説明

液体調味料

【課題】具材として生の野菜類や生の果実類を含有した液体調味液であって、加工処理が簡便で、かつ液体調味料を常温で保存しても製造直後の調味液体の新鮮な風味が良好に維持された液体調味料を提供する。
【解決手段】成形加工した生野菜類及び/又は生果実類を具材として含有する水相部に、ジアシルグリセロールを15質量%以上含む食用油脂を含有する油相部を積層した液体調味料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、具材として生の野菜類及び/又は生の果実類を含有する液体調味料に関する。
【背景技術】
【0002】
液体調味料には、野菜類や果実類の美味しさ、風味を付与する目的で、これら野菜類及び/又は果実類を具材として含有するものがある。特に、生の野菜類や生の果実類を加えたものは、その新鮮さから嗜好性が高い。しかしながら、調味液を調製した後、長時間にわたって新鮮な風味を維持することは容易ではない。その要因としては、生野菜類や生果実類を加工するとその組織が破壊され、組織から水分が溶出する等により、風味の劣化、食感の低下等が生じることが挙げられる。また、色素成分や呈味成分が変性したり、新鮮な香気成分が揮散により消失する等の現象も生じることも挙げられる。特に液体調味料では、新鮮な香気成分、風味に大きく影響する主成分の消失が大きく関与している場合がある。
【0003】
これらの問題点を防止する技術としては、具材を次亜塩素酸ナトリウム水溶液に一定時間浸漬処理し、殺菌を兼ねつつ酵素を失活させる方法(特許文献1)、具材を酸性水溶液に浸漬後特定温度で一定時間湯通し処理する方法(特許文献2)、ポリデキストロース水溶液に浸漬後加熱処理する方法(特許文献3)、酸性緩衝溶液に浸漬処理する方法(特許文献4)、油漬けにして加熱処理する方法(特許文献5)等が知られている。
【特許文献1】特公平5−78294号公報
【特許文献2】特開昭58−67145号公報
【特許文献3】特開2000−41612号公報
【特許文献4】特開昭63−230036号公報
【特許文献5】特開平10−215762号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術には下記のような問題点が存在する。即ち、具材を次亜塩素酸ナトリウム水溶液に浸漬する方法や、具材を酸性水溶液に浸漬後湯通し処理する方法では、野菜類の変色や菌の増殖を防ぐことはできるが、処理後に水で洗浄しても次亜塩素酸や酸性成分が具材に残存したり、湯通しすることにより野菜の旨味や風味が排出されることがあり、液体調味料としての風味が損なわれてしまう場合がある。また、ポリデキストロース水溶液に浸漬処理する方法は、ポリデキストロースの安全性は確認されているが、人工食物繊維であるため人によっては下痢を生じる場合があり、万人を対象とする液体調味料に使用するには困難性がある。
【0005】
酸性緩衝溶液に浸漬処理する方法は、緩衝作用物質中のナトリウム等が具材中に残存し、表示成分であるナトリウム量等の管理が必要となり、品質管理上煩雑になる。更に、油漬けにして加熱処理する方法では、好ましい風味を付与する沸点の低い油溶性成分や水溶性の風味成分が揮発するため、新鮮な風味が残存し難いのが実情である。
【0006】
生の野菜及び/又は生の果実の具材を配合した液体調味料を製造する際に、具材の変性を防止する手段として以上のような従来の処理方法を用いると、液体調味料の味の調製範囲を制限し、加工処理も煩雑となってしまうという課題を有していた。
従って、本発明の目的は、生の具材を含有する液体調味料において、配合する生野菜類や生果実類の新鮮な風味を有し、煩雑な加工処理が必要なく、かつ常温で保存しても製造直後の風味が維持された液体調味料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明者は、上記の課題を解決すべく検討を行った結果、具材として使用する生野菜類や生果実類(以下、生野菜類と生果実類を合わせて単に「生の具材」とも記載する)を成形加工後、速やかにその他の調味液体と混合して水相部とし、ジアシルグリセロールを15質量%以上含む食用油脂を油相部とし、この油相部を水相部に積層することで、液体調味料製造直後の新鮮な風味が良好に維持されることを見出した。
すなわち、本発明は、成形加工した生野菜類及び/又は生果実類を具材として含有する水相部に、ジアシルグリセロールを15質量%以上含む食用油脂を含有する油相部を積層した液体調味料を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の液体調味料とすることにより、煩雑な加工処理を行わなくても、生野菜類や生果実類の新鮮な風味を有し、かつ常温で保存しても製造直後の風味が維持された液体調味料とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の液体調味料の製造には、具材として生の野菜類及び/又は生の果実類(以下、これらを単に「具材」と表記する場合がある)を使用する。生の野菜類、生の果実類の種類としては特に制限はないが、風味が良好となる観点から、生の香味野菜類、生の柑橘系果実類が好ましい。生の野菜類としては、例えば、アブラナ科の野菜、ユリ科の野菜、セリ科の野菜、ナス科の野菜、ウリ科の野菜等が挙げられる。更に、調味液に一般に使用される香辛料植物等も挙げられる。生の果実類としては、例えば、ウリ科の果実、ミカン科果実、バラ科果実、バショウ科の果実、パイナップル科の果実、マタタビ科の果実、クスノキ科の果実、パパイア科の果実等が挙げられる。
【0010】
更に具体的には、アブラナ科の野菜としては、キャベツ、ダイコン、ハクサイ、カリフラワー、ブロッコリー、タアサイ、セリフォン、チンゲンサイ、コマツナ、サイシン等が挙げられる。ユリ科の野菜としては、タマネギ、ニンニク、ナガネギ、アスパラガス、ニラ、ラッキョー、アサツキ、みょうが、ショウガ等が挙げられる。セリ科の野菜としては、ニンジン、セロリー、ミツバ、パセリ等が挙げられる。ナス科の野菜としては、ナス、シシトウ、ピーマン、トウガラシ、トマト等が挙げられる。ウリ科の野菜としては、カボチャ、ズッキーニ、ハヤトウリ、キュウリ、ニガウリ、トウガン等が挙げられる。
【0011】
生の果実類は、ウリ科の果実としては、スイカ、メロン、マクワウリ等が挙げられる。ミカン科の果実としては、ミカン、オレンジ、ユズ、カボス、スダチ、レモン、ライム等が挙げられる。バラ科果実としては、モモ、リンゴ、ウメ、スモモ、イチゴ、カリン、ビワ、梨、西洋梨、アンズ等が挙げられる。バショウ科の果実としては、バナナ等が挙げられる。パイナップル科の果実としては、パイナップル等が挙げられる。マタタビ科の果実としては、キウイ等が挙げられる。クスノキ科の果実としては、アボガト等が挙げられる。パパイア科の果実としては、パパイア等が挙げられる。
【0012】
本発明の液体調味料に使用する具材は、以上例示したような生の野菜類、生の果実類から選択される1種でも良いし、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
【0013】
本発明の液体調味料の調製に使用する具材の成形加工は、加工用具又は加工機として包丁、ダイスカッター、スライスカッター、ミキサー、粉砕機等、具材の大きさや量等に合わせ、適宜任意のものを選択し、また、液体調味料に含有させる際の粒径等を考慮して、適宜任意の使用条件により成形加工することができる。具体的には、カット野菜類、カット果実類、おろし野菜類又はおろし果実類とするのが好ましい。
【0014】
加工後の具材の大きさは、直径又は対角線長を0.1〜20mm程度とすることが風味、食感の点から好ましく、更に0.1〜5mm、特に0.1〜3mmとすることが好ましい。例えば、具材としてタマネギを用いた場合には、予め皮を剥き、上下をカットした形態に加工後、酸水浴による洗浄・殺菌処理を行い、例えばダイスカッター等を用いて1.0〜5mm角程度にカットすることが、食感、製造直後の具材の風味を良好に維持する点から好ましい。ここでいう大きさとは平均的な大きさをいい、以下形状に関わらず単に平均粒径と表す。
【0015】
これらの具材の水相部中の含有量は、生野菜類や生果実類の新鮮な風味を維持する点から、10〜70質量%(以下、単に「%」と記載する)、さらに15〜65%、特に25〜60%が好ましい。
【0016】
本発明の液体調味料においては、具材を成形加工した後、そのほかの調味液構成成分と混合し調製した水相部に、ジアシルグリセロールを15%以上含む食用油脂を使用した油相部を積層する。水相部調製後、油相部を積層する際には速やかに行うことが具材の新鮮な風味を維持する点から好ましい。積層するまでの最適時間は、成形加工した後、混合処理を開始するまでを500分以下とすることが、具材の新鮮な風味を維持する点から好ましく、更に360分以下、特に120分以下とすることが好ましい。
【0017】
本発明において使用するジアシルグリセロールを15%以上含む食用油脂は、動物性、植物性のいずれを原料とするものでも良く、例えば、動物油としては牛脂、豚脂、魚油等、植物油としては大豆油、パーム油、パーム核油、綿実油、落花生油、ナタネ油、コーン油、サフラワー油、サンフラワー油、米油等が挙げられるが、液体調味料製造直後の具材の風味を良好に維持する点から、大豆油、綿実油、落花生油、ナタネ油、コーン油、サフラワー油、サンフラワー油等の植物油を用いることが好ましい。
【0018】
調製した液体調味料の水相部が空気に触れると、生の野菜類及び/又は生の野菜類由来の風味成分の劣化が始まり、特に香気成分が揮散することにより、風味成分に変化が生じ、多くの場合、新鮮な風味や味が消失してしまう。本発明においては、調製直後の液体調味料の水相部の上に、ジアシルグリセロールを15%以上含む食用油脂を油相部として用いることが、生の具材の新鮮な風味を維持するのに有用であり、前記の劣化現象をより高度に抑制することが可能である。また、液体調味料製造直後の風味を良好に維持する点の他に、生理効果、油脂の工業的生産性の点でも好ましい。食用油脂中のジアシルグリセロール含量は、より好ましくは15〜95%であり、更に35〜95%、更に50〜95%、特に70〜93%、特に75〜93%、殊更80〜90%とすることが、同様の点から好ましい。
【0019】
ジアシルグリセロールの起源としては、植物性、動物性油脂のいずれでもよい。具体的な原料としては、菜種油、ひまわり油、とうもろこし油、大豆油、あまに油、米油、紅花油、綿実油、牛脂、魚油等を挙げることができる。またこれらの油脂を分別、混合したもの、水素添加や、エステル交換反応などにより脂肪酸組成を調整したものも原料として利用できるが、水素添加していないものであることが、食用油脂を構成する全脂肪酸中のトランス不飽和脂肪酸含量を低減させる点から好ましい。また、生理効果、製品が白濁せず外観が良好となる点から、不飽和脂肪酸含有量が高い植物油が好ましく、中でも菜種油、大豆油がより好ましい。
【0020】
本発明において使用される食用油脂は、トリアシルグリセロールを4.9〜84.9%含有することが好ましく、より好ましくは4.9〜64.9%、更に6.9〜39.9%、特に6.9〜29.9%、殊更9.8〜19.8%含有するのが生理効果、油脂の工業的生産性、外観の点で好ましい。
【0021】
本発明において使用される食用油脂に含まれるトリアシルグリセロールの構成脂肪酸は、ジアシルグリセロールと同じ構成脂肪酸であることが、生理効果、油脂の工業的生産性の点で好ましい。
【0022】
本発明において使用される食用油脂は、モノアシルグリセロールを0.1〜5%含有することが好ましく、より好ましくは0.1〜2%、更に0.1〜1.5%、特に0.1〜1.3%、殊更0.2〜1%含有するのが風味、外観、油脂の工業的生産性等の点で好ましい。電子レンジ調理により加熱されやすいという点でモノアシルグリセロールは0.1%以上含有するのが好ましく、風味の点から5%以下が好ましい。モノアシルグリセロールの構成脂肪酸はジアシルグリセロールと同じ構成脂肪酸であることが、油脂の工業的生産性の点で好ましい。
【0023】
また、本発明において使用される食用油脂に含まれる遊離脂肪酸(塩)含量は、5%以下に低減されるのが好ましく、より好ましくは0〜3.5%、更に0〜2%、特に0.01〜1%、特に0.05〜0.5%とするのが風味、油脂の工業的生産性の点で好ましい。
【0024】
本発明の液体調味料における、水相成分としては、水、食酢、塩、醤油、香辛料、糖、蛋白質素材、有機酸、アミノ酸系調味料、核酸系調味料、動植物エキス、発酵調味料、酒類、デンプン、増粘剤、安定剤、着色料等の各種添加剤等が挙げられる。また、水相のpHは5.5以下であることが保存性の点から好ましく、更に4.7〜2、特に4.5〜2.2、殊更4.2〜2.4の範囲が好ましい。この範囲にpHを低下させるためには、食酢、クエン酸、リンゴ酸等の有機酸、リン酸等の無機酸、レモン果汁等の酸味料を使用することができるが、保存性を良くする点、液体調味料製造直後の具材の風味を維持する点から食酢を用いることが好ましい。食酢は穀物酢、りんご酢、ビネガー類など様々な種類を用いることができ、その配合量は、液体調味料中に3〜50%、更に5〜30%、特に6〜26%とすることが好ましい。また、水相中の酸度は0.15〜10%、更に0.25〜6、特に0.3〜3とすることが風味の点から好ましい。塩としては、並塩、天日塩、岩塩等、様々な種類のものを用いることができ、その一部を塩化カリウムや硫酸マグネシウム等に置き換えたものも用いることができる。塩の配合量は、液体調味料中に1〜20%、更に2〜15%、特に2〜11%とすることが風味の点から好ましい。
【0025】
本発明における液体調味料は、水相中の塩化ナトリウム濃度は10%以下であることが、風味の点から好ましく、更に7〜2%、特に6〜2%であることが好ましい。
【0026】
本発明における液体調味料は、水相部の調製は、成形加工した具材を水相に添加した後に他の水相の成分を順次加えるか、成形加工した具材に予め調製した水相を加えることができる。調味液を加えた後は、安全性の面から加熱殺菌することが好ましい。殺菌方法としては、一般に用いられている方法が使用可能である。具体的には、ヒーター加熱方式、高周波電磁誘導加熱方式、チューブ式高温加熱方式などの方法が利用可能である。その後容器に充填等し、油相部を積層して製品とすることが好ましい。
【0027】
油相成分としては、食用油脂の他に植物ステロール、レシチン、乳化剤等が挙げられる。植物ステロールとしては、例えばα−シトステロール、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、α−シトスタノール、β−シトスタノール、スチグマスタノール、カンペスタノール、シクロアルテノール等のフリー体、及びこれらの脂肪酸エステル、フェルラ酸エステル、桂皮酸エステル等のエステル体が挙げられる。植物ステロールは、液体調味料の油相中に0.05〜4.7%、更に0.05〜4%含有することが、血中コレステロール低下効果の点から好ましい。レシチンは、卵黄レシチン、大豆レシチン、卵黄リゾレシチンなどが用いることができ、これらの液体調味料の油相中に0.01〜5.0%、更に0.05%から4%含有することが、使用時に攪拌混合された場合の液体調味料の均一性と風味の点から好ましい。乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル,ショ糖脂肪酸エステルなど食品添加物として認められている乳化剤が使用でき、含有量としては、0.01%〜1%、更に0.1〜0.6%含有することが、使用時に攪拌混合された場合の液体調味料の均一性と風味の点から好ましい。
【0028】
本発明における液体調味料は、食用油脂を含む油相と水相の質量比率は、液体調味料製造直後の具材の風味を維持する点、栄養及び官能の点から5/95〜60/40、更に15/85〜45/55、特に25/75〜40/60であるのが好ましい。
【0029】
本発明における液体調味料には、抗酸化剤を添加することが好ましい。抗酸化剤は、通常、食品に使用されるものであればいずれでもよいが、天然抗酸化剤、トコフェロール、カテキン、リン脂質、アスコルビン酸脂肪酸エステル、BHT、BHA、TBHQから選ばれる1種以上が好ましく、天然抗酸化剤、トコフェロール、アスコルビン酸パルミチン酸エステルから選ばれる1種以上が特に好ましい。抗酸化剤は、油相、水相どちらにも配合できるが、油相への添加が好ましい。特に好ましい抗酸化剤の含有量は、油相中50〜5000μg/mL、更に200〜2000μg/mLである。
【0030】
本発明における液体調味料において抗酸化剤を使用する場合、油相中にL−アスコルビン酸脂肪酸エステルを実質的に含有しないのが、長期保存後の風味劣化抑制の点で好ましい。ここで、実質的に含有しないとは、油相中の含量が15μg/mL以下であることをいう。また、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルとしては、L−アスコルビン酸パルミテート、L−アスコルビン酸ステアレート等が挙げられる。
【0031】
またこの場合、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルを実質的に含有しない替わりに、δ−トコフェロールを200μg/mL含有するのが、保存による風味劣化が抑制される点から好ましい。原料や製法にもよるが、ジアシルグリセロール含有油脂には、原料由来のδ−トコフェロールが50〜100μg/mL含まれている場合があるが、保存による風味劣化が抑制の点から、更に添加して250〜1200μg/mL、更に300〜1000μg/mL、特に350〜700μg/mL、殊更400〜600μg/mLとすることが好ましい。
【0032】
トコフェロールには、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール及びδ−トコフェロールの4種があるが、油相中のδ−トコフェロール含量が200μg/mL以上とすることが好ましく、油相中の総トコフェロール量が、2000μg/mL以下とすることが好ましい。また、α−トコフェロール及びβ−トコフェロールの合計量に対するδ−トコフェロール量の比(δ/(α+β):質量比)は、風味改善、コストの点で2より大であるのが好ましく、更に2.5〜20、特に3〜10、殊更4〜8であるのが好ましい。
【実施例】
【0033】
(1)試験1(実施例1〜3、比較例1〜3)
表1に示した原材料を用い、次に示す製造法に従って液体調味料を製造し、具材としてタマネギを用いた比較を行った。また、表1に示した原材料の由来も以下に示した。
【0034】
〔具材の成形加工〕
<ダイスカット生タマネギ>
市販の北海道産のタマネギL玉10個を、外皮除去後、頭と足部分を包丁で除去し、包丁を用いて予め手作業で4分割後、DREMAX DX−90マルチミジン(ドリーム開発工業社)を用いて成形した。成形後の平均粒径は3.0mmであった。
<冷凍ダイスカットタマネギ>
市販冷凍非加熱タマネギ(ダイスカット径3.2mm、ホクレン製)を用いた。
【0035】
〔液体調味料の調製〕
上白糖、醸造酢、並塩、濃い口しょう油、チキンコンソメ、クエン酸、キサンタンガム、グルタミン酸ナトリウム及び浄水を表1に示した量配合し、撹拌混合して溶解し、調味液を調製した。調製した調味液を2000mLのステンレス容器に入れ、そこに具材を投入後、翼長100mm、4枚羽根のトンボ型攪拌翼を取り付けたスリーワンモーターFBL300M(東京硝子器械社)を用いて5回/分にて1分間撹拌混合した。次に、常温から加熱して80℃に到達してから4分間保持することにより殺菌処理を行った後、冷却し、常温とした後に容器に充填し、次いで食用油脂を充填することにより液体調味料を調製した。
【0036】
〔食用油脂〕
・DAG高含有油脂:TAG:19.3%、DAG:80%、MAG:0.7%
・TAG主体の油脂:サラダ油(日清オイリオ、TAG:94.3%、DAG:1.5%、MAG:0.2%)
ここで、DAGとはジアシルグリセロール、TAGとはトリアシルグリセロール、MAGとはモノアシルグリセロールを示す。
【0037】
〔保存試験方法〕
前述の方法により調製した液体調味料を、それぞれ120mLのガラス容器におよそ98%ずつ充填し、40℃に10日間保存した。
【0038】
〔官能評価方法〕
市販レタスを20〜30mmの大きさに切断し、浄水で洗浄後、遠心式水切り機を用いて水を切った。試食直前に調味液をよく攪拌し、速やかに本レタス約100g当たり液体調味料15gを均一に分散するようにかけ、更にトング等により混ぜ込んでから試食することにより風味の評価を行った。評価は、各液体調味料の製造直後の「生野菜類の新鮮な風味」と、上記保存後の「製造直後の風味の維持」の観点について、専門パネル5名にて下記基準に基づいて行い、5名のスコアの平均値を評価値とした。なお、「生野菜類の新鮮な風味」は、配合された生野菜類自身の風味が感じられるかどうかで判断した。ここで、実際の評価対象である液体調味料は他の調味料を含み、一般に調味料は風味の熟れ効果があることから、風味を安定させるため、容器に充填後5℃に24時間保存後の風味を「製造直後」の風味とした。
【0039】
<生野菜の新鮮な風味>
5:生野菜の新鮮な風味が強い
4:生野菜の新鮮な風味がやや強い
3:生野菜の新鮮な風味がある
2:生野菜の新鮮な風味がやや弱い
1:生野菜の新鮮な風味がしない
<製造直後の風味の維持>
5:製造直後の風味が完全に残っている
4:製造直後の風味が残っている
3:製造直後の風味が弱いが残っている
2:製造直後の風味がほとんど失われている
1:製造直後の風味が完全に失われている
【0040】
【表1】

【0041】
実施例1〜3の液体調味料は、製造直後の生タマネギの新鮮な風味が強く、保存後もその新鮮な風味が良好に維持されていた。一方、比較例1〜3の液体調味料は、製造直後の新鮮な風味が保存後には失われる傾向であった。なお、食用油脂中のDAG含量が高いほど、製造直後の新鮮な風味及び保存後の風味の維持が強くなる傾向であった。
【0042】
(2)試験2(実施例4、比較例4及び5)
表2に示した原材料を用い、試験1に示す製造法に準じて液体調味料を製造し、具材としてトマトを用いた比較を行った。なお、使用した食用油脂、保存試験方法及び官能評価方法は、いずれも試験1と同じもの及び方法で行った。
【0043】
〔具材の成形加工〕
<生トマト>
市販の福島産トマト約250gを手作業にて4分割後、コマーシャルブレンダーFMI(ワーニング・プロダクツ社)を用いて成形した。成形後の平均粒径は0.6mmであった。
<冷凍トマト>
市販の福島産トマトを洗浄し、包丁にてヘタ部分を除去後、フリーザーバックに入れて約1ヶ月間冷凍保存(−35℃)した冷凍非加熱トマトを、コマーシャルブレンダーFMI(同上)を用いて成形した。成形後の平均粒径は0.6mmであった。
【0044】
【表2】

【0045】
実施例4の液体調味料は、製造直後の生トマトの新鮮な風味が強く、保存後もその新鮮な風味が良好に維持されていた。一方、比較例4及び5の液体調味料は、製造直後の新鮮な風味が保存後には失われる傾向であった。
【0046】
(3)試験3(実施例5、比較例6及び7)
表3に示した原材料を用い、試験1に示す製造法に準じて液体調味料を製造し、具材としてタマネギ及びニンニクを用いた比較を行った。なお、生タマネギ及び冷凍タマネギの成形加工、使用した食用油脂、保存試験方法及び官能評価方法は、いずれも試験1と同じもの及び方法で行った。
【0047】
〔具材の成形加工〕
<生ニンニク>
市販の青森県産ニンニク約250gを包丁を用いて3〜5cm大に分割後、コマーシャルブレンダーFMI(ワーニング・プロダクツ社)を用いて成形した。成形後の平均粒径は0.6mmであった。
<冷凍非加熱ニンニク>
市販の冷凍おろしニンニク(株式会社 坂田信夫商店)を用いた。平均粒径は0.6mmであった。
【0048】
【表3】

【0049】
実施例5の液体調味料は、製造直後の生タマネギ及び生ニンニクの新鮮な風味が強く、保存後もその新鮮な風味が良好に維持されていた。一方、比較例6及び比較例7の液体調味料は、製造直後の新鮮な風味が保存後には失われる傾向であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形加工した生野菜類及び/又は生果実類を具材として含有する水相部に、ジアシルグリセロールを15質量%以上含む食用油脂を含有する油相部を積層した液体調味料。
【請求項2】
成形加工した具材が、カット野菜類、カット果実類、おろし野菜類又はおろし果実類から選択される1種又は2種以上である請求項1に記載の液体調味料。