説明

液化ガス供給設備及び液化ガス供給方法

【課題】タンク内に充填された液化ガスを効率良く液体状態のままで外部に供給することができる新規な液化ガス供給設備及び液化ガス供給方法を提供する。
【解決手段】液化ガスLが液体状態で貯留されているメインタンク1と、このメインタンク1に第1の管路2を介して接続されてなるサブタンク3と、一端は上記サブタンク3に接続されてなるとともに他端は上記メインタンク1に接続されてなる第2の管路4と、上記第2の管路4から分岐してなるとともに液化ガスを液体状態で排出する分岐管路17と、を備え、上記メインタンク1,第1の管路2,サブタンク3,第2の管路4,メインタンク1という順序で循環するラインが形成されてなる。上記ラインを介して液化ガスを移送し、第2の管路が冷却された後に、分岐管路から液化ガスLを外部に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の液化ガスを液体状態又は気体状態で外部に供給する液化ガス供給設備及びこの液化ガス供給設備を用いた液化ガス供給方法に関し、特に、例えばLNG(液化天然ガス)等の低温液化ガスを外部に供給するために使用される液化ガス供給設備及び液化ガス供給方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、天然ガスは、従来のガソリンや軽油等の燃料に比べて環境適合性が高いことから、自動車等の燃料として注目を集め、一部の地域では、自動車に天然ガスを供給するガスステーションが建設されている。また、将来においては、事業所の設備における燃料として液化ガスが利用される可能性も高く、液化ガスを液体状態のままで外部に供給する液化ガス供給設備の建設も注目を集めている。例えば、液化ガスが事業所における燃料として利用される場合には、液化ガスを液体状態のままで、タンクローリー等の輸送自動車に配置された輸送タンク内に供給したり、天然ガスを燃料として走行する自動車に液体状態で供給したり、或いは、特定のボンベに天然ガスを供給したりする設備が必要となる。こうした液化ガス供給設備は、例えば、以下に説明する基本的構成を備えているものが多い。この基本的構成は、液化ガスが充填されるタンクと、このタンク内に充填された液化ガスを排出する供給ポートと、上記供給ポートとタンクとを結ぶ管路と、上記管路の中途部に配置されたコンプレッサ等の駆動装置を挙げることができる(特許文献1)。こうした液化ガス供給設備によれば、上記コンプレッサの駆動により、上記タンク内に充填された液化ガスは、上記管路を通って供給ポートから上記輸送タンクやボンベ等に供給される。
【特許文献1】特開平7−49061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記液化ガスは、その種類にも拠るが、沸点が摂氏−30〜−161度程度であり、こうした温度よりも低い温度を維持し得る状態でタンク内に貯留されている。また、こうした液化ガスを輸送する設備にもこうした液化ガスの気化を防止する設備が設けられている。
【0004】
しかしながら、上述した従来の基本的構成に係る液化ガス供給設備によれば、タンク内に充填された液化ガスは上記管路を通過する過程で温度が上昇し、気化する量が多く、輸送自動車等の輸送タンク内やボンベ等に効率良く充填することができない。特に、タンクからの供給開始直後では、気化率も高く、また、温度上昇に伴って気化したガスを外部に放出するとすれば、極めて効率性が悪いばかりではなく、環境にも悪影響を与える危険性が高い。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来の液化ガス供給設備が有する課題を解決するために提案されたものであって、タンク内に充填された液化ガスを効率良く液体状態のままで外部に供給することができる新規な液化ガス供給設備及び液化ガス供給方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するため、第1の発明(請求項1記載の発明)は、液化ガス供給設備に係るものであり、液化ガスが液体状態で貯留されているメインタンクと、このメインタンクに第1の管路を介して接続されてなるサブタンクと、一端は上記サブタンクに接続されてなるとともに他端は上記メインタンクに接続されてなる第2の管路と、上記第2の管路から分岐してなるとともに液化ガスを液体状態で排出する分岐管路と、を備え、上記メインタンク,第1の管路,サブタンク,第2の管路,メインタンクという順序で循環するラインが形成されてなることを特徴とするものである。
【0007】
なお、上記液化ガスが貯留されるメインタンクは、貯留された液化ガスが気化することがないよう保冷手段ないしは冷却手段を備えてなるものであり、同様にサブタンクにも所定の冷却手段を備えている。そして、この第1の発明においては、メインタンクに貯留された液化ガスは、第1の管路を介してサブタンクに供給され、このサブタンクに貯留された液化ガスは、第2の管路を介して再度メインタンクに供給されるというラインを循環する。こうした液化ガスの循環により、上記第1及び第2の管路は冷却される。そして、これら第1及び第2の管路が所定の温度まで冷却された場合には、上記分岐管路を介して、外部に液体状態で供給される。なお、上述したラインにより液化ガスを循環させる手段は、必ずしもメインタンクから排出された液化ガスが滞留することなく継続して循環する場合ばかりではなく、メインタンクからサブタンクに供給され、その後サブタンクからメインタンクに供給されるというように、段階を経て循環するものであっても良い。
【0008】
なお、本発明において、液化ガスとは、液化天然ガス(LNG)に限られず、Oガス,Nガス,Arガス,Hガス,Heガス,COガス等の冷却により液化されて保存される低温液化ガスを指す。
【0009】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、上記第1の発明において、前記サブタンクは、間にポンプが配置された第3の管路を介して気化器に接続され、上記気化器は、第4の管路を介して蓄ガス器に接続されてなり、上記蓄ガス器は第5の管路を介してガス供給装置に接続されてなり、上記蓄ガス器に蓄圧されたガスは、第6の管路を介して上記サブタンクに供給可能とされてなることを特徴とするものである。
【0010】
この第2の発明では、液化ガスを液体状態で外部に供給できるばかりではなく、気体状態で外部に供給でき、さらに、蓄ガス器に蓄圧されたガスは、第6の管路を介して上記サブタンクに供給可能とされてなることから、上記第6の管路を介して、気化したガスをサブタンクに充填することにより、上記第2の管路を介して、該サブタンク内に充填された液化ガスをメインタンクに供給することも可能となる。このように、気化したガスの圧力を利用してサブタンク内を加圧することにより、該サブタンク内に貯留された液化ガスを第2の管路を介してメインタンクに供給するために、該第2の管路の中途部にポンプやコンプレッサを配置する必要性がない。
【0011】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、上記第2の発明において、前記メインタンクと前記蓄ガス器とは、第7の管路を介して接続されてなるとともに、この第7の管路は、第8の管路を介して上記サブタンクに接続されてなるとともに、上記第7の管路の中途部には、上記メインタンク又はサブタンク内を減圧する減圧装置が配置されてなることを特徴とするものである。
【0012】
この第3の発明では、上記減圧装置の駆動により、上記サブタンク内が減圧されると、上記メインタンクとサブタンクとの圧力差により、該メインタンクからサブタンクに液化ガスが供給される。また、このサブタンク内に充填された液化ガスを上記第2の管路を介してメインタンクに供給する場合には、上記第6の管路を介してサブタンク内を加圧し、同時に、上記減圧装置の駆動により第7の管路を介してメインタンク内を減圧することにより、サブタンク内に充填された液化ガスは第2の管路を介してメインタンク内に供給される。なお、上記減圧装置は、少なくとも、上流側の管路内や該管路に接続された第1及び/又はサブタンク内を減圧することができるものであれば良く、例えばポンプやコンプレッサ等を挙げることができる。
【0013】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)は、液化ガス供給方法に係るものであって、液化ガスがそれぞれ液体状態で貯留されているメインタンク及びサブタンクを第1の管路を介して接続し、サブタンクとメインタンクとを上記第1の管路とは異なる第2の管路で接続するとともに、該第2の管路には、液化ガスを液体状態で輸送する輸送手段に充填する分岐管路を設け、上記メインタンクから第1の管路、サブタンク、第2の管路を経て再びメインタンクに液化ガスが液体状態で充填されるよう液化ガスが循環するラインを設け、この循環するラインに液化ガスを移送させることにより該ラインの温度を下げた後に、上記分岐管路から液化ガスを液体状態で供給することを特徴とするものである。
【0014】
なお、この発明においても、上記ラインにより液化ガスを循環させる手段は、必ずしもメインタンクから排出された液化ガスが滞留することなく継続して循環する場合ばかりではなく、メインタンクからサブタンクに供給され、その後サブタンクからメインタンクに供給されるというように、段階を経て循環するものであっても良い。
【発明の効果】
【0015】
上記第1及び第4の発明(請求項1及び請求項4記載の発明)では、メインタンクから再びメインタンクに液化ガスが充填されるようにラインが形成され、このラインを利用して液化ガスを循環させることにより、分岐管路以外の管路(第1の管路及び第2の管路)が冷却されることから、上記分岐管路から外部に供給される液化ガスが管路内で気化する可能性を抑制することができ、この結果、タンク内に充填された液化ガスを効率良く液体状態のままで外部に供給することができる。
【0016】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)では、液化ガスを液体状態で外部に供給できるばかりではなく、気体状態で外部に供給することができる。すなわち、この液化ガス供給設備では、液化ガスを液体状態で外部に供給することができるとともに、液化ガスを気体状態で外部に供給することができる。さらに、この第2の発明によれば、蓄ガス器に蓄圧されたガスは、第6の管路を介して上記サブタンクに供給可能とされてなることから、この第6の管路を介して、気化したガス(気体状態の液化ガス)をサブタンクに充填することにより、該サブタンク内を加圧することができる。したがって、このように、サブタンクを加圧することにより、上記第2の管路を介してメインタンク内に液化ガスを供給することができる。このように、気化したガス(気体状態の液化ガス)の圧力を利用してサブタンク内を加圧することにより、該サブタンク内に貯留された液化ガスを第2の管路を介してメインタンクに供給するために、該第2の管路の中途部にポンプやコンプレッサを配置する必要性がない。
【0017】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)では、減圧装置の駆動によりサブタンク内を減圧することにより、メインタンク内に充填された液化ガスを該メインタンクからサブタンク内に充填し、次いで、このサブタンク内を、(上記第2の発明で説明したように)、気化したガスの圧力によって加圧することにより、該サブタンクから第2の管路を介してメインタンク内に充填することができる。すなわち、この第3の発明では、サブタンクの圧力を制御することにより、液化ガスを循環させることができ、メインタンクの圧力を主要に制御するものではないことから、大掛かりな装置を要することなく簡単に制御することができるとともに液化ガスを短時間に循環させる(充填する)ことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。先ず、液化ガス供給設備を詳細に説明し、次いで、この液化ガス供給設備を用いたガス供給方法を説明する。
【0019】
この実施の形態に係る液化ガス供給設備は、本発明を、天然ガス自動車に液化天然ガス(LNG)を気体状態で供給するために使用されるとともに、天然ガスを液体状態で供給するガスステーションに適用したものである。この液化ガス供給設備は、図1に示すように、メインタンク1と、このメインタンク1と第1の管路2を介して接続されたサブタンク3と、このサブタンク3と上記メインタンク1とを接続する第2の管路4とを備えている。上記メインタンク1は、地下に埋設されてなるものであり、内部には液化天然ガスLが収容される収容空間1aが形成されてなるとともに、この液化天然ガスLの沸点よりも低い温度が維持されるように図示しない保冷設備を備えている。また、このメインタンク1には、内部に収容された液化ガスLの液面を検出する第1の液面レベル計5が設けられている。なお、このメインタンク1には、該メインタンク1内に液化ガスLを供給するための第1及び第2の受け入れ管路6,7の先端が挿入されており、それぞれの管路6,7には、第1及び第2の手動開閉弁8,9が設けられている。上記第1の受け入れ管路6は、メインタンク1内の底方向に先端が位置するものであり、上記第2の受け入れ管路7は、メインタンク1内の上方に先端側が位置してなるものであり、液化ガスLをシャワー状に放水することにより、メインタンク1内に存在する気体状の液化ガスを冷却して再び液体状にするものであって、これら第1及び第2の受け入れ管路6,7の何れを利用してメインタンク1内に充填するかは、上記第1及び第2の手動開閉弁8,9の開閉操作により選択的される。なお、上記第1の液面レベル計5や、後述する各電磁バルブ,温度計並びに第1及び第2の駆動装置等は、図示しない制御盤に接続され、所定のプログラムにより自動的に制御されるものである。
【0020】
また、上記メインタンク1とサブタンク3とを接続する第1の管路2は、真空断熱管からなるものであり、中途部には、第1の電磁バルブ10が配置されている。また、上記サブタンク3は、上記メインタンク1の容積よりも小さな容積(液化ガスLの収容空間3a)を有するものであり、第2の液面レベル計11と、圧力計12が設けられている。また、このサブタンク3と上記メインタンク1とは、第2の管路4により接続されており、この第2の管路4の中途部には、温度計14とLNG流量計15とが配置されている。また、この第2の管路4の下流側中途部には、中途部に第2の電磁バルブ16が設けられた第1の分岐管路17の基端が接続され、この第1の分岐管路17の先端は、天然ガス自動車Tに形成されたLNG充填タンクT又は燃料タンクT内に供給する(液体状態の)天然ガス(液化ガス)を供給する流出ポートとされている。そして、上記第2の管路4は、上記サブタンク3に接続されている部位から、上記第1の分岐管路17の基端が接続された部位までは、真空断熱管からなるものであり、上記第1の分岐管路17の基端が接続された部位から、上記メインタンク1に接続された部位までは、通常の管路とされている。なお、この第2の管路4であって、上記第1の分岐管路17の基端が接続された部位より、下流側(メインタンク1側)には、中途部に第3の電磁バルブ18が配置された第2の分岐管路19の基端が接続されている。この第2の分岐管路19は、上記天然ガス自動車Tに形成されたLNG充填タンクT又は燃料タンクT内で発生した(気体状態の)天然ガスを上記メインタンク1内に供給するものであり、先端は流入ポートとされている。そして、上記第2の管路4であって、上記第2の分岐管路19の基端が接続されている部位よりも下流側には、上記天然ガス自動車Tから流入したガスの流量を計測するガス流量計20が設けられている。また、上記第2の管路4の中途部であって、上記第1の分岐管路17の基端が接続されている部位と上記第2の分岐管路19の基端が接続されている部位との間には、第4の電磁バルブ21が配置されている。
【0021】
また、上記サブタンク3には、第3の管路24を介してLNG気化器25が接続されており、この第3の管路24の中途部には、第1の駆動装置(ポンプ)26が配置されている。上記第3の管路24であって、上記サブタンク3から第1の駆動装置26までの部位は、中途部に第5の電磁バルブ27が配置された真空断熱管であり、第1の駆動装置26からLNG気化器25までは通常の管から構成されている。また、上記第1の駆動装置26は、上記サブタンク3内に充填されている液化ガスLをLNG気化器25に送るものであり、該第1の駆動装置26には、内部で液化ガスLが気化することにより発生したガスを排出する第1の排気管路28の基端が接続されている。また、上記LNG気化器25は、上記第1の駆動装置26により送られた液化ガスLを加熱し気化させるものであり、第4の管路29を介して(例えば、4本の)蓄ガス器30に接続されている。これらの蓄ガス器30は、第1ないし第4のガスボンベ30a・・・30dからなるものであり、それぞれには高圧の(気体状の)液化ガスが封入されている。
【0022】
また、上記蓄ガス器30は、第5の管路31を介してCNGディスペンサ32に接続されている。このCNGディスペンサ32は、天然ガス(液化ガス)を燃料として走行する天然ガス(液化ガス)自動車Mの図示しない燃料タンクに気体状態の液化ガスを供給するものであり、装置本体と給ガスノズルとから概略構成されており、上記装置本体には、ガスの供給量(排出量)を測定する測定部や供給量を表示する表示部等が設けられている。
【0023】
そして、上記第4の管路29と上記サブタンク3とは、中途部に第6及び第7の電磁バルブ35,36が配置された第6の管路37を介して接続されている。この第6の管路37は、上記蓄ガス器30に封入された気体状態の液化ガスをサブタンク3内に導くものである。また、上記第5の管路31と前述した第2の管路4とは、第7の管路40により接続されている。なお、この第2の管路4に対する第7の管路の接続部位は、上記第2の分岐管路19とメインタンク1との間である。また、この第7の管路40は、メインタンク1側から上記CNGディスペンサ32側に気体状態の液化ガスを送るものであり、上記メインタンク1からCNGディスペンサ32側にかけて順番に、加湿器43,第8の電磁バルブ44,バッファータンク45,第2の駆動装置(圧縮機)46が配置されている。そして、上記第7の管路40と上記第6の管路37とは第8の管路50により接続されている。この第8の管路50の中途部には、第9の電磁バルブ51が配置されている。また、上記サブタンク4には、該サブタンク4内で気化した液化ガスを上記メインタンク1に排出するとともに、中途部には第9の電磁バルブ53が配置された第2の排気管路52が設けられている。なお、上記第1の駆動装置26に基端が接続された第1の排気管路28の先端は、上記第2の排気管路52の中途部であって、上記第9の電磁バルブ53の配置位置よりもメインタンク1側に接続されている。
【0024】
以下、上述した液化ガス供給設備を用いた液化ガス供給方法について説明する。先ず、上記メインタンク1内に液化ガスLを充填する場合には、上記第1の電磁バルブ10,第3の電磁バルブ18,第4の電磁バルブ21を閉塞する一方、上記第8の電磁バルブ44を開放するとともに、上記第2の駆動装置46を駆動させ、上記第7の管路40を介してメインタンク1内を減圧し、図示しないタンクローリーから図示しない充填装置を用いて、液化ガスLを充填させる。なお、こうしてメインタンク1内に液化ガスLが充填され、液面が所定の高さまで達したことを上記第1の液面レベル計5により検出した場合には、図示しない上記充填装置が停止する。そして、こうしてメインタンク1内に充填・貯留された液化ガスLを、上記天然ガス自動車Tに形成されたLNG充填タンクT又は燃料タンクT内に、供給する場合には、先ず、上記第1の電磁バルブ10,第9の電磁バルブ51を開放する一方、上記第5の電磁バルブ27,第8の電磁バルブ44,第6及び第7の電磁バルブ35,36をそれぞれ閉塞し、上記第2の駆動装置46を駆動させ、上記サブタンク3内を減圧する。なお、このとき、上記第10の電磁バルブ53は開放しておく。こうした動作により、上記メインタンク1内に充填・貯留された液化ガスLは、徐々にサブタンク3内に供給され、それまでサブタンク3内に貯留されていた気体状態の液化ガスは、第2の排気管路52を介してメインタンク1内に流入する。
【0025】
そして、このようにサブタンク3内に液化ガスLが供給され、その液面が所定の位置に達したことが上記第2の液面レベル計11により検出されると、それまで開放されていた第1の電磁バルブ10や第10の電磁バルブ53を閉塞するとともに、第2及び第3の電磁バルブ16,18,第5の電磁バルブ27,第8の電磁バルブ44をそれぞれ閉塞状態で維持する一方、それまで閉塞されていた第6及び第7の電磁バルブ35,36を開放し、且つ第4の電磁バルブ21を開放する。すると、それまでサブタンク3内に貯留されていた液化ガスLは、上記第2の管路4を介してメインタンク1内に流入する。このように、液化ガスLが第2の管路4を介してメインタンク1内に流入することにより、該第2の管路4は冷却される。そして、この第2の管路4が所定の温度となったことが上記温度計14により検出された場合には、それまで開放されていた第4の電磁バルブ21を閉塞するとともに、第2の電磁バルブ16及び第3の電磁バルブ18を開放する。こうした動作により、上記第2の管路4内の液化ガスLは液体状態のまま第1の分岐管路17の先端に形成された流出ポートから、上記天然ガス自動車Tに形成されたLNG充填タンクT又は燃料タンクT内に供給される。このとき、上記LNG充填タンクT又は燃料タンクT内に残存している気体状態の液化ガスは、上記第2の分岐管路19を介してメインタンク1内に流入する。なお、上記LNG充填タンクT又は燃料タンクT内に残存している気体状態の液化ガスは、上記第2の駆動装置46を駆動させるとともに、第8の電磁バルブ44を開放することにより、CNGディスペンサ32側に送っても良い。
【0026】
また、上記CNGディスペンサ32から気体状態の液化ガスを供給する場合には、前述した要領により、メインタンク1内に貯留された液化ガスLをサブタンク3内に充填し、次いで、上記第5の電磁バルブ27を開放し、また、上記第6及び第7の電磁バルブ35,36を開放するとともに、上記第1の駆動装置26を駆動させる。こうした動作により、サブタンク3内の液化ガスLは、液体状態のままで上記第3の管路24を介して上記気化器25内に流入し、この気化器25内で気化された後、上記第4の管路29を介して蓄ガス器30内に圧入される。この状態において、上記CNGディスペンサ32を構成する図示しない給ガスノズルを開放操作することにより、該給ガスノズルの先端から気体状態の液化ガスが、例えば、上記天然ガス(液化ガス)自動車Mの図示しない燃料タンクに供給される。
【0027】
このように、上記実施の形態に係る液化ガス供給設備ないしは液化ガス供給方法では、メインタンク1内に貯留された液化ガスLは、上記第1の管路2を介してサブタンク3に供給され、また、このサブタンク3内に貯留された液化ガスLは、上記第2の管路4を介して再びメインタンク1内に供給されるというように、液化ガスLが循環するラインが形成されていることから、このラインに液化ガスLを供給することにより、該ライン(第2の管路4)を冷却することができ、このような冷却が終了した後に、上記第1の分岐管路17を介して液化ガスLを外部(天然ガス自動車Tに形成されたLNG充填タンクT又は燃料タンクT内)に供給することができる。したがって、冷却されていない管路を介して液化ガスLを外部に供給する場合に比べて、該液化ガスLの気化率を効果的に抑制し、極めて効率良く液体状態のままで供給することができる。
【0028】
特に、上記実施の形態に係る液化ガス供給設備では、液化ガスを移送することにより、予め管路を冷却する手段として、メインタンク1からの排出口と流入口とを接続する循環ライン(管路)を設け、この管路を介して液化ガスを移送することにより冷却するものではなく、上記メインタンク1よりも容積の小さいサブタンク3を構成要素とし、さらに、このサブタンク3内の圧力を低下させたり上昇させたりすることにより制御し、こうした制御により上記第2の管路4の温度を冷却させる構成を採用していることから、より制御が簡単となるとともに短時間で第2の管路4を冷却させることができる。
【0029】
また、上記液化ガス供給設備では、天然ガス自動車Tに形成されたLNG充填タンクT又は燃料タンクT内に残地された気体状態の液化ガスを第2の分岐管路19を介してメインタンク1内に取り込むことができるように構成されていることから、該気体状態の液化ガスを外部に放出することなく有効利用することができるとともに、外部に放出することによる危険性も有効に回避することができる。
【0030】
さらに、上記実施の形態に係る液化ガス供給設備では、サブタンク3内に貯留された液化ガスLを第1の駆動装置26の駆動力によって気化器25側に移送する際、サブタンク3内に蓄ガス器30内に封入された高圧ガスを第6の管路37を介して流入(圧入)する構成を採用していることから、メインタンク1とサブタンク3とをそれぞれ地下に配置し、第1の駆動装置26との間で固有のNPSH(有効吸込みヘッド:Net Positive Suction Head)が確保できない場合であっても、有効に移送することができる。
【0031】
なお、上記実施の形態で説明した液化ガス供給設備では、本発明を構成するサブタンクは単一(サブタンク3)であるが、そのサブタンク3の容量や外部に供給する液化ガスLの供給量(単位時間当たりの需要)に応じて、第2のサブタンク60を、上記(第1の)サブタンク3と並列した状態で配置しても良い。すなわち、このように第1及び第2のサブタンク3,60を構成要素とする場合には、上記第2の管路2の下流側中途部において、二股に分岐させ、分岐させた一方を上記第1のサブタンク3に接続させ、他方を第2のサブタンク60に接続させるとともに、上記第2の管路4の基端側をやはり二股に分岐させ、分岐させた一方を上記第1のサブタンク3に接続させ、他方を第2のサブタンク60に接続させる。また、上記第3の管路27や第2の排気管路52等も同じように二股に分岐させ、第1及び第2のサブタンク3,60を互いに並列状態とする。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施の形態に係る液化ガス供給装置を示すフローシートである。
【符号の説明】
【0033】
1 メインタンク
2 第1の管路
3 (第1の)サブタンク
4 第2の管路
17 第1の分岐管路
26 第1の駆動装置(ポンプ)
31 第5の管路
29 第4の管路
31 第5の管路
37 第6の管路
40 第7の管路
50 第8の管路
L 液化ガス
T,M 天然ガス自動車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスが液体状態で貯留されているメインタンクと、このメインタンクに第1の管路を介して接続されてなるサブタンクと、一端は上記サブタンクに接続されてなるとともに他端は上記メインタンクに接続されてなる第2の管路と、上記第2の管路から分岐してなるとともに液化ガスを液体状態で排出する分岐管路と、を備え、
上記メインタンク,第1の管路,サブタンク,第2の管路,メインタンクという順序で循環するラインが形成されてなることを特徴とする液化ガス供給設備。
【請求項2】
前記サブタンクは、間にポンプが配置された第3の管路を介して気化器に接続され、上記気化器は、第4の管路を介して蓄ガス器に接続されてなり、上記蓄ガス器は第5の管路を介してガス供給装置に接続されてなり、
上記蓄ガス器に蓄圧されたガスは、第6の管路を介して上記サブタンクに供給可能とされてなることを特徴とする請求項1記載の液化ガス供給設備。
【請求項3】
前記メインタンクと前記蓄ガス器とは、第7の管路を介して接続されてなるとともに、この第7の管路は、第8の管路を介して上記サブタンクに接続されてなるとともに、上記第7の管路の中途部には、上記メインタンク又はサブタンク内を減圧する減圧装置が配置されてなることを特徴とする請求項2記載の液化ガス供給設備。
【請求項4】
液化ガスがそれぞれ液体状態で貯留されているメインタンク及びサブタンクを第1の管路を介して接続し、サブタンクとメインタンクとを上記第1の管路とは異なる第2の管路で接続するとともに、該第2の管路には、液化ガスを液体状態で輸送する輸送手段に充填する分岐管路を設け、上記メインタンクから第1の管路、サブタンク、第2の管路を経て再びメインタンクに液化ガスが液体状態で充填されるよう液化ガスが循環するラインを設け、この循環するラインに液化ガスを移送させることにより該ラインの温度を下げた後に、上記分岐管路から液化ガスを液体状態で供給することを特徴とする液化ガス供給方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−9981(P2007−9981A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−189640(P2005−189640)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(504192922)株式会社エヌ・エナジー (2)
【出願人】(505247085)
【Fターム(参考)】