説明

液体微細化装置とそれを用いたサウナ装置

【課題】本発明は、液体微細化装置とそれを用いたサウナ装置に関するもので、水の微細化効率を向上することを目的とする。
【解決手段】吸込口4と排気口5を結ぶ風路に設けた熱交換器7およびファンモータ8と、このファンモータ8と排気口5間に設けた液体微細化手段9とを備え、液体微細化手段9の回転手段13は、回転軸19と、この回転軸19の軸方向に回転軸19を中心として回動する回転板20a〜20cと一体に形成された、逆円錐状の揚水管22と、回転板20a〜20cの外周に配置した複数の破砕部23を設け、破砕部23は、回転軸19に向けて突出する回転板20a,20b、20cの回転方向に対向する面が回転板の接線方向に対して略直交する衝突面を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体微細化装置とそれを用いたサウナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、サウナ装置に用いられる液体微細化装置の構成は、次のような構成となっていた。
【0003】
すなわち、給気口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内の風路に設けた送風手段と、この送風手段と排気口間に設けた液体微細化手段とを備え、前記液体微細化手段は、タンク内に液体を貯め、その貯めた液体をポンプにより回転する円板の上面に供給し、円板上に薄く広がった液体を遠心力により外方に飛散させて微細化させる構成となっていた(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−118068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来例で課題となるのは、液体微細化の効率が低いということである。
【0006】
すなわち、従来の液体微細化装置は、上述のごとく、液体を円板の上面から遠心力により飛散させて微細化しているが、このように、円板から外方に飛散させるだけでは、十分に微細化されないまま液体が飛散してしまい、微細化の効率が低くなってしまう。
【0007】
そこで、この問題を解決するため、回転板の外周に円筒を設けて、回転板から飛散した液体を衝突させて、液体の微細化を促進する方法が提案されているが、飛散した液体を円筒の内壁に衝突させる方法でも、単に円筒内面に衝突させるものでは、衝突エネルギーを有効に活用できず、やはり微細化の促進は十分ではない。つまり、この場合、円筒内面では飛散した液体が円筒内面に対して傾斜状態で衝突することになるので、衝突エネルギーを破砕に活用することができず、この結果として、液体の微細化効率が低くなってしまうものであった。
【0008】
そこで本発明は、液体微細化の効率を向上することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、この目的を達成するために本発明は、吸込口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内の前記吸込口と前記排気口を結ぶ風路に設けた加熱手段および送風手段と、この送風手段と前記排気口間の風路内に設けた液体微細化手段とを備え、前記液体微細化手段は、垂直方向に配置され、上方開口部および下方開口部を有する筒状の経路と、この筒状の経路内に設けた回転手段と、この回転手段に液体を供給する液体供給手段と、前記筒状の経路の下部に設けた貯水部とを有し、前記回転手段は、上下方向に向けて配置した回転軸と、この回転軸を回転させる回転モータと、前記回転軸に固定されるとともに前記貯水部から水を吸上げる揚水管と、この揚水管の外面の、前記回転軸の軸方向に所定間隔で固定された複数の回転板とを有し、前記液体供給手段は、液体を移送する給水管と、この給水管途中に配した給水弁とを有し、前記送風手段は、羽根車と、この羽根車を回転させるファンモータと、前記羽根車を内包するファンケーシングとを有し、前記揚水管は、逆円錐形状で、上方の回転板と下方の回転板の間に水平方向に長い開口(スリット)を有し、吸上げた水をこの開口から外周方向へ噴出し、前記開口の外側周囲には、前記筒状の経路に支持された環状の当て板を設け、前記複数の回転板の外周には、前記筒状の経路に連結された破砕部を設け、前記破砕部は、前記回転軸に向けて突出する前記複数の回転板の回転方向に対向する面が前記複数の回転板の接線方向に対して略直交する衝突面を構成したことにより、上記目的を達成している。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明は、複数の回転板の外周には、筒状の経路に連結された破砕部を設け、前記破砕部は、回転軸に向けて突出する前記複数の回転板の回転方向に対向する面が前記複数の回転板の接線方向に対して略直交する衝突面を構成し、この破砕部により複数の回転板から飛散した水を破砕させることにより、液体微細化の効率を向上することができる。
【0011】
すなわち、本発明においては、遠心力によって複数の回転板の外縁から飛散する液体が、回転板の略接線方向に飛散して、破砕部の衝突面に略直角に衝突する、つまり衝突エネルギーを有効に活用できるので、この衝突により放散された液滴が破砕されて微細化が促進されるので、結果として、液体微細化の効率を向上するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1における液体微細化装置を用いたサウナ装置の斜視図
【図2】同サウナ装置の液体微細化装置の垂直断面の構成図
【図3】同サウナ装置の液体微細化装置の拡大斜視図
【図4】同サウナ装置の液体微細化装置の上面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態における液体微細化装置を用いたサウナ装置の斜視図であり、この図1に示すように、サウナ室1の天井面2には、液体微細化装置3が取り付けられている。以下、本実施の形態では、微細化する液体を水として説明する。
【0015】
液体微細化装置3は、図2に示すように、吸込口4と排気口5を有する本体ケース6と、この本体ケース6内の吸込口4と排気口5とを結ぶ風路に設けた加熱手段としての熱交換器7および送風手段としてのファンモータ8と、このファンモータ8と排気口5との間に設けた液体微細化手段9とを備えた構成としている。
【0016】
また、ファンモータ8から液体微細化手段9へ通じる風路は、ファンケーシング10により形成され、液体微細化手段9と排気口5の間に補助熱交換器11を設けている。
【0017】
液体微細化手段9は、図2に示すように、垂直方向に配置され、上方開口部12aおよび下方開口部12bを有する筒状の経路12と、この筒状の経路12の内部に設けた回転手段13と、この回転手段13に水を供給する液体供給手段としての給水管14を備える。この給水管14には定流量弁15を設け、この定流量弁15の上流側配管16に給水弁17が設けられている。そして、給水管14の先端は、後述する回転板20aの回転部分に対して回転軸19よりに配置している。
【0018】
回転手段13は、上下方向に向けて配置した回転軸19と、この回転軸19に固定されるとともに後述する貯水部から水を吸上げる揚水管22と、この揚水管22の外面の、回転軸19の軸方向に、回転軸19を中心として回動する複数の回転板20a,20b、20cを所定間隔で固定して設けている。
【0019】
本実施の形態では、回転軸19の上方から下方へ回転板20a、回転板20b、回転板20cと3枚の回転板を設ける構成とする。
【0020】
回転手段13の上部には、回転軸19を駆動するための回転モータ21を備え、回転板20aは逆円錐状の揚水管22の上部開口を塞ぐような円板形状で、回転板20b、回転板20cは、逆円錐状の揚水管22の外側面に設けられた円環形状で構成されている。
【0021】
回転板20a、回転板20b、回転板20cの外周には、筒状の経路12の内壁から回転軸19に向けて突出させた複数の破砕部23を設け、回転板20a、回転板20b、回転板20cから飛散した水を破砕する構成としている。
【0022】
複数の破砕部23は、ファンモータ8からの空気を下方開口部12bから上方開口部12aに向けて通風したときに、回転板20a、回転板20b、回転板20cと筒状の経路12の内壁との隙間を通過する空気と接触する構成となっている。この複数の破砕部23の構成については後段で詳細に説明する。
【0023】
回転板20a、回転板20bの間、及び回転板20b、回転板20cの間には、揚水管22で揚水した水を下方の回転板20b、回転板20cへ落下させる当て板24を環状に設けている。
【0024】
本実施の形態では、環状の当て板24は、複数の破砕部23と一体に形成している。すなわち、環状の当て板24は、筒状の経路12の内壁に連結されている複数の破砕部23から回転軸19に向かって延伸する複数の支持棒25に支持された構成としている。
【0025】
揚水管22は、揚水した水を回転による遠心力で噴出させる水平方向に長い開口(図示せず)を各回転板の間に2個ずつ設け、各回転板の間で水を噴出させる方向が異なるように、開口の位置を周方向にずらしている。例えば、回転板が3枚の場合、一つの開口の中心角θは90度で、この角度は周方向にずらしているため、4つの開口(図示せず)により、揚水した水を360度全周に噴出させることができる。
【0026】
また、筒状の経路12の下部には図2に示すごとく貯水部26を有し、揚水管22で揚水できない水量、すなわち微細化運転終了時の貯水部26の貯水量が少なくなるよう、筒状の経路12の下部は、例えば逆台形の形状(下方に凸)としている。
【0027】
次に、複数の破砕部23について説明する。
【0028】
複数の破砕部23は、図3に示すように、複数の略長方形の略平板状に形成し、垂直方向に立てた状態で、回転板20a、回転板20b、回転板20cの外周に沿って、それぞれの側端部23aを筒状の経路12の内壁に連結させた構成としている。
【0029】
そして、複数の破砕部23はそれぞれ、回転軸19に向けて突出する回転板20a、回転板20b、回転板20cの回転方向に対向する面が、回転板20a、回転板20b、回転板20cの接線方向(図4のA)に対して略直交する衝突面27を構成している。
【0030】
この衝突面27は、図3および図4に示すように、回転板20a、回転板20b、回転板20cの接線方向に対して略直交するように、回転方向に凸に湾曲させている。このため、複数の破砕部23により、回転板20a、回転板20b、回転板20cから飛散した水を衝突面27に略直交するように衝突させて破砕させ、微細化を促進する構成としている。
【0031】
また、本実施の形態においては、図3に示す筒状の経路12内壁の上方開口部12aに対応する下方部分は、図4に示すように、複数の破砕部23の筒状の経路12の内壁への非連結部28としている。
【0032】
一方、複数の破砕部23の非連結部28外周の筒状の経路12の内周部分は、複数の破砕部23の筒状の経路12の内壁への連結部29としている。
【0033】
筒状の経路12の連結部29においては、複数の破砕部23を連結する構成としているので、回転板20a、回転板20b、回転板20cから回転板20a、回転板20b、回転板20cの接線方向(図4のA)に飛散した水を複数の破砕部23の衝突面27に略直交するように衝突させて破砕させ、微細化を促進することができる。
【0034】
一方、上述の筒状の経路12の非連結部28においては、複数の破砕部23を筒状の経路12の内壁に連結しない構成としている。すなわち、筒状の経路12内壁の上方開口部12aに対応する下方部分には、破砕部23を設けないので、筒状の経路12内の上方開口部12a側の風路を上昇する空気が破砕部23と接触することがなく、風路を妨げない構成としている。
【0035】
また、本実施の形態では、図3および図4に示すように、筒状の経路12の非連結部28の上方開口部12a部分は略直線状に形成している。そして、略平板状の補助熱交換器11を、非連結部28上方に形成した上方開口部12aに連結した構成としている。筒状の経路12の非連結部28は略平面状に形成し、筒状の経路12の下部まで破砕部23の筒状の経路12内壁への非連結部28としている。
【0036】
また、筒状の経路12の上面から見ると、図4のように、筒状の経路12内壁には、非連結部28と連結部29との接続部分を外側に膨出させた膨出部30を形成している。
【0037】
本実施の形態では、筒状の経路12の上方開口部12aに対応する下方部分である非連結部28は略平面状に形成し、筒状の経路12全体を略角筒形状に構成し、非連結部28と連結部29との接続部分は、略直角に屈折させることで、上述の膨出部30を構成としている。この膨出部30を形成したことにより、筒状の経路12の上方開口部12a側の風路を膨らませ、この結果、上方開口部12a側の風路の断面積を拡大した構成となっている。
【0038】
そして、図4に示すように、複数の破砕部23は、筒状の経路12内壁の連結部29において、回転板20a〜20cの外周に略等間隔に連結するように構成している。
【0039】
以上の構成において、次に動作を説明する。
【0040】
サウナ室1内において、サウナを使用する場合、まず、図示していないガス湯沸かし器や電気温水器等の熱源から、図1に示すパイプ31を介し、図2に示す熱交換器7に温水が供給される。また、給水管14へは配管32により市水が供給される。給水管14に供給される市水は、定流量弁15によって設定された極めて少量であって、回転モータ21が駆動されるまでは、給水弁17により止められ、給水管14から排出されていない。
【0041】
この状態で、熱交換器7が運転され、ファンモータ8が駆動されると、ファンモータ8が吸込口4を介してサウナ室1内の空気を吸い込み、吸い込まれた空気は熱交換器7によって加熱される。加熱された空気は、ファンモータ8によって、ファンケーシング10を介して、下方開口部12bから筒状の経路12内へと送られる。
【0042】
一方、回転モータ21が駆動されると、回転軸19が高速回転し、それにともない回転板20aおよび回転板20b、ならびに回転板20cが高速回転される。
【0043】
このとき、給水管14は、高速回転する上方の回転板20aの上面の回転軸19に近い位置に、定流量弁15で設定された流量の水を供給する。上方の回転板20aの上面に供給された水は、高速回転による遠心力によって外周方向に向かって薄膜状に広がり、この薄膜状になった水は、回転板20aの外周縁から接線方向(図4に示すA)へと高速で吹き飛ばされる。
【0044】
そして、遠心力によって回転板20aの外周縁から高速で飛散する水滴の大部分は、回転板20aの接線とほぼ同じ方向(図4に示すA)に飛散し、この飛散した水滴が、複数の破砕部23の衝突面27に略直角に衝突するので、放散された液滴がこの衝突によって効果的に破砕され、微細化が促進される。
【0045】
また、衝突面27に衝突して破砕された水滴は、筒状の経路12および複数の破砕部23と回転板20a〜20cとの隙間内で飛び散り、高速回転する回転板20a〜20cや、隣接する破砕部23に再び衝突して破砕され、水の微細化がさらに促進される。
【0046】
そして、給水管14から上方の回転板20aの上面に供給された水は、この時点で大部分が微細化され、前述の加熱された暖かい空気と混ざって蒸気の状態となっている。
【0047】
一方、上方の回転板20aから遠心力により飛散した水滴のうち、複数の破砕部23の衝突面27や筒状の経路12の内壁に衝突しても微細化されずに筒状の経路12の内壁に付着したわずかな水滴や、微細化された後に内壁において結露した微量の水滴は、筒状の経路12の内壁を伝って、貯水部26に流れ落ち、貯水される。
【0048】
このとき、貯水部26の上方では揚水管22が回転しており、貯水部26の貯水量が増え、水面が揚水管22の下端に近づくと、貯水部26の貯水は水面上の空気と一緒に巻き上げられ、揚水管22の内壁を伝って上方へ移動していく。
【0049】
すなわち、この揚水管22は、上述のごとく逆円錐状となっているので、内部には吸引力が働くようになっている。このため、貯水部26の貯水は水面上の空気と一緒に巻き上げられ、揚水管22の内壁を伝って上方へ移動していく。
【0050】
そして揚水管22の内壁を伝って上方へ移動した水は、まず、回転板20b、回転板20cの間の開口(図示せず)から回転による遠心力で噴出し、環状に設けられた当て板24に当たり、回転板20cへ落下する。
【0051】
回転板20cへ落下した水は、上方の回転板20aの上面に供給された水と同様に、高速回転による遠心力によって外周方向に向かって薄膜状に広がり、この薄膜状になった水は、回転板20cの外周縁から接線方向(図4に示すA)へと高速で吹き飛ばされる。
【0052】
このように、遠心力で飛散した水滴は、回転板20cの接線に対して略直交する複数の破砕部23の衝突面27に衝突して水の微細化が促進される。
【0053】
また、遠心力で飛散した一部の微細化水滴は筒状の経路12の内壁に衝突して破砕され、さらに水の微細化が促進される。
【0054】
また揚水管22の内壁を伝って上方へ移動し、回転板20b、回転板20cの間の開口(図示せず)から噴出しなかった水は、回転板20a、回転板20bの間の開口(図示せず)から回転による遠心力で噴出し、環状に設けられた当て板24に当たり、回転板20bへ落下する。
【0055】
回転板20bへ落下した水は、上方の回転板20aの上面に供給された水と同様に、高速回転による遠心力によって外周方向に向かって薄膜状に広がり、この薄膜状になった水は、回転板20bの外周縁から接線方向(図4に示すA)へと高速で吹き飛ばされる。
【0056】
のように、遠心力で飛散した水滴は、回転板20cの接線に対して略直交する複数の破砕部23の衝突面27に衝突して水の微細化が促進される。
【0057】
また、遠心力で回転板20cから飛散した一部の微細化水滴は筒状の経路12の内壁に衝突して破砕され、さらに水の微細化が促進される。
【0058】
このとき揚水管22の内壁を伝って上方へ移動する水は、回転モータ21が高速回転しているため、螺旋状に旋回して上方へ移動するのではなく、内壁全周において略均一な状態で真上に移動していく。
【0059】
すなわち、各回転板20a、20b、20cの間に2個ずつ設けられた水平方向に長い開口(図示せず)の位置を周方向で同じ位置に設けた場合、揚水管22の内壁を伝って上方へ移動してきた水は最初の開口(図示せず)から噴出し、上側の開口(図示せず)へは水が上がって来なくなるため、各回転板20a〜20cの間で水を噴出させる方向が異なるように、開口(図示せず)の位置を周方向にずらしている。
【0060】
このように、揚水管22で揚水した水も、上方の回転板20aに供給した水と同様、ほとんど全て複数の破砕部23の衝突面27や、筒状の経路12の内壁に衝突して微細化され、加熱された暖かい空気と混ざって蒸気の状態となって上方開口部12aから排出されるが、一部は微細化されずに筒状の経路12の内壁に付着したわずかな水滴や、微細化された後に内壁において結露した微量の水滴となり、筒状の経路12の内壁を伝って、貯水部26に流れ落ち、貯水される。
【0061】
一方、回転板20aおよび回転板20b、ならびに回転板20cの高速回転によって微細化された水を含む暖かい空気は、図2のファンモータ8の送風によって、筒状の経路12の下方開口部12bから上方開口部12aに向けて流れる温風に搬送され、補助熱交換器11で再加熱後、図2に示す本体ケース6の排気口5を介して図1のサウナ室1の天井排気口(図示せず)からサウナ室1の内部へ蒸気として供給される。
【0062】
なお、上述のとおり、筒状の経路12外周面の上方に形成した上方開口部12aに対応する下方部分は、複数の破砕部23を設けない非連結部28としているので、微細化水滴の再液化を抑えて微細化効率を向上することができる。
【0063】
すなわち、下方開口部12bから筒状の経路12内へと送風された高温の空気は、筒状の経路12内での気化作用により、上方開口部12aに向けて上昇するにつれて温度が低下し、飽和水蒸気量が低下する。このため、回転板20a〜20cの高速回転により複数の破砕部23の衝突面27に衝突させることで生成された微細化水滴は、空気中ですべてが気化することなく、微細な粒子形状を維持したまま、下方開口部12bから筒状の経路12内に送風される空気により運搬される。
【0064】
このように筒状の経路12内を上昇する空気は、微細化水滴を含んだ状態で、回転板20a〜20cと、複数の破砕部23と、筒状の経路12内壁との隙間を通過することになる。
【0065】
このとき、筒状の経路12内を上昇する空気により搬送される微細化粒子は、複数の破砕部23に付着して凝縮し、複数の破砕部23の下端部に集まって再液化しやすい状態となるが、本実施の形態においては、筒状の経路12の上方開口部12aの下方部分は、破砕部23を設けない非連結部28としているので、微細化粒子の再液化を抑えることができる。
【0066】
つまり、筒状の経路12内壁と回転板20a〜20cの外周との隙間を上昇する空気の風量は均一ではなく、筒状の経路12内を上昇するにつれて、回転軸19より上方開口部12a側の風量が増加するため、回転軸19より上方開口部12a側を通過する微細化水滴の量は、筒状の経路12内風路の他の部分に比べて多くなっている。
【0067】
したがって、筒状の経路12の回転軸19より上方開口部12a側を通過する微細化水滴は、特に、筒状の経路12の上方開口部12aに対応する下方部分、すなわち筒状の経路12内壁の非連結部28や、破砕部23に付着しやすくなっている。
【0068】
このため、上方開口部12aに対応する下方部分を、破砕部23の筒状の経路12内壁への非連結部28とする構成ではなく、この下方部分にも破砕部23を筒状の経路12内壁に連結する構成としてしまうと、上述のように筒状の経路12の回転軸19より上方開口部12a側を通過する多くの微細化水滴が破砕部23に付着し、そこで凝縮して再液化しやすくなる。
【0069】
その一方で、筒状の経路12の回転軸19より上方開口部12a側の隙間を上方開口部12aに向かって上昇する空気の風量が他の部分に比べて多くなっているために、破砕部23に付着した微細化粒子が再液化した水滴は、破砕部23の下端部に付着したままそこで保持されてしまう。
【0070】
そして、破砕部23で再液化した水滴がさらに成長し、下方から吹き付ける温風でもそのまま保持できないほど大きく成長すると、水滴は重力により下方に滴下しやすくなり、その結果として、加湿運転を続けると、回転軸19より上方開口部12a側では、破砕部23の下端部から多量の水滴が、回転板20a〜20cと筒状の経路12内壁との隙間から筒状の経路12の下方の貯水部26に滴下することとなる。
【0071】
以上のように、仮に回転軸19より上方開口部12a側にも破砕部23を筒状の経路12に連結する構成とした場合には、微細化された水滴が破砕部23で再液化しやすくなるが、本実施の形態においては、上方開口部12aに対応する下方部分を破砕部23の筒状の経路12への非連結部28としているので、上方開口部12a付近での微細化粒子の再液化を防止することができる。
【0072】
つまり、本実施形態では、上述のとおり、筒状の経路12外周面の上方に形成した上方開口部12aに対応する下方部分は、複数の破砕部23を設けない非連結部28としているので、微細化水滴の再液化を抑えて微細化効率を向上することができる。
【0073】
一方、複数の破砕部23の非連結部28外周の筒状の経路12の内周部分は、複数の破砕部23の筒状の経路12の内壁への連結部29とし、この連結部29において複数の破砕部23を、略等間隔に連結するように構成しているので、回転板20a〜20cの遠心力で飛散した水滴は、回転板20a〜20cの外周に沿って略均等に配置された複数の破砕部23の衝突面27に衝突することとなり、この結果、効果的に水の微細化が促進される。
【0074】
以上、本実施の形態では、上記の液体微細化装置3をサウナ室1に設置してサウナ装置として利用した場合、高速回転の遠心力によって回転板20a〜20cの外周縁から回転板20a〜20cの接線方向(図4のA)に放散され、複数の破砕部23の衝突面27に対して略直角に衝突して破砕させることにより、効果的に水を微細化することができるので、結果として水の微細化効率を高めることが可能となる。
【0075】
そして、筒状の経路12内の破砕部23の筒状の経路12への非連結部28には破砕部23を筒状の経路12に連結していないので、上方開口部12a付近での微細化粒子の再液化を防止することができる。
【0076】
なお、揚水管22を回転板20a、20b、20cと同じ回転モータ21で回転させることにより、貯水部26に溜まった水を吸上げるとともに、吸上げた水を上方の回転板20a(20b)と下方の回転板20b(20c)の間に水平方向に長い開口により回転板20b(20c)に供給でき、結果として、揚水管22がポンプの循環の役目と回転板20b(20c)への水供給を兼ねており、簡単な構成で、水の循環と回転板20b(20c)への水供給を実現させることができる。
【0077】
さらに、吸上げた水を上方の回転板20a(20b)と下方の回転板20b(20c)の間に設けた水平方向に長い開口(図示せず)から噴出し環状に設けた当て板24に当て落下させることにより回転板20b(20c)に供給できるため、供給した水をほぼ完全に微細化することができ、貯水部26にわずかに残った微細化できなかった水を特別に排出せずとも、サウナ運転終了後の乾燥運転によって乾燥できるので、微細化できなかった水を排水として処理するための配管施工の工事が不要となり、結果として、サウナ装置の施工作業が簡単になるという効果をも奏する。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上のように、本発明は、吸込口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内の前記吸込口と前記排気口を結ぶ風路に設けた加熱手段および送風手段と、この送風手段と前記排気口間の風路内に設けた液体微細化手段とを備え、前記液体微細化手段は、垂直方向に配置され、上方開口部および下方開口部を有する筒状の経路と、この筒状の経路内に設けた回転手段と、この回転手段に液体を供給する液体供給手段と、前記筒状の経路の下部に設けた貯水部とを有し、前記回転手段は、上下方向に向けて配置した回転軸と、この回転軸を回転させる回転モータと、前記回転軸に固定されるとともに前記貯水部から水を吸上げる揚水管と、この揚水管の外面の、前記回転軸の軸方向に所定間隔で固定された複数の回転板とを有し、前記液体供給手段は、液体を移送する給水管と、この給水管途中に配した給水弁とを有し、前記送風手段は、羽根車と、この羽根車を回転させるファンモータと、前記羽根車を内包するファンケーシングとを有し、前記揚水管は、逆円錐形状で、上方の回転板と下方の回転板の間に水平方向に長い開口(スリット)を有し、吸上げた水をこの開口から外周方向へ噴出し、前記開口の外側周囲には、前記筒状の経路に支持された環状の当て板を設け、前記複数の回転板の外周には、前記筒状の経路に連結された破砕部を設け、前記破砕部は、前記回転軸に向けて突出する前記複数の回転板の回転方向に対向する面が前記複数の回転板の接線方向に対して略直交する衝突面を構成としたので、液体微細化の効率を向上することができる。
【0079】
また、従来必要であった排水経路の設置工事が不要となって工事性が良好となり、サウナ室内の美観も保てるものとなる。
【0080】
したがって、例えば、サウナ装置、加湿装置、冷却装置、噴霧装置、洗浄装置、植物育成設備等への活用が期待される。また、水だけでなく、油や洗剤等のその他の液体の微細化設備にも利用することが可能である。
【符号の説明】
【0081】
3 液体微細化装置
4 吸込口
5 排気口
6 本体ケース
7 熱交換器
8 ファンモータ
9 液体微細化手段
10 ファンケーシング
11 補助熱交換器
12 筒状の経路
12a 上方開口部
12b 下方開口部
13 回転手段
14 給水管
15 定流量弁
16 上流側配管
17 給水弁
19 回転軸
20a、20b、20c 回転板
21 回転モータ
22 揚水管
23 破砕部
24 当て板
25 支持棒
26 貯水部
27 衝突面
28 非連結部
29 連結部
30 膨出部
31 パイプ
32 配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内の前記吸込口と前記排気口を結ぶ風路に設けた加熱手段および送風手段と、この送風手段と前記排気口間の風路内に設けた液体微細化手段とを備え、前記液体微細化手段は、垂直方向に配置され、上方開口部および下方開口部を有する筒状の経路と、この筒状の経路内に設けた回転手段と、この回転手段に液体を供給する液体供給手段と、前記筒状の経路の下部に設けた貯水部とを有し、前記回転手段は、上下方向に向けて配置した回転軸と、この回転軸を回転させる回転モータと、前記回転軸に固定されるとともに前記貯水部から水を吸上げる揚水管と、この揚水管の外面の、前記回転軸の軸方向に所定間隔で固定された複数の回転板とを有し、前記液体供給手段は、液体を移送する給水管と、この給水管途中に配した給水弁とを有し、前記送風手段は、羽根車と、この羽根車を回転させるファンモータと、前記羽根車を内包するファンケーシングとを有し、前記揚水管は、逆円錐形状で、上方の回転板と下方の回転板の間に水平方向に長い開口(スリット)を有し、吸上げた水をこの開口から外周方向へ噴出させ、前記開口の外側周囲には、前記筒状の経路に支持された環状の当て板を設け、前記複数の回転板の外周には、前記筒状の経路に連結された破砕部を設け、前記破砕部は、前記回転軸に向けて突出する前記複数の回転板の回転方向に対向する面が前記複数の回転板の接線方向に対して略直交する衝突面を構成した液体微細化装置。
【請求項2】
前記筒状の経路は、前記筒状の経路の内壁と、前記破砕部と、前記複数の回転板との隙間を前記下方開口部から前記上方開口部へ向かって通風する構成とした請求項1に記載の液体微細化装置。
【請求項3】
前記破砕部と前記環状の当て板を一体に構成した請求項1または2に記載の液体微細化装置。
【請求項4】
前記上方開口部は、前記筒状の経路内の前記上方の回転板よりも上部で、前記筒状の経路の外周面の一部に形成し、前記上方開口部に対応する前記筒状の経路の下方部分は、前記破砕部の非連結部とし、この非連結部外周の前記筒状の経路の内周部分は、前記破砕部の連結部とした請求項1から3のいずれか一つに記載の液体微細化装置。
【請求項5】
前記破砕部は、前記複数の回転板の外周に沿って前記連結部に連結した請求項4に記載の液体微細化装置。
【請求項6】
前記破砕部は、前記複数の回転板の外周に略等間隔に前記連結部に連結した請求項4または5に記載の液体微細化装置。
【請求項7】
前記筒状の経路の前記非連結部の前記上方開口部の下縁部を略直線状に形成した請求項4から6のいずれか一つに記載の液体微細化装置。
【請求項8】
前記筒状の経路の前記非連結部は、前記筒状の経路の下部まで前記破砕部の非連結部とした請求項4から7のいずれか一つに記載の液体微細化装置。
【請求項9】
前記筒状の経路の前記非連結部と前記連結部との接続部分を外方に膨出させた膨出部を形成した請求項4から8のいずれか一つに記載の液体微細化装置。
【請求項10】
補助加熱手段を液体微細化手段の筒状の経路の上方開口部と排気口との間に設けたことを特徴とする請求項1から9のいずれか一つに記載の液体微細化装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一つに記載の液体微細化装置をサウナ室の天井に設けたサウナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−120974(P2012−120974A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273162(P2010−273162)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】