説明

液体噴射装置

【課題】給送ローラーの組み付け効率の向上を図ることができる液体噴射装置を提供する。
【解決手段】用紙に対してインクを噴射するノズルを有する記録ヘッドを備えたプリンターであって、回動軸20を中心として回動することにより用紙を給送する給送ローラー22と、給送ローラー22の回動軸20を回動自在に支持する軸受け孔39が一体形成されると共に、吸引ポンプを支持するポンプフレーム21とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターゲットに対して液体を噴射して画像を形成する液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体噴射装置の一種として、液体噴射ヘッドに形成されたノズルから液体を用紙等のターゲットに噴射して画像を形成するインクジェット式のプリンターが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この特許文献1に記載のプリンターは、液体噴射ヘッドのノズルからインクを吸引して排出するためのポンプ装置を有しており、このポンプ装置が設置されるポンプフレームに対して給紙(給送)ローラー取り付け用フレームが取り付けられている。そして、この給紙ローラー取り付け用フレームに対して、給紙トレイに積重された用紙を給送するための給紙(給送)ローラーの給紙(給送)ローラー軸が回動自在に支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−52770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のプリンターにおいては、給紙ローラーの組み付け時に、給紙ローラーを給紙ローラー取り付け用フレームに取り付ける動作の他に、この給紙ローラー取り付け用フレームを該給紙ローラー取り付け用フレームとは別部材構成のポンプフレームに組み付ける動作が必要となるため、給紙ローラーの組み付け効率が低下してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、給送ローラーの組み付け効率の向上を図ることができる液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の液体噴射装置は、ターゲットに対して液体を噴射するノズルを有する液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置であって、回動軸を中心として回動することにより前記ターゲットを給送する給送ローラーと、前記給送ローラーの前記回動軸を回動自在に支持する軸受け部が一体形成されると共に、前記給送ローラーとは異なる部材を支持する支持部材とを備えた。
【0008】
上記構成によれば、給送ローラーとは異なる部材を支持するための支持部材が、給送ローラーの回動軸を回動自在に支持する機能を併せて有する。そのため、給送ローラーの回動軸を回動自在に支持するための専用の部材を設けることが不要となるため、部品点数の削減に伴って給送ローラーの組み付け効率の向上を図ることができる。
【0009】
また、本発明の液体噴射装置において、前記支持部材は、前記液体噴射ヘッドの前記ノズルから前記液体を吸引して排出する吸引ポンプを支持する。
上記構成によれば、吸引ポンプを支持するための支持部材が、給送ローラーの回動軸を回動自在に支持する機能を併せて有する。そのため、給送ローラーの回動軸を回動自在に支持するための専用の部材を設けることが不要となるため、部品点数の削減に伴って給送ローラーの組み付け効率の向上を図ることができる。
【0010】
また、本発明の液体噴射装置は、駆動源の駆動時に回転する駆動軸から前記吸引ポンプの吸引動作時に回転するポンプ軸に向けて回転駆動力を伝達するポンプ駆動歯車を更に有し、前記支持部材には、前記ポンプ駆動歯車を回動自在に支持する軸受け部が一体形成されている。
【0011】
上記構成によれば、吸引ポンプを支持するための支持部材が、ポンプ駆動歯車を回動自在に支持する機能を併せて有する。そのため、ポンプ駆動歯車を回動自在に支持するための専用の部材を設けることが不要となるため、部品点数の削減に伴って装置全体の組み付け効率の更なる向上を図ることができる。
【0012】
また、本発明の液体噴射装置は、前記ポンプ軸から前記給送ローラーの回動軸に向けて回転駆動力を伝達する給送ローラー駆動歯車を更に有し、前記支持部材には、前記給送ローラー駆動歯車を回動自在に支持する軸受け部が一体形成されている。
【0013】
上記構成によれば、吸引ポンプを支持するための支持部材が、給送ローラー駆動歯車を回動自在に支持する機能を併せて有する。そのため、給送ローラー駆動歯車を回動自在に支持するための専用の部材を設けることが不要となるため、部品点数の削減に伴って装置全体の組み付け効率の更なる向上を図ることができる。
【0014】
また、本発明の液体噴射装置において、前記給送ローラー駆動歯車は、前記給送ローラーの回動軸に対して一体回転可能に設けられている。
上記構成によれば、給送ローラーの回動軸が給送ローラー駆動歯車の回動軸として兼用される。そのため、給送ローラー駆動歯車の回動軸となる専用の部材を設けることが不要となるため、部品点数の削減に伴って装置全体の組み付け効率の更なる向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る実施形態のプリンターの斜視図。
【図2】プリンターの内部構成を前方斜め右方から見た斜視図。
【図3】プリンターの内部構成を後方斜め左方から見た斜視図。
【図4】図2に示したプリンターの内部構成の要部拡大斜視図。
【図5】駆動力伝達機構を前方斜め右方から見た斜視図。
【図6】駆動力伝達機構を前方斜め左方から見た斜視図。
【図7】キャップ部材の斜視図。
【図8】キャップホルダーの斜視図。
【図9】キャップホルダーの平面図。
【図10】廃インクタンクの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明をインクジェット式のプリンターに具体化した一実施形態を図1〜図10に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態のプリンター11において略矩形箱状をなす筐体12の後面側の上部には、ターゲットとしての用紙13を積重するための給紙トレイ14が装着されている。また、筐体12の前面側の上部には、プリンター11の印刷動作を操作するための操作パネル15が配置されている。また、筐体12の前面の下部には、筐体12の開口を開閉する開閉扉16が設けられている。
【0017】
図2及び図3は、本実施形態のプリンター11が筐体12を取り外された状態を示しており、図2及び図3に示すように、ベースフレーム17の上面には、平面視略L字状をなすガイドフレーム18が取り付けられている。ガイドフレーム18は、その長手方向に延びる後壁部19が用紙13の搬送方向と直交する左右方向に沿って延びている。そして、ガイドフレーム18の後壁部19は、ベースフレーム17の上方の空間域を用紙13の搬送方向となる前後方向に仕切っている。
【0018】
また、図3に示すように、ガイドフレーム18の後壁部19から見て用紙13の搬送方向の上流側となる後方側には、ガイドフレーム18の後壁部19の長手方向に延びる回動軸20がベースフレーム17の右後方隅部に設けられたポンプフレーム21によって回動自在に支持されている。そして、この回動軸20には、給紙トレイ14に積重された用紙13を筐体12内に給送するための給送ローラー22が回動自在に支持されている。
【0019】
また、ガイドフレーム18の後壁部19には、キャリッジ23がガイドフレーム18の長手方向となる左右方向に沿って往復移動可能に支持されている。また、キャリッジ23は、キャリッジモーター24の駆動に伴って周回移動する無端状のタイミングベルト25に連結されている。そして、キャリッジ23は、キャリッジモーター24が正逆転駆動することにより主走査方向となる左右方向に往復移動する。
【0020】
また、キャリッジ23の下部には、インクジェット方式の液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド(図示略)が配置される一方、キャリッジ23上には記録ヘッドに対して液体としてのインクを供給するための複数(本実施形態では4つ)のインクカートリッジ29が着脱可能に搭載されている。そして、キャリッジ23を主走査方向に移動させる過程で記録ヘッドから用紙13に向けてインクを噴射することにより用紙13に対して印刷処理が施される。また、キャリッジ23の走査領域の右端部は、非印刷時にキャリッジ23が待機する待機位置となるホームポジションとなっている。そして、このホームポジションの下方には、記録ヘッドからの用紙13に対するインク噴射が良好に維持されるように、各種のメンテナンス動作を行うメンテナンスユニット26が設けられている。
【0021】
また、キャリッジ23が主走査方向に移動する領域の下方となる位置には、記録ヘッドと用紙13との間隔を規定する略矩形板状の支持板27が配置されている。支持板27の長手方向は、ガイドフレーム18の長手方向と一致している。また、ベースフレーム17において支持板27から見て用紙13の搬送方向の上流側となる後方側には、用紙13に対して搬送力を付与する搬送ローラー28が配置されている。この搬送ローラー28の軸線方向はガイドフレーム18の長手方向と一致している。また、搬送ローラー28は、その軸線方向(左右方向)の両端部がベースフレーム17に設けられた図示しない軸受けによって回動自在に支持されている。そして、搬送ローラー28は、ベースフレーム17の左端部に設けられた駆動源としての紙送りモーター(図示略)から伝達される駆動力に基づいて回転駆動することにより、用紙13に対して搬送方向となる前方向に搬送力を付与する。
【0022】
次に、紙送りモーターから給送ローラー22に向けて駆動力を伝達する駆動力伝達機構の構成について説明する。
図4は、図2及び図3に示す状態からガイドフレーム18が省略された状態を示しており、図4〜図6に示すように、搬送ローラー28の軸線方向の先端側(右端側)には、出力ギア31が搬送ローラー28と一体回転可能に設けられている。また、搬送ローラー28の後方右斜め上方には、従動ギア33が、ポンプフレーム21の前側下方寄りの部分から用紙13の搬送方向と直交する左方向に向けて水平に延出された略円筒状の軸受け部34によって回動自在に支持されている。従動ギア33の回動軸線は、搬送ローラー28の回動軸線と平行に配置されている。また、従動ギア33は、その軸線方向の先端側(左端側)の小径部に歯部33aが形成されており、この歯部33aが出力ギア31に対して斜め上方から動力伝達可能に噛合している。
【0023】
また、従動ギア33の後方には、ポンプ軸35が、ポンプフレーム21の後側下方寄りの部分に貫通形成された軸受け部としての軸受け孔36に挿通されて回動自在に片持ち支持されている。ポンプ軸35は、ポンプフレーム21から用紙13の搬送方向と直交する左方向に向けて水平に延びており、従動ギア33の回動軸線と平行に配置されている。ポンプ軸35には、その軸線方向において従動ギア33と対応する位置に、従動ギア37がポンプ軸35と一体回転可能に設けられている。この従動ギア37は段付ギアであって、ポンプフレーム21側となる軸線方向の基端側(右端側)の大径部に形成された歯部37aが、従動ギア33における軸線方向の基端側(右端側)の大径部に形成された歯部33bに対して動力伝達可能に噛合している。そして、紙送りモーターから出力される駆動力に基づいて搬送ローラー28が回転駆動した場合に、この回転駆動力が出力ギア31、従動ギア33、及び従動ギア37を通じてポンプ軸35に対して伝達される。
【0024】
なお、ポンプ軸35における従動ギア37よりも基端側(右端側)となる位置には円板状のポンプホイール(図示略)が固着されると共に、このポンプホイールには押圧ローラー(図示略)がポンプホイールと一体回転可能に支持されている。また、これらのポンプホイール及び押圧ローラーを収容する円筒状のポンプケーシング30aが、ポンプフレーム21の一部に一体形成され、そのポンプケーシング30aの内周面に沿ってメンテナンスユニット26の一構成部材である可撓性のインク排出チューブ(図示略)が配設されている。
【0025】
そのため、紙送りモーターから出力される駆動力がポンプ軸35に伝達されてポンプ軸35が回動した場合には、押圧ローラーがポンプケーシング30a内のインク排出チューブ(図示略)を上流側から下流側に順次押し潰しながら回動する。そして、インク排出チューブ内のインクが記録ヘッド側となる上流側から吸引されて廃インクタンク38(図10参照)側となる下流側に排出される。このように本実施形態では、ポンプ軸35、ポンプホイール、及び、押圧ローラー等によって、記録ヘッドのノズルからインクを吸引して排出する吸引ポンプ30が構成されるとともに、その吸引ポンプ30が、ポンプフレーム21の一部をポンプケーシング30aとして利用することにより、ポンプフレーム21に支持されている。また、本実施形態の従動ギア33は、紙送りモーターの駆動時に回転する搬送ローラー28から吸引ポンプ30の吸引動作時に回転するポンプ軸35に向けて回転駆動力を伝達するポンプ駆動歯車として機能する。
【0026】
また、ポンプ軸35の鉛直上方となる位置には、回動軸20が、ポンプフレーム21におけるポンプケーシング30aの上方寄りの部分に貫通形成された軸受け部としての軸受け孔39に挿通されることにより回動自在に支持されている。回動軸20は、ポンプフレーム21から用紙13の搬送方向と直交する左方向に向けて水平に延びており、ポンプ軸35と平行に配置されている。この回動軸20において、ポンプフレーム21の軸受け孔39によって支持された部分を軸線方向の基端側(右端側)とした場合の先端側(左端側)には、側面視略D字状をなす給送ローラー22が回動軸20と一体回転可能に設けられている。すなわち、給送ローラー22の回動軸20は、給送ローラー22とは異なる部材である吸引ポンプ30を支持するポンプフレーム21によって回動自在に支持されている。
【0027】
また、回動軸20の軸線方向の基端側(右端側)には、従動ギア40が回動軸20と一体回転可能に設けられている。この従動ギア40に形成された歯部40aは、従動ギア37における軸線方向の先端側(左端側)の小径部に形成された歯部37bに対して動力伝達可能に噛合している。そして、紙送りモーターから伝達される駆動力に基づいてポンプ軸35が回転駆動した場合には、この回転駆動力が従動ギア37及び従動ギア40を通じて回動軸20に伝達されて給送ローラー22が回転駆動する。すなわち、本実施形態の従動ギア40は、ポンプ軸35から給送ローラー22の回動軸20に向けて回転駆動力を伝達する給送ローラー駆動歯車として機能する。また、この従動ギア40は、給送ローラー22の回動軸20に対して一体回転可能に設けられており、給送ローラー22の回動軸20が従動ギア40の回動軸として兼用されている。
【0028】
次に、メンテナンスユニット26の一部を構成するキャップ部材50の構成について説明する。
図7に示すように、キャップ部材50は、キャップユニット51と、該キャップユニット51を保持するキャップホルダー52とを有している。
【0029】
キャップユニット51は、上側が開口した略四角環状をなす樹脂材料からなるキャップ53を有している。キャップ53の内側には、多孔質体からなるインク吸収材54が収容され、このインク吸収材54には、キャップ53が記録ヘッドのノズル形成面に当接した状態で、吸引ポンプ30の駆動に伴って記録ヘッドのノズルからキャップ53内に吸引されたインクが吸収されて保持される。なお、キャップ53の開口縁には、キャップ53の内側に向けて突出した突片部55が形成されている。この突片部55はキャップ53を射出成形する際に形成され、インク吸収材54がキャップ53から外れるのを係止している。
【0030】
また、キャップユニット51には、キャリッジ23の走査方向においてキャップ53よりも支持板27に近い位置に、平板状をなす弾性体からなるワイパー部材56が設けられている。ワイパー部材56は、記録ヘッドに形成されたノズルのノズル列に対応する幅寸法を有している。そして、ワイパー部材56が記録ヘッドのノズル形成面に当接した状態で、キャリッジ23が走査方向に走査することにより、ワイパー部材56が記録ヘッドのノズル形成面を払拭するワイピング動作を行う。
【0031】
図8及び図9に示すように、キャップホルダー52は、上側が開口した有底略箱体状をなしており、その前後両側の側壁部には、キャリッジ23の走査方向となる左右方向と直交し、且つ、重力方向及び反重力方向となる上下方向に直交する前後方向に向けて突出する4つの支持棒57が形成されている。また、キャップホルダー52においてキャリッジ23の走査方向でホームポジション側となる右側の側壁部からは、前後で一対の係止棒52aが、キャリッジ23の走査方向となる左右方向と直交し、且つ、反重力方向となる上方に向けて突出形成されている。
【0032】
一方、図4に示すように、ベースフレーム17においてキャップホルダー52が配設される位置、すなわち、ベースフレーム17におけるキャリッジ23のホームポジションと対応する位置には、キャップホルダー52の各支持棒57と個別対応する4つのガイド溝63が形成されている。各ガイド溝63は、キャリッジ23の走査方向となる左右方向に延びる溝部分の途中に左方から右方へ上り勾配の溝部分を含むように形成され、キャップホルダー52の各支持棒57の先端を摺動可能に挿通させている。
【0033】
また、図7及び図9に示すように、キャップホルダー52の底壁からはフック部52bが重力方向となる下方に向けて突出形成されている。そして、このフック部52bに対して、一端をベースフレーム17に係止されたコイルスプリング64の他端が、常にはキャップホルダー52をキャリッジ23の走査方向で反ホームポジション側となる左側に向けて付勢するように取着されている。そのため、図2及び図4に示すように、キャリッジ23がホームポジションに位置していない場合、キャップホルダー52は、各支持棒57がガイド溝63内において最下方の溝部分となる左端側の溝部分に位置することにより、キャップ53が記録ヘッドのノズル形成面よりも下方に位置させられる下降位置に停止される。
【0034】
そして、キャリッジ23が印刷領域からホームポジションに移動し、キャップホルダー52の係止棒52aに係止した場合に、キャップホルダー52は、支持棒57がガイド溝63内の上り勾配の溝部分を通過して最上方の溝部分となる右端側の溝部分まで移動することにより、キャップ53が記録ヘッドのノズル形成面に当接する上昇位置に停止される。すなわち、キャップ53が記録ヘッドのノズルを囲うように記録ヘッドのノズル形成面に対して当接する。この場合、キャップ53は、キャリッジ23の走査方向(左右方向)と直交する鉛直方向(上下方向)の下側から記録ヘッドのノズル形成面に当接する。なお、キャップ53の開口縁には、弾性材料からなるシール部(図示略)が設けられており、キャップ53はシール部を介して記録ヘッドのノズル形成面に対して気密状に当接する。
【0035】
また、キャップホルダー52の内底面には、キャップユニット51の底面との間に介設されるコイルばね58(図9にて二点鎖線で示す)を係止するためのばね座59が形成されている。このばね座59は、平面視で略3の字状に湾曲した形状をなす外壁部60と、この外壁部60の内側に前後に距離をおいて形成された略扇形状をなす2つの内壁部61,62とによって構成されている。そして、前側の内壁部61の凹曲面と外壁部60の後側部分の内周面とが、第1位置P1(図9参照)を径中心とする円弧面を構成しており、これらの壁部60,61の内側がコイルばね58を係止可能な第1ばね座となっている。また、後側の内壁部62の凹曲面と外壁部60の前側部分の内周面とが第1位置P1よりも前側に位置する第2位置P2(図9参照)を径中心とする円弧面を構成しており、これらの壁部60,62の内側がコイルばね58を係止可能な第2ばね座となっている。そして、双方のばね座には、互いに大きさの異なる2種類のコイルばね58が係止可能となっている。そのため、本実施形態のキャップホルダー52には、互いに異なる各々のコイルばね58を介して2種類のキャップユニット51が取り付け可能となっている。すなわち、2種類のキャップユニット51に対して1つのキャップホルダー52を兼用することが可能となっている。
【0036】
次に、メンテナンスユニット26の一部を構成する廃インクタンク38の構成について説明する。
図10に示すように、廃インクタンク38は、上側が開口した略箱体状をなすタンク本体70を備えている。このタンク本体70は、ポンプフレーム21に対して前後に隣り合う位置に配置された第1本体部71と、第1本体部71を基端として左方向に延出した第2本体部72とを有している。なお、タンク本体70は、正面視で略L字状をなしており、第1本体部71における上下方向(重力方向に沿う方向)の高さ寸法は第2本体部72における上下方向の高さ寸法よりも大きい。また、プリンター11の電源機器(図示略)は、タンク本体70の第2本体部72の先端に対して左右に隣り合う位置に配置されている。
【0037】
タンク本体70の内側には、平板状をなす多孔質体からなる複数(本実施形態では6つ)のインク吸収材73が前後に積層された状態で収容されている。インク吸収材73には、タンク本体70の第1本体部71に収容された部分の上面の略中央部に凹部74が形成されている。この凹部74には、上流側となるキャップ部材50側から吸引ポンプ30によって吸引された廃インクを排出するためのインク排出チューブ(図示略)の下流端部位が挿入されている。そして、吸引ポンプ30がキャップ部材50側から吸引した廃インクは、インク排出チューブを通じてインク吸収材73の凹部74の内側に排出される。
【0038】
また、タンク本体70の第2本体部72の前壁部における第1本体部71寄りの部分の上端面には、切り欠き部75が形成されている。さらに、インク吸収材73の上面においてタンク本体70の切り欠き部75に隣接した部分には凹溝76が形成されている。そのため、廃インクタンク38に排出された廃インクのインク量がインク吸収材73によるインク保持量を上回った場合には、まず、インク吸収材73によって吸収されずにインク吸収材73から溢れ出た廃インクがインク吸収材73の上面に形成された凹溝76内に滞留させられる。そして、インク吸収材73の凹溝76内に滞留した廃インクは、切り欠き部75を通じてタンク本体70の外部に排出され、タンク本体70の外側面を重力に従って鉛直下方に垂下した後に、プリンター11の筐体12外に排出される。
【0039】
このように、インク吸収材73から溢れ出た廃インクは、タンク本体70の第2本体部72の先端から溢れ出る前に切り欠き部75を通じてタンク本体70の外部に排出される。そのため、かかる廃インクがタンク本体70の第2本体部72の先端に隣り合うプリンター11の電源機器に到達することが回避される。
【0040】
次に、上記のように構成されたプリンター11の作用について、特に、給送ローラー22をプリンター11に組み付ける際の作用に着目して以下説明する。
さて、本実施形態のプリンター11においては、吸引ポンプを設置する際にベースフレーム17に既に固定されているポンプフレーム21の軸受け孔39に対し、給送ローラー22の回動軸20が取り付けられる。そして、ポンプフレーム21に対して給送ローラー22の回動軸20が取り付けられると、プリンター11に対する給送ローラー22の組み付け動作が完了する。すなわち、給送ローラー22の回動軸20をポンプフレーム21の軸受け孔39に対して取り付ける動作の他に、この給送ローラー22の回動軸20が取り付けられたフレームをベースフレーム17に対して組み付ける必要がなく、この点で、給送ローラー22の組み付け効率の向上が図られる。
【0041】
本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)給送ローラー22とは異なる部材を支持するためのポンプフレーム21が、給送ローラー22の回動軸20を回動自在に支持する機能を併せて有する。そのため、給送ローラー22の回動軸20を回動自在に支持するための専用の部材を設けることが不要となるため、部品点数の削減に伴って給送ローラー22の組み付け効率の向上を図ることができる。
【0042】
(2)吸引ポンプ30を支持するためのポンプフレーム21が、給送ローラー22の回動軸20を回動自在に支持する機能を併せて有する。そのため、給送ローラー22の回動軸20を回動自在に支持するための専用の部材を設けることが不要となるため、部品点数の削減に伴って給送ローラー22の組み付け効率の向上を図ることができる。
【0043】
(3)吸引ポンプ30を支持するためのポンプフレーム21が、従動ギア33を回動自在に支持する機能を併せて有する。そのため、従動ギア33を回動自在に支持するための専用の部材を設けることが不要となるため、部品点数の削減に伴って装置全体の組み付け効率の更なる向上を図ることができる。
【0044】
(4)吸引ポンプ30を支持するためのポンプフレーム21が、従動ギア40を回動自在に支持する機能を併せて有する。そのため、従動ギア40を回動自在に支持するための専用の部材を設けることが不要となるため、部品点数の削減に伴って装置全体の組み付け効率の更なる向上を図ることができる。
【0045】
(5)給送ローラー22の回動軸20が従動ギア40の回動軸として兼用される。そのため、従動ギア40の回動軸となる専用の部材を設けることが不要となるため、部品点数の削減に伴って装置全体の組み付け効率の更なる向上を図ることができる。
【0046】
なお、上記実施形態は、以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記実施形態において、ポンプ軸35から給送ローラー22の回動軸20に向けて回転駆動力を伝達する従動ギア40の回動軸を給送ローラー22の回動軸20とは別部材構成で設けてもよい。この場合、従動ギア40の回動軸を回動自在に支持するための軸受け部をポンプフレーム21に設けてもよいし、従動ギア40の回動軸を回動自在に支持する支持部材をポンプフレーム21とは別部材構成で設けてもよい。また、従動ギア40の回動軸を回動自在に支持する支持部材として吸引ポンプ以外の給送ローラー22とは異なる部材を支持する支持部材を採用してもよいし、従動ギア40の回動軸を支持するための専用の部材を新たに設けてもよい。
【0047】
・上記実施形態において、搬送ローラー28からポンプ軸35に向けて回転駆動力を伝達する従動ギア33を回動自在に支持するための支持部材をポンプフレーム21とは別部材構成で設けてもよい。この場合、従動ギア33を回動自在に支持する支持部材として、吸引ポンプ以外の給送ローラー22とは異なる部材を支持する支持部材を採用してもよいし、従動ギア33を支持するための専用の部材を新たに設けてもよい。
【0048】
・上記実施形態において、吸引ポンプは、排出チューブを押し潰しながら記録ヘッド側からインクを吸引するチューブポンプに限定されず、例えばギアポンプやピストンポンプ等の任意の駆動方式の吸引ポンプを採用してもよい。
【0049】
・上記実施形態において、給送ローラー22の回動軸20を回動自在に支持する軸受け部が一体形成された支持部材はポンプフレーム21に限定されず、例えば、廃インクタンク38やメンテナンスユニット26等を採用してもよい。すなわち、給送ローラー22とは異なる部材を支持する部材であって、且つ、給送ローラー22の回動軸20を回動自在に支持可能な程度の剛性を有する部材であれば任意の部材を採用することができる。
【0050】
・上記実施形態において、液体噴射ヘッドとして、用紙13の幅方向の全域に亘って延びるフルラインタイプのラインヘッドを採用してもよい。
・上記実施形態において、ターゲットとして、樹脂フィルム等の他の素材を採用してもよい。
【0051】
・上記実施形態では、液体噴射装置をインクジェット式のプリンター11に具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置に具体化してもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
11…液体噴射装置としてのプリンター、13…ターゲットとしての用紙、20…回動軸、21…支持部材としてのポンプフレーム、22…給送ローラー、28…駆動軸としての搬送ローラー、30…吸引ポンプ、33…ポンプ駆動歯車としての従動ギア、34…軸受け部、35…吸引ポンプを構成するポンプ軸、39…軸受け部としての軸受け孔、40…給送ローラー駆動歯車としての従動ギア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットに対して液体を噴射するノズルを有する液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置であって、
回動軸を中心として回動することにより前記ターゲットを給送する給送ローラーと、
前記給送ローラーの前記回動軸を回動自在に支持する軸受け部が一体形成されると共に、前記給送ローラーとは異なる部材を支持する支持部材と
を備えたことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射装置において、
前記支持部材は、前記液体噴射ヘッドの前記ノズルから前記液体を吸引して排出する吸引ポンプを支持することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体噴射装置において、
駆動源の駆動時に回転する駆動軸から前記吸引ポンプの吸引動作時に回転するポンプ軸に向けて回転駆動力を伝達するポンプ駆動歯車を更に有し、
前記支持部材には、前記ポンプ駆動歯車を回動自在に支持する軸受け部が一体形成されていることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液体噴射装置において、
前記ポンプ軸から前記給送ローラーの回動軸に向けて回転駆動力を伝達する給送ローラー駆動歯車を更に有し、
前記支持部材には、前記給送ローラー駆動歯車を回動自在に支持する軸受け部が一体形成されていることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液体噴射装置において、
前記給送ローラー駆動歯車は、前記給送ローラーの回動軸に対して一体回転可能に設けられていることを特徴とする液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図3】
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