説明

液体抵抗器冷却装置

【課題】万が一熱交換器において液体抵抗器の液体(電解液)が冷却液(冷却水)に混ざっても、この液体が混ざった冷却液が配給されてしまうのを防止することができる液体抵抗器冷却装置を提供する。
【解決手段】電解液循環ポンプ40と、第1のプレート式熱交換器41と、第1の冷却水循環ポンプ42と、水道水(第1の冷却水)を貯留する冷却液タンク43と、第2の冷却水循環ポンプ44と、第2のプレート式熱交換器45と、第3の冷却水循環ポンプ46とを備えることにより、液体抵抗器31の電解液を、浄水池80の浄水(第2の冷却水)で直接冷却するのではなく、第1のプレート式熱交換器41と第2のプレート式熱交換器45の間に設けた冷却水タンク43の水道水(第1の冷却水)を介して間接的に冷却する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体抵抗器の液体を冷却して当該液体の温度上昇を抑えるための液体抵抗器冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体抵抗器を巻線形電動機の速度制御用等の用途に使用する場合、当該液体抵抗器の電解液は連続通電状態となるため、特に何も対策を施さない限り、温度が上昇し続けてしまう。
【0003】
よって、かかる用途に液体抵抗器を使用する場合には、電解液の温度上昇を抑えるための熱交換器が必要になる。この場合、現在では液体抵抗器とは別置きのプレート式熱交換器を備えることが主流となっている。
【0004】
図3にはプレート式熱交換器の構成を示す。同図に示すように、プレート式熱交換器1は上部に電解液入口2と外部冷却水出口3を有し、下部に電解液出口4と外部冷却水入口5を有している。図示は省略するが、プレート式熱交換器1の内部構造は、複数枚のプレート(金属の伝熱板)をパッキンやガスケットなどのシール材を間に挟んで重ね合わせことによって各プレート間に隙間が形成され、これらの隙間が交互に電解液流路と冷却水流路とになっている構造のものである。かかる構造のプレート式熱交換器1では、使用環境にもよるが、電解液を冷却するために毎分数百リットル程度の外部冷却水を必要とする。
【0005】
図4にはプレート式熱交換器を用いた従来の液体抵抗器冷却装置の構成を示し、図5にはプレート式熱交換器を用いた従来の他の液体抵抗器冷却装置の構成を示す。これらの図4及び図5に示すように、液体抵抗器11は上部に操作機構12を有し、下部に電解液タンク13を有する構成となっている。図示は省略するが、電解液タンク13の内部には電解液が貯留されており、この電解液中に電極が設けられている。
【0006】
そして、図4に示す液体抵抗器冷却装置では、プレート式熱交換器1の電解液入口2が、配管16を介して、電解液タンク13の上部に設けられた電解液出口14に接続され、且つ、プレート式熱交換器1の電解液出口14が、他の配管17を介して、電解液タンクの下部に設けられた電解液入口14に接続された構成となっている。また、配管16には液体循環ポンプ18が設けられている。従って、図4中に点線Aで示す如く電解液タンク13の電解液は、液体循環ポンプ18により、電解液タンク13とプレート式熱交換器1との間で循環する。
【0007】
一方、プレート式熱交換器1の外部冷却水入口5には冷却水供給用の配管(図示省略)が接続され、プレート式熱交換器1の外部冷却水出口3には冷却水排出用の配管(図示省略)が接続されている。従って、図4中に点線Bで示す如く外部冷却水は、外部冷却水入口5からプレート式熱交換器1内に供給され、冷却水流路を流通した後、外部冷却水出口3からプレート式熱交換器1外へ排出される。
【0008】
しかし、この液体抵抗器冷却装置では、冷却水が単に外部冷却水出口3から排出されるだけ(流しっぱなし)であるため、何らかの処置を施さない限り、冷却水を廃棄することとなる。このため、海水や河川水を冷却水として利用できる環境では特に問題は起きないが、このようないわゆる無料の水が利用できずに水道水のような有料の水を冷却水として使用しなければならない環境では、上記の如く毎分数百リットルもの水道水を無駄にしてしまうことになる。
【0009】
このような冷却水の無駄はクーリングタワー等の冷却水循環が可能な機器を用いる等の処置を施すことによって解決することができる。しかし、この場合にはクーリングタワー等の機器の設置する場所の確保や排熱等の新たな問題が生じる。
【0010】
そこで、クーリングタワー等の機器を要しない液体抵抗器冷却装置として、例えば図5に示すような方式の液体抵抗器冷却装置が採用される場合がある。即ち、液体抵抗器を適用する電動機が浄水場の取水ポンプ用電動機である場合、図5のように浄水池21の浄水(水道水)を冷却水として利用する場合がある。
【0011】
図5に示す液体抵抗器冷却装置では、プレート式熱交換器1の外部冷却水入口5に配管(図示省略)の一端側が接続され、プレート式熱交換器1の外部冷却水出口3にも他の配管(図示省略)の一端側が接続されている。そして、これらの配管の他端側は、浄水場の浄水池21内に設けられている。
【0012】
従って、本液体抵抗器冷却装置では、浄水池21内に貯留されている浄水(水道水)が、前記配管に設けられた冷却水循環ポンプ(図示省略)によって、図5中に点線Cで示す如く浄水池21とプレート式熱交換器1との間で循環することにより、冷却水として利用される。なお、本液体抵抗器冷却装置のその他の構成については図4の液体抵抗器冷却装置と同様である。本液体抵抗器冷却装置では浄水池21の浄水(水道水)を循環させて冷却水として利用するため、冷却水が無駄にならず、クーリングタワー等の機器の設置場所の確保や排熱等の問題もない。
【0013】
【特許文献1】特開2000−235906号公報
【特許文献2】特開平11−074103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、図5の液体抵抗器冷却装置では、プレート式熱交換器1において電解液が冷却水(水道水)に混ざってしまうという不具合を招くことが考えられる。即ち、プレート式熱交換器1の内部構造では、通常、電解液と冷却水が混ざることはないが、プレートの損傷やプレート間のシール材の劣化等によって万が一電解液流路側から冷却材流路側へ電解液が漏れた場合には、当該電解液が冷却水(水道水)に混ざってしまう。この場合、微量ではあるが重金属を含んだ電解液が、水道水とともに配給されてしまうことが考えられる。
【0015】
従って、本発明は上記の事情に鑑み、万が一熱交換器において液体抵抗器の液体(電解液)が冷却液(冷却水)に混ざっても、この液体が混ざった冷却液が配給されてしまうのを防止することができる液体抵抗器冷却装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決する第1発明の液体抵抗器冷却装置は、液体抵抗器の液体を冷却するための液体抵抗器冷却装置であって、
液体循環ポンプと、第1の熱交換器と、第1の冷却液循環ポンプと、第1の冷却液が貯留された冷却液タンクと、第2の冷却液循環ポンプと、第2の熱交換器とを有し、
前記液体循環ポンプでは、前記液体抵抗器と前記第1熱交換器との間で前記液体抵抗器の液体を循環させ、
前記第1の冷却液循環ポンプでは、前記第1の熱交換器と前記冷却液タンクとの間で前記第1の冷却液を循環させ、
前記第2の冷却液循環ポンプでは、前記冷却液タンクと前記第2の熱交換器との間で前記第1の冷却液を循環させ、
前記第1の熱交換器では、前記液体循環ポンプで循環される前記液体抵抗器の液体と、前記第1の冷却液循環ポンプで循環される前記第1の冷却液との熱交換を行って、前記液体抵抗器の液体を冷却し、
前記第2の熱交換器では、前記第2の冷却液循環ポンプで循環される前記第1の冷却液と、前記第2の熱交換器に供給される第2の冷却液との熱交換を行って、前記第1の冷却液を冷却する構成としたことを特徴とする。
【0017】
また、第2発明の液体抵抗器冷却装置は、第1発明の液体抵抗器冷却装置において、
第3の冷却液循環ポンプを有し、
前記第2の冷却液は、前記第3の冷却液循環ポンプにより、前記第2の熱交換器と前記第2の冷却液が貯留された冷却液貯留部との間で循環させる構成としたことを特徴とする。
【0018】
また、第3発明の液体抵抗器冷却装置は、第1又は第2発明の液体抵抗器冷却装置において、
前記第1の冷却液と前記第2の冷却液は同種のものであることを特徴とする。
【0019】
また、第4発明の液体抵抗器冷却装置は、第1〜第3発明の何れかの液体抵抗器冷却装置において、
前記液体抵抗器の液体と前記第1の冷却液との混合を検知する混合検知センサを、前記冷却液タンクに設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
第1発明の液体抵抗器冷却装置パイプによれば、液体循環ポンプと、第1の熱交換器と、第1の冷却液循環ポンプと、第1の冷却液が貯留された冷却液タンクと、第2の冷却液循環ポンプと、第2の熱交換器とを有し、前記液体循環ポンプでは、前記液体抵抗器と前記第1熱交換器との間で前記液体抵抗器の液体を循環させ、前記第1の冷却液循環ポンプでは、前記第1の熱交換器と前記冷却液タンクとの間で前記第1の冷却液を循環させ、前記第2の冷却液循環ポンプでは、前記冷却液タンクと前記第2の熱交換器との間で前記第1の冷却液を循環させ、前記第1の熱交換器では、前記液体循環ポンプで循環される前記液体抵抗器の液体と、前記第1の冷却液循環ポンプで循環される前記第1の冷却液との熱交換を行って、前記液体抵抗器の液体を冷却し、前記第2の熱交換器では、前記第2の冷却液循環ポンプで循環される前記第1の冷却液と、前記第2の熱交換器に供給される第2の冷却液との熱交換を行って、前記第1の冷却液を冷却する構成としたことを特徴とするため、液体抵抗器の液体を、第2の冷却液で直接冷却するのではなく、第1の熱交換器と第2の熱交換器の間に設けた冷却液タンクの第1の冷却液を介して間接的に冷却するため、万が一第1の熱交換器における破損や劣化などの不具合によって液体抵抗器の液体が漏れても、この漏れた液体は第1の冷却液に混ざるだけであり、第2の冷却液に混ざることはない。従って、例えば第2の冷却液として水道水を用いたとしても、この水道水に前記液体が混ざった状態で配給されてしまうおそれはない。
【0021】
また、第2発明の液体抵抗器冷却装置によれば、第3の冷却液循環ポンプを有し、前記第2の冷却液は、前記第3の冷却液循環ポンプにより、前記第2の熱交換器と前記第2の冷却液が貯留された冷却液貯留部との間で循環させる構成としたことを特徴とするため、第2の冷却水が無駄にならず、クーリングタワー等の機器の設置場所の確保や排熱等の問題もなく、しかも、万が一第1の熱交換器における破損や劣化などの不具合によって液体抵抗器の液体が漏れても、この漏れた液体が第2の冷却液に混ざることはない。特に、第1の冷却液が第2の冷却液に混ざっても支承のないものであれば、例えば前記冷却液貯留部が浄水場の浄水池であり、この浄水池の浄水(水道水)を第2の冷却液として利用した場合でも、当該水道水を無駄なく、且つ、安全に利用することができる。
【0022】
また、第3発明の液体抵抗器冷却装置によれば、前記第1の冷却液と前記第2の冷却液は同種のものであることを特徴とするため、万が一第2の熱交換器における破損や劣化などの不具合によって第1の冷却液が漏れて第2の冷却液に混ざっても、第2の冷却液の液質を変えてしまうおそれがない。従って、例えば水道水などを第2の冷却液として、安全に利用することができる。
【0023】
また、第4発明の液体抵抗器冷却装置によれば、前記液体抵抗器の液体と前記第1の冷却液との混合を検知する混合検知センサを、前記冷却液タンクに設けたことを特徴とするため、万が一第1の熱交換器における破損や劣化などの不具合により液体抵抗器の液体が漏れて第1の冷却液に混ざっても、これらの混合を前記混合検知センサで検知するため、前記液体の漏洩を知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づき詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明の実施の形態例に係る液体抵抗器冷却装置の構成図(正面図)、図2は図1のD方向矢視図(上面図)である。
【0026】
これらの図1及び図2に示す液体抵抗器冷却装置は、液体抵抗器31を、浄水場における取水ポンプ用の巻線形電動機の速度制御に適用した場合の例である。
【0027】
図1及び図2に示すように、液体抵抗器31は上部に操作機構32を有し、下部に電解液タンク33を有する構成となっている。図示は省略するが、電解液タンク13の内部には電解液が貯留されており、この電解液中に電極が設けられている。また、電解液タンク33の上部には電解液出口34、電解液を電解液タンク33内に注入するための注液排気口35、液面計36及びダイヤル温度計37が設けられ、電解液タンク33の下部には電解液入口38及び廃液バルブ39が設けられている。液面計36は電解液タンク33内の電解液の液位を計測して、規定液位が確保されているか否かを管理するためのものである。電解液タンク33内の電解液量が減少した場合には、注液排気口35から電解液タンク33内に電解液を注入して補充する。
【0028】
そして、本実施の形態例の液体抵抗器冷却装置は、電解液循環ポンプ40(液体循環ポンプ)と、第1のプレート式熱交換器41(第1の熱交換器)と、第1の冷却水循環ポンプ42(第1の冷却液循環ポンプ)と、冷却水タンク43(冷却液タンク)と、第2の冷却水循環ポンプ44(第2の冷却液循環ポンプ)と、第2のプレート式熱交換器45(第2の熱交換器)と、第3の冷却水循環ポンプ46(第3の冷却液循環ポンプ)とを有している。
【0029】
第1のプレート式熱交換器41は図3に示すプレート式熱交換器1と同様の構成のものである。即ち、第1のプレート式熱交換器41は上部に電解液入口71と第1冷却水出口72を有し、下部に電解液出口73と第1冷却水入口74を有している。図示は省略するが、第1のプレート式熱交換器41の内部構造は、複数枚のプレート(金属の伝熱板)をパッキンやガスケットなどのシール材を間に挟んで重ね合わせことによって各プレート間に隙間が形成され、これらの隙間が交互に電解液流路と第1冷却水流路とになっている構造のものである。
【0030】
第1のプレート式熱交換器41の電解液入口71は、配管47を介して電解液タンク33の電解液出口34に接続され、第1のプレート式熱交換器41の電解液出口73は、他の配管48を介して電解液タンク33の電解液入口38に接続されている。配管47には液体循環ポンプ40及び仕切弁81が設けられている。従って、図1中に点線Eで示す如く電解液タンク33の電解液は、液体循環ポンプ40により、電解液タンク13と第1のプレート式熱交換器41との間で循環する。このとき第1のプレート式熱交換器41では電解液が、電解液入口71からプレート式熱交換器41内に流入し、電解液流路を流通した後、電解液出口73から流出する。
【0031】
冷却水タンク43の内部には第1の冷却液(第1の冷却水)としての水道水が貯留されている。冷却水タンク43の上部には第1冷却水入口51、第1冷却水入口56、水道水を冷却水タンク43内に注入するための注水排気口53、水面計54及びダイヤル温度計55が設けられ、冷却水タンク43の下部には第1冷却水出口52、第1冷却水出口57及び廃水バルブ62が設けられている。冷却水タンク43の水道水は一度注水排気口53から注入すれば入れ換える必要はなく、当該水道水の水位を水面計54で計測して規定水位が確保されているか否かを管理する程度でよい。冷却水タンク43内の水量が減少した場合には、注水排気口53から冷却水タンク43内に水道水を注入して補充する。
【0032】
また、冷却水タンク43には混合検知センサとしてのイオン濃度計63が設けられている。このイオン濃度計63では冷却水タンク43の水道水中のイオン濃度を検出する。
【0033】
なお、図示例の冷却水タンク43は液体抵抗器の電解液タンク(電極や上部操作機構を除いた物)を利用しているが、勿論、これに限定するものではなく、その他のタンクを冷却水タンク43として利用してもよい。
【0034】
また、第1のプレート式熱交換器41の第1冷却水出口72と冷却水タンク43の第1冷却水入口51は配管49を介して接続され、第1のプレート式熱交換器41の第1冷却水入口74と冷却水タンク43の第1冷却水出口52は他の配管50を介して接続されている。配管49には第1の冷却水循環ポンプ42が設けられ、配管50には仕切弁79が設けられている。従って、図1中に点線Fで示す如く冷却水タンク43の水道水(第1の冷却水)は、第1の冷却水循環ポンプ42により、第1のプレート式熱交換器41と冷却水タンク43との間で循環する。このとき第1のプレート式熱交換器41では水道水(第1の冷却水)が、第1冷却水入口74からプレート式熱交換器41内に流入し、第1冷却水流路を流通した後、第1冷却水出口72から流出する。
【0035】
そして、第1のプレート式熱交換器41では、電解液循環ポンプ40によって循環される電解液と、第1の冷却水循環ポンプ42によって循環される水道水(第1の冷却水)との熱交換を行って、前記電解液を冷却する。
【0036】
第2のプレート式熱交換器45も図3に示すプレート式熱交換器1と同様の構成のものである。即ち、第2のプレート式熱交換器45は上部に第1冷却水出口75と第2冷却水出口76を有し、下部に第1冷却水入口77と第2冷却水入口78を有している。図示は省略するが、第1のプレート式熱交換器45の内部構造は、複数枚のプレート(金属の伝熱板)をパッキンやガスケットなどのシール材を間に挟んで重ね合わせことによって各プレート間に隙間が形成され、これらの隙間が交互に第1冷却水流路と第2冷却水流路とになっている構造のものである。
【0037】
冷却水タンク43の第1冷却水入口56と第2のプレート式熱交換器45の第1冷却水出口75は配管58を介して接続され、冷却水タンク43の第1冷却水出口57と第2のプレート式熱交換器45の第1冷却水入口59は他の配管59を介して接続されている。配管58には第2の冷却水循環ポンプ44及び仕切弁82が設けられている。従って、図1中に点線Gで示す如く冷却水タンク43の水道水(第1の冷却水)は、第2の冷却水循環ポンプ44により、冷却水タンク43と第2のプレート式熱交換器45との間で循環する。このとき第2のプレート式熱交換器45では水道水(第1の冷却水)が、第1冷却水入口77からプレート式熱交換器45内に流入し、第1冷却水流路を流通した後、第1冷却水出口75から流出する。
【0038】
また、第2のプレート式熱交換器45の第2冷却水入口78には配管61の一端側が接続され、第2のプレート式熱交換器45の第2冷却水出口76には他の配管60が接続されている。これらの配管60,61の他端側は、浄水場の浄水池80内に設けられている。配管61には第3の冷却水循環ポンプ46が設けられている。従って、浄水池80内に貯留されている浄水(水道水)が、第3の冷却水循環ポンプ46により、図1中に点線Hで示す如く浄水池80と第2のプレート式熱交換器45との間で循環し、第2の冷却水(第2の冷却液)として利用される。
【0039】
以上のように、本実施の形態例の液体抵抗器冷却装置によれば、電解液循環ポンプ40と、第1のプレート式熱交換器41と、第1の冷却水循環ポンプ42と、水道水(第1の冷却水)が貯留された冷却液タンク43と、第2の冷却水循環ポンプ44と、第2のプレート式熱交換器45とを有し、電解液循環ポンプ40では、液体抵抗器31と第1のプレート式熱交換器41との間で液体抵抗器31の電解液を循環させ、第1の冷却水循環ポンプ42では、第1のプレート式熱交換器41と冷却水タンク43との間で水道水(第1の冷却水)を循環させ、第2の冷却水循環ポンプ44では、冷却水タンク43と第2のプレート式熱交換器45との間で水道水(第1の冷却水)を循環させ、第1のプレート式熱交換器41では、電解液循環ポンプ40で循環される液体抵抗器31の電解液と、第1の冷却水循環ポンプ42で循環される水道水(第1の冷却水)との熱交換を行って、液体抵抗器31の電解液を冷却し、第2のプレート式熱交換器45では、第2の冷却水循環ポンプ44で循環される水道水(第1の冷却水)と、第2のプレート式熱交換器45に供給される浄水池80の水道水(第2の冷却水)との熱交換を行って、前記水道水(第1の冷却水)を冷却する構成としたことを特徴とするため、液体抵抗器31の電解液を、浄水池80の浄水(第2の冷却水)で直接冷却するのではなく、第1のプレート式熱交換器41と第2のプレート式熱交換器45の間に設けた冷却水タンク43の水道水(第1の冷却水)を介して間接的に冷却するため、万が一第1のプレート式熱交換器41のプレートの損傷やシール材の劣化等によって液体抵抗器31の電解液が漏れても、この漏れた電解液は冷却水タンク43の水道水(第1の冷却水)に混ざるだけであり、浄水池80の浄水(第2の冷却水)に混ざることはない。従って、浄水池80の浄水(水道水)に電解液が混ざった状態で配給されてしまうおそれはない。
【0040】
また、本実施の形態例の液体抵抗器冷却装置によれば、第3の冷却水循環ポンプ46を有し、浄水池80の浄水(第2の冷却水)は、第3の冷却水循環ポンプ46により、第2のプレート式熱交換器45と浄水池80(冷却液貯留部)との間で循環させる構成としたことを特徴とするため、浄水池80の浄水(第2の冷却水)が無駄にならず、クーリングタワー等の機器の設置場所の確保や排熱等の問題もない。しかも、万が一第1のプレート式熱交換器41のプレートの損傷やシール材の劣化等によって液体抵抗器31の電解液が漏れても、この漏れた液体が第2の冷却液に混ざることはないため、浄水池80の浄水(水道水)を無駄なく、且つ、安全に利用することができる。
【0041】
また、本実施の形態例の液体抵抗器冷却装置によれば、第1の冷却水と第2の冷却水が同種のもの(即ち同じ水道水)であることを特徴とするため、万が一第2のプレート式熱交換器45のプレートの損傷やシール材の劣化等によって第1の冷却水が漏れて第2の冷却水に混ざっても、特に支承はなく、第2の冷却水の水質を変えてしまうおそれがない。従って、浄水池80の浄水(水道水)を第2の冷却液として、安全に利用することができる。
【0042】
また、本実施の形態例の液体抵抗器冷却装置によれば、液体抵抗器31の電解液と第1の冷却水との混合を検知するイオン濃度計63を、冷却水タンク43に設けたことを特徴とするため、万が一第1のプレート式熱交換器41のプレートの損傷やシール材の劣化等により液体抵抗器31の電解液が漏れて第1の冷却水に混ざっても、これらの混合をイオン濃度計63で検知するため、前記電解液の漏洩を知ることができる。しかも、従来のようにプレート式熱交換器が1台の場合にはイオン濃度計で電解液と浄水(水道水)の混合を検知したとしても、この電解液が混ざった水道水が浄水池に流れ込んで配給されてしまうのを防止することができない。これに対して、本実施の形態例の場合にはイオン濃度計63で電解液と第1の冷却水の混合を検知した時点で浄水池80の浄水(水道水)の配給を停止すれることができるため、確実に事故の拡大を防止することができる。但し、第1の冷却液と第2の冷却液は同じ水道水であるため、これらの混合を検知して第2のプレート式熱交換器45のプレートの損傷やシール材の劣化等を検知することはできないため、第2のプレート式熱交換器45については頻繁に定期点検を行う必要がある。
【0043】
なお、ここでは液体抵抗器31が強アルカリ性であるため、混合検知センサとしてイオン濃度計を用いたが、これに限定するものではなく、液体抵抗器の液体と第1の冷却液の混合を検知することができるセンサ、即ち、2流体の違いが識別できるセンサであればよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は液体抵抗器冷却装置に関し、例えば浄水池の浄水(水道水)などを冷却水として利用する場合に適用して有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態例に係る液体抵抗器冷却装置の構成図(正面図)である。
【図2】図1のD方向矢視図(上面図)である。
【図3】プレート式熱交換器の構成図である。
【図4】プレート式熱交換器を用いた従来の液体抵抗器冷却装置の構成図である。
【図5】プレート式熱交換器を用いた従来の他の液体抵抗器冷却装置の構成図である。
【符号の説明】
【0046】
31 液体抵抗器
32 上部操作機構
33 電解液タンク
34 電解液出口
35 注液排気口
36 液面計
37 ダイヤル温度計
38 電解液入口
39 廃液バルブ
40 電解液循環ポンプ
41 第1のプレート式熱交換器
42 第1の冷却水循環ポンプ
43 冷却水タンク
44 第2の冷却水循環ポンプ
45 第2のプレート式熱交換器
46 第3の冷却水循環ポンプ
47,48,49,50 配管
51 第1冷却水入口
52 第1冷却水出口
53 注水排気口
54 水面計
55 ダイヤル温度計
56 第1冷却水入口
57 第1冷却水出口
58,59,60,61 配管
62 廃水バルブ
63 イオン濃度計
71 電解液入口
72 第1冷却水出口
73 電解液出口
74 第1冷却水入口
75 第1冷却水出口
76 第2冷却水出口
77 第1冷却水入口
78 第2冷却水入口
79 仕切弁
80 浄水池
81,82 仕切弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体抵抗器の液体を冷却するための液体抵抗器冷却装置であって、
液体循環ポンプと、第1の熱交換器と、第1の冷却液循環ポンプと、第1の冷却液が貯留された冷却液タンクと、第2の冷却液循環ポンプと、第2の熱交換器とを有し、
前記液体循環ポンプでは、前記液体抵抗器と前記第1熱交換器との間で前記液体抵抗器の液体を循環させ、
前記第1の冷却液循環ポンプでは、前記第1の熱交換器と前記冷却液タンクとの間で前記第1の冷却液を循環させ、
前記第2の冷却液循環ポンプでは、前記冷却液タンクと前記第2の熱交換器との間で前記第1の冷却液を循環させ、
前記第1の熱交換器では、前記液体循環ポンプで循環される前記液体抵抗器の液体と、前記第1の冷却液循環ポンプで循環される前記第1の冷却液との熱交換を行って、前記液体抵抗器の液体を冷却し、
前記第2の熱交換器では、前記第2の冷却液循環ポンプで循環される前記第1の冷却液と、前記第2の熱交換器に供給される第2の冷却液との熱交換を行って、前記第1の冷却液を冷却する構成としたことを特徴とする液体抵抗器冷却装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体抵抗器冷却装置において、
第3の冷却液循環ポンプを有し、
前記第2の冷却液は、前記第3の冷却液循環ポンプにより、前記第2の熱交換器と前記第2の冷却液が貯留された冷却液貯留部との間で循環させる構成としたことを特徴とする液体抵抗器冷却装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液体抵抗器冷却装置において、
前記第1の冷却液と前記第2の冷却液は同種のものであることを特徴とする液体抵抗器冷却装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の液体抵抗器冷却装置において、
前記液体抵抗器の液体と前記第1の冷却液との混合を検知する混合検知センサを、前記冷却液タンクに設けたことを特徴とする液体抵抗器冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−235518(P2008−235518A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−72067(P2007−72067)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】