説明

液体静電印刷においてバックグラウンド現出を減少させるためのトナー組成物及びその製造及び使用方法

液体静電印刷に用いられるトナーは、キャリヤー液と、複数のトナー粒子を含み、そのトナー粒子は、顔料と、樹脂の混合物から構成され、混合物の大部分は少なくとも第一樹脂を含み且つ小部分は少なくとも1つの第二樹脂を含み、その第二樹脂は、顔料に対する第一樹脂の親和力より大きい、顔料に対する親和力を有しており、その結果、トナー粒子から分離したキャリヤー液中の遊離した顔料の量は、小部分の少なくとも1つの第二樹脂が存在しないときに存在したであろう量を超えて低減される。
なし

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その開示により本書に組み込まれる2006年3月10日に出願された米国仮特許出願第60/781,019号に基づき、米国特許法119条(e)の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、概して、液体静電印刷(“LEP”)に関し、より詳細には、バックグラウンド現出を減少させることにより像質を改善することに関する。
【背景技術】
【0003】
液体トナーを利用して行う光伝導性物質の表面上での潜像の形成と現像、すなわちLEPプロセスはよく知られている。基本プロセスは、均一な静電電荷を光伝導性の絶縁層の上に配置し、その層を明―陰影像に露光して光に曝された層領域上の電荷を消散させ、そして一つの可能性としてバックグラウンドになり得る部分と別の可能性として「プリント」になり得る部分とを有する、像上に、当分野において「トナー」として知られている微細に分割された検電物質を堆積させることによって結果として生じた潜像を現像することを含む。当該トナーは、通常、電荷を保持するそれらの層領域に引き付けられ、よって、潜在的検電像に対応するトナー像を形成する。その後、この像が紙のような支持表面へ転写され得る。その後、その転写像が、熱、溶媒、オーバーコーティング処理又はその他の付着処置の適用によって支持表面へ永久的に付着され得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LEPプロセスは、典型的に、高電気抵抗と低誘電率を有するキャリヤー液とそのキャリヤー液に分散されたトナー粒子とを含有する液体現像剤を利用する。トナー粒子は、通常、バインダー(樹脂)、帯電補助剤及び顔料のような種々の成分を含む。現在実施されているようなLEPプロセスに関する1つの問題は、小部分の顔料粒子が混合工程中にトナー粒子に結合しないということである。結果として、これらの遊離粒子がプリント工程中に適切に堆積し得ない。これらの遊離顔料粒子は、光受容体及び最終基板のバックグラウンド領域上に堆積することにより像劣化を引起す。この現象は、バックグラウンド現出(background development)として知られている。像劣化に加えて、バックグラウンド現出は、光伝導体及びプリントブランケットの寿命を短縮することが見出されている。
【0005】
粉末乾式複写技術においては、バックグラウンド現出は、大きいキャリヤービーズを使用して浮遊インク粒子を捕捉することで軽減され得る。しかしながら、これらの大きいキャリヤービーズは、典型的に、100〜300ミクロンのサイズを有しており、通常のLEP液体現像剤(LEPの粒子サイズは、典型的に、1〜10ミクロンの範囲にある)に応用され得ない。さらに、この技術は、2成分トナー系を必要とするが、LEPのトナーは、一般に、1成分から構成されるにすぎない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の遊離顔料粒子問題は、印刷が透明基板上で行われるときは特に著しい。1つの理由は、透明基板上のプリント像に要求される乳白度を得るためにトナーに大量の顔料が典型的に使用されるからである。これは、例えばカラーのバックグラウンドを与えるために白色インクが使用されるときは、とりわけ当てはまる。この高充填は、比較的多量の(樹脂に包含されていない)遊離した顔料に現れている。遊離した顔料は正しく帯電されず且つ、結果として、プリントのバックグラウンド領域上に堆積される。印刷が透明基板上で実行されるので、「汚染された」バックグラウンドがプリント品質に逆効果をもたらすのである。
【0007】
遊離顔料問題に関連した、LEPプロセスにおける別の困難事は、液体現像剤中のトナー粒子の不足帯電(undercharging)である。遊離顔料とよく似て、不足帯電トナー粒子は、最適のLEP操作に必要な帯電を維持しない。このことは、光伝導性絶縁層の非帯電領域上への不足帯電粒子の堆積という結果になり、これがまたバックグラウンド現出の原因となる。
【0008】
それ故、本発明のいくつかの実施形態の様相は、顔料を結合樹脂とより相容性にすることでLEP印刷におけるバックグラウンドを軽減する液体トナー調合に関する。本発明の例示的実施形態において、顔料に対して且つ好ましくは樹脂にも高い親和力を有する比較的小量の追加物質が、一般的にはトナー粒子の一部として、トナーに追加される。本発明の種々の例示的実施形態において、当該親和力は、物理的、化学的又はその両方である。この高親和性物質は、例えば、架橋共重合体である。本発明の例示的実施形態において、バックグラウンドは、追加物質による顔料粒子の捕捉及びトナー粒子中への(そうでなければ遊離していたであろう)顔料粒子の取込みによって軽減される。任意に、当該追加物質は多孔質であり、遊離顔料の捕捉及び樹脂粒子中への追加物質の取込みを容易にする。任意に、当該追加物質は、それがキャリヤー液を溶媒和し得ないとはいえ、キャリヤー液中で膨潤する。
【0009】
本発明の幾つかの例示的実施形態において、アクリル酸部分を含む架橋共重合体が用いられる。任意に、当該架橋共重合体は、ポリアクリルエステルからなる。任意に、当該架橋共重合体は、ポリブチルメタクリラートからなる。任意に、当該架橋共重合体は、ポリメチルメタクリラートからなる。本発明の幾つかの例示的実施形態において、当該架橋共重合体は、アルキルアクリラートとエチレングリコールジメタクリラートからなる共重合体のような、極性部分を含む。
【0010】
トナーの製造中、架橋共重合体はキャリヤー液によって膨潤させられる。バックグラウンドは、遊離した顔料と、好ましくは主要トナー粒子に対して親和力を有する、膨潤架橋共重合体マトリックスの樹脂粒子との間の相互作用によって軽減される。任意に、トナー粒子は直径1〜10ミクロンの間である。
【0011】
本発明の幾つかの例示的実施形態において、バインダー樹脂及び/又は追加物質と強い相容性をもつよう前処理され終わった顔料が用いられる。任意に、使用される顔料は疎水性である。
【0012】
本発明の幾つかの例示的実施形態において、トナーは、印刷工程においてバックグラウンドを軽減するシリカ添加物が供給される。それは、架橋共重合体マトリックスの膨潤特性を改善し及び/又は遊離した顔料及び樹脂粒子と直接相互作用することにより、シリカが印刷中バックグラウンドの軽減を促進するものと思われる。
【0013】
本発明の例示的実施形態において、少なくとも架橋共重合体及びシリカ添加物を含むトナーが供給される。任意に、当該シリカ添加物は、架橋共重合体添加物の全重量の0.1%〜4%を含む。シリカ添加物と併せて一定の架橋共重合体を使用することにより、バックグラウンドは、ただ1つの又はその他の成分を使用するよりもさらに軽減され得る。任意に、架橋共重合体は、顔料の全重量で1〜15%を含む。本発明の例示的実施形態において、バックグラウンドに及ぼす架橋共重合体とシリカの効果がそれら全部の和より大きいトナーが与えられる。換言すれば、架橋共重合体とシリカ添加物間の、単なる相加効果よりも、相乗効果であると見られる。
【0014】
本発明の1つの様相は、遊離顔料粒子に対して第一の樹脂の膨潤比よりも高い親和力を第二樹脂に与える膨潤比を、第二の樹脂が有するように、それぞれが異なった膨潤比を有する、少なくとも2つの樹脂から構成される液体トナーを供給することに関連している。本発明の幾つかの実施形態において、第二の樹脂は、第一の樹脂及び顔料粒子に対して物理的及び/又は化学的親和力を有する。任意に、第二の樹脂は、架橋共重合体又は重合体である。
【0015】
本発明の幾つかの実施形態の様相は、顔料を捕捉する樹脂と、任意に、シリカとを含んでいる改良型トナー組成物を作製する方法に関する。
【0016】
本発明の実施形態において、トナーは、従来の方法で製造され、ここで、多量の樹脂が昇温中でキャリヤー液を溶媒和し、そして、その後、より低い温度で粉砕されてトナー粒子を形成する。本発明の実施形態において、追加物質と顔料が粉砕プロセスの開始時又は途中で付加される。あるいは、追加物質と顔料が、(キャリヤー液の存在において)別々に湿式粉砕され、次いで、顔料と共に粉砕された追加物質が多量の樹脂に付加され、それと一緒に粉砕される。本発明の幾つかの例示的実施形態においては、追加物質が粉砕プロセスに先立って付加される。任意に、追加物質が溶媒和に先立ちキャリヤー液と多量の樹脂に付加される。任意に、追加物質が溶媒和中に付加される。任意に、追加物質は、トナーへのその付加以前にIsopar、少なくとも1つの樹脂、少なくとも1つの顔料、及び/又は帯電補助剤と予混される。
【0017】
本発明の1つの様相は、ここに記述されたような改良型トナー組成物を使って印刷工程を実施することにより液体静電印刷におけるバックグラウンドを軽減させる方法を提供することである。
【0018】
そこで、本発明の例示的実施形態に従ってこのように液体静電印刷に供されるトナーが提供され、そのトナーは、キャリヤー液と、複数のトナー粒子を含み、当該トナー粒子は、顔料と、樹脂の混合物とから構成され、前記混合物の大部分は少なくとも第一樹脂を含み且つ小部分は少なくとも1つの第二樹脂を含み、その第二樹脂は、顔料に対する第一樹脂の親和力より大きい親和力を前記顔料に対して有しており、その結果、トナー粒子から分離したキャリヤー液中の遊離した顔料の量は、小部分の少なくとも1つの第二樹脂が無いときに存在したであろう量を超えて低減される。本発明の例示的実施形態において、その小部分は架橋共重合体又は重合体である。本発明の例示的実施形態において、その小部分はマトリックスを含む。本発明の例示的実施形態において、その小部分は多孔質の物質である。本発明の例示的実施形態において、その小部分はキャリヤー液中で膨潤し且つその場合顔料に対する前記親和力は、小部分が少なくとも膨潤させられるときに存在する。本発明の例示的実施形態において、その小部分は前記大部分に対して少なくとも親和力を有する。任意に、小部分はアクリル酸部分から構成される。任意に、その小部分は極性部分から構成される。任意に、その小部分は、アクリルアクリラートとエチレングリコールジメタリラートの共重合体である。任意に、その小部分はポリブチルメタクリラートから構成される。任意に、その小部分はポリメチルメタクリラートから構成される。任意に、小部分はポリアクリルエステルから構成される。本発明の幾つかの例示的実施形態において、トナー粒子は、また、キャリヤー液中の遊離した顔料の量をさらに減少させるのに有効な量でシリカを含む。任意に、小部分はシリカを含む。任意に、当該シリカは、小部分の0.1〜4wt%含まれる。任意に、小部分の量は、付加顔料の量の1〜15wt%である。
【0019】
そこで、本発明の例示的実施形態に従ってこのように液体静電印刷に供されるトナーが提供され、そのトナーは、キャリヤー液と、複数のトナー粒子を含み、当該トナー粒子は、顔料と、少なくとも2つの樹脂の混合物から構成され、前記混合物の大部分は第一膨潤比を有する少なくとも1つの第一樹脂を含み且つ小部分は第二膨潤比を有する少なくとも1つの第二樹脂を含み、ここで、前記第二樹脂は、キャリヤー液中で第二膨潤比に従って少なくとも膨潤させられるとき、顔料に対する第一樹脂の親和力より大きい親和力を前記顔料に対して有しており、その結果、トナー粒子から分離したキャリヤー液中の遊離した顔料の量は、小部分の少なくとも1つの第二樹脂が無いときに存在したであろう量を超えて低減される。本発明の例示的実施形態において、その小部分は架橋共重合体又は重合体である。本発明の例示的実施形態において、その小部分はマトリックスを含む。本発明の例示的実施形態において、その小部分は多孔質の物質である。本発明の例示的実施形態において、その小部分はキャリヤー液中で膨潤し且つその場合顔料に対する前記親和力は、小部分が少なくとも膨潤させられるときに存在する。本発明の例示的実施形態において、その小部分は前記大部分に対して少なくとも親和力を有する。任意に、小部分はアクリル酸部分から構成される。任意に、その小部分は極性部分から構成される。任意に、その小部分は、アクリルアクリラートとエチレングリコールジメタリラートの共重合体である。任意に、その小部分はポリブチルメタクリラートから構成される。任意に、その小部分はポリメチルメタクリラートから構成される。任意に、その小部分はポリアクリルエステルから構成される。本発明の幾つかの例示的実施形態において、トナー粒子は、また、キャリヤー液中の遊離した顔料の量をさらに減少させるのに有効な量でシリカを含む。任意に、小部分はシリカを含む。任意に、当該シリカは、小部分の0.1〜4wt%含まれる。任意に、小部分の量は、付加顔料の量の1〜15wt%である。
【0020】
そこで、本発明の例示的実施形態に従ってこのように液体静電印刷に供されるトナーが提供され、そのトナーは、キャリヤー液と、複数のトナー粒子を含み、当該トナー粒子は、顔料と、少なくとも2つの樹脂の混合物から構成され、前記混合物の大部分は少なくとも1つの第一樹脂を含み且つ小部分は顔料を捕捉するのに適したマトリックス構造を有する少なくとも1つの第二樹脂を含み、その結果、トナー粒子から分離したキャリヤー液中の遊離した顔料の量は、小部分の少なくとも1つの第二樹脂が無いときに存在したであろう量を超えて低減される。本発明の例示的実施形態において、その小部分は架橋共重合体又は重合体である。本発明の例示的実施形態において、その小部分はマトリックスを含む。本発明の例示的実施形態において、その小部分は多孔質の物質である。本発明の例示的実施形態において、その小部分はキャリヤー液中で膨潤し且つその場合顔料に対する前記親和力は、小部分が少なくとも膨潤させられるときに存在する。本発明の例示的実施形態において、その小部分は前記大部分に対して少なくとも親和力を有する。任意に、小部分はアクリル酸部分から構成される。任意に、その小部分は極性部分から構成される。任意に、その小部分は、アクリルアクリラートとエチレングリコールジメタリラートの共重合体である。任意に、その小部分はポリブチルメタクリラートから構成される。任意に、その小部分はポリメチルメタクリラートから構成される。任意に、その小部分はポリアクリルエステルから構成される。本発明の幾つかの例示的実施形態において、トナー粒子は、また、キャリヤー液中の遊離した顔料の量をさらに減少させるのに有効な量でシリカを含む。任意に、小部分はシリカを含む。任意に、当該シリカは、小部分の0.1〜4wt%含まれる。任意に、小部分の量は、付加顔料の量の1〜15wt%である。
【0021】
そこで、本発明の例示的実施形態に従ってこのように液体トナーを作製する方法が提供され、その方法は、少なくともキャリヤー液、樹脂及び重合体を混合してキャリヤー液と可塑化された重合体粒子のスラリーを生成することと、架橋共重合体と顔料を前記スラリーに付加することと、スラリー、架橋共重合体及び顔料を粉砕して彩色されたトナー粒子を形成することを包含し、ここで、架橋共重合体は、遊離した樹脂及び顔料粒子のうちの1つ又は両方の量を架橋共重合体が付加されなかったなら存在したであろう量より低減する。本発明の幾つかの例示的実施形態において、当該方法は、さらに、シリカを付加することを含む。本発明の実施形態において、架橋共重合体は、顔料と樹脂に対して親和力を有する物質から構成される。本発明の実施形態において、架橋共重合体は多孔質の物質である。本発明の実施形態において、顔料は白色である。本発明の実施形態において、架橋共重合体は、樹脂とは異なった膨潤比を有し、その結果、架橋共重合体の膨潤が樹脂及び顔料粒子の1つ又は両方に対する架橋共重合体の親和力を高める。本発明の実施形態において、架橋共重合体は、顔料を捕捉するのに適したマトリックス構造を有する。本発明の実施形態において、架橋共重合体が膨潤されて、顔料を捕捉するのに適したマトリックス構造を生成する。
【0022】
そこで、本発明の例示的実施形態に従ってこのように液体トナーを作製する方法が提供され、その方法は、少なくともキャリヤー液、樹脂及び重合体を混合してキャリヤー液と可塑化された重合体粒子のスラリーを生成することと、顔料を前記スラリーに付加することと、スラリーと顔料を粉砕し、そして粉砕工程の開始時又は途中で架橋共重合体を付加することを包含し、ここで、架橋共重合体は、遊離した樹脂及び顔料粒子のうちの1つ又は両方の量を架橋共重合体が付加されなかったなら存在したであろう量より低減する。本発明の幾つかの例示的実施形態において、当該方法は、さらに、シリカを付加することを含む。本発明の実施形態において、架橋共重合体は、顔料と樹脂に対して親和力を有する物質から構成される。本発明の実施形態において、架橋共重合体は多孔質の物質である。本発明の実施形態において、顔料は白色である。本発明の実施形態において、架橋共重合体は、樹脂とは異なった膨潤比を有し、その結果、架橋共重合体の膨潤が樹脂及び顔料粒子の1つ又は両方に対する架橋共重合体の親和力を高める。本発明の実施形態において、架橋共重合体は、顔料を捕捉するのに適したマトリックス構造を有する。本発明の実施形態において、架橋共重合体が膨潤されて、顔料を捕捉するのに適したマトリックス構造を生成する。
【0023】
そこで、本発明の例示的実施形態に従ってこのように基板上に画像を印刷する方法が提供され、その方法は、画像に応答する電荷分布を表面上に発生させることと、その表面をここに記載された実施形態のどれかによるか又はここに記載された方法のどれかによって製造されたトナーと接触させて現像像を形成させることと、その現像像をその表面から基板へ転写することとを包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の非限定例は、図面と共に、例示的実施形態の下記説明を参照して記述される。図面は、一般に、縮尺関係で示されてはおらず且つ任意の測定値は、単に好例となるべきものであって必ずしも限定するものではない。図面において、少なくとも2つの図面に現れる同一の構造、要素、又は部品は、好ましくは、全ての図面において同じ又は類似の番号で標識される。
【0025】
概略
従来のLEP印刷におけるバックグラウンドは、主として、不適当な領域に堆積される余剰の顔料及び樹脂粒子によって引き起される。上述のように、これらの粒子は、主にこれらの粒子の不十分な帯電の結果としてプリント画像上の望ましい場所に堆積されない。本願の発明者が究明したことは、使用された大部分の樹脂よりも顔料に対して高い親和力を有し且つまた大部分の樹脂にも親和力を有する追加物質を、在来の液体トナーに供給することでこれらの遊離した粒子がトナー粒子によって捕捉され得るということである。本発明の実施形態において、その追加物質は架橋共重合体のような樹脂である。さらに、印刷工程中に、強化されたバックグラウンド軽減を実現するためにシリカがトナーに付加され得る。
【0026】
トナー物質の作製
本発明の実施形態において、発明のトナーは、1つの成分として架橋共重合体の付加を伴い、透明又は彩色トナーを作製する分野で知られている種々の方法のいずれかを使ってその構成成分から作製され得る。架橋共重合体に加えて又はその代わりに、トナー混合物にシリカが任意に付加される。
【0027】
本発明の実施形態において、黒色トナーは、キャリヤー液(全重量で約60%〜85%含まれる)と、例えば、Isopar−L(登録商標)として知られている炭化水素液、Nucrel(登録商標)699のようなエチレンメタクリル酸共重合体樹脂(10%〜35%)、及びA−C(登録商標)5120のようなエチレンアクリル酸共重合体(5%〜30%)との混合物を準備することにより作製され得る。その成分が、例えばRossミキサーのようなダブルプラネタリーミキサー、約120℃から約160℃の間の温度で約1.5時間、混合されてキャリヤーと液体キャリヤーの溶媒和によって可塑化された重合体粒子とのスラリーを生成する。次に、その混合操作をさらに1.5時間継続し、その間にその混合物が室温まで冷える。次いで、そのスラリーが、Cabot(登録商標)で製造されたMonarch(登録商標)800カーボンブラック顔料(固体の全重量で15%〜25%)及びBASF(登録商標)で製造されたAlkali Blue(登録商標)D6200(固体の全重量で1%〜10%)のような少なくとも1つの顔料、(Sekisui Plastics Co.,Ltd.で製造され、ARX−15として市販された)ポリアクリルエステルのような架橋共重合体(追加顔料の全重量で1%〜15%)及びアルミニウムトリステアラート(Aluminum Tristearate)のような荷電補助剤(固体の全重量で1%〜5%)と共に1ガロン粉砕機(例えば、Union Process(登録商標)01粉砕機)へ付加される。本発明の幾つかの例示的実施形態において、大部分の(バインダー)樹脂及び/又は追加物質との強力な相容性を得るよう前処理された顔料が使用される。任意に、その使用顔料は疎水性である。
【0028】
注目されるべきは、遊離した樹脂及び顔料粒子を吸収するべく作用する架橋共重合体又はその他の重合体はいずれも、ARX−15の代わりに任意に使用される。本発明の例示的実施形態において、架橋共重合体又はその他の重合体は、バインダー樹脂(例えば、Nucrel(登録商標)699)及び顔料に対するその親和性、架橋共重合体に対する樹脂及び顔料の誘引、又はその両方に基づく使用のために選択される。バインダー樹脂として任意に使用される物質は、エチレンアクリル酸共重合体、エチレン、アクリルエステル及び無水マレイン酸のターポリマー、酸修飾―エチレンアクリラート重合体、酸/アクリラート修飾―エチレンビニルアセタート、及びエチレンの任意の化学的官能性部分との共重合体、の1つもしくはそれ以上を含む。
【0029】
任意に、少なくとも追加物質、例えば、架橋共重合体がここに記述された粉砕処理中に追加される。当該物質は、52℃、250rpmで約1.5時間粉砕される。温度が40℃に下げられ、そしてその混合物がさらに10.5時間粉砕される。別途言及されない限り、濃度に関してここで指定されるパーセントは重量パーセントである。任意に、予備粉砕されたシリカ及び/又は予備粉砕された架橋共重合体が、粉砕操作後にトナー混合物に付加される。
【0030】
本発明の実施形態において、追加物質と顔料が粉砕プロセスの開始時又は途中で付加される。あるいは、追加物質と顔料が、(キャリヤー液の存在において)別々に湿式粉砕され、次いで、顔料と共に粉砕された追加物質が多量の樹脂に付加され、それと一緒に粉砕される。本発明の幾つかの例示的実施形態においては、追加物質が粉砕プロセスに先立って付加される。任意に、追加物質が溶媒和に先立ちキャリヤー液と多量のバインダー樹脂に付加される。任意に、追加物質が溶媒和中に付加される。あるいは、追加物質は、トナーへのその付加以前にキャリヤー液、少なくとも1つの樹脂、少なくとも1つの顔料、及び任意に帯電補助剤と予混される。
【0031】
本発明の幾つかの例示的実施形態において、遊離粒子とバインダー樹脂間の(おそらく、化学的親和力に加えて)物理的親和力を高める追加物質が選択される。任意に、日本のSekisui Plastics Co.,Ltd.で製造された、MBP多孔質のような架橋多孔質物質、架橋共重合体が、この目的でトナー混合物に付加される。
【0032】
本発明の例示的実施形態において、白色トナーは、Isopar−L(登録商標)のようなキャリヤー液(全重量で約75%含まれる)と、Nucrel(登録商標)699のような樹脂(全重量で約20%含まれる)、及びA−C(登録商標)5120のような重合体(全重量で約5%含まれる)との混合物を準備することにより作製される。その成分が、例えば、Rossミキサーのようなダブルプラネタリーミキサー、約120℃〜約160℃の間の温度で約1.5時間、混合されてキャリヤーと液体キャリヤーの溶媒和によって可塑化された重合体粒子とのスラリーを生成する。次に、その混合操作をさらに1.5時間継続し、その間にその混合物が室温まで冷える。次いで、そのスラリーが、Du−Pont(登録商標)で製造された二酸化チタン顔料Ti−Pure R104(48.78%)及びSigmaで製造されたクエン酸(<0.1%)及びBASF(登録商標)で製造されたHeliogen Blue D7080(0.003%)、(Sekisui Plastics Co.,Ltd.で製造され、ARX−15として市販された)ポリアクリルエステルのような架橋共重合体(2.5%)と共に1ガロン粉砕機(例えば、Union Process(登録商標)01粉砕機)へ付加される(固体の全重量で約48.62%)。その物質は、55℃、250rpmで約15時間粉砕される。
【0033】
発明のトナーを作製するための代替方法は、最初に、ARX−15を複数顔料(上記の例ではカーボンブラック及びAlkali Blue(登録商標)又は二酸化チタン及びHeliogen Blue)と予混して液体キャリヤーとしてのIsopar−L(登録商標)による1%〜50%のスラリーにする。1時間の予混後、そのスラリーが、可塑化された重合体と帯電補助剤、任意に、アルミニウムトリステアラート、のスラリーと共に粉砕機へ付加され得る。粉砕手順は上述と同様のものとなろう。
【0034】
同様の手順は別の白色トナーを製造するのに利用され得る。本発明の例示的実施形態において、カーボンブラックと二酸化チタン顔料の代わりに、Kerr−McGee(登録商標)で製造された、Ti−Pure R104又はTronox(登録商標)470などの白色顔料(全重量で約50%)、及びBASF(登録商標)で製造されたHeliogen(登録商標)Blue D7086(Tronox(登録商標)顔料の0.01wt%)が粉砕機の中へ充填される。当該粉砕機は、約3時間にわたり55℃で作動しそして35℃まで冷却され、その温度でさらに約12時間粉砕操作が継続される。
【0035】
粉砕段階の完了時点で、本発明の例示的実施形態においては、当該混合物は、キャリヤー液に分散された6ミクロン未満の平均直径を有するトナー粒子を含む。所望濃度の固体トナー粒子を含む液体トナーを生成するために追加のキャリヤー液が付加される。例えば、全重量で20%未満。任意に、固体トナー粒子の濃度は、1%と2%の間で与えられる。発明の液体トナーの製造は、任意に、帯電ディレクタ(トナー粒子の全重量で約3%+キャリヤー液の全重量で約0.5%)と、Marcol(登録商標)82(トナー粒子の全重量で約1%)と、そしてTeflon粉末(登録商標)(トナー粒子の全重量で約3%)とを付加することにより完成される。この目的に向く適当な帯電ディレクタの一例は、その開示が参考として本書に組み込まれるAlmogに対して認められた米国特許第5,346,796号に記載されている。
【0036】
トナーの効果
上述のように、別法の在来液体トナーへの架橋共重合体の付加が液体静電印刷におけるバックグラウンドを軽減させるのに役立つということは、実験を通して究明されている。さらに、液体トナーへの添加物としてシリカを使用することも、バックグラウンドを軽減し得る。また、別法の在来液体トナーへ架橋共重合体とシリカを一緒に付加することが架橋共重合体又はシリカだけを付加することに比べてLEP印刷におけるバックグラウンドの強力な軽減をもたらすということも、実験に基づく試験によって示されている。
【0037】
バックグラウンドが軽減されるかどうかを試験するために、黒色の頁が複数回、白色トナー画像でプリントされた。白色でプリントされていないはずの黒色領域における光学濃度が測定された。これは、バックグラウンド上の白色トナーの極めて鋭敏な測定である。
【0038】
下表Iは、この領域で実施された実験の結果を披露するものである。上部の行は使用添加物を表し、そして左側の列は、黒色バックグラウンド上に白色画像がプリントされた回数を表す。表中のデータは同一の開始光学濃度に標準化される。
【0039】
【表1】

【0040】
表Iに挙げられた結果をもたらした実験は、下記の架橋共重合体及び/又はシリカ添加物を使用する各種のトナー調合物を用いて生成されたバックグラウンドを測定した:
1.ARX−15 − 架橋アルキルアクリラートとエチレングリコールジメタクリラートの共重合体を96%〜99.9%+シリカを0.1%−4%
2.MBK−15 − 架橋メチルメタクリラートの共重合体
3.OP−278 − ポリメチルメタクリラートマトリックスに包埋されたブチルアクリラートとスチレンの共重合体のAcematt(登録商標)ビーズ
4.KSP−100 − ビニルジメチコンとメチコンシルシクロキサン(silsequloxane)の架橋(架橋シリコーン)、及び
5.Aerosil(登録商標)R7200(疎水性シリカ)。
【0041】
上記の添加物の材料から、下記の種々のトナー調合物がテスト用に作製された:
1.比較トナー − 上記添加物を何ら含まず
2.ARX−15 − 全トナー粒子重量の10%含有
3.MBX−15 − 10%
4.MBX−15 − 10% + R7200(R7200は4%のMBX−15である)
5.OP−278 − 10%
6.OP−278 − 10% + R7200(4%のOP−278)
7.KSP−100 − 10%
8.KSP−100 − 10% + R7200(4%のKSP−100)、及び
9.R7200 − シリカ添加物のみ含有、全顔料粒子重量の0.4%。
【0042】
チャートでの当該データのグラフ表示を図1に描写する。表I及び図1から分かることは、添加物としてARX−15を含むトナーを使用する基板の光学濃度は、比較トナーほど急に落ちなかったということである。換言すれば、従来の液体トナーへのARX−15の付加は、在来トナーによる印刷に比較してバックグラウンドを軽減する(ARX−15の光学濃度の測定値を参照カラムと比較せよ)。データがまた示していることは、架橋共重合体の付加をせずに添加物としてシリカを使用することもまた、在来トナーと比較してバックグラウンドを軽減するということである。要するに、あらゆる場合において添加物としてシリカを使用することは、LEP印刷中にバックグラウンドの軽減強化を実現する。しかしながら、この軽減は、シリカが架橋共重合体ARX−15と組み合わされたときほどに良好でなかった。
【0043】
バックグラウンドの軽減を実現する実際のメカニズムは明確に知られていないが、バックグラウンドを低減するというメカニズムは、遊離した顔料及び/又は樹脂粒子と架橋共重合体のマトリックスとの相互作用を含むと思われる。本発明の幾つかの例示的実施形態において、アクリル酸部分を含んでいる架橋共重合体が使用される。Nucrel(登録商標)699のようなバインダー樹脂はエチレンとアクリル酸との共重合体に基づいているため、架橋共重合体におけるそのような部分の存在が追加物質と樹脂の和合性を改善するものと思われる。勿論、トナーの調合にどちらの樹脂が用いられようと、様々な追加物質がそれらの和合性に基づいて選択され得る。例えば、アルコール、グリコール及びアミンをベースとした添加物物質も、使用されている樹脂によっては適当であり得よう。
【0044】
さらに、追加物質、架橋共重合体、のマトリックスはキャリヤー液中に浸漬すると膨潤することが実験的に知られている。それ故、遊離顔料及び樹脂粒子が膨潤した重合体マトリックス中への吸収によってそれらの自由浮遊状態から解かれるものと思われる。ある意味で、遊離した粒子がマトリックスに「捕捉状態」になる。
【0045】
たとえKSP100の材料の割合が高いときに膨潤するにしても(下表II参照)、当分野で従来使用されるトナーを利用するLEP印刷においてバックグラウンドを軽減するためには有効ではないと思われる。これは、KSP100が、エチレンとアクリル酸の共重合体に基づくバインダーに対して高い親和力を示さないシリコーンの重合体をベースとしているという事実に起因し得る。また、KSP100のマトリックスは、それが膨潤した後で遊離粒子を捕捉するのに都合よい大きさに成形された構造を示さないこともあり得る。OP278に言及すると、その性能不足は、それが、これまたバインダー樹脂と和合性でないポリエチレンを含むという事実に起因するものと思われる。
【0046】
表IIは、60℃におけるIsopar−L(登録商標)にそれぞれ特定の添加物を含んでいるトナー粒子各々の、膨潤パーセントの実験中に得られた測定値を列挙する。膨潤パーセントのグラフ表示は、図2として含まれる。
【0047】
【表2】

【0048】
この実験の結果は、種々の架橋共重合体の添加物とLEP印刷におけるバックグラウンドの軽減に関連してなされるある種の一般化を可能にする。先ず、シリカの付加が必ずしもKSP100及びOP278のマトリックスの膨潤を増進しないことが分かる。しかしながら、それが、ARX−15に関連した物質である、MBX−15のマトリックスの膨潤を増進するようである。実験に使用されたARX−15は、既にシリカの添加物を含んでいたので、シリカを含まないARX−15の膨潤に関する結果はこの時には得られない。ARX−15の膨潤特性は、それらの類似性により、MBX−15であるようにシリカによって高められることが推定される。
【0049】
バックグラウンド軽減データと連携して膨潤に関して得られたデータに基づくと、遊離した粒子を捕捉するのに最適である一定の膨潤マトリックスサイズがあり得るらしい。例えば、MBX−15が遊離した粒子を捕捉するとは見えず、そしてKSP100又はOP278のどちらも捕捉しなかったが、ARX−15は効果があった。本発明の例示的実施形態において、当該添加物は、その予想される膨潤マトリックサイズ、遊離した粒子を捕捉するのに効果的なサイズに基づいて選択される。
【0050】
バックグラウンドの軽減に向く理想的なマトリックスサイズに関するさらに進んだ実験は、架橋共重合体及び/又はシリカを含んでいる液体トナーの最適調合をおそらく明らかにするであろうが、しかしながら、従来の液体トナーへのARX−15及びシリカの付加が、求められるバックグラウンド軽減効果をもたらすことは実験を通して究明されている。その他の架橋共重合体は、この応用に適していると考えられるが、しかしながら、それらは今回の実験過程には含まれなかった。ARX−15と同じ膨潤マトリックスプロファイルを呈する(例えば、80%又は90%を上回る膨潤性を有する)その他の架橋共重合体は、特に、シリカと連結して且つその膨潤マトリックスが当該樹脂に対する化学的親和力を有するという条件で使用される場合は、実践的に有効であろう。
【0051】
遊離した粒子を捕捉する膨潤された架橋共重合体の能力に加えて、シリカは、それらの粒子と相互作用してそれらをトナーにおける自由浮遊状態から取り除くと考えられる。表Iのデータを参照すると、添加物としてのシリカだけがLEP印刷においてバックグラウンドを軽減するように作用すると見ることができる。それ故、また、考えられることは、在来の液体トナーに対する添加物としてのシリカはLEP印刷におけるバックグラウンドレベルを改善するのに有効であろうということである。
【0052】
さらに、実験結果は、シリカが、ARX−15の密接な相対物であるMBK−15を含む特定の架橋共重合体の膨潤特性を高めることを示している。換言すれば、ARX−15のような架橋共重合体を含んでいるトナー調合物へのシリカの付加は、バックグラウンドプリントを軽減するのに役立つ相乗効果をもたらすらしい。この相乗作用は、遊離した粒子が架橋共重合体の膨潤マトリックス中へ吸収されるという観察と、一定の架橋共重合体の膨潤性を高めるシリカの能力に、直接関係付けられると推定される。
【0053】
比較として、Nucrel 699が約75%そしてAC−5120が98%膨潤することが観測された。
【0054】
また、注目されたことは、シリカ及び/又は架橋共重合体を使って作製された液体トナーは、従来の液体トナーに比較して改善された剥がれ、引掻き、剥げ落ち及び摩滅耐性を示すということである。
【0055】
トナー材料の利用
実際には、プリント品質は、ARX−15のような、架橋共重合体及び/又は添加物としてのシリカを含んでいるトナー調合物を用いることによって改善される。改善は、(膨潤に関して幾つかの架橋共重合体を支援し且つ/又は顔料を捕捉する)シリカと架橋共重合体間の可能性のある相乗効果によって高められるものと思われる。さらに、ただシリカだけでもLEP印刷におけるバックグラウンドを軽減できることが論証された。
【0056】
本発明の例示的実施形態において、少なくとも架橋共重合体の添加物を含んでいる液体トナーがLEPの機械に装填される。さらに又はあるいは、その液体トナーはシリカを含有する。印刷は従来の液体トナーを用いるやり方で実行され、バックグラウンドが軽減されたよりきれいな画像を生ずる。
【0057】
本発明は、実施例の方法で提供され且つ発明の範囲を限定するべく意図されていないその実施形態の詳細説明を用いて記述されてきた。例えば、バインダー樹脂とキャリヤー液の具体例は与えられるが、当分野で知られているその他のものを使用することができる。加えて、本発明は、この出願に具体的に記述されたもの及び当分野において知られているものを含む、種々の顔料と共に使用することができる。記述された実施形態は、その全てが本発明の全ての実施形態に必ずしも必要とされない様々な特徴を包含する。本発明の幾つかの実施形態は、特徴の幾つか又は特徴の可能な組合せのみを利用している。記述されている本発明の実施形態及び記述された実施形態に言及された種々の特徴の組合せを包含する本発明の実施形態のバリエーションが当業者に想到されるであろう。理解されるべきは、バインダー樹脂又は顔料のいずれか、又はその両方と和合性である特定の添加物が使用されるということである。本書に記述されたものの他にその他の添加物も、本発明を実施するために、使用されるバインダー樹脂及び顔料に依存して任意に選択される。以下のクレームにおいて使用されるとき、用語「からなる」、「含む」、「有する」及びそれらの活用形は、「含むがそれに限定されない」ことを意味する。また、留意すべきは、当該デバイスは、便宜上男性名詞が使用されているが、男性及び女性の両方に適しているということである。本発明の範囲は以下のクレームによってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】架橋共重合体とシリカの種々の組合せを使用するときのバックグラウンド現出性能の改善に関する実験結果を示すグラフである。
【図2】Isopar−L(登録商標)における種々の架橋共重合体マトリックスの膨潤に関する実験結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体静電印刷において用いられるトナーであって、
キャリヤー液と、
複数のトナー粒子を含み、前記トナー粒子が、
顔料と、
樹脂の混合物を含有し、前記混合物の大部分は少なくとも第一樹脂を含み且つ小部分は少なくとも1つの第二樹脂を含み、前記第二樹脂は、前記顔料に対する前記第一樹脂の親和力より大きい、前記顔料に対する親和力を有しており、その結果、前記トナー粒子から分離した前記キャリヤー液中の遊離した顔料の量は、前記小部分の前記少なくとも1つの第二樹脂が存在しないときに存在したであろう量を超えて低減される、
トナー。
【請求項2】
液体静電印刷において用いられるトナーであって、
キャリヤー液と、
複数のトナー粒子を含み、前記トナー粒子が、
顔料と、
少なくとも2つの樹脂の混合物を含有し、前記混合物の大部分は第一膨潤比を有する少なくとも1つの第一樹脂を含み且つ小部分は第二膨潤比を有する少なくとも1つの第二樹脂を含み、ここで、前記第二樹脂は、少なくとも前記キャリヤー液中で前記第二膨潤比に従って膨潤させられるとき、前記顔料に対する前記第一樹脂の親和力より大きい、前記顔料に対する親和力を有しており、その結果、前記トナー粒子から分離した前記キャリヤー液中の遊離した顔料の量は、前記小部分の前記少なくとも1つの第二樹脂が存在しないときに存在したであろう量を超えて低減される、
トナー。
【請求項3】
液体静電印刷において用いられるトナーであって、
キャリヤー液と、
複数のトナー粒子を含み、前記トナー粒子が、
顔料と、
少なくとも2つの樹脂の混合物を含有し、前記混合物の大部分は少なくとも1つの第一樹脂を含み且つ小部分は前記顔料を捕捉するのに適したマトリックス構造を有する少なくとも1つの第二樹脂を含み、その結果、前記トナー粒子から分離した前記キャリヤー液中の遊離した顔料の量は、前記小部分の前記少なくとも1つの第二樹脂が存在しないときに存在したであろう量を超えて低減される、
トナー。
【請求項4】
液体トナーを作製する方法であって、
少なくともキャリヤー液、樹脂及び重合体を混合して前記キャリヤー液と可塑化された重合体粒子のスラリーを生成するステップと、
架橋共重合体と顔料を前記スラリーに付加するステップと、そして
前記スラリー、前記架橋共重合体及び顔料を粉砕して彩色されたトナー粒子を形成するステップとを包含し、
ここで、前記架橋共重合体は、遊離した樹脂及び顔料粒子のうちの1つ又は両方の量を前記架橋共重合体が付加されなかったなら存在したであろう量より低減する、
方法。
【請求項5】
液体トナーを作製する方法であって、
少なくともキャリヤー液、樹脂及び重合体を混合して前記キャリヤー液と可塑化された重合体粒子のスラリーを生成するステップと、
顔料を前記スラリーに付加するステップと、そして
前記スラリーと前記顔料を粉砕し、且つ粉砕の開始時又は粉砕中に架橋共重合体を付加するステップとを包含し、
ここで、前記架橋共重合体は、遊離した樹脂及び顔料粒子のうちの1つ又は両方の量を前記架橋共重合体が付加されなかったなら存在したであろう量より低減する、
方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−529706(P2009−529706A)
【公表日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558422(P2008−558422)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/006075
【国際公開番号】WO2007/106396
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】