説明

液体調味料及びその製造方法

【課題】自然なバラの香りを楽しむことができると共に、長期間の保存が容易な液体調味料を提供する。
【解決手段】ローズオイルと、水と、からなる液体調味料であって、前記ローズオイルを0.08〜0.12質量%含有することを特徴とする、液体調味料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローズオイルを主成分とする新規な液体調味料及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ローズオイルやローズウォーターはバラの香りを活かした化粧品やアロマテラピー等の美容分野や化粧分野で用いられていた。
その一方、食品分野の調味料としては、香料系と味覚系に大別され、それぞれの多種多様な調味料が知られていて、調理目的に応じて使い分けされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の調味料は、前述したように香りを優先した調味料と、味覚を優先した調味料に分けられているため、香りと味覚の両条件を満たすためには、複数の調味料を併用しなければならなかった。
また、和食料理、洋食料理、中華料理等の料理の種別に応じて調味料の種類が異なっていて、複数種類の料理に対応できる調味料は限られていた。
また食文化の向上により、公知の調理素材を使っていながら、香り、味覚、触感等がこれまでにない斬新な調味料の提案が切望されている。
【0004】
本発明の目的は、自然なバラの香りを楽しむことができると共に、長期間の保存が容易な液体調味料及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた本願の第1発明は、ローズオイルを主成分とする液体調味料であって、ローズオイルと蒸留水の混合体よりなり、前記ローズオイルの粒子が蒸留水に溶け込んでいることを特徴とする、液体調味料を提供する。
本願の第2発明は、第1発明の液体調味料において、0.08〜0.12質量%のローズオイルが含有することを特徴とする、液体調味料を提供する。
本願の第3発明は、ローズオイルを主成分とする液体調味料の製造方法であって、バラの花を一次水蒸気蒸留することによってローズオイルの粒子が蒸留水に溶け込んだ一次バラ蒸留水を製造し、前記一次バラ蒸留水を二次水蒸気蒸留することによってローズオイルの粒子が蒸留水に溶け込んだ二次バラ蒸留水を製造し、当該二次バラ蒸留水を液体調味料とすることを特徴とする、液体調味料の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、上記した課題を解決するための手段により、次のような効果の少なくとも一つを得ることができる。
<1>ローズオイルと水とからなるローズウォーターの調味料であるため、自然なバラの香りを楽しむことができる。
<2>ローズオイルの含有量が多いため、液体調味料として様々な料理に手軽に適用することができる。
<3>ローズオイルの含有量が多いため、ローズオイルが本来持っている抗菌性が生かされ、長期間の保存が容易となる。
<4>ローズウォーターを製造するための水蒸気蒸留を二度行って製造するため、ローズオイルの含有量が多くなり、調味料に適した濃度とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(1)ローズオイルを含む調味料
本発明に係る液体調味料は、水蒸気蒸留法によって製造される、ローズオイルと蒸留水のみの混合体とからなるローズウォーターの調味料である。
一般的に知られているローズウォーターは、ローズオイルの含有量が0.02〜0.05質量%であるが、本発明の液体調味料は、ローズオイルを0.08〜0.12質量%含有する。
ローズオイルの含有量が0.08質量%より小さくなると、保存性が悪く、変質しやすいものとなる。
また、ローズオイルの含有量が0.12%より大きいものを製造することは、製法上困難である。
【0008】
(2)ローズオイル
本発明に係る液体調味料は、ローズオイルを含むものである。
以下に、本発明の液体調味料に含まれるローズオイルの成分を記載する。
【0009】
【表1】

【0010】
(3)製造方法
本発明の液体調味料の製造方法について説明する。
【0011】
一般に化粧品用のローズオイルはベンゼンやエーテル等の有機溶剤を用いた溶剤抽出法により抽出しているが、溶剤抽出法によって製造したローズオイルは食用としては適用できない。
【0012】
本発明に係る液体調味料は水蒸気蒸留法によって製造する。
まず、本発明の液体調味料の原材料となるバラ(ダマスクローズ:Rosa damascena)の花の部分を収穫する。
バラは、ブルガリアにある「バラの谷(ローズドリナ)」で栽培され、残留農薬が検出されないバラが好適である。
【0013】
次に、収穫したバラを水に浸漬し、水蒸気蒸留(一次蒸留)をして、一次バラ蒸留水を製造する。
【0014】
通常のローズウォーターは、ローズオイルを製造するためにバラを水蒸気蒸留し、その際に副産物として残る蒸留水である。このため、通常のローズウォーターには、ローズオイルは0.02〜0.05質量%程度しか含有されていないため、調味料としての使用には不適である。
【0015】
本発明のローズウォーターはローズオイルを製造するためではなく、ローズウォーターのみを製造するために水蒸気蒸留したバラ蒸留水を使用している。
このため一次蒸留によって、ローズオイルの含有量が0.08%〜0.12質量%溶け込んだ、ローズオイルの含有量の高いローズウォーターが製造される。
この一次バラ蒸留水の中にはほぼ飽和状態のローズオイルが含まれている。
【0016】
この一次バラ蒸留水をさらに水蒸気蒸留(二次蒸留)をする。
このようにして、本発明の液体調味料となる、ローズオイルが0.08〜0.12質量%溶け込んだローズウォーターが製造される。
【0017】
一次バラ蒸留水を再度水蒸気蒸留するのは、不純物の除去率を高めるだけでなく、ローズオイルを蒸留水全体により均一に溶け込ませてこれまでにない性質の調味料を得るためである。
【0018】
本発明のローズウォーターは、一般的なローズウォーターの2.5倍〜6倍のローズオイルが溶け込んでいるため、調味料として食品に使用しても、香りだけでなく食品の味を変えて香りと端の両方を楽しむことができる。
【0019】
また、ローズオイルの含有量が低いと保存期間が短くなるが、本発明のローズウォーターは、一般的なローズウォーターの2.5倍〜6倍のローズオイルが溶け込んでいるため、高い抗菌性を有する。
よって、長期間の保存が可能であり、しかも長期間経過しても変質しないため、保管場所が冷暗所等に限られず、保存が容易となる。
【0020】
(4)調味料の特性
本発明に係る調味料は、ローズオイルを主成分とした調味料であり、香りだけでなく料理の味にも影響を与えることが確認できた。
一般にバラの香りは、昔から現代まで人々が高級なものとして、非常に好んできたものである。
また、バラの香りには、緊張をほぐす効果や、不安抑制作用によってストレスを和らげる効果、体のリズムを整える効果等、様々な効果が知られている。
本発明の液体調味料はローズオイルを含むため、食品に利用することによって、バラの香りの有する様々な効果を得ることができる。
【0021】
本発明の液体調味料は複数回に亘って水蒸気蒸留をして製造したローズウォーター製の調味料であるため、人工的な甘い香りではなく、エネルギーに満ちた自然なバラの香りが漂うものである。
よって、和食料理、洋食料理、中華料理等の料理の種別を問わずに、様々な料理に使用することができて、自然な香りと味を同時に楽しむことが出来る。
【0022】
バラには抗菌性があり、ローズオイルも同様に抗菌性を有する。
本発明の液体調味料はローズオイルが水に溶け込んでおり、揮発性が低い。また、本発明の液体調味料はローズオイルを0.08〜0.12質量%含有するため高い抗菌性を有する。
よって、ローズオイルが本来持っている抗菌性が生かされ、長期間の保存の際にも変質しないため、保管場所が冷暗所等に限られず、保存が容易となる。
また、料理に使用することによって、その使用した食品そのものが腐食しづらくなる。
【0023】
ローズオイルやローズウォーターは昔から一般的に発熱や黄疸、心臓病、結核等の治療に使われてきた。
また、近年では、ローズオイルは胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胆炎等に効果があることが分かってきた。
本発明の液体調味料を料理に使用して体内に取り込むことにより、このような様々な病気の治癒効果も期待できる。
【0024】
(5)使用例
本発明の液体調味料はステーキ等の焼き料理での香り付けに用いるワインの代用や、シチュー等の煮込み料理、蒸し料理他、和洋を問わず様々な料理に用いることができる。
特に温かい料理は、液体調味料が加熱されることでさらに香りが広がるため好適である。
また、ドレッシングとして使用してもよいし、ケーキのスポンジに含ませたり、クリームに混ぜ合わせたりと、デザート全般に使用してもよい。
【0025】
本発明の液体調味料は常温では液体であるが、冷却することによって凝固させて使用することもできる。例えば、水と混ぜ合わせて冷却し、氷として飲み物に使用することができる。
他にも、紅茶や緑茶、酒類等、様々な飲料に直接又は氷として入れてもよい。
【0026】
このように料理に利用することによって、前述したバラの香りの効果の他にも、バラの香りの持つ高級感や雰囲気を料理に与えることができる。
また、舌触りが柔らかくなる、味に丸みが出る、素材の味を競合して殺すことなく引き立たせる、コクが出る等、調味料としての色々な効果を得ることが出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローズオイルを主成分とする液体調味料であって、
ローズオイルと蒸留水の混合体よりなり、
前記ローズオイルの粒子が蒸留水に溶け込んでいることを特徴とする、
液体調味料。
【請求項2】
請求項1において、0.08〜0.12質量%のローズオイルが含有することを特徴とする、液体調味料。
【請求項3】
ローズオイルを主成分とする液体調味料の製造方法であって、
バラの花を一次水蒸気蒸留することによってローズオイルの粒子が蒸留水に溶け込んだ一次バラ蒸留水を製造し、
前記一次バラ蒸留水を二次水蒸気蒸留することによってローズオイルの粒子が蒸留水に溶け込んだ二次バラ蒸留水を製造し、当該二次バラ蒸留水を液体調味料とすることを特徴とする、
液体調味料の製造方法。