説明

液体容器

【課題】容易に蓋の開閉操作が可能であるが、万一にも不測に蓋が開いて液漏れしてしまうことがなく、また、ロック状態を一目で認識することができるため、安心して用いることができる液体容器の提供を目的とする。
【解決手段】内部に液体を貯留し、注出口17を有した容器本体12と、注出口17を閉塞可能な蓋22を備えるとともに、蓋22を容器本体12に閉塞状態に係止する係止部44と、該係止部44の係止を解除可能に押動する押動部45とで構成した蓋開閉手段27を備え、蓋開動作を阻止する蓋開動阻止部材34を、容器本体12、及び、蓋12のうち、いずれか一方の側へ係合する係合ロック部62と、上記押動部45の押動を阻止する押動阻止部63とで構成し、蓋開動阻止部材34を、係合ロック部62の係合を解除するとともに、押動阻止部63の押動阻止を解除する方向へ可動可能に蓋開閉手段27に備えた液体容器11。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、容器本体に対して蓋を起伏回動させて開閉することのでき、携帯して用いるに好適な液体容器に関する。
【背景技術】
【0002】
上述したような液体容器は、例えば、容器本体に対して螺着した蓋を回動操作により取り外して内部の飲料を注出可能な構成の従来の液体容器と異なり、スイッチの押動などにより容易に蓋を起伏回動させて開閉することができるため、携帯時においても使い勝手がよく手軽に用いることができるため、広く普及している。
【0003】
しかし、その反面で、蓋が不測に開いてしまい、内部の液体が漏れてしまうおそれがあった。
【0004】
このため、蓋が不測に開かないよう対策を施した液体容器として、下記特許文献1において「水筒」が開示されている。
上記「水筒」は、蓋体を閉塞保持する係止手段、及び、該係止手段を蓋体から押動により係止解除する解除操作部を容体に設け、さらに、解除操作部を隠蔽する隠蔽体を該解除操作部の近傍に起伏回動自在に枢着して構成している。
上記「水筒」は、この隠蔽体を解除操作部に対して起立回動させることによって係止部の係止状態を解除操作し得るよう構成している。そして、上記「水筒」は、不使用時には、隠蔽体により解除操作部を隠蔽した状態に保つことができるため、不測に解除操作部が解除されることを防ぐことができる。
【0005】
しかし、上記「水筒」は、例えば、横転などにより隠蔽体に衝撃が加わることや、鞄などに収容した状態において、鞄自体やその他の収容物に隠蔽体の先端部が引っかかるといったことが生じる。そうすると、不測に隠蔽体が起伏回動してしまい、解除操作部が、押圧自在な露出した状態となるため、不測に解除操作部が押圧され飲料水が漏れてしまうといった事態になるといった課題を有する。また、使用者が携帯時に、完全に蓋を閉塞した状態に保たれているか否か、余計な不安を与えてしまう課題も招来することになる。
【0006】
また、下記特許文献2において「飲料用容器」が開示されている。
上記「飲料容器」は、閉塞蓋に係止して閉塞蓋を閉塞状態に保持する係止部を前記容器本体に設け、この係止部の閉塞蓋への係止状態を押動することで解除する解除押動部を容器本体に設け、該解除押動部に対して接離スライド移動するストッパ部を設けた構成をしている。
【0007】
しかし、上記「飲料容器」は、上述した特許文献1の「水筒」が有する課題に加えて、以下のような課題を有する。
すなわち、上記「飲料容器」は、ストッパ部を下方にスライドさせるとロックが解除した状態となる。しかし、ストッパ部は、解除押動部を隠蔽などせずに、押動不能に解除押動部の裏面から接触させることによりロックする構成であるため、解除押動部が物理的にロックされているかが一目で認識し難いといった課題が生じる。
【0008】
このため、例えば、他の作業をしながら飲料を飲む場合や、持ち主以外の普段、使い慣れていない人が使用する場合には、実際にはロックされていないにも関らず、ロックしたものと勘違いしてしまい、やはり不測な解除押動部の押動により漏れてしまう事態が生じてしまう。
【0009】
【特許文献1】実用新案登録第3099814号公報
【特許文献2】特開2004−149189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこでこの発明は、容易に蓋の開閉操作が可能であり、万一にも不測に蓋が開いて液漏れしてしまうことがなく、また、ロック状態を一目で認識することができるため、安心して用いることができる液体容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の液体容器は、内部に液体を貯留し、上部に注出口を有した容器本体と、該容器本体に上記注出口を閉塞可能に起伏回動自在に枢着した蓋を備えるとともに、上記蓋を上記容器本体に閉塞状態に係止する係止部と、該係止部の係止を解除可能に押動する押動部とで構成した蓋開閉手段を備えた液体容器であって、上記蓋の開動作を阻止する蓋開動阻止部材を、上記容器本体、及び、上記蓋のうち、いずれか一方の側のロック対象部へ係合する係合ロック部と、上記押動部の押動を阻止する押動阻止部とで構成し、上記蓋開動阻止部材を、上記係合ロック部の係合を解除するとともに、上記押動阻止部の押動阻止を解除する方向へ可動可能に上記蓋開閉手段に備えたことを特徴とする。
【0012】
上記構成により、上記押動阻止部により、押動部が不測に押動されることを物理的に阻止することができる。さらに、上記係合ロック部がロック対象部へ係合することにより、ロックした状態に保つことができるとともに、蓋開動阻止部材が不測に可動してロック状態が解除されることを阻止できる。
【0013】
従って、不測に蓋が開かれることを確実に阻止することができる。
【0014】
さらに、意図的に蓋を開く際には、上記蓋開動阻止部材を可動操作により、上記係合ロック部の係合解除と、上記押動阻止部の押動阻止の解除とを同時に行うことができ、容易に蓋を開くことができる。
【0015】
また、本発明の液体容器は、上記押動部と上記係止部とを、上記蓋開閉手段の幅方向の両側各部に備えるとともに、上記一対の押動部を、上記蓋開閉手段の幅方向の外側へ向くようそれぞれ配設し、上記蓋開動阻止部材を、上記ロック対象部、及び、上記押動部に対して対向配置、又は、退避可能に上記蓋開閉手段に枢着して構成することができる。
【0016】
上記構成により、本発明の液体容器は、上記蓋開動阻止部材を、上記ロック対象部、及び、上記押動部に対して対向配置させることができるため、蓋が開くことを阻止することができるとともに、一目でロックした状態であることを認識できる。
【0017】
また、本発明の液体容器は、上記蓋開閉手段には、上記係止部、及び、上記押動部を有した蓋開閉本体部材と、該蓋開閉本体部材を嵌め込み可能に構成した内部空間を有した嵌込許容部材と、上記蓋開動阻止部材を備え、上記蓋開動阻止部材の基部に、上記嵌込許容部材の幅方向各側の内壁部に係合可能な第一突片部を突設し、上記蓋開閉本体部材の基部に、上記嵌込許容部材の嵌込み口側から上記第一突片部に係合可能な第二突片部を突設して構成することができる。
【0018】
上記構成により、上記蓋開閉手段は、嵌込許容部材に対して上記蓋開動阻止部材、及び、蓋開閉本体部材をこの順で嵌め込んむことにより容易に取り付けることができ、また、嵌込許容部材に対して一度、取り付けた上記蓋開動阻止部材が取り外れないよう蓋開閉本体部材によって、係合保持した取付形態で丈夫に構成することができる。
【0019】
また、本発明の液体容器の構成方法は、内部に液体を貯留し、上部に注出口を有した容器本体と、上記注出口を閉塞可能に起伏回動自在に上記容器本体に枢着した蓋を備えるとともに、蓋開閉手段を備え、上記蓋開閉手段は、上記蓋を上記容器本体に係止する係止部と、該係止部の係止を解除可能に押動する押動部とで構成した蓋開閉本体部材と、該蓋開閉本体部材を嵌め込み可能な内部空間を有した嵌込許容部材と、該嵌込許容部材の外周側から上記押動部の押動を阻止可能であるとともに、上記容器本体、及び、上記蓋のうち、いずれか一方の側のロック対象部へ係合可能な蓋開動阻止部材とを有して構成される液体容器の構成方法であって、上記蓋開動阻止部材の基部を、該基部から突設した第一突片部を上記嵌込許容部材の幅方向の各側の内壁部に係合可能に上記嵌込許容部材に枢着する第一工程と、上記蓋開閉本体部材を、該蓋開閉本体部材の基部から突き出した第二突片部を上記蓋開動阻止部材に係合可能に上記嵌込許容部材の内部空間に嵌め込む第二工程と、上記嵌込許容部材と上記蓋開閉本体部材とを取付手段により一体に取り付ける第三工程とを行うことを特徴とする。
【0020】
本発明の液体容器の構成方法により、液体容器の殊に蓋開閉手段を容易に構成する(組み立てる)ことができ、また一度構成すれば、上記蓋開動阻止部材、上記蓋開閉本体部材といった各構成部材が不測に上記嵌込許容部材に対して取り外れることなく、丈夫に構成することができる。
【0021】
なお、上記取付手段としては、例えば、螺子、ボルトなどの締結部材やピンなどを挙げることができるが、蓋開閉本体部材と嵌込許容部とを一体に取り付け可能な手段であればよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の液体容器は、容易に蓋の開閉操作が可能であり、万一にも不測に蓋が開いて液漏れしてしまうことがなく、また、ロック状態を一目で認識することができるため、安心して用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本実施形態における飲料容器11は、図1、図2、及び、図3に示すように構成している。
なお、図1、及び、図2は、それぞれ本実施形態における飲料容器11の正面図、右側面図、平面図を示している。
【0024】
本実施形態の飲料容器11は、例えば、2リットル程度の飲料を内部の貯留空間に貯留可能な貯液容器12を備えるとともに、該貯液容器12の上部に装着される合成樹脂製の栓体13を備えている。
上記貯液容器12は、上部が開口したステンレス鋼製の真空二重容器14と、該真空二重容器14の開口部の外周縁部に嵌合した樹脂製の円環状肩部材18とにより一体に有底筒状に構成している。
【0025】
上記液体容器には、U字形をした合成樹脂製の把持部15を備え、該把持部15は、起伏可能に上記円環状肩部材18に枢着している。
【0026】
また、図4に示すように、上記栓体13は、貯留空間の飲料を外部へ注出可能な注出口17を上面に備えた栓本体部材16と、該注出口17を閉塞可能な蓋22とで構成している。
なお、図4は、栓体13を幅方向中間部において縦方向に切断し、その先端側を拡大して示した拡大断面図である。
【0027】
上記注出口17は、口をつけて直飲みも可能に栓体本体部材16の上面から円筒状に突出した形態で形成している。
栓本体部材16は、その中央部を、上記貯液容器12の開口部(図示せず)全体を閉塞可能な大きさを有した平面視略円板形状で形成しているとともに、その外周端部を末広がり状に垂下した形状で一体に形成している(図1から図3参照)。
【0028】
さらに、栓本体部材16は、貯液容器12に対して螺着可能に構成している。
具体的に、栓本体部の外周部における内周壁面には、一対の螺旋係合部における一方の螺旋係合部23を形成するとともに(図4参照)、上記円環状肩部材18の上部外周部には、一対の螺旋係合部における他方の螺旋係合部を形成している(図示せず)。
【0029】
さらにまた、蓋22は、栓本体部材16に対して枢着可能に構成している。
具体的には、栓本体部材16の上面の蓋22を備えた中央部に対して幅方向両側には、図2、及び、図3に示すように、隆起部24を備え、該隆起部24には、蓋22の基部を枢着する枢着部25を構成している。 蓋22は、この枢着部25を枢動支点として、蓋22の先端側部分が注出口17を閉塞時において栓本体部の前方側(正面側)に倒伏可能であるとともに(蓋22閉状態)、注出口17を開口時において反転した状態で後傾(蓋22開状態)可能に枢動する。
また、枢着部25には、ねじりバネが装着され(図示せず)、蓋22が自発的に蓋開状態へ回動するよう付勢している。
【0030】
さらに、蓋22裏面には、蓋閉状態において上記注出口17と対向する対向部分に、注出口17の口縁部に圧接して止水可能に弾性部材としてゴムパッキン26を固着している(図4参照)。
また、上記栓本体部材16の正面側には、図1、及び、図5に示すように、蓋22を開閉操作するための蓋開閉機構27を備えている。
なお、図5は、図3のA−A線視図である。
【0031】
上記蓋開閉機構27は、図4、及び、図5に示すように、大別すると蓋開閉本体部材32、該蓋開閉本体部材32を嵌め込み可能な嵌込許容部33、蓋22が不測に開動作することを阻止する蓋開動阻止部材34、取付補助部材35、及び、付勢バネ36を備えている。
【0032】
上記蓋開閉本体部材32は、基部42と、該基部42に対して先端側が撓み変形可能に突き出した撓み突片部43とで一体に構成している。上記撓み突片部43は、上記基部42の幅方向の両側に一対備え、互いに略平行に突出している。
【0033】
上記撓み突片部43の先端部には、係止爪44aを備えている。これに対して、蓋22の先端側部分22aには、栓本体部材16側の上記係止爪44aに係止する被係止爪44bを突設している。
【0034】
具体的には、上記撓み突片部43の先端部に形成した係止爪44aは、幅方向の外方へ突出して形成するとともに、蓋22側に形成した上記被係止爪44bは、幅方向の内方へ突出して形成し、撓み突片部43の幅方向内側への撓み変形により、互いに係脱自在としている。
さらに、上記撓み突片部43の突出方向の中途部分には、幅方向の外側から内側へ押動可能な押動部45を形成している。
上記押動部45は、幅方向の外側から内側へ押動し易いよう、上記撓み突片部43の突出方向の中途部が幅方向の外方へ膨出した形状で形成している。
【0035】
また、蓋開閉本体部材32の上記基部42は、その幅方向両端部に、該蓋開閉本体部材32を嵌込許容部33に収容した状態において蓋開動阻止部材34の基部57に係止可能に基端係合部46を幅方向外側へ突出している。
【0036】
また、上記嵌込許容部33は、図2に示すように、栓本体部材16の正面側部分から上記蓋開閉本体部材32を収容可能に前方へ突出した部分であり、内部に内部空間52を有する箱形形状で栓本体に対して一体に形成している。上記嵌込許容部33の下面部には、上記蓋開閉本体部材32を上記一対の撓み突片部43側から嵌め込み可能に開口した嵌込み口53を有している。
【0037】
上記嵌込許容部33の上面部には、上記蓋開閉本体部材32を上記内部空間52に収容したとき、上記左右の係止爪44aのそれぞれが上面部から突き出し可能に開口した係止爪挿通口部54を形成している。さらに、上記係止爪挿通口部54は、該係止爪挿通口部54の縁部に撓み突片部43が干渉しないよう、撓み突片部43を幅方向内側へ撓み変形可能とする幅大で形成している。
【0038】
上記嵌込許容部33の両側面には、上記蓋開閉本体部材32を上記内部空間52に嵌め込んだとき、上記押動部45が嵌込許容部33から露出し、該嵌込許容部33の側方から押動可能に開口した露出口部55を形成している。露出口部55の開口縁部は、押動部45を幅方向の外側から内側へ押し込み可能に切り欠いた切欠部56を構成している。
【0039】
続いて、上記蓋開動阻止部材34は、略U字形状に形成した部材であり、その長さ方向の両端部の基部57を、幅方向内側へ屈曲して突出した形状とし、上記嵌込許容部33の幅方向両側の内側縁部に係合した状態で枢動可能に構成している。
上記蓋開動阻止部材34は、略U字形状をした先端側部分に、蓋22の先端側部分22aに係合可能な係合ロック部62を備えるとともに、幅方向各側の先端側と基部42側との中途部分に、押動部45の押動を阻止可能とする押動阻止部63を備えている。
【0040】
さらに、上記蓋開動阻止部材34の基部57には、該基部57を上記嵌込許容部33に枢着したとき、上記嵌込許容部33の幅方向の各側の内壁部に係合可能な内壁係合部64を鍔状に形成している。
【0041】
また、上記蓋開閉本体部材32、及び、上記嵌込許容部33には、上記蓋開閉本体部材32を上記嵌込許容部33に収容した状態において、互いに対面する対面部分65a,65bを有するとともに、互いに連通する連通孔66a,66bをそれぞれ形成している。
【0042】
また、上記取付補助部材35は、嵌込許容部33の上方中央部に装着可能に構成し、その中央部には、上述した嵌込許容部33、及び、蓋開動阻止部材34とに形成した上記連通孔66a,66bと連通するとともに、内周面に後述する螺子71と螺合可能な螺旋部が形成された螺子孔67を形成している。
【0043】
上記付勢バネ36は、板状に形成し、その幅方向の両側には、幅方向の外方へ付勢可能に傾斜した付勢部68を備えている。
【0044】
続いて上述した各構成部材を組み立てて蓋開閉機構27を構成する組み立て工程について説明する。
(第一工程)
先ず、図6に示すように上記蓋開動阻止部材34の基部57を、上記嵌込許容部33の嵌込み口53の幅方向の両側内縁部に係合することにより枢着する。このとき、上記内壁係合部64が上記嵌込許容部33の幅方向の各側の内壁部に係合した状態となる(図6の要部拡大図参照)。
なお、図6は、第一工程の説明図である。
【0045】
(第二工程)
続いて、図7(a)に示すように付勢バネ36、及び、上記蓋開閉本体部材32のそれぞれを、上記嵌込許容部33の内部空間52に嵌込み口53を通じて収容する。
【0046】
ここで、第一工程を経ることにより上記蓋開動阻止部材34を上記嵌込許容部33に枢着した状態において、記内壁係合部64が内部空間52の幅方向内側へ突出した状態となっている。しかし、上記撓み突片部43は、幅方向内側へ撓み変形するため(図7(a)中の仮想線で示した撓み突片部43参照)、上記蓋開閉本体部材32を内部空間52へ収容する際に、嵌め込みが阻害されることなく上記蓋開閉本体部材32を上記嵌込許容部33に容易に収容することができる。
【0047】
そして、図7(b)に示すように上記蓋開閉本体部材32を上記嵌込許容部33の内部空間52に収容すると、係止爪44aが係止爪挿通口部54から突出するとともに、押動部45は、露出口55から露出した状態となり、上記蓋開閉本体部材32と上記嵌込許容部33との間には、付勢バネ36が介在した状態となる。付勢バネ36は、幅方向両側の付勢部が幅方向内側に撓み変形した撓み突片部43を、幅方向の外側、すなわち、撓み変形が復元する側に付勢するよう配置される。
【0048】
さらに、蓋開閉本体部材32の基部42は、上記蓋開動阻止部材34が嵌込み口53から抜けないよう嵌込み口53の口縁部において該嵌込み口53を閉塞するよう配置される。
【0049】
具体的には、蓋開閉本体部材32は、その基端係合部46が、蓋開動阻止部材34の内壁係合部64と嵌込み口53側から係合することにより(図7(b)の要部拡大図参照)、上記蓋開動阻止部材34が内部空間52から抜けることを阻止することができる。
なお、図7(a),(b)は、第二工程の説明図である。
【0050】
(第三工程)
最後に、上記取付補助部材35を、嵌込許容部33の上方中央部に嵌め込んで装着し、さらに、蓋開閉本体部材32の下側から取付手段としての螺子71を連通孔66a,66b、及び、螺子孔67へ挿通するとともに螺着することにより、図5に示したように、蓋開閉本体部材32、嵌込許容部33、蓋開動阻止部材34、取付補助部材35、及び、付勢バネ36を一体に締結することができる。
蓋開閉機構27は、上述した工程を経ることにより構成することができ、以下では、上述した構成の飲料容器11が奏する作用効果について説明する。
蓋22を閉じる際には、撓み突片部43の先端部に、降下してきた蓋22側の被係止爪44bが当接することにより、撓み突片部43が一時的に幅方向の内側へ撓み変形し(図示せず)、その後、被係止爪44bと係止爪44aとを上下各側で互いに係止することができる。このように、蓋22は、栓本体部材16の上面前方側へ倒伏させるだけで、容易に蓋22を閉状態にすることができる。
【0051】
そして、蓋閉状態においては、図8(a),(b)に示すように、蓋開動阻止部材34を枢動させ、嵌込許容部33の下部を除く外周側に配置する。
【0052】
これにより、蓋開動阻止部材34における押動阻止部63を押動部45に対向配置させることができるため、不測に押動部45が押圧されることを阻止することができる。
【0053】
それとともに、蓋開動阻止部材34における係合ロック部62をロック対象部である蓋先端部分22aの外側に対向配置させることにより(図8(a)参照)、蓋22が起立回動することを、該蓋22先端部の上方から押え込むようにして係合ロックすることができる。
【0054】
以上により、蓋22が不測に開動されることを確実に阻止することができる。
【0055】
殊に、上述したように蓋開動阻止部材34により蓋22をロックしたとき、係合ロック部62は、蓋先端部分22aに対して接触した状態で係合ロックするため(図4、及び、図5参照)、その接触抵抗により不測にロックが解除する側へ回動してしまうことを阻止することができる。
【0056】
このため、例えば、飲料容器11が横転などして衝撃が加わった場合でも、不測に蓋開動阻止部材34の係合ロックが解除されることがなく、また、例えば、飲料容器11を鞄などに収容した場合であっても、鞄内部の他の物体との接触により不測に押動部45が押圧されることがなく、蓋22が開くことを確実に阻止することができる。
【0057】
さらに、使用者は、ロック時において蓋開動阻止部材34により蓋先端部分22aに係止している状態が外観上、一目で認識できるため、ロックし忘れることがない。逆に、使用者は、ロック解除時において、蓋開動阻止部材34が蓋先端部分22aの前方で垂下した状態となるため、係合が解除された状態を一目で認識でき、ロックされていないにも関らず、蓋開動阻止部材34をロックしたものと勘違いすることもない。
【0058】
また、蓋22を開く際には、図9に示すように、蓋開動阻止部材34を、蓋先端部分22aの前方側へ枢動させることにより、係合ロック部62による蓋22の係合ロックは勿論、及び、押動阻止部63による押動部45の押動阻止を同時に解除することができる(図9中の矢印D1参照)。そして、例えば、2本の指先で一対の押動部45を挟持するよう摘み、幅方向の内側へと押動させることにより(図9中の矢印D2参照)、一対の撓み突片部43を撓み変形させることができる。
【0059】
これにより、係止部44aと被係止爪44bとの係合を解除し、ねじりバネの付勢力により蓋22を自発的に回動して開けることができる(図9中の矢印D3参照)。
【0060】
また、上述した実施形態と、この発明の構成との対応において、この実施形態の飲料容器11は、この発明の液体容器に対応し、同様に、
貯液容器12、及び、栓本体部材16は、容器本体に対応し、
蓋開閉機構27は、蓋開閉手段に対応し、
嵌込許容部33は、嵌込許容部材に対応し、
係止爪44a、及び、被係止爪44bは、係止部に対応し、
内壁係合部64は、第一突片部に対応し、
基端係合部46は、第二突片部に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本実施形態の飲料容器の正面図。
【図2】本実施形態の飲料容器の右側面図。
【図3】本実施形態の飲料容器の平面図。
【図4】蓋開閉機構を断面で示した構成説明図。
【図5】栓体の前側部分を断面で示した構成説明図。
【図6】蓋開閉を構成する第一工程の説明図。
【図7】蓋開閉機構を構成する第二工程の説明図。
【図8】本実施形態の飲料容器の作用説明図。
【図9】本実施形態の飲料容器の作用説明図。
【符号の説明】
【0062】
11…飲料容器
12…貯液容器
13…栓体
16…栓本体部材
17…注出口
22…蓋
25…枢着部
27…蓋開閉機構
32…蓋開閉本体部材
33…嵌込許容部
34…蓋開動阻止部材
43…撓み突片部
44a…係止爪
44b…被係止爪
45…押動部
46…基端係合部
52…内部空間
53…嵌込み口
62…係合ロック部
63…押動阻止部
64…内壁係合部
62…螺子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液体を貯留し、上部に注出口を有した容器本体と、該容器本体に上記注出口を閉塞可能に起伏回動自在に枢着した蓋を備えるとともに、上記蓋を上記容器本体に閉塞状態に係止する係止部と、該係止部の係止を解除可能に押動する押動部とで構成した蓋開閉手段を備えた液体容器であって、
上記蓋の開動作を阻止する蓋開動阻止部材を、上記容器本体、及び、上記蓋のうち、いずれか一方の側のロック対象部へ係合する係合ロック部と、上記押動部の押動を阻止する押動阻止部とで構成し、
上記蓋開動阻止部材を、上記係合ロック部の係合を解除するとともに、上記押動阻止部の押動阻止を解除する方向へ可動可能に上記蓋開閉手段に備えた
液体容器。
【請求項2】
上記押動部と上記係止部とを、上記蓋開閉手段の幅方向の両側各部に備えるとともに、
上記一対の押動部を、上記蓋開閉手段の幅方向の外側へ向くようそれぞれ配設し、
上記蓋開動阻止部材を、上記ロック対象部、及び、上記押動部に対して対向配置、又は、退避可能に上記蓋開閉手段に枢着した
請求項1に記載の液体容器。
【請求項3】
上記蓋開閉手段には、上記係止部、及び、上記押動部を有した蓋開閉本体部材と、該蓋開閉本体部材を嵌め込み可能に構成した内部空間を有した嵌込許容部材と、上記蓋開動阻止部材を備え、
上記蓋開動阻止部材の基部に、上記嵌込許容部材の幅方向各側の内壁部に係合可能な第一突片部を突設し、
上記蓋開閉本体部材の基部に、上記嵌込許容部材の嵌込み口側から上記第一突片部に係合可能な第二突片部を突設した
請求項1、又は、請求項2に記載の液体容器。
【請求項4】
内部に液体を貯留し、上部に注出口を有した容器本体と、上記注出口を閉塞可能に起伏回動自在に上記容器本体に枢着した蓋を備えるとともに、蓋開閉手段を備え、
上記蓋開閉手段は、上記蓋を上記容器本体に係止する係止部と、該係止部の係止を解除可能に押動する押動部とで構成した蓋開閉本体部材と、該蓋開閉本体部材を嵌め込み可能な内部空間を有した嵌込許容部材と、該嵌込許容部材の外周側から上記押動部の押動を阻止可能であるとともに、上記容器本体、及び、上記蓋のうち、いずれか一方の側のロック対象部へ係合可能な蓋開動阻止部材とを有して構成される液体容器の構成方法であって、
上記蓋開動阻止部材の基部を、該基部から突設した第一突片部を上記嵌込許容部材の幅方向の各側の内壁部に係合可能に上記嵌込許容部材に枢着する第一工程と、
上記蓋開閉本体部材を、該蓋開閉本体部材の基部から突き出した第二突片部を上記蓋開動阻止部材に係合可能に上記嵌込許容部材の内部空間に嵌め込む第二工程と、
上記嵌込許容部材と上記蓋開閉本体部材とを取付手段により一体に取り付ける第三工程とを行うことを特徴とする
液体容器の構成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−120257(P2009−120257A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298780(P2007−298780)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(000112233)ピーコック魔法瓶工業株式会社 (14)
【Fターム(参考)】