説明

液体状態検知センサ

【課題】 液体濃度検知素子の検知部周囲とセンサ外部との液交換を可能とすると共に、検知部の周囲での激しい液体の移動が生じることを抑制でき、外側プロテクタの先端開口を流通する液体を適切に制御できる部材を容易かつ確実に溶接した液体状態検知センサを提供する。
【解決手段】 液体状態検知センサ1は、外側プロテクタ41と、この内側に検知部510を有する素子51、これを包囲する包囲部581を有する内側プロテクタ58、先端開口OPの一部を塞ぐ整流部材61を備える。内側プロテクタ58には先端流通孔58H6が形成され、整流部材61は、遮蔽部投影領域PJ内に、検知部510、包囲部581が位置する遮蔽部611、これから外側プロテクタ41に向けて延びるブリッジ部612、これに連なり外側プロテクタ41の内周面41Nに沿って配置された板状部613、を有する。板状部613は、外側プロテクタ41及び板状部613の厚み方向に溶接した複数の溶接部613Wを含む。これらは流通路LLを構成してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の状態を検知する液体状態検知センサに関し、特に、液体中の特定成分の濃度を検知する液体濃度検知素子を備える液体状態検知センサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディーゼル機関、例えば、ディーゼルエンジンを搭載した自動車から排出される窒素酸化物(NOx)を還元して無害化する排ガス浄化装置にNOx選択還元触媒(SCR)を用いる場合がある。この装置では、還元剤として尿素水溶液が用いられるが、この装置で窒素酸化物を効果的に還元するのには、尿素水溶液が適正な濃度範囲(尿素水溶液中の尿素濃度の範囲)であることが必要である。
しかし、この尿素水溶液を貯留する尿素水タンクに適正濃度の尿素水溶液を収容した場合でも、経時変化等に起因して尿素濃度が適正範囲を逸脱してしまうことがある。また、尿素水タンクに、水道水など、適正な尿素濃度の尿素水溶液以外の液体を注入してしまう場合もあり得る。
【0003】
そこで、尿素水タンクに取り付け、尿素水溶液の尿素濃度を検知する尿素濃度識別装置が提案されている(特許文献1,2参照)。
特に、特許文献2では、この尿素濃度識別装置として、自動車の走行中にも、尿素溶液の尿素濃度を正確にしかも迅速に識別することの可能な尿素溶液の識別装置を提供するとしている。すなわち、この特許文献2(特に、本文献の図1,2参照)には、濃度識別センサー部に、金属フィンを備えた傍熱型濃度検知部及び液温検知部(検知部)を有している。またこの濃度識別センサー部(液体濃度検知素子)には、金属フィンを囲むように尿素溶液導入路を形成するカバー部材、及び、上下端面板に流通孔を形成した包囲体を付設した尿素濃度識別装置(液体状態検知センサ)が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−153561号公報
【特許文献2】特開2005−84025号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように構成するのは、一般に、液体濃度検知素子(濃度識別センサー部)の検知部(傍熱型濃度検知部及び液温検知部)の周囲には、タンク内などに貯留された液体(尿素溶液)全体の濃度、温度などの状態を適切に反映した液体(尿素溶液)が位置している必要があるため、この検知部の周囲では、液体(尿素溶液)が適切に液体状態検知センサ(尿素濃度識別装置)の外部の液体(尿素溶液)と液交換できるように、液の流通がなされている必要がある。
その一方、検知部の周囲の液体(尿素溶液)が、激しく移動する場合には、この影響で、濃度、温度など液体(尿素溶液)の状態を適切に検知することが困難となり、濃度の測定値の誤差が大きくなる虞があるので、液体の移動を或る程度制限する必要があるからである。
【0006】
ところで、発明者らは、尿素水溶液などの液体について、その濃度などの状態を検知する液体状態検知センサとして、液体濃度検知素子と、外側プロテクタと、内側プロテクタとを備えた形態の液体状態検知センサを開発している。具体的には、外側プロテクタは、先端及び基端を有し、軸線に沿って延びる筒状で、先端が開口して先端開口をなしており、液体濃度検知素子は、外側プロテクタ内に配置され、液体中の特定成分の濃度を検知する検知部を有している。また、内側プロテクタは、外側プロテクタ内に配置され、液体濃度検知素子の検知部を、この検知部と間隙を空けて、先端側から及び軸線の径方向外側からのうち少なくとも軸線の径方向外側から、包囲する包囲部であって、自身の先端部に、この包囲部内とこの包囲部より先端側の部位との間を連通し、この間での液体の軸線に沿う方向(軸線方向)の流通を可能とする先端流通孔が形成されてなる包囲部を有している。
このような形態の液体状態検知センサについても、液体濃度検知素子の検知部の周囲と液体状態検知センサの外部と間での液交換と、その一方での、検知部の周囲の液体が、激しく移動することの制限について、特許文献2の場合と同様に考慮する必要がある。
【0007】
これに対し、特許文献2に記載の濃度識別センサー部(液体濃度検知素子)では、これらに対処すべく、包囲体を設けており、この包囲体は、円筒状の側面板の端面に、周縁付近に貫通孔を形成した平板状の上端面板及び下端面板を、貫通孔がずれて位置するように配置し、側面板に突き当てて固着した構造としている(本特許文献2の段落(0029)参照)。具体的には、円筒状の側面板の両端面に、それぞれ平板状の上端面板及び下端面板を全周にわたって溶接したものと解される。これにより、貫通孔を通じて或る程度の液交換を可能としつつ、包囲体内における液流の移動を抑制して、濃度の測定値の誤差が大きくなる不具合を抑制していると解される。
【0008】
しかしながら、この包囲体について、上端面板及び下端面板を側面板の端面に全周溶接するのは、工数が掛かり好ましくない。一方、抵抗溶接やレーザ溶接を用いて、側面板の端面にスポット状に溶接するには、側面板の端面の幅が小さい(板厚が薄い)ため、位置決め等がしにくく、溶接が不安定になりやすい不具合がある。また、ろう接(ハンダ付け、ロウ付け)は、側面板や上端面板あるいは下端面板を含む尿素濃度識別装置(液体状態検知センサ)の加熱が必要で、量産性や設備面で不都合である。
【0009】
同様なことは、前述の液体濃度検知素子、外側プロテクタ、及び内側プロテクタとを備えた形態の液体状態検知センサについても言える。すなわち、貫通孔を形成した平板状の蓋部材を用意し、貫通孔による流通孔を残しつつ外側プロテクタの先端開口を塞ぐように、これを外側プロテクタの先端に突き当てて全周溶接することが考えられる。
しかし前述と同様に、この外側プロテクタの先端に平板状の蓋部材を全周溶接するのは、工数が掛かり好ましくない。一方、抵抗溶接やレーザ溶接で、外側プロテクタの先端面にスポット状に溶接するには、外側プロテクタの先端面の幅が小さい(板厚が薄い)ため、位置決め等がしにくく、溶接が不安定になりやすい不具合がある。また、ろう接(ハンダ付け、ロウ付け)は、外側プロテクタや蓋部材を含む液体状態検知センサの加熱が必要で、量産性や設備面で不都合である。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、液体濃度検知素子、外側プロテクタ、及び内側プロテクタとを備えた形態の液体状態検知センサについて、液体濃度検知素子の検知部の周囲と、液体状態検知センサの外部との液交換を可能とすると共に、検知部の周囲に液体の激しい移動が生じることを抑制でき、しかも、外側プロテクタの先端開口を流通する液体を適切に制御できる部材を容易かつ確実に溶接した液体状態検知センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
その解決手段は、液体の状態を検知する液体状態検知センサであって、先端及び基端を有し、軸線に沿って延びる筒状で、上記先端が開口して先端開口をなす外側プロテクタと、上記外側プロテクタ内に配置され、上記液体中の特定成分の濃度を検知する検知部を有する液体濃度検知素子と、上記外側プロテクタ内に配置され、上記液体濃度検知素子の上記検知部を、この検知部と間隙を空けて、先端側から及び上記軸線の径方向外側からのうち少なくとも上記軸線の径方向外側から、包囲する包囲部を有する内側プロテクタと、上記外側プロテクタに固定され、上記先端開口の一部を塞ぐ整流部材と、を備え、上記内側プロテクタは、上記包囲部の先端部に、この包囲部内とこの包囲部より先端側の部位との間とを連通する先端流通孔が形成されてなり、上記整流部材は、上記内側プロテクタより先端側に位置する遮蔽部であって、自身を上記軸線方向の基端側に投影した遮蔽部投影領域内に、上記液体濃度検知素子の上記検知部、及び、上記内側プロテクタの上記包囲部が位置する形態を有する遮蔽部、上記軸線の周方向に互いに離間して配置され、上記遮蔽部から上記外側プロテクタに向けて延びる、複数のブリッジ部、及び、各々の上記ブリッジ部に連なり、上記外側プロテクタの内周面または外周面に沿って配置された板状の板状部、を有し、上記板状部は、上記軸線の周方向に互いに離間して、上記外側プロテクタにこの板状部を溶接した溶接部であって、この外側プロテクタ及び上記板状部の厚み方向に溶接した複数の溶接部を含み、上記外側プロテクタ及び上記整流部材の上記板状部の少なくともいずれかと、上記整流部材の上記ブリッジ部及び上記遮蔽部とで、上記先端開口を通じて、上記液体が上記外側プロテクタの内外を上記軸線方向に流通する流通路を構成してなる液体状態検知センサである。
【0012】
本発明の液体状態検知センサでは、外側プロテクタに固定され、この外側プロテクタの先端開口の一部を塞ぐ整流部材を備えている。また、外側プロテクタ及び整流部材の板状部の少なくともいずれかと、整流部材のブリッジ部及び遮蔽部とで、先端開口を通じて、液体が上記外側プロテクタの内外を軸線方向に流通する流通路を構成してなる。従って、液体濃度検知素子の検知部の周囲と、この液体状態検知センサ(外側プロテクタ)の外部との液交換が可能となる。その一方で、整流部材の存在により、検知部の周囲に激しい液体の移動が生じることが抑制できる。
しかもこの整流部材は、ブリッジ部に連なり、外側プロテクタの先端部の内周面あるいは外周面に沿って配置された板状の板状部を有している。そして、この板状部は、軸線の周方向に互いに離間した複数の溶接部で、この板状部を外側プロテクタに溶接している。つまり、溶接によって外側プロテクタと整流部材とを接続しているので、液体による膨潤、劣化などが生じ難い。また、溶接部を周方向に離間して複数設けることで、環状に溶接する場合よりも容易に溶接することができる。しかも、この溶接部は、外側プロテクタ及び板状部をこれらの厚み方向に溶接している。このため、前述した外側プロテクタの先端面に平板状の蓋部材を突き当てて溶接する場合に比して、外側プロテクタと板状部とを溶接する溶接部の位置選択の自由度が高く、位置決め容易で、両者を確実に溶接することができる。
【0013】
なお、液体状態検知センサは、液体の状態のうち、少なくとも液体中の特定成分の濃度を検知するセンサであればよく、特定成分の濃度のほか、液体の温度や、液体の液位を併せて検知できるようにして複合タイプのセンサとしても良い。
また、液体濃度検知素子は、接している液体の特定成分の濃度を検知できるように構成された素子であり、例えば、液体を加熱し、その温度変化(比熱)によって液体の特定成分(例えば尿素)の濃度を検知する、特許文献1,2に記載の傍熱型の液体濃度検知素子が挙げられる。その他、温度によって抵抗値が変化する発熱抵抗体からなり、液体に浸漬した状態でこの発熱抵抗体に一定時間通電を行い、通電に伴うこの発熱抵抗体の温度上昇の傾向及びこれに伴う抵抗値変化の傾向から、液体の特定成分(例えば尿素)の濃度を検知する直熱型の素子が挙げられる。さらに、液体濃度検知素子には、液体中の特定成分の濃度のみならず、液体の温度、液体の有無(下限レベルを下回ったか否か)等を検知できるように構成されているものも含まれる。
【0014】
また、内側プロテクタの包囲部は、先端側から及び軸線の径方向外側からのうち少なくとも軸線の周囲方向から、検知部と間隙を空けて、この検知部を包囲してなる。しかも、包囲部の先端部に、この包囲部内とこの包囲部より先端側部位との間での液体の流通を可能とする先端流通孔が形成されてなる。
従って、内側プロテクタの包囲部としては、例えば、液体濃度検知素子の検知部を、先端側からは包囲することなく、軸線の径方向外側のみから包囲し、包囲部の先端部の内側全体が先端流通孔をなしているものが挙げられる。またこのほか、液体濃度検知素子の検知部を、軸線の径方向外側及び先端側から包囲しているが、包囲部のうち先端部には、その一部に1または複数の先端流通孔が形成されてなるものが挙げられる。また、先端流通孔のほか、包囲部のうち、検知部を軸線方向外側から包囲する部位にも、液体を流通させる流通孔を1または複数個形成しても良い。
【0015】
整流部材のうち、遮蔽部は、内側プロテクタより先端側に位置し、遮蔽部投影領域内に、液体濃度検知素子の検知部及び内側プロテクタの包囲部が位置する形態としてなる。
従って、この遮蔽部は、内側プロテクタより先端側において、外側プロテクタの先端よりも軸線方向基端側、すなわち、外側プロテクタ内に配置されていても良いし、外側プロテクタの先端と軸線方向に同じ位置、さらには、外側プロテクタの先端よりも軸線方向先端側、つまり、外側プロテクタの外に配置されていても良い。但し、液流の遮蔽作用を考慮すると、遮蔽部は、外側プロテクタの先端と軸線方向に同じ位置、または軸線方向基端側とするのが好ましい。
【0016】
一方、整流部材のうち複数のブリッジ部は、軸線の周方向に互いに離間して配置されている。各ブリッジ部は、軸線の周方向に不均等に配置されていても良いが、均等(等間隔、等角度など)に配置するのが、液流の圧力を受ける遮蔽部の保持の面から好ましい。また、各ブリッジ部の形態も同一形態とするのが好ましい。液流による圧力を受けた場合に、それによる応力の不均一が生じにくいからである。
また、ブリッジ部は、遮蔽部及び板状部の形状や、これらの軸線方向の位置関係、例えば、遮蔽部に比して板状部が軸線方向先端側に位置しているか否かなどの位置関係に応じて、その形態を選択すればよい。また、一旦、軸線方向の先端側あるいは基端側に延びその後反転して逆側に延びるU字状,V字状など、軸線方向に屈曲した形態とすることもできる。
【0017】
整流部材のうち、板状部は、板状であり、各々の上記ブリッジ部に連なり、外側プロテクタの内周面または外周面に沿って配置されている。従って、板状部は、複数のブリッジ部に各々対応して複数存在しても良いし、1つの板状部と複数のブリッジ部とが連なっていても良い。さらには、整流部材には、例えばリング状とされた単一の板状部を設け、いずれのブリッジ部もこの単一の板状部と連なる形態としても良い。
また、整流部材は、内側プロテクタや液体濃度検知素子やこれを保持する部材等の位置決めを行う位置決め部材など、他の機能を有する部材と兼用しても良い。
【0018】
液体が先端開口を通じて外側プロテクタの内外を軸線方向に流通する流通路は、外側プロテクタ及び整流部材の板状部の少なくともいずれかと、整流部材のブリッジ部及び遮蔽部とで構成されている。この流通路における液体流通のし易さは、外側プロテクタ、整流部材の板状部、ブリッジ部、及び、遮蔽部の形態を適宜選択することで、調整することができる。従って、例えば、これらを軸線方向に見た場合に、ブリッジ部間に位置する遮蔽部の周縁を、径方向外側に張り出させてフィン状部とし、流通路の径方向寸法を小さく(狭く)した形態が挙げられる。また、フィン状部の周方向の幅寸法を大きくして、フィン状部同士の間の流通路の周方向寸法を小さく(狭く)した形態も挙げられる。さらには、このような形態において、ブリッジ部を軸線方向に屈曲させ、その一部を遮蔽部よりも軸線方向基端側に位置させて、このブリッジ部でも液流を妨げるようにして、液体の流通のし易さを調整した形態も挙げられる。
【0019】
また、前述の液体状態検知センサであって、前記整流部材の前記ブリッジ部は、いずれも前記遮蔽部の周縁のうち、ブリッジ延出部から延びており、上記整流部材の上記遮蔽部は、前記外側プロテクタの径方向内側に位置してなり、前記軸線の周方向について上記ブリッジ部同士間に位置し、上記軸線の径方向外側に向けて張り出したフィン状部であって、自身の径方向外側に位置する上記外側プロテクタ及び前記板状部のいずれか近い方との径方向間隙が、上記ブリッジ延出部と上記外側プロテクタ及び上記板状部のいずれか近い方との径方向間隙よりも、小さい形態としてなるフィン状部を含み、上記ブリッジ部は、自身の少なくとも一部が、上記遮蔽部の上記ブリッジ延出部の径方向外側で、上記遮蔽部よりも基端側に位置してなる液体状態検知センサとすると良い。
【0020】
本発明の液体状態検知センサでは、遮蔽部が上述の形態のフィン状部を含むと共に、ブリッジ部が上述の形態とされている。
そこで、軸線方向基端側に向かう液流が生じた場合を考える。この場合、液流の一部は、遮蔽部でその進行を止めることができる。一方、液流の他の一部は、外側プロテクタ及び整流部材の板状部の少なくともいずれかと、整流部材のブリッジ部及び遮蔽部で構成された開口部分を通って、外側プロテクタ内に流入しようとする。
しかるに、本発明の液体状態検知センサでは、遮蔽部にフィン状部を含むので、ブリッジ部同士の間、つまり、フィン状部と外側プロテクタまたは板状部との径方向間隙が狭く、ここを通って流入することが難しくなっている。つまり此処でも液流が制限される。
一方、遮蔽部の周縁のうち、ブリッジ延出部と、これの径方向外側に位置する外側プロテクタまたは板状部との径方向間隙は、フィン状部と外側プロテクタまたは板状部との径方向間隙よりも相対的に広い。このため、液流はこの部分(ブリッジ延出部の径方向外側部分)を通って、外側プロテクタ内に流入しようとする。従って、ここでは液流の向きが変えられる。
しかも、ブリッジ延出部の径方向外側で遮蔽部の基端側には、ブリッジ部の少なくとも一部が位置しているので、ブリッジ延出部の径方向外側部分から、外側プロテクタ内に流入した液流は、ブリッジ部のこの部分にぶつかり、軸線方向基端側に進行するのが妨げられる。従って、ここでも液流の向きが変えられる。
このように、本発明の液体状態検知センサでは、整流部材のうちフィン状部及びブリッジ部を上述の形態に構成したので、外部から流通路を通じて外側プロテクタ内に流入する液流を制限したり、その進行方向を方向変換させて、液流の勢いを減殺する。かくして、液体濃度検知素子の検知部の周囲と、液体状態検知センサの外部との液交換を可能としつつも、流通路から流入する液流によって、液体濃度検知素子の検知部の周囲の液体が、激しく移動することをさらに抑制できる。このようにして、この液体状態検知センサでは、濃度、温度などの液体の状態を、さらに適切に検知することができる。
【0021】
さらに、上記いずれかに記載の液体状態検知センサであって、前記液体濃度検知素子は、前記軸線上に配置され、前記内側プロテクタの前記包囲部は、上記軸線に沿って延びてなり、上記軸線から、上記包囲部の前記先端流通孔の周縁のうち、上記軸線の径方向最外側に位置する部位までの上記軸線の径方向の寸法をrとし、上記軸線から、前記遮蔽部の周縁のうち、上記軸線の径方向最内側に位置する部位までの径方向の寸法をRとし、上記包囲部と上記遮蔽部との軸線方向最短距離をHとしたとき、下記式(1)を満たす形態としてなる液体状態検知センサとすると良い。
H/2≦R−r≦2H …(1)
【0022】
軸線から、包囲部の先端流通孔の周縁のうち、軸線の径方向最外側に位置する部位までの径方向の寸法r(以下、第1半径rともいう)と、軸線から、遮蔽部の周縁のうち、軸線の径方向最内側に位置する部位までの径方向の寸法R(以下、第2半径Rともいう)と、包囲部と遮蔽部との軸線方向最短距離H(以下、包囲−遮蔽部間距離Hともいう)との関係を考察する。
第2半径Rと第1半径rとの差(R−r)が、包囲−遮蔽部間距離Hの半分(H/2)未満である場合には、内側プロテクタの包囲部と整流部材の遮蔽部とが、近づきすぎている。このため、包囲部の先端流通孔を通じての、包囲部内と液体状態検知センサの外部(外側プロテクタの外部)との間での液交換が難しくなる。かくして、液体状態検知センサで、液体の濃度変化や温度変化を、適切に検知し難くなる。
一方、第2半径Rと第1半径rとの差(R−r)が、包囲−遮蔽部間距離Hの2倍(2H)を超える場合には、内側プロテクタの包囲部と整流部材の遮蔽部とが離れすぎている。このため、遮蔽部による軸線方向基端側に向かう液流の遮蔽効果が十分でなくなり、このような液流が先端流通孔を通じて包囲部内に入り、包囲部内の液体濃度検知素子の検知部の周囲の液体が、激しく移動しがちとなり、液体濃度検知素子の検知部での液体の濃度等の検知において誤差が大きくなる虞がある。
【0023】
これに対して、本発明の液体状態検知センサでは、式(1)を満たす関係とされている。このように、第2半径Rと第1半径rとの差(R−r)と、包囲−遮蔽部間距離Hについて、適切な関係としているので、内側プロテクタの先端流通孔を通じて、包囲部内と液体状態検知センサの外部(外側プロテクタの外部)との間での液交換が適切にできる。その一方、遮蔽部による軸線方向基端側に向かう液流の遮蔽効果を十分得て、包囲部内の液体濃度検知素子の検知部の周囲の液体の移動を抑制して、液体状態検知センサによる濃度や温度等の状態を適切に検知することができる。
【0024】
さらに、上記のいずれか1項に記載の液体状態検知センサであって、前記整流部材は、前記外側プロテクタの先端に係合して、上記整流部材の前記軸線方向の位置決めを行う位置決め部を有する液体状態検知センサとすると良い。
【0025】
本発明の液体状態検知センサでは、整流部材に位置決め部を備えるので、この位置決め部を外側プロテクタの先端に係合させることで、外側プロテクタに対する、整流部材の軸線方向の位置決めを容易に行うことができ、整流部材を外側プロテクタの適切な位置に溶接した液体状態検知センサとすることができる。
【0026】
なお、整流部材の位置決め部は、整流部材の軸線方向の位置決めを行うことができる形態で有れば、適宜選択することができる。但し、ブリッジ部と板状部の間の部位や板状部の先端部など、ブリッジ部または板状部に連なる位置に位置決め部を形成すると、ブリッジ部、板状部等とは独立に位置決め部のみを形成する場合に比して、形成容易である。その上、溶接部による溶接を行う板状部と近接した位置で位置決めを行うことができるので、板状部の位置決めを適切に行うことができる利点がある。
【0027】
さらに、上記のいずれか1項に記載の液体状態検知センサであって、前記整流部材は、金属板のプレス成形により一体に形成してなる液体状態検知センサとすると良い。
【0028】
本発明の液体状態検知センサでは、整流部材を金属板のプレス成形により一体に形成しているので、安価となる。その上、遮蔽部、ブリッジ部、板状部、あるいはさらに位置決め部を互いに一体に形成しているから、溶接などによらず、これらが互いに適切に連結した構造の整流部材にできるので、信頼性も高い。
【0029】
なお、整流部材を形成するプレス成形の手法としては、例えば、プレスによるパンチング、曲げ加工、絞り加工などが挙げられ、これら単独のみならず、複数の手法を複合して適用しても良い。
【0030】
さらに上記のいずれか1項に記載の液体状態検知センサであって、前記外側プロテクタのうち、前記液体濃度検知素子の前記検知部より、前記軸線方向基端側の部位の径方向内側に、前記軸線方向に延びる内側電極体を備え、上記内側電極体と上記外側プロテクタとの間に生じる静電容量によって、これらの間に介在する前記液体の液面レベルを測定可能としてなる液体状態検知センサとすると良い。
【0031】
本発明の液体状態検知センサは、液体濃度検知素子を用いて、液体の濃度を検知できるほか、液体の液面レベルをも検知できる。しかも、外側プロテクタを液面レベル測定の一方の電極として兼用しているので、液体の濃度検知と液面レベル検知ができる一体型でありながら、構造が簡単で安価なセンサとなしうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(実施形態1)
本発明を具体化した液体状態検知センサの第1の実施形態について、図1〜図11を参照して説明する。
【0033】
本実施形態1にかかる液体状態検知センサ1は、例えば、ディーゼルエンジン等を搭載した自動車の排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を、尿素水溶液で還元して無害化する排気ガス浄化装置において、収容タンクに収容された尿素水溶液LQの濃度や、尿素水溶液LQの液位LQHを検知する装置に用いられる。
この液体状態検知センサ1(以下、単にセンサ1ともいう)は、基部2、及び、この基部2から図1中、下方に延びるセンサ部3から構成されている。この液体状態検知センサ1は、その基部2を、破線で示す尿素水溶液LQを収容してなる収容タンク(図示せず)の開口部周りに取り付け、センサ部3が重力方向に延びるような姿勢として、尿素水溶液LQに浸漬して用いる。
そこで、本明細書では、このセンサ1及び各部品の説明に当たり、図1に示す軸線AXに沿う方向(軸線方向)のうち、この図1における上方を基端側とし、下方を先端側として説明する。
また、センサ1の姿勢や重力方向が関係する部位の特定や記述を行う場合には、基部2に対しセンサ部3が延びる方向(図1に示す軸線AXに沿う方向(軸線方向)のうち、下方に向かう方向)を重力方向とした姿勢を基本として記述することとする。従って、例えば、基部2に比して先端側に位置するセンサ部3を低位の側(下方)とし、この逆に、基部2は重力方向とは逆方向、つまりセンサ部3に比して高位の側(上方)となるとして説明する。
【0034】
液体状態検知センサ1のうち、基部2は、取付フランジ部21、蓋体25及びこれらに包囲された配線基板22、外部接続ケーブル24、及びこれを保持するブッシュ23等を備える。また、センサ部3は、二重円筒状の液面レベルセンサ部4と、これより先端側に位置し、使用時に低位側に位置させる液体濃度センサ部5とからなる。
【0035】
まず、基部2について説明する。取付フランジ21は、金属からなり、液体状態検知センサ1を収容タンク(図示せず)の開口部の周縁に取付けるための台座として用いる。この取付フランジ21には、図示しないボルト挿通孔が穿孔されており、液体状態検知センサ1(基部2)を収容タンクにボルトで固定できるようになっている。
【0036】
一方、図1において破線で示す配線基板22は、この取付フランジ21よりも高位となる位置に配置されている。この配線基板22には、CPUや電気回路等を備える制御回路(図示しない)が形成されており、液面レベルセンサ部4及び液体濃度センサ部5と電気的に接続されると共に、外部接続ケーブル24を介して外部の電気回路と接続可能となっている。また、この配線基板22は、取付フランジ部21に取付けられた蓋体25によって覆われ、液密に保護されている。
この配線基板22に形成された制御回路は、液体濃度センサ部5のうち、図5に示す濃度センサ素子51へ通電する。そして、内部ヒータ配線518の抵抗値に対応した出力信号に基づいて、具体的には、濃度センサ素子51に所定の電流を流すことで内部ヒータ配線518の両端に生じる電位差(電圧値)に基づいて、尿素水溶液LQの濃度を検知する。
なお、尿素水溶液LQの液位LQHの測定については、後述する。
【0037】
次に、センサ部3について説明する。前述したようにこのセンサ部3は、液面レベルセンサ部4と液体濃度センサ部5とからなる。このうち、まず、液面レベルセンサ部4について説明し、その後、液体濃度センサ部5について説明する。
液面レベルセンサ部4は、図1に示すように、軸線AXに沿う方向(軸線方向)AXDに延びる円筒形状の外筒41と、その内部に配置され、この外筒41とは同軸であるが相対的に小径で円筒形状を有する内筒42とを含む。外筒41の内周面と内筒42の外周面とは、所定間隔で離間している。
【0038】
これらのうち、外筒41は、金属からなり、液面レベルを検知するための一方の電極となっている。また、外筒41は、軸線方向AXDを長手方向とした細幅長円状のスリット41Sを有しており、内筒42との間に、外部と連通した状態で、破線で示すように尿素水溶液LQを収容できるようになっている。また、外筒41のうち、その先端(図1中、下端)41Tは開口して先端開口OPをなす一方、基端(図中、上端)41Bは溶接等により取付フランジ21に固着されている。
なお、本実施形態のセンサ1では、外筒41を取付フランジ21に溶接している。さらに、この取付フランジ21を配線基板22上に形成された制御回路(図示しない)におけるグランド電位に接続している。これによって、外筒41をグランド電位としている。
【0039】
また、外筒41のうち先端41Tより若干基端側に位置する保持部412と、内筒42のうち先端側に位置する先端部421との間には、後述するゴムブッシュ56が介在している。外筒41の保持部412には、このゴムブッシュ56の外周に形成した係合突起部562とそれぞれ係合して、このゴムブッシュ56(液体濃度センサ部5)を保持するための保持孔41Hが、周方向の複数の所定位置(本実施形態では3箇所)に形成されている(図1〜図3参照)。さらに、保持孔41Hよりも先端側(図中下方)には、外筒41の内部との間で尿素水溶液LQの流通を図るための流通孔41Rが穿孔されている。
【0040】
また、内筒42も、金属からなり、液面レベルを測定するための他方の電極として、外筒41と電気的に絶縁しつつ、この外筒41と対向し、配線基板22上の制御回路と電気的に接続されている。内筒42の外周面42Gは、例えば、PTFE,PFA,ETFE等のフッ素系樹脂やエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などからなる絶縁性被膜43で被覆されており、内筒42と外筒41との間に尿素水溶液(被測定液体)LQが介在しても、外筒41とは電気的に絶縁されるようになっている。
【0041】
この液面レベルセンサ部4で尿素水溶液LQの液位LQHを検知するには、この液面レベルセンサ部4を尿素水溶液LQに浸漬して、尿素水溶液LQを、スリット41Sを通じて、外筒41と内筒42(絶縁性被膜43)との間に流入させる。
すると、この液面レベルセンサ部4では、外筒41と内筒42との間において、液位LQHに応じて尿素水溶液LQが存在する部分と存在しない部分とができるから、外筒41と内筒42との間に形成されるコンデンサの静電容量が液位に応じて変化する。そこで、配線基板22の制御回路により、外筒41と内筒42との間に交流電圧を印加すると、この静電容量の大きさに応じた電流が流れるので、電流の大きさを知ることで尿素水溶液LQの液位LQHを検知できる。
【0042】
次に、液体濃度センサ部5について説明する。
液体濃度センサ部5は、液面レベルセンサ部4の先端側(図1中、下方)に配置され、濃度センサ素子51、ホルダ部材55、内側プロテクタ58及びゴムブッシュ56等から構成されている(図2〜図4参照)。
このうち、濃度センサ素子51(図5参照)は、自身の先端部分が突出する形態で、ホルダ部材55に保持されている。また、濃度センサ素子51は、これにロウ付けにより固着された接続端子52及び接続ケーブル53を介して、配線基板22に形成された制御回路と電気的に接続されている。一方、ホルダ部材55は、これを取り囲む外筒41との間に介在するゴムブッシュ56により、外筒41の保持部412に固定保持されている。さらに、内側プロテクタ58は、濃度センサ素子51のうちホルダ部材55から突出する先端部511を包囲するようにして、ホルダ部材55の先端部分(径小部553)に係合して保持されている。
【0043】
まず、液体濃度センサ部5のうち、濃度センサ素子51(図5参照)について説明する。この濃度センサ素子51は、平面視、矩形で平板状をなしており、アルミナセラミックスからなる平板状の2層のセラミック層519(519A,519B)と、これらの間に液密に配置された内部配線516とを備える。この内部配線516は、幅広一対の内部リード配線517と、これらの間に配置され蛇腹状に折り返された内部ヒータ配線(発熱抵抗体)518とを含む。
【0044】
またこの濃度センサ素子51は、ホルダ部材55から突出される先端部511、この先端部511の基端側に隣接してホルダ部材55に挿通する挿通部512、さらに、この挿通部512の基端側に位置する樹脂保持部513、及び、一対の接続端子52がそれぞれロウ付け接続されてなる基端部514に分けられる。先端部511内には、内部に内部ヒータ配線518が配置されている。従って、本実施形態においては、先端部511内に、通電により昇温し、尿素水溶液LQの尿素濃度を検知する昇温検知部510が含まれる。
濃度センサ素子51は、前述のセラミック層519Aで構成される主面511A、及び、これと平行で、セラミック層519Bで構成される裏面511Bを有している。また、昇温検知部510についてみると、この昇温検知部510は、主面511Aに含まれる昇温部主面511AS、及び、裏面511Bに含まれる昇温部裏面511BSを有している。
【0045】
接続端子52は、所定形状の金属板をコ字状に折り曲げて形成されてなる。この接続端子52のうち、その先端部521は、先端側(図5中、下方)に向けて延びる形状とされており、濃度センサ素子51の基端部514に形成された図示しないパッドにロウ付けにより接続されて、この濃度センサ素子51に固着されている。これにより、接続端子52(先端部521)は、一方のセラミック層519Aを貫通する図示しないビア導体を介して内部リード配線517に接続している。このため、一対の接続端子52間に電圧を印加すると、内部リード配線517を通じて電流が流れ、主に内部ヒータ配線518が発熱する。この内部ヒータ配線518は、自身の温度に応じて抵抗値が変化する。
【0046】
一方、接続端子52のうち基端部522には、接続ケーブル53のリード線532の芯線533が加締めにより電気的、機械的に接続されている。この接続ケーブル53は、図1,図3,図4に示すように、内筒42内に挿通されて基端側に延び、配線基板22(制御回路)に接続している。
【0047】
次いで、ホルダ部材55(図7参照)について説明する。このホルダ部材55は、全体が絶縁性の樹脂材からなる。ホルダ部材55の外形は、相対的に径大の円筒形状を有する径大部551と、この径大部551より径小の円筒形状を有する径小部553と、径大部551と径小部553との間に位置し外周面がテーパ面(円錐台面)とされた中間テーパ部552と、径小部553より先端側(図7中、下方)に位置し、外周面がテーパ面(円錐台面)とされた先端テーパ部554と、を備える。
また、このホルダ部材55は、図3,図4に示すように、自身を軸線方向AXDに貫通するホルダ貫通孔55Hを有する中空状の部材である。このホルダ貫通孔55Hは、その基端側(図中、上方)から徐々に小径となる、内筒保持孔55H1、第2段孔55H2、及び第3段孔55H3の3段円孔状の部分と、最も先端側(図中、下方)に位置する概略角孔状の素子保持孔55H4とからなる。
【0048】
このホルダ部材55は、図3,図4に示すように、濃度センサ素子51を保持している。具体的には、このホルダ部材55の素子保持孔55H4に濃度センサ素子51の挿通部512が挿通され、第3段孔55H3内に配置された濃度センサ素子51の樹脂保持部513がこの第3段孔55H3内に充填された封止樹脂59により固定されている。なお、この封止樹脂59により濃度センサ素子51とホルダ部材55との間の間隙が液密に封止されている。
これにより、この濃度センサ素子51のうち、内部に内部ヒータ配線518が配置されている先端部511が、ホルダ部材55の素子保持孔55H4から先端側(図1中、下方)に突出した状態に配置される。
【0049】
またこのホルダ部材55は、図3に示すように、そのホルダ貫通孔55Hの内筒保持孔55H1の内側に、内筒42の先端部421を保持しており、この内筒保持孔55H1と第2段孔55H2との間に位置する段状の内筒当接面55Dで、内筒42の先端422と当接して、内筒42とホルダ部材55との軸線方向の位置決めを行っている。
ホルダ貫通孔55Hの内筒保持孔55H1には、2つのOリング挿入溝55G1,55G2が凹設されており、これらの内部に配置されたOリング571,572により、ホルダ部材55と内筒42(絶縁性被膜43)との間を液密に封止すると共に、内筒42を保持している。
【0050】
また、上述のようにして、濃度センサ素子51を保持しているホルダ部材55と内筒42とが接続されているので、濃度センサ素子51の基端部514の大部分、及び接続端子52全体が、内筒42内に配置される。この内筒42の先端部421内には、この濃度センサ素子51及び接続端子52と内筒42との間を絶縁しつつ、内筒42内で濃度センサ素子51及び接続端子52を弾性的に保持する、絶縁性のゴム状弾性樹脂からなるセパレータ54が配置されている。
【0051】
次に、液体濃度センサ部5のうち、内側プロテクタ58について説明する。
内側プロテクタ58は、図3,図4,図6に示すように、円筒状の側部582とこの側部582の先端側を閉塞する先端部583とを含む有底円筒形状を有する。この内側プロテクタ58を、図7に示すように、濃度センサ素子51の昇温検知部510に被せるようにして、ホルダ部材55に係合させたとき、この内側プロテクタ58の側部582のうち、基端側の一部を除く部分と、先端部583とで、濃度センサ素子51の昇温検知部510を包囲する包囲部581をなしている(図6(d)参照)。
【0052】
側部582には、この内側プロテクタ58の内外に尿素水溶液LQを流通可能とするため、3つの円形状の液体流通孔58H1,58H2,58H3、及び、円孔部58H41とこれから先端側に延びた長いスリット部58H42とからなる鍵穴状の液体流通孔58H4が、周方向に均等に配置形成されている。
また、先端部583にも、この内側プロテクタ58の内外を、具体的には、包囲部582で囲まれた包囲部内領域EHと内側プロテクタ58の先端側の先端側領域FHとの間を連通し、尿素水溶液LQを流通可能とするため、その中央に1つ円形の先端流通孔58H6が形成されている。
【0053】
そのほか、内側プロテクタ58の側部582のうち、基端付近(図6(a),(b)中、上端付近)には、コ字状の切り込みを形成して内側に折り曲げた係止舌部584が4つ、周方向周りに均等に形成されている。
図7に示すようにして、ホルダ部材55の径小部553の外周に形成されたプロテクタ係止凹部55G3に、内側プロテクタ58の係止舌部584を係止させる。これにより、この内側プロテクタ58の包囲部581が、濃度センサ素子51の昇温検知部510を包囲するようにして配置される。
【0054】
この際、図7に示すように、内側プロテクタ58は、そのうちの液体流通孔58H1〜58H4のいずれもが、濃度センサ素子51の先端部511の主面511A及び裏面511Bに、さらに詳細には、そのうちの昇温部主面511AS及び昇温部裏面511BSに正対しない位置に配置されるように、ホルダ部材55に係止する。これにより、液体流通孔58H1等から入った液流が、昇温検知部510の昇温部主面511ASあるいは昇温部裏面511BSに正面から衝突するように進むことがないため、このような液流によって昇温検知部510の昇温が妨げられる等の影響を低減でき、より正確に、尿素水溶液LQの尿素濃度等を検知することができる。
【0055】
さらにこのようにして、濃度センサ素子51及び内側プロテクタ58を保持したホルダ部材55は、その外周面に適合する形態のホルダ保持孔56Hを備える絶縁性のゴムブッシュ56に保持されている。
このゴムブッシュ56は、図2〜図4に示すように、その中央に上述のホルダ保持孔56Hが形成され、外筒41と嵌合可能な外径を有する円筒形状のブッシュ本体部561と、このブッシュ本体部561の外周の3カ所に均等に配置され、ブッシュ本体部561から径方向外側に向けて突出する係止突起部562とを有する。ブッシュ本体部561のホルダ保持孔56Hは、ホルダ部材55及び内側プロテクタ58と密着して、これらを保持可能な形状とされている。
【0056】
このゴムブッシュ56は、外筒41の保持孔41Hに係止突起部562を挿入係止することにより、外筒41に保持されている。かくして、濃度センサ素子51及び内側プロテクタ58を保持したホルダ部材55は、ゴムブッシュ56に保持され、このゴムブッシュ56が外筒41に保持されることにより、液体濃度センサ部5全体が外筒41の保持部412及び内筒42の先端部421との間に保持される。
【0057】
さらに、このブッシュ本体部561のうち、係止突起部562同士の間の外周面には、軸線方向(図2中、上下方向)に延びる外周スリット561Gが多数溝設されている。この外周スリット561Gは、図3,図4に示すようにゴムブッシュ56を外筒41内に嵌め込むことにより、このブッシュ本体部561と外筒41との間に、軸線方向(図中、上下方向)AXDに尿素水溶液LQの流通、及び気泡抜きを可能とする流通路を形成する。
【0058】
さらに、外筒41のうち、ゴムブッシュ56よりも先端側(図中、下方)には、図8に示す位置決め部材60が嵌め込まれている。この位置決め部材60は、外径が外筒41の内径にほぼ等しくされた、平板円環状で中央に挿通孔601Hを有する位置決め板部601と、この位置決め板部601の周縁からこれに直交する方向(軸線方向AXD)に延びる3つの脚部602とからなる。この脚部602の先端は、径方向外側に向けて折り曲げられて、係合爪部602Kとされている。この位置決め部材60の3つの脚部602は、位置決め板部601の周方向(軸線AXの周方向AXP)に均等(120°ずつずれた角度)に配置されている。
【0059】
本実施形態のセンサ1では、図3,図4に示すように、この位置決め部材60は、位置決め板部601を外筒41内に挿入した状態とされ、係合爪部602Kが外筒41の先端41Tに係合した状態で、外筒41の内周面41Nに沿って配置された板状の脚部602のうち、先端付近の溶接部602Wで外筒41にスポット溶接されている。また、位置決め板部601は、内側プロテクタ58及び濃度センサ素子51の先端部511を挿通孔601H内に挿通し、ゴムブッシュ56の先端に位置する平坦な先端側面56Sに当接した状態とされている。脚部602の軸線方向(図中、上下方向)の寸法は予め決められているので、これにより、ゴムブッシュ56ひいては濃度センサ素子51の軸線方向の位置決めを正確に行うことができる。
【0060】
さらに、外筒41の保持部412のうち、この位置決め部材60より先端側には、図9に示す整流部材61が嵌め込まれている。この整流部材61は、外径が外筒41の内径よりも径小の円板形状の遮蔽部611と、この遮蔽部611の周縁611Pのうち、ブリッジ延出部611PBから、軸線AXの径方向外側AXR1でかつ軸線方向AXDの基端側AXD2(上方)に、つまり斜めに延びて、外筒41の先端部411に届く3つのブリッジ部612を有している。さらにこのブリッジ部612の先には、それぞれ、先端側AXD1(下方)に反転して、外筒41の先端部411の内周面41Nに沿って配置される湾曲した板状の板状部613が設けられている。この板状部613の先端は、径方向外側AXR1に向けて折り曲げられて、係合爪部614とされている。この整流部材61の3つのブリッジ部612及び板状部613は、遮蔽部611の周方向(軸線AXの周方向AXP)に均等(120°ずつずれた角度)に配置されている。
なお、この整流部材61は、金属板の打ち抜きプレス加工により成形されており、遮蔽部611、ブリッジ部612、板状部613及び係合爪部614が、一体とされている。
【0061】
本実施形態のセンサ1では、図3,図4に示すように、位置決め部材60を外筒41内に挿入固着した状態において、さらにこの整流部材61の係合爪部614を外筒41の先端41Tに係合させて軸線方向AXDの位置決めした状態で、各板状部613を、そのうちの溶接部613Wで、それぞれ外筒41の先端部411にスポット溶接している。このため、接着剤などによる場合と異なり、整流部材61を、尿素水溶液LQによる膨潤、劣化などの虞がなく、その一方、環状に溶接する場合よりも容易に、外筒41に固着することができる。
しかも、整流部材61の板状部613と外筒41の先端部411とを、厚み方向(軸線AXの径方向AXR)に溶接している。このため、外筒41の先端面41Tに平板状の蓋部材を突き当てて溶接する場合に比して、溶接部613Wの位置選択の自由度が高く、位置決め容易で、整流部材61の板状部613と外筒41の先端部411とを、確実に溶接することができる。
また、整流部材61に係合爪部614を備えるので、この位置決め部614を外筒41の先端41Tに係合させることで、外筒41に対する、整流部材61の軸線方向AXの位置決めを容易に行うことができ、整流部材61を外筒41の適切な位置に溶接したセンサ1とすることができる。
なお、上述の位置決め部材60の係合爪部602Kと、この整流部材61の係合爪部614とは、外筒41の先端面41Tにおいて、軸線AXの周方向AXPに互いに60度ずつずれた位置に配置されている。また、上述の位置決め部材60の溶接部602Wと、この整流部材61の溶接部613Wとも、軸線AXの周方向AXPに、互いに60度ずつずれて溶接されている。
【0062】
これにより、外筒41及び整流部材61の板状部613、ブリッジ部612及び遮蔽部611とで、外筒41の先端開口OPを通じて、尿素水溶液LQが外筒41の内外を軸線方向AXDに流通する流通路LLが構成される。このため、濃度センサ素子51の昇温検知部511の周囲と、このセンサ1(外筒41)の外部との液交換が可能となる。
【0063】
その一方、整流部材61の遮蔽部611で、外筒41の先端開口OPのうちの一部(中央部分)を塞ぐ状態となる。具体的には、図10に示すように、軸線方向先端側(図3,図4中、下方)からこのセンサ1(外筒41)を見た場合に、整流部材61の遮蔽部611によって、内側プロテクタ58の先端部583が見えない状態とされている。即ち、図11に示すように、整流部材61の遮蔽部611を軸線方向AXDの基端側AXD2に投影した遮蔽部投影領域PJ内に、濃度センサ素子51の昇温検知部510、及び、内側プロテクタ58の包囲部581が位置する形態とされている。
このようにすることにより、タンク(図示しない)に貯留された尿素水溶液LQが振動によって移動して、タンク内に激しい液流が発生した場合、特に、外筒41の下方からその上方の濃度センサ素子51の昇温検知部510に向かう液流が生じた場合でも、遮蔽部611が、このような液流の進行を妨げる。このため、このような液流が、内側プロテクタ58の先端部583に設けた先端流通孔58H6を通じてこの内側プロテクタ58内に入り、濃度センサ素子51(昇温検知部511)の周囲で液が激しく移動して、濃度センサ素子51の出力が変動する不具合を適切に抑制することができる。
【0064】
さらに、本実施形態のセンサ1では、図11に示すように、内側プロテクタ58の先端流通孔58H6と、整流部材61の遮蔽部611とを、以下の関係としている。
即ち、濃度センサ素子51は軸線AX上に配置されており、一方、内側プロテクタ58の包囲部581は、軸線AXに沿って延びている。この軸線AXから、包囲部581の先端流通孔58H6の周縁のうち、軸線AXの径方向AXRの最外側に位置する周縁最外部58H6POまでの径方向の寸法を第1半径r(具体的には、2.5mm)としている。また、軸線AXから、整流部材61の遮蔽部611の周縁611Pのうち、軸線AXの径方向AXRの最内側に位置する周縁最内部611PIまでの径方向AXRの寸法を第2半径R(具体的には、9.0mm)としている。さらに、この包囲部581と遮蔽部611との軸線方向AXDの最短距離H(包囲−遮蔽部間距離)としたとき、下記式(1)を満たす形態とされている。
なお、包囲−遮蔽部間距離Hは、具体的には、5.0mmとしている。
H/2≦R−r≦2H …(1)
【0065】
第2半径Rと第1半径rとの差(R−r)が、包囲−遮蔽部間距離Hの半分(H/2)未満である場合には、内側プロテクタ58の包囲部581と整流部材61の遮蔽部611とが、近づきすぎていると言える。包囲部581の先端流通孔58H6を通じての、包囲部581内(包囲部内領域EH)とセンサ1の外部(外筒41の外部)との間での液交換が難しくなる。このため、センサ1で、尿素水溶液LQの尿素濃度変化や温度変化を、適切に検知し難くなるからである。
一方、第2半径Rと第1半径rとの差(R−r)が、包囲−遮蔽部間距離Hの2倍(2H)を超える場合には、内側プロテクタ58の包囲部581と整流部材61の遮蔽部611とが、離れすぎていると言える。遮蔽部611による軸線方向基端側AXD2に向かう液流の遮蔽効果が十分でなくなり、このような液流が先端流通孔58H6を通じて包囲部581内に入り、包囲部581内において、濃度センサ素子51の昇温検知部511周囲の尿素水溶液LQが、激しく移動しがちとなる。このため、昇温検知部511での尿素水溶液LQの尿素濃度等の検知において誤差が大きくなる虞があるからである。
【0066】
これに対して、本実施形態1のセンサ1では、上述の式(1)を満たす関係とされている。このように、第2半径Rと第1半径rとの差(R−r)と、包囲−遮蔽部間距離Hについて、適切な関係とすることで、内側プロテクタ58の先端流通孔58H6を通じて、包囲部581内とセンサ1の外部(外筒41の外部)との間での液交換が適切にできる。その一方、遮蔽部611による軸線方向基端側AXD2に向かう液流の遮蔽効果を十分得て、包囲部581内の濃度センサ素子51の昇温検知部510の周囲の尿素水溶液LQの移動を抑制して、センサ1による尿素濃度や温度等の状態を適切に検知することができる。
【0067】
次に、尿素水溶液LQの尿素濃度検知にあたり、センサ1の液体濃度センサ部5の動作について説明する。
本実施形態の液体状態検知センサ1では、配線基板22上に構成された制御回路から、所定の大きさの電流(例えば300mA)を、所定時間(例えば700ms)にわたり、液体濃度センサ部5の濃度センサ素子51に流し、その内部ヒータ配線518を発熱させる。すると、内部ヒータ配線518には、自身の抵抗値の大きさに対応した電圧降下(検知電圧)が発生する。
そこで、この検知電圧の変化を制御回路で検知して、尿素水溶液の尿素濃度を検知する。具体的には、濃度センサ素子51への通電開始直後の検知電圧と、通電開始から所定時間経過後の検知電圧とを計測する。そして、この間の検知電圧の変化量を用いて、この変化量に対応する尿素水溶液の尿素濃度を、予め得ておいた尿素水溶液の尿素濃度と変化量との関係から得る。
なお、本実施形態では、尿素水溶液の尿素濃度検知を、制御回路内のCPU等を用いて行っており、この制御回路で得られた濃度情報の信号は、外部接続ケーブル24を通じて、外部回路(例えば、ECU)に出力される。この外部回路では、入力された濃度情報の信号に基づいて、尿素水溶液の尿素濃度が適正範囲内であるか否かを判断し、適正な濃度範囲でない場合には、運転者にその旨を通知する等の処理を適宜行う。
【0068】
(実施形態2)
ついで、本発明の第2の実施形態について、図12〜図17を参照して説明する。
本実施形態2に係るセンサ1001は、前述の実施形態1のセンサ1とは、主として、整流部材の形状が異なるだけであるので、異なる部分を中心に説明し、実施形態1と同様の部分は、説明を省略あるいは簡略化する。また、前述の実施形態1と異なる部分のみ、異なる番号を付すこととする。
また実施形態1と同様の部分は、実施形態1と同様の作用、効果を奏する。
【0069】
前述の実施形態1のセンサ1では、外筒41の先端部411内に、位置決め部材60(図8参照)を配置し、ゴムブッシュ56ひいては濃度センサ素子51の軸線方向の位置決めを行っていた。また、この位置決め部材60よりも先端側に、この位置決め部材60とは別に、整流部材61(図9参照)を設けていた。
これに対して、本実施形態2のセンサ1001では、センサ部3のうち液体濃度センサ部1500において、図15及び図16に示す形態を有する整流部材1610を、外筒41の先端部411内に配置している(図12,図13参照)。
【0070】
この整流部材1610は、実施形態1における、整流部材61のほか、位置決め部材60の役割をも兼ねる部材とされている。即ち、この整流部材1610は、図15及び図16に示すように、外径が外筒41の内径よりも径小で概略円板形状の遮蔽部1611を有している。また、この遮蔽部1611の周縁1611Pのうち、ブリッジ延出部1611PBから、軸線AXの径方向外側AXR1でかつ軸線方向AXDのうち基端側AXD2(上方)に、つまり、斜め基端外側、外筒41の先端部411に向けて延びる、3つのブリッジ部1612を有している。さらにこのブリッジ部1612の先には、それぞれ、先端側AXD1(下方)に反転して延び、外筒41の先端部411の内周面41Nに沿って配置される湾曲した板状の板状部1613が設けられている。
【0071】
さらに、この板状部1613の先端は、径方向外側AXR1に向けて折り曲げられて、係合爪部1614とされている。この整流部材1610の3つのブリッジ部1612及び板状部1613は、遮蔽部1611の周方向(軸線AXの周方向AXP)に均等(120°ずつずれた等角度)に配置されている。
なお、この整流部材1610は、遮蔽部1611及びブリッジ部1612をなす部材と、板状部1613、係合爪部1614、及び、後述する位置決め板部1601をなす部材の2部材から構成されている。ブリッジ部1612と板状部1613とは、スポット溶接により形成した溶接連結部1612Wにより溶接され、この両者を含む2部材が一体とされて、整流部材1610を構成している。
【0072】
本実施形態2のセンサ1001でも、図13に示すように、この整流部材1610の係合爪部1614を外筒41の先端41Tに係合させて、軸線方向AXDの位置決めを行った状態で、各板状部1613を、そのうちの溶接部1613Wで、それぞれ外筒41の先端部411にスポット溶接している。このため、接着剤などによる場合と異なり、尿素水溶液LQによる膨潤、劣化などの虞がなく、その一方、環状に溶接する場合よりも容易に、整流部材1610を外筒41に固着することができる。
しかも、整流部材1611の板状部1613と外筒41の先端部411とを、これらの厚み方向(軸線AXの径方向AXR)に溶接している。このため、外筒41の先端面41Tに平板状の蓋部材を突き当てて溶接する場合に比して、溶接部1613Wの位置選択の自由度が高く、位置決め容易で、整流部材1610の板状部1613と外筒41の先端部411とを、確実に溶接することができる。
【0073】
なお、この整流部材1610には、実施形態1における位置決め板部601に対応する、位置決め板部1601も設けられている。この位置決め板部1601は、平面視、概略角部が丸められた三角形状とされ、中央に挿通孔1601Hを有している(図16(b)参照)。整流部材1610を外筒41の先端部411内に配置した状態において、この位置決め板部1601は、実施形態1における位置決め板部601同様、内側プロテクタ58及び濃度センサ素子51の先端部511を挿通孔1601H内に挿通し、ゴムブッシュ1560の先端に位置する平坦な先端側面56Sに当接した状態とされている。これにより、ゴムブッシュ1560ひいては濃度センサ素子51の軸線方向の位置決めを正確に行うことができる。
【0074】
また、本実施形態2におけるゴムブッシュ1560は、図17に示すように、実施形態1において用いたゴムブッシュ56と若干形状が異なる。具体的には、ブッシュ本体561のうち先端側(図17中、下方)に、斜平面状の切り欠き部1563を三箇所設けている。これにより、前述のように位置決め板部1601を平面視略三角形状にしたことと相俟って、図13に示すように、液中に含まれていた気泡BBを、外筒41の流通孔41Rを通じて、外部に容易に排出できるようにされている。
【0075】
さて、整流部材1610の遮蔽部1611は、実施形態1の遮蔽部611(円板状)とは、その平面形状が異なっている。即ち、図16(d)に示すように、この遮蔽部1611は、外筒41の径方向内側AXR2(図15参照)に位置している。また、この遮蔽部1611は、実施形態1の遮蔽部611(円板状)に相当する大きさ及び形状の部位に加え、軸線AXの周方向AXPについて、ブリッジ部1612同士間に位置し、軸線AXの径方向外側AXR1に向けて張り出したフィン状部1611Fを有している。このフィン状部1611Fは、図14に示すように、自身の径方向外側AXR1に位置する外筒41及び板状部1613のいずれか近い方(本実施形態2では外筒41)との径方向間隙(以下、第2間隙D2という)が、ブリッジ延出部1611PBと外筒41及び板状部1613のいずれか近い方(本実施形態2では板状部1613)との径方向間隙(以下、第1間隙D1という)よりも、小さい形態とされている。
一方、ブリッジ部1612は、図15、図16(a)(d)に示すように、遮蔽部1611のブリッジ延出部1611PBの径方向外側AXR1で、遮蔽部1611よりも基端側AXD2に位置している。
【0076】
これにより、外筒41及び整流部材1610の板状部1613、ブリッジ部1612及び遮蔽部1611とで、外筒41の先端開口OPを通じて、尿素水溶液LQが外筒41の内外を軸線方向AXDに流通する流通路LLが構成される。このため、濃度センサ素子51の昇温検知部511の周囲と、このセンサ1001(外筒41)の外部との液交換が可能となる。
【0077】
その一方、整流部材1610の遮蔽部1611で、外筒41の先端開口OPのうちの一部(中央部分)を塞ぐ状態となる。具体的には、図14に示すように、軸線方向先端側(図13中、下方)からこのセンサ1001(外筒41)を見た場合に、整流部材1610の遮蔽部1611によって、内側プロテクタ58の先端部583が見えない状態とされている。即ち、整流部材1610の遮蔽部1611を軸線方向AXDの基端側AXD2に投影した遮蔽部投影領域PJ内に、濃度センサ素子51の昇温検知部510、及び、内側プロテクタ58の包囲部581が位置する形態とされている。
これにより、濃度センサ素子51(昇温検知部511)の周囲で液が激しく移動して、濃度センサ素子51の出力が変動する不具合を適切に抑制することができる。
【0078】
さらに本実施形態2のセンサ1001では、遮蔽部1611に上述のフィン状部1611Fを含めると共に、ブリッジ部1612を上述の形態としたため、実施形態1のセンサ1よりも、さらに液流の抑制がなされている。
具体的に説明する。先ず、軸線方向基端側AXD2に向かう液流が生じた場合を考える。この場合、液流の一部は、遮蔽部1611でその進行を止めることができる。一方、液流の他の一部は、外筒41及び整流部材1610の板状部1613の少なくともいずれかと、整流部材1610のブリッジ部1612及び遮蔽部1611で構成された開口部分を通って、外筒41内に流入しようとする。
しかるに、本実施形態2のセンサ1001では、遮蔽部1611にフィン状部1611Fを含むので、ブリッジ部1612同士の間、つまり、第2間隙D2が狭く、ここを通って流入することが難しくなっている。つまり此処でも液流が制限される。
【0079】
一方、遮蔽部1611の周縁1611Pのうち、ブリッジ延出部1611PBの径方向外側部分における第1間隙D1は、第2間隙D2よりも相対的に広い。このため、液流はこのブリッジ延出部1611PBの径方向外側AXR1の部分を通って、外筒41内に流入しようとする。従って、ここでは液流の向きが変えられる。
しかも、ブリッジ延出部1611PBの径方向外側AXR1で遮蔽部1611の軸線方向基端側AXD2には、ブリッジ部1612が位置している。このため、ブリッジ延出部1611PBの径方向外側AXR1の部分から、外筒41内に流入した液流は、ブリッジ部1612にぶつかり、軸線方向基端側AXD2に進行するのが妨げられる。従って、ここでも液流の向きが変えられる。
このように、本実施形態2のセンサ1001では、整流部材1610のうちフィン状部1611F及びブリッジ部1612を上述の形態に構成したので、外部から流通路LLを通じて外筒41内に流入する液流を制限したり、その進行方向を方向変換させて、液流の勢いを減殺する。かくして、濃度センサ素子51の昇温検知部510の周囲と、センサ1001の外部との液交換を可能としつつも、流通路LLから流入する液流によって、濃度センサ素子51の昇温検知部510の周囲の液体が、激しく移動することをさらに抑制できる。このようにして、本実施形態2のセンサ1001では、尿素水溶液LQの尿素濃度を、さらに適切に検知することができる。
【0080】
さらに、実施形態1と同様、本実施形態2のセンサ1001でも、図13,図14に示すように、内側プロテクタ58の先端流通孔58H6と、整流部材1610の遮蔽部1611とを、以下の関係としている。
即ち、濃度センサ素子51は軸線AX上に配置されており、一方、内側プロテクタ58の包囲部581は、軸線AXに沿って延びている。この軸線AXから、包囲部581の先端流通孔58H6の周縁のうち、軸線AXの径方向AXRの最外側に位置する周縁最外部58H6POまでの径方向の寸法を第1半径r(具体的には、2.5mm)としている。また、軸線AXから、整流部材1610の遮蔽部1611の周縁1611Pのうち、軸線AXの径方向AXRの最内側に位置する周縁最内部1611PIまでの径方向AXRの寸法を第2半径R(具体的には、9.0mm)としている。さらに、この包囲部581と遮蔽部1611との軸線方向AXDの最短距離H(包囲−遮蔽部間距離)としたとき、下記式(1)を満たす形態とされている。
なお、包囲−遮蔽部間距離Hは、具体的には、5.0mmとしている。
H/2≦R−r≦2H …(1)
【0081】
このように、差(R−r)と、包囲−遮蔽部間距離Hについて、適切な関係とすることで、内側プロテクタ58の先端流通孔58H6を通じて、包囲部581内とセンサ1001の外部(外筒41の外部)との間での液交換が適切にできる。その一方、遮蔽部1611による軸線方向基端側AXD2に向かう液流の遮蔽効果を十分得て、包囲部581内の濃度センサ素子51の昇温検知部510の周囲の尿素水溶液LQの移動を抑制して、センサ1001による尿素濃度や温度等の状態を適切に検知することができる。
【0082】
(実施形態3)
ついで、本発明の第3の実施形態について、図18,図19を参照して説明する。
本実施形態3に係るセンサ2001は、前述の実施形態1のセンサ1とは、整流部材の形状が異なるだけであるので、異なる部分を中心に説明し、実施形態1と同様の部分は、説明を省略あるいは簡略化する。また、前述の実施形態1と異なる部分のみ、異なる番号を付すこととする。
また実施形態1と同様の部分は、実施形態1と同様の作用、効果を奏する。
【0083】
前述の実施形態1,2のセンサ1,1001では、整流部材61,1610の3つのブリッジ部612,1612に、それぞれ別個に板状部613,1613(従って、各々合計3ヶ)を設けた形態とした。
これに対して、本実施形態3のセンサ2001では、液体濃度センサ部2500において、図19に示す形態を有する整流部材2610を、外筒41の先端部411内に挿入配置している(図18参照)。
【0084】
この整流部材2610は、外径が外筒41の内径よりも径小で、平面視、概略円板形状の本体部分に周囲に、この周縁から一方側に延びるリング状の側部(板状部2613)を備えた形状を有している。
即ち、整流部材2610は、実施形態1の遮蔽部611(円板状)に相当する大きさ及び形状の遮蔽部2611から、平面方向三方に延びる、3つのブリッジ部2612を有している。さらにこのブリッジ部2612の先には、遮蔽部2611に直交して延び、湾曲して平板リング状をなし、外筒41の先端部411の内周面41Nに沿って配置される板状部2613が設けられている。軸線AXの周方向AXP、ブリッジ部2612同士の間には、流通路LLをなす流通孔2610Hが3つ形成されている。
【0085】
この整流部材2610は、板状部2613の先端2613Tが、外筒41の先端41Tとほぼ同位置となり、遮蔽部2611が板状部2613よりも軸線方向基端側AXD2に位置するようにして、外筒41内に配置されている。このうち、整流部材2610は、板状部2613の溶接部2613Wで、自身及び外筒41の厚み方向の溶接により、外筒41に固着されている。このため、接着剤などによる場合と異なり、尿素水溶液LQによる膨潤、劣化などの虞がなく、その一方、環状に溶接する場合よりも容易に、整流部材2610を外筒41に固着することができる。
しかも、整流部材2610の板状部2613と外筒41の先端部411とを、厚み方向(軸線AXの径方向AXR)に溶接している。このため、外筒41の先端面41Tに平板状の蓋部材を突き当てて溶接する場合に比して、溶接部2613Wの位置選択の自由度が高く、位置決め容易で、整流部材2610の板状部2613と外筒41の先端部411とを、確実に溶接することができる。
【0086】
このような整流部材2610を備える本実施形態3のセンサ2001でも、外筒41及び整流部材2610の板状部2613、ブリッジ部2612及び遮蔽部2611とで、外筒41の先端開口OPを通じて、尿素水溶液LQが外筒41の内外を軸線方向AXDに流通する流通路LLが構成される。このため、濃度センサ素子51の昇温検知部511の周囲と、このセンサ2001(外筒41)の外部との液交換が可能となる。
【0087】
その一方、整流部材2610の遮蔽部2611で、外筒41の先端開口OPのうちの一部(中央部分)を塞ぐ状態となる。具体的には、図18に示すように、軸線方向先端側から(図中、左下から右上方向に)このセンサ2001(外筒41)を見た場合に、整流部材2610の遮蔽部2611によって、内側プロテクタ58の先端部583が見えない状態とされている。すなわち、整流部材2610の遮蔽部2611を基端側AXD2に投影した遮蔽部投影領域PJ(図示しない)内に、濃度センサ素子51の昇温検知部510、及び、内側プロテクタ58の包囲部581が位置する形態とされている。
これにより、本実施形態3でも、濃度センサ素子51(昇温検知部511)の周囲で液が激しく移動して、濃度センサ素子51の出力が変動する不具合を適切に抑制することができる。
なお、この整流部材2610は、プレス打ち抜き、絞り加工等、金属板のプレス成形によって一体に形成されている。
【0088】
(変形形態1)
ついで、実施形態3の変形形態について、図20,図21を参照して説明する。
本変形形態1に係るセンサ3001は、前述の実施形態3のセンサ2001で用いた整流部材2610とほぼ同形の整流部材を用いる。但し、実施形態3では、整流部材2610を外筒41内に挿入固定しているが、本変形形態では、外筒41に整流部材を被せて使用する点で異なる。
そこで、異なる部分を中心に説明し、実施形態3と同様の部分は、説明を省略あるいは簡略化する。また、前述の実施形態3と異なる部分のみ、異なる番号を付すこととする。
また実施形態1,3と同様の部分は、実施形態1,3と同様の作用、効果を奏する
【0089】
本変形形態1のセンサ3001では、液体濃度センサ部3500において、整流部材3610(図21参照)を、外筒41に被せている。この整流部材3610は、外径が外筒41の内径よりも径大で、平面視、概略円板形状の本体部分に周囲に、この周縁から一方側に延びるリング状の側部(板状部3613)を備えた形状を有している。
即ち、整流部材3610は、実施形態1の遮蔽部611(円板状)に相当する大きさ及び形状の遮蔽部3611から、平面方向三方に延びる、3つのブリッジ部3612を有している。さらにこのブリッジ部3612の先には、遮蔽部3611に直交して延び、湾曲して平板リング状をなし、外筒41の先端部411の外周面41Gに沿って配置される板状部3613が設けられている。軸線AXの周方向AXP、ブリッジ部3612同士の間には、流通路LLをなす流通孔3610Hが3つ形成されている。
【0090】
図20に示すように、この整流部材3610は、板状部3613の先端当接部3614が、外筒41の先端41T(図20では図示しない)に当接させ、外筒41の先端41Tを覆うと共に、軸線方向AXDの位置決めを行っている。この整流部材3610は、板状部3613の溶接部3613Wで、自身及び外筒41の厚み方向のスポット溶接により、外筒41に固着されている。このため、接着剤などによる場合と異なり、尿素水溶液LQによる膨潤、劣化などの虞がなく、その一方、環状に溶接する場合よりも容易に、整流部材3610を外筒41に固着することができる。
しかも、整流部材3611の板状部3613と外筒41の先端部411とを、厚み方向(軸線AXの径方向AXR)に溶接している。このため、外筒41の先端面41Tに平板状の蓋部材を突き当てて溶接する場合に比して、溶接部3613Wの位置選択の自由度が高く、位置決め容易で、整流部材3610の板状部3613と外筒41の先端部411とを、確実に溶接することができる。
【0091】
このような整流部材3610を備える本変形形態1のセンサ3001でも、外筒41及び整流部材3610の板状部3613、ブリッジ部3612及び遮蔽部3611とで、外筒41の先端開口OPを通じて、尿素水溶液LQが外筒41の内外を軸線方向AXDに流通する流通路LLが構成される。このため、濃度センサ素子51の昇温検知部511の周囲と、このセンサ3001(外筒41)の外部との液交換が可能となる。
【0092】
その一方、整流部材3610の遮蔽部3611で、外筒41の先端開口OPのうちの一部(中央部分)を塞ぐ状態となる。具体的には、図20に示すように、軸線方向先端側から(図中、左下から右上方向に)このセンサ3001(外筒41)を見た場合に、整流部材3610の遮蔽部3611によって、内側プロテクタ58の先端部583が見えない状態とされている。すなわち、整流部材3610の遮蔽部3611を基端側AXD2に投影した遮蔽部投影領域PJ(図示しない)内に、濃度センサ素子51の昇温検知部510、及び、内側プロテクタ58の包囲部581が位置する形態とされている。
これにより、本変形形態1でも、濃度センサ素子51(昇温検知部511)の周囲で液が激しく移動して、濃度センサ素子51の出力が変動する不具合を適切に抑制することができる。
なお、この整流部材3610も、プレス打ち抜き、絞り加工等、金属板のプレス成形によって一体に形成されている。
【0093】
以上において、本発明を実施形態1〜3及び変形形態1に即して説明したが、本発明は、上述の実施形態等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、前述の実施形態1では、液体状態検知センサ1として、液体レベルセンサ部4と液体濃度センサ部5とを複合したタイプのセンサを例示した。しかし、液体レベルセンサとしての機能を有さないものに、本発明を適用することもできる。
また、前述の実施形態1では、液体濃度センサ部5において、尿素水溶液の尿素濃度を検知する手法について説明したが、濃度センサ素子51(内部ヒータ配線518)への通電直後の抵抗値から、尿素水溶液の液温を測定することもできる。従って、尿素水溶液の尿素濃度のほか、液温を測定する液温センサとして用いることもできる。
また、前述の実施形態1等では、液体状態検知センサ1として、制御回路を搭載した配線基板22を有するものを例示した。しかし、本発明の液体状態検知センサとしては、液体濃度検知素子やこれを保持するホルダ部材、包囲部材等を備えていればよく、制御回路を含まないタイプの液体状態検知センサをも含む。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】実施形態1にかかる液体状態検知センサの部分破断断面図である。
【図2】液体状態検知センサの液体濃度センサ部におけるゴムブッシュ及び内側プロテクタの外観を示す説明図である。
【図3】実施形態1にかかる液体状態検知センサのうち、液体濃度センサ部の縦断面図である。
【図4】図3の縦断面図と直交する縦断面における液体濃度センサ部の縦断面図である。
【図5】(a)は濃度センサ素子、接続端子及びリード線の各形態及び接続形態を示す説明図、(b)は濃度センサ素子の先端部分の側面図である。
【図6】内側プロテクタの形状を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は底面図、(d)は縦断面図である。
【図7】ホルダ部材と内側プロテクタとの結合の様子を示す説明図である。
【図8】位置決め部材の形状を示す斜視図である。
【図9】整流部材の形状を示す斜視図である。
【図10】実施形態1にかかる液体状態検知センサを軸線方向先端側から見た場合における、外筒、整流部材及び位置決め部材の脚部の関係を示す説明図である。
【図11】実施形態1にかかる液体状態検知センサのうち、外筒の先端部付近を拡大して示す縦断面図である。
【図12】実施形態2にかかる液体状態検知センサの部分破断断面図である。
【図13】実施形態2にかかる液体状態検知センサのうち、液体濃度センサ部の縦断面図である。
【図14】実施形態2にかかる液体状態検知センサのうち、液体濃度センサ部を先端側から見た底面図である。
【図15】整流部材の形状を示す斜視図である。
【図16】(a)は、整流部材の上面図、(b)は側面図、(c)は縦断面図、(d)は底面図である。
【図17】ゴムブッシュの形状を示す斜視図である。
【図18】実施形態3にかかる液体状態検知センサのうち、液体濃度センサ部の外観を示す斜視図である。
【図19】整流部材の形状を示し、(a)(b)は斜視図、(c)は上面図、(d)は側面図である。
【図20】変形形態1にかかる液体状態検知センサのうち、液体濃度センサ部の外観を示す斜視図である。
【図21】整流部材の形状を示し、(a)(b)は斜視図、(c)は上面図、(d)は側面図である。
【符号の説明】
【0095】
1,1001,2001,3001 液体状態検知センサ
AX (液体状態検知センサの)軸線
AXD (軸線に沿う)軸線方向
AXD1 先端側
AXD2 基端側
AXR (軸線の)径方向(外側プロテクタ及び上記板状部の厚み方向)
AXR1 (軸線の)径方向外側
AXR2 (軸線の)径方向内側
AXP (軸線の)周方向
LQ 尿素水溶液(液体)
LQH (尿素水溶液の)液位
LL 流通路
2 基部
3 センサ部
4 液面レベルセンサ部
41 外筒(外側プロテクタ)
41T 先端
OP 先端開口
411 先端部
41N 内周面
41G 外周面
41B 基端
42 内筒(内側電極体)
5,1500,2500,3500 液体濃度センサ部
51 濃度センサ素子(液体濃度検知素子)
510 昇温検知部(検知部)
58,1580 内側プロテクタ
581 包囲部
582 側部
583 先端部(包囲部の先端部)
58H1,58H2,58H3,58H4,1580H1,1580H2 液体流通孔
58H6,1580H6 先端流通孔
58H6P,1580H6P (先端流通孔の)周縁
58H6PO,1580H6PO 周縁最外部(先端流通孔の周縁のうち軸線の径方向最外側に位置する部位)
r 第1半径(軸線から包囲部の先端流通孔の周縁のうち、軸線の径方向最外側に位置する部位までの径方向の寸法)
EH 包囲部内領域(包囲部内の部位)
FH 先端側領域(包囲部の先端側の部位)
61,1610,2610,3610 整流部材
2610H,3610H 流通孔
611,1611,2611,3611 遮蔽部
PJ (遮蔽部を軸線方向基端側に投影した)遮蔽部投影領域
1611F フィン状部
D2 第2間隙(フィン状部と外筒(外側プロテクタ)及び板状部のいずれか近い方との径方向間隙)
611P,1611P (遮蔽部の)周縁
611PB,1611PB (遮蔽部の周縁のうち)ブリッジ延出部
D1 第1間隙(ブリッジ延出部と外筒(外側プロテクタ)及び板状部のいずれか近い方との径方向間隙)
611PI,1611PI 周縁最内部(遮蔽部の周縁のうち軸線の径方向最内側に位置する部位)
R 第2半径(軸線から、遮蔽部の周縁のうち、軸線の径方向最内側に位置する部位までの径方向の寸法)
H 包囲−遮蔽部間距離(包囲部と遮蔽部との軸線方向最短距離)
612,1612,2612,3612 ブリッジ部
613,1613,2613,3613 板状部
613W,1613W,2613W,3613W (外筒(外側プロテクタ)との)溶接部
2613T (板状部の)先端
LL 流通路
614,1614 係合爪部(位置決め部)
3614 先端当接部(位置決め部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の状態を検知する液体状態検知センサであって、
先端及び基端を有し、軸線に沿って延びる筒状で、上記先端が開口して先端開口をなす外側プロテクタと、
上記外側プロテクタ内に配置され、
上記液体中の特定成分の濃度を検知する検知部を有する
液体濃度検知素子と、
上記外側プロテクタ内に配置され、
上記液体濃度検知素子の上記検知部を、この検知部と間隙を空けて、先端側から及び上記軸線の径方向外側からのうち少なくとも上記軸線の径方向外側から、包囲する包囲部を有する
内側プロテクタと、
上記外側プロテクタに固定され、上記先端開口の一部を塞ぐ整流部材と、を備え、
上記内側プロテクタは、
上記包囲部の先端部に、この包囲部内とこの包囲部より先端側の部位との間とを連通する先端流通孔が形成されてなり、
上記整流部材は、
上記内側プロテクタより先端側に位置する遮蔽部であって、
自身を上記軸線方向の基端側に投影した遮蔽部投影領域内に、上記液体濃度検知素子の上記検知部、及び、上記内側プロテクタの上記包囲部が位置する形態を有する
遮蔽部、
上記軸線の周方向に互いに離間して配置され、上記遮蔽部から上記外側プロテクタに向けて延びる、複数のブリッジ部、及び、
各々の上記ブリッジ部に連なり、上記外側プロテクタの内周面または外周面に沿って配置された板状の板状部、を有し、
上記板状部は、
上記軸線の周方向に互いに離間して、上記外側プロテクタにこの板状部を溶接した溶接部であって、この外側プロテクタ及び上記板状部の厚み方向に溶接した複数の溶接部を含み、
上記外側プロテクタ及び上記整流部材の上記板状部の少なくともいずれかと、上記整流部材の上記ブリッジ部及び上記遮蔽部とで、上記先端開口を通じて、上記液体が上記外側プロテクタの内外を上記軸線方向に流通する流通路を構成してなる
液体状態検知センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の液体状態検知センサであって、
前記整流部材の前記ブリッジ部は、いずれも前記遮蔽部の周縁のうち、ブリッジ延出部から延びており、
上記整流部材の上記遮蔽部は、
前記外側プロテクタの径方向内側に位置してなり、
前記軸線の周方向について上記ブリッジ部同士間に位置し、上記軸線の径方向外側に向けて張り出したフィン状部であって、
自身の径方向外側に位置する上記外側プロテクタ及び前記板状部のいずれか近い方との径方向間隙が、上記ブリッジ延出部と上記外側プロテクタ及び上記板状部のいずれか近い方との径方向間隙よりも、小さい形態としてなる
フィン状部を含み、
上記ブリッジ部は、
自身の少なくとも一部が、上記遮蔽部の上記ブリッジ延出部の径方向外側で、上記遮蔽部よりも基端側に位置してなる
液体状態検知センサ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の液体状態検知センサであって、
前記液体濃度検知素子は、前記軸線上に配置され、
前記内側プロテクタの前記包囲部は、上記軸線に沿って延びてなり、
上記軸線から、上記包囲部の前記先端流通孔の周縁のうち、上記軸線の径方向最外側に位置する部位までの上記軸線の径方向の寸法をrとし、
上記軸線から、前記遮蔽部の周縁のうち、上記軸線の径方向最内側に位置する部位までの径方向の寸法をRとし、
上記包囲部と上記遮蔽部との軸線方向最短距離をHとしたとき、下記式(1)を満たす形態としてなる
液体状態検知センサ。
H/2≦R−r≦2H …(1)
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の液体状態検知センサであって、
前記整流部材は、
前記外側プロテクタの先端に係合して、上記整流部材の前記軸線方向の位置決めを行う位置決め部を有する
液体状態検知センサ。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の液体状態検知センサであって、
前記整流部材は、
金属板のプレス成形により一体に形成してなる
液体状態検知センサ。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の液体状態検知センサであって、
前記外側プロテクタのうち、前記液体濃度検知素子の前記検知部より、前記軸線方向基端側の部位の径方向内側に、前記軸線方向に延びる内側電極体を備え、
上記内側電極体と上記外側プロテクタとの間に生じる静電容量によって、これらの間に介在する前記液体の液面レベルを測定可能としてなる
液体状態検知センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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