されている給紙ローラモータ17を駆動制御する給紙ローラモータドライバ63と、液体噴射ヘッド2を駆動制御するヘッドドライバ65と、前記駆動ローラ8に接続されている電動モータ7を駆動制御する電動モータドライバ66と、給紙ローラドライバ63、ヘッドドライバ65、電動モータドライバ66と給紙ローラモータ17、液体噴射ヘッド2、電動モータ7とを接続するインタフェース67とを備えて構成される。
【0021】
制御部62は、印刷処理等の各種処理を実行するCPU(Central Processing Unit)
62aと、入力インタフェース61を介して入力された印刷データ或いは当該印刷データ印刷処理等を実行する際の各種データを一時的に格納し、或いは印刷処理等のプログラムを一時的に展開するRAM(Random Access Memory)62cと、CPU62aで実行する制御プログラム等を格納する不揮発性半導体メモリで構成されるROM(Read-Only Memory)62dを備えている。この制御部62は、入力インタフェース61を介してホストコンピュータ60から印刷データ(画像データ)を入手すると、CPU62aが、この印刷データに所定の処理を実行して、何れのノズルから液体を噴射するか或いはどの程度の液体を噴射するかというノズル選択データ(駆動パルス選択データ)を算出し、この印刷データや駆動パルス選択データ及び各種センサからの入力データに基づいて、給紙ローラモータドライバ63、ヘッドドライバ65、電動モータドライバ66に駆動信号及び制御信号を出力する。これらの駆動信号及び制御信号により、給紙ローラモータ17、電動モータ7、液体噴射ヘッド2内のアクチュエータ22などが夫々作動して、印刷媒体1の給紙及び搬送及び排紙、並びに印刷媒体1への印刷処理が実行される。なお、制御部62内の各構成要素は、図示しないバスを介して電気的に接続されている。
【0022】
図4には、第1実施形態の液体噴射装置を用いた液体噴射型印刷装置の制御装置から液体噴射ヘッド2に供給され、圧電素子からなるアクチュエータ22を駆動するための駆動信号COMの一例を示す。第1実施形態では、中間電位を中心に電位が変化する信号とした。この駆動信号COMは、アクチュエータ22を駆動して液体を噴射する単位駆動信号としての駆動パルスPCOMを時系列的に接続したものであり、駆動パルスPCOMの立上がり部分がノズルに連通するキャビティ(圧力室)の容積を拡大して液体を引込む(液体の噴射面を考えればメニスカスを引き込むとも言える)段階であり、駆動パルスPCOMの立下がり部分がキャビティの容積を縮小して液体を押出す(液体の噴射面を考えればメニスカスを押出すとも言える)段階であり、液体を押出した結果、液体がノズルから噴射される。
【0023】
この電圧台形波からなる駆動パルスPCOMの電圧増減傾きや波高値を種々に変更することにより、液体の引込量や引込速度、液体の押出量や押出速度を変化させることができ、これにより液体の噴射量を変化させて異なる大きさのドットを得ることができる。従って、複数の駆動パルスPCOMを時系列的に連結する場合でも、そのうちから単独の駆動パルスPCOMを選択してアクチュエータ22に供給し、液体を噴射したり、複数の駆動パルスPCOMを選択してアクチュエータ22に供給し、液体を複数回噴射したりすることで種々の大きさのドットを得ることができる。即ち、液体が乾かないうちに複数の液体を同じ位置に着弾すると、実質的に大きな液体を噴射するのと同じことになり、ドットの大きさを大きくすることができるのである。このような技術の組合せによって多階調化を図ることが可能となる。なお、図4の左端の駆動パルスPCOM1は、液体を引込むだけで押出していない。これは、微振動と呼ばれ、液体を噴射せずにノズルの増粘を抑制防止したりするのに用いられる。
【0024】
液体噴射ヘッド2には、前記駆動信号COMの他、前記図3の制御装置から制御信号として、印刷データに基づいて噴射するノズルを選択すると共に圧電素子などのアクチュエータ22の駆動信号COMへの接続タイミングを決定する駆動パルス選択データSI&SP、全ノズルにノズル選択データが入力された後、駆動パルス選択データSI&SPに基づいて駆動信号COMと液体噴射ヘッド2のアクチュエータ22とを接続させるラッチ信号LAT及びチャンネル信号CH、駆動パルス選択データSI&SPをシリアル信号として液体噴射ヘッド2に送信するためのクロック信号SCKが入力されている。なお、これ以後、アクチュエータ22を駆動する駆動信号の最小単位を駆動パルスPCOMとし、駆動パルスPCOMが時系列的に連結された信号全体を駆動信号COMと記す。即ち、ラッチ信号LATで一連の駆動信号COMが出力され始め、チャンネル信号CH毎に駆動パルスPCOMが出力されることになる。
【0025】
図5には、駆動信号COM(駆動パルスPCOM)をアクチュエータ22に供給するために液体噴射ヘッド2内に構築されたスイッチングコントローラの具体的な構成を示す。このスイッチングコントローラは、液体を噴射させるノズルに対応した圧電素子などのアクチュエータ22を指定するための駆動パルス選択データSI&SPを保存するシフトレジスタ211と、シフトレジスタ211のデータを一時的に保存するラッチ回路212と、ラッチ回路212の出力をレベル変換して選択スイッチ201に供給することにより、駆動信号COMをピエゾ素子などのアクチュエータ22に接続するレベルシフタ213を備えて構成されている。
【0026】
シフトレジスタ211には、駆動パルス選択データSI&SPが順次入力されると共に、クロック信号SCKの入力パルスに応じて記憶領域が初段から順次後段にシフトする。ラッチ回路212は、ノズル数分の駆動パルス選択データSI&SPがシフトレジスタ211に格納された後、入力されるラッチ信号LATによってシフトレジスタ211の各出力信号をラッチする。ラッチ回路212に保存された信号は、レベルシフタ213によって次段の選択スイッチ201をオンオフできる電圧レベルに変換される。これは、駆動信号COMが、ラッチ回路212の出力電圧に比べて高い電圧であり、これに合わせて選択スイッチ201の動作電圧範囲も高く設定されているためである。従って、レベルシフタ213によって選択スイッチ201が閉じられる圧電素子などのアクチュエータ22は駆動パルス選択データSI&SPの接続タイミングで駆動信号COM(駆動パルスPCOM)に接続される。また、シフトレジスタ211の駆動パルス選択データSI&SPがラッチ回路212に保存された後、次の印刷情報をシフトレジスタ211に入力し、液体の噴射タイミングに合わせてラッチ回路212の保存データを順次更新する。なお、図中の符号HGNDは、圧電素子などのアクチュエータ22のグランド端である。また、この選択スイッチ201により、圧電素子などのアクチュエータ22を駆動信号COM(駆動パルスPCOM)から切り離した後も、当該アクチュエータ22の入力電圧は、切り離す直前の電圧に維持される。
【0027】
図6には、アクチュエータ22の駆動回路の概略構成を示す。このアクチュエータ駆動回路は、前記制御回路内の制御部62及びヘッドドライバ65内に構築されている。第1実施形態の駆動回路は、予め記憶されている駆動波形データDWCOMに基づいて、駆動信号COM(駆動パルスPCOM)の元、つまりアクチュエータ22の駆動を制御する信号の基準となる駆動波形信号WCOMを生成する駆動波形信号発生回路25と、駆動波形信号発生回路25で生成された駆動波形信号WCOMをパルス変調する変調回路26と、変調回路26でパルス変調された変調信号を電力増幅するデジタル電力増幅回路28と、デジタル電力増幅回路28で電力増幅された電力増幅変調信号を平滑化して、駆動信号COM(駆動パルスPCOM)として液体噴射ヘッド2に供給する平滑フィルタ29とを備えて構成され、この駆動信号COM(駆動パルスPCOM)が前記選択スイッチ201からアクチュエータ22に供給される。
【0028】
図7には、アクチュエータ駆動回路の具体的な構成を示す。図7aは、駆動波形信号発生回路25及び変調回路26を、図7bは、デジタル電力増幅回路28、平滑フィルタ29及び液体噴射ヘッド2を示す。駆動波形信号発生回路25は、デジタル電位データなどで構成される駆動波形信号の駆動波形データを記憶するメモリ31と、メモリ31から読込んだ駆動波形データを電圧信号に変換して所定サンプリング周期分ホールドすると共に、後述する三角波発振器に向けて三角波信号の周波数や波形、或いは波形出力タイミングを指示するコントローラ32と、コントローラ32から出力される電圧信号をアナログ変換して駆動波形信号WCOMとして出力するD/Aコンバータ33を備えて構成される。なお、コントローラ32は、デジタル電力増幅回路28中の後述するゲートドライブ回路30に向けて、デジタル電力増幅回路28の動作を停止する動作停止信号も出力する。動作停止信号/Disableはローレベルであるときにデジタル電力増幅回路28の動作を停止するものとする。
【0029】
また、変調回路26には、周知のパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)回路を用いた。そのため、この変調回路26は、前記コントローラ32から指示された周波数や波形、波形出力タイミングに応じて基準信号となる三角波信号を出力する三角波発振器34と、前記D/Aコンバータ33から出力された駆動波形信号WCOMと三角波発振器34から出力された三角波信号とを比較し、駆動波形信号WCOMが三角波信号より大きいときにオンデューティとなるパルスデューティの変調信号を出力する。なお、三角波信号(基準信号)の周波数を変調周波数(一般にキャリア周波数などと呼ばれている)と定義する。また、変調回路26には、この他にパルス密度変調(PDM)回路などの周知のパルス変調回路を用いることができる。
【0030】
デジタル電力増幅回路28は、実質的に電力を増幅するためのハイサイド側スイッチング素子Q1及びローサイド側スイッチング素子Q2からなるハーフブリッジ出力段21と、変調回路26からの変調信号に基づいて、ハイサイド側スイッチング素子Q1、ローサイド側スイッチング素子Q2のゲート−ソース間信号GH、GLを調整するためのゲートドライブ回路30とを備えて構成されている。デジタル電力増幅回路28では、変調信号がハイレベルであるとき、ハイサイド側スイッチング素子Q1のゲート−ソース間信号GHはハイレベルとなり、ローサイド側スイッチング素子Q2のゲート−ソース間信号GLはローレベルとなるので、ハイサイド側スイッチング素子Q1はオン状態となり、ローサイド側スイッチング素子Q2はオフ状態となり、その結果、ハーフブリッジ出力段21の出力Vaは、供給電圧VDDとなる。一方、変調信号がローレベルであるとき、ハイサイド側スイッチング素子Q1のゲート−ソース間信号GHはローレベルとなり、ローサイド側スイッチング素子Q2のゲート−ソース間信号GLはハイレベルとなるので、ハイサイド側スイッチング素子Q1はオフ状態となり、ローサイド側スイッチング素子Q2はオン状態となり、その結果、ハーフブリッジ出力段21の出力Vaは0となる。
【0031】
このようにハイサイド側スイッチング素子Q1及びローサイド側スイッチング素子Q2がデジタル駆動される場合には、オン状態のスイッチング素子に電流が流れるが、ドレイン−ソース間の抵抗値は非常に小さく、損失は殆ど発生しない。また、オフ状態のスイッチング素子には電流が流れないので損失は発生しない。従って、このデジタル電力増幅回路28の損失そのものは極めて小さく、小型のMOSFET等のスイッチング素子を使用することができる。
【0032】
なお、前記コントローラ32から出力される動作停止信号/Disableがローレベルにあるときには、ゲートドライブ回路30はハイサイド側スイッチング素子Q1、ローサイド側スイッチング素子Q2を共にオフ状態とする。前述のように、デジタル電力増幅回路28の動作時には、ハイサイド側スイッチング素子Q1、ローサイド側スイッチング素子Q2の何れかがオン状態となる。ハイサイド側スイッチング素子Q1、ローサイド側スイッチング素子Q2を共にオフ状態とすることは、デジタル電力増幅回路28の動作を停止することと同義であり、電気的には容量性負荷である圧電素子からなるアクチュエータ22がハイインピーダンス状態に維持されることになる。アクチュエータ22がハイインピーダンス状態に維持されると、容量性負荷であるアクチュエータ22に貯えられた電荷が保持され、充放電状態が維持されるか、僅かな自己放電に抑制される。
【0033】
平滑フィルタ29には、1つのコンデンサCとコイルLからなる2次のフィルタを用いた。この平滑フィルタ29によって、前記変調回路26で生じた変調周波数、即ちパルス変調の周波数成分を減衰して除去し、前述したような波形特性の駆動信号COM(駆動パルスPCOM)を出力する。なお、図7は、理解を容易にするために回路化して示してあるが、駆動波形信号発生回路25及び変調回路26は、図3の制御部62内で行われるプログラミングによって構築されている。また、平滑フィルタ29は回路配線で発生する浮遊インダクタンスや浮遊容量、もしくはアクチュエータなどを利用して構成可能であり、必ずしも回路化する必要はない。また、メモリ31は、前記ROM62d内に形成されている。
【0034】
図8には、第1実施形態で行われるデジタル電力増幅の制御態様を示す。図8の上方には、通常のデジタル電力増幅の状態を従来例として示し、図8の下方に、第1実施形態のデジタル電力増幅制御の実施例を示す。従来、行われてきた通常のデジタル電力増幅では、駆動信号COMの電位が変化してもしなくても、常時、デジタル電力増幅回路を動作させ続けている。例えば、オーディオの分野で使用されるデジタル電力増幅回路は、入力が常に変化することを前提としているので、動作を停止するということがない。一方、圧電素子などのアクチュエータ22は容量性負荷なので、駆動信号COMの電位が変化しないときには電流を流す必要がない。にもかかわらず、デジタル電力増幅回路28のハイサイド側スイッチング素子Q1、ローサイド側スイッチング素子Q2をオン・オフし続けると、ハイサイド側スイッチング素子Q1、ローサイド側スイッチング素子Q2と平滑フィルタ29のコイルLで電力が消費されてしまう。
【0035】
そこで、第1実施形態では、下記表1の真理値表にも示すように、駆動信号COM(電力増幅される以前の駆動波形信号WCOMでも同じ)の電位が変化しないときには、動作停止信号/Disableをローレベルとしてデジタル電力増幅回路28の動作を停止し、ハイサイド側スイッチング素子Q1、ローサイド側スイッチング素子Q2を共にオフ状態とする。ハイサイド側スイッチング素子Q1、ローサイド側スイッチング素子Q2を共にオフ状態とすると、容量性負荷であるアクチュエータ22がハイインピーダンス状態に維持され、自己放電が僅かな状態に保持される。また、第1実施形態では、デジタル電力増幅回路28の動作を停止するとき、つまり駆動信号COM(駆動波形信号WCOM)の電位が変化しないときには、変調信号PWMも出力しない(ローレベルに維持する)。これにより、変調回路26やゲートドライブ回路30の消費電力も削減できる。
【0036】
【表1】

【0037】
ちなみに、変調信号PWMを出力しない(ローレベルに維持する)だけでは、デジタル電力増幅回路28のハイサイド側スイッチング素子Q1、ローサイド側スイッチング素子Q2を共にオフ状態とすることはできない。なぜならば、変調信号PWMがローレベルであるとき、ハイサイド側スイッチング素子Q1のゲート−ソース間信号GHはローレベルとなるが、ローサイド側スイッチング素子Q2のゲート−ソース間信号GLはハイレベルとなるので、ハイサイド側スイッチング素子Q1はオフ状態となり、ローサイド側スイッチング素子Q2はオン状態となってしまうからである。そのため、ゲートドライブ回路30は動作停止信号/Disableがローレベルであるときに、ハイサイド側スイッチング素子Q1のゲート−ソース間信号GHも、ローサイド側スイッチング素子Q2のゲート−ソース間信号GLも共にローレベルとする。
【0038】
図9には、変調回路26で行われるPWM変調の詳細を示す。図9aは、駆動波形信号WCOMの電位が次第に増加し、一定に保持された後、次第に減少する状態を示している。また、図9bは、駆動波形信号WCOMの電位が次第に減少し、一定に保持された後、次第に増加する状態を示している。第1実施形態では、駆動波形信号WCOMが増加する場合も、減少する場合も、駆動波形信号WCOMの電位が変化している状態から電位が変化しない状態に移行する場合に、パルス変調の変調周波数(三角波信号TRI周波数)を増加する。同様に、駆動波形信号WCOMが増加する場合も、減少する場合も、駆動波形信号WCOMの電位が変化していない状態から電位が変化する状態に移行する場合にも、パルス変調の変調周波数(三角波信号TRI周波数)を増加する。具体的に、通常のパルス変調の変調周波数(三角波信号TRI周波数)を500kHzとし、駆動波形信号WCOMの電位が変化している状態から電位が変化しない状態に移行する場合、及び駆動波形信号WCOMの電位が変化していない状態から電位が変化する状態に移行する場合のパルス変調の変調周波数(三角波信号TRI周波数)を1000kHzとする。このようにすることで、夫々の移行期における駆動信号COMのリップル電圧を抑制することができ、特に電位が変化しないときの駆動信号の電位を目標値に一致させることが可能となる。なお、変調周波数の切り換えは2段階に限定されるものではなく、更に切り換え段数を多くしたり、次第に変化させたりするようにしてもよい。
【0039】
更に、第1本実施形態では、駆動波形信号WCOMの電位が変化していない状態から電位が変化する状態に移行する開始直後の変調信号PWMのハイレベルもしくはローレベルの期間を、本来の変調信号PWMの期間の半分とする。具体的には、図10に示すように、駆動波形信号WCOMが三角波信号TRIより大きいときに変調信号PWMがハイレベル、駆動波形信号WCOMが三角波信号TRIより小さいときに変調信号PWMがローレベルになるように設定されているので、三角波信号TRIの下の頂点から変調信号PWMの出力を開始するようにすれば、ハイレベルの期間を半分にすることができる。また、三角波信号TRIの上の頂点から変調信号PWMの出力を開始するようにすれば、ローレベルの期間を半分にすることができる。例えば、図9aでは、駆動波形信号WCOMの電位が一定の状態から、減少開始と同時に、三角波信号TRIが上の頂点から開始されるように、コントローラ32から三角波発振器34に三角波信号TRIの波形及び波形出力タイミングが指示される。一方、図9bでは、駆動波形信号WCOMの電位が一定の状態から、増加開始と同時に、三角波信号TRIが下の頂点から開始されるように、コントローラ32から三角波発振器34に三角波信号TRIの波形及び波形出力タイミングが指示される。そして、このようにすることで、夫々の移行期における駆動信号COMのリップル電圧が抑制される。
【0040】
また、第1実施形態では、デジタル電力増幅回路28の動作停止中、当該デジタル電力増幅回路の動作を一時的に再開する。具体的には、動作停止信号/Disableをハイレベルとしてゲートドライブ回路30の動作を再開し、合わせて変調回路26から変調信号PWMを出力してデジタル電力増幅回路28のハイサイド側スイッチング素子Q1、ローサイド側スイッチング素子Q2をオン・オフ制御する。デジタル電力増幅回路28の動作が停止されるのは、駆動波形信号WCOMの電位が変化していないときなので、アクチュエータ22に供給される駆動信号COMの電位も、デジタル電力増幅回路28の動作が停止されている前後の電位と同じである。このようにすることにより、容量性負荷からなるアクチュエータ22の自己放電による電位の低下を抑制することが可能となる。
【0041】
例えば、駆動波形信号WCOMが、図11に示すように、期間0〜期間2の電位が0V、期間3の電位が2V、期間4の電位が4V、期間5の電位が6V、期間6の電位が8V、期間7〜期間11の電位が10V、期間12の電位が8V、期間13の電位が6V、期間14の電位が4V、期間15の電位が2V、期間16〜期間18の電位が0Vである場合、前記メモリ31には、例えば図12のようなデータが記憶されている。この第1実施形態では、各期間間の電位差を出力電圧差分値Vdとして記憶すると共に、各期間における変調周波数(図ではPWM周波数)fpwmを記憶している。
図13は、前記図12のメモリ31の記憶データを用いて、前記コントローラ32で行われる演算処理のフローチャートである。この演算処理では、まずステップS1で、前回電位値Vsをクリアする。
【0042】
次にステップS2に移行して、メモリアドレスカウンタNをクリアする。
次にステップS3に移行して、メモリ31からアドレスNの波形データ(出力電圧差分値)Vdを読出す。
次にステップS4に移行して、ステップS3で読出された波形データ(出力電圧差分値)Vdが波形終了データであるか否かを判定し、波形終了データである場合には演算処理を終了し、そうでない場合にはステップS5に移行する。
【0043】
ステップS5では、ステップS3で読出された波形データ(出力電圧差分値)Vdの判定を行う。このとき、直前の出力電圧差分値Vdが0で、且つ現在読出されている出力電圧差分値Vdが0である場合には、駆動波形信号WCOMの電位が変化していない状態が継続しているものとしてステップS6に移行する。また、直前の出力電圧差分値Vdが0でなく、且つ現在読出されている出力電圧差分値Vdが0である場合には、駆動波形信号WCOMの電位が変化しない状態に移行したものとしてステップS11に移行する。また、直前の出力電圧差分値Vdが0で、且つ現在読出されている出力電圧差分値Vdが正値である場合には、駆動波形信号WCOMの電位が変化しない状態から増加状態に移行したものとしてステップS13に移行する。また、直前の出力電圧差分値Vdが0で、且つ現在読出されている出力電圧差分値Vdが負値である場合には、駆動波形信号WCOMの電位が変化しない状態から減少状態に移行したものとしてステップS14に移行する。また、その他の場合、即ち、直前の出力電圧差分値Vdが0でなく、且つ現在読出されている出力電圧差分値Vdが0でないような場合にはステップS15に移行する。
【0044】
ステップS6では、メモリ31から読出された変調周波数fpwmの判定を行う。このとき、直前の変調周波数fpwmが0で、且つ現在読出されている変調周波数fpwmが0でない場合には、デジタル電力増幅回路28の動作の一時的な再開であるとしてステップS7に移行する。また、直前の変調周波数fpwmが0でなく、且つ現在読出されている変調周波数fpwmが0である場合には、デジタル電力増幅回路28の動作を停止するものとしてステップS8に移行する。また、直前の変調周波数fpwmが0で、且つ現在読出されている変調周波数fpwmが0である場合には、デジタル電力増幅回路28の動作停止を継続するものとしてステップS10に移行する。
ステップS7では、本来の変調信号PWMのオンデューティ期間を半分にして出力し、ステップS9に移行する。
ステップS9では、動作停止信号/Disableをハイレベルとして、デジタル電力増幅回路28、変調回路26を動作させ、ステップS12に移行する。
【0045】
また、ステップS8では、変調周期の終了まで待機し、ステップS10に移行する。
また、ステップS11でも、変調周期の終了まで待機し、ステップS10に移行する。
ステップS10では、動作停止信号/Disableをローレベルとすると共に、デジタル電力増幅回路28、変調回路26の動作を停止し、ステップS12に移行する。
一方、ステップS13では、前述したように三角波信号TRIの波形及び波形出力タイミングを調整することにより、変調信号PWMのハイレベルの期間を本来の変調信号のハイレベルの期間の半分にして出力し、ステップS15に移行する。
【0046】
また、ステップS14では、前述したように三角波信号TRIの波形及び波形出力タイミングを調整することにより、変調信号PWMのローレベルの期間を本来の変調信号のローレベルの期間の半分にして出力し、ステップS15に移行する。
ステップS15では、前回電位値Vsに出力電圧差分値Vdを加算して今回電位値Vを算出し、ステップS16に移行する。
【0047】
ステップS16では、ステップS15で算出された今回電位値VをD/Aコンバータ33に出力し、ステップS17に移行する。
ステップS17では、メモリ31から読出した変調周波数fpwmを変調回路26(三角波発振器34)に出力し、ステップS18に移行する。
ステップS18では、動作停止信号/Disableをハイレベルとすると共に、デジタル電力増幅回路28、変調回路26を動作させ、ステップS19に移行する。
【0048】
ステップS19では、今回電位値Vを前回電位値Vsとして更新記憶してからステップS12に移行する。
ステップS12では、メモリ31の読出しタイミングまで待機し、ステップS20に移行する。
ステップS20では、メモリアドレスカウンタNをインクリメントしてからステップS3に移行する。
【0049】
この演算処理によれば、アクチュエータ22に電流を供給する必要のない駆動信号COMの電位の変化のないとき、即ち駆動波形信号WCOMの電位が変化しないときにデジタル電力増幅回路28の動作を停止することにより、デジタル電力増幅回路28を構成するハイサイド側スイッチング素子Q1、ローサイド側スイッチング素子Q2並びに平滑フィルタ29中のコイルLでの電力消費量を低減することができる。
【0050】
また、デジタル電力増幅回路28のハイサイド側スイッチング素子Q1、ローサイド側スイッチング素子Q2を共にオフとすることにより、ハイサイド側スイッチング素子Q1、ローサイド側スイッチング素子Q2をハイインピーダンス状態とすることができ、これにより容量性負荷であるアクチュエータ22からの放電を抑制することができる。
また、デジタル電力増幅回路28の動作が停止されるときには、変調信号PWMそのものの出力を停止することにより、変調回路26並びにデジタル電力増幅回路28のゲートドライブ回路30の消費電力が削減される。
【0051】
また、駆動波形信号WCOMの電位が変化している状態から電位が変化しない状態に移行するときには、パルス変調の変調周波数fpwmを増加することにより、デジタル電力増幅回路28の動作を停止したときのリップル電圧を抑制することができ、電位が変化しないときの駆動信号COMの電位を目標値に一致させることが可能となる。
また、駆動波形信号WCOMの電位が変化していない状態から電位が変化する状態に移行するときには、パルス変調の変調周波数fpwmを増加することにより、デジタル電力増幅回路28の動作を再開したときのリップル電圧を抑制することができる。
【0052】
また、駆動波形信号WCOMの電位が変化していない状態から電位が増加方向に変化する状態に移行開始直後の変調信号PWMのハイレベルの期間を、本来の変調信号のハイレベルの期間の半分とすることにより、リップル電圧を抑制することができる。
また、駆動波形信号WCOMの電位が変化していない状態から電位が減少方向に変化する状態に移行開始直後の変調信号PWMのローレベルの期間を、本来の変調信号のローレベルの期間の半分とすることにより、リップル電圧を抑制することができる。
【0053】
また、デジタル電力増幅回路28の動作停止中、当該デジタル電力増幅回路28の動作を一時的に再開することにより、容量性負荷からなるアクチュエータ22の自己放電による電位の低下を抑制することが可能となる。
また、駆動波形信号WCOMを出力電圧差分値Vdのデータとしてメモリ31に記憶したことにより、駆動波形信号WCOMの電位が変化するか否かの判定が容易になる。
また、メモリ31内に、変調回路26による変調周波数fpwmも記憶することにより、変調周波数fpwmを自在に設定することが可能となる。
【0054】
次に、本発明の液体噴射装置の第2実施形態について説明する。本実施形態の液体噴射装置は、前記第1実施形態と同様に、液体噴射型印刷装置に適用されたものであり、その概略構成、液体噴射ヘッド近傍、制御装置、駆動信号、スイッチングコントローラ、アクチュエータ駆動回路、変調信号、ゲート−ソース間信号、出力信号は、前記第1実施形態と同様である。第2実施形態では、メモリ31に記憶されているデータの内容、並びにその記憶データを用いてコントローラ32で行われる演算処理が異なる。
【0055】
例えば、駆動波形信号の波形が、前記第1実施形態の図11と同様であるとして、第2実施形態では、図14に示す内容のデータがメモリ31に記憶されている。第2実施形態でメモリ31に記憶されているデータは、各期間における駆動波形信号WCOMの出力電圧値(駆動波形電位データ)V、各期間における駆動波形状態D0、D2、各期間における変調周波数(図14ではPWM周波数)fpwmが記憶されている。駆動波形状態D0、D2は3ビットデータで表され、[000]は駆動波形信号WCOMの電位が変化していないことを示し、[011]は駆動波形信号WCOMの電位が変化していない状態から増加方向に変化することを示し、[111]は駆動波形信号WCOMの電位が変化し続けていることを示し、[010]は駆動波形信号WCOMの電位が変化している状態から変化しない状態に移行することを示し、[101]はデジタル電力増幅回路28の動作を一時的に再開することを示し、[100]はデジタル電力増幅回路28の動作を停止することを示し、[001]は駆動波形信号WCOMの電位が変化していない状態から減少方向に変化することを示す。
図15は、図14のメモリ31の記憶データを用いて、コントローラ32で行われる演算処理のフローチャートである。この演算処理では、まずステップS101で、前回電位値Vsをクリアする。
【0056】
次にステップS102に移行して、メモリアドレスカウンタNをクリアする。
次にステップS103に移行して、メモリ31からアドレスNの波形データ(出力電圧値)Vを読出す。
次にステップS104に移行して、ステップS103で読出された波形データ(出力電圧値)Vが波形終了データであるか否かを判定し、波形終了データである場合には演算処理を終了し、そうでない場合にはステップS105に移行する。
【0057】
ステップS105では、ステップS103で読出された駆動波形状態D0、D2の判定を行う。このとき、駆動波形状態D0、D2が[101]である場合には、デジタル電力増幅回路28の動作の一時的な再開であるとしてステップS107に移行する。また、駆動波形状態D0、D2が[100]である場合には、デジタル電力増幅回路28の動作を停止するものとしてステップS108に移行する。また、駆動波形状態D0、D2が[000]である場合には、デジタル電力増幅回路28の動作停止を継続するものとしてステップS110に移行する。また、駆動波形状態D0、D2が[010]である場合には、駆動波形信号WCOMの電位が変化している状態から変化しない状態に移行したものとしてステップS111に移行する。駆動波形状態D0、D2が[011]である場合には、駆動波形信号WCOMの電位が変化しない状態から増加状態に移行したものとしてステップS113に移行する。また、駆動波形状態D0、D2が[001]である場合には、駆動波形信号WCOMの電位が変化しない状態から減少状態に移行したものとしてステップS114に移行する。また、駆動波形状態D0、D2が[00*](*は0又は1の何れか)である場合には、その他の状態であるとしてステップS116に移行する。
【0058】
ステップS107では、本来の変調信号PWMのオンデューティ期間を半分にして出力し、ステップS109に移行する。
ステップS109では、動作停止信号/Disableをハイレベルとして、デジタル電力増幅回路28、変調回路26を動作させ、ステップS112に移行する。
また、ステップS108では、変調周期の終了まで待機し、ステップS110に移行する。
また、ステップS111でも、変調周期の終了まで待機し、ステップS110に移行する。
ステップS110では、動作停止信号/Disableをローレベルとすると共に、デジタル電力増幅回路28、変調回路26の動作を停止し、ステップS112に移行する。
【0059】
一方、ステップS113では、前述したように三角波信号TRIの波形及び波形出力タイミングを調整することにより、変調信号PWMのハイレベルの期間を本来の変調信号のハイレベルの期間の半分にして出力し、ステップS116に移行する。
また、ステップS114では、前述したように三角波信号TRIの波形及び波形出力タイミングを調整することにより、変調信号PWMのローレベルの期間を本来の変調信号のローレベルの期間の半分にして出力し、ステップS116に移行する。
【0060】
ステップS116では、ステップS103で読出された出力電圧値VをD/Aコンバータ33に出力し、ステップS117に移行する。
ステップS117では、メモリ31から読出した変調周波数fpwmを変調回路26(三角波発振器34)に出力し、ステップS118に移行する。
ステップS118では、動作停止信号/Disableをハイレベルとすると共に、デジタル電力増幅回路28、変調回路26を動作させ、ステップS112に移行する。
ステップS112では、メモリ31の読出しタイミングまで待機し、ステップS20に移行する。
【0061】
ステップS120では、メモリアドレスカウンタNをインクリメントしてからステップS103に移行する。
この演算処理によれば、前記第1実施形態の効果に加えて、駆動波形信号WCOMが出力電圧値(駆動波形電位データ)Vとしてメモリ31に記憶され、当該メモリ31には駆動波形状態(駆動波形信号の電位が変化しているか及び変化していないかの情報)D0、D2も記憶されているため、駆動波形信号WCOMの電位が変化するか否かの判定そのものが不要となる。
【0062】
次に、本発明の液体噴射装置の第3実施形態について説明する。第3実施形態の液体噴射装置は、前記第1実施形態と同様に、液体噴射型印刷装置に適用されたものであり、その概略構成、液体噴射ヘッド近傍、制御装置、駆動信号、スイッチングコントローラ、アクチュエータ駆動回路、変調信号、ゲート−ソース間信号、出力信号は、前記第1実施形態と同様である。第3実施形態では、メモリ31に記憶されているデータの内容、並びにその記憶データを用いてコントローラ32で行われる演算処理が異なる。例えば、駆動波形信号の波形が、前記第1実施形態の図11と同様であるとして、第3実施形態では、図16に示す内容のデータがメモリ31に記憶されている。第3実施形態でメモリ31に記憶されているデータは、各期間における駆動波形信号WCOMの出力電圧値(駆動波形電位データ)V、各期間における変調周波数(図16ではPWM周波数)fpwmが記憶されている。
【0063】
図17は、図16のメモリ31の記憶データを用いて、コントローラ32で行われる演算処理のフローチャートである。この演算処理では、まずステップS201で、前回電位値Vsをクリアする。
次にステップS202に移行して、メモリアドレスカウンタNをクリアする。
次にステップS203に移行して、メモリ31からアドレスNの波形データ(出力電圧値)Vを読出す。
次にステップS204に移行して、ステップS203で読出された波形データ(出力電圧値)Vが波形終了データであるか否かを判定し、波形終了データである場合には演算処理を終了し、そうでない場合にはステップS205に移行する。
【0064】
ステップS205では、ステップS203で読出された波形データ(出力電圧値)Vの判定を行う。このとき、直前の出力電圧値Vから2つ前の出力電圧値を減じた値が0で、且つ現在読出されている出力電圧値Vから直前の出力電圧値Vを減じた値が0である場合には、駆動波形信号WCOMの電位が変化していない状態が継続しているものとしてステップS206に移行する。また、直前の出力電圧値Vから2つ前の出力電圧値Vを減じた値が0でなく、且つ現在読出されている出力電圧値Vから直前の出力電圧値Vを減じた値が0である場合には、駆動波形信号WCOMの電位が変化しない状態に移行したものとしてステップS211に移行する。また、直前の出力電圧値Vから2つ前の出力電圧値Vを減じた値が0で、且つ現在読出されている出力電圧値Vから直前の出力電圧値を減じた値が正値である場合には、駆動波形信号WCOMの電位が変化しない状態から増加状態に移行したものとしてステップS213に移行する。また、直前の出力電圧値Vから2つ前の出力電圧値Vを減じた値が0で、且つ現在読出されている出力電圧値Vから直前の出力電圧値を減じた値が負値である場合には、駆動波形信号WCOMの電位が変化しない状態から減少状態に移行したものとしてステップS214に移行する。また、その他の場合にはステップS216に移行する。
【0065】
ステップS206では、メモリ31から読出された変調周波数fpwmの判定を行う。このとき、直前の変調周波数fpwmが0で、且つ現在読出されている変調周波数fpwmが0でない場合には、デジタル電力増幅回路28の動作の一時的な再開であるとしてステップS207に移行する。また、直前の変調周波数fpwmが0でなく、且つ現在読出されている変調周波数fpwmが0である場合には、デジタル電力増幅回路28の動作を停止するものとしてステップS208に移行する。また、直前の変調周波数fpwmが0で、且つ現在読出されている変調周波数fpwmが0である場合には、デジタル電力増幅回路28の動作停止を継続するものとしてステップS210に移行する。
【0066】
ステップS207では、本来の変調信号PWMのオンデューティ期間を半分にして出力し、ステップS209に移行する。
ステップS209では、動作停止信号/Disableをハイレベルとして、デジタル電力増幅回路28、変調回路26を動作させ、ステップS212に移行する。
また、ステップS208では、変調周期の終了まで待機し、ステップS210に移行する。
また、ステップS211でも、変調周期の終了まで待機し、ステップS210に移行する。
ステップS210では、動作停止信号/Disableをローレベルとすると共に、デジタル電力増幅回路28、変調回路26の動作を停止し、ステップS12に移行する。
【0067】
一方、ステップS213では、前述したように三角波信号TRIの波形及び波形出力タイミングを調整することにより、変調信号PWMのハイレベルの期間を本来の変調信号のハイレベルの期間の半分にして出力し、ステップS216に移行する。
また、ステップS214では、前述したように三角波信号TRIの波形及び波形出力タイミングを調整することにより、変調信号PWMのローレベルの期間を本来の変調信号のローレベルの期間の半分にして出力し、ステップS216に移行する。
ステップS216では、ステップS203で読出された出力電圧値VをD/Aコンバータ33に出力し、ステップS217に移行する。
【0068】
ステップS217では、メモリ31から読出した変調周波数fpwmを変調回路26(三角波発振器34)に出力し、ステップS218に移行する。
ステップS218では、動作停止信号/Disableをハイレベルとすると共に、デジタル電力増幅回路28、変調回路26を動作させ、ステップS212に移行する。
ステップS212では、メモリ31の読出しタイミングまで待機し、ステップS220に移行する。
ステップS220では、メモリアドレスカウンタNをインクリメントしてからステップS203に移行する。
【0069】
この演算処理によれば、前記第1及び第2実施形態の効果に加えて、駆動波形信号WCOMは出力電圧値(駆動波形電位データ)Vとしてメモリ31に記憶され、コントローラ32がメモリ31から読出した出力電圧値(駆動波形電位データ)Vの差分を算出し、出力電圧値(駆動波形電位データ)Vの差分が0である場合にデジタル電力増幅回路28の動作を停止することとしたため、メモリ31の容量が少なくてよい。
【0070】
次に、前述したアクチュエータ駆動回路の変形例について説明する。図18は、アクチュエータ駆動回路の他の例を示すブロック図である。このアクチュエータ駆動回路は、前記図7のアクチュエータ駆動回路に類似しており、同等の構成には同等の符号を付して、その詳細な説明を省略する。前記図7のアクチュエータ駆動回路では、コントローラ32から動作停止信号/Disableをゲートドライブ回路30に出力し、動作停止信号/Disableがローレベルであるときにデジタル電力増幅回路28のハイサイド側スイッチング素子Q1、ローサイド側スイッチング素子Q2を共にオフ状態として、当該デジタル電力増幅回路28の動作を停止した。なぜならば、前述したように、ゲートドライブ回路30が一つだけで、例えばハイサイド側スイッチング素子Q1へのゲート−ソース間信号GHを反転してローサイド側スイッチング素子Q2へのゲート−ソース間信号GLを出力する場合には、ハイサイド側スイッチング素子Q1、ローサイド側スイッチング素子Q2へのゲート−ソース間信号GH、GLを共にローレベルにすることができないからである。
【0071】
そこで、本変形例では、ゲートドライブ回路30を、ハイサイド側スイッチング素子Q1、ローサイド側スイッチング素子Q2の夫々に備えた。そして、比較器35からは、駆動波形信号WCOMが三角波信号TRIより大きいときにハイレベルとなるパルス変調信号PWMPと、その反転パルス変調信号PWMNとを出力するものとし、ハイサイド側スイッチング素子Q1のゲートドライブ回路30にはパルス変調信号PWMPを出力し、ローサイド側スイッチング素子Q2のゲートドライブ回路30には反転パルス変調信号PWMNを出力する。コントローラ32は、デジタル電力増幅回路28を停止する場合、即ち駆動波形信号WCOMの電位が変化しないときには、比較器35から出力される変調信号PWMP、PWMNを何れもローレベルに保持する。これにより二つのゲートドライブ回路30から出力されるゲート−ソース間信号GH、GLは共にローレベルとなり、ハイサイド側スイッチング素子Q1、ローサイド側スイッチング素子Q2が共にオフ状態となる。デジタル電力増幅回路28の動作及び動作停止は、下記表2の真理値表にも示す通りである。
【0072】
【表2】

【0073】
なお、前記第1〜第3実施形態では、本発明の液体噴射装置をラインヘッド型の液体噴射型印刷装置に用いた場合についてのみ詳述したが、本発明の液体噴射装置は、マルチパス型の液体噴射型印刷装置にも同様に適用可能である。
また、本発明の液体噴射装置は、インク以外の他の液体(液体以外にも、機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルなどの流状体を含む)や液体以外の流体(流体として流して噴射できる固体など)を噴射する液体噴射装置に具体化することもできる。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッサンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解の形態で含む液状体を噴射する液状体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられて試料となる液体を噴射する液体噴射装置であってもよい。更に、時計やカメラなどの精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子などに用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するための紫外線硬化樹脂などの透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリなどのエッチング液を噴射する液体噴射装置、ジェルを噴射する流状体噴射装置、トナーなどの粉体を例とする固体を噴射する流体噴射式記録装置であってもよい。そして、これらのうち何れか一種の噴射装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1は印刷媒体、2は液体噴射ヘッド、3は給紙部、4は搬送部、5は給紙ローラ、6は搬送ベルト、7は電動モータ、8は駆動ローラ、9は従動ローラ、10は排紙部、11はヘッド固定プレート、21はハーフブリッジ出力段、22はアクチュエータ、25は駆動波形信号発生回路、26は変調回路、28はデジタル電力増幅回路、29は平滑フィルタ、30はゲートドライブ回路、31はメモリ、32はコントローラ、33はD/Aコンバータ、34は三角波発振器、35は比較器、65はヘッドドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータの駆動信号の基準となる駆動波形信号をパルス変調して変調信号とする変調回路と、
前記変調信号を電力増幅して電力増幅変調信号とするデジタル電力増幅回路と、
前記電力増幅変調信号を平滑化して前記駆動信号とする平滑フィルタと、
前記アクチュエータの電位を一定に保つ場合に動作する電力増幅停止手段と
を備えたことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記デジタル電力増幅回路はスイッチング素子を備え、前記電力増幅停止手段は、前記デジタル電力増幅回路のすべてのスイッチング素子をオフとすることによって、前記デジタル電力増幅回路の動作を停止することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記変調回路は、前記電力増幅停止手段によってデジタル電力増幅回路の動作が停止されるときには、前記変調信号の出力を停止することを特徴とする請求項1又は2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記変調回路は、第1の変調周波数を用いて前記駆動波形信号のパルス変調を行い、前記変調回路は、前記駆動波形信号の電位が変化している状態から前記駆動波形信号の電位が変化しない状態に移行するときには、パルス変調の変調周波数を前記第1の変調周波数よりも増加することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記変調回路は、第1の変調周波数を用いて前記駆動波形信号のパルス変調を行い、前記変調回路は、前記駆動波形信号の電位が変化していない状態から前記駆動波形信号の電位が変化する状態に移行するときには、パルス変調の変調周波数を前記第1の変調周波数よりも増加することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
前記変調信号のハイレベルの期間は第1の期間であり、また、前記変調信号のローレベルの期間は第2の期間であり、前記変調回路は、前記駆動波形信号の電位が変化していない状態から前記駆動波形信号の電位が変化する状態に移行ときには、開始直後の変調信号のハイレベル、もしくはローレベルの期間を、前記第1の期間もしくは前記第2の期間半分とすることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項7】
前記電力増幅停止手段は、前記デジタル電力増幅回路の動作停止中、前記デジタル電力増幅回路の動作を一時的に再開することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項8】
前記駆動波形信号を記憶するメモリを備え、前記メモリは駆動波形電位差データが記憶されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項9】
前記駆動波形信号を記憶するメモリを備え、前記メモリは駆動波形電位データと前記駆動波形信号の電位が変化しているか否かの情報が記憶されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項10】
前記駆動波形信号を記憶するメモリを備え、前記メモリは駆動波形電位データが記憶され、前記電力増幅停止手段は前記メモリから読出した駆動波形電位データの差分を算出し、前記差分が0である場合に前記デジタル電力増幅回路の動作を停止することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項11】
前記メモリは、前記変調回路による変調周波数が記憶されていることを特徴とする請求項8乃至10の何れか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の液体噴射装置を備えた液体噴射型印刷装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2011−5872(P2011−5872A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197812(P2010−197812)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【分割の表示】特願2009−151230(P2009−151230)の分割
【原出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】