説明

液体柔軟剤組成物

【課題】香料を配合していても凍結復元性の良好な柔軟剤組成物を提供すること。
【解決手段】下記(A)成分及び(B)成分を含有する液体柔軟剤組成物。
A成分:以下の(a)、(b)及び(c)の混合物:
(a):分子内にエステル基を1つ含む第4級アンモニウム塩;
(b):分子内にエステル基を2つ含む第4級アンモニウム塩;
(c):分子内にエステル基を3つ含む第4級アンモニウム塩;
ここで、(a)〜(c)は以下の質量比を満たす。
(a)/[(a)+(b)+(c)]=0.15〜0.98、
(b)/[(a)+(b)+(c)]=0.01〜0.6、
(c)/[(a)+(b)+(c)]=0.001〜0.3、
B 成分: 2,4−ジメチルー3−シクロヘキセニルカルボキシアルデヒド、ヘリオトロピン、フェニルエチルアルコール、エチルリナロール、カプロン酸アリル、ヘキシルアセテートから成る群から選ばれる3 種以上の香料を含有する香料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品に使用する液体柔軟剤組成物に関し、より詳しくは、優れた凍結復元性を有する液体柔軟剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、衣類を柔らかくするために、分子内に長鎖アルキル基を有する4 級アンモニウム塩や3 級アミンの酸塩などが用いられている。そして、最近では環境意識の高まりから、生分解性の良好な分子中にエステル基を有する上記4級アンモニウム塩や3級アミンの塩酸塩などが用いられるようになった。これらは、一般的に水に不溶で、水中ではベシクルなどの会合体を形成して分散しているため、良好な分散安定性を確保するのが難しく、例えば、凍結と溶解を繰り返したときに、会合状態の変化等によって、組成物の粘度が著しく増加する場合があった。
【0003】
一方、最近では、柔軟仕上げ剤に対して、柔軟性だけではなく、香りのよさや香りの持続性が求められており、香りの好みも多様化しているため、様々な香料組成物が配合されている。しかしながら、柔軟剤組成物に香料を配合した場合、保存安定性、特に凍結復元時の粘度安定性が損なわれる場合があった。
長鎖アルキル基を有する4級アンモニウム塩と香料を組み合わせた組成物に関しては、例えば特許文献1には、特定比率のモノエステル体、ジエステル体、トリエステル体の4級アンモニウム塩と特定香料を配合した柔軟剤組成物が開示されている。しかしながら、この組成物は防臭効果に優れるものの、組成物の凍結復元性に関する記載はない。また、特許文献2には、水不溶性の4級アンモニウム塩を特定溶剤で溶解させて香料を配合した柔軟剤組成物が開示されている。しかしながら、香料や色素の褪色に伴う色調安定性についての記載があるが、組成物の粘度安定性については、全く記載されておらず、さらに具体的香料成分に関する記載もない。また、特許文献3には、水不溶性の4級アンモニウム塩と香料を配合した凍結/融解回復性を改善した柔軟剤組成物が開示されている。しかしながら、この組成物は、4級アンモニウム塩と香料の配合方法によって上記課題を解決するとの記載があるが、香料成分の具体的な記載はなく、香料の種類によっては安定性が不十分となる場合があった。
【0004】
【特許文献1】特開2005−232637号公報
【特許文献2】特開2006−161299号公報
【特許文献3】特表平11−507419号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の課題は、香料を配合していても凍結復元性の良好な柔軟剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、下記(A)成分及び(B)成分を含有する液体柔軟剤組成物である。
A成分:以下の(a)、(b)及び(c)の混合物:
(a):分子内にエステル基を1つ含む第4級アンモニウム塩;
(b):分子内にエステル基を2つ含む第4級アンモニウム塩;
(c):分子内にエステル基を3つ含む第4級アンモニウム塩;
ここで、(a)〜(c)は以下の質量比を満たす。
(a)/[(a)+(b)+(c)]=0.15〜0.98、
(b)/[(a)+(b)+(c)]=0.01〜0.6、
(c)/[(a)+(b)+(c)]=0.001〜0.3、
B 成分: 2,4−ジメチルー3−シクロヘキセニルカルボキシアルデヒド、ヘリオトロピン、フェニルエチルアルコール、エチルリナロール、カプロン酸アリル、ヘキシルアセテートから成る群から選ばれる3 種以上の香料を含有する香料組成物。

【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、香料を配合しても優れた凍結復元性を有する液体柔軟剤組成物が得られる。本発明の組成物を衣類に使用した場合、良好な柔軟性を付与することができる。また、本発明の組成物を衣類に使用した場合、良好な香り立ちが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明で用いられる(A)成分は、以下の(a)、(b)及び(c)の混合物である。
(a):分子内にエステル基を1つ含む第4級アンモニウム塩;
(b):分子内にエステル基を2つ含む第4級アンモニウム塩;
(c):分子内にエステル基を3つ含む第4級アンモニウム塩;
ここで、(a)〜(c)は以下の質量比を満たす。
(a)/[(a)+(b)+(c)]=0.15〜0.98、
(b)/[(a)+(b)+(c)]=0.01〜0.6、
(c)/[(a)+(b)+(c)]=0.001〜0.3
(a)は、分子内にエステル基を1つ含む第4級アンモニウム塩であり、下記一般式(1)で示される。
【0009】
【化1】

【0010】
一般式(1)中、R1は総炭素数12〜26で、エステル基を1つ含む直鎖または分岐のアルキル基またはアルケニル基であり、R2はメチル基、エチル基または炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を表わす。X-は柔軟剤適合アニオンを示す。例えば、CH3SO4-、C2H5SO4-、Cl-、Br-等があげられる。一般式(1)中、R2は、互いに同一であっても、異なっていてもよい。(a)としては、以下の一般式(2)で表される化合物が好ましい。
【0011】
【化2】



【0012】
一般式(2)中、R3は直鎖または分岐の炭素数9〜23のアルキル基またはアルケニル基を表わす。R3としては、直鎖の炭素数13〜21のアルキル基またはアルケニル基が好ましい。具体的には、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸およびエライジン酸などの脂肪酸からカルボキシル基を除いた残基であることが好ましい。
本発明で用いられる(b)は、分子内にエステル基を2つ含む第4級アンモニウム塩であり、下記一般式(3)で示される。
【0013】
【化3】

【0014】
一般式(3)中、R1、R2及びX-は一般式(1)におけるのと同じ意味を表わす。R1は互いに同一であっても、異なっていてもよい。R2もまた互いに同一であっても、異なっていてもよい。(b)としては、以下の一般式(4)で表される化合物が好ましい。
【0015】
【化4】

【0016】
一般式(4)中、R3は一般式(2)におけるのと同じ意味を表わす。R3は互いに同一であっても、異なっていてもよい。一般式(4)において、R3としては、直鎖の炭素数13〜21のアルキル基またはアルケニル基が好ましい。具体的には、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸およびエライジン酸などの脂肪酸からカルボキシル基を除いた残基であることが好ましい。一般式(4)におけるR3は、一般式(2)におけるR3と、互いに同一であっても異なっていてもよい。
(c)成分は分子内にエステル基を3つ含む第4級アンモニウム塩であり、一般式(5)で示される。
【0017】
【化5】

【0018】
一般式(5)中、R1、R2及びX-は一般式(1)におけるのと同じ意味を表わす。R1は互いに同一であっても、異なっていてもよい。(c)としては、以下の一般式(6)で表される化合物が好ましい。
【0019】
【化6】

【0020】
一般式(6)中、R3は一般式(2)におけるのと同じ意味を表わす。R3は互いに同一であっても、異なっていてもよい。一般式(6)において、R3としては、直鎖の炭素数13〜21のアルキル基またはアルケニル基が好ましい。具体的には、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸およびエライジン酸などの脂肪酸からカルボキシル基を除いた残基であることが好ましい。一般式(6)におけるR3は、一般式(2)又は一般式(4)におけるR3と、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0021】
(a)〜(c)を構成するR3は、炭素数10〜24の脂肪酸からカルボキシル基を除いた残基であり、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、直鎖脂肪酸、分岐脂肪酸のいずれから誘導される基である。柔軟処理した衣類に良好な吸水性を付与するために、Rの不飽和比率が20wt%以上、特に40wt%以上であることが好ましい。不飽和脂肪酸の場合、シス体とトランス体が存在するが、その質量比率はシス/トランス=50/50〜100/0が好ましく、70/30〜90/10が特に好ましい。R3のもととなる脂肪酸は以下のものが例示できる。ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、部分水添パーム油脂肪酸(ヨウ素化10〜60)、部分水添牛脂脂肪酸(ヨウ素化10〜60)などが挙げられる。オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、ステアリン酸が好ましい。中でも好ましいのは、植物由来のステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、エライジン酸を所定量組み合わせ、飽和/不飽和比率が95/5〜30/70(wt/wt)、シス/トランス体の質量比が70/30〜90/10、炭素数18の比率が60質量%以上であり、炭素数20脂肪酸を2質量%以下、炭素数22脂肪酸を1質量%以下となるように調整した脂肪酸組成を用いることが好ましい。
(a)〜(c)の化合物は、上記脂肪酸組成物、または脂肪酸メチルエステル組成物とトリエタノールアミンとの縮合反応、続いてジメチル硫酸などの4級化試薬による4級化反応により合成することができる。
【0022】
本発明において、(a)〜(c)は特定の質量比で存在することが必須であるが、質量比の調整は以下の(i)〜(iii)の方法で行うことができる:(i)(a)〜(c)を別々に合成し、それを所定量組み合わせて行う方法;(ii)トリエタノールアミンと脂肪酸または脂肪酸メチルエステルを特定モル比率で反応させ、ついで合成した反応生成物を一般的に使用される4級化剤で4級化し、(a)〜(c)が所定量含まれるように合成した反応生成物を使用する方法;及び(iii)(a)〜(c)を含有する4級アンモニウム塩組成物を室温又は高温保存下で加水分解させ、本特許で請求の比率に調整したものを用いる方法。(iii)の場合には、室温又は高温保存後に、組成物のpHを酸性にしてさらに低温保存することにより加水分解の進行を抑制することができる。
好ましくは上記(ii)の方法であり、なかでもトリエタノールアミンと脂肪酸メチルエステルをモル比で1:0.5〜1:1.7で反応させることが好ましい。また得られたエステルアミン(トリエタノールアミンと脂肪酸メチルエステルの反応縮合物)に対して、0.9〜0.99倍モルのジメチル硫酸で4級化することが好ましい。なお、この際、4級化の反応は60〜100℃の範囲で行うことが好ましい。
【0023】
本発明において、(a)〜(c)は特定の質量比で含まれる。
(a)/[(a)+(b)+(c)]は、0.15〜0.98、好ましくは0.25〜0.98、より好ましくは0.5〜0.98である。
(b)/[(a)+(b)+(c)]は0.01〜0.6、好ましくは0.01〜0.6である。
(c)/[(a)+(b)+(c)]は0.001〜0.3、好ましくは0.001〜0.2である。この範囲内にあると、良好な柔軟性を発揮できると共に、部屋干ししたときにも香り立ちが良好になるので好ましい。
【0024】
本発明の(B)成分は、2,4−ジメチルー3−シクロヘキセニルカルボキシアルデヒド、ヘリオトロピン、フェニルエチルアルコール、エチルリナロール、カプロン酸アリル、ヘキシルアセテートから成る群から選ばれる3 種以上の香料を含有する香料組成物である。特に、2,4−ジメチルー3−シクロヘキセニルカルボキシアルデヒド、ヘリオトロピン、およびフェニルエチルアルコールを全て含有することが、柔軟剤で衣料を処理した時の香りと凍結復元性の点から好ましい。また、これら成分を香料組成物の全質量に対して、好ましくは1 5 % 〜 7 0 % 、さらに好ましくは30〜70%含有することが、凍結復元性が特に優れるので好ましい。なお、全香料組成物における上記特定香料の含有量が70質量%を超えると、特定の香気が強くなりすぎてしまう点で好ましくない。
【0025】
本発明において2,4−ジメチルー3−シクロヘキセニルカルボキシアルデヒド、ヘリオトロピン、フェニルエチルアルコール、エチルリナロール、カプロン酸アリル、ヘキシルアセテート以外の香料成分も使用することができる。これら香料成分は特に限定されないが、具体的には、アルデヒド類、フェノール類、アルコール類、エーテル類、エステル類、ハイドロカーボン類、ケトン類、ラクトン類、ムスク類、天然香料、動物性香料などが挙げられる。使用できる香料成分のリストは、例えば「Perfume and Flavor Chemicals」Vol.IandII,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)、「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)、「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)、「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)などに記載されている。
【0026】
(A)成分は、本発明の柔軟剤組成物中に0.1〜30質量%配合されるのが好ましい。より好ましくは0.1〜20質量%である。
(B)成分は、本発明の柔軟剤組成物中に0.01〜5質量%配合されるのが好ましい。より好ましくは0.1〜3質量%である。さらに好ましくは0.2〜2質量%である。
【0027】
更に本発明の柔軟剤組成物には、機能付与、製造性向上、保存安定性向上などの目的で、必要に応じて繊維用柔軟剤組成物に配合される公知の成分を本発明の効果を妨げない範囲で配合することができる。これらの成分としては、例えば非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性活性剤、シリコーン化合物、無機又は有機の塩類、酸化防止剤、植物水抽出物、紫外線吸収剤、溶剤、抗菌剤、pH調整剤、色素、キレート剤等が挙げられる。
【0028】
非イオン界面活性剤は、主に分散性を向上する目的で使用し、具体的にはアルコール又はアミン又は脂肪酸のアルキレンオキシド付加物を用いることができる。炭素鎖部分は、分岐していても直鎖でもよく、不飽和があってもよい。また、炭素鎖に分布があってもよい。炭素鎖は短鎖でも長鎖でも構わないが、好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは8〜18である。炭素鎖が直鎖である場合には炭素数6〜14のものが好ましく,より好ましくは8〜12、最も好ましくは8〜10である。炭素鎖が分岐鎖である場合には、炭素数6〜18のものが好ましく、より好ましくは9〜18、最も好ましくは13である。原料としては、エクソン化学製エクサール、BASF社製LUTENSOLシリーズ、協和発酵工業製オキソコール、HoechstAG社製GENAPOLシリーズ、Shell社製DOBANOLシリーズなどを使用することができる。また、特にアルコールのアルキレンオキシド付加物の場合には1級アルコールでも2級アルコールでも使用できるが1級アルコールを用いたほうが仕上げ剤組成物の分散性が良好である。炭素数が13のアルコールは、例えばドデセンを原料に製造されるが、その出発原料としてはブチレンでもプロピレンでもよい。一方、炭素鎖が不飽和基を含む場合には、炭素数は18であるものが特に好ましく、不飽和基の立体異性体構造は、シス体又はトランス体であっても、両者の混合物であってもよいが、特にシス体/トランス体の比率が25/75〜100/0(質量比)であることが好ましい。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(EO)が好ましいが、エチレンオキサイドとともにプロピレンオキサイド(PO)またはブチレンオキサイド(BO)を付加したものであってもよい。EOの平均付加モル数としては10〜100モルが好適であり、より好ましくは20〜80モル、特に好ましくは40〜70モルである。また、EOとともに付加するPO又はBOの平均付加モル数としては1〜5が好適であり、より好ましくは1〜3モルである。この際、EOを付加した後、PO又はBOを付加しても、あるいはPO又はBOを付加した後、EOを付加してもよい。
【0029】
より具体的には、例えばノニルアルコールの平均EO9PO1付加物、一級イソノニルアルコールの平均EO40モル付加物、一級イソデシルアルコールの平均EO20モル付加物、ラウリルアルコールの平均EO20モル付加物、一級イソへキサデシルアルコールの平均EO60モル付加物、一級イソトリデシルアルコールの平均EO60モル付加物、トリデシルアルコールの平均EO50モル付加物、牛脂アルキルアミンの平均EO60付加物、牛脂アルキルアミンの平均EO60付加物、オレイルアミンの平均EO50付加物、ラウリン酸の平均EO20モル付加物などが挙げられる。日本エマルジョン製エマレックスシリーズ、三洋化成製エマルミンシリーズ、ライオン化学製TDAシリーズ、エソミンシリーズ、日本触媒製ソフタノールシリーズ、BASF社製LUTESOLシリーズなどを使用することができる。非イオン界面活性剤の配合量は、組成物全体に対して0〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%である。
本発明の柔軟剤組成物が上記界面活性剤を含有する場合、組成物の分散安定性を良好にする点から、本発明の柔軟剤組成物中に好ましくは0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%配合するのが好ましい。
【0030】
シリコーン化合物は、(B)成分の衣類への吸着性をさらに増大させることで、処理衣料の香り立ちを良好にすることができる。さらに、処理衣料に良好なすべり性を付与することによって、衣料の肌ざわりを一層良好にしたり、洗濯じわを軽減したり、衣料の損傷を抑制したりすることができる。
シリコーン化合物として、変性、未変性いずれのシリコーンも用いることができるが、未変性ジメチルシリコーン、アミノ変性シリコーン、アミノ・ポリエーテル変性シリコーン、アミド変性シリコーン、アミド・ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルキル・ポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンから選ばれるシリコーンが好ましく、ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーンがより好ましい。
変性シリコーンの場合、シロキサン骨格に対する各種変性基の変性部位は、側鎖の部分でも、主鎖を部分的に分断しているものなどいずれでも良いが、側鎖に変性基を有するものがより好ましい。また、いずれの場合も主鎖の最末端はメチル基、ヒドロキシル基、水素原子であることが好ましい。
【0031】
本発明で用いことのできるシリコーン化合物は、商業的に入手できるものを使用することができる。例えば、東レ・ダウ・コーニング・シリコーン株式会社から、商品名SH3772、SH3775、DC2501、DC2502、DC2503、DC580、AMS−C30、SF8417、BY16−837、BY16―878、ABN SILWET FZ−F1−009−54、ABN SILWET FZ−2222で販売されているものなどを用いることができる。
本発明の液体柔軟剤組成物がシリコーン化合物を含有する場合、(B)成分の衣類への吸着性をさらに増大させる点及び経済的観点から、本発明の液体柔軟剤組成物中に好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.3〜15質量%、更に好ましくは1〜10質量%配合するのが好ましい。
【0032】
無機又は有機の塩類は、主に組成物の粘度を下げる目的で使用し、具体的には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、グリコール酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、グリコール酸カリウム、乳酸ナトリウムなどが挙げられ、好ましくは、塩化カルシウム、塩化マグネシウムである。塩類の配合量は、組成物全体に対して、好ましくは0〜3質量%、より好ましくは0〜2質量%、更に好ましくは0〜1質量%である。本発明の組成物の粘度は、使用性の点で1〜1000mPa・sであるのが好ましく、1〜100mPa・sであるのがより好ましい。なお、この場合、粘度は、B形粘度計により25℃において測定した値である。
【0033】
酸化防止剤は、主に長期保存条件下での安定性を良好な状態に保つために使用し、具体的には、亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、三級ブチルヒドロキノン、没食子酸エステル、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、クエン酸イソプロピル、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、4,5−ジヒドロキシ−m−ベンゼンスルホン酸塩、天然トコフェロールやこれらの混合物などが挙げられ、酸化防止剤の配合量は、組成物全体に対して、好ましくは0〜1質量%である。
【0034】
本発明では、植物水抽出物も併用できる。具体的には、植物の水抽出物は、シソ科植物、タデ科植物、バラ科植物、ヒノキ科植物、フツモモ(フトモモ)科植物、マメ科植物、モウセンゴケ科植物、モクセイ科植物、モクレン科植物、キク科植物などからの抽出物が挙げられる。上記植物水抽出物は、それぞれ1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
本発明で使用できる溶剤としては、具体的には、未変性エチルアルコール、変性エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリンなどが挙げられ、溶剤の配合量は、組成物全体に対して、好ましくは0〜30質量%である。
【0035】
防腐剤は、主に長期保存中の防腐性を保つために使用することができ、具体的には、イソチアゾロン系の有機硫黄化合物、ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、安息香酸類、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールなどが挙げられる。イソチアゾロン系の有機硫黄化合物の例としては、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−ブチル−3−イソチアゾロン、2−ベンジル−3−イソチアゾロン、2−フェニル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4,5−ジクロロイソチアゾロン、5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、およびそれらの混合物があげられる。より好ましい防腐剤は、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの水溶性混合物であり、さらに好ましくは約77%の5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと約23%の2−メチル-4−イソチアゾリン−3−オンとの水溶性混合物である。また、ベンズイソチアゾリン系の有機硫黄化合物の例としては、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オンなどがあげられ、類縁化合物としてジチオ−2,2−ビス(ベンズメチルアミド)なども使用できそれらを任意の混合比で使用することができる。このうち1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンが特に好ましい。安息香酸類の例としては、安息香酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル等を挙げることができ、防腐剤の配合量は、組成物全体に対して、好ましくは0〜1質量%である。
【0036】
pH調整剤は、任意の無機または有機の酸およびアルカリを使用することができ、具体的には、例えば塩酸、硫酸、リン酸、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、メチル硫酸、エチル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸などのカルボン酸、アクリル酸などの高分子アクリル酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、トリポリリン酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−シアノエチル)アミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、2,3−ジヒドロキシ−N,N−ジメチルプロピルアミン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミン等の短鎖アミン化合物または、それらのアルキレンオキシド付加物、窒素に連結する炭素数が8〜36の長鎖アミン化合物またはそれらのアルキレンオキシド付加物など、及び上記記載の塩を用いることができる。また、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属珪酸塩なども使用することができる。これらの中でも、塩酸、硫酸、ジメチル硫酸、メチル硫酸、水酸化ナトリウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンがより好ましい。本発明の柔軟剤組成物のpHは好ましくは1.5〜5.5、より好ましくはpH2〜4である。pHがこのような範囲内にあると、衣料用柔軟剤組成物に通常配合される香料の変質が生ずることなく、防腐力も保持できるので好ましい。
【0037】
色素は、主に防臭剤組成物の外観を向上する目的で使用し、具体的には、酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料及び媒染・酸性媒染染料から選ばれる水溶性染料の1種または2種以上を添加することができる。添加できる染料の具体例は、染料便覧(有機合成化学協会編,昭和45年7月20日発行,丸善株式会社)等に記載されている。本発明の防臭剤組成物の色素の配合量は、組成物全体に対して、好ましくは0〜100ppmである。
【0038】
金属キレート剤としては、ヒドロキシエタンジホスホン酸(ライオン(株)フェリオックスCY−115)、エチレンジアミンテトラホスフォニックアシッド(モンサント社Dequest2041)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(エチドロン酸:デクエスト2010)、D-2000、D-2066などのホスホン酸系キレート剤、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロトリ酢酸、クエン酸、コハク酸、カプトカテキュ酸、トリポリリン酸、エチレンジアミンジコハク酸、メチルグリシンジ酢酸、イミノジコハク酸、ヒドロキシイミノジコハク酸、アスパラギン酸、ポリグリオキシ酸、ポリアスパラギン酸、ポリアクリル酸、アクリル酸マレイン酸共重合体(ポリマーの分子量は任意)およびそれらのナトリウム等の塩などのキレート剤を用いることができるが、なかでも、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、クエン酸、コハク酸が好ましい。配合量は、0.0001〜1質量%であるのが好ましく、0.001〜0.5質量%であるのがより好ましく、0.01〜0.1質量%であるのが更に好ましい。
【0039】
本発明の組成物の調整方法については特に制限がなく、種々の方法を用いることができるが、特に特開平2−68137号、特開平10−237762号公報、特開平5−310660号公報、特開平5−310661号公報、特開平5−310662号公報に記載されている方法が好ましい。具体的には、1)本発明のA及びB成分、必要によりC,D成分、並びにその他の油溶性成分をプレミックスしてから油相を作成し、この油相に水相の一部を添加するか、あるいは水相の一部に該油相を添加して、カチオン界面活性剤の液晶相を形成させ、次いで該液晶相と残りの水相とを混合して液晶相を転相させる方法、2)上記油相と水相とを一括で混合し、乳化、分散する方法などにより調製することができる。その他の任意成分は、水溶性の高いものは水相、水溶性の低いものは油相に入れることが好ましい。粘度コントロール剤である塩類は、製造時のどの段階に何回に分けて入れても構わない。いずれの場合も、水中油型乳化物の状態で本発明の組成物が得られる。また、本発明の組成物において、油相の平均粒径が、好ましくは0.01μm〜10μm、より好ましくは0.05〜5μm、更に好ましくは0.1〜1μmとなるように、混合装置の攪拌力、剪断力を加えることが好ましい。このような範囲にあると、分散安定性の面等が良好であるので好ましい。
【0040】
本発明の組成物は、衣料製品を洗濯する際、例えば洗濯機、好ましくは家庭用洗濯機を使用する場合、すすぎ後に添加することにより簡便な防臭柔軟剤として使用することができる。水量に対し、A成分が好ましくは5〜100ppm、より好ましくは20〜100ppmとなる量で、本発明の組成物を水に添加して使用するのが好ましい。
本発明の仕上げ剤組成物を封入するための容器としてはいかなるものも使用できるが、特に特開2002−327375号公報に示されている本体容器、詰替え容器が特に好ましい。
以上、本発明の組成物に含まれる任意成分の説明に関して列挙した書籍、文献の全ては引用により、本明細書の開示の一部とみなされるものとする。
【実施例】
【0041】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜9及び比較例1]
下記成分を表1に示す種類・量の組合せで用い、更に下記共通成分を加え柔軟剤組成物を製造した。この後、下記方法で試布を調整し、柔軟性及び香りを評価した。結果は表1に併記する。
【0042】
本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。以下、「質量%」は「%」と略記する。
本発明に用いた(A)成分について示す。
(A−1)の合成
4級アンモニウム塩組成物の調製((a)〜(c)混合物)
A−1−1.メチルエステルの合成
オレイン酸メチル75%、リノール酸メチル16%およびステアリン酸メチル9%よりなるパーム脂肪酸メチル(ライオン株式会社、パステルM182、分子量296)2.5kgと市販の安定化ニッケル触媒0.9g(0.1%/脂肪酸メチル)を4Lのオートクレーブに仕込み、窒素ガス置換を3回行った。ついで、回転数を800rpmにあわせ、温度185℃で約54Lの水素ガスを導入した。導入した水素が完全に消費されたら、冷却し、濾過助剤を使用して触媒を除き、水素添加したパーム脂肪酸メチルを得た。けん化価より求めた分子量は297であった。GCから求めた脂肪酸メチル組成は、ステアリン酸メチル11%、エライジン酸メチル(トランス体)23%、オレイン酸メチル(シス体)65%、リノール酸メチル0%であり、不飽和脂肪酸メチルエステルのトランス/シス比率は25/75(質量比)であった。尚、不飽和アルキル基は、GCにより次の方法で測定した。
機種 :Hitachi FID ガスクロG-3000カラム:GLサイエンス TC-70(0.25mm I.Dx30)
温度 :カラム150℃ → 230℃,昇温速度10℃/min、インジェクター&デイテクタ-240℃カラム圧力:1.0kgf/cm2
【0043】
A−1−2.アルカノールアミンエステルとそのカチオンの合成
上記1−1で調製した水素添加したパーム脂肪酸メチル489g(1.65モル)と、トリエタノールアミン98g(0.66モル)、酸化マグネシウム0.29g、14%水酸化ナトリウム水溶液2.1gを攪拌器、冷却器、温度計および窒素導入管を備えた2Lの4つ口フラスコに入れ、窒素置換を行った後窒素を0.52L/minの流量で流しておいた。1.5℃/minの速度で190℃まで昇温して、6時間反応させた。未反応メチルエステルが1%以下であることを確認し、反応を停止した。得られた生成物から触媒由来である脂肪酸塩をろ過除去し、中間体のアルカノールアミンエステルを得た。
得られたアルカノールアミンエステル300gを温度計,滴下ロート,冷却機を備えた4つ口フラスコに入れ窒素置換した。次いで85℃に加熱し、アルカノールアミンエステルに対して0.98倍モルのジメチル硫酸を1時間にわたり滴下した。滴下終了後、温度を90℃に保ち、1時間攪拌した。反応終了後、エタノールを滴下しながら冷却し、固形分85%のエタノール溶液を調製し、最後にフェリオックスCY−115(ライオン(株))と、ジブチルヒドロキシトルエン(住友化学工業(株))をそれぞれ100ppmの濃度になるように添加した。得られた反応生成物には(a)成分:モノエステルアンモニウム塩/(b)成分:ジエステルアンモニウム塩/(c)成分:トリエステルアンモニウム塩が12/54/34(質量比)で含まれていた。
【0044】
(A−2)の合成
上記A−1−1で調製した水素添加したパーム脂肪酸メチル489g(1.65モル)にステアリン酸メチル137g(0.46モル)とパルミチン酸メチル156g(0.58モル)を混合した脂肪酸メチルエステル(不飽和脂肪酸メチル/飽和脂肪酸メチルの質量比40/60)と、トリエタノールアミン250g(1.67モル)、酸化マグネシウム0.51g、14%水酸化ナトリウム水溶液3.69gを攪拌器、冷却器、温度計および窒素導入管を備えた2Lの4つ口フラスコに入れ、窒素置換を行った後窒素を0.52L/minの流量で流しておいた。1.5℃/minの速度で190℃まで昇温して、6時間反応させた。未反応メチルエステルが1%以下であることを確認し、反応を停止した。得られた生成物から触媒由来である脂肪酸塩をろ過除去し、中間体のアルカノールアミンエステルを得た。アミン価を測定し、分子量を求めると582であった。
得られたアルカノールアミンエステル270g(0.46モル)を温度計,滴下ロート,冷却機を備えた4つ口フラスコに入れ窒素置換した。次いで85℃に加熱し、ジメチル硫酸57.4g(0.45モル)を1時間にわたり滴下した。滴下終了後、温度を90℃に保ち、1時間攪拌した。反応終了後、約62gの未変性エタノール(日本エタノール(株))を滴下しながら冷却し、エタノール溶液を調製し、最後にフェリオックスCY−115(ライオン(株))と、ジブチルヒドロキシトルエン(住友化学工業(株))をそれぞれ100ppmの濃度になるように添加した。得られた反応生成物にはモノエステルアンモニウム塩/ジエステルアンモニウム塩/トリエステルアンモニウム塩が28/53/19(質量比)で含まれていた。このエタノール溶液中には、4級化されていないモノエステルアミンとジエステルアミンとトリエステルアミンが9.0%含まれており、その比率は1/9/90(質量比)で存在していた。さらに副生成物として、両性化合物が2.0%含まれていた。
【0045】
(A−3)の合成
上記A−1−1で調製した水素添加したパーム脂肪酸メチル489g(1.65モル)にステアリン酸メチル352g(1.18モル)を混合した脂肪酸メチルエステル(不飽和脂肪酸メチル/飽和脂肪酸メチルの質量比50/50)と、トリエタノールアミン468g(3.14モル)、酸化マグネシウム0.65g、14%水酸化ナトリウム水溶液4.68gを攪拌器、冷却器、温度計および窒素導入管を備えた2Lの4つ口フラスコに入れ、窒素置換を行った後窒素を0.52L/minの流量で流しておいた。1.5℃/minの速度で190℃まで昇温して、6時間反応させた。未反応メチルエステルが1%以下であることを確認し、反応を停止した。得られた生成物から触媒由来である脂肪酸塩をろ過除去し、中間体のアルカノールアミンエステルを得た。
得られたアルカノールアミンエステル300gを温度計,滴下ロート,冷却機を備えた4つ口フラスコに入れ窒素置換した。次いで85℃に加熱し、アルカノールアミンエステルに対して0.98倍モルのジメチル硫酸を1時間にわたり滴下した。滴下終了後、温度を90℃に保ち、1時間攪拌した。反応終了後、エタノールを滴下しながら冷却し、固形分85%のエタノール溶液を調製し、最後にフェリオックスCY−115(ライオン(株))と、ジブチルヒドロキシトルエン(住友化学工業(株))をそれぞれ100ppmの濃度になるように添加した。得られた反応生成物にはモノエステルアンモニウム塩/ジエステルアンモニウム塩/トリエステルアンモニウム塩が53/41/6(質量比)で含まれていた。
【0046】
(A−4)
ARMOSOFT TEQ−E (AKZO NOBEL社製、トリエタノールアミン長鎖脂肪酸エステルメチルサルフェート4級アンモニウム塩、有効成分85%)をそのまま用いた。尚、長鎖脂肪酸残基の炭素数分布は、C16:30%、C18:20%、C18F1:45%、C18F2:5%であり、モノエステル/ジエステル/トリエステルの質量比=25/60/15、シス/トランス体質量比=90/10である。
【0047】
(B)成分として、表2に記載の香料組成物B−1〜B−5を使用した。
また、共通成分として、表3に記載の共通成分1〜6を使用した。
【0048】
[液体仕上げ組成物の配合方法例]
下記の配合方法に従って、表1記載の実施例1〜9及び比較例1液体柔軟剤組成物各1,000gを調製して、評価に供した。
<配合方法>
(A)成分、(B)成分、及び共通成分を用い、表1に示す組成に従って液体柔軟剤組成物を調製した。
液体柔軟剤組成物は、内径100mm、高さ150mmのガラス容器と、攪拌機(アジターSJ型、(株)島津製作所製)を用い、次の手順により調製した。まず、(A)成分、(B)成分、および油性共通成分(共通4〜6)を混合攪拌して、油相混合物を得た。一方、水性共通成分(共通1〜3)とバランス用イオン交換水を混合攪拌して、水相混合物を得た。ここで、バランス用イオン交換水の質量は、990gから油相混合物を差し引いた残部に相当する。次に、(A)成分の融点以上に加温した油相混合物をガラス容器に収納して攪拌しながら、(A)成分の融点以上に加温した水相混合物を2度に分割して添加し、攪拌した。ここで、水相混合物の分割比率は30:70(質量比)とし、攪拌は回転速度1,000rpmで、1回目の水相混合物添加後に3分間、2回目の水相混合物添加後に2分間行った。必要に応じて、塩酸(試薬1mol/L、関東化学(株)製)、または水酸化ナトリウム(試薬1mol/L、関東化学(株)製)を適量添加してpH3に調整し、更に全体質量が1000gになるようにイオン交換水を添加して、目的の液体柔軟剤組成物を得た。
【0049】
[液体柔軟剤組成物の評価方法]
(1)凍結復元性
液体仕上げ剤組成物を内容積100mLのガラス容器に収納して密閉し、評価用サンプルとした。評価は、サンプルを−15℃で40時間保持後、25℃で8時間溶解させるサイクルを3回繰り返した後、液状態の評価を以下の基準に従って行った。商品価値上、○以上を合格とした。
<判定基準>
◎:保存前と比較して変化がほとんど認められない。
○:保存前と比較して粘度の上昇が認められるが、流動性は充分にある。
×:粘度が著しく上昇し、あまり流動性がない。
【0050】
(2)洗濯後の香り評価
<前処理条件>
洗浄(「トップ」標準使用量、水温50℃、15分、浴比30倍)を2回行った後、流
水すすぎを15分間×5回行った。(各洗浄、すすぎ間には全て5分間脱水した。)
前処理洗浄した綿タオル(東進(株)製)1.0kgを市販洗剤「トップ」(ライオン(株)製)の標準量を使用し、電気洗濯機(三菱電機(株)製CW-C30A1-H)の標準コース、浴比30倍、25℃、水道水にて10分間洗浄した。3分間のすすぎに続いて、すすぎ2回目に浴比20倍で、柔軟剤組成物を水量に対して10mL添加して、3分間タオルの柔軟仕上げ処理を行った。洗浄、すすぎの各工程間で脱水を1分間行った。最後の脱水が終了後、綿タオルの香りを20〜50代のパネラー5人により下記基準で評価した。
5点:香り立ちが非常に良い。
4点:香り立ちが良い。
3点:どちらともいえない。
2点:香り立ちがわるい。
1点:香り立ちが非常にわるい。
<判定基準>
パネラー5人の点数を合計し、以下の基準に従って判定を行った。商品価値上、○以上
を合格とした。
◎:20点以上。
○:15点以上20点未満。
△:10点以上15点未満。
×:10点未満。

【表1】



【表2】



【表3】





【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A) 成分及び(B)成分を含有する液体柔軟剤組成物:
(A) 成分:以下の(a)、(b)及び(c)の混合物:
(a):分子内にエステル基を1つ含む第4級アンモニウム塩;
(b):分子内にエステル基を2つ含む第4級アンモニウム塩;
(c):分子内にエステル基を3つ含む第4級アンモニウム塩;
ここで、(a)〜(c)は以下の質量比を満たす
(a)/[(a)+(b)+(c)]=0.15〜0.98、
(b)/[(a)+(b)+(c)]=0.01〜0.6、
(c)/[(a)+(b)+(c)]=0.001〜0.3、
(B)成分:2,4−ジメチルー3−シクロヘキセニルカルボキシアルデヒド、ヘリオトロピン、フェニルエチルアルコール、エチルリナロール、カプロン酸アリル、ヘキシルアセテートから成る群から選ばれる3 種以上を含有する香料組成物。
【請求項2】
(B)成分が、2,4−ジメチルー3−シクロヘキセニルカルボキシアルデヒド、ヘリオトロピン、フェニルエチルアルコールを含有する香料組成物であることを特徴とする請求項1記載の液体柔軟剤組成物。

【公開番号】特開2010−47851(P2010−47851A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210625(P2008−210625)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】