説明

液体注入部品及び医療用具

【課題】部品点数が少なく、注入チューブ内の液体のプライミングボリュームを省力化し、注入チューブ内での血液の残血、輸液の残液等を生じることがない液体注入部品を提供すること。
【解決手段】接続部材21は、第1端部側の側部方向に翼状の突起部22を突設し、接続部材21の第1端部側は、連通部材11の固定部13の第2端部側と一体に接続し、接続部材21の第1端部側の壁は、接続部材21の第1端部側と固定部13の第2端部側との間の段部1Dを形成し、注入チューブSTは、第1端部側から第2端部側にわたって継ぎ目のない連続したチューブであり、連通部材11は、第1端部側から第2端部側に亘って、前記注入チューブSTの第2端部側の内部に挿入して、連通部材11は、全ての長手方向の外周を前記注入チューブSTの第2端部側で覆った、液体注入部品1を提供すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液バッグ、輸液(薬液)バッグ、輸液セット、輸血セット、血液の体外循環回路(血液浄化の目的等で使用されるもの)、人工肺、人工心肺、カテーテル等の医療用具において、当該医療用具に、生理食塩水溶液、デキストラン等の電解質溶液、その他の輸液、薬液等の液体(補液という場合もある)を注入するための液体注入部品の改良に関する。
本発明で、液体注入部品とは、連通部材、接続部材及び液体の注入チューブを含む。
以下、本発明の説明では、自己血輸血に使用される血液バッグの例について説明する。
【背景技術】
【0002】
図11は従来の液体注入部品101を有する血液バッグ151の概略図で、図12は、図11の液体注入部品101の一部拡大断面図で、使用状態を示す概略図である。図12(A)は、液体の注入チューブ(ST1、ST2、ST3)の液体流路を閉塞している状態、図12(B)は、液体の注入チューブ(ST1、ST2、ST3)の液体流路を開放している状態を表している。
液体注入部品101を構成する連通部材111、接続部材121、その他、注入チューブST1、ST2、ST3、分岐管130等の管状(またはチューブ状、筒状という場合もある)の部材ないし当該管状の部材の形態を一部でも含む各構成部品は、長手方向と当該長手方向に略垂直に交差する側部(外周)方向とを有する。
また図11の血液バッグ151方向に近い方向(端部)を「第1端部」、採血針154方向に近い方向(端部)[血液バッグ151方向に遠い方向(端部)]を「第2端部」として記載する。
【0003】
液体注入部品101は、複数の注入チューブ(第1注入チューブST1、第2注入チューブST2、第3注入チューブST3)と、連通部材111と、接続部材121とから構成されている。
第2注入チューブST2の内部に、連通部材111(切断部112と固定部113を有する)を配置している。
第2注入チューブST2は、第1端部側に、第1注入チューブST1の第2端部側を接続し、第2端部側に、第3注入チューブST3の第1端部側を接続している。
第1注入チューブST1と第3注入チューブST3とは、径と長さが同じで、第1注入チューブST1(第3注入チューブST3)と第2注入チューブST2とは、径と長さが異なる。これらの二種類のチューブを、三部品使用している。
第3注入チューブST3の第2端部側に接続部材121(第2端部側の外周に接続部123を形成している)の第1端部側を接続している。
第1注入チューブST1の第1端部側を、分岐管130(第1管部131、第2管部132、第3管部133を有する)の第3管部133の第2端部側に接続している。
【0004】
使用に際しては、採血針154を採血者に穿刺して、採血針154から、採血チューブ154Tを経て、血液バッグ151のバッグ本体152内に血液を導入する。(採血終了。)
接続部材121の接続部123に、輸液セットの接続部材(コネクタ等、図示せず)を接続し、図12(B)のように連通部材111の切断部112を切断領域114より切断する。
接続部121、第3注入チューブST3、第2注入チューブST2、第1注入チューブST1、分岐管130、採血チューブ154T、採血針154を経へて、採血者に液体(補液)を導入する。
【0005】
図12の液体注入部品101では、前記のように注入チューブは、径と長さの異なる二種類のチューブを、三部品使用して形成し、連通部材111が第2注入チューブST2、接続部121が第3注入チューブST3にそれぞれ分離して配置(接続)している。
このため(a)注入チューブ全体(第1注入チューブST1〜第3注入チューブST3)中への液体のプライミングボリームが多くなる。
(b)各部品間に(接続)段差が多くできる。
(c)部品点数が多く、かつ各部品の接続の手間がかかり製造コストが高くなる等の課題がある。
【0006】
なお、特許文献1、特許文献2には、連通部材(切断部と固定部を有する)を分岐管(第1管部、第2管部、第3管部を有する)内に配置した発明が記載されているが、当該発明は、液体を注入するための液体注入部品ではなく、前記図11〜図12に記載した従来の解決課題を解決できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公平7−17313号公報(第1図〜第9図)
【特許文献2】実用新案登録2577569号公報(図1〜図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図12の従来の液体注入部品101では、
(a)注入チューブ全体(第1注入チューブST1〜第3注入チューブST3)中への液体のプライミングボリームが多くなる点。
(b)各部品間に(接続)段差が多くできる点。
(c)部品点数が多く、かつ各部品の接続の手間がかかり製造コストが高くなる点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明者は、以上の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、次の発明に到達した。本発明にしたがえば、以下の液体注入部品1が提供される。
[1]本発明は、連通部材(11)と接続部材(21)と注入チューブ(ST)とを有し、
前記連通部材(11)、前記接続部材(21)及び前記注入チューブ(ST)は、長手方向と当該長手方向に略垂直に交差する側部方向とを有し、長手方向は第1端部と第2端部とを有し、
前記連通部材(11)は、第1端部側に切断部(12)、第2端部側に固定部(13)を配置し、
前記固定部(13)の第1端部側と、前記切断部(12)の第2端部側との間に、切断領域(14)を形成し、
前記接続部材(21)は、第1端部側の側部方向に翼状の突起部(22)を突設し、第2端部側の側部方向に接続部(23)を突設し、
前記接続部材(21)の第1端部側は、前記連通部材(11)の固定部(13)の第2端部側と一体に接続し、
前記接続部材(21)の第1端部側の壁は、前記接続部材(21)の第1端部側と前記固定部(13)の第2端部側との間の段部(1D)を形成し、
前記注入チューブ(ST)は、第1端部側から第2端部側にわたって継ぎ目のない連続したチューブであり、
前記連通部材(11)は、第1端部側から第2端部側に亘って、前記注入チューブ(ST)の第2端部側の内部に挿入して、前記連通部材(11)は、全ての長手方向の外周を前記注入チューブ(ST)の第2端部側で覆った液体注入部品(1)を提供する。
[2]本発明は、前記接続部材(21)の翼状の突起部(22)は、前記接続部材(21)の径の大きさD:100に対し、第1端部側の側部方向の大きさ(SL)を40〜100に形成した[1]に記載の液体注入部品(1)を提供する。
[3]本発明は、前記翼状の突起部(22)は、第1端部側と、第2端部側の側部方向に、ウエブ(22W)を形成した[1]または[2]に記載の液体注入部品(1)を提供する。
【0010】
[4]本発明は、前記接続部材(21)の第2端部側から第1端部側の内部壁面及び前記連通部材(11)の固定部(13)の第1端部側の内部壁面へ向けて、前記接続部材(21)の第2下りテーパ(23T)、前記接続部材(21)の第1下りテーパ(22T)及び前記連通部材(11)の固定部(13)の下りテーパ(13T)を連続して形成した液体注入部品(1)を提供する。
[5]本発明は、[1]から[4]の中から選ばれるいずれか1項に記載の前記液体注入部品(1)を有する医療用具を提供する。
[6]本発明は、血液を貯留するバッグ本体(52)を有し、
バッグ本体(52)は、長手方向と当該長手方向に略垂直に交差する側部方向とを有し、
前記バッグ本体(52)は、長手方向に第1上端部と第2下端部とを有し、側部方向に第1側端部と第2側端部とを有し、
前記バッグ本体(52)は、前記第1上端部を区画する上部壁(UW)、前記第2下端部を区画する下部壁(LW)と、前記第1側端部と前記第2側端部とを区画する側部壁(SW(SWR、SWL))とを有し、
前記バッグ本体(52)は、前記上部壁(UW)に、血液を前記バッグ本体(12)内に取り込むための血液入口(16)を形成し、
当該血液入口(56)は、採血チューブ(54T)の一端部を接続し、当該採血チューブ(54T)の他方の端部は、採血針(54)を接続し、
前記採血チューブ(54T)の途中に、分岐管(30)を配置し、当該分岐管(30)に請求項1から請求項4の中から選ばれるいずれか1項に記載の前記液体注入部品(1)を前記注入チューブ(ST)を介して接続した血液バッグ(51)を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の液体注入部品は、以下の有利な効果を有する。
[1]に記載の発明によれば、
〈1〉連通部材11と接続部材21とを一体に接続し、これらを一部品で形成した注入チューブSTに接続しているので、部品点数が少なくなる。
〈2〉連通部材11と接続部材21の小型化を図ることができ、注入チューブST内の液体のプライミングボリュームを、省力化することができる。
〈3〉注入チューブSTの段差がなく、血液、輸液等のプライミング量も少なくて済むので、注入チューブST内での血液の残血、輸液の残液等を生じることがない点で優位性がある。
【0012】
[2]に記載の発明によれば、
〈4〉連通部材11のほうからみれば、翼状の突起部22は、グリップの役割を果たすので、連通部材11の固定部13を持ちやすくなる。さらにウエブ22Wに、指を引っかけることができる。これらにより連通部材11の切断部12に、外から力を加えやすく、切断しやすくなる。
〈5〉接続部材21のほうからみても、翼状の突起部22はグリップの役割を果たすので、持ちやすく、接続部23に装着するキャップの開閉操作がしやすい。
〈6〉さらに、連通部材11の固定部13と接続部材21との間に翼状の突起部22がある(存在する)ことにより、キャップを開閉する時に、誤って、同時に連通部材11の切断部12を折ってしまうような誤操作が懸念されるが、このような誤操作のリスクを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本発明の液体注入部品の概略図(斜視図)である。
【図2】図2は図1(図2)の液体注入部品の概略図である。(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は右側面図、(D)は、(B)の断面図である。
【図3】図3は、図1の液体注入部品に、注入チューブを接続したところの概略図(斜視図)である。
【図4】図4は、図1(図2)の液体注入部品に、注入チューブを接続したところの概略図(縦断面図)である。
【図5】図5は、図1(図2)の液体注入部品に、注入チューブを接続したところの概略図(縦断面図)で、図4をさらに拡大した図(拡大図)である。
【図6】図6は、本発明の液体注入部品を装着した血液バッグの概略図である。
【図7】図7は、本発明の液体注入部品の使用状態図(縦断面図)である。(A)は本発明の実施例の液体注入部品、(B)は従来の比較例である液体注入部品である。
【図8】図8は、本発明の液体注入部品を装着した血液バッグの使用方法の第一実施例を示す概略図である。(A)は使用開始前の概略図、(B)は液体(補液)を採血者に注入しているところの概略図である。
【図9】図9は、本発明の液体注入部品を装着した血液バッグの使用方法の第二実施例を示す概略図である。(A)は使用前の概略図、(B)は液体(補液)を採血者に注入しているところの概略図である。
【図10】図10は、本発明の液体注入部品を装着した血液バッグの使用方法の第三実施例を示す概略図である。(A)は使用開始前の概略図、(B)は第1の血液バッグに第二の血液バッグを接続して採血をしているところの概略図である。
【図11】図11は従来の液体注入部品を有する血液バッグの概略図である。
【図12】図12は、図11の液体注入部品の一部拡大断面図で、使用状態を示す概略図である。(A)は、液体の注入チューブの液体流路を閉塞している状態、(B)は、液体の注入チューブの液体流路を開放している状態を表している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
図1〜図5に例示するように、本発明の液体注入部品1を構成する連通部材11、接続部材21、その他、注入チューブST、分岐管30等の管状(またはチューブ状、筒状という場合もある)の部材ないし当該管状の部材の形態を一部でも含む各構成部品は、長手方向と当該長手方向に略垂直に交差する側部(外周)方向とを有する。
また図6の血液バッグ51方向に近い方向(端部)を「第1端部」、図6の採血針14方向に近い方向(端部)[血液バッグ51方向に遠い方向(端部)]を「第2端部」として記載する。
【0015】
[液体注入部品1]
本発明の液体注入部品1は、図1〜図5に例示するように、連通部材11と接続部材21と液体注入チューブSTを有する。
連通部材11は、図1〜図5に例示するように、第1端部側に切断部12、第2端部側に固定部13を配置している。
切断部12は竿状(または棒状ないし板状という場合もある)に形成し、固定部13は管状に形成している。図1〜図3の例示では、切断部12を板状に形成している。
切断部12は、長手方向に沿うように、側部方向(外周ないし外周の一部)に突部12Tを突設している。切断部12の断面は、長方形(矩形)状に形成している。
突部12Tは、側部方向(長辺の表と裏)に、180°対向して、二箇所形成している。
切断部12の長辺(側部方向の外径、幅という場合もある)は、固定部13の外径よりも小さく形成している。突部12Tは、第1端部側に下る方向にテーパー(図1参照)を形成している。
【0016】
固定部13は第1端部側で切断部12の第2端部側と一体に接続(一体成形)している。
固定部13の第1端部側の壁は、固定部13の第1端部側と切断部12の第2端部側との間の段部11Dを形成する。固定部13の第1端部側の壁を以下、「段部11D」という。
固定部13の第1端部側と切断部12の第2端部側との間に切断領域14を形成している。
切断領域14とは図2(D)に例示するように、固定部13の第1端部側と切断部12の第2端部側の側部方向(外周)に形成した溝14Mで、側部方向(外周)の壁を薄肉部14Wに形成した箇所である。
【0017】
接続部材21は、図1〜図5に例示するように管状に形成し、第1端部側の側部方向(外周ないし外周の一部)に翼状の突起部22を突設し、第2端部側の側部方向(外周ないし外周の一部)に接続部23を突設している。
翼状の突起部22は、略長方形(矩形)状に形成され、第1端部側の側部方向(外周ないし外周の一部)に「短辺」、長手方向に「長辺」を有する。
接続部23は、図1〜図5の例示では螺子部であり、他の医療用具(前記段落[0001]の記載参照)、これら医療用具の付属品(液体容器、シリンジ等の接続部:コネクタ等)と接続できるように形成したものである。
【0018】
図1〜図5の例示では螺子部であるが、他の医療用具の接続部の形態(オス型コネクタ、メス型コネクタ)にあわせて、オス型の突起部、メス型の溝部(凹部)等にすることも」できる。
翼状の突起部22は、接続部21の径Dの大きさを、「100」とすると、大きさSL(第1端部側の側部方向に突設した「短辺」の長さ、大きさ)を「40〜100」に形成している。
さらに翼状の突起部22は、第1端部側と、第2端部側の側部方向(「短辺」)に、ウエブ22W(水かき、または板状部材、または補強部材、または掛止部材ともいう)を形成している。
【0019】
連通部材11のほうからみれば、翼状の突起部22は、グリップの役割を果たすので、連通部材11の固定部13を持ちやすくなる。さらにウエブ22Wに、指を引っかけることができる。これらにより連通部材11の切断部13に、外から力を加えやすく、切断しやすくなる。
接続部材21のほうからみても、翼状の突起部22はグリップの役割を果たすので、持ちやすく、接続部22に装着するキャップ(図8(A)の符号70参照)の開閉操作がしやすい。
さらに、連通部材11の固定部13と接続部材21との間に翼状の突起部22がある(存在する)ことにより、キャップを開放する時に、勢い余って、同時に連通部材11の切断部12を折ってしまうような誤操作が懸念されるがあるが、このような誤操作のリスクを解消することができる。
なお連通部材11の固定部13と接続部材21との間の翼状の突起部22がない場合、(または翼状の突起部22の大きさSLが小さすぎる場合)キャップを開閉する時に、誤って、同時に連通部材11の切断部を折ってしまうような誤操作が懸念される。
【0020】
翼状の突起部22の大きさSLは、40〜100が好ましく、50〜90、60〜80がより好ましい。
翼状の突起部22の大きさSLがあまり小さいと、前記効果を発揮しずらく好ましくない。逆に翼状の突起部22の大きさSLがあまり大きいと、嵩張りすぎて操作を阻害するので好ましくない。
【0021】
接続部材21の第1端部側は、連通部材11の固定部13の第2端部側と一体に接続(一体成形)している。
接続部材21の第1端部側の壁は、接続部材21の第1端部側と連通部材11の固定部13の第2端部側との間に段部1Dを形成する。接続部材21の第1端部側の壁を以下、「段部1D」という。
【0022】
注入チューブSTは、図3に例示するように、第1端部側から第2端部側にわたって継ぎ目のない連続したチューブである。
連通部材11は、第1端部側から第2端部側に亘って、注入チューブSTの第2端部側の内部(内周)に挿入している。
換言すれば連通部材11は、全ての長手方向の外周を注入チューブSTの第2端部側(内周)で覆っている。
注入チューブSTは、第2端部側の壁面が接続部材21の段部1Dに当接される。
接続部材21は、全ての長手方向で注入チューブSTで覆われることなく、露出している。
【0023】
図2(D)に例示するように、接続部材21の第2端部側から第1端部側の内部壁面、連通部材11の固定部13の第1端部側の内部壁面へ向けて、下りテーパ23T(接続部材21の第2下りテーパ)、下りテーパ22T(接続部材21の第1下りテーパ)、下りテーパ13T(連通部材11の固定部13の下りテーパ)を連続して形成している。これにより接続部材21の第2端部側から導入された液体を速やかに、連通部材11の固定部13の第1端部側へ流出させることができる。
【0024】
分岐管30は、図4〜図5に例示するように、第1管部31、第2管部32、及び第3管部33とを有する。
第1端部側に第1管部31、第2端部側に第2管部32を配置し、第1管部31と第2管部32との間に、第3管部33を配置している。
換言すれば、図4〜図5では、第1管部31と第2管部32とを直列に一体に接続(一体成形)し、第1管部31と第2管部32との間に第3管部33を、所定の角度を付けて一体に接続(一体成形)している。
第3管部33の第2端部に注入チューブSTの第1端部を接続している。
【0025】
連通部材11の構成材料は、ポリカーボーネート等の硬質樹脂、接続部材21、注入チューブST及び分岐管30の構成材料はポリ塩化ビニル樹脂等の軟質樹脂ないし(半)硬質樹脂等が使用される。
【0026】
[血液バッグ51]
図6は、本発明の血液バッグ51の一例を示す概略図である。
血液バッグ51は、血液を貯留するバッグ本体52を有する。
バッグ本体52は、長手方向と当該長手方向に略垂直に交差する側部方向とを有する。
バッグ本体52は、長手方向に第1上端部(図6で上側)と第2下端部(図6で下側)とを有し、側部方向に第1側端部(図6で右側)と第2側端部(図6で左側)とを有する。
【0027】
バッグ本体52は、熱溶着、超音波溶着、接着等の接着手段により、少なくともその第1上部を区画する上部壁UW、第2下部を区画する下部壁LWと、第1側端部と第2側端部とを区画する側部壁SW(右側壁SWR、左側壁SWL)とを有している。
バッグ本体52は、第1上端部の上部壁UWに、血液をバッグ本体52内に取り込むための血液入口56を形成し、当該血液入口56は、採血チューブ54Tの一端部(第1端部)を接続し、当該採血チュー54Tの他方の端部(第2端部)には、採血針54を接続している。
【0028】
バッグ本体52は、第1上端部の上部壁UWに、複数の輸血口53(図6の例示では二個)を装着している。
輸血口53は、バッグ本体52内に保存した血液を排出するためのものである。輸血口53が汚染されないように、プロテクタ55(保護カバーともいう)で覆っている。
【0029】
バッグ本体52を構成する材料として、例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンのように可撓性合成樹脂が好ましく用いられる。
バッグ本体52内には、採血時または輸血保存時における血液の凝固の防止または保存のために、例えばACD液、CPD液、CPDA液のような抗凝固剤やMAP液のような赤血球保存液を収納している。
【0030】
本発明の実施例の液体注入部品1[図7(A)]と従来の比較例の液体注入部品101[図7(B)]を、比較すると、本発明は、
〈1〉連通部材11と接続部材21とを一体に接続し、これらを一部品で形成した注入チューブSTに接続しているので、比較例よりも部品点数が少なくなる。
〈2〉比較例よりも、連通部材11と接続部材21の小型化を図ることができ、注入チューブST内の液体のプライミングボリュームを、省力化することができる。
〈3〉注入チューブSTの段差がなく、血液、輸液等のプライミング量も少なくて済むので、比較例よりも注入チューブST内での血液の残血、輸液の残液等を生じることがない点で優位性がある。
【0031】
図8〜図10に、液体注入部品1を装着した血液バッグ51の使用方法の実施例について説明する。
図8は、液体注入部品1を装着した血液バッグ51の使用方法の第一実施例を示す概略図である。
図中、符号80は輸液セット80である。輸液セット80について、以下簡単に説明する。
輸液セット80は、輸液チューブ81と点滴筒82とを有する。輸液チューブ81の第1端部側に接続部材(コネクタ等)83を接続している。輸液チューブ81の第2端部側には、点滴筒82の第1端部側に接続している。点滴筒82の第2端部側には、接続部材84(コネクタ、プラスチック針等)を接続し、液体容器85の口部に接続している。
液体容器85中には、採血者へ導入する補液(例えば、生理食塩水溶液、デキストラン等の電解質溶液)が充填されている。
図8(A)の液体注入部品1は、(前記詳述した図4、図5の状態で)注入チューブSTの液体流路を遮断(閉塞)している。接続部材21の接続部23は、通常、キャップ70等で覆われる。
【0032】
採血針54を採血者に刺し、採血者から血液を、採血チューブ54T、血液入口56を経て、血液バッグ51のバッグ本体52内に導入する。図8(B)に例示するように、分岐管30の第1端部側の途中から、採血チューブ54Tとバッグ本体50を、ハンドシーラー等(図示せず)で切り離す。図中、Sはシール部である。
図8(B)に例示するように、接続部材21の接続部23に、輸液セット80の接続部材83を接続する。
連通部材11の切断部12を、切断領域14より切断し、注入チューブSTの液体流路を開通させる。
輸液セット80(点滴筒82)の第2端部側に接続された液体容器85中の液体を、輸液チユーブ81、注入チューブST、採血チューブ54Tを経て、採血者に供給(導入)する。
【0033】
図9は、液体注入部品1を装着した血液バッグ51の使用方法の第二の実施例を示す概略図である。図中の符号90は、採血者から採血用の血液を採血するシリンジ90である。シリンジ90の第1端部側は、接続部材21の接続部23と接続できる接続部92(コネクタ等)が接続されている。
図9(A)に例示するように、接続部材21の接続部23に、シリンジ90を接続する。採血針54を採血者に穿刺して、連通部材11の切断部12を、切断領域14より切断して、注入チューブTの液体流路を開通させる。
検査用の血液を、採血チューブ54T、注入チューブSTを経て、シリンジ90内に採取する。
【0034】
採血後は、図9(B)に例示するように、注入チューブSTを、鉗子(クランプ)91で閉めて液体流路を閉塞する。さらに前記図8(B)と同様に、接続部材21の接続部23に、接続部83を接続し、輸液セット80(点滴筒82)の第2端部側に接続された液体容器85中の液体を、輸液チユーブ81、注入チューブST、採血チューブ54Tを経て、採血者に供給(導入)する。
【0035】
図10は、液体注入部品1を装着した血液バッグ51の使用方法の第三の実施例を示す概略図である。第三の実施例では、二個以上の血液バッグ(51、51´)を使用して、採血を行う実施例である。第二の血液バッグ51´では、採血針54に代えて、接続部材21の接続部23に、接続できる接続部93(コネクタ等)を接続している。
第一の血液バッグ51に、図8(A)、(B)と同様に採血を行う。
図10(B)に例示するように第一の血液バッグ51に、採血終了後、接続部材21の接続部23に、第二の血液バッグ51´の接続部93を接続する。
第二の血液バッグ51´の連通部材11´を、第一の血液バッグ51の連通部材11と同様に切断し、第一の血液バッグ51と同様に、採血を行う。
【0036】
第二実施例、第三実施例のように、注入チューブST(第二の血液バッグ51´の注入チューブST´も同じ)内に血液を流通させる際に、本願発明は、注入チューブSTは、単一の連続したチューブより形成されているので、従来の径の異なる二種類のチューブ(ST1、ST2、ST3)を三部品使用した液体注入部品と比較して、血液のプライミング量(通過量)も少なくて済み、チューブ内の段差がなく、チューブ内での血液の残血等を生じることがない点で優位性がある。
【符号の説明】
【0037】
1 液体注入部品
1D 段部
11 連通部材
11D 段部
12 切断部
12T 突部
13 固定部
13T 下りテーパ
14 切断領域
14M 溝
14W 薄肉部
21 接続部材
22 翼状の突起部
22T 下りテーパ
22W ウエブ(みずかき)
23 接続部
23T 下りテーパ
ST 注入チューブ
30 分岐管
31 第1管部
32 第2管部
33 第3管部
51 血液バッグ
52 バッグ本体
53 輸血口
54 採血針
55 プロテクタ
56 血液入口
UW 上部壁
LW 下部壁
SW 側部壁
SWL 左側部壁
SWR 右側部壁
54T 採血チューブ
L ラベル
70 キャップ
80 輸液セット
81 輸液チューブ
82 点滴筒
83 接続部
84 接続部
85 液体容器
90 シリンジ
91 かん子
92 接続部
93 接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連通部材(11)と接続部材(21)と注入チューブ(ST)とを有し、
前記連通部材(11)、前記接続部材(21)及び前記注入チューブ(ST)は、長手方向と当該長手方向に略垂直に交差する側部方向とを有し、長手方向は第1端部と第2端部とを有し、
前記連通部材(11)は、第1端部側に切断部(12)、第2端部側に固定部(13)を配置し、
前記固定部(13)の第1端部側と、前記切断部(12)の第2端部側との間に、切断領域(14)を形成し、
前記接続部材(21)は、第1端部側の側部方向に翼状の突起部(22)を突設し、第2端部側の側部方向に接続部(23)を突設し、
前記接続部材(21)の第1端部側は、前記連通部材(11)の固定部(13)の第2端部側と一体に接続し、
前記接続部材(21)の第1端部側の壁は、前記接続部材(21)の第1端部側と前記固定部(13)の第2端部側との間の段部(1D)を形成し、
前記注入チューブ(ST)は、第1端部側から第2端部側にわたって継ぎ目のない連続したチューブであり、
前記連通部材(11)は、第1端部側から第2端部側に亘って、前記注入チューブ(ST)の第2端部側の内部に挿入して、前記連通部材(11)は、全ての長手方向の外周を前記注入チューブ(ST)の第2端部側で覆ったことを特徴とする液体注入部品(1)。
【請求項2】
前記接続部材(21)の翼状の突起部(22)は、前記接続部材(21)の径の大きさD:100に対し、第1端部側の側部方向の大きさ(SL)を40〜100に形成したことを特徴とする請求項1に記載の液体注入部品(1)。
【請求項3】
前記翼状の突起部(22)は、第1端部側と、第2端部側の側部方向に、ウエブ(22W)を形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体注入部品(1)。
【請求項4】
前記接続部材(21)の第2端部側から第1端部側の内部壁面及び前記連通部材(11)の固定部(13)の第1端部側の内部壁面へ向けて、前記接続部材(21)の第2下りテーパ(23T)、前記接続部材(21)の第1下りテーパ(22T)及び前記連通部材(11)の固定部(13)の下りテーパ(13T)を連続して形成したことを特徴とする液体注入部品(1)。
【請求項5】
請求項1から請求項4の中から選ばれるいずれか1項に記載の前記液体注入部品(1)を有することを特徴とする医療用具。
【請求項6】
血液を貯留するバッグ本体(52)を有し、
バッグ本体(52)は、長手方向と当該長手方向に略垂直に交差する側部方向とを有し、
前記バッグ本体(52)は、長手方向に第1上端部と第2下端部とを有し、側部方向に第1側端部と第2側端部とを有し、
前記バッグ本体(52)は、前記第1上端部を区画する上部壁(UW)、前記第2下端部を区画する下部壁(LW)と、前記第1側端部と前記第2側端部とを区画する側部壁(SW(SWR、SWL))とを有し、
前記バッグ本体(52)は、前記上部壁(UW)に、血液を前記バッグ本体(12)内に取り込むための血液入口(16)を形成し、
当該血液入口(56)は、採血チューブ(54T)の一端部を接続し、当該採血チューブ(54T)の他方の端部は、採血針(54)を接続し、
前記採血チューブ(54T)の途中に、分岐管(30)を配置し、当該分岐管(30)に請求項1から請求項4の中から選ばれるいずれか1項に記載の前記液体注入部品(1)を前記注入チューブ(ST)を介して接続したことを特徴とする血液バッグ(51)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−135421(P2012−135421A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289476(P2010−289476)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000200035)川澄化学工業株式会社 (103)
【Fターム(参考)】