説明

液体提供装置

【課題】安全で、且つ、洗浄容易な液体収容装置を提供する。
【解決手段】ポーション容器3と、主容器4と、容器蓋7とを設け、容器蓋7を、ポーション容器3収容用の凹部空間8を形成する蓋本体9と、凹部空間8に対する着脱自在な閉止具12とから構成し、凹部空間8の底部20と主容器4の液体収容空間13とを連通する連通孔14を蓋本体9に形成し、加圧機構によるポーション容器3の圧縮操作に基づいて、容器本体1からシール蓋2の一部が剥がれて収容物を漏出可能にする剥離誘導部を、ポーション容器3に形成し、ポーション容器3を、その口部が凹部空間8の底部20に位置するように収容した状態で、剥離誘導部が連通孔14に臨む様に形成して、容器本体1と主容器4とを連通孔14を介して連通させる連通操作機構を構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体の口部にシール蓋を貼着して密封したポーション容器を設け、
前記ポーション容器を収容可能な凹部空間を備えるポーションホルダーを設け、
前記凹部空間とその下方に配置した液体受容部とを連通する連通孔を、前記ポーションホルダーにおける前記凹部空間の底部に形成し、
前記容器本体の収容空間と前記液体受容部とを前記連通孔を介して連通させる連通操作機構を設けてある液体提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前記液体提供装置は、前記ポーションホルダーの凹部空間に収容するポーション容器に穴を開けて前記容器本体の収容空間と前記液体受容部とを前記連通孔を介して連通させるスパイクを、ポーションホルダーに設けて、前記連通操作機構を構成してあるもの(例えば、特許文献1参照)や、ポーション容器の口部のシール蓋を破断させるカッターをポーションホルダーに設けて前記連通操作機構を構成してあるもの(例えば、特許文献2参照)があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−520298号公報
【特許文献2】特許4485869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の液体提供装置では、いずれもポーションホルダーにスパイクやカッターを設けて、それらが作動するための連通操作機構を構成するために複雑な構造になり、使用後の洗浄が困難で、且つ、スパイクやカッターにより手を傷つける虞があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、安全で、且つ、洗浄容易な液体提供装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴構成は、容器本体の口部にシール蓋を貼着して密封したポーション容器を設け、前記ポーション容器を収容可能な凹部空間を備えるポーションホルダーを設け、前記凹部空間とその下方に配置した液体受容部とを連通する連通孔を、前記ポーションホルダーにおける前記凹部空間の底部に形成し、前記容器本体の収容空間と前記液体受容部とを前記連通孔を介して連通させる連通操作機構を設けてある液体提供装置であって、前記連通操作機構を構成するのに、前記凹部空間に収容した前記ポーション容器を圧縮可能な加圧機構を設け、前記加圧機構による前記ポーション容器の圧縮操作に基づいて、前記容器本体から前記シール蓋の一部が剥がれて収容物を漏出可能にする剥離誘導部を、前記ポーション容器に形成し、前記ポーション容器を前記凹部空間に収容した状態で、前記剥離誘導部が前記底部側に位置して前記連通孔に臨む様に構成してあるところにある。
【0007】
本発明の第1の特徴構成によれば、液体受容部に主たる飲料用の液体を収容した状態で、ポーション容器をポーションホルダーの凹部空間に収容し、加圧機構を操作すれば、ポーション容器は加圧され、その加圧による容器本体内の内圧の上昇に基づく剥離誘導部の作用で容器本体からシール蓋の一部が剥がれ、ポーション容器内の収容物が漏出して連通孔を介して液体受容部に導出される。
つまり、ポーションホルダーには加圧機構を設けると共に連通孔を形成し、ポーション容器には、剥離誘導部を形成するだけの簡単な構造で、従来例のように、スパイクやカッター及びそれらを操作する機構などを設けなくとも、ポーション容器内の収容物を液体受容部の受容液体に混入できる。
従って、液体提供装置を洗浄しやすい簡単でシンプルな構造に形成できる。
よって、衛生的に使用することが可能となる。
【0008】
本発明の第2の特徴構成は、前記液体受容部を液体を収容可能な主容器によって構成し、前記ポーションホルダーを構成するのに、前記主容器に着脱自在な容器蓋を設けると共に、前記容器蓋を、前記凹部空間を形成する蓋本体と、前記凹部空間を閉じることができる着脱自在な閉止具とから構成し、前記加圧機構を前記蓋本体と前記閉止具との間に形成してあるところにある。
【0009】
本発明の第2の特徴構成によれば、液体受容部を構成する主容器に着脱自在な容器蓋に、凹部空間を形成する蓋本体を、凹部空間を着脱自在に閉じる閉止具とを設けることでポーションホルダーを構成し、しかも、蓋本体と閉止具との間に加圧機構を構成することにより、密閉した空間内で主容器内に提供できる液体を準備でき、いたって衛生的な液体提供装置を構成できる。
【0010】
本発明の第3の特徴構成は、前記容器本体は液体を収容するものであり、前記凹部空間の底部を、前記連通孔側ほど前記液体受容部に近づく傾斜面に形成してある
【0011】
本発明の第3の特徴構成によれば、ポーション容器を凹部空間に挿入させれば、凹部空間の底部が傾斜面に形成されているので、ポーション容器の口部がその傾斜面に沿った姿勢で収容され、剥離誘導部の作用により容器本体内の収容物が漏出される際には、傾斜面に沿ってスムーズに連通孔にその収容物が導かれ、液体受容部の収容液体と効率よく混ざり合う。
【0012】
本発明の第4の特徴構成は、前記容器本体を伸縮自在に形成してあるところにある。
【0013】
本発明の第4の特徴構成によれば、容器本体を伸縮自在に形成することにより、加圧機構によるポーション容器の加圧操作に基づいてそのポーション容器の内圧を上げ易くなり、剥離誘導部の作用を容易に期待できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)ポーション容器の平面図、(b)ポーション容器の斜視図、(c)ポーション容器の縦断側面図、(d)ポーション容器の側面図である。
【図2】液体収容装置の一部縦断側面図で、(a)は、ポーション容器内の収容物の漏出前の状態図、(b)は、ポーション容器内の収容物の漏出時の状態図ある。
【図3】(a)はポーション容器を収容した容器蓋の一部縦断面図、(b)は、容器蓋の底面図である。
【図4】別実施形態の一部縦断側面図で、(a)は、連通操作機構の操作前の状態図、(b)は、連通操作機構の操作時の状態図である。
【図5】ポーション容器の別実施形態を示し、(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図6】ポーション容器の別実施形態を示し、(a)は平面図、(b)は斜視図である。
【図7】ポーション容器の別実施形態を示し、(a)は平面図、(b)は斜視図、(c)は(a)における拡大c−c縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3に示すように、樹脂製の容器本体1の口部にアルミニウムラミネートフィルムなどの樹脂シートで成形されたシール蓋2を熱溶着などにより貼着して密封したポーション容器3を設け、液体受容部に、主飲料となる液体を収容可能な金属製の保温容器や樹脂製の断熱容器で形成された主容器4を設け、ポーションホルダーとして、主容器4の上端口部に形成した第1メネジ部5に着脱自在に螺合するに第1オネジ部6を設けた樹脂製の容器蓋7を設けると共に、容器蓋7を、ポーション容器3収容用の凹部空間8を形成する蓋本体9と、蓋本体9の第2メネジ部10に螺合する第2オネジ部11を設けて凹部空間8を閉じることができる着脱自在な閉止具12とから構成し、凹部空間8の底部20と主容器4の液体収容空間13とを連通する連通孔14を蓋本体9に形成し、容器本体1の収容空間15と主容器4の液体収容空間13とを連通孔14を介して連通させて、容器本体1内の収容物を連通孔14を介して主容器4内の空間に導入させる連通操作機構を設けて液体提供装置を構成してある。
【0016】
前記連通操作機構を構成するのに、凹部空間8に収容したポーション容器3を圧縮可能な加圧機構を蓋本体9と閉止具12との間に形成し、容器本体1に伸縮自在な蛇腹状の筒部16を形成すると共に、加圧機構によるポーション容器3の圧縮操作に基づいて、容器本体1からシール蓋2の一部が剥がれて(図2(a)→(b))収容物を漏出可能にする剥離誘導部19を、ポーション容器3に形成してある。
【0017】
つまり、凹部空間8の底部20にポーション容器3の口部が位置するようにポーション容器3を逆さに挿入して収容することにより、口部は蓋本体9内で支持され、閉止具12を蓋本体9に螺進させることにより、閉止具12の先端がポーション容器3の底部17を押圧するようにして加圧機構を構成してある。
また、ポーション容器3には、図1(a)〜(d)に示すように、容器本体1の口部に内側に突出する先鋭突出部18が形成され、加圧機構の操作に基づいて容器本体1が収縮しようとして、容器本体1内の内圧が上昇するとシール蓋2を外側へ押し開けようとする力が働き、先鋭突出部18からシール蓋2の一部が剥がれるように剥離誘導部19を形成してある。
【0018】
前記ポーション容器3を、その口部が凹部空間8の底部20に位置するように逆さに収容した状態で、剥離誘導部19が連通孔14に臨む様に形成してある(図2、図3)。
【0019】
例えば、主容器4には加温された湯を収容し、ポーション容器3には、濃縮スープを収容して、必要時に加圧機構の操作によりポーション容器3内の濃縮スープを湯に混入させて温かいスープを飲料できるようにしたり、主容器4にコーヒーを収容すると共に、ポーション容器3には、ミルクや砂糖などを収容しておいて、必要時にコーヒーにミルクや砂糖を混入させて飲めるようにすることができる。
【0020】
ポーション容器3は、蓋本体9に収容されているので、加圧操作によりポーション容器3内の内容物を主容器4内に混入させた後でも、蓋本体9にポーション容器3は保持される。これにより、開封後のポーション容器3は、主容器4の内部に手を直接入れなくても、蓋を取り外すことで簡単に取り外すことができる。
【0021】
また、前記凹部空間8の底部20を、連通孔14側ほど主容器4の液体収容空間13に近づく傾斜面に形成して、ポーション容器3の収容時にポーション容器3の口部が、傾斜面に沿うように、図1に示すように、ポーション容器3の口部の形状を傾斜面にして、その傾斜先端部に先鋭突出部18を形成してある。
従って、ポーション容器3を逆さにして凹部空間8に収容した時に、剥離誘導部19が連通孔14に臨むようになる。
【0022】
尚、図中の21は、弾性のゴムリングから成るシールリングで、第1メネジ部5と第1オネジ部6との間のシールや、第2メネジ部10と第2オネジ部11との間のシールを行って、本発明の液体提供装置を持ち運んでも内容液が漏れないようにしてある。
【0023】
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
【0024】
〈1〉 前記ポーション容器3には、液体以外に砂糖や調味料などの粉粒体を収容するようにしてあっても良い。
〈2〉 前記蓋本体9に対して閉止具12は、図4に示すように、ピストン式に摺動自在に内嵌するように構成して、閉止具12の下部先端に容器本体1の押圧部22を形成し、閉止具12の押し込み操作に基づいて、ポーション容器3を加圧する(図4(a)→(b))加圧機構を構成してあっても良い。
〈3〉 ポーション容器3は、図5(a)、(b)に示すように、先鋭突出部18を設けたその鍔部23の一部を径方向外方に延設して補強してあっても良い。
〈4〉 ポーション容器3は、図6(a)、(b)に示すように、先鋭突出部を設けずに、剥離誘導部19が、ポーション容器3が加圧されるとシール蓋2の一部が開封する構造であれば良い。例えば、シールが強い強接着部23Aと弱い弱接着部23Bとを設けて、ポーション容器3が加圧されるとシールの弱い弱接着部23Bから開封する構造や、図7(a)、(b)、(c)に示すように、レーザー等の照射によりシール蓋2の外側面に切り込み線28を設けて、シールの脆弱部を設けておき、加圧によりその脆弱部から開封するような構造でも良い。尚、シール蓋2は、一般的には外側からポリエステル樹脂(PET)層24と印刷層25、アルミニウム箔層26、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)層27からなる複数層のラミネートフィルムからなっている。
〈5〉 前記凹部空間8にポーション容器3を収容するのに、逆さ姿勢で収容する以外に、口部が横向き又は斜め下向きになるような姿勢で、剥離誘導部19が底部20側に位置するように配置して連通孔14に臨む様に構成してあっても良い。なお、この場合、加圧機構は、ポーション容器3に対して横方向から圧縮可能に形成しなければならない。
【0025】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0026】
1 容器本体
2 シール蓋
3 ポーション容器
4 主容器
7 容器蓋
8 凹部空間
9 蓋本体
12 閉止具
14 連通孔
19 剥離誘導部
20 底部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部にシール蓋を貼着して密封したポーション容器を設け、
前記ポーション容器を収容可能な凹部空間を備えるポーションホルダーを設け、
前記凹部空間とその下方に配置した液体受容部とを連通する連通孔を、前記ポーションホルダーにおける前記凹部空間の底部に形成し、
前記容器本体の収容空間と前記液体受容部とを前記連通孔を介して連通させる連通操作機構を設けてある液体提供装置であって、
前記連通操作機構を構成するのに、
前記凹部空間に収容した前記ポーション容器を圧縮可能な加圧機構を設け、
前記加圧機構による前記ポーション容器の圧縮操作に基づいて、前記容器本体から前記シール蓋の一部が剥がれて収容物を漏出可能にする剥離誘導部を、前記ポーション容器に形成し、
前記ポーション容器を前記凹部空間に収容した状態で、前記剥離誘導部が前記底部側に位置して前記連通孔に臨む様に構成してある液体提供装置。
【請求項2】
前記液体受容部を液体を収容可能な主容器によって構成し、
前記ポーションホルダーを構成するのに、前記主容器に着脱自在な容器蓋を設けると共に、
前記容器蓋を、前記凹部空間を形成する蓋本体と、
前記凹部空間を閉じることができる着脱自在な閉止具とから構成し、
前記加圧機構を前記蓋本体と前記閉止具との間に形成してある請求項1に記載の液体提供装置。
【請求項3】
前記容器本体は液体を収容するものであり、前記凹部空間の底部を、前記連通孔側ほど前記液体受容部に近づく傾斜面に形成してある1又は2に記載の液体提供装置。
【請求項4】
前記容器本体を伸縮自在に形成してある請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−135518(P2012−135518A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291009(P2010−291009)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(309007911)サントリーホールディングス株式会社 (307)
【Fターム(参考)】