説明

液体炭化水素原料に対する化学ループ燃焼のための最適化された方法および装置

本発明は、少なくとも1種の液体炭化水素フィードの化学ループ燃焼のための装置および改善された方法であって、微粒化ガス中に微細に分散した液滴を形成可能な微粒化手段(6)を介して、燃焼ゾーン(3)の上流側の金属酸化物運搬ゾーン(2)に液体フィードを供給するように、液体フィードを微粒化ガスと混合するステップと;液滴の形態の液体フィードを噴霧して運搬ゾーン(2)内の金属酸化物の少なくとも一部と接触させるステップであって、運搬ゾーン(2)内の動作条件は、液体フィードを噴霧した後の見掛けガス速度が金属酸化物粒子の運搬速度よりも高くなるように選択されるステップと;金属酸化物の還元が可能な燃焼ゾーン(3)に運搬ゾーン(2)からの流出物の全てを送るステップであって、燃焼ゾーン(3)は少なくとも1つの濃密相流動床を備えるステップと、を含む方法に関する。本発明はCO2捕捉およびエネルギー生産に有利に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体フィード(feed)の化学ループ燃焼、特にこの方法を実施するための新技術に関する。
【0002】
発明の背景
液体フィードの化学ループ燃焼は、液体炭化水素フィードを高温で金属酸化物と接触させるものである。すると金属酸化物は、それに含まれる酸素の一部を生成し、これが炭化水素の燃焼に関与する。この燃焼後、フューム(fumes)は、主に酸化炭素、水、およびおそらくは水素を含有する。実際、空気を炭化水素に接触させる必要はなく、したがってフュームは、主に燃焼ガス、ならびにおそらくは粒子の運搬および流動化に使用される希釈ガス(例えば水蒸気)で構成される。このように、高いCO2含量(>90体積%)の、ほとんど窒素を含まないフュームを生成することが可能であり、これによりCO2捕捉、次いで貯蔵が考慮され得る。燃焼に関与した金属酸化物は、次いで別の反応容器に運搬され、そこで酸化物は再酸化するために空気と接触する。燃焼ゾーンからの粒子が燃料を含まない場合、この反応ゾーンから来るガスは、ほとんどCO2を含まず、つまりCO2は微量、例えば1〜2体積%未満の濃度でのみ存在し、金属粒子の酸化の結果、そのガスは本質的に、酸素が枯渇した空気からなる。
【0003】
化学ループ燃焼方法の実施には、燃料と接触する大量の金属酸化物が必要である。これらの金属酸化物は、一般に、鉱石粒子または工業的処理から得られる粒子(鉄鋼業または鉱業からの残渣、化学工業または精錬業からの使用済み触媒)中に含有される。また、例えば酸化され得る金属(例えば酸化ニッケル)が堆積されたアルミナまたはシリカ−アルミナ担体等の、合成材料を使用することができる。使用される金属酸化物に依存して、理論上利用可能な酸素の量は大きく変動し、約30%の高い値に達し得る。しかしながら、材料によっては、実際に利用可能な酸素の最大容量は、一般に、存在する酸素の20%以下である。したがって、これらの材料の酸素を生成する能力は、全体的に、粒子の数重量パーセント以下であり、また酸化物ごとに大きく変動し、一般には0.1重量%から10重量%、多くの場合0.3重量%と1重量%の間の範囲である。したがって、流動床を使用した実施が、燃焼を実行するために特に有用である。実際、流体の特性が粒子に付与されれば(流動化)、微粉化された酸化物粒子は、燃焼および酸化反応容器内、ならびにこれらの容器間でより容易に循環する。
【0004】
化学ループ燃焼は、例えば蒸気または電気の形態でのエネルギーの生産を可能にする。フィード燃焼熱(feed combustion heat)は、従来の燃焼において見られるものと同様である。フィード燃焼熱は、化学ループにおける燃焼熱および酸化熱の合計に相当する。燃焼熱および酸化熱の間の分布は、化学ループ燃焼を実行するために使用される金属酸化物に大きく依存する。ある場合には、金属の酸化および還元の間で発熱性が分布する。またある場合には、酸化が極めて発熱性であり、還元が吸熱性である。いずれの場合においても、酸化熱および還元熱の合計は、燃料の燃焼熱に等しい。熱は、燃焼および/もしくは酸化容器の内部や壁に配置された、あるいは、燃焼および/もしくは酸化容器に付加された、またフュームライン上、または金属酸化物移送ライン上に配置された交換器により取り出される。
【0005】
固体フィードおよびガスフィードの燃焼は、文献中で十分に説明されている。液体フィードの燃焼の原理は既知である(特許出願FR-08/02,450)。しかしながら、ガスおよび固体フィードに対して、液体フィードの化学ループ燃焼には、以下に記載する重要な固有の特徴が関与する。
【0006】
液体フィードと金属酸化物との間の接触に際して、フィードの部分が噴霧されるが、液体燃料が非常に高い温度に曝されることにより生じる熱分解に起因して、コークが粒子上に沈積する。フィードが重質である程、それらはより大量のコークを形成する傾向がある。したがって、ディーゼル燃料または減圧留出物に対しては、形成されるコークの量は、噴射されるフィードの約1%から20%である。常圧残油または減圧残油に対しては、形成されるコークの量は、噴射されるフィードの性質に依存して、10%から80%の範囲である。このコーク形成は、フィードの性質(アスファルテン含量またはコンラドソン炭素含量を測定することにより決定され得るコーク前駆体濃度)に依存する。また、コーク形成は、接触条件(温度、酸化物流量に対する炭化水素流量の比、液滴径、粒径等)にも依存する。フィードと金属酸化物との間の接触後、炭化水素と金属酸化物との間の2種類の燃焼反応が生じるが、より容易な第1の反応は、ガス状炭化水素と酸化物粒子との間の接触から生じ、より遅い第2の反応は、粒子上に沈積したコークの合成ガスへのガス化から生じ、この合成ガスはその後金属酸化物により急速に燃焼する。
【0007】
したがって、燃焼反応を可能な限りすばやく生じさせるために、液体フィードの噴射に際してコークの形成を最小限化することが重要である。
【0008】
一方、不可避のコーク形成を考慮すると、燃焼ゾーンに戻る粒子が、形成されたコークを全て除去するのに十分長くそこに留まることを確実にすることが重要である。フィードが固体である場合とは異なり、この場合、実際には、まだコーキングされている酸化物粒子を非コーキング粒子から分離することを考慮するのは不可能である。固体フィード燃焼においては、石炭粒子と酸化物粒子との間の密度差、サイズ差、またはさらに磁気特性差が大きい。液体フィードの場合、燃焼ゾーン内の粒子は、コーキングされた金属酸化物粒子および非コーキング金属酸化物粒子のみであり、これらの特性は非常に近い。
【0009】
本発明は、液体フィードの化学ループ燃焼の実施に関連した上記問題の全てを克服することを可能とする。
【0010】
発明の説明
発明の概要
本発明は、少なくとも1種の液体炭化水素フィードの化学ループ燃焼のための改善された方法であって、
− 微粒化ガス中に微細に分散した液滴を形成することのできる微粒化手段(6)を介して、燃焼ゾーン(3)の上流側の金属酸化物運搬ゾーン(2)に液体フィードを供給するように、液体フィードを微粒化ガスで微粒化する(atomizing)ステップと;
− 液滴の形態の液体フィードを噴霧して(spraying)運搬ゾーン(2)内の金属酸化物の少なくとも一部と接触させるステップであって、運搬ゾーン(2)における運転条件は、液体フィードを噴霧した後の見掛け(superficial)ガス速度が、金属酸化物粒子の運搬速度(transport velocity)よりも高くなるように選択されるステップと;
− 金属酸化物の還元が可能な燃焼ゾーン(3)に、運搬ゾーン(2)からの流出物の全てを送るステップであって、前記燃焼ゾーン(3)は、少なくとも1つの濃密相(dense-phase)流動床を備えるステップと
を含む方法に関する。
【0011】
濃密相燃焼ゾーン(3)は、有利には、濃密相流動床(複数可)中の粒子の流体力学動態(hydrodynamics)が、連続した少なくとも2つの完全撹拌反応器、または連続した少なくとも2つの流動床段階(stages)に相当するような寸法とされる(dimensioned)。
【0012】
微粒化手段(6)は、好ましくは、運搬ゾーン(2)の反応器の壁に配置され、運搬ゾーン(2)の中心に向かって配向した噴流(jet)を形成するように選択される。
【0013】
噴流は、好ましくは、7°と20°の間の範囲の垂直面内の開口角度(opening angle)、および30°と80°の間の範囲の水平面内の開口角度を有する鉛筆(pencil)の形状を有する。
【0014】
好ましくは、噴射される液体フィードの液滴は、前記粒子の平均粒径の0.5倍と2倍の間の範囲のザウター平均粒径を有する。
【0015】
金属酸化物粒子は、酸化ゾーン(1)からライン(13)を介して、または燃焼ゾーン(3)から来る粒子のリサイクルを介して、または酸化ゾーン(1)からの再酸化金属酸化物と燃焼ゾーン(3)からの金属酸化物との混合物の形態で、運搬ゾーン(2)に供給することができる。
【0016】
酸化ゾーン(1)から直接来る金属酸化物は、酸化ゾーン(1)と燃焼ゾーン(3)との間で循環する金属酸化物の総量の50%以下の画分(fraction)が、運搬ゾーン(2)における液体フィードの噴霧に関与する(takes part in)ように、燃焼ゾーン(3)の濃密相流動床(複数可)に供給することができる。
【0017】
本発明による方法の一実施形態において、運搬ゾーン(2)からのガスおよび粒子は、燃焼ゾーン(3)の少なくとも1つの流動床の基部(base)に一緒に供給され、運搬ゾーン(2)の上部は、前記流動床への分散(dispersion)手段を備える。
【0018】
本発明による方法の別の実施形態において、ガスおよび粒子は、金属酸化物の大部分(major part)を含まないガスおよびガスの大部分を含まない金属酸化物を、燃焼ゾーン(3)に別個に供給するため、またはガスの大部分を含まない金属酸化物を燃焼ゾーン(3)に供給し、燃焼ゾーン(3)からガス相を放出するために、運搬ゾーン(2)の出口で分離される。
【0019】
好ましくは、液体フィードは、単独または混合物としての炭化水素画分で構成され、その10%未満が、340℃未満の沸点温度を有する。
【0020】
好ましくは、燃焼ゾーン(3)の少なくとも1つの濃密相流動床は、金属酸化物粒子の流れを段階的にする(staged)ことが可能な手段(25)を備える。
【0021】
一実施形態において、燃焼ゾーン(3)は、一方が他方の上に配置された少なくとも2つの濃密相流動床反応器(3a)および(3b)を備え、これらの2つの反応器の外壁は、反応器(3a)の濃密相を反応器(3b)の流動濃密相に連続的に拡張する(extend)ように一致する(coinciding)。
【0022】
本発明はまた、少なくとも1種の液体炭化水素フィードの化学ループ燃焼のための装置であって、
− 実質的に細長く、実質的に垂直な金属酸化物運搬ゾーン(2)と、
ただし該金属酸化物運搬ゾーンは、
・液体フィードを微粒化ガスと混合するための手段と、前記運搬ゾーンの周縁部に配置された液体フィード微粒化手段(6)とを備える、液体フィード噴射手段、および、
・金属酸化物の少なくとも一部のための供給手段
を備え、
− 少なくとも1つの濃密相流動床を備える、金属酸化物の還元を介した噴霧されたフィードのための燃焼ゾーン(3)であって、運搬ゾーン(2)は、前記燃焼ゾーン(3)の上流側に配置された、燃焼ゾーン(3)と
を備える装置に関する。
【0023】
好ましくは、燃焼ゾーン(3)は、1つまたは複数の燃焼反応器に、2つを超える複数の濃密相流動床を備える。
【0024】
金属酸化物供給手段は、酸化ゾーン(1)からの運搬ライン(13)、および/または燃焼ゾーン(3)から来る粒子のためのリサイクルラインを備えることができる。
【0025】
運搬ゾーン(2)は、その出口に、燃焼ゾーン(3)へのガスおよび固体粒子の分散のための分散手段を備えることができる。
【0026】
運搬ゾーン(2)は、その出口に、ガスおよび固体粒子分離手段を備えることができる。
【0027】
本発明による方法は、CO2捕捉に使用することができる。好ましくは、CO2捕捉率Sは、90%を超える。
【0028】
本発明による方法は、エネルギー生産に使用することができる。
【0029】
詳細な説明
本発明の目的は、制御された最適な液体の噴射を金属酸化物と接触させ、燃焼ゾーン内の粒子の滞留時間を制御することを可能にする、液体の化学ループ燃焼に好適な反応ゾーンのレイアウトを提供することである。これにより、燃焼反応器内の粒子上に堆積したコークの燃焼の大部分を達成することができ、したがって、酸化反応器のガス状流出物において、化学ループ燃焼プロセスに供給された液体フィードの燃焼から生じるCO2を、最大10%、好ましくは5%もしくは2%、またはさらにそれ未満とすることができる。したがって、CO2捕捉率S(金属酸化物の還元を通じて燃焼ゾーンのフューム中に放出されるCO2の、プロセスの全CO2放出量に対する比として定義される)は、好ましくは90%を超える。
【0030】
実際、金属酸化物の還元を介した燃焼ゾーンのフューム中では、CO2が極めて濃縮されており、貯蔵ゾーンに運搬され得る。これに対し、酸化ゾーンのフュームは、空気の窒素中に希釈されたCO2が少しだけ含有され、これは、CO2貯蔵の可能性を不利にしている。
【0031】
本発明による化学ループ燃焼方法において、液体フィードの噴霧は、酸化反応器から来る、またはすでに炭化水素と接触している高温金属酸化物との接触の際に行われる。コーク形成を最小限化するための液体フィード噴霧条件の制御は、好ましくはそのサイズが金属酸化物粒子のサイズに近い液滴の形態で、細かく微粒化された液体フィードを噴射することにより提供される。
【0032】
前記液滴は、液体フィードの液滴との接触の際に粒子の更新(renewal)が、制御された循環運動(circulation movement)により提供されるように、酸化物金属運搬ゾーンに噴射される。
【0033】
粒子流動化速度が粒子運搬速度より遅く、固体の循環(circulation)が本来的に流動化の質および反応器の形状に依存する、濃密(dense)流動床への液滴の噴射は、この意味では満足のいくものではないことを強調する必要がある。したがって、液滴は、好ましくは、粒子が運搬されるライン内に噴射され、その場合液滴と接触する粒子の更新は、運搬ラインの境界(boundaries)における圧力バランスにのみ依存し、この圧力バランスは、設備の寸法決定の際、または動作中に、循環ループの要素間の圧力差を調節することによって、ソリッド循環バルブ(solid circulation valves)の開閉を変化させることによって、または流動化流量を調節することによって、調節することができる。したがって、本発明による方法において、運搬ゾーンは、一般に、実質的に細長く、好ましくは垂直である。この運搬ゾーンの境界での運転条件(流量、圧力等)は、液体フィードを噴霧した後の見掛け(superficial)ガス速度が、粒子運搬速度よりも大きくなるように選択される。「液体フィードを噴霧した後の見掛けガス速度」と呼ばれるものは、運搬ゾーンにおける反応器の断面(section)に対する、液体フィードから来るガス、および触媒を流動化し液体フィードを微粒化することを意図する補助ガスで構成されるガス相の流量である。
【0034】
金属酸化物流量と液体流量との間の質量比は、一方では粒子との接触により十分なエネルギーを液滴に提供するように、他方では熱交換および各部分へのコーク堆積を調整する(condition)粒子の界面面積(interfacial area)を最大化するように、ならびに、その後、液体フィードの画分の噴霧および反応を通じて、ガス相(液体フィードから来るガスおよび触媒を流動化し液体フィードを微粒化することを意図する補助ガスからなる)から粒子への運動量(movement quantity)の伝達により粒子の運搬を提供するように、典型的には2と100の間、好ましくは5と30の間の範囲である。液滴は、好ましくは、反応器の周縁部に噴射され、そこで粒子は、反応器の周囲に配置された、反応器の中心に向かう噴流(jet)を形成する多数の微粒化手段の作用により運搬される。
【0035】
好ましくは、各微粒化器により形成された噴流は、鉛筆の形状を有し、噴流の開口は、触媒循環が横切らなければならない液滴のカーテンを生成するように、最大限の反応器断面をカバーすることを可能にする。
【0036】
好ましくは、水平面に投影される前記鉛筆の開口角度は、30°と80°の間の範囲である。
【0037】
好ましくは、垂直面内の鉛筆の開口角度は、形成される噴流の厚さを制限するために、7°と20°の間の範囲である。
【0038】
液滴噴流は、少なくとも一部が液滴の微粒化に使用されたガス(好ましくは、水蒸気、または水蒸気−CO2混合物、またはリサイクルされたフューム)中に浮遊した液滴からなる。
【0039】
液滴と共に噴射されるガスの質量比は、有利には、1重量%と15重量%の間、好ましくは3重量%と8重量%の間の範囲である。
【0040】
液滴および液滴と共に噴射されるガスは、一般に、10m/sと150m/sの間、好ましくは30m/sと100m/sの間の範囲である平均見掛け速度で運搬ゾーンに達する噴流を形成する。粒子流に進入するように、高い速度でガス−液滴サスペンジョンを運搬ゾーンに噴射することが重要である。
【0041】
ガスの存在下で高い液体流量で微小な大きさの液滴を形成することを可能にする微粒化手段は、当業者に知られている。例えば、ベンチュリ型噴射器を使用することができ、ここでは制限された通路を通して液体の微粒化がガスの存在下で行われ、次いでサスペンジョンが発散型拡散器(divergent diffuser)を通って流れた後、末端部で整形される。また、標的(target)を含む衝撃型噴射器(impact type injector)を使用することができ、標的の上に液体流が高速で流れ、ガス流によりせん断された後、噴流整形末端部に運搬される。すでに文献に記載されているより複雑なシステムもまた考えられる。これらの噴射器は、高い単位流量(最大30〜60m3/hの液体)での液滴の形成を可能にし、液滴のサイズは、約100ミクロンもしくはそれより小さく、ガス流量は、液体の3重量%と8重量%の間の範囲であり、一方でエネルギー散逸は10〜15バール(1.0〜1.5MPa)未満の圧力降下に制限される。
【0042】
有利には、化学ループ燃焼反応は、平均粒径(ザウター粒径)が50ミクロンと300ミクロンの間の範囲である金属酸化物粒子を用いて行われ、噴射された液体フィードの液滴は、粒子の平均粒径の0.5倍と2倍の間の範囲、好ましくは粒子の平均粒径の0.8倍と1.2倍の間の範囲のザウター平均粒径を有する。
【0043】
運搬ゾーンを通って流動する金属酸化物粒子は、液体フィードと接触する前に、濃密流中で(in a dense flow)運搬される(噴霧および反応から生じるガスの非存在下)。
【0044】
液滴と接触する前、金属酸化物粒子のサスペンジョンの空隙率は、有利には、0.5体積部分(volume parts)と0.9体積部分の間、好ましくは約0.7体積部分と0.9体積部分の間の範囲である。液体フィードとの接触前の粒子サスペンジョンの運搬速度は、有利には、0.3m/sと5m/sの間、好ましくは約0.6m/sと2m/sの間の範囲である。そのような条件下では、粒子は、十分濃密な形で運搬ゾーンを通って流れ、これにより、粒子によって液滴に供給される熱の良好な分散、および運搬ゾーン内を循環する全ての粒子のうちの粒子と液体との間の接触から生じるコークの均一な分布が可能になる。
【0045】
噴射されて粒子と接触する炭化水素の大部分を噴霧した後、運搬ゾーン内の見掛けガス速度は増加し、これにより、圧力降下の形態でのエネルギー散逸を最小化しながら金属酸化物が運搬され得る。実際、ガス相の体積の増大は、粒子の希釈、およびさらに希釈を増大させる粒子の加速を引き起こす。
【0046】
噴霧された炭化水素の燃焼、噴霧されていない画分のコーキング、および形成されたコークのガス化の反応は、運搬ゾーン内で開始する。このゾーンは、好ましくは、実質的に細長い反応器の形状を有する。液体と金属酸化物との間の接触を最適化するために、運搬反応器の直径は、可能な場合は、2メートルと3メートルの間の範囲の直径に制限される。反応器の高さは、設備の圧力バランスに依存し、合理的には、5メートルと50メートルの間、好ましくは10メートルと30メートルの間の範囲である。運搬ゾーン内で運搬される粒子の質量流量は、50kg/s/m2と1500kg/s/m2の間、好ましくは300kg/s/m2と1000kg/s/m2の間の範囲であり、運搬ゾーンの上部におけるガス速度は、運搬ゾーン内の圧力降下を制限するために、一般には30m/sを超えない。ガス速度は、分解(crack)される炭化水素フィードの部分の噴霧に起因する。ガス速度は、有利には、フィード噴射装置の下流側に運搬ガス(例えばフューム)を追加することにより制御することができる。
【0047】
しかしながら、運搬ゾーン内の粒子およびガスの滞留時間は、一般に、噴射された炭化水素の全燃焼を考慮するには短過ぎ、加えて全燃焼は非常に大量の金属酸化物を必要とする。実際には、運搬ゾーン内のガスの運搬速度は、合理的には、2m/sと30m/sの間の範囲であり、粒子は、平均的に、ガスの2倍から3倍緩やかに循環する。そのような条件下において、運搬反応器内のガスおよび粒子の滞留時間は1分未満であり、これは、炭化水素、および特に粒子上に堆積したコークの全燃焼を考慮するには速過ぎる可能性がある。
【0048】
実施条件に依存して、噴霧された炭化水素およびコークを完全燃焼するためには、金属酸化物−炭化水素接触時間を増加させることが必要である。これは、有利には、1つまたは複数の濃密相流動床を用いて燃焼ゾーン内で達成され、そこでは見掛けガス速度は一般に、最小粒子流動化速度と運搬状態(transport regime)を限定する速度の間の範囲である。現実面では、使用される粒子の種類および考慮される粒子サイズに対して、見掛けガス速度は、有利には、0.05m/sと2m/sの間、好ましくは0.1m/sと1m/sの間の範囲である。流動床の空隙率は、有利には、濃密相において0.4体積部分(parts by volume)と0.8体積部分の間、好ましくは0.5体積部分と0.7体積部分の間の範囲である。流動床の濃密相の高さは、有利には、粒子上に堆積したコークの燃焼の進行に十分な時間を許容するために、濃密相内の粒子の滞留時間に従って決定される。したがって、運搬ゾーン内、および運搬ゾーンの下流側の燃焼ゾーンの流動床(複数可)内の粒子のオーバーオールの滞留時間は、多くの場合、化学ループ燃焼に使用される金属酸化物の反応性に依存して、1分と15分の間、好ましくは1分と5分の間の範囲である。
【0049】
有利には実質的に細長い反応器の形状を有する、液体フィードと金属酸化物粒子との間の接触を可能にする運搬ゾーン(2)は、好ましくは、燃焼ゾーン(3)の最初の濃密相流動床に開口する。多くのレイアウトが可能である。
【0050】
したがって、運搬ゾーン(2)の上部に、流動床へのその分散を可能にする当業者に周知の手段(反応器壁における横方向の穴、運搬反応器の上部を閉じる末広の有孔板、有孔板のオリフィスの最適化された寸法決定による、流動床の濃密相におけるガスおよび粒子の分配等)を設けることにより、燃焼ゾーン(3)の流動床の基部でガスおよび粒子を一緒に導入することができる。
【0051】
また、運搬ゾーン(2)にガス−粒子分離器を装備し、金属酸化物の大部分を含まないガスおよびガスの大部分を含まない金属酸化物を、濃密相流動床燃焼ゾーン(3)に別個に導入することができる。
【0052】
また、変形例において、運搬ゾーン(2)にガス−粒子分離器を装備し、ガスの大部分を含まない金属酸化物を濃密相流動床燃焼ゾーンに別個に導入し、濃密相流動床ゾーン(3)を迂回して反応ゾーンのガス相を放出することを考慮することも可能である。しかしながら、そのような条件下において、運搬ゾーンから出るガス相は、一般に不完全燃焼し、動作条件および特に運搬ゾーン内を循環する金属酸化物流の流量に依存して、高い割合のCO、H2または未燃炭化水素を含有する。
【0053】
燃焼反応を完了するためには、酸化ゾーン(1)から直接来る金属酸化物は、有利には、少なくとも1つの濃密相流動床を備える燃焼ゾーン(3)に供給される。
【0054】
実際には、液体フィードとの良好な接触に必要な金属酸化物の量は、大体において(使用される金属酸化物の性質およびその酸素移送能力に依存する)、反応を行うのに必要な、または化学ループの熱バランスを提供するのに必要な化学量論量に相当しない。液体フィードとの良好な接触および運搬ゾーン(2)内の燃焼化学量論の提供に必要な金属酸化物粒子の量は、一般に、酸化ゾーン(1)と燃焼または還元ゾーン(3)との間で循環する金属酸化物の流量の50%未満に相当する。
【0055】
したがって、好ましくは、酸化ゾーン(1)と燃焼ゾーン(3)との間で循環する金属酸化物の総量の50%から95%に相当する画分は、選択された酸素担体(carrier)に従い、酸化ゾーン(1)から来て燃焼ゾーン(3)の濃密相流動床に直接供給され、この割合は、酸素運搬能力が増加するとより低い割合に向かう傾向がある。
【0056】
本発明の別の本質的態様は、1つまたは複数の濃密相流動床を用いて行われる、燃焼ゾーン(3)内の粒子の滞留時間の制御に関する。濃密相流動床は、粒子の軸方向混合が非常に強い接触器である。第一近似において、粒子流は完全に混合されていると仮定することもできる。完全混合反応器において、反応器から出る粒子のコーク濃度は、反応器内の粒子の平均濃度に等しい。
【0057】
ここで、この反応器を最も良好に最適化し、必要な反応体積を最小化するために、ピストン流に近い流れを有することが望ましく、これにより、均一な粒子滞留時間および燃焼反応に必要な時間近辺の狭い滞留時間分布を有しながら、反応体積を最小化することができる。
【0058】
従来の流動床のままでは、必然的に、コーキングした粒子が燃焼反応器出口で空気反応器へと運ばれ、これはCO2捕捉に有害である。実際に、運んでこられたコーキングした粒子は、空気と接触すると燃焼し、これは酸化反応器流出物中の大量のCO2放出につながり、化学ループ設備のCO2捕捉効率に有害であろう。
【0059】
いくつかの完全撹拌反応器を直列に配置することにより、ピストン流に近付けることができることが周知である。図1は、無次元時定数(dimensionless time constant)τ=体積/流量の関数としての、連続したm個の完全撹拌反応器で構成される反応器内の滞留時間の累積分布関数の形態の、連続した完全撹拌反応器の数mの効果を示す。
【0060】
合理的な反応器サイズを維持しながら、化学ループ燃焼プロセスにおいて最適なオーバーオールのCO2捕捉率S(特に90%を超える、またはさらに95%を超える)を維持するために、我々は、連続した少なくとも2つの完全撹拌反応器または連続した少なくとも2つの濃密相流動床に相当する流体力学的特性を有する濃密相流動床燃焼ゾーン(3)を使用することが有利であることを観察した。例えば、連続した3つの完全撹拌反応器において得られるであろう流体力学動態と類似した粒子流体力学動態を流動床において実現することができる。そのような条件下において、粒子の1%未満は、反応器内を循環する粒子の全流量で除された流動床濃密相体積で定義される平均滞留時間の15%の間、反応器内に留まり、粒子の5%は、この平均滞留時間の0.27倍未満留まり、粒子の20%は、この平均滞留時間の0.57倍未満留まり、平均滞留時間は、ピストン流条件下における反応器内での全燃焼に必要な時間として定義される。性能の点では、そのような条件下において、粒子の流れが完全ピストン流であってそれから90%のコーク燃焼が得られるであろう反応器と同じ割合の粒子を有する反応器内のコークの82%の燃焼を行うことができるであろうことが推定され得る。同じ反応器(ただし粒子の内容量(inventory)が同一であるが、流動床における粒子流体力学動態が連続した2つの完全撹拌反応器に相当する)においては、コーク燃焼は約78%である。同じ反応器(ただし粒子の内容量が同一であるが、流動床における粒子流体力学動態が連続した単一の完全撹拌反応器に相当する)においては、粒子上に堆積したコークのわずか69%の燃焼が行われるであろう。このように、酸化ゾーン(1)に持ち込まれるコークの量は、この反応器内の粒子の流体力学動態の性質の関数として減少する。
【0061】
粒子上に堆積したコークが、炭化水素フィードの45%に対応する(represents)と仮定し、噴霧された画分が、コークよりも急速に燃焼すると考えると、そのことから、酸化ゾーンにおいて放出されるCO2は、運搬ゾーン(2)の後の濃密相燃焼ゾーン(3)において完全撹拌反応器(単数)を使用する場合、設備全体により放出されるCO2の14%に対応し、一方この値は、濃密相燃焼ゾーン(3)において、連続したN=2を超える完全撹拌反応器に相当する粒子流体力学動態を使用する場合、10%未満に低下することが導出され得る。この値は、濃密相燃焼ゾーン(3)において、連続したN=3を超える完全撹拌反応器に相当する粒子流体力学動態を使用する場合、約8%に低下する。濃密相における粒子流体力学動態が濃密相流動床ゾーンにおけるピストン流に近いほど、設備のCO2捕捉効率はより高い。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】無次元時定数τ=体積/流量の関数としての、m個の完全撹拌反応器で構成される反応器内の滞留時間の分布を図式的に示す。
【図2】本発明の実施形態の実施を可能にするプロセススキームを説明している。図2は、例2を例示している。
【図3】本発明の実施形態の実施を可能にするプロセススキームを説明している。図3は、例3および4に関連する。
【図4】本発明の実施形態の実施を可能にするプロセススキームを説明している。
【0063】
図面の簡単な説明
図1は、無次元時定数τ=体積/流量の関数としての、m個の完全撹拌反応器で構成される反応器内の滞留時間の分布を図式的に示す。
【0064】
図2、3、4は、本発明の様々な実施形態の実施を可能にするプロセススキームを説明している。図2は、例2を例示している。図3は、例3および4に関連する。
【0065】
図2
燃焼は、金属酸化物反応ゾーン:運搬ゾーン(2)および燃焼ゾーン(3)において行われる。ライン(4)を通して導入された液体フィードは、ライン(5)を通して導入された微粒化ガスと混合され、混合物は、微粒化ガスに分散した微細液滴の形成を可能にする微粒化手段(6)を介して、実質的に細長い形状の反応器である運搬ゾーン(2)に供給される。いくつかの噴射点がありうる。微粒化手段(6)は、運搬ゾーン(2)の反応器の壁に、実質的にその下部に分布する。運搬ゾーン(2)は、ガス相および固相が分散される濃密相流動床燃焼ゾーン(3)に開口する。これらのガス状流出物は全て、濃密相流動床燃焼ゾーン(3)に流入し、ライン(11)を通ってそこから出る。すると、ガス相は、本質的に、適用される化学量論的条件および反応条件に依存してCO2または(CO、H2)、水蒸気ならびに酸化硫黄および酸化窒素で構成される。流動化ガスは、ライン(8)を通して濃密相燃焼ゾーン(3)の基部(base)に導入され、全セクションにわたり均質な流動化を可能にする。この流動化ガスは、有利には、水蒸気、ライン(11)からのガス状流出物の画分、または水蒸気とライン(11)からの流出物画分との混合物であってもよい。下流側の粒子同伴を制限するために、当業者に知られたサイクロンまたは他の除塵手段が、濃密相燃焼ゾーン(3)またはその出口のライン(11)上に配置される。
【0066】
金属酸化物は、燃焼ゾーン(3)の流動床から固体を抜き出す1つもしくは複数の運搬ライン(14)、または燃焼ゾーン(3)のガス状流出物の除塵を提供するサイクロンのリターンレグ(return leg)を通して酸化ゾーン(1)に放出される。
【0067】
酸化ゾーン(1)において、液体フィードの燃焼により還元された金属酸化物は、ライン(9)を通り濃密相または循環(circulating)床条件下で動作している流動化反応器に導入された空気と接触すると、再び酸化される。本質的に酸素が枯渇した空気を含有するガス状流出物は、当業者に知られた手段を使用して除塵されてから、ライン(10)を通って酸化ゾーン(1)をその上部から出る。酸化ゾーン(1)は、循環流動床(見掛けガス速度は粒子運搬速度を超える)または濃密相流動床(見掛けガス速度は粒子運搬速度未満であり、最小流動化速度を超える)からなることができる。循環流動床の場合、酸化ゾーン(1)内を循環する酸化物の一部は、サイクロン等の分離手段による事前の分離後に、空気供給手段付近で、酸化ゾーン(1)の底部への反応器出口でリサイクルされ得る。
【0068】
金属酸化物は、再び酸化されると、次いで燃焼のために、フィードの微粒化を可能にする手段(6)の上流側の運搬ゾーン(2)に開口する1つまたは複数の運搬ライン(13)を通して、一部が運搬ゾーン(2)に送られる。流動化ガス(7)(例えば蒸気)は、運搬ライン(13)の上流側のゾーン(2)に供給され、液体フィードとの接触の上流側で流動化を提供する。金属酸化物の残りは、運搬ゾーン(2)を迂回する運搬ライン(12)を通して、濃密相燃焼ゾーン(3)に直接送られる。
【0069】
運搬ゾーン(2)における燃焼反応に関与する金属酸化物は、この例において、酸化ゾーン(1)からライン(13)を通って来る。また、金属酸化物運搬ゾーン(2)に、濃密相燃焼ゾーン(3)から来る粒子のリサイクル、または、酸化ゾーン(1)から来る再酸化された金属酸化物と燃焼ゾーン(3)から来る金属酸化物との混合物を供給することを考慮することもできる。
【0070】
図3
図3は、本発明の別の実施形態を説明しており、燃焼ゾーン(3)は、連続した3つの濃密相流動床反応器(3a)、(3b)および(3c)を備える。
【0071】
化学ループ燃焼は、反応器(2)ならびに(3a、3bおよび3c)内での金属酸化物の還元により行われる。
【0072】
ライン(4)を通して導入された液体フィードは、ライン(5)を通して導入された微粒化ガスと混合され、混合物は、微粒化ガスに分散した微細液滴の形成を可能にする微粒化手段(6)を介して、実質的に細長い反応器である運搬ゾーン(2)に供給される。いくつかの噴射点が可能である。微粒化手段(6)は、運搬ゾーン(2)の反応器の壁に、実質的にその下部に分布する。運搬ゾーン(2)は、ガス相および固相が分散される濃密相流動床燃焼ゾーンの反応器(3a)に開口する。これらのガス状流出物の全ては、濃密相流動床燃焼ゾーンの反応器(3a)に流入し、ライン(17)を通ってそこから出る。すると、ガス相は、本質的に、適用される化学量論的条件および反応条件に依存してCO2または(CO、H2)、水蒸気ならびに酸化硫黄および酸化窒素で構成される。流動化ガスは、ライン(8)を通して濃密相燃焼ゾーンの基部で反応器(3a)に導入され、全セクションにわたり均質な流動化を可能にする。この流動化ガスは、有利には、水蒸気、ライン(17)からのガス状流出物の画分、または水蒸気とライン(17)からの流出物画分との混合物であってもよい。下流側の粒子同伴を制限するために、当業者に知られたサイクロンまたは他の除塵手段が、濃密相燃焼ゾーン(3a)またはその出口のライン(17)上に配置される。
【0073】
金属酸化物は、2つの反応器(3b)および(3c)に放出され、ライン(15)および(16)を通って流入するガスにより独立して流動化され、そこで粒子は濃密相内で(粒子運搬速度未満の速度で)流動化される。これらの反応器において、粒子上に堆積したコークの燃焼が完了する。ガス状燃焼流出物は、それぞれライン(18)および(19)を通して濃密相流動化反応器(3b)および(3c)から出るが、本質的に、適用される化学量論的条件および反応条件に依存してCO2または(CO、H2)、水蒸気ならびに酸化硫黄および酸化窒素で構成される。ライン(15)および(16)を通して反応器(3b)および(3c)の基部で導入される流動化ガスは、全セクションにわたり均質な流動化を可能にする。この流動化ガスは、有利には、水蒸気、ライン(17)、(18)もしくは(19)からのガス状流出物の画分、または水蒸気とライン(17)、(18)もしくは(19)からの流出物画分との混合物であってもよい。下流側の粒子同伴を制限するために、当業者に知られたサイクロンまたは他の除塵手段が、反応器(3b)および(3c)またはその出口のライン(18)および(19)上に配置される。
【0074】
反応器(2)、(3a)、(3b)および(3c)を通した連続的通過により、堆積したコークの主要部分が燃焼した金属酸化物は、次いで、反応器(3c)の流動床から固体を抜き出す1つもしくは複数の運搬ライン、または反応器(3c)のガス状流出物の除塵を提供するサイクロンのリターンレグを通して酸化ゾーン(1)に放出される。
【0075】
酸化ゾーン(1)において、液体フィードの燃焼により還元された金属酸化物は、濃密相または循環床条件下で動作している流動化反応器に導入された空気と接触すると、再び酸化される。本質的に酸素が枯渇した空気を含有するガス状流出物は、当業者に知られた手段を使用して除塵されてから、酸化ゾーン(1)をその上部から出る。酸化ゾーン(1)は、循環流動床(見掛けガス速度は粒子運搬速度を超える)または濃密相流動床(見掛けガス速度は粒子運搬速度未満であり、最小流動化速度を超える)からなることができる。循環流動床の場合、酸化ゾーン(1)内を循環する酸化物の一部は、サイクロン等の分離手段による事前の分離後に、空気供給手段付近において、酸化ゾーン(1)の底部へ、反応器出口でリサイクルされ得る。
【0076】
金属酸化物は、再び酸化されると、次いで燃焼のために、フィードの微粒化を可能にする手段(6)の上流側の運搬ゾーン(2)に開口する1つまたは複数の運搬ライン(13)を通して、一部が運搬ゾーン(2)に送られる。流動化ガス(例えば蒸気)は、運搬ライン(13)の上流側のライン(7)を通して供給され、液体フィードとの接触の上流側で流動化を提供する。金属酸化物の残りは、運搬ライン(14)、(23)および(24)を通して濃密相燃焼ゾーン(3)に直接送られ、運搬ゾーン(2)を迂回する。ライン(13)、(14)、(23)および(4)の間の酸化物流量の分配は、有利には、ゾーン(3a)、次いで(3b)および(3c)内を循環する金属酸化物の流量を最小化することを目的として、各ゾーンにおける燃焼の分配に従い行われる。また、金属酸化物の全てを、ライン(13)を通して、ライン(13)およびライン(14)を通して、またはライン(13)、(14)および(23)を通して噴射することもできる。
【0077】
運搬ゾーン(2)における燃焼反応に関与する金属酸化物は、この例において、酸化ゾーンからライン(13)を通って来る。また、金属酸化物運搬ゾーン(2)に、濃密相燃焼ゾーン(3a、3bもしくは3c)から来る粒子のリサイクル、または、酸化ゾーン(1)から来る再酸化された金属酸化物とゾーン(3a、3bもしくは3c)から来る金属酸化物との混合物を供給することを考慮することもできる。
【0078】
図4
図4は、本発明の第3の実施形態を説明しており、燃焼ゾーン(3)は、連続した2つの濃密相流動床反応器(3a)および(3b)を備え、反応器(3b)は、金属酸化物粒子の流れを段階的にすることを可能にする内部構造(internals)(25)を備える。
【0079】
化学ループ燃焼は、反応器(2)および(3a、3b)内での金属酸化物の還元により行われる。
【0080】
ライン(4)を通して導入された液体フィードは、ライン(5)を通して導入された微粒化ガスと混合され、混合物は、微粒化ガスに分散した微細液滴の形成を可能にする微粒化手段(6)を介して、実質的に細長い反応器である運搬ゾーン(2)に供給される。いくつかの噴射点が可能である。微粒化手段(6)は、運搬ゾーン(2)の反応器壁に、実質的にその下部に分布する。運搬ゾーン(2)は、ガス相および固相が分散される濃密相流動床燃焼ゾーンの反応器(3a)に開口する。これらのガス状流出物の全ては、濃密相流動床燃焼ゾーンの反応器(3a)に流入し、ライン(17)を通ってそこから出る。すると、ガス相は、本質的に、適用される化学量論的条件および反応条件に依存してCO2または(CO、H2)、水蒸気ならびに酸化硫黄および酸化窒素で構成される。流動化ガスは、ライン(8)を通して濃密相燃焼ゾーンの基部で反応器(3a)に導入され、全セクションにわたり均質な流動化を可能にする。この流動化ガスは、有利には、水蒸気、ライン(17)からのガス状流出物の画分、または水蒸気とライン(17)からの流出物画分との混合物であってもよい。下流側の粒子同伴を制限するために、当業者に知られたサイクロンまたは他の除塵手段が、濃密相燃焼ゾーン(3a)またはその出口のライン(17)上に配置される。
【0081】
金属酸化物は、反応器(3b)に放出され、そこで粒子は、ライン(15)を通って流入するガスにより、濃密相内で粒子運搬速度未満の速度で流動化される。この反応器において、粒子上に堆積したコークの燃焼が完了する。ガス状燃焼流出物は、ライン(18)を通して濃密相流動化反応器(3b)から出るものであり、本質的に、適用される化学量論的条件および反応条件に依存してCO2または(CO、H2)、水蒸気ならびに酸化硫黄および酸化窒素で構成される。反応器(3b)の基部で導入される流動化ガス(15)は、全セクションにわたり均質な流動化を可能にする。この流動化ガスは、有利には、水蒸気、ライン(17)もしくは(18)からのガス状流出物の画分、または水蒸気とライン(17)もしくは(18)からの流出物画分との混合物であってもよい。下流側の粒子同伴を制限するために、当業者に知られたサイクロンまたは他の除塵手段が、反応器(3b)またはその出口のライン(18)上に配置される。
【0082】
反応器(3b)内に含まれる濃密相流動床は、金属酸化物粒子の流れを段階的にすることを可能にする手段(25)を構成する内部構造を備える。これらの手段は、例えば、有孔板、積層充填物、または、実質的に水平な面内に連続的に配置された棒、邪魔板もしくは山形構造(chevrons)の組である。金属酸化物は、容器(3b)内の内部構造の最上列の上の反応器(3b)内に供給され、反応器(3b)内の内部構造の最下列の下に抜き出される。金属酸化物の流れは、手段(25)により変更され、上昇するガスと下降する金属酸化物との間で向流が確立され得るが、反応器(3b)内の金属酸化物の流れは、いくつかの連続する完全撹拌反応器において観察され得る流れに近い。
【0083】
反応器(2)、(3a)および(3b)を通した連続的通過により、堆積したコークの主要部分が燃焼した金属酸化物は、次いで、反応器(3b)の流動床から固体を抜き出す1つもしくは複数の運搬ライン(22)、または反応器(3b)のガス状流出物の除塵を提供するサイクロンのリターンレグを通して酸化ゾーン(1)に放出される。
【0084】
酸化ゾーン(1)において、液体フィードの燃焼により還元された金属酸化物は、濃密相または循環床条件下で動作している流動化反応器に導入された空気と接触すると、再び酸化される。本質的に酸素が枯渇した空気を含有するガス状流出物は、当業者に知られた手段を使用して除塵されてから、酸化ゾーン(1)をその上部から出る。酸化ゾーン(1)は、循環流動床(見掛けガス速度は粒子運搬速度を超える)または濃密相流動床(見掛けガス速度は粒子運搬速度未満であり、最小流動化速度を超える)からなることができる。循環流動床の場合、酸化ゾーン(1)内を循環する酸化物の一部は、サイクロン等の分離手段による事前の分離後に、空気供給手段付近で、酸化ゾーン(1)の底部へ、反応器出口でリサイクルされ得る。
【0085】
金属酸化物は、再び酸化されると、次いで、フィードの微粒化を可能にする手段(6)の上流側の運搬ゾーン(2)に開口する1つまたは複数の運搬ライン(13)を通して、一部が運搬ゾーン(2)に送られる。流動化ガス(例えば蒸気)は、運搬ライン(13)の上流側のライン(7)を通して供給され、液体フィードとの接触の上流側で流動化を提供する。金属酸化物の残りは、運搬ライン(複数可)(24)を通して濃密相燃焼ゾーンの反応器(3b)に直接送られ、運搬ゾーン(2)を迂回する。ライン(13)および(24)の間の酸化物流量の分配は、有利には、ゾーン(3a)内を循環する金属酸化物の流量を最小化することを目的として、各ゾーンにおける燃焼の分配に従い行われる。また、金属酸化物の全てを、ライン(13)を通して、ライン(13)およびライン(14)を通して、またはライン(13)、(14)および(23)を通して噴射することもできる。
【0086】
変形例において、反応器(3b)を反応器(3a)の真下に配置することができ、この場合、これらの2つの反応器の外壁は一致する。そのような条件下において、反応器(3a)の濃密相は、反応器(3b)の流動濃密相に連続的に拡張される。すると、反応器(3b)のガス状流出物は、反応器(3b)に含まれる濃密相から来るガス状流出物の除塵を必要とすることなく、反応器(3a)の濃密相を通って流れる。
【0087】
また、金属酸化物運搬ゾーン(2)に、濃密相燃焼ゾーンの反応器(3aもしくは3b)から来る粒子のリサイクル、または、酸化ゾーン(1)からの再酸化された金属酸化物と濃密相燃焼反応器(3aもしくは3b)からの金属酸化物との混合物を通して供給することを考慮することもできる。
【0088】
本発明により提供および考慮される全ての実施において、酸化ゾーンと還元ゾーンとの間の封止(sealing)の提供、および様々な容器間の金属酸化物循環の制御を可能にする以下の手段を使用することができる:
− 金属酸化物酸化ゾーンと金属酸化物還元ゾーンとの間の封止を提供するために、これらのゾーン間のガス同伴を制限する手段を使用することができる。これらの手段は、当業者に知られたサイフォンもしくはソリッドバルブ(solid valve)(例えばL字型バルブ)、またはスライドバルブ等の、これも周知である機械式バルブからなる。
− 様々なゾーン間の循環の制御は、これらのゾーンの下流側のガス状流出物放出ライン上に配置されたバルブを用いて、様々なサイフォンおよびソリッドバルブにおいて適用される流動化流量を変化させることにより、または、機械式バルブの開口を変化させることにより、または、様々なゾーン間の圧力差を使用して調節することができる。
【0089】

化学ループ燃焼条件下で動作し、石油減圧残油(その分析を以下に計算する)からなる液体フィードを処理する燃焼ユニットの性能を計算した。
【0090】
【表1】

【0091】
使用した金属酸化物は、化学ループ燃焼の間に、使用する粒子の質量に対し1重量%の酸素を移送することができる、チタン鉱および鉄鉱である。このユニットにより処理される残油の量は、30kg/sである。残油の燃焼を提供するために必要な粒子循環は、34,000t/hである。
【0092】
第1のケースにおいて、CO2捕捉率S(設備により放出されるCO2の総量に対する、金属酸化物の還元を介して残油燃焼ゾーン内で回収されるCO2の量に相当する)を、様々なユニット構成に対して計算する。
【0093】
例1において、金属酸化物の還元を介した残油の燃焼を提供するために考慮された反応ゾーンは、金属酸化物運搬速度未満の見掛けガス速度で動作する単純な流動床であり、残油は容器壁上の微粒化手段により噴射される。
【0094】
例2において、金属酸化物の還元を介した残油の燃焼を提供するために考慮された反応ゾーンは、図2に記載のような一連の反応器からなる。ライン(13)を通して運搬ゾーンに供給される金属酸化物の量は、酸化ゾーンから来るものであり、約2000t/hの流量に相当する。循環する金属酸化物の残りは、ライン(12)を通して濃密相燃焼ゾーンに直接供給される。
【0095】
例3において、金属酸化物の還元を介した残油の燃焼を提供するために考慮された反応ゾーンは、図3に記載のような一連の反応器からなり、連なる2つの金属酸化物還元ゾーン(3a)および(3b)を考慮している。この場合、ライン(13)を通して運搬ゾーンに供給される金属酸化物の量は、酸化ゾーンから来るものであり、約2000t/hの流量に相当する。循環する金属酸化物の残りはまた、ライン(14)を通してゾーン(3a)の濃密相燃焼ゾーンに供給される。
【0096】
例4において、金属酸化物の還元を介した残油の燃焼を提供するために考慮された反応ゾーンは、図3に記載のような一連の反応器からなるが、連続した連なる5つの金属酸化物還元ゾーン(3a、3b、3c、3dおよび3e)を考慮している。この場合、ライン(13)を通して運搬ゾーンに供給される金属酸化物の量は、酸化ゾーンから来るものであり、約2000t/hの流量に相当する。循環する金属酸化物の残りはまた、ライン(14)を通してゾーン(3a)の濃密相燃焼ゾーンに供給される。
【0097】
フィードの導入に使用される微粒化手段は、全ての場合において、その原理および実施条件について同一である。加えて、各還元および酸化ゾーンから出る金属酸化物の温度は、例の間で同一であり、それぞれ900℃および950℃に等しいものとした。ゾーン(1)および(3)の出口での圧力は、約1.2バール(0.12MPa)絶対圧である。
【0098】
CO2捕捉率Sは、まず、約1130tに等しい、金属酸化物の還元による残油燃焼ゾーン全体における一定の金属酸化物内容量Mを考慮することにより計算される。この計算結果を表2に示す。
【0099】
【表2】

【0100】
次いで、90%CO2捕捉率Sに達するために金属酸化物の還元による残油燃焼ゾーン全体において必要な金属酸化物内容量Mを計算する。この計算結果を表3に示す。
【0101】
【表3】

【0102】
例1および2を比較すると、本発明による方法を実施して残油を運搬ゾーン(2)に噴射することにより、金属酸化物還元ゾーンのフュームにおけるCO2捕捉率Sを実質的に改善することができる(表2)、または、90%に等しい一定のCO2捕捉率Sを維持しながら、燃焼に必要な粒子内容量(ひいては反応器のサイズおよび本方法を実施するために必要な投資)を実質的に削減することができることが示される。これは、金属酸化物粒子と細かく微粒化された残油との接触に際して形成されるコークの量の実質的な低減に起因する。
【0103】
例2、3および4を比較すると、濃密相流動床燃焼ゾーン(3)における反応器の数の増加により、連続したいくつかの流動化反応器間で同じ内容量が分配された場合、捕捉率Sを改善することができる、または、90%に等しい一定のCO2捕捉率Sを維持しながら、必要な内容量、ひいては反応器のサイズおよび燃焼法を実施するために必要な投資を大きく低減することができることが示される。これは、濃密相還元中の粒子流のより良好な制御に起因する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の液体炭化水素フィードの化学ループ燃焼のための改善された方法であって、
微粒化ガス中に微細に分散した液滴を形成することが可能な微粒化手段(6)を介して、燃焼ゾーン(3)の上流側の金属酸化物運搬ゾーン(2)に液体フィードを供給するように、液体フィードを微粒化ガスで微粒化するステップと;
液滴の形態の液体フィードを噴霧して運搬ゾーン(2)内の金属酸化物の少なくとも一部と接触させるステップであって、運搬ゾーン(2)における運転条件は、液体フィードを噴霧した後の見掛けガス速度が、金属酸化物粒子の運搬速度よりも高くなるように選択されるステップと;
金属酸化物の還元が可能な燃焼ゾーン(3)に、運搬ゾーン(2)からの流出物の全てを送るステップであって、前記燃焼ゾーン(3)は、少なくとも1つの濃密相流動床を含むステップと
を含む方法。
【請求項2】
濃密相燃焼ゾーン(3)が、濃密相流動床(複数可)中の粒子の流体力学動態が、連続した少なくとも2つの完全撹拌反応器、または連続した少なくとも2つの流動床段階に相当するような寸法とされた、請求項1に記載の改善された化学ループ燃焼方法。
【請求項3】
微粒化手段(6)が、運搬ゾーン(2)の反応器の壁に配置され、運搬ゾーン(2)の中心に向かって配向した噴流を形成するように選択される、請求項1または2に記載の改善された化学ループ燃焼方法。
【請求項4】
噴流が、7°と20°の間の範囲の垂直面内の開口角度、および30°と80°の間の範囲の水平面内の開口角度を有する鉛筆の形状を有する、請求項3に記載の改善された化学ループ燃焼方法。
【請求項5】
噴射される液体フィードの液滴が、前記粒子の平均粒径の0.5倍と2倍の間の範囲のザウター平均粒径を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の改善された化学ループ燃焼方法。
【請求項6】
金属酸化物粒子が、酸化ゾーン(1)からライン(13)を介して、または燃焼ゾーン(3)から来る粒子のリサイクルを介して、または酸化ゾーン(1)からの再酸化金属酸化物と燃焼ゾーン(3)からの金属酸化物との混合物の形態で、運搬ゾーン(2)に到達する、請求項1から5のいずれか一項に記載の改善された化学ループ燃焼方法。
【請求項7】
酸化ゾーン(1)と燃焼ゾーン(3)との間で循環する金属酸化物の総量の50%以下の画分が、運搬ゾーン(2)における液体フィードの噴霧に関与するように、酸化ゾーン(1)から直接来る金属酸化物が燃焼ゾーン(3)の濃密相流動床(複数可)に供給される、請求項1から6のいずれか一項に記載の改善された化学ループ燃焼方法。
【請求項8】
運搬ゾーン(2)からのガスおよび粒子が、燃焼ゾーン(3)の少なくとも1つの流動床の基部に一緒に供給され、運搬ゾーン(2)の上部は、前記流動床への分散手段を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の改善された化学ループ燃焼方法。
【請求項9】
ガスおよび粒子が、
金属酸化物の大部分を含まないガスおよびガスの大部分を含まない金属酸化物を、燃焼ゾーン(3)に別個に供給するため、または
ガスの大部分を含まない金属酸化物を燃焼ゾーン(3)に供給し、燃焼ゾーン(3)からガス相を放出するために、
運搬ゾーン(2)の出口で分離される、請求項1から7のいずれか一項に記載の改善された化学ループ燃焼方法。
【請求項10】
液体フィードが、単独または混合物としての炭化水素画分で構成され、その10%未満が、340℃未満の沸点温度を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の改善された化学ループ燃焼方法。
【請求項11】
燃焼ゾーン(3)の少なくとも1つの濃密相流動床が、金属酸化物粒子の流れを段階的にすることが可能な手段(25)を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の改善された化学ループ燃焼方法。
【請求項12】
燃焼ゾーン(3)が、一方が他方の上に配置された少なくとも2つの濃密相流動床反応器(3a)および(3b)を含み、これらの2つの反応器の外壁は、反応器(3a)の濃密相を反応器(3b)の流動濃密相に連続的に拡張するように一致する、請求項1から11のいずれか一項に記載の改善された化学ループ燃焼方法。
【請求項13】
少なくとも1種の液体炭化水素フィードの化学ループ燃焼のための装置であって、
− 実質的に細長く、実質的に垂直な金属酸化物運搬ゾーン(2)と、
ただし該金属酸化物運搬ゾーンは、
・液体フィードを微粒化ガスと混合するための手段と、前記運搬ゾーンの周縁部に配置された液体フィード微粒化手段(6)とを含む、液体フィード噴射手段、および、
・金属酸化物の少なくとも一部のための供給手段
を含み、
− 少なくとも1つの濃密相流動床を含む、金属酸化物の還元を介した微粒化フィードのための燃焼ゾーン(3)であって、運搬ゾーン(2)が前記燃焼ゾーン(3)の上流側に配置された、燃焼ゾーン(3)と
を含む装置。
【請求項14】
燃焼ゾーン(3)が、1つまたは複数の燃焼反応器に、2つを超える複数の濃密相流動床を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
金属酸化物供給手段が、酸化ゾーン(1)からの運搬ライン(13)、および/または燃焼ゾーン(3)から来る粒子のためのリサイクルラインを含む、請求項13または14に記載の装置。
【請求項16】
運搬ゾーン(2)が、その出口に、燃焼ゾーン(3)におけるガスおよび固体粒子の分散のための分散手段を含む、請求項13から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
運搬ゾーン(2)が、その出口に、ガスおよび固体粒子分離手段を含む、請求項13から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
CO2捕捉のための、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
CO2捕捉率Sが90%を超える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
エネルギー生産のための、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−503168(P2012−503168A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−528385(P2011−528385)
【出願日】平成21年9月21日(2009.9.21)
【国際出願番号】PCT/FR2009/001113
【国際公開番号】WO2010/034900
【国際公開日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(591007826)イエフペ エネルジ ヌヴェル (261)
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
【出願人】(510122762)トタル ソシエテ アノニム (4)
【氏名又は名称原語表記】TOTAL SA
【Fターム(参考)】