説明

液体濾過用フィルタの目詰まり検知装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液体を送給する配管の途中に設けた液体濾過用のフィルタの目詰まりを検知するための液体濾過用フィルタの目詰まり検知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来は、フィルタの目詰まりを経験などから設定した使用時間又は流過水量によって想定して、フィルタの補修又は交換などを行うのが一般であった。この方法では、設定した使用時間又は流過水量を基準にするために、フィルタの目詰まりによって必要流量が得られなくなっても補修などを行わない不都合や、目詰まりが起きていないのに補修などを行う無駄が生じた。
【0003】また、図に示した配管図のように、フィルタ41を装着した配管42にフィルタ41に並列させて差圧計43を設けたバイパス配管44を設け、差圧計43が示すフィルタ41の前後の配管の圧力差が予め設定した圧力差に達したことにより、フィルタ41の目詰まりと判断することも行われた。図に示した構造では、フィルタ41の上流側の圧力が増大した場合には、流量が増大するがフィルタ41の前後の配管の圧力差も増大する。このため、必要流量が得られているにもかかわらず目詰まりと判断し、不必要にフィルタ41の補修又は交換などを行う無駄が生じた。
【0004】次に、フィルタ41の上流側の圧力が減少した場合には、流量が減少するがフィルタ41の前後の配管の圧力差も減少する。このため、必要流量が得られていないにもかかわらず目詰まりと判断せず、必要なフィルタ41の補修又は交換を行わないなどの不都合が生じた。同様なことが、フィルタ41の下流側の圧力が減少したり増大したりした場合にも起きていた。
【0005】更に、前記の設定した使用時間又は流過水量を基準にしてフィルタの目詰まりを想定する場合も、図のようにフィルタ41の前後の配管の圧力差の増大によってフィルタの目詰まりを検知する場合も、フィルタの掃除などを行う直前の流量が必要流量であるようにされているので、補修などを行った直後の流量は、フィルタの流量抵抗が小さいため極めて大きくなり、このため、フィルタなどを損傷し寿命を短くするなどの不都合も生じた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の従来のフィルタの目詰まりの想定方法や検知方法が、必要流量が得られなくなるほど目詰まりしていても、これを想定することができなかったり、必要流量が得られていても目詰まりと判断したり、必要流量が得られていないにもかかかわらず目詰まりと判断しなかったり、補修などを行った直後の流量が大きすぎてフィルタを損傷し寿命を短くするなどの課題を解決し、更には、簡便な装置によりこれらの目的を達成するようにしたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明は、配管に液体濾過用フィルタを装着し、この液体濾過用フィルタの二次側に液体用流量センサと電動式ボールバルブ等を用いた液体用の流量調節バルブを直列に装着し、この流量センサと流量調節バルブをそれぞれ流量制御用コントローラに接続し、この流量制御用コントローラにより、中間開度で所定流量が流れるように設定された前記流量調節バルブを前記液体濾過用フィルタの目詰まり進行に応じて全開方向に調節しながら配管の流量を予め設定した流量に保たせる定流量機能を有すると共に、全開方向のみに調節された流量調節バルブの開度が全開時に達し、所定流量が保てなくなったときに目詰まり信号を発し、この信号を受けた前記流量制御用コントローラにより報知信号を出して液体濾過用フィルタの目詰まりを検知し報知するように構成した。
【0008】
【作用】流量制御用コントローラは、流量センサから受ける流量情報に基づき、配管内の流量を予め設定した流量に保つように、中間開度で所定流量が流れるように設定された流量調節バルブを液体濾過用フィルタの目詰まり進行に応じて全開方向に調節して定流量機能を有する作用を行う。この作用によって、フィルタが目詰まりしていない状態では、フィルタの流量抵抗が小さく流量が増大する傾向があるので、流量調節バルブの開度を小さくし、フィルタの目詰まりが進むに従って、流量調節バルブの開度を全開方向のみへ大きくする。
【0009】全開方向に調節された流量調節バルブの開度が全開時に達し、所定流量が保てなくなったときに目詰まり信号を発する。この信号を受けた流量制御用コントローラにより報知信号を出して液体濾過用フィルタの目詰まりを検知し、この検知信号により音や光を発したり表示したりして報知するようになっている。また、この検知信号を利用し、他の装置を連動させて動作させたり、遠い場所で警報を出したりすることもできる。
【0010】この装置では、フィルタの目詰まり状態とは無関係に流量を予め設定した流量に保っているので、過大な流量によってフィルタなどを損傷し寿命を短くしたり、必要流量が得られずに不都合を生じたりすることがない。また、必要流量が得られているのに目詰まりと報知したり、必要流量が得られていないのに目詰まりの報知をしなかったりすることがなく、このための無駄や不都合を生じない。
【0011】
【実施例】図1は、本発明における液体濾過用フィルタの目詰まり検知装置の一実施例を示す正面図であり、図中の1は液体濾過用フィルタ、2は液体を送給する配管、3は液体用流量センサ、4は液体用流量調節バルブ、5は流量制御用コントローラであり、6及び7は電気結線である。図1において、配管2の途中に設けた液体濾過用フィルタ1の二次側には、流量センサ3と流量調節バルブ4が直列に装着してあり、流量調節バルブ4は電動式ボールバルブであって、電気結線7を通して流量制御用コントローラ5の作用によって開度が調節され、コントローラ5は、流量センサ3からの結線6を通して受けた流量情報に基づき流量調節バルブ4の開度を調節して、配管2内の流量を予め設定した流量に保つような定流量機能を有する。また、コントローラ5は、流量調節バルブ4の開度が全開時で、流量を予め設定した流量に保つことができなくなったときに液体濾過用フィルタ1の目詰まりとして、例えば音や光を発したり表示したりして報知するように構成している。
【0012】図1において、配管2の流れ方向は図中に矢印で示したように左方から右方へであり、フィルタ1、流量センサ3及び流量調節バルブ4の配列順序は、図1に示した配列である。また、コントローラ5は、流量センサ3又は流量調節バルブ4に一体に組付けられていても良い。なお、上記の例以外に、流量センサ3を流量調節バルブ4の下流側に配置しても良い。
【0013】図2において、フィルタ31を装着した配管32に流量センサ33と流量調節バルブ34を直列に装着してあり、流量センサ33とコントローラ35とが結線されている。
【0014】次に、図1に示した実施例に基づき、その作用を説明する。液体用流量センサ3によって配管2内の流量を検知し、この流量情報が結線6を通して流量制御用コントローラに送られ、このコントローラ5は、この開度情報に基づいて結線7を通して、中間開度で、所定流量に設定されている液体用流量調節バルブ4の開度を全開方向へ調節し、液体濾過用フィルタ1が目詰まりしていない状態では、フィルタ1の流量抵抗が小さいので流量調節バルブ4の開度を小さくして、ここでの流量抵抗を大きくし、フィルタ1の目詰まりが増えるに従ってフィルタ1の流量抵抗が次第に大きくなるので、流量調節バルブ4の開度を全開方向のみへ順次大きくして、ここでの流量抵抗を減らし、配管2内の流量を予め設定した流量に保っている。
【0015】また、流量制御用コントローラ5は前記のように、流量調節バルブ4の開度が全開時で、流量を予め設定した流量に保つことができなくなったときに、フィルタ1が目詰まりしたと検知し、この検知信号により音や光を発したり表示したりして報知する。
【0016】上記の各例に示した液体濾過用フィルタ(濾過器)は、上述のように、液体の流体を濾過するためのフィルタを配管の途中に配設する場合の各種のフィルタに応用できる。
【0017】
【発明の効果】本発明における液体濾過用フィルタの目詰まり検知装置は、既に詳述したように所定流量(例えば20リットル/min)が得られているのに目詰まりと報知したり、所定流量が得られていないのに目詰まりの報知をしなかったりすることがなく、フィルタの補修又は交換などを行う必要があるときにだけ、そして必要があるときには必ず目詰まりを報知するので、無駄や不都合が生じるおそれがなく、確実にかつ安定した目詰まり信号を得ることができ、フィルタの交換時の報知が正確である。また、液体濾過用フィルタの目詰まり状態とは無関係に、流量を予め設定した流量に保った定流量機能も併せて有しているので、過大な流量によって液体濾過用フィルタなどが損傷し寿命を短くすることもない。には、適用流体が液体であって非圧縮流体であるから、全開方向に調節された流量調節バルブの開度が全開時に達し、所定流量が保てなくなったときを検知するだけで良いため、簡便な制御で確実に検知することが可能であり、しかも安価にして耐久性を有した液体濾過用フィルタの目詰まり検知装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体濾過用フィルタの目詰まり検知装置の一実施例を示す正面図である。
【図2】本発明のフィルタの目詰まり検知装置の一例を説明するための配管図である。
【図3】従来のフィルタの目詰まり検知装置の例を示す配管図である。
【符号の説明】
1 液体濾過用フィルタ
2 配管
3 液体用流量センサ
4 液体用流量調節バルブ
5 流量制御用コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 配管に液体濾過用フィルタを装着し、この液体濾過用フィルタの二次側に液体用流量センサと電動式ボールバルブ等を用いた液体用の流量調節バルブを直列に装着し、この流量センサと流量調節バルブをそれぞれ流量制御用コントローラに接続し、この流量制御用コントローラにより、中間開度で所定流量が流れるように設定された前記流量調節バルブを前記液体濾過用フィルタの目詰まり進行に応じて全開方向に調節しながら配管の流量を予め設定した流量に保たせる定流量機能を有すると共に、全開方向のみに調節された流量調節バルブの開度が全開時に達し、所定流量が保てなくなったとき目詰まり信号を発し、この信号を受けた前記流量制御用コントローラにより報知信号を出して液体濾過用フィルタの目詰まりを検知し報知するように構成したことを特徴とする液体濾過用フィルタの目詰まり検知装置。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【特許番号】第2808538号
【登録日】平成10年(1998)7月31日
【発行日】平成10年(1998)10月8日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−192670
【出願日】平成4年(1992)6月29日
【公開番号】特開平6−18401
【公開日】平成6年(1994)1月25日
【審査請求日】平成6年(1994)4月4日
【審判番号】平8−13225
【審判請求日】平成8年(1996)8月8日
【出願人】(999999999)株式会社 キッツ
【合議体】
【参考文献】
【文献】特開 昭62−70731(JP,A)
【文献】特開 昭63−134022(JP,A)