説明

液体洗浄剤組成物

【課題】 洗浄力とすすぎ時の泡切れ性に優れた液体洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】 一般式(I) 、(II)で示される非イオン界面活性剤を含有する液体洗浄剤組成物。
R1O(EO)p(PO)q(EO)rH (I)R2O(EO)m(PO)nH (II)〔R1、R2は平均炭素数8〜20のアルキル基、アルケニル基、EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイド、p は1〜13、q は1〜4、r は1〜13、m は2〜14、n は1〜6である。〕

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はすすぎ時の泡切れに優れる液体洗浄剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】最近、コンパクト化に有利な活性剤として非イオン界面活性剤が注目され、応用が盛んに行われている。しかし、非イオン界面活性剤を用いた従来の液体洗浄剤組成物には、すすぎ時の泡切れが悪いという問題があり、洗浄力を損なわずにすすぎ性を向上させた液体洗浄剤組成物の開発が望まれている。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特定2種の非イオン界面活性剤を組合せることによって、すすぎ時の泡切れに優れることを見出した。
【0004】即ち、本発明は、(a) 次の一般式(I) にて示される非イオン界面活性剤、及びR1O(EO)p(PO)q(EO)rH (I)〔R1は炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基である。EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを示す。p 、q 及びr は平均付加モル数であり、p は1〜13、q は1〜4、r は1〜13である。〕
(b) 次の一般式(II)にて示される非イオン界面活性剤R2O(EO)m(PO)nH (II)〔R2は炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基である。EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを示す。m 及びn は平均付加モル数であり、mは2〜14、n は1〜6である。〕を含有する液体洗浄剤組成物を提供するものである。
【0005】(a) 成分としては、一般式(I) 中のR1が平均炭素数10〜14で、直鎖の一級アルキル基であり、p が3〜9、q が1〜3、r が1〜5のものが好ましい。式(I)の非イオン界面活性剤は、周知の方法で合成された、もしくは天然油脂から誘導されたR1のアルキル基、アルケニル基を有するアルコールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの順序で付加した後、再度エチレンオキサイドを付加することで合成される。本発明において、(a) 成分の非イオン界面活性剤は好ましくは10〜50重量%含有される。
【0006】また、(b) 成分としては、一般式(II)中のR2が平均炭素数10〜14の直鎖の一級アルキル基であり、m が3〜9、n が1〜3のものが好ましい。式(II)の非イオン界面活性剤は、通常市販されているものを使用してもよく、また周知の方法で合成された、もしくは天然油脂から誘導されたR2のアルキル基、アルケニル基を有するアルコールにエチレンオキサイドを付加した後プロピレンオキサイドを公知の方法で付加することによって製造することが出来る。本発明において、(b)成分の非イオン界面活性剤は好ましくは 0.5〜20重量%含有される。
【0007】なお、(b) 成分に対する(a) 成分の割合が、重量比〔(a) /(b) 〕で1/1を下回らないことが好ましく、特に20/1〜1/1の範囲において、洗浄力に優れる液体洗浄剤組成物を得ることが出来る。
【0008】本発明では、(a) 成分及び(b) 成分以外に、従来より知られている界面活性剤を使用することができる。特に平均炭素数が10〜18の脂肪酸塩を 0.5〜5重量%併用することによって、すすぎ時の泡切れは向上する。その他界面活性剤としては、洗浄性を高める上でアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等の陰イオン界面活性剤を併用することが好ましい。陰イオン界面活性剤の対イオンとしてはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属以外に、マグネシウム等のアルカリ土類金属及び/又はモノ、ジ、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等を使用するが、特にアルカノールアミンを用いると液安定性が向上するため好適である。非イオン界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル、アミンオキサイド、アルキル多糖界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド及びポリヒドロキシ脂肪酸アミドを併用することが好ましい。また風合いを向上させるためには、モノ長鎖アルキルトリメチル4級アンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤を併用することが好ましいが、陽イオン界面活性剤を使用する場合は安定性に注意する。
【0009】更に本発明には、任意成分として従来より洗剤に配合することが知られている成分を配合することができる。このような任意成分として、アルカリ金属の水酸化物、ケイ酸塩、炭酸塩及びアルカノールアミン等のアルカリ剤;エタノールなどのアルコール類、エチレングリコール、分子量 200以上〜数千位の低分子量のポリエチレングリコール及びプロピレングリコールなどのグリコール類、パラトルエンスルホン酸、安息香酸塩(防腐剤としての効果もある)並びに尿素などの減粘剤や可溶化剤;相調整剤及び洗浄力の向上のためのポリオキシアルキレンベンジルエーテル、ポリオキシアルキレンフェニルエーテル;2価金属イオン捕捉能を有する多価カルボン酸塩としてニトリロ三酢酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩、イミノ二酢酸塩、ジエチレントリアミン五酢酸塩、グリコールエーテルジアミン四酢酸塩、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸塩及びトリエチレンテトラミン六酢酸塩などのアミノポリ酢酸塩、マロン酸、コハク酸、ジグリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などの塩;再汚染防止能、分散能を有するポリアクリル酸、ポリマレイン酸、カルボキシメチルセルロース、平均分子量5000以上のポリエチレングリコール、無水マレイン酸−ジイソブチレン共重合体、無水マレイン酸−メチルビニルエーテル共重合体、無水マレイン酸−イソブチレン共重合体、無水マレイン酸−酢酸ビニル共重合体、及びナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物などの高分子化合物の塩などのポリマー、特開昭59−62614 号公報記載のポリマー;ポリビニルピロリドンなどの色移り防止剤;アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼなどの酵素;塩化カルシウム、硫酸カルシウム、ギ酸、ホウ酸(ホウ素化合物)などの酵素安定化剤;チノパールCBS(チバガイギー社製)などの蛍光染料;柔軟性付与を目的としたシリコーン;消泡剤としてのシリカ、シリコーン;ブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムなどの酸化防止剤;そのほか蛍光染料;青味付け剤;香料;抗菌防腐剤などが挙げられる。本発明の液体洗浄剤組成物は、衣料用の洗浄剤組成物として好適である。
【0010】
【発明の効果】本発明の液体洗浄剤組成物はすすぎ時の泡切れ性に優れるため、少ない水の量ですすぐことが出来る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0012】実施例表1〜2に示す液体洗浄剤用組成物の洗浄力とすすぎ性を下記の方法によって評価した。
【0013】(1)洗浄力試験方法■人工汚染布の作成使用した人工汚染布は10×10cmの木綿布に2gの下記組成よりなるモデル汚れを均一に塗布したものである。
【0014】<モデル汚れ組成>下記A、B、C、D、Eの合計が 100%になるようにBの量を調節した。なお、それぞれの%は最終汚垢成分中の割合である。
・A:ラウリン酸0.44%、ミリスチン酸3.15%、ペンタデカン酸2.35%、パルミチン酸6.31%、ヘプタデカン酸0.44%、ステアリン酸1.60%、オレイン酸7.91%、トリオレイン13.33 %、パルミチン酸n−ヘキサデシル2.22%、スクアレン6.66%の混合物・C:卵白レシチン液晶物1.98%〔蒸留水80mlにアルギニン塩酸塩11.37 g、ヒスチジン4.20g、セリン2.44gを溶解し、濃塩酸でpHを 5.0に調整した後、この溶液と卵白レシチンをミキサーで充分に混ぜ合わせて、卵白レシチン液晶物を得たもの。〕
・D:鹿沼赤土8.11%・E:カーボンブラック 0.025%・B:塩化カルシウム(2水塩) 105mgを秤取し、蒸留水に溶かして1000mlとして得た硬水にて合計 100%になるようにバランス。
【0015】■洗浄条件及び評価方法評価用洗浄剤組成物希釈水溶液1リットルに上記人工汚染布5枚を入れ、ターゴトメーターにて100r/minで次の条件で洗浄した。
<洗浄条件>洗浄時間;10分間洗浄剤濃度;0.07%水の硬度;71.2mgCaCO3/リットル(4°DH)
水温;20℃すすぎ;水道水にて5分間洗浄力は汚染前の原布及び洗浄前後の、550nm における反射率を測色色差計(日本電色(株)製、Z−300 A)にて測定し、次式によって洗浄率(%)を求めた(表中には5枚の洗浄率の平均値を示した。)。
【0016】
【数1】


【0017】(2)濯ぎ性試験方法<洗浄条件>洗濯機;東芝 銀河 3.6 VH-360S1水量;30リットル(水道水、23℃)
洗剤量;20g衣料;木綿肌着1.5kg 、T/Cワイシャツ0.5kg洗濯条件;強反転10分、脱水1分濯ぎ条件;流水濯ぎ(14リットル/分、オーバーフロー)6分<評価基準>○;泡がない△;液面に1/2程度の泡が残る×;液面全体に泡が残る
【0018】
【表1】


【0019】
【表2】


【0020】(注)
・非イオン界面活性剤1;式(I)において、R1=炭素数11〜14の一級混合アルキル基、p=3、q=1、r=3である化合物・非イオン界面活性剤2;式(I)において、R1=炭素数11〜14の一級混合アルキル基、p=5、q=1、r=3である化合物・非イオン界面活性剤3;式(I)において、R1=炭素数11〜14の一級混合アルキル基、p=7、q=1、r=3である化合物・非イオン界面活性剤4;式(I)において、R1=炭素数11〜14の一級混合アルキル基、p=9、q=1、r=3である化合物・非イオン界面活性剤5;式(I)において、R1=炭素数11〜14の一級混合アルキル基、p=5、q=1、r=2である化合物・非イオン界面活性剤6;式(I)において、R1=炭素数11〜14の一級混合アルキル基、p=7、q=1、r=2である化合物・非イオン界面活性剤7;式(I)において、R1=炭素数11〜14の一級混合アルキル基、p=3、q=2、r=3である化合物・非イオン界面活性剤8;式(I)において、R1=炭素数11〜14の一級混合アルキル基、p=5、q=2、r=3である化合物・非イオン界面活性剤9;式(I)において、R1=炭素数11〜14の一級混合アルキル基、p=7、q=2、r=3である化合物・非イオン界面活性剤10;式(I)において、R1=炭素数11〜14の一級混合アルキル基、p=9、q=2、r=3である化合物・非イオン界面活性剤11;式(I)において、R1=炭素数11〜14の一級混合アルキル基、p=5、q=2、r=2である化合物・非イオン界面活性剤12;式(I)において、R1=炭素数11〜14の一級混合アルキル基、p=7、q=2、r=2である化合物・非イオン界面活性剤13;式(II)において、R2=炭素数11〜14の一級混合アルキル基、m=3、n=1である化合物・非イオン界面活性剤14;式(II)において、R2=炭素数11〜14の一級混合アルキル基、m=5、n=1である化合物・非イオン界面活性剤15;式(II)において、R2=炭素数11〜14の一級混合アルキル基、m=7、n=1である化合物・非イオン界面活性剤16;式(II)において、R2=炭素数11〜14の一級混合アルキル基、m=3、n=2である化合物・非イオン界面活性剤17;式(II)において、R2=炭素数11〜14の一級混合アルキル基、m=5、n=2である化合物・非イオン界面活性剤18;式(II)において、R2=炭素数11〜14の一級混合アルキル基、m=7、n=2である化合物・非イオン界面活性剤19;ポリオキシエチレン(EOp=8) ラウリルエーテル(EOp はエチレンオキサイド平均付加モル数、以下同じ)
・非イオン界面活性剤20;ポリオキシエチレン(EOp =10)ラウリルエーテル・非イオン界面活性剤21;炭素数12〜14の2級アルコールのEO平均7モル付加物・アニオン界面活性剤1;アルキル基の炭素数が10〜18の脂肪酸・アニオン界面活性剤2;アルキル(C12〜C13)ベンゼンスルホン酸・アニオン界面活性剤3;ポリオキシエチレンアルキル(C12) エーテル硫酸エステル(EOp=3)
・カチオン界面活性剤;モノアルキル(C16〜C18)トリメチルアンモニウムクロライド・PEG;ポリエチレングリコール(Mw.6000)
・酵素:デュラザイム16.0L (プロテアーゼ、ノボノルディスクバイオインダストリー社製)
・蛍光染料;チノパールCBS(チバ・ガイギー社製)

【特許請求の範囲】
【請求項1】(a) 次の一般式(I) にて示される非イオン界面活性剤、及びR1O(EO)p(PO)q(EO)rH (I)〔R1は炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基である。EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを示す。p 、q 及びr は平均付加モル数であり、p は1〜13、q は1〜4、r は1〜13である。〕
(b) 次の一般式(II)にて示される非イオン界面活性剤R2O(EO)m(PO)nH (II)〔R2は炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基である。EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを示す。m 及びn は平均付加モル数であり、mは2〜14、n は1〜6である。〕を含有する液体洗浄剤組成物。