説明

液体現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法

【課題】画像を形成した記録媒体を折り曲げたときに折り曲げた部分のトナーの脱落が抑制される耐折曲げ特性に優れた液体現像剤を提供する。
【解決手段】絶縁性のキャリア液と、スチレン系熱可塑性エラストマー及びスチレン系熱可塑性樹脂を含み、前記キャリア液中に分散されたトナー粒子と、を有する液体現像剤。トナーに含まれる全結着樹脂に対するスチレン系熱可塑性エラストマーの含有率が5質量%以上であること、スチレン系熱可塑性エラストマーの25℃におけるキャリア液の吸液率が200%以下であること、キャリア液がパラフィンオイルを主成分とすることが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乾式現像方式に用いるトナーに関しては、例えば、以下のようなものが提案されているが、
特許文献1には、ポリエステル系トナー中に添加されたワックスの分散剤としてスチレン−ブタジエンブロック共重合体を使用する静電荷像現像用トナーが開示されている。
特許文献2には、スチレンアクリル系樹脂、ポリスチレンとポリオレフィンとのブロック共重合体、及びワックスを含むトナー用樹脂組成物が開示されている。
特許文献3には、特定範囲の分子量を有するスチレンアクリル樹脂と、スチレンとオレフィンのブロック共重合体を含む静電荷像現像用トナーが開示されている。
特許文献4には、重量平均分子量(Mw)が1万から15万のスチレンアクリル系樹脂と、スチレンとオレフィンのブロック共重合体からなるトナー用樹脂組成物が開示されている。
特許文献5には熱可塑性エラストマーを結着樹脂とするトナーが開示されている。
【0003】
一方、液体現像剤は、絶縁性のキャリア液中にトナー粒子を分散させたものであり、揮発性のキャリア液中に熱可塑性樹脂からなるトナー粒子が分散されたタイプと、難揮発性のキャリア液中に熱可塑性樹脂からなるトナー粒子が分散されたタイプが知られている。
例えば、特許文献6には、特定の分子量をもつポリエステル樹脂及び特定の融点範囲の離型剤を含有する液体現像剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平07−084407号公報
【特許文献2】特開2000−181141号公報
【特許文献3】特開2001−175031号公報
【特許文献4】特開平11−184149号公報
【特許文献5】特開2007−079348号公報
【特許文献6】特開2004−205843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、画像を形成した記録媒体を折り曲げたときに折り曲げた部分のトナーの脱落が抑制される耐折曲げ特性に優れた液体現像剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、以下の発明が提供される。
請求項1に係る発明は、絶縁性のキャリア液と、前記キャリア液中に分散され、スチレン系熱可塑性エラストマー及びスチレン系熱可塑性樹脂を含むトナー粒子と、を有する液体現像剤である。
請求項2に係る発明は、前記トナーに含まれる全結着樹脂に対する前記スチレン系熱可塑性エラストマーの含有率が5質量%以上である請求項1に記載の液体現像剤である。
請求項3に係る発明は、前記スチレン系熱可塑性エラストマーの25℃における前記キャリア液の吸液率が200%以下である請求項1又は請求項2に記載の液体現像剤である。
請求項4に係る発明は、前記キャリア液がパラフィンオイルを主成分とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の液体現像剤である。
請求項5に係る発明は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の液体現像剤を収納すると共に、静電潜像保持体の表面に形成された静電潜像を該液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジである。
請求項6に係る発明は、静電潜像保持体と、前記静電潜像保持体の表面を帯電する帯電手段と、前記静電潜像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の液体現像剤を収納すると共に、静電潜像保持体の表面に形成された静電潜像を該液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に該トナー像を定着する定着手段と、を備える画像形成装置である。
請求項7に係る発明は、静電潜像保持体の表面を帯電する帯電工程と、前記静電潜像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像保持体の表面に形成された静電潜像を請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に該トナー像を定着する定着工程と、を含む画像形成方法。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明によれば、液体現像剤に含まれるトナー粒子がスチレン系熱可塑性エラストマーとスチレン系熱可塑性樹脂を含まない場合に比べ、画像を形成した記録媒体を折り曲げたときに折り曲げた部分のトナーの脱落が抑制される耐折曲げ特性に優れた液体現像剤が提供される。
請求項2に係る発明によれば、前記トナーに含まれる全結着樹脂に対する前記スチレン系熱可塑性エラストマーの含有率が上記範囲外である場合に比べ、難揮発性のオイルを用いた場合でも、低温定着性に優れた液体現像剤が提供される。
請求項3に係る発明によれば、前記スチレン系熱可塑性エラストマーの25℃における前記キャリア液の吸液率が200%を超える場合に比べ、難揮発性のオイルを用いた場合でも、記録媒体に形成した画像を引っ掻いたときにトナーの脱落が抑制される耐引っ掻き特性に優れた液体現像剤が提供される。
請求項4に係る発明によれば、前記キャリア液がパラフィンオイルを主成分としない場合に比べ、耐引っ掻き特性に優れた液体現像剤が提供される。
請求項5に係る発明によれば、スチレン系熱可塑性エラストマーとスチレン系熱可塑性樹脂を含まないトナー粒子が分散された液体現像剤を用いる場合に比べ、耐折り曲げ特性に優れた画像が得られるプロセスカートリッジが提供される。
請求項6に係る発明によれば、スチレン系熱可塑性エラストマーとスチレン系熱可塑性樹脂を含まないトナー粒子が分散された液体現像剤を用いる場合に比べ、耐折り曲げ特性に優れた画像が得られる画像形成装置が提供される。
請求項7に係る発明によれば、スチレン系熱可塑性エラストマーとスチレン系熱可塑性樹脂を含まないトナー粒子が分散された液体現像剤を用いる場合に比べ、耐折り曲げ特性に優れた画像が得られる画像形成方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を適宜参照しながら、本実施形態について説明する。
【0010】
<液体現像剤>
本実施形態に係る液体現像剤は、スチレン系熱可塑性エラストマー及びスチレン系熱可塑性樹脂を含むトナー粒子と、前記トナー粒子を分散させるための絶縁性のキャリア液と、を含む。本実施形態の液体現像剤を用いて紙などの記録媒体に画像を形成すれば、耐折曲げ特性、すなわち、記録媒体を折り曲げたときに折り曲げた部分のトナーの脱落が抑制される画像が得られる。本実施形態に係る液体現像剤を用いることで耐折曲げ特性に優れた画像が得られる理由としては以下のことが考えられる。
【0011】
例えば、結着樹脂としてスチレンアクリル樹脂やポリエステルを用いた乾式現像用のトナー粒子をキャリア液に分散させて液体現像剤とし、この液体現像剤を用いて記録媒体に画像を形成すると、折り曲げたときに折り曲げた部分の画像のトナーの一部が脱落し、良好な耐折り曲げ特性を得ることが困難である。液体現像剤は、トナー粒子がキャリア液中で分散されるので、キャリア液との相互作用があり、乾式現像用のトナー粒子では、キャリア液とのSP値(溶解度パラメータ)の差が大きく、トナーとトナーとの間に残存するキャリア液によって、定着時におけるトナー同士の融合阻害を引き起こすことなどが原因として考えられる。
一方、本実施形態の液体現像剤では、スチレン系熱可塑性エラストマー及びスチレン系熱可塑性樹脂を含むトナー粒子を用いることで、キャリア液との馴染みが向上するとともに柔軟性が付与され、耐折曲げ特性が向上すると考えられる。
なお、本実施形態では、耐折曲げ特性のほか、耐引っ掻き特性や低温定着性にも優れた液体現像剤も提供される。
以下、本実施形態に係る液体現像剤の構成成分について、詳細に説明する。
【0012】
〔トナー粒子〕
本実施形態の液体現像剤に含まれるトナー粒子は、スチレン系熱可塑性エラストマー及びスチレン系熱可塑性樹脂を含んで構成される。スチレン系熱可塑性エラストマーは、主にトナー粒子を構成する結着樹脂の柔軟性を上げて耐折り曲げ特性の改善に寄与し、スチレン系熱可塑性樹脂は、主に耐引っ掻き特性改善に寄与する。
【0013】
−スチレン系熱可塑性樹脂−
本実施形態のトナー粒子に含まれるスチレン系熱可塑性樹脂としては、スチレン系単量体の重合体、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体とを構成単位として含むビニル系共重合体が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」とはアクリル又はメタクリルのいずれかまたは両方であることを意味する。
上記スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−ter−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、等が挙げられる。
【0014】
上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの他、アクリル酸2−クロルエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、ビスグリシジルメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、メタクリロキシエチルホスフェートなどを挙げられる。中でも、メタクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が好適に用いられる。
上記スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体以外に、その他のビニル系単量体として、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸等のアクリル酸及びそのα−又はβ−アルキル誘導体;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、等の不飽和ジカルボン酸及びそのモノエステル誘導体又はジエステル誘導体;コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、(メタ)アクリロニトリル、アクリルアミド等を使用してもよい。単量体として、必要に応じて2個以上の二重結合を有する架橋性モノマーを使用してもよい。架橋性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート等のジアクリレート化合物およびそれらのメタクリレート化合物、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート等の多官能架橋性モノマーおよびそれらのメタクリレート化合物等が挙げられる。
【0015】
上記ビニル系重合体の重量平均分子量(Mw)は、15万以上50万以下が望ましい。上記ビニル系重合体の重量平均分子量(Mw)が15万以上であれば耐引っ掻き特性が確実に向上し、50万以下であれば溶融粘度が低く抑えられて定着面の平滑性が得られ、要望に沿った発色性が発現される。
また、上記ビニル系重合体の分子量分布(Mw/Mn)は2以上20以下が望ましい。上記ビニル系重合体の分子量分布(Mw/Mn)が2以上であれば、高温領域における粘度が低下して耐オフセット性が阻害されることが抑制され、20以下であれば、定着性が低下することが抑制される。
なお、上記ビニル系重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)で測定される分子量分布において、複数のピークや肩部をもっていてもよい。
【0016】
トナー粒子中のスチレン系熱可塑性樹脂の含有率は、粉砕性の観点から、全結着樹脂に対して、50質量%以上95質量%以下であることが望ましく、60質量%以上90質量%以下がより望ましい。
【0017】
−スチレン系熱可塑性エラストマー−
本実施形態のトナー粒子に含まれるスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレンとポリオレフィンとのブロック共重合体、ランダム共重合体等が挙げられ、常温ではゴムの特色を持つが、高温では熱可塑性プラスチックと同様、軟化する材料である。
例えば、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリブタジエン/ブチレン−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリエチレン/ブチレン−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン、ポリスチレン−水添ポリブタジエン−ポリスチレン、ポリスチレン−水添ポリイソプレン−ポリスチレン、ポリスチレン−水添ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリスチレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体には、1−4体、1−2体の結合の形で二重結合が残るが、これを水素添加したものを使用してもよい。さらに、ポリスチレンに挟まれたソフトセグメント部に極性基を導入したブロック共重合体を使用してもよい。なお、上記共重合体の例示において、「−」で区切った前後はブロックポリマーを意味し、「/」で区切った前後はランダムでも良いし、ブロックでも良いことを意味する。
市販品としては、旭化成社製のタフテックM1911、タフテックM1943、タフテックMP10、アサプレンT439、タフプレンA、クラレ社製のDYNARON8630Pなどが挙げられる。特に、ポリスチレンに挟まれたソフトセグメント部が、極性基導入と水素添加された旭化成社製のSOE−L611、SOE−L611X、SOE−L605(以上、商品名)などが好適に使用される。
【0018】
トナー粒子における上記スチレン系熱可塑性エラストマーの含有率は、全結着樹脂に対して5質量%以上であることが望ましい。スチレン系熱可塑性エラストマーの含有率が上記範囲内であれば、耐折り曲げ特性に加え、低温定着性も大きく向上する。全結着樹脂におけるスチレン系熱可塑性エラストマーの含有率が5質量%以上であれば、耐折曲げ特性が確実に向上する共に、高温側の耐オフセット性が損なわることが抑制される。スチレン系熱可塑性エラストマーの含有率の上限は、特に規定されるものではないが、スチレン系熱可塑性樹脂の含有率を考慮すると全結着樹脂に対して50重量%以下、粉砕性を持たせるためにスチレン系熱可塑性樹脂の含有率を上げた場合には全結着樹脂に対して40重量%以下で含有される。
【0019】
スチレン系熱可塑性エラストマーの25℃でのキャリア液の吸液率は200%以下であることが望ましい。キャリア液として特に分子量が大きい難揮発性オイルを含む場合、スチレン系熱可塑性エラストマーの20℃でのキャリア液の吸液率が200%以下であれば、定着画像の強度が低下することが抑制され、耐引っ掻き特性が向上する。
なお、保存安定性の観点から、スチレン系熱可塑性エラストマーの25℃でのキャリア液の吸液率は、0%以上150%以下がより望ましく、5%以上100%以下が特に望ましい。
【0020】
上記吸液率は、熱可塑性エラストマーのペレット2gを、パラフィンオイルが100ml入った200mlビーカーに入れ、25℃の恒温装置に15時間静置したのち、200メッシュの金網でろ過し、濾別したペレットを濾紙に挟んで余分のオイルを吸い取った後、重量増加を測定し、次式で計算される値である。
吸液率(%)=(重量増加/はじめの乾燥ペレットの重量)×100
【0021】
本実施形態のトナー粒子は、スチレン系熱可塑性エラストマー及びスチレン系熱可塑性樹脂のほか、必要に応じて、他の結着樹脂、着色剤、ワックス、電荷制御剤、シリカ粉末、金属酸化物など他の添加剤を含有していてもよい。これら添加剤は、スチレン系熱可塑性エラストマー及びスチレン系熱可塑性樹脂を含む結着樹脂に混練するなどして内添してもよいし、粒子としてトナーを得たのち混合処理を施すなどして外添してもよい。なお、通常、着色剤を含むが、透明のトナーとする場合は、着色剤を含まなくてもよい。
トナー粒子に含まれるスチレン系熱可塑性エラストマー及びスチレン系熱可塑性樹脂以外の結着樹脂としては、公知の結着樹脂が挙げられる。例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、等が挙げられる。
【0022】
着色剤としては、公知の顔料または染料が用いられる。具体的には、以下に示すイエロー、マゼンタ、シアン、黒の各顔料が用いられる。
【0023】
イエローの顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯化合物、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。
マゼンタの顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。
シアンの顔料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用される。
黒の顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、鉄黒等が用いられる。
【0024】
ワックスとしては、特に制限はなく、例えば、カルナバワックス、木蝋、米糠蝋等の植物性ワックス;蜜ワックス、昆虫ワックス、鯨ワックス、羊毛ワックスなどの動物性ワックス;モンタンワックス、オゾケライトなどの鉱物性ワックス、エステルを側鎖に有するフィッシャートロプシュワックス(FTワックス)、特殊脂肪酸エステル、多価アルコールエステル等の合成脂肪酸固体エステルワックス;パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、ポリアミドワックス、およびシリコーン化合物等の合成ワックス;などが挙げられる。ワックスは1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0025】
電荷制御剤としては、特に制限はなく、従来公知の電荷制御剤が使用される。例えば、ニグロシン染料、脂肪酸変性ニグロシン染料、カルボキシル基含有脂肪酸変性ニグロシン染料、四級アンモニウム塩、アミン系化合物、アミド系化合物、イミド系化合物、有機金属化合物等の正帯電性電荷制御剤;オキシカルボン酸の金属錯体、アゾ化合物の金属錯体、金属錯塩染料やサリチル酸誘導体等の負帯電性電荷制御剤;などが挙げられる。電荷制御剤は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0026】
金属酸化物としては、特に制限はなく、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。金属酸化物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0027】
−トナー粒子の製造方法−
本実施形態で用いるトナー粒子を製造する方法は特に限定されず、例えば、粉砕トナー、液中乳化乾燥トナー、もしくは重合トナーの製造方法で製造したトナーをキャリア液中で微粉砕して得られる。
例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー及びスチレン系熱可塑性樹脂を含む結着樹脂、着色剤、必要に応じて、他の添加剤をヘンシェルミキサー等の混合装置に投入して混合し、この混合物を二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミル、ニーダー等で溶融混練した後、ドラムフレーカー等で冷却し、ハンマーミル等の粉砕機で粗粉砕し、さらにジェットミル等の粉砕機で微粉砕した後、風力分級機等を用いて分級することにより、粉砕トナーが得られる。
また、スチレン系熱可塑性エラストマー及びスチレン系熱可塑性樹脂を含む結着樹脂、着色剤、必要に応じて、他の添加剤を酢酸エチル等の溶剤に溶解し、炭酸カルシウムのごとき分散安定剤が添加された水中に乳化/懸濁し、溶剤を除去した後、分散安定剤を除去して得られた粒子を濾過・乾燥することによって液中乳化乾燥トナーが得られる。
また、結着樹脂を形成する重合性単量体、着色剤、重合開始剤(例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、イソプロピルパーオキシカーボネート、クメンハイドロパーオキサイド、2,4−ジクロリルベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等)および他の添加剤などを含有する組成物を水相中に撹拌下で加えて造粒し、重合反応後、粒子を濾過・乾燥することによって重合トナーが得られる。
【0028】
なお、トナーを得る際の各材料(スチレン系熱可塑性エラストマー及びスチレン系熱可塑性樹脂、着色剤、その他の添加剤など)の配合割合は、要求される耐折り曲げ特性、耐引っ掻き特性、低温定着性、色などを考慮して設定すればよい。得られたトナーは、ボールミル、ビーズミル、高圧湿式微粒化装置等の公知の粉砕装置を用いて、キャリアオイル中で微粉砕することにより本実施形態の液体現像剤用トナー粒子が得られる。
【0029】
トナー粒子の体積平均粒径D50vは、0.5μm以上5.0μm以下であることが望ましい。上記範囲内であることで、付着力を高く、現像性の向上が図られる。また、画像の解像性の向上も図られる。トナー粒子の体積平均粒径D50vは、0.8μm以上4.0μm以下であることがより望ましく、1.0μm以上3.0μm以下であることが更に望ましい。
【0030】
トナー粒子の体積平均粒径D50v、数平均粒度分布指標(GSDp)、体積平均粒度分布指標(GSDv)等は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置 例えば、LA920(堀場製作所社製)を用いて測定される。粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描き、累積16%となる粒子径を体積D16v、数D16p、累積50%となる粒子径を体積D50v、数D50p、累積84%となる粒子径を体積D84v、数D84pと定義する。これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2、数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2として算出される。
【0031】
[キャリア液]
キャリア液は、トナー粒子を分散させるための絶縁性の液体であり、特に制限はないが、例えば、パラフィンオイル等の脂肪族系炭化水素溶媒(市販品では、松村石油社製モレスコホワイトMT−30P、モレスコホワイトP40、モレスコホワイトP70、エクソン化学社製アイソパーL、アイソパーMなど)、ナフテン系オイル等の炭化水素系溶媒(市販品では、エクソン化学社製 エクソールD80、エクソールD110、エクソールD130、日本石油化学社製 ナフテゾールL、ナフテゾールM、ナフテゾールH、Newナフテゾール160、Newナフテゾール200、Newナフテゾール220、NewナフテゾールMS−20Pなど)が挙げられ、それらの中に、トルエン等の芳香族化合物を含有させてもよい。
【0032】
本実施形態の液体現像剤に含まれるキャリア液は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。キャリア液を2種以上の混合系として用いる場合は、例えば、パラフィン系溶剤と植物油との混合系や、シリコーン系溶剤と植物油との混合系が挙げられ、パラフィン系溶剤と植物油との混合系であることが望ましい。
本実施形態で用いるキャリア液は、パラフィンオイルを主成分とすることが望ましい。ここで「主成分」とは、キャリア液を構成する成分のうち、最も多く含まれる成分であり、望ましくは50容量%以上である。パラフィンオイルは、トナー粒子に含まれるスチレン系熱可塑性エラストマー及びスチレン系熱可塑性樹脂との相溶性が高く、パラフィンオイルを主成分とするキャリア液を用いることで、耐引っ掻き特性(スクラッチ特性)がより確実に向上される。
【0033】
キャリア液は、各種副資材、例えば、分散剤、乳化剤、界面活性剤、安定化剤、湿潤剤、増粘剤、起泡剤、消泡剤、凝固剤、ゲル化剤、沈降防止剤、帯電制御剤、帯電防止剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、付香剤、粘着防止剤、離型剤等を含んでいてもよい。
【0034】
[液体現像剤の製造方法]
本実施形態の液体現像剤は、既述のトナー粒子とキャリア液とを、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ビーズミル等の分散機を用いて混合し、粉砕して、トナー粒子をキャリア液中に分散することにより得られる。
なお、トナー粒子のキャリア液中への分散は分散機に限られず、ミキサーのごとく、特殊な攪拌羽根を高速で回転させ分散してもよいし、ホモジナイザーとして知られるローター・ステーターの剪断力で分散してもよいし、超音波によって分散してもよい。
【0035】
キャリア液中のトナー粒子の濃度は、現像剤の粘度を適性にコントロールし、現像機内の現像液循環をスムーズにするという観点から、0.5質量%以上40質量%以下の範囲とすることが望ましく、1質量%以上30質量%以下の範囲とすることがより望ましい。
【0036】
その後、得られた分散液を、例えば孔径100μmの膜フィルターを用いて濾過し、ゴミ及び粗大粒子を除去してもよい。
【0037】
<プロセスカートリッジ、画像形成装置>
本実施形態の画像形成装置は、静電潜像保持体(以下、「感光体」という場合がある)と、前記静電潜像保持体の表面を帯電する帯電手段と、前記静電潜像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、上記本実施形態に係る液体現像剤を収納すると共に、静電潜像保持体の表面に形成された静電潜像を該液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に該トナー像を定着する定着手段と、を備える。
【0038】
上記画像形成装置において、例えば前記現像手段を含む部分が、画像形成装置本体に対して脱着するカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよく、該プロセスカートリッジとしては、既述の液体現像剤を収納し、潜像保持体上に形成された静電潜像を液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジが好適に用いられる。
以下、本実施形態における、液体現像剤を用いた画像形成装置を、図面を参照しつつ説明する。
【0039】
図1は、本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。画像形成装置100は、感光体(静電潜像保持体)10、帯電装置(帯電手段)20、露光装置(静電潜像形成手段)12、現像装置(現像手段)14、中間転写体(転写手段)16、クリーナ18、転写定着ローラ(転写手段)28を含んで構成される。感光体10は円柱形状を有し、該感光体10の外周に、帯電装置20、露光装置12、現像装置14、中間転写体16、及び、クリーナ18が順次に設けられている。
以下、この画像形成装置100の動作について簡単に説明する。
【0040】
帯電装置20が感光体10の表面を予め定められた電位に帯電させ、帯電された表面を画像信号に基づき、露光装置12が、例えばレーザ光線によって露光して静電潜像を形成する。
現像装置14は、現像ローラ14aと現像剤収納容器14bとを含んで構成される。現像ローラ14aは、現像剤収納容器14bに収納される液体現像剤24に一部が浸るようにして設けられる。液体現像剤24は、絶縁性のキャリア液と、スチレン系熱可塑性エラストマー及びスチレン系熱可塑性樹脂を含むトナー粒子を有する。
【0041】
液体現像剤24中では、トナー粒子は分散されているが、例えば液体現像剤24を、さらに現像剤収納容器14b内に設けられる撹拌部材によって撹拌し続けることで、液体現像剤24中のトナー粒子の濃度の位置ばらつきは低減される。これにより図の矢印A方向に回転する現像ローラ14aには、トナー粒子の濃度バラツキが低減された液体現像剤24が供給される。
【0042】
現像ローラ14aに供給された液体現像剤24は、規制部材によって一定の供給量に制限された状態で感光体10に搬送され、現像ローラ14aと感光体10とが近接(あるいは接触)する位置で静電潜像に供給される。これによって静電潜像は顕像化されてトナー像26となる。
【0043】
現像されたトナー像26は、図の矢印B方向に回転する感光体10に搬送され、用紙(記録媒体)30に転写されるが、本実施形態では、用紙30に転写する前に、感光体10からのトナー像の剥離効率を含めた記録媒体への転写効率を向上させ、さらに記録媒体への転写と同時に定着を行うため、一旦中間転写体16にトナー像を転写する。このとき、感光体10及び中間転写体16間に周速差を設けてもよい。
【0044】
次いで、中間転写体16により矢印C方向に搬送されたトナー像は、転写定着ローラ28との接触位置において用紙30に転写されると共に定着される。
転写定着ローラ28は、中間転写体16とともに用紙30を挟み、中間転写体16上のトナー像を用紙30に密着させる。これによって用紙30にトナー像を転写し、用紙上にトナー像が定着され、定着画像29となる。トナー像の定着は、転写定着ローラ28に発熱体を設けて加圧及び加熱により行うことが望ましい。定着温度は、通常、120℃以上200℃以下である。
【0045】
中間転写体16が図1に示すようにローラ形状であれば、転写定着ローラ28とローラ対を構成するため、中間転写体16、転写定着ローラ28が各々定着装置における定着ローラ、押圧ローラに準じた構成となって定着機能を発揮する。すなわち、用紙30が前記ニップを通過する際、トナー像が転写されると共に転写定着ローラ28により中間転写体16に対して加熱及び押圧される。これにより、トナー像を構成するトナー粒子中の結着樹脂が軟化すると共に、トナー像が用紙30の繊維中に浸潤して、用紙30に定着画像29が形成される。
【0046】
本実施形態では用紙30への転写と同時に定着を行っているが、転写工程と定着工程とを別々として、転写を行った後に定着を行ってもよい。この場合には、感光体10からトナー像を転写する転写ローラが、中間転写体16に準じた機能を有することとなる。
【0047】
一方、中間転写体16にトナー像26を転写した感光体10では、転写残トナー粒子クリーナ18との接触位置まで運ばれ、クリーナ18によって回収される。なお、転写効率が100%に近く、残留トナーが問題とならない場合は、クリーナ18は設ける必要がない。
画像形成装置100は、さらに、転写後かつ次の帯電までに感光体10の表面を除電する除電装置(図示せず)を備えていてもよい。
画像形成装置100に備えられる帯電装置20、露光装置12、現像装置14、中間転写体16、転写定着ローラ28、及び、クリーナ18は、すべて感光体10の回転速度と同期をとって動作されている。
このような構成の画像形成装置100を用いて紙などの記録媒体30に画像を形成することで、耐折り曲げ特性が高い画像が得られる。
【実施例】
【0048】
以下、実施例を挙げてさらに具体的に説明するが、下記の実施例は、本発明を制限するものではない。なお、文中、「部」及び「%」は、特に断りのない限りそれぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
【0049】
<現像剤の作製>
−実施例1−
スチレンアクリル樹脂(藤倉化成(株)製品FSR-051、重量平均分子量38万)60質量部にシアン顔料C.I.ピグメントブルー15:3(クラリアント(株)製)40質量部を加え、加圧ニーダーで混練した。この混練物を粗粉砕して、シアン顔料マスターバッチを作製した。
【0050】
次に以下の組成の混合物をボールミルで24時間溶解分散した。
上記シアン顔料マスターバッチ:25質量部
スチレンアクリル樹脂(藤倉化成(株)製FSR−053、重量平均分子量32万、酸価10):60質量部
スチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成社製品:「アサプレンT439」 スチレン・ブタジエンブロック共重合体):10質量部
スチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成社製品:「タフプレンA」 スチレン・ブタジエンブロック共重合体):5質量部
酢酸エチル:200質量部
【0051】
一方、塩化ナトリウム(和光純薬(株)製)20部をイオン交換水135部に溶解させた水溶液に、分散安定剤として炭酸酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、ルミナス)20部を加え、ボールミルで24時間分散して分散媒体とした。この分散媒体170部に前記混合物100部を投入して、乳化装置(エスエムテー社製IKA社製、HIGH−FLEX HOMOGENIZERウルトラタラックスT−25)にて8000rpm、24000rpmで1分間乳化し、懸濁液を得た。
【0052】
撹伴機、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えたセパラブルフラスコに、上記懸濁液を入れ、窒素導入管より窒素を導入しながら、60℃で3時間撹拌し、酢酸エチルを除去した。その後冷却し、反応液に10%塩酸水溶液を加えて炭酸カルシウムを分解した後、遠心分離によって固液分離を行った。
得られた粒子を1Lのイオン交換水で3回繰り返して洗浄を行った後、得られた粒子を40℃で真空乾燥した。
【0053】
乾燥したシアン粒子35質量部に、揮発性のパラフィンオイル(エクソン社製 アイソパーL)103質量部と、ソルスパース1.5質量部の混合物をボールミルで微粉砕して平均粒径1.0μmの液体現像剤1を得た。
【0054】
−実施例2−
スチレンアクリル樹脂(藤倉化成(株)製FSR−051、重量平均分子量38万)60質量部にシアン顔料C.I.ピグメントブルー15:3(クラリアント(株)製)40質量部を加え、加圧ニーダーで混練した。この混練物を粗粉砕して、シアン顔料マスターバッチを作製した。
【0055】
次に以下の組成の混合物を再度加圧ニーダーで混練した。
上記シアン顔料マスターバッチ:25質量部
スチレンアクリル樹脂(藤倉化成(株)製FSR−053、重量平均分子量32万、酸価10):55質量部
スチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成社製品:「SOE− L611X」 スチレン・ブタジエンブロック共重合体の水素添加品):20質量部
【0056】
混練物をジェットミルで粉砕し平均粒径10μmのシアン粒子を得た。
このシアン粒子35質量部に、難揮発性のパラフィンオイル(松村石油(株)製 モレスコホワイトP40)103質量部、ソルスパース1.5質量部の混合物をボールミルで微粉砕して平均粒径1.1μmの液体現像剤2を得た。
【0057】
−実施例3−
実施例1でスチレンアクリル樹脂(藤倉化成(株)製FSR−053、重量平均分子量32万)60質量部を45質量部に、スチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成社製品:「アサプレンT439」 スチレン・ブタジエンブロック共重合体)10質量部を25質量部に変更した他は同様にして、液体現像剤102を得た。キャリア液中のトナー粒子の体積平均粒径は1.1μmであった。
【0058】
−実施例4−
実施例1でスチレンアクリル樹脂(藤倉化成(株)製FSR−053、重量平均分子量32万)60質量部を71質量部に、スチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成社製品:「アサプレンT439」 スチレン・ブタジエンブロック共重合体)10質量部を4質量部に、さらにスチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成社製品:「タフプレンA」 スチレン・ブタジエンブロック共重合体)5質量部を0質量部に変更した他は同様にして、液体現像剤103を得た。キャリア液中のトナー粒子の体積平均粒径は1.1μmであった。
【0059】
−実施例5−
実施例2でスチレン系熱可塑性エラストマーの「SOE− L611X」を吸液率220%の旭化成社製品「タフテックM1911」(スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体変性品)に変更した他は同様にして、液体現像剤104を得た。キャリア液中のトナー粒子の体積平均粒径は1.0μmであった。
【0060】
−実施例6−
実施例2でパラフィンオイル(松村石油(株)製モレスコホワイトP40)をナフテン系オイル(エクソン化学社製 エクソールD130)に変更した他は同様にして、液体現像剤105を得た。キャリア液中のトナー粒子の体積平均粒径は1.0μmであった。
【0061】
−比較例1−
実施例1でスチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成社製品:「アサプレンT439」および「タフプレンA」)15質量部をスチレンアクリル樹脂(藤倉化成(株)製スチレン−アクリル酸ブチル樹脂、重量平均分子量32万)に置き換えた他は同様にして、液体現像剤101を得た。キャリア液中のトナー粒子の体積平均粒径は1.0μmであった。
【0062】
−比較例2−
実施例2でスチレン系熱可塑性エラストマーの「SOE−L611X」をアクリル系熱可塑性エラストマーのクラレ社製品「LAポリマー」に変更した他は同様にして、液体現像剤106を得た。キャリア液中のトナー粒子の体積平均粒径は1.0μmであった。
【0063】
−比較例3−
実施例1でスチレン系熱可塑性樹脂の「FSR−051」および「FSR−053」をアクリル系熱可塑性樹脂の藤倉化成社製品「MH−105−1」に変更した他は同様にして、液体現像剤107を得た。キャリア液中のトナー粒子の体積平均粒径は1.0μmであった。
【0064】
実施例、比較例で用いた各熱可塑性エラストマーの25℃におけるキャリア液の吸液率を下記表1に示す。なお、吸液率の算出方法は前記したとおりである。
【0065】
【表1】



【0066】
<評価>
−低温定着性(MFT評価)−
実施例、比較例で製造した液体現像剤を、2.5%になるように同じオイル(モレスコホワイトP−70)で希釈しディスポセル(ポリスチレン性)に入れた。この中に1mmの間隙で対向させた二枚の透明電極を浸漬し、300Vの電圧を30秒間印加した。電極を引き上げ、プラス電極上に堆積させたトナーを富士ゼロックス社製Jコート紙に転写した。堆積したトナーの載り量を測定すると2g/mであった。転写画像は、外部定着器を用い、Nip6mm下、定着速度500mm/secにて定着した。定着評価においては、最低定着温度の評価を行うため、その定着器の定着温度が可変となるように改造し、定着ロールの定着温度を、100℃から+5℃おきに高め、画像を定着させた。最低定着温度(MFT)は、BYK-Gardner社製Micro-TRI-Glossで60°グロスを測定し、画像グロスが20を超えるときの定着温度とした。結果を表2に示す。なお、今回の評価においては、MFTは130℃以下で良好であると評価されるものである。
【0067】
−耐折り曲げ特性−
耐折り曲げ特性は、画像を内側にして用紙を折り曲げ、折り曲げた部分を軽く拭きとった後の画像の破壊具合から評価した。評価結果は、◎:画像の剥がれがほとんど観察されない、○:軽微で不連続な画像の剥がれがある、△:不連続な破損、×:連続した破損、とした。
結果を下記表2に示す。
【0068】
−耐引っ掻き特性−
引っかきは、ライナックス社製ひっかき試験器の加圧力0.5kgを用いて評価した。評価結果は、◎:濃度低下がほとんど生じていない、○:濃度低下はあるが画像は残っている、△:画像の一部分が剥がれている、とした。
結果を下記表2に示す。
【0069】
【表2】

【符号の説明】
【0070】
10 感光体(静電潜像保持体)
12 露光装置(静電潜像形成手段)
14 現像装置(現像手段)
16 中間転写体
18 クリーナ
20 帯電装置(帯電手段)
22 静電潜像
24 液体現像剤
26 トナー像
28 転写定着ローラ(転写手段)
29 定着像
30 記録媒体
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性のキャリア液と、
前記キャリア液中に分散され、スチレン系熱可塑性エラストマー及びスチレン系熱可塑性樹脂を含むトナー粒子と、
を有する液体現像剤。
【請求項2】
前記トナーに含まれる全結着樹脂に対する前記スチレン系熱可塑性エラストマーの含有率が5質量%以上である請求項1に記載の液体現像剤。
【請求項3】
前記スチレン系熱可塑性エラストマーの25℃における前記キャリア液の吸液率が200%以下である請求項1又は請求項2に記載の液体現像剤。
【請求項4】
前記キャリア液がパラフィンオイルを主成分とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の液体現像剤。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の液体現像剤を収納すると共に、静電潜像保持体の表面に形成された静電潜像を該液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジ。
【請求項6】
静電潜像保持体と、
前記静電潜像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
前記静電潜像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の液体現像剤を収納すると共に、静電潜像保持体の表面に形成された静電潜像を該液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に該トナー像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項7】
静電潜像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
前記静電潜像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像保持体の表面に形成された静電潜像を請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記記録媒体に該トナー像を定着する定着工程と、
を含む画像形成方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−123121(P2012−123121A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272941(P2010−272941)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】