説明

液晶用バックライト

【課題】導光板の全方向への移動と内部への埃の侵入を防ぐことができる液晶用バックライトを提供すること。
【解決手段】矩形平板状の金属シャーシ2Aと該金属シャーシ2Aの周囲を囲むよう配置される矩形型枠状の金属シャーシ2Bとで構成される収納ケース2内に、矩形板状の導光板3とこれに重ねられるアウタレンズ4及び前記導光板3の入光面に対向配置される光源ブロック5を収容して成る液晶用バックライト1において、硬さと厚さが異なる矩形枠状の2種のクッション6A,6Bを重合して成る2層構造のクッション材6を収納ケース2の内周に沿って配置する。又、クッション材6を構成するクッション6A,6Bの厚さの比率t1:t2を6.5:3.5〜7.5:2.5とし、硬さを示す25%圧縮荷重をクッション6Aについては0.006〜0.01kg/cm、クッション6Bについては0.06〜0.1kg/cmとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッジライト方式を採用する液晶用バックライトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)は、薄型、軽量で省電力であることから携帯電話やパソコン(パーソナルコンピュータ)等の画像表示装置として広く使用されているが、この液晶表示装置は自発光型でないために照明手段を必要とする。一般に液晶表示装置の照明手段としては、バックライトと称される面状照明装置が使用されており、その光源としてLED(発光ダイオード)が使用されている。
【0003】
ところで、バックライトの高輝度化を図るために多数のLEDを使用すると、LEDからの発熱量が多くなって発光効率が低下するという問題がある。
【0004】
そこで、放熱性の高い金属シャーシによって収納ケースを構成し、この収納ケース内に導光板とこれに重ねられるアウタレンズ及び導光板の入光面に対向配置される光源ブロックを収容してバックライトを構成することが行われている。
【0005】
ここで、従来の液晶用バックライトの一例を図5〜図8に基づいて説明する。
【0006】
図5は従来の液晶用バックライトの分解斜視図、図6は同液晶用バックライトの斜視図、図7は図6のC−C線断面図、図8は図7のD部拡大詳細図であり、図示の液晶用バックライト101は、矩形平板状の金属シャーシ102Aと該金属シャーシ102Aの周囲を囲むよう配置される矩形型枠状の金属シャーシ102Bとで構成される収納ケース102内に、矩形板状の導光板103とこれに重ねられるアウタレンズ104及び前記導光板103の入光面に対向配置される光源ブロック105を収容して構成されている。ここで、光源ブロック105は、不図示の複数のLEDを回路基板上に直線状に配列して構成されている。
【0007】
斯かる液晶用バックライト101において、導光板103の入光面と光源ブロック105のLEDとの距離が変動すると、導光板103に入射する光量(入光率)が変動するとういう問題が発生する。このため、振動等によって導光板103の入光面とLEDとの距離が容易に変動しないようにする必要がある。
【0008】
そこで、導光板103と光源ブロック105とは可能な限り近接して配置されるが、導光板103の面積が大きい場合には、熱膨張によって該導光板103が変形したり、LEDが破損する等の問題が発生する。このため、導光板103の入光面とLEDとの距離を大きく取って信頼性を高めることが考えられるが、導光板103の入光面とLEDとの距離を大きくすると導光板103への入光率が低下するという問題が発生する。
【0009】
上記問題を解決するため、特許文献1には図9に示すような構成が提案されている。
【0010】
即ち、図9は特許文献1において提案された液晶用バックライトの平面図であり、図示の液晶用バックライト201においては、導光板203と収納ケース202の間にクッション材206,207が設けられており、これらのクッション材206,207によって振動等による導光板203の移動や熱膨張による変形が防がれるよう工夫されている。又、導光板203と板状光源部205の間にクッション材が207設けられているため、熱によって導光板203が膨張又は収縮しても、該導光板203の入光面とLED205aとの距離が一定に保たれるよう考慮されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−298905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、図5〜図8に示す従来の液晶用バックライト101においては、図8に詳細に示すように、金属シャーシ102A,102B同士の接合部の隙間δから埃が侵入し、発光ムラや輝度ムラ等が発生して発光特性への悪影響が懸念される。
【0013】
又、図9に示す特許文献1おいて提案された液晶用バックライト201においては、クッション材206,207が導光板203と板状光源部205とが対向する方向(図9の上下方向)にしか設けられていないため、その方向の導光板203の移動しか防ぐことができず、それと直交する方向(図9の左右方向)及び上下方向(図9の紙面垂直方向)の導光板203の移動を防ぐことができないという問題がある。更に、クッション材206,207が設けられていない箇所の導光板203と収納ケース202の隙間δから埃が侵入する可能性があるという問題もある。
【0014】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、導光板の全方向への移動と内部への埃の侵入を防ぐことができる液晶用バックライトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、矩形平板状の金属シャーシAと該金属シャーシAの周囲を囲むよう配置される矩形型枠状の金属シャーシBとで構成される収納ケース内に、矩形板状の導光板とこれに重ねられるアウタレンズ及び前記導光板の入光面に対向配置される光源ブロックを収容して成る液晶用バックライトにおいて、硬さと厚さが異なる矩形枠状の2種のクッション1,2を重合して成る2層構造のクッション材を前記収納ケースの内周に沿って配置したことを特徴とする。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記クッション材を構成するクッション1,2の厚さの比率を6.5:3.5〜7.5:2.5とし、硬さを示す25%圧縮荷重をクッション1については0.006〜0.01kg/cm、クッション2については0.06〜0.1kg/cmとしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
発明によれば、硬さと厚さが異なる矩形枠状の2種のクッション1,2を重合して成る2層構造のクッション材を収納ケースの内周に沿って配置したため、硬くて剛性の高い方のクッション2によって導光板の全周が保持され、柔らかくて変形し易い方のクッション1が金属シャーシAによって押し潰されて導光板を上下方向において金属シャーシB側へと押圧するため、導光板は全方向の移動が防がれ、該導光版の変形や破損が防がれるとともに、光源ブロックのLEDと導光板の入光面との距離が一定に保たれて導光板への高い入光率が維持される。
【0018】
又、柔らかくて変形し易い方のクッション1が金属シャーシA,Bの接合部の隙間の全てを確実に埋めるため、隙間から収納ケース内への埃の侵入が防がれ、発光ムラや輝度ムラ等が発生することがなく、良好な発光特性が安定的に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る液晶用バックライトの分解斜視図である。
【図2】本発明に係る液晶用バックライトの斜視図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図3のB部拡大詳細図である。
【図5】従来の液晶用バックライトの分解斜視図である。
【図6】従来の液晶用バックライトの斜視図である。
【図7】図6のC−C線断面図である。
【図8】図7のD部拡大詳細図である。
【図9】特許文献1において提案された液晶用バックライトの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は本発明に係る液晶用バックライトの分解斜視図、図2は同液晶用バックライトの斜視図、図3は図2のA−A線断面図、図4は図3のB部拡大詳細図である。
【0022】
本発明に係る液晶用バックライト1は、エッジライト方式を採用する面状照明装置であって、矩形平板状の金属シャーシ2Aと該金属シャーシ2Aの周囲を囲むよう配置される矩形型枠状の金属シャーシ2Bとを接合一体化して構成される収納ケース2を備えている。そして、この収納ケース2内には、アクリル樹脂等の透明材料から成る矩形板状の導光板3と、該導光板3の光出射面(図の下面)に重ねられる透明なアウタレンズ4と、導光板3の短辺側の薄い端面である入光面に所定の距離を設けて対向配置される光源ブロック5が収容されている。ここで、光源ブロック5は、不図示の複数のLEDを回路基板上に直線状に配列して構成されている。
【0023】
而して、本実施の形態では、前記収納ケース2の内周に沿って、より詳細には金属シャーシ2Bの内側全周に亘って矩形枠状のクッション材6が配置されている。ここで、クッション材6は、硬さと厚さが異なる矩形枠状の2種のクッション6A,6Bを重合して2層構造として構成されている。クッション材6を構成する2種のクッション6A,6Bは、それぞれ異なる機能を有している。具体的には、厚さの厚いクッション6Bは、導光板3を収納ケース2内の中央に精度良く位置決めして固定する機能を有しており、他方のクッション6Aよりも硬くて変形しにくい。又、厚さの薄い他方のクッション6Aは、金属シャーシ2Aによって押し潰されて導光板3を金属シャーシ2B側に押圧するとともに、金属シャーシ2A,2Bの接合部の隙間δ(図4参照)を埋める機能を有しており、クッション6Bよりも柔らかくて変形し易い性質を有している。
【0024】
本実施の形態では、クッション6A,6Bはスポンジを主な材料とする弾性体であって、クッション6Bの厚さt1とクッション6Aの厚さt2との比率t1:t2は、6.5:3.5〜7.5:2.5に設定されている。又、硬さ(剛性)については、硬さを示す25%圧縮荷重(25%圧縮変形させるに要する荷重)をクッション6Aについては0.006〜0.01kg/cm、クッション6Bについては0.06〜0.1kg/cmとしている。
【0025】
尚、本実施の形態では、矩形枠状のクッション材6を一体に構成したが、四辺を別々のもので構成しても良い。
【0026】
而して、以上のように構成された液晶用バックライト1においては、導光板3の入光面に対向配置された光源ブロック5に設けられた複数のLEDから横方向に向かって出射された光束は、導光板3の入光面から該導光板3の内部に導入され、金属シャーシ2Aの内面で反射して導光板3の出射面から出射され、アウタレンズ4を通過して拡散されることによって均一な照明光となり、不図示の液晶表示器をその背面側から照明する。
【0027】
以上において、本発明に係る液晶用バックライト1によれば、硬さと厚さが異なる矩形枠状の2種のクッション6A,6Bを重合して成る2層構造のクッション材6を収納ケースの内周に沿って配置したため、硬くて剛性の高いクッション6Bによって導光板3の全周が保持され、柔らかくて変形し易いクッション6Aが金属シャーシ2Aによって押し潰されて導光板3を上下方向において金属シャーシ2B側へと押圧するため、導光板3は前後、左右及び上下の全方向の移動が防がれ、該導光版3の変形や破損が防がれるとともに、光源ブロック5のLEDと導光板3の入光面との距離が一定に保たれて導光板3への高い入光率が維持される。
【0028】
又、柔らかくて変形し易いクッション6Aが金属シャーシ2A,2Bの接合部の隙間δの全てを確実に埋めるため、隙間δから収納ケース2内への埃の侵入が防がれ、発光ムラや輝度ムラ等が発生することがなく、良好な発光特性が安定的に得られるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0029】
1 液晶用バックライト
2 収納ケース
2A 金属シャーシA
2B 金属シャーシB
3 導光板
4 アウタレンズ
5 光源ブロック
6 クッション材
6A クッション1
6B クッション2
t1,t2 クッションの厚さ
δ 金属シャーシの隙間


【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形平板状の金属シャーシAと該金属シャーシAの周囲を囲むよう配置される矩形型枠状の金属シャーシBとで構成される収納ケース内に、矩形板状の導光板とこれに重ねられるアウタレンズ及び前記導光板の入光面に対向配置される光源ブロックを収容して成る液晶用バックライトにおいて、
硬さと厚さが異なる矩形枠状の2種のクッション1,2を重合して成る2層構造のクッション材を前記収納ケースの内周に沿って配置したことを特徴とする液晶用バックライト。
【請求項2】
前記クッション材を構成するクッション1,2の厚さの比率を6.5:3.5〜7.5:2.5とし、硬さを示す25%圧縮荷重をクッション1については0.006〜0.01kg/cm、クッション2については0.06〜0.1kg/cmとしたことを特徴とする請求項1記載の液晶用バックライト。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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