説明

液体画像記録用記録剤

【課題】長期にわたる使用に際して、連続耐久印刷、複写において安定した画像を与え、鮮明性および透明性、ゼータ電位の経時安定性に優れた画像を安定して提供することができる液体画像記録用記録剤を提供すること。
【解決手段】少なくとも絶縁性溶剤とバインダー樹脂と着色剤と電荷制御剤とからなる液体画像記録用記録剤において、i)上記バインダー樹脂が、上記絶縁性溶剤に可溶な樹脂を保護コロイドとする非水エマルジョンであり、ii)前記着色剤が、絶縁性溶剤に可溶な樹脂を保護コロイドとした染顔料分散体であり、iii)前記電荷制御剤が、絶縁性溶剤に可溶な樹脂を保護コロイドとした粉末の電荷制御剤分散体および/または絶縁性溶剤に相溶し保護コロイドに分散する液状電荷制御剤であることを特徴とする液体画像記録用記録剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電記録方式および電子写真方式による静電潜像形成、静電付着、転写、定着工程などを有する画像記録方式における液体画像記録用記録剤(以下「液体トナー」という場合がある)に関する。
【背景技術】
【0002】
静電記録ヘッドにより記録媒体に静電潜像を形成する静電記録方式、或いは感光体などに潜像を形成する電子写真方式は、絶縁性液体に分散された微小なトナー粒子を用いて潜像を現像することができる。液体トナーは、乾式画像記録剤に比べてトナー粒子を小粒径化することが可能で、より高精細な画像を形成することができる。
【0003】
このような液体トナーを用いて、被転写体に静電付着する画像形成方法、或いは静電潜像に液体トナーを供給し現像した後、被転写体に転写する方法にて印刷、複写を繰り返して行った場合、経時的にトナー粒子、すなわちエマルジョン粒子同士、染顔料粒子同士、電荷制御剤粒子同士、或いはエマルジョン粒子と染顔料粒子、さらに電荷制御剤が粗大粒子化し、凝集物となり、ゼータ電位の低下、尾引き、鮮明性および透明性の低下、さらに現像装置周辺部へのトナー粒子の不溶解性に起因する乾燥析出物の汚染など、印刷に悪影響、画像品質の低下という問題点があった。
【0004】
液体トナーの製造は、顔料または染料と、絶縁性溶剤と、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体などのバインダー樹脂とを、3本ロール、ニーダー、ボールミル、アトライターなど分散機で機械的に分散し、さらに金属石鹸やアミン、高級脂肪酸などを添加して、分散体の分散粒子に電荷を付与する方法が一般的であった。
さらに、高絶縁性媒体中に可溶な重合体の存在下で、該媒体にはモノマー自体は可溶であるが、重合体が不溶となるモノマーを重合し、得られた樹脂分散体(非水エマルジョン)に着色剤および電荷制御剤を添加し、液体トナーとして用いることが特許文献1〜特許文献4に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭59−177572号公報
【特許文献2】特開昭59−212850号公報
【特許文献3】特開昭60−225858号公報
【特許文献4】特開昭60−252367号公報
【0006】
しかしながら、非水エマルジョンに着色剤および電荷制御剤を添加してなる液体トナーでは、着色剤などの分散安定性が不十分であり、非水エマルジョン、着色剤への電荷の付与が充分でなく、経時における電荷の低下などの種々の問題がある。従って良好な画像を得るために、液体トナー中における電荷制御剤、着色剤および非水エマルジョンの分散安定化が望まれているのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の目的は、長期にわたる使用に際して、連続耐久印刷、複写において安定した画像を与え、鮮明性および透明性、ゼータ電位の経時安定性に優れた画像を安定して提供することができ、現像部周辺のトナーの再溶解性不足に起因する不溶解物による印刷物に対する悪影響、画像品質の低下のない再溶解性を良くした静電写真用または電子写真用液体トナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、バインダー樹脂として絶縁性溶剤に可溶な樹脂を保護コロイドとする非水エマルジョンを使用し、着色剤として絶縁性溶剤に可溶な樹脂を保護コロイドとした染顔料分散体を使用し、さらに、電荷制御剤として絶縁性溶剤に可溶な樹脂を保護コロイドとして分散した粉末状の電荷制御剤、および/または絶縁性溶剤に相溶し保護コロイドに分散する液状電荷制御剤を使用することによって、液体トナーとして経時安定性が高いなどの効果を見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、少なくとも絶縁性溶剤とバインダー樹脂と着色剤と電荷制御剤とからなる液体トナーにおいて、i)上記バインダー樹脂が、上記絶縁性溶剤に可溶な樹脂を保護コロイドとする非水エマルジョン(該非水エマルジョンは分散した電荷制御剤を含んでいてもよい)であり、ii)前記着色剤が、絶縁性溶剤に可溶な樹脂を保護コロイドとした染顔料分散体(該染顔料分散体は分散した電荷制御剤を含んでいてもよい)であり、iii)前記電荷制御剤が、絶縁性溶剤に可溶な樹脂を保護コロイドとした粉末状の電荷制御剤、および/または絶縁性溶剤に相溶し保護コロイドに分散する液状電荷制御剤であることを特徴とする液体トナーを提供する。
【0010】
上記本発明においては、前記保護コロイドが、絶縁性溶剤に可溶な樹脂であり、スチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;カルボン酸基、水酸基、スルホン酸基及びリン酸基の群から選ばれる官能基を有するビニルモノマー;および含窒素ビニル系モノマーから選ばれるモノマーの共重合体であること;前記非水エマルジョンが、スチレン系モノマー;炭素数1〜6のアルコールの(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;炭素数1〜6の脂肪族カルボン酸のビニルエステル系モノマー;およびカルボン酸基、水酸基、スルホン酸基、リン酸基の群から選ばれる官能基を有するビニルモノマーおよび含窒素ビニル系モノマーから選ばれるモノマーの共重合体であることが好ましい。
【0011】
また、上記本発明においては、染顔料が、有機染顔料、無機顔料或いは保護コロイドで処理された染顔料であること;非水エマルジョンの平均粒子径が、50nm〜800nmであること;染顔料分散体の平均粒子径が、50nm〜800nmであること;電荷制御剤分散体の平均粒子径が、1,000nm以下であること;染顔料、非水エマルジョンおよび電荷制御剤の平均粒子径が50nm〜800nmであること;電気音響法による測定方法のゼータ電位が、−15mV〜−60mVであること;保護コロイド樹脂の使用比率が、染顔料100質量部あたり50〜300質量部であること;および非水エマルジョン樹脂の使用比率が、染顔料100質量部あたり20〜500質量部であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
以上の如き本発明によれば、保護コロイド(高分子分散安定剤)で安定化された非水エマルジョン、保護コロイドで安定化された染顔料、保護コロイドで安定化された電荷制御剤を液体トナーの構成材料として使用することにより、長期にわたる使用に際し連続印刷、複写において安定した画像を与え、鮮明性および透明性、ゼータ電位の経時安定性に優れた画像を安定して提供することができる。
【0013】
また、保護コロイドの使用比率を、染顔料100質量部あたり50〜300質量部とすることにより、現像部周辺のトナーの再溶解性不足に起因する不溶解物による汚染など、印刷に悪影響、画像品質の低下のない静電印刷用、電子写真用液体トナーを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明においては、バインダー樹脂として絶縁性溶剤に可溶な樹脂を保護コロイドとする非水エマルジョンを使用する。
【0015】
一般的には水系のエマルジョン重合法における乳化剤にあたる保護コロイドの存在下、絶縁性溶剤中で重合することによって不溶性ポリマーとなる炭素数1〜6のアルコールの(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、スチレン系モノマー、アルキルスチレン系モノマー、カルボン酸基含有ビニルモノマー、ビニルピロリドン系モノマーを重合反応し、分散重合を行って非水エマルジョンとする。
【0016】
上記で使用する保護コロイド(絶縁性溶剤、すなわち炭化水素系溶媒に可溶性の保護コロイド)を得るには、少なくとも炭素数8以上のアルキル基を置換基として有する長鎖長の(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含むモノマー混合物を共重合する。この時、得られるポリマーの硬さを調整するために、ガラス転移温度の高いモノマーであるメチルメタクリレートモノマー、スチレンモノマーなどを溶媒に対して共重合体の溶解性が保持できる範囲の比率において共重合させることができる。
【0017】
また、同様に、非水エマルジョン粒子に電荷を付与させるために酸性基や塩基性基を持つ(メタ)アクリル系モノマーなどを共重合させることができる。また、グラフト化するために末端にラジカル重合活性を持つ二重結合を導入したマクロマーを使用することにより、グラフト共重合体またはブロック共重合体とすることもできる。
【0018】
保護コロイドの重合方法は、溶液重合反応であり、モノマーの添加方法によって、一括重合法またはモノマー滴下重合法とがある。保護コロイドとしての可溶性ポリマーの重量平均分子量は6,000以上が必要である。非水エマルジョンの重合方法は、最初、絶縁性溶剤に可溶性重合体となるようなモノマー類として炭素数8以上のアルキル基を置換基として有する、例えば、ラウリルメタクリレートモノマー、2−エチルへキシルメタクリレートモノマーなどを溶液重合し、これを保護コロイドとして、次にモノマーの状態では溶媒に可溶であるが重合により溶媒に不溶となるモノマー、例えば、炭素数1から6までのアルキル基を置換基として有する(メタ)アクリル系モノマー、スチレン系モノマー、酢酸ビニルモノマーなどを分散重合する。
【0019】
例えば、酢酸ビニルモノマーを重合する分散重合工程は、最初からモノマーを滴下して共重合する。酢酸ビニルモノマーを滴下する速度によって得られるポリマー粒子の平均粒子径や粒度分布に影響する。本発明において、非水エマルジョンの平均粒子径は50〜800nmであり、好ましくは100〜400nmである。このように窒素原子を含有しない非水エマルジョンは、負極性の液体トナーに用いる。正極性の液体トナーには、窒素原子を含有させるために、さらに、ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートなどの含窒素ビニル系モノマーを加えて共重合する。
【0020】
本発明では、非水エマルジョンの平均粒子径が50nm〜800nmであることにより、経時安定性に優れたゼータ電位の確保ができる。かつ、染顔料が有彩色、黒色、白色の有機染顔料および/または無機顔料であり、染顔料分散体および/または分散した電荷制御剤を含有する染顔料分散体の平均粒子径が50nm〜800nmであることにより、経時安定性に優れたゼータ電位、印刷画像の鮮明性、透明性が確保できる。
【0021】
さらに、電荷制御剤が分散体として平均粒子径が1,000nm以下であることにより、経時安定性に優れたゼータ電位が確保できる。本発明では、夫々の構成成分の安定化を図ることにより、目的とする液体トナーが、染顔料、非水エマルジョン、電荷制御剤からなるコロイド粒子径としての平均粒子径が50nm〜800nmとなり、経時安定性に優れたゼータ電位を保持し、鮮明性、透明性に優れた画像が確保できる。特に、液体トナーを1μm以下の粒径にすれば、熱を使用しなくても、トナー粒子の紙への染込み力と樹脂の接着力で、定着が可能となる。
【0022】
鮮明な画像を得るためには、液体トナーのゼータ電位が−15mV〜−60mVである必要がある。非水エマルジョン、着色剤、電荷制御剤に使用した保護コロイド樹脂の比率が、染顔料100質量部あたり50〜300質量部であることにより、再溶解性、分散安定性が良好となり高品質な画像が得られる。非水エマルジョン樹脂の比率が染顔料100質量部あたり20〜500質量部であることにより、堅牢な皮膜を形成し、着色剤の着色力の差による画像濃度調整が、非水エマルジョンの添加量で可能であり、カラーバランスのとれた画像が得られる。また、液体トナーの固形分が確保でき、乾燥性を向上させ、印刷スピードを上げることができる。
【0023】
本発明で用いる絶縁性溶剤としては、体積固有抵抗が5×109Ω・cm以上で、誘電率が3.5以下の脂肪族炭化水素系溶剤、特にイソパラフィン系炭化水素溶剤が使用できる。具体的には、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM(エクソン化学社製)、IPソルベント1620、2028、2835(出光石油化学社製)、シェルゾール71(シェル石油化学社製)などがある。
【0024】
本発明において保護コロイドの製造に使用されるモノマーとして、モノマーの状態で絶縁性溶剤に可溶であり、さらに重合によっても可溶性重合体となるようなモノマーとして、炭素数8以上のアルキル基を置換基として有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、炭素数8以上のアルキル基を置換基として有するビニルエステル系モノマー、炭素数8以上のアルキル基を置換基として有するビニルエーテル系モノマーを使用することができる。具体的には、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルメタクリレート、オクチルアクリレート、ノニルメタクリレート、ノニルアクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルメタクリレート、トリデシルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ステアリルアクリレートなどアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル類、ビニルラウレート、ビニルステアレートなどが挙げられる。
【0025】
また、非水エマルジョンの製造に使用するモノマーとして、モノマーの状態で絶縁性溶剤に可溶であるが、重合によって溶媒に不溶性の重合体となるようなモノマーとして炭素数1から6までのアルキル基を置換基として有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、例えば、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、イソプルピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレートが挙げられる。
【0026】
また、共重合モノマーとして、スチレンおよびその誘導体、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルジメチルベンゼン、ビニルエチルベンゼンおよびビニルナフタレン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、クロロ酢酸ビニルなどの炭素数1〜6の脂肪族カルボン酸のビニルエステル系モノマー、安息香酸ビニルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマール酸、ビニルスルホン酸などのα,β−不飽和モノマー;カルボン酸基、水酸基、スルホン酸基、リン酸基の群から選ばれる官能基を有するビニルモノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、コハク酸2−メタクロイルオキシエチル、フタル酸2−メタクロイルオキシエチル、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、P−スチレンスルホン酸、2−ホスホノエチルメタクリレート;および4−ビニルピリジン、2−ビニル−6−メチルピリジン、2−ビニル−5−メチルピリジン、2−ビニル−5−メチルピリジン、4−ブテニルピリジン、4−ペンチルピリジン、N−ビニルピペリジン、4−ビニルピペリジン、4−ビニルピペリジン、N−ビニルジヒドロピリジン、N−ビニルピロール、2−ビニルピロール、N−ビニルピロジン、N−ビニルピロリジン、2−ビニルピロリジン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニルカルバゾール、N,N−ジアルキルアミノエチルメタクリレートなどの含窒素ビニル系モノマーを使用することができる。
【0027】
本発明で使用する染顔料としては、従来公知の有彩色および黒色〜白色の染顔料が使用され、例えば、アゾ系、ポリ縮合アゾ系、アゾメチン系、ニッケル含金アゾ錯体、アンスラキノン系、フタロシアニン系、ペリノン・ペリレン系、インジゴ・チオインジゴ系、ジオキサジン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、アニリンブラック系、アルカリブルーの染顔料、カーボンブラック系顔料、酸化鉄系顔料などが挙げられる。それらの中で特に親油性の高い有機顔料が好ましい。
【0028】
本発明で使用する電荷制御剤としては、従来公知のものが使用できる。例えば、2〜4価の金属を含有する有機化合物としてMg、Ca、Ba、Ti、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Al、Zr、Si、Snなどの金属を含有する有機化合物が該当する。例えば、ナフテン酸金属塩や、オクチル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸金属塩や、アビエチン酸金属塩や、エチレンジアミン四酢酸金属錯塩や、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩が挙げられる。
【0029】
また、クロム・アゾ錯体染料;鉄アゾ錯体染料;コバルト・アゾ錯体染料;サリチル酸もしくはその誘導体の金属化合物;ナフトール酸もしくはその誘導体のクロム・亜鉛・アルミニウム・ホウ素錯体もしくは塩化合物;ベンジル酸もしくはその誘導体のクロム・亜鉛・アルミニウム・ホウ素錯体もしくは塩化合物;長鎖アルキル・カルボン酸塩、長鎖アルキル・スルフォン酸塩などの界面活性剤類、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、四級アンモニウム塩、四級ホスフォニウム塩、四級ビリジニウム塩、グアニジン塩、アミジン塩などの誘導体などが挙げられる。上記金属塩のほか、チタンカップリング剤、シランカップリング剤、レシチンなどが使用できる。
【0030】
本発明において染顔料や電荷制御剤を分散させる方法は、染顔料、電荷制御剤を保護コロイドに分散する方法にて行なうことができる。或いは、染顔料を保護コロイド、液媒体に混合した後に、必要であれば分散機で分散処理し、硫酸、塩酸、または酢酸などの酸を加えて酸析させたり、貧溶剤に析出させたりして、保護コロイドにて染顔料粒子を被覆し、ついで濾過・水洗・乾燥・粉砕により処理染顔料を得ることができる。この処理染顔料を、絶縁性溶剤と保護コロイドおよび/または電荷制御剤の混合液に投入して、分散機で分散処理をして染顔料分散液および/または電荷制御剤含有の染顔料分散液を得ることができる。
【0031】
本発明において使用できる分散機としては特に制限はなく、従来公知のものが使用できる。例えば、ニーダー、アトライター、ボールミル、ガラスやジルコンなどを使用したサンドミルや横型メディア分散機、コロイドミル、超音波分散機、デゾルバー、ホモミキサーなどが使用できる。
【実施例】
【0032】
次に保護コロイド製造例、顔料製造例および実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。文中、「部」または「%」とあるのは質量基準である。次に各物性の測定方法について以下に説明する。
染顔料分散体(着色剤)、電荷制御剤分散体、非水エマルジョン、液体トナーの平均粒子径は、下記の方法で測定した平均粒子径である。コロイド粒子を、測定装置に規定されている濃度までアイソパーGで希釈した試験液をコールターサブミクロン粒子アナライザー(コールター社製MODEL N−4)で測定する。
【0033】
ゼータ電位は、電気音響法による方法によって測定した。電気音響法(ESA法)とは、コロイド試料を満たした電極間に高周波の交流電流を供給して粒子を電気泳動させる。これにより発生する超音波を測定して、試料のゼータ電位を求めるものである。測定装置はMatec Applied Sciences社製のESA−9800を使用した。
【0034】
製造例1(保護コロイドの製造)
1リッターセパラブルフラスコに、冷却管、滴下装置、攪拌装置および温度計を取り付け、アイソパーG200部を仕込んだ。攪拌しながらセパラブルフラスコの内温を75℃に加温した。別容器に、スチレン15部、メタクリル酸メチルエステル15部、メタクリル酸ラウリルエステル65部、メタクリル酸5部、および開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3部を混合溶解して均一なモノマー混合溶液とした。
【0035】
ついで、上記フラスコに上記モノマー混合溶液の1/3を添加し重合した。ついで残りのモノマー混合溶液を2時間にわたって滴下重合した。ついでその温度で4時間重合し、さらに90℃に昇温し2時間加温し、熟成した。30℃に冷却して保護コロイド溶液を得た。この重合液について固形分を測定したところ、32.30%であった。
【0036】
製造例2(保護コロイドの製造)
1リッターセパラブルフラスコに、冷却管、滴下装置、攪拌装置および温度計を取り付け、アイソパーG200部を仕込んだ。攪拌しながらセパラブルフラスコの内温を75℃に加温した。別容器に、スチレン10部、メタクリル酸メチルエステル15部、メタクリル酸ラウリルエステル65部、メタクリル酸5部、メタクリル酸ジメチルアミノエチルエステル5部、および開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3部を混合溶解して均一なモノマー混合溶液とした。
【0037】
ついで、上記フラスコに上記モノマー混合溶液の1/3を添加し重合した。ついで残りのモノマー混合溶液を2時間にわたって滴下重合した。ついでその温度でモノマーを4時間重合し、さらに90℃にて2時間加温した。30℃に冷却して保護コロイド溶液を得た。この重合液について固形分を測定したところ、32.40%であった。
【0038】
製造例3(顔料被覆処理に使用する樹脂の製造)
1リッターセパラブルフラスコに、冷却管、滴下装置、攪拌装置および温度計を取り付け、イソプロピルアルコール200部を仕込んで、セパラブルフラスコの内温を75℃に加温した。別容器に、スチレン14部、メタクリル酸メチルエステル30部、メタクリル酸ラウリルエステル50部、メタクリル酸6部、および開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3部を混合溶解して均一なモノマー混合溶液とした。
【0039】
ついで、上記フラスコに上記モノマー混合溶液の1/3を添加し重合した。ついで残りのモノマー混合溶液を2時間にわたって滴下重合した。その温度でモノマーを4時間重合し、さらにリフラックスする温度にて2時間加温し熟成した。アンモニア水でpH9に中和し、30℃に冷却して顔料被覆処理に使用する樹脂溶液を得た。この重合液について固形分を測定したところ、32.10%であった。
【0040】
製造例4(非水エマルジョンの製造)
1リッターセパラブルフラスコに、冷却管、滴下装置、攪拌装置および温度計を取り付け、アイソパーG133部と製造例1の保護コロイド100部を仕込んで、セパラブルフラスコの内温を75℃に加温した。別容器に、アクリル酸エチルエステル5部、酢酸ビニル88部、N−ビニル−2−ピロリドン7部および開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3部を混合溶解して均一なモノマー混合溶液とした。
【0041】
ついで、上記フラスコに上記モノマー混合溶液を滴下しながら重合した。モノマー混合溶液の滴下に2時間かけて分散重合した。最初フラスコ内の混合液はクリアーであるが、滴下終了前に白濁しコロイド粒子の析出がみられた。この時、反応系の内温が上昇し発熱反応が起こっていることがわかる。ついでその温度でモノマーを4時間重合し、さらに90℃にて2時間加温し熟成した。30℃に冷却して半透明状態の非水エマルジョン樹脂を得た。この重合液について固形分を測定したところ、39.20%であった。平均粒子径は180nmであり、ゼータ電位は−5mVであった。
【0042】
製造例5(電荷制御剤を含有する非水エマルジョンの製造)
1リッターセパラブルフラスコに、冷却管、滴下装置、攪拌装置および温度計を取り付け、アイソパーG125部と製造例1の保護コロイド100部および電荷制御剤であるナフテン酸ジルコニウム液24.2部を仕込んで、セパラブルフラスコの内温を75℃に加温した。別容器に、アクリル酸エチルエステル5部、酢酸ビニル88部、N−ビニル−2−ピロリドン7部および開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3部を混合溶解して均一なモノマー混合溶液とした。
【0043】
ついで、上記フラスコに上記モノマー混合溶液を滴下しながら重合した。モノマー混合溶液の滴下に2時間かけて分散重合した。重合反応途中で反応系が白濁し、コロイド粒子が析出した。その温度で4時間重合し、さらに90℃にて2時間加温し熟成した。30℃に冷却して半透明状態の非水エマルジョン樹脂を得た。この重合液について固形分を測定したところ、39.30%であった。平均粒子径は160nmであり、ゼータ電位は−60mVであった。
【0044】
実施例1
(1)高濃度着色剤の製造
製造例1の保護コロイド31部およびアイソパーG69部を混合し、ジメチルキナクリドン顔料(PR122)20部を添加した。250mlのポリビンに上記の混合溶液を仕込み、さらに直径2mmジルコニアビーズ500g加えてペイントシェカーにて4時間分散した。平均粒子径は350nmであるジメチルキナクリドン顔料の高濃度着色剤を得た。
【0045】
(2)液体トナーの製造
1リットルのビーカーに電荷制御剤であるナフテン酸ジルコニウム液8.0部と製造例1の保護コロイド6.1部およびアイソパーG72.4部を仕込み攪拌混合した。次に、非水エマルジョンの製造例4の樹脂51部を添加し、次に、アイソパーG285.2部を加え30分間撹拌した。さらに、高濃度着色剤120部を添加し撹拌混合し、10%の高濃度液体トナーが得られた。アイソパーGで希釈し、最終的に2%のマゼンタ色の液体トナーが得られた。平均粒子径は340nmであり、ゼータ電位は−27mVであった。
【0046】
マゼンタ色静電記録用液体トナーとし、フルカラー静電印刷機にて印刷し、鮮明なマゼンタ色画像が得られた。また、マゼンタ色電子写真式液体トナーとし、フルカラー電子写真複写機にて複写をし、鮮明なマゼンタ色画像が得られた。
【0047】
実施例2
(1)電荷制御剤含有の高濃度着色剤の製造
製造例1の保護コロイド31部、アイソパーG69部を混合し、ジメチルキナクリドン顔料(PR122)20部および粉末の電荷制御剤であるベンジル酸ホウ素錯体1部を添加して均一に混合した。250mlのポリビンに上記の混合溶液を仕込み、さらに直径2mmジルコニアビーズ500g加えてペイントシェカーにて4時間分散して電荷制御剤含有のマゼンタ色高濃度着色剤を得た。平均粒子径は289nmであった。
【0048】
(2)高濃度電荷制御剤の製造
製造例1の保護コロイド31部、アイソパーG69部を混合し、粉末の電荷制御剤であるベンジル酸ホウ素錯体20部を添加した。250mlのポリビンに上記の混合溶液を仕込み、さらに直径2mmジルコニアビーズ500g加えてペイントシェカーにて4時間分散して高濃度電荷制御剤の分散液を得た。平均粒子径は555nmであった。
【0049】
(3)液体トナーの製造
1Lのビーカーに上記の高濃度電荷制御剤分散液2.4部、アイソパーG4.4部を混合し、さらに非水エマルジョンの製造例5の樹脂50.6部を添加した。次に、アイソパーG340部を加え30分間撹拌した。さらに、上記の電荷制御剤含有のマゼンタ色高濃度着色剤120部を添加し撹拌混合し、10%の高濃度液体トナーが得られた。アイソパーGで希釈し、最終的に2%の液体トナーが得られた。平均粒子径は、350nmであり、ゼータ電位は−19.5mVであった。マゼンタ色静電式現像剤、電子写真式現像剤とし、フルカラー静電印刷機にて印刷し、フルカラー電子写真複写機にて複写し、鮮明なマゼンタ色画像が得られた。
【0050】
実施例3
(1)高濃度着色剤の製造
実施例1の高濃度着色剤と同じものを使用した。
【0051】
(2)液体トナーの製造
1リットルのビーカーに電荷制御剤であるナフテン酸ジルコニウム液5.8部、製造例1の保護コロイド6.2部およびアイソパーG51.8部を攪拌混合し、さらに非水エマルジョンの製造例5の樹脂51部を添加した。次に、アイソパーG308.2部を加え30分間撹拌した。さらに、上記の高濃度着色剤120部を添加し撹拌混合し、10%の高濃度液体トナーが得られた。最終的にアイソパーGで希釈し、2%の液体トナーが得られた。平均粒子径は、320nmであり、ゼータ電位は−32mVであった。
【0052】
マゼンタ色静電式現像剤、電子写真式現像剤とし、フルカラー静電印刷機にて印刷し、フルカラー電子写真複写機にて複写をし、鮮明なマゼンタ色画像が得られた。
【0053】
実施例4
(1)被覆処理顔料、および高濃度着色剤の製造
製造例3の顔料被覆処理に使用する樹脂62部および水318部を混合撹拌し、ジメチルキナクリドン顔料(C.I.ピグメントレッド122)100部を添加した。デゾルバーにて30分撹拌後、pH4になるまで撹拌しながら10倍に希釈した酢酸を加えて酸析させた。製造例3の樹脂で顔料粒子を被覆した。ついで濾過・水洗・乾燥・粉砕によりジメチルキナクリドン顔料の処理顔料が得られた。次に、製造例1の樹脂19.8部およびアイソパーG65.8部を混合し、上記の処理顔料20部を添加し、混合攪拌した。250mlのポリビンに混合溶液を仕込み、さらに直径2mmのジルコニアビーズ500g加えてペイントシェカーにて4時間分散した。平均粒子径が289nmであるジメチルキナクリドン処理顔料の高濃度着色剤を得た。
【0054】
(2)液体トナーの製造
1リットルのビーカーに電荷制御剤であるナフテン酸ジルコニウム液5.8部、製造例1の保護コロイド6.2部およびアイソパーG51.8部を攪拌混合し、さらに非水エマルジョンの製造例5の樹脂51部を添加した。次に、アイソパーG308.2部を加え30分間撹拌した。さらに、上記の高濃度着色剤120部を添加し撹拌混合し、10%の高濃度液体トナーが得られた。最終的にアイソパーGで希釈し、2%の液体トナーが得られた。平均粒子径は、280nmであり、ゼータ電位は−36mVであった。
マゼンタ色静電式現像剤、電子写真式現像剤とし、フルカラー静電印刷機にて印刷し、フルカラー電子写真複写機にて複写をし、鮮明なマゼンタ色画像が得られた。
【0055】
実施例5
(1)高濃度着色剤の製造
製造例1の保護コロイド31部およびアイソパーG69部を混合し、ニッケルアゾ錯体顔料(PR150)の顔料20部を添加し、均一な混合溶液を得た。250mlのポリビンに上記の混合溶液を仕込み、さらに直径2mmのジルコニアビーズ500g加えてペイントシェカーにて4時間分散した。平均粒子径が170nmであるイエロー色の高濃度着色剤を得た。
【0056】
(2)液体トナーの製造
1リットルのビーカーに電荷制御剤であるナフテン酸ジルコニウム液5.8部、製造例1の保護コロイド6.2部およびアイソパーG51.8部を攪拌混合した。次に、非水エマルジョンの製造例5の樹脂51部を添加し、アイソパーG308.2部を加え30分間撹拌した。さらに、上記のイエロー色高濃度着色剤120部を添加し撹拌混合し、10%の高濃度液体トナーが得られた。アイソパーGで希釈し、最終的に2%の液体トナーが得られた。平均粒子径は、170nmであり、ゼータ電位は−20mVであった。イエロー色静電式現像剤、電子写真式現像剤とし、フルカラー静電印刷機にて印刷し、フルカラー電子写真複写機にて複写し、それぞれ鮮明なイエロー色画像が得られた。
【0057】
実施例6
(1)高濃度着色剤の製造
製造例1の保護コロイド31部およびアイソパーG69部を混合し、銅フタロシアニンブルー顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)20部を添加した。250mlのポリビンに上記の混合溶液を仕込み、さらに直径2mmジルコニアビーズ500g加えてペイントシェカーにて4時間分散した。平均粒子径が230nmであるシアン色の高濃度着色剤を得た。
【0058】
(2)液体トナーの製造
1リットルのビーカーに電荷制御剤であるナフテン酸ジルコニウム液5.3部、製造例1の保護コロイド5.1部およびアイソパーG47.7部を攪拌混合した。次に、非水エマルジョンの製造例5の樹脂63.8部を添加し、アイソパーG318.3部を加え30分間撹拌した。さらに、上記の高濃度着色剤100部を添加し撹拌混合し、10%の高濃度液体トナーが得られた。アイソパーGで希釈し、最終的に2%のシアン色の液体トナーが得られた。平均粒子径は、240nmであり、ゼータ電位は−37mVであった。シアン色静電式現像剤、電子写真式現像剤とし、フルカラー静電印刷機にて印刷し、フルカラー電子写真複写機にて複写し、それぞれ鮮明なシアン色画像が得られた。
【0059】
実施例7
(1)高濃度着色剤の製造
製造例1の保護コロイド31部およびアイソパーG69部を混合し、カーボンブラック顔料(C.I.ピグメントブラック7)15部およびアルカリブルー顔料(C.I.ピグメントブルー61)5部を添加した。250mlのポリビンに上記の混合溶液を仕込み、さらに直径2mmジルコニアビーズ500g加えてペイントシェカーにて4時間分散した。平均粒子径が150nmであるブラック色の高濃度着色剤を得た。
【0060】
(2)液体トナーの製造
1リットルのビーカーに電荷制御剤であるナフテン酸ジルコニウム液9.5部、製造例1の保護コロイド4.6部およびアイソパーG85部を攪拌混合し、さらに非水エマルジョンの製造例5の樹脂76.6部を添加した。次に、アイソパーG310部を加え30分間撹拌した。さらに、上記の高濃度着色剤90部を添加し撹拌混合し、10%の高濃度液体トナーが得られた。アイソパーGで希釈し、最終的に2%のブラック色の液体トナーが得られた。平均粒子径は、140nmであり、ゼータ電位は−32mVであった。
ブラック色静電式現像剤、電子写真式現像剤とし、フルカラー静電印刷機にて印刷し、フルカラー電子写真複写機にて複写し、それぞれ鮮明なブラック色画像が得られた。
【0061】
比較例1
(1)高濃度着色剤の製造
製造例4の非水エマルジョン樹脂25.5部およびアイソパーG74.5部を混合し、ジメチルキナクリドン顔料(PR122)20部を添加した。250mlのポリビンに上記の混合溶液を仕込み、さらに直径2mmジルコニアビーズ500g加えてペイントシェカーにて4時間分散した。平均粒子径が782nmであるジメチルキナクリドン顔料の高濃度着色剤を得た。着色剤の流動性は悪く、不透明であった。
【0062】
(2)液体トナーの製造
1リットルのビーカーに電荷制御剤であるナフテン酸ジルコニウム液7.7部、アイソパーG69.3部を混合した。次に、非水エマルジョンの製造例4の樹脂51部を添加し、次に、アイソパーG274.9部を加え30分間撹拌した。さらに、上記の高濃度着色剤120部を添加し撹拌混合し、10%のマゼンタ色の高濃度液体トナーが得られた。アイソパーGで希釈し、最終的に2%の液体トナーが得られた。平均粒子径は680nm、ゼータ電位は−35mVであり、不透明であった。また、絶縁性溶剤に対する再溶解性が不十分であった。マゼンタ色静電式現像剤、電子写真式現像剤とし、フルカラー静電印刷機にて印刷し、フルカラー電子写真複写機にて複写したが、不透明であり、鮮明なマゼンタ色画像は得られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上の如き本発明によれば、保護コロイド(高分子分散安定剤)で安定化された非水エマルジョン、保護コロイドで安定化された着色剤、保護コロイドで安定化された電荷制御剤を使用することにより、長期にわたる使用に際し連続印刷において安定した画像を与え、鮮明性および透明性、ゼータ電位の経時安定性に優れた画像を安定して提供できる液体トナーが提供される。本発明の液体トナーによる、静電印刷画像、電子写真の複写画像の色は鮮明性および透明性に優れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも絶縁性溶剤とバインダー樹脂と着色剤と電荷制御剤とからなる液体画像記録用記録剤において、i)上記バインダー樹脂が、上記絶縁性溶剤に可溶な樹脂を保護コロイドとする非水エマルジョン(該非水エマルジョンは分散した電荷制御剤を含んでいてもよい)であり、ii)前記着色剤が、絶縁性溶剤に可溶な樹脂を保護コロイドとした染顔料分散体(該染顔料分散体は分散した電荷制御剤を含んでいてもよい)であり、iii)前記電荷制御剤が、絶縁性溶剤に可溶な樹脂を保護コロイドとした粉末の電荷制御剤分散体および/または絶縁性溶剤に相溶し保護コロイドに分散する液状電荷制御剤であることを特徴とする液体画像記録用記録剤。
【請求項2】
前記保護コロイドが、絶縁性溶剤に可溶な樹脂であり、スチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;カルボン酸基、水酸基、スルホン酸基及びリン酸基の群から選ばれる官能基を有するビニルモノマー;および含窒素ビニル系モノマーから選ばれるモノマーの共重合体である請求項1に記載の液体画像記録用記録剤。
【請求項3】
非水エマルジョンが、スチレン系モノマー;炭素数1〜6のアルコールの(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;炭素数1〜6の脂肪族カルボン酸のビニルエステル系モノマー;およびカルボン酸基、水酸基、スルホン酸基、リン酸基の群から選ばれる官能基を有するビニルモノマーおよび含窒素ビニル系モノマーから選ばれるモノマーの共重合体である請求項1に記載の液体画像記録用記録剤。
【請求項4】
染顔料が、有機染顔料、無機顔料或いは保護コロイドで処理された染顔料である請求項1に記載の液体画像記録用記録剤。
【請求項5】
非水エマルジョンの平均粒子径が、50nm〜800nmである請求項1に記載の液体画像記録用記録剤。
【請求項6】
染顔料分散体の平均粒子径が、50nm〜800nmである請求項1に記載の液体画像記録用記録剤。
【請求項7】
電荷制御剤分散体の平均粒子径が、1,000nm以下である請求項1に記載の液体画像記録用記録剤。
【請求項8】
染顔料、非水エマルジョンおよび電荷制御剤の平均粒子径が50nm〜800nmである請求項1に記載の液体画像記録用記録剤。
【請求項9】
電気音響法による測定方法のゼータ電位が、−15mV〜−60mVである請求項1に記載の液体画像記録用記録剤。
【請求項10】
保護コロイド樹脂の使用比率が、染顔料100質量部あたり50〜300質量部である請求項1に記載の液体画像記録用記録剤。
【請求項11】
非水エマルジョン樹脂の使用比率が、染顔料100質量部あたり20〜500質量部である請求項1に記載の液体画像記録用記録剤。

【公開番号】特開2011−17843(P2011−17843A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161727(P2009−161727)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(000002820)大日精化工業株式会社 (387)
【Fターム(参考)】