説明

液塗布具

【課題】塗布液を適度の濃さで塗布できる液塗布具を提案する。
【解決手段】多量の塗布液を保持する粗いブラシ部材87Aと、少量の塗布液を保持する細かいブラシ部材87Bとを有し、粗いブラシ部材87Aによって塗布対象毛に対して塗布液を濃く塗布すると共に、細かいブラシ部材87Bによって濃い塗布液を薄める修正操作をするようにしたことにより、塗布対象毛の根元部分に濃くかつ毛先に行くに従って薄まるように塗布液を塗布することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液塗布具に関し、特に毛に化粧液などの塗布液を塗布対象毛に塗布する場合に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、塗布対象毛であるまつ毛に、化粧液であるマスカラを塗布する液塗布具として、中心線芯材にブラシ毛材を植毛したブラシ型のものや、断面円形の棒状シャフトの外周面に多数の横溝を穿設した溝型のものや、櫛歯を多数配列した櫛型のものや、これらを組合せたものが種々提案されている(特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平4−33790号公報
【特許文献2】実公平4−36736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように塗布対象毛に塗布液を塗布しようとする場合、塗布対象毛の部位について、濃く塗布したい部位と、薄く塗布したい部位とがあり、例えばまつ毛の根元にマスカラを濃く塗布すると共に、先端に行くに従って薄くするといったことが簡便にできれば、化粧後の見栄えや化粧くずれの予防などの化粧効果を一段と向上させることができると考えられる。
【0005】
本発明はかかる点を考慮してなされたもので、簡便な操作をするだけで塗布対象毛の部位に対して適度な濃さの塗布液を塗布できるようにした液塗布具を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明においては、太くかつ粗い第1のブラシ部材89A間に多量の塗布液を保持する第1のブラシ部材87Aと、細かい第2のブラシ毛材89B間に少量の塗布液を保持する第2のブラシ部材87Bと、第1のブラシ部材89A及び第2のブラシ部材89Bを手元側部分11から先端側部分13までの間に互いに平行に並ぶように取り付けた枠本体3Xとを具え、塗布対象毛を第1のブラシ部材87Aの第1のブラシ毛材87によってすく動作をしたとき第1のブラシ部材87Aに保持された塗布液を塗布対象毛に濃く塗布すると共に、当該塗布された塗布対象毛を第2のブラシ部材87Bの第2のブラシ毛材89Aによってすく動作をすることにより、塗布対象毛に塗布された塗布液を薄めるように修正動作するようにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、多量の塗布液を保持する粗いブラシ部材と、少量の塗布液を保持する細かいブラシ部材とを有し、粗いブラシ部材によって塗布対象毛に対して塗布液を濃く塗布すると共に、細かいブラシ部材によって濃い塗布液を薄める修正操作をするようにしたことにより、塗布対象毛の根元部分に濃くかつ毛先に行くに従って薄まるように塗布液を塗布できる液塗布具を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】(A)、(B)及び(C)は、第1の実施の形態の櫛部材2、ブラシ部材3及び液塗布具1を示す斜視図である。
【図2】(A)及び(B)は、図1の櫛歯位置におけるA1−A1断面及び櫛歯間位置におけるB1−B1断面を示す断面図である。
【図3】(A)、(B)及び(C)は第2の実施の形態の櫛部材2、ブラシ部材3及び液塗布具31を示す斜視図である。
【図4】(A)及び(B)は、図3の櫛歯位置におけるA2−A2断面及び櫛歯間位置におけるB2−B2断面を示す断面図である。
【図5】(A)、(B)及び(C)は、第3の実施の形態の櫛部材2X、ブラシ部材3及び液塗布具41を示す斜視図である。
【図6】(A)及び(B)は、図5の櫛歯位置におけるA3−A3断面及び櫛歯間位置におけるB3−B3断面を示す断面図である。
【図7】(A)、(B)及び(C)は、第4の実施の形態の櫛部材2、ブラシ部材3及び液塗布具51を示す斜視図である。
【図8】(A)及び(B)は、図7の櫛歯位置におけるA4−A4断面及び櫛歯間位置におけるB4−B4断面を示す断面図である。
【図9】(A)、(B)及び(C)は、第5の実施の形態の三方櫛歯の櫛部材2、ブラシ部材3及び液塗布具61を示す斜視図である。
【図10】(A)及び(B)は、図8の櫛歯位置におけるA5−A5断面及び櫛歯間位置におけるB5−B5断面を示す断面図である。
【図11】(A)及び(B)は、三方櫛歯の変形例(1)の櫛歯位置における断面及び櫛歯間位置における断面を示す断面図である。
【図12】(A)及び(B)は、三方櫛歯の変形例(2)の櫛歯位置における断面及び櫛歯間位置における断面を示す断面図である。
【図13】(A)及び(B)は、三方櫛歯の変形例(3)の櫛歯位置における断面及び櫛歯間位置における断面を示す断面図である。
【図14】(A)、(B)及び(C)は、第6の実施の形態の四方櫛歯70、ブラシ部材3及び液塗布具69を示す斜視図である。
【図15】(A)及び(B)は、図14の櫛歯位置におけるA6−A6断面及び櫛歯間位置におけるB6−B6断面を示す断面図である。
【図16】(A)及び(B)は、四方櫛歯の変形例(1)の櫛歯位置における断面及び櫛歯間位置における断面を示す断面図である。
【図17】(A)及び(B)は、四方櫛歯の変形例(2)の櫛歯位置における断面及び櫛歯間位置における断面を示す断面図である。
【図18】(A)及び(B)は、四方櫛歯の変形例(3)の櫛歯位置における断面及び櫛歯間位置における断面を示す断面図である。
【図19】(A)、(B)、(C)及び(D)は、第7の実施の形態の枠本体3X、ブラシ部材87B、ブラシ部材87A及び液塗布具85を示す斜視図である。
【図20】図19のA8−A8断面を示す断面図である。
【図21】(A)、(B)及び(C)は、第8の実施の形態の櫛部材2、ブラシ部材3及び液塗布具80を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0010】
(1)第1の実施の形態
図1(A)、(B)及び(C)において、1は全体として液塗布具を示し、櫛部材2とブラシ部材3とを有する。
【0011】
櫛部材2は、図1(A)に示すように、手元側端部に設けられた円筒状の連結部10と一体の手元側接合部11から先端方向にほぼ平行に突出する一対の梁12A及び12Bを有し、その先端が先端側接合部13によって互いに接合されている。
【0012】
梁12A及び12Bの下面には、手元側接合部11から先端側接合部13までの間に、多数の櫛歯14が順次所定の間隔を保って下方に突出するように設けられている。
【0013】
各櫛歯14は、図1(C)において櫛歯部分についてA1−A1断面をとって図2(A)に示すように、一対の梁12A及び12Bから下方に行くに従って全体としてほぼU字状を呈するような断面構造を有し、これにより梁12A及び12B間の近傍部分に空洞部15を形成している。
【0014】
かくして櫛部材2は、各櫛歯14の空洞部15と櫛歯14間の隙間17とによって、手元側接合部11から先端側接合部13に至る範囲に空洞空間16を形成している。
【0015】
この櫛部材2の空洞空間16内には、櫛歯14の空洞部15を貫通するように、ブラシ部材3が配設されている(図2(A)及び(B))。
【0016】
ブラシ部材3は、直線状に延長する芯材21に多数の細いブラシ毛材22を植毛した構成を有し、芯材21の両端部が櫛部材2の手元側接合部11と先端側接合部13とに固着され、これによりブラシ毛材22の毛先が櫛歯14間の隙間17内に突出すると共に、梁12A及び12B間に上方に開く天部開口18を通って上方に突出する。
【0017】
この実施の形態の場合、ブラシ部材3のブラシ毛材22の隙間17方向の長さは、ブラシ毛材22の毛先が、櫛歯14間の隙間17に少し突出すると共に、天部開口18から少し外部上方に突出するような長さに選定されている。
【0018】
実際上図1の液塗布具1は、その連結部10の中心孔10Aを介して塗布液容器の塗布液取出孔のキャップを構成するキャップ部材(図示せず)のシャフトに嵌め込まれ、これによりユーザが当該キャップ部材を手に持ってそのシャフトの先端に取付けられた液塗布具1を塗布液容器内に差し込んで液塗布具1を塗布液内に浸したり、引き出したりするように構成されている。
【0019】
以上の構成において、液塗布具1が塗布液容器に差し込まれたとき、櫛部材2の空洞空間16、櫛歯14間の隙間17及びブラシ部材3のブラシ毛材22間に塗布液が浸された状態になる。
【0020】
この状態において、使用者がキャップ部材を手に取って塗布液容器から液塗布具1を引き抜くと、塗布液容器の液取出孔に用意されているしごき部材(通常インナキャップと呼ぶ)によって余分な塗布液がしごき落とされた状態で塗布液容器から外部に取り出されている。
【0021】
このとき、液塗布具1は、櫛部材2の空洞空間16及び櫛歯14間の隙間17に多量の塗布液を保持すると共に、ブラシ部材3のブラシ毛材22間に少量の塗布液を保持した状態になる。
【0022】
そこで、使用者が櫛部材2の櫛歯14の隙間17をまつ毛に触れさせながら当該まつ毛に沿うように液塗布具1を回転させると、櫛歯14間、ないし空洞空間16内に保持されている塗布液がまつ毛に塗り付けられる。
【0023】
このとき空洞空間16は比較的大きい空洞体積をもっているので、まつ毛に対して十分に多量の塗布液を供給することができ、これにより十分濃い塗布液をまつ毛に塗布することができる。
【0024】
この塗布操作の間に、櫛歯14の隙間17にはブラシ部材3のブラシ毛材22の毛先が突出していることにより、このブラシ毛材22は、隙間17を通るまつ毛をすくような動作をする。
【0025】
この結果各ブラシ毛材22はまつ毛を1本ずつ分けると共に、まつ毛に塗布された塗布液を少しづつかき落とすことにより、まつ毛の根元側に濃く、先端に行くに従って薄くなるように、塗布液を修正する。
【0026】
かくして、まつ毛には比較的濃い塗布液が見栄え良く塗布される。
【0027】
かかる化粧操作に続いて、液塗布具1の使用者が、液塗布具1をさらに回転させて天部開口18から突出しているブラシ毛材22をまつ毛に沿うようにすくような操作をすると、ブラシ毛材22はまつ毛に触れた際に、当該まつ毛の先端側部分に付着した濃い塗布液を薄めるような動作をすることにより、まつ毛に付着した塗布液の塗布状態をさらに使用者の好みに応じた状態に修正することができる。
【0028】
また、このような一連の塗布操作において、使用者が液塗布具1を回転している間に櫛部材2の梁12A又は12Bがその長さ方向の各部分が一斉にまつ毛に触れることにより、まつ毛を一斉にほぼ同じ角度にカールさせるような動作をする。
【0029】
以上の構成によれば、櫛歯14及び空洞空間によってまつ毛に十部な量の塗布液を供給できることにより、濃く塗布したい部分、例えば根元部分を濃くすることができると共に、櫛部材2の内部に設けられたブラシ部材3によってまつ毛を一本一本すきながら毛先に行くに従って薄めるように修正することができ、さらに櫛部材2の梁12A又は12Bを用いてまつ毛にカールをつけることができる。
【0030】
このような一連の塗布操作は、利用者が液塗布具1をまつ毛にあてて回転操作するだけで行なえるので、塗布液の塗布及び修正操作を簡単化できる。
【0031】
もちろん念入りに当該塗布操作を繰り返せば、さらに一段と丁寧にまつ毛に対する仕上げ操作をすることができる。
【0032】
このようなまつ毛に対する塗布液の塗布操作は、上まつ毛はもちろんのこと、下まつ毛についてもブラシ部材3を用いることにより、ブラシ毛材22に付着した少量の塗布液を用いてなし得る。
【0033】
(2)第2の実施の形態
図3及び図4は第2の実施の形態を示すもので、図1との対応部分に同一符号を付して示すように、液塗布具31は、櫛部材2の一対の梁12A及び12B上にその長さ方向に所定の間隔を保つように多数の小型櫛歯32が突設している。
【0034】
小型櫛歯32は、下方に設けられている櫛歯14と比較して高さが低くかつ表面積が小さくかつ小型櫛歯32間の隙間33の間隔も狭い値に選定されている。
【0035】
小型櫛歯32には、櫛歯14に形成されている空洞部15のような空洞は設けられておらず、従って順次隣合う小型櫛歯32間に保持される塗布液も一段と少量になるようになされている。
【0036】
以上の構成において、櫛歯14及びその空洞部15を用いて多量に保持された塗布液により濃い塗布をする動作や、空洞空間16内に設けられているブラシ部材3のブラシ毛材22による塗布された塗布液の修正動作や、梁12A及び12Bによるまつ毛のカール動作については図1の液塗布具1の場合と同様である。
【0037】
これに加えて図3の液塗布具31の場合は、まつ毛に対して塗布液を薄く塗布したい場合に、櫛歯14を用いずに小型櫛歯32を用いてまつ毛に触れるような塗布操作をする。
【0038】
このとき小型櫛歯32間に保持されている少量の塗布液が、狭い隙間33からまつ毛に塗布される。
【0039】
上述の構成によれば、各まつ毛に対して少量の塗布液を塗布できることにより、天部開口18から突出しているブラシ毛材22による修正操作と共に、まつ毛1本1本に塗布液を薄く塗布することができる。
【0040】
(3)第3の実施の形態
図5は第3の実施の形態を示すもので、図1との対応部分に同一符号を付して示すように、この場合の液塗布具41は、櫛歯14を支持する梁の構造が図1の場合と相違している。
【0041】
図5の場合、手元側接合部11から先端側接合部13の間に順次配設された櫛歯14が1本の梁12Cと一体に形成されている。
【0042】
この梁12Cは図6に示すように、櫛歯14に形成された空洞部15の底部を貫通するように手元側接合部11と先端側接合部13間に延長しており、その両端が手元側接合部11及び先端側接合部13に固着されている。
【0043】
かくして櫛部材2Xは、図1の場合のように、各櫛歯14の上端部に隙間17を横切るような一対の梁12A及び12Bが設けられていないことにより、櫛歯14の空洞部15によって形成されている空洞空間16内に保持される多量の塗布液を、梁12A及び12Bがない分広く上方に開いている天部開口18から容易にまつ毛に供給できるようになされている。
【0044】
以上の構成において、液塗布具41は、使用者が回転操作をしたとき、櫛歯14による濃い塗布液の塗布動作と、空洞空間16内に設けられているブラシ部材3による隙間17内の修正動作について、図1の液塗布具1と同様の動作をする。
【0045】
これに対して、図5の場合、液塗布具41の梁12Cは、当該櫛歯14による塗布液の塗布動作時に隙間17を通る際にまつ毛に一斉に当接することによりまつ毛をカールさせるような動作をする。
【0046】
これに加えて液塗布具41は、櫛部材2Xを半回転させた状態でまつ毛に接触させると、櫛部材12Xの上端の天部開口18が大きく開かれていることにより、空洞空間16内に保持されている多量の塗布液が抵抗なくまつ毛に塗布される。
【0047】
かくして液塗布具41によれば、まつ毛への根元に塗布液を濃く塗り付けたい場合に、天部開口18を直接にまつ毛の根元に触れさせることにより空洞空間16内に保持されている塗布液をまつ毛の根元に濃く塗布することができる。
【0048】
この場合においても天部開口18から上方に突出しているブラシ毛材22が各まつ毛に一本一本すくように接触動作するので、濃く塗布された塗布液を部分的に溜まらせることなく毛先に行くに従って薄く均一化させるように修正動作する。
【0049】
かくして図5の構成によれば、濃い塗布液を容易に見栄え良く塗布することができる。
【0050】
(4)第4の実施の形態
図7は第4の実施の形態を示すもので、図1との対応部分に同一符号化を付して示すように、図1の場合には一対の梁12A及び12Bが櫛歯14の上部に設けられているのに対して、図7の場合には、図8(A)に示すように、櫛歯14の上端部において、空洞部15に面する内側部分に櫛歯14に食い込ませるように形成した構成を有する。
【0051】
この結果、手元側接合部11と先端側接合部13との間に順次配列された櫛歯14は、一対の梁12AX及び12BXの両外側に突出するように形成されている。
【0052】
以上の構成において、液塗布具51の櫛歯14をまつ毛に接触させながら回転させると、櫛歯14の隙間17及び空洞部15に保持された多量の塗布液が、隙間17からまつ毛に塗布される点は図1の場合と同様であるが、さらに液塗布具51を半回転近くまで回転させて櫛歯14の上部がまつ毛に触れた状態になると、梁12AX及び12BXがまつ毛に対してカールする動作をする。
【0053】
かくして図7の構成によれば、液塗布具51を回転操作することにより、櫛歯14による濃い塗布液の塗布動作及びブラシ部材3のブラシ毛材22による修正動作と、梁12AX及び12BXによるカール動作とを円滑に行うことができるような液塗布具を実現できる。
【0054】
(5)第5の実施の形態
図9は、第5の実施の形態を示すもので、図1との対応部分に同一符号を付して示すように、液塗布具61は櫛部材2として図9(A)に示すように、手元側接合部11と先端側接合部13との間に順次多数の三方櫛歯62を配設した構成を有する。
【0055】
三方櫛歯62は図10(A)に示すように、ほぼ円形の空洞部63の周囲にほぼ120度の角間隔を保って3枚のほぼ半楕円形状の櫛歯片64を三方に突出させた構成を有する。
【0056】
3枚の櫛歯片64の内側端部は、手元側接合部11及び先端側接合部13間に設けられた3本の断面矩形の梁65A、65B及び65Cに固着され、これにより多数の三方櫛歯62の中心部に、ブラシ部材3を挿通する空洞空間66が形成されている。
【0057】
かくして三方櫛歯62は三方に突出する3枚の櫛歯片64間において梁65A、65B及び65Cに固着される部分が、空洞部63の周囲を囲んだ構造を形成すると共に、空洞空間66を挿通するブラシ部材3のブラシ毛材22の毛先が、図10(B)に示すように、隣合う三方櫛歯62間の隙間67において、梁65A、65B及び65Cより外側に突出する。
【0058】
この実施の形態の場合、ブラシ毛材22の長さは、芯材21から梁65A、65B及び65Cまでの距離より長く、かつ櫛歯片64の先端部分より短い値に選定されている。
【0059】
以上の構成において、液塗布具61を塗布液容器に浸して引き抜いたとき、空洞空間66ないし隣合う三方櫛歯62間の隙間67に多量の塗布液を保持している。
【0060】
従って液塗布具61の使用者は、三方櫛歯62の3枚の櫛歯片64をまつ毛に接触させながら回転させれば、塗布液が三方櫛歯62間の隙間67から当該三方櫛歯62の3枚の櫛歯片64によってまつ毛に塗り付けられる。
【0061】
これと同時に、三方櫛歯62の櫛歯片64間の隙間67に突出しているブラシ毛材22がまつ毛に塗布された濃い塗布液を液塗布具61の回転と共に毛先に行くに従って薄めるように修正動作する。
【0062】
以上の構成の液塗布具61によれば、使用者が当該液塗布具61をまつ毛に対して回転させながら塗布操作をすれば、濃い塗布液がまつ毛に塗布されると共にブラシ部材3のブラシ毛材22によってまつ毛に塗布された塗布液の修正動作を行うと共に、3枚の櫛歯片64間にある梁65A、65B及び65Cによってまつ毛に対するカール動作をする。
【0063】
よって使用者が単純に回転操作をするだけで、まつ毛に対して濃い塗布液の塗布及び修正並びにカール付与を行うことができる。
【0064】
上述の第5の実施の形態については、図11ないし図14に示すような変形を加えても良い。
【0065】
図11(A)及び(B)の場合は、図10(A)及び(B)との対応部分に同一符号を付して示すように、図10の梁65A、65B及び65Cに対応してその構成を変更したものである。
【0066】
すなわち、図11の場合は、手元側接合部11及び先端側接合部13間に3枚の板状の梁65AX、65BX及び65CXを設け、当該梁の外表面に3枚の半楕円形状の櫛歯片64Xを固着する。
【0067】
このようにすれば、梁65AX、65BX及び65CXの内側に形成される空洞空間66Xが、梁65AX、65BX及び65CX間において外側に開放される(図10の場合は周囲が閉じられている)ので、この分空洞空間66Xに対する塗布液の導入や外部への供給が一段と容易になる。
【0068】
かくして図11の構成によれば、一段と多量の塗布液を容易にまつ毛に塗布することができる。
【0069】
図12の場合は、ブラシ部材3の芯材21を中心としてその周囲に断面三角形状の3本の梁65AY、65BY及び65CYがほぼ120度の角間隔を保つように配設されて、各梁65AY、65BY及び65CYの外側表面に、それぞれ扇形形状の櫛歯片64Yが固着されており、これらの構成部分が図11の場合と相違する。
【0070】
以上の構成において、手元側接合部11及び先端側接合部13間に設けられた3本の梁65AY、65BY及び65CY上に順次配列された多数の櫛歯片64Yの内側には、梁65AY、65BY及び65CYによって囲まれた空洞空間66Yが形成され、当該空洞空間66Yにブラシ部材3が配設されていることにより、当該空洞空間66Yと隣接する櫛歯片相互間とに多量の塗布液を保持できる。
【0071】
これに加えて図12の場合は、梁65AY、65BY及び65CYが断面三角形状をもっていることにより、隣合う梁の間隔が図11の場合より広くなることにより、ブラシ部材3のブラシ毛材22が櫛歯片64Y間に広い範囲に突出する。
【0072】
かくして図12の構成によれば、梁65AY〜65CY間と櫛歯片64Y間に保持された多量の塗布液をまつ毛に濃く塗布できると共に、当該塗布された濃い塗布液に対するブラシ毛材22による修整操作が一段とやり易くなる。
【0073】
図13の場合は、図12の扇形形状の櫛歯片64Yの形状を、細長い楕円形状に置き換えたと同様の櫛歯片64Zを、断面三角形状の3本の梁65AZ、65BZ及び65CZの外側面に固着した構成を有する。
【0074】
図13の構成によれば、3本の梁65AZ、65BZ及び65CZにより囲まれた空洞空間66Zと、順次梁65AZ、65BZ及び65CZ上に配設された櫛歯片64Z間に保持された多量の塗布液を、隣合う梁にそれぞれ固着された櫛歯片64Z間の隙間が広く開いている(各櫛歯片が細長い形状をもっているので)ことにより、容易にまつ毛に濃く塗布することができる。
【0075】
これに加えて櫛歯片64Z間の広い隙間から外部に突出できるブラシ毛材22の範囲が広くなることにより、まつ毛に塗布された濃い塗布液の修正操作を一段と容易になし得る。
【0076】
(6)第6の実施の形態
図14(A)、(B)及び(C)は第6の実施の形態を示すもので、液塗布具69は、図9(A)、(B)及び(C)との対応部分に同一符号を付して示すように、手元側接合部11及び先端側接合部13との間に順次所定の間隔を保つように配設された多数の四方櫛歯70を有し、四方櫛歯70は、図15(A)に示すように、中心部に断面円形形状の空洞部71を有すると共に、円周方向にほぼ90度の角間隔を保って4枚の櫛歯片72を配設した構成を有する。
【0077】
手元側接合部11及び先端側接合部13間には、断面三角形状の4本の梁73A、73B、73C及び73Dが、図15(B)に示すように正方形状の角位置を通るように互いに平行に設けられ、各梁73A、73B、73C及び73Dに互いに隣合う櫛歯片72の内側端部が一体に固着され、これにより四方櫛歯70の中心部分に空洞部71が形成されている。
【0078】
かくして手元側接合部11及び先端側接合部13間に配設された多数の四方櫛歯70の空洞部71によってブラシ部材3を配設する空洞空間74が形成される。
【0079】
以上の構成において、液塗布具69を塗布液容器から引き出したとき、空洞空間74及び隣合う四方櫛歯72間の隙間76に多量の塗布液が保持され、これにより使用者が液塗布具71をまつ毛に接触させて回転することにより、濃い塗布液をまつ毛に塗布することができる。
【0080】
これと同時に液塗布具69の回転動作に応じて4枚の櫛歯片72間に突出したブラシ毛材22の毛先によってまつ毛に塗布された濃い塗布液が先端に行くに従って薄くなるように修正され、これにより回転操作するだけで濃い塗布液の塗布動作と、当該濃い塗布液を薄める修正操作とを簡便になし得る。
【0081】
かくするにつき、使用者は、数多くの櫛歯片、すなわちこの場合4枚の櫛歯片72のいずれを使っても塗布操作をすることができることにより、取扱いが一段と便利になる。
【0082】
上述の第6の実施の形態については、図16ないし図18に示すような変形を加えても良い。
【0083】
図16(A)及び(B)は、四方櫛歯の第1の変形例を示すもので、図11に対応するように、4枚の半楕円形状の櫛歯片72Xが、空洞空間74Xを取り囲むように設けられた板状の梁73AX、73BX、73CX及び73DXの外側表面に固着されている。
【0084】
また図17(A)及び(B)は、四方櫛歯の第2の変形例で、図12と対応するように、4枚の扇形形状の櫛歯片72Yが断面三角形状の梁73AY、73BY、73CY及び73DYの外側面に固着されている。
【0085】
図18(A)及び(B)は、四方櫛歯の第3の変形例で、図13と対応するように、断面三角形状の梁73AZ、73BZ、73CZ及び73DZの外側表面に細長い半楕円形状の櫛歯片72Zが固着されている。
【0086】
かくして図16〜図18の構成によれば、図11〜図13において三方櫛歯について上述したと同様の作用効果を、四方櫛歯についても得ることができる。
【0087】
(7)第7の実施の形態
図19は第7の実施の形態を示すもので、液塗布具85は、手元側接合部11と先端側接合部13とを互いに平行に延長する一対の梁86A及び86Bによって一体に結合した枠本体3Xを有し、図20に示すように、梁86A及び86B間に2本のブラシ部材87A及び87Bが設けられている。
【0088】
一方のブラシ部材87Aは、図19(C)に示すように、芯材88A上にその延長方向に粗い間隔で、比較的太くかつ毛足が長いブラシ毛材89Aを植えつけた構成を有し、ブラシ毛材87Aの芯材88Aがほぼ梁86A及び86B間に位置するように、両端を手元側接合部11及び先端側接合部13に設けられた取付孔90Aに取り付けられている。
【0089】
かくして液塗布具85は、図20に示すように、枠体3Xを構成する一対の梁86A及び86Bの下方及び上方に、ブラシ部材87Aの粗くかつ太くかつ長いブラシ毛材89Aの毛先を突出させた構成を有する。
【0090】
他方のブラシ部材87Bは、図19(B)に示すように、芯材88Bに対してその延長方向に細かい間隔で、比較的細くかつ短いブラシ毛材89Bを植えつけたような構成を有する。
【0091】
ブラシ部材87Bの芯材88Bは、ブラシ部材87Aより上側位置において、手元側接合部11及び先端側接合部13に設けられた取付孔90Bに両端を差し込むことにより、梁86A及び86Bより上側位置において、ブラシ毛材89Bの毛先がブラシ部材87Aのブラシ毛材89Aの毛先と一緒に枠本体3Xの上方に突出するように構成されている。
【0092】
以上の構成において、液塗布具85を容器内の塗布液から引き抜いたとき、間隔が粗くかつ太くかつ毛足が長いブラシ毛材89Aを有するブラシ部材87Aと梁86A及び86Bとの間に多量な塗布液が保持された状態になっている。
【0093】
従って使用者は、液塗布具85を粗くかつ太いブラシ毛材89Aによって塗布対象毛であるまつ毛をすくように回転させながら塗布操作をすることにより、多量の塗布液をまつ毛に塗布する。
【0094】
この状態において細くかつ短いブラシ毛材89Bを有するブラシ部材87Bには、各ブラシ毛材89Bに付着することによって少量の塗布液が保持された状態にあるので、使用者は液塗布具85を回転させてブラシ部材87Bによってまつ毛をすくような操作をすれば、まつ毛の先端部分の塗布液を薄くするような修正操作をすることができる。
【0095】
これに加えて液塗布具85の梁86A又は86Bをまつ毛に触れさせることにより、まつ毛にカールを与えることができる。
【0096】
(8)第8の実施の形態
図21(A)、(B)及び(C)は第8の実施の形態を示すもので、図1(A)、(B)及び(C)との対応部分に同一符号を付して示すように、この場合の液塗布具80のブラシ部材3は、図21(B)に示すように、芯材21の先端に小ブラシ81が設けられており、この小ブラシ81が櫛部材2の先端側接合部13に設けられた貫通孔を通って当該先端側接合部13より先端方向に突出するように設けられている。
【0097】
小ブラシ81は櫛部材2の櫛歯14に対応して形成されたブラシ本体82のブラシ毛材22と比較して、十分に短い毛足のブラシ毛材22Xを有する。
【0098】
以上の構成の液塗布具80において、櫛部材2の櫛歯14及びブラシ本体82については、図1について上述したと同様の作用効果を得ることができることに加えて、液塗布具80の場合は、先端側接合部13から外部に突出している小ブラシ81のブラシ毛材22Xが、短い毛足でまつ毛に接触することにより極く少量の塗布液を含んだ状態でまつ毛をすくような動作をする。
【0099】
以上の構成によれば、液塗布具80は、図1について上述したと同様にして櫛歯14及びブラシ部材3のブラシ本体82によってまつ毛に対して多量の塗布液を塗布できると共にその塗布状態を修正できることに加えて、小ブラシ81によって例えば目尻や下まつ毛のような塗布対象毛のうちでも微細部分についてさらに細かい塗布液の修正を行うことができる。
【0100】
かくして液塗布具80によって、使用者が望む多様な塗布動作を行うことができる。
【0101】
なお、図21の場合は、小ブラシ81を図1の第1の実施の形態の液塗布具1に適用した場合と同様の構成として述べたが、その他の実施の形態、すなわち図3の第2の実施の形態ないし図19の第7の実施の形態に適用しても、同様の作用効果が得られる液塗布具を実現できる。
【0102】
(9)他の実施の形態
上述の実施の形態においては、塗布対象毛としてまつ毛にマスカラを塗布する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば毛髪や眉毛に毛染め液を塗布する場合など、要するに、人の毛に塗布液を塗布するための液塗布具に広く適用し得る。
【0103】
また、図9及び図14においては、3枚及び4枚の櫛歯片64及び72を用いた実施の形態を述べたが、櫛歯片の枚数はこれに限らず5枚以上にしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、塗布対象毛に多量の塗布液を塗布する場合に適用できる。
【符号の説明】
【0105】
1、31、41、51、61、69、80、85……液塗布具、2……櫛部材、3……ブラシ部材、10……連結部、11……毛元側接合部、12A、12B、12C、12AX、12BX、65A〜65C、65AX〜65CX、65AY〜65CY、65AZ〜65CZ、73A〜73D、73AX〜73DX、73AY〜73DY、73AZ〜73DZ、86A、86B……梁、13……先端側接合部、14……櫛歯、15、63、71……空洞部、16、66、66X、66Y、66Z、74、74X、74Y、74Z……空洞空間、17、67、76……隙間、18……天部開口、21……芯材、22、87A、87B……ブラシ毛材、32……小型櫛歯、33……隙間、62……三方櫛歯、64、64X、64Y、64Z、72、72X、72Y、72Z……櫛歯片、70……四方櫛歯、81……小ブラシ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太くかつ粗い第1のブラシ毛材間に多量の塗布液を保持する第1のブラシ部材と、
細かい第2のブラシ毛材間に少量の塗布液を保持する第2のブラシ部材と、
上記第1のブラシ部材及び上記第2のブラシ部材を手元側部分から先端側部分までの間に互いに平行に並ぶように取り付けた枠本体と
を具え、塗布対象毛を上記第1のブラシ部材の上記第1のブラシ毛材によってすく動作をしたとき上記第1のブラシ部材に保持された上記塗布液を上記塗布対象毛に濃く塗布すると共に、当該塗布された上記塗布対象毛を上記第2のブラシ部材の上記第2のブラシ毛材によってすく動作をすることにより、上記塗布対象毛に塗布された塗布液を薄めるように修正動作する
ことを特徴とする液塗布具。
【請求項2】
上記第1のブラシ部材及び上記第2のブラシ部材と平行に梁を設け、当該梁によって上記塗布対象毛に対してカールを付与する
ことを特徴とする請求項1に記載の液塗布具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2012−61370(P2012−61370A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−458(P2012−458)
【出願日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【分割の表示】特願2005−312997(P2005−312997)の分割
【原出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(594190884)東京パーツ株式会社 (39)