説明

液体噴射装置

【課題】メンテナンス手段の駆動源となるモーターの接地及び放熱の両方を容易に行うことが可能な液体噴射装置を提供する。
【解決手段】インクジェット式プリンターは、インクをノズルから記録用紙に向けて噴射する記録ヘッドと、該記録ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンス装置23と、該メンテナンス装置23の駆動源となるモーター29と、該モーター29に直接取着されて該モーター29を接地する板金部材33とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインクジェット式プリンターなどの液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液体噴射ヘッドのノズルからターゲットに対して液体を噴射する液体噴射装置としてインクジェット式プリンターが知られている。こうしたプリンターでは、ノズルからのインクの噴射不良を低減するために、ノズルから増粘したインク(液体)や気泡などを強制的に吐出させるクリーニングと呼ばれるメンテナンスが適宜行われる。
【0003】
クリーニングは、記録ヘッド(液体噴射ヘッド)に対してノズルを囲うようにキャップを当接した状態で、記録ヘッドとキャップとで形成される密閉空間をチューブポンプによって吸引して負圧にすることで、この負圧を利用してノズルから増粘したインクや気泡などを排出するものである。また、記録ヘッドにインクを初期充填する場合には、上述したクリーニングと同じ動作が数回連続で行われる。
【0004】
そして、上述のようなキャップやチューブポンプは、モーターによって駆動されるが、こうしたモーターは、通常、ハーネスを介して接地がとられる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−217727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載のモーター装置では、ハーネスによって接地がとれられているだけで、連続で駆動した場合に発生する熱に対する対策が全くなされていない。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、メンテナンス手段の駆動源となるモーターの接地及び放熱の両方を容易に行うことが可能な液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の液体噴射装置は、液体をノズルからターゲットに向けて噴射する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンス手段と、前記メンテナンス手段の駆動源となるモーターと、前記モーターに直接接触して該モーターを接地する板金部材とを備えた。
【0008】
この発明によれば、モーターが該モーターに直接接触した板金部材によって接地されるため、モーターの駆動によって発生した熱が板金部材に伝わって放熱される。したがって、メンテナンス手段の駆動源となるモーターの接地及び放熱の両方を容易に行うことが可能となる。
【0009】
本発明の液体噴射装置において、前記板金部材は、単一部品である。
この発明によれば、板金部材の部品点数を最小限に抑えることが可能となる。
本発明の液体噴射装置は、導電性の本体フレームを備え、前記板金部材は、前記本体フレームに接触している。
【0010】
この発明によれば、モーターの接地効果を高めることが可能となる。
本発明の液体噴射装置において、前前記板金部材は、互いに交差するように延びる複数の平板部を備えている。
【0011】
この発明によれば、板金部材の表面積を稼ぐことができるので、モーターの放熱効果を高めることが可能となる。
本発明の液体噴射装置において、前記板金部材は、前記モーターにおける少なくとも前記メンテナンスを行う際の前記液体噴射ヘッド側を覆うように取着されている。
【0012】
この発明によれば、液体噴射ヘッドのメンテナンスによって液体が飛散した場合に、該飛散した液体からモーターを板金部材によって保護することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態のインクジェット式プリンターの正面図。
【図2】同プリンターの要部拡大斜視図。
【図3】同プリンターにおいて、駆動力伝達部のカバーを外したときの要部拡大斜視図。
【図4】同プリンターにおけるモーター部分の拡大斜視図。
【図5】同プリンターにおける板金部材の拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の液体噴射装置をインクジェット式プリンターに具体化した一実施形態について、図面に従って説明する。また、以下の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は図1及び図2に矢印で示す前後方向、左右方向、上下方向をそれぞれ示すものとする。
【0015】
図1及び図2に示すように、液体噴射装置としてのインクジェット式プリンター11は、平面視で略矩形状をなすととともに導電性を有する本体フレーム12を備えている。本体フレーム12は上側が開口しているとともに、該本体フレーム12の内底部には矩形板状をなす支持台13が長手方向である左右方向に沿って延びるように設けられている。そして、支持台13上には、図示しない紙送り機構によりターゲットとしての記録用紙Pが後方側から前方側に向かう方向(副走査方向)に沿って給送されるようになっている。
【0016】
本体フレーム12内における支持台13の上斜め後方には、主ガイド軸14が支持台13の長手方向に沿って延びるように設けられている。さらに、本体フレーム12における主ガイド軸14の上方には、副ガイド軸15が主ガイド軸14と平行に延びるように設けられている。そして、主ガイド軸14には、キャリッジ16が主ガイド軸14の軸方向(左右方向)に沿って往復移動可能に支持されている。
【0017】
キャリッジ16の後面下部には左右一対の軸受部(図示略)が設けられるとともに、該各軸受部には主ガイド軸14が摺動可能に嵌合している。また、キャリッジ16の後端上部には、副ガイド軸15に対して後側から摺動可能に係合する係合部16aが設けられている。そして、係合部16aは、キャリッジ16の自重により、副ガイド軸15に対して常に荷重をかけながら当接している。
【0018】
本体フレーム12内の後面における主ガイド軸14の両端部のやや上側の位置には、駆動プーリー17a及び従動プーリー17bが前後方向に延びる軸線を中心に回転自在に支持されている。駆動プーリー17aにはキャリッジ16を主ガイド軸14に沿って往復移動させる際の駆動源となるキャリッジモーター18の出力軸が連結されている。
【0019】
両プーリー17a,17b間には一部がキャリッジ16の後面における各軸受部(図示略)の若干上側に連結された無端状のタイミングベルト19が掛装されている。したがって、キャリッジ16は、主ガイド軸14及び副ガイド軸15にガイドされながら、キャリッジモーター18の駆動力により無端状のタイミングベルト19を介して左右方向に沿って往復移動されるようになっている。
【0020】
キャリッジ16の下端部には液体噴射ヘッドとしての複数(本実施形態では5つ)の記録ヘッド20が支持されるとともに、該各記録ヘッド20の下面には前後方向に並ぶ複数のノズル20aがそれぞれ開口している。各記録ヘッド20は、前後方向に長い矩形状をなしているとともに、互いに平行となるように左右方向に沿って並んで配置されている。
【0021】
また、各記録ヘッド20には、本体フレーム12の外側に配置されるとともに内部に液体としてのインクが充填されたインクタンク(図示略)が、可撓性のインク供給チューブ(図示略)を介してそれぞれ接続されている。したがって、このインクタンク内のインクは、インク供給チューブを介して各記録ヘッド20にそれぞれ供給されるようになっている。
【0022】
そして、キャリッジ16を主ガイド軸14に沿って左右方向(主走査方向)に往復移動させながらインクタンク(図示略)から各記録ヘッド20にそれぞれ供給されたインクを各ノズル20aから支持台13上に給送された記録用紙Pに噴射することで、該記録用紙Pの印刷が行われる。
【0023】
図1及び図2に示すように、本体フレーム12内の右端部に位置する記録用紙Pと対応しない非印刷領域には、各記録ヘッド20のクリーニングやフラッシングなどのメンテナンスを行うためのメンテナンス手段としてのメンテナンス装置23が設けられている。この非印刷領域において、記録用紙Pの印刷を行わない場合や記録ヘッド20のメンテナンスを行う場合にキャリッジ16が移動される位置は、ホームポジション(図1に示す位置)とされている。
【0024】
メンテナンス装置23は、キャップユニット24と、該キャップユニット24を昇降する昇降機構(図示略)と、上流側がキャップユニット24に接続されるとともに下流側が廃液タンク(図示略)に接続された可撓性の排出チューブ25と、該排出チューブ25の途中位置に設けられたチューブポンプ26とを備えている。
【0025】
キャップユニット24は、略矩形箱状をなすベース部材27と、該ベース部材27に支持された複数(本実施形態では5つ)のキャップ28とを備えている。各キャップ28は、各記録ヘッド20と対応する矩形箱状をなすとともに、キャリッジ16がホームポジションに位置するときの各記録ヘッド20とそれぞれ対向するように配置されている。
【0026】
チューブポンプ26は、キャップユニット24の前斜め下方の位置に配置されるとともに、排出チューブ25を介して各キャップ28内を廃液タンク(図示略)側に向かって吸引可能に構成されている。チューブポンプ26の上側にはメンテナンス装置23の駆動源となるモーター29が配置されている。モーター29の右側には、該モーター29の駆動力を、キャップユニット24を昇降する昇降機構(図示略)及びチューブポンプ26に対してそれぞれ伝達する駆動力伝達部30が配置されている。この駆動力伝達部30は、図2及び図3に示すように、本体フレーム12内に回転可能に配置されるとともに順次噛合された複数のギアを有するギア機構31と、該ギア機構31を覆う合成樹脂製のカバー32とを備えている。
【0027】
図3及び図4に示すように、モーター29は、該モーター29を接地する板金部材33を介して本体フレーム12に取着されている。すなわち、板金部材33は、モーター29及び本体フレーム12に対して直接接触している。モーター29は、略円柱状をなすとともに、その左右両側面から左右方向に沿う外側に向かって該モーター29の出力軸29aの左端部及び右端部がそれぞれ突出している。
【0028】
出力軸29aの左端部には、円板状の符号板34の中心部が固着されている。また、符号板34には、中心部側から外周部側に向かって真っ直ぐに延びる複数のスリット34aが周方向に沿って等間隔となるように全周にわたって形成されている。符号板34の近傍には、該符号板34のスリット34aを透過した光を受光して、90度位相のずれた2つのエンコーダーパルス信号を出力する光学式センサー35が配置されている。
【0029】
光学式センサー35及びモーター29は、インクジェット式プリンター11を統括的に制御する制御部(図示略)に対してそれぞれ電気的に接続されている。そして、制御部は、光学式センサー35から出力されるエンコーダーパルス信号を受信し、その受信したエンコーダーパルス信号に基づいてモーター29の駆動を制御する。なお、本実施形態では、符号板34と光学式センサー35とによって、モーター29の回転速度、回転量、及び回転位置を検出するロータリーエンコーダーRが構成されている。
【0030】
一方、出力軸29aの右端にはモーターギア29bが設けられている。また、チューブポンプ26には、ポンプギア26aが設けられている。さらに、ギア機構31は、モーター29の出力軸29aのモーターギア29b、チューブポンプ26のポンプギア26a、及びキャップユニット24を昇降する昇降機構(図示略)のギア(図示略)とそれぞれ噛合している。
【0031】
したがって、モーター29の駆動により、モーターギア29bの回転力が昇降機構(図示略)のギア(図示略)及びチューブポンプ26のポンプギア26aにそれぞれ伝達されることで、キャップユニット24が昇降機構によって昇降されるとともにチューブポンプ26が駆動される。なお、図3は、駆動力伝達部30のカバー32を本体フレーム12から外した状態を描いている。
【0032】
図4及び図5に示すように、板金部材33は、モーター29の後側を覆う平板部としての略矩形状をなす後板部40と、モーター29の上側を覆う平板部としての略矩形状をなす上板部41と、モーター29の右側を覆う平板部としての略矩形状をなす右側板部42とを備えている。すなわち、板金部材33は、一枚の板金を折り曲げ加工することで、後板部40、上板部41、及び右側板部42が形成されている。したがって、板金部材33は、単一部品である。
【0033】
板金部材33において、右側板部42と後板部40との境界は上下方向に延びる第1折り曲げ部43とされるとともに、後板部40と上板部41との境界は左右方向に延びる第2折り曲げ部44とされている。上板部41の右端縁は右側板部42の左面に近接しているとともに、右側板部42は上板部41よりも上側まで延びている。この場合、右側板部42、後板部40、及び上板部41は、互いに直交するように延びている。
【0034】
また、右側板部42におけるモーター29の出力軸29aと対応する位置には、該出力軸29aが挿通される貫通孔42aが形成されている。そして、図3及び図4に示すように、右側板部42には、該右側板部42における貫通孔42aを前後に挟んで対向する位置において、モーター29及び駆動力伝達部30のカバー32が一対のねじ45によって固定されている。すなわち、駆動力伝達部30のカバー32を右側板部42の右側面に固定している2本のねじ45が、同時にモーター29を右側板部42の左側面に固定している。
【0035】
次に、インクジェット式プリンター11の作用について説明する。
さて、インクジェット式プリンター11が新品である場合には、記録用紙Pの印刷を行う前に、インクタンク内のインクをインク供給チューブ内及び各記録ヘッド20内に充填する初期充填を行う必要がある。そして、この新品のインクジェット式プリンター11にインクの初期充填を行う場合には、キャリッジ16がホームポジションにある状態でモーター29を駆動する。
【0036】
すると、キャップユニット24が昇降機構によって上昇され、各キャップ28が各記録ヘッド20に対して各ノズル20aを囲うようにそれぞれ当接する。このとき、チューブポンプ26も駆動されるため、各キャップ28内(各キャップ28と各記録ヘッド20とでそれぞれ形成される閉空間)が排出チューブ25を介してチューブポンプ26によりそれぞれ吸引される。
【0037】
この吸引によって各キャップ28内に発生する負圧に基づいて、インクタンク内のインクがインク供給チューブ内を介して各記録ヘッド20側へ吸引される。このとき、インクタンク内のインクが各記録ヘッド20に到達するまでは、インク供給チューブ内のエアーが各記録ヘッド20の各ノズル20aからそれぞれ各キャップ28内に排出される。
【0038】
そして、インクタンク内のインクがインク供給チューブ内及び各記録ヘッド20内に充填されると、その後は、該各記録ヘッド20の各ノズル20aからそれぞれ各キャップ28内にインクが強制的に排出される。これら各キャップ28内にそれぞれ強制的に排出されたインクは、排出チューブ25を介して廃液タンク内に排出される。
【0039】
このように、インクの初期充填を行う場合には、インクタンク内のインクを、ある程度の距離のあるインク供給チューブ内を充填しながら各記録ヘッド20まで導かなければならない上に、この充填中のインクに混入される気泡も除去する必要がある。このため、モーター29の駆動時間が長くなって、該モーター29が発熱しやすくなる。
【0040】
この点、本実施形態では、モーター29に直接取着された板金部材33によって接地されているため、モーター29が板金部材33によって放熱される。すなわち、板金部材33により、モーター29の接地だけでなく、該モーター29の放熱も行われる。このため、モーター29の発熱が抑制される。
【0041】
因みに、モーター29の接地をハーネスによって行った場合には、本実施形態とは異なり、モーター29の放熱効果を得ることはできない。
また、インクジェット式プリンター11による記録用紙Pの印刷中には、各記録ヘッド20の各ノズル20aからのインクの噴射不良を抑制するべく、印刷とは無関係の制御信号に基づいてインクを廃液として強制的に吐出させるフラッシング(メンテナンス)が適宜行われる。このフラッシングは、キャリッジ16をホームポジションに移動させ、各記録ヘッド20の直下に配置された各キャップ28に向けて各ノズル20aからインクを強制的に吐出させるものである。
【0042】
このフラッシングは各キャップ28を各記録ヘッド20に当接させずに近づけた状態で行われるため、各ノズル20aから各キャップ28に向けて吐出されたインクがミスト状になって各ノズル20aと各キャップ28との隙間から周囲に飛散する。そして、この飛散したインクがモーター29の回転速度等を検出するロータリーエンコーダーR(特に符号板34)に付着すると、該ロータリーエンコーダーRの検出精度が低下してしまうおそれがある。
【0043】
この点、本実施形態では、ロータリーエンコーダーRを含めたモーター29における上側及び後側(フラッシングを行う際の各記録ヘッド20側)が板金部材33の上板部41及び後板部40によってそれぞれ覆われている。このため、フラッシングによって飛散したミスト状のインクがロータリーエンコーダーRやモーター29に付着することが抑制される。したがって、ロータリーエンコーダーRの検出精度が維持される。
【0044】
以上、詳述した実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)モーター29が該モーター29に直接取着された板金部材33によって接地されるため、モーター29の長時間の駆動によって発生した熱が板金部材33に伝わって放熱される。すなわち、モーター29の接地用の板金部材33によって、該モーター29の放熱を行うことができる。したがって、板金部材33により、メンテナンス装置23の駆動源となるモーター29の接地及び放熱の両方を容易に行うことができる。
【0045】
(2)板金部材33は単一部品であるため、該板金部材33の部品点数を最小限に抑えることができる。
(3)モーター29の接地用の板金部材33は、導電性の本体フレーム12に接触しているため、該モーター29の接地効果を高めることができる。
【0046】
(4)板金部材33は、互いに直交するように延びる後板部40、上板部41、及び右側板部42を備えている。このため、板金部材33の表面積を稼ぐことができるので、モーター29の放熱効果を高めることができる。
【0047】
(5)ロータリーエンコーダーRを含めたモーター29における上側及び後側(フラッシングを行う際の各記録ヘッド20側)が板金部材33の上板部41及び後板部40によってそれぞれ覆われている。このため、フラッシングによって飛散したミスト状のインクがロータリーエンコーダーRやモーター29に付着することを抑制することができる。すなわち、モーター29の接地用の板金部材33によって、インクからロータリーエンコーダーR及びモーター29を保護することができる。この結果、ロータリーエンコーダーRの検出精度及びモーター29の駆動状態を好適に維持することができる。
(変更例)
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
【0048】
・板金部材33は、必ずしもロータリーエンコーダーRを含めたモーター29における上側及び後側(フラッシングを行う際の各記録ヘッド20側)を覆うように構成する必要はない。
【0049】
・板金部材33は、ロータリーエンコーダーRを含めたモーター29における前側をさらに覆うように構成してもよい。
・板金部材33は、折り曲げていない1枚の平面状の板金によって構成してもよい。
【0050】
・板金部材33の厚さは、適宜変更してもよい。
・板金部材33における後板部40、上板部41、及び右側板部42は、互いに厚さが異なるように構成してもよい。この場合、後板部40、上板部41、及び右側板部42は、溶接などによって接合される。
【0051】
・板金部材33は、本体フレーム12に接触させなくてもよい。
・本体フレーム12は、導電性にしなくてもよい。
・板金部材33は、複数の部品によって構成してもよい。
【0052】
・記録用紙Pの代わりにプラスチックフィルム、布、金属の薄板などをターゲットとして用いてもよい。
・記録用紙Pは、枚葉紙(単票紙)であってもよいし、連続紙であってもよい。
【0053】
・上記実施形態では、液体噴射装置をインクジェット式プリンター11に具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置を採用してもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
11…液体噴射装置としてのインクジェット式プリンター、12…本体フレーム、20…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、20a…ノズル、23…メンテナンス手段としてのメンテナンス装置、29…モーター、33…板金部材、40…平板部としての後板部、41…平板部としての上板部、42…平板部としての右側板部、P…ターゲットとしての記録用紙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体をノズルからターゲットに向けて噴射する液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンス手段と、
前記メンテナンス手段の駆動源となるモーターと、
前記モーターに直接接触して該モーターを接地する板金部材と
を備えたことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記板金部材は、単一部品であることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
導電性の本体フレームを備え、
前記板金部材は、前記本体フレームに接触していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記板金部材は、互いに交差するように延びる複数の平板部を備えていることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記板金部材は、前記モーターにおける少なくとも前記メンテナンスを行う際の前記液体噴射ヘッド側を覆うように取着されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の液体噴射装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate