説明

液晶組成物

【課題】ナノオーダーの微細な粒径を有しているナノ粒子が均質に分散されており、ナノ粒子による特性改善が明確に発現した液晶組成物を提供する。
【解決手段】液晶材料と、該液晶材料100質量部当り0.01乃至5質量部のシリカ系粒子とを含み、該シリカ系粒子は、電子顕微鏡で測定して平均粒子径が1〜50nmの範囲であり、個々の粒子が疎水性シランカップリング剤により、イソプロピルアルコールとn−ヘプタンとの1:1(重量比)混合溶媒に3質量%の濃度で分散させたとき、該分散液が80%以上の可視光透過率を示すように表面処理されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネルに使用される液晶組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示のために、液晶表示パネルが広く普及している。この液晶表示パネルは、電界の印加によって液晶材料の配列状態、光の旋回性、光の干渉性、或いは光の複屈折率などを変化させて画像を表示させるというものである。このような液晶表示パネルなどに使用される液晶材料に関しても、微細な粒径、例えばナノサイズの無機酸化物粒子を配合することにより、液晶の特性、例えば応答速度、駆動電圧、駆動温度範囲、コントラストなどを改善させるという提案がなされている(特許文献1〜6)。
【0003】
また、最近の液晶表示パネルの進歩は著しく、性能やコストを含めてディスプレイの代表格としての地位を築いており、応用面においても、室内のみの利用にとどまらず、屋外使用に対するニーズも非常に高まっている。液晶はその動作原理より、低温(特に0℃以下の低温環境下)になるほど応答速度が極端に遅くなるという欠点を有しており、その改善が強く望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−61021号公報
【特許文献2】特開2006−309082号公報
【特許文献3】特開2002−182186号公報
【特許文献4】特開平11−287980号公報
【特許文献5】特開2008−111009号公報
【特許文献6】特開2005−352415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、平均粒子径が1〜50nmの範囲のナノオーダーの粒径を有する無機酸化物の微細粒子(ナノ粒子)は、一般に粒子表面が親水性のため、液晶材料に対する親和性が不十分であり、液晶材料中に均質に分散することが困難であることから、液晶材料の特性改善が十分に行われないという問題がある。
【0006】
一般に、無機酸化物のナノ粒子の分散性を改善するための手段としては、カップリング剤などを用いての表面処理により、例えば該粒子表面の疎水性を高めるなどの方法が知られており、上記の特許文献の中にも、ナノ粒子の表面処理を行うことが提案されているものもある。
【0007】
しかしながら、粒径がナノオーダーのナノ粒子に関しては、上記のようなカップリング剤を用いての表面処理を行った場合においても、液晶材料に対する親和性を十分に高めることができない。即ち、ナノ粒子は、非常に凝集し易いため、カップリング剤の表面処理が十分に行われていないからである。このため、ナノ粒子添加による特性改善は、未だ不満足となっているのが実情である。
【0008】
従って、本発明の目的は、ナノオーダーの微細な粒径を有しているナノ粒子が均質に分散されており、ナノ粒子による特性改善が明確に発現した液晶組成物、特に0℃以下の低温環境下での応答速度が速い液晶表示素子に用いることが可能な液晶組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、特に疎水性のシランカップリング剤により表面処理されたナノオーダーのシリカ系粒子について検討を重ねた結果、その表面処理を特定の方法で行うことにより、疎水性のシランカップリング剤により十分な表面処理が行われた表面処理シリカ系ナノ粒子が得られ、このようなナノ粒子は、液晶材料に均質に分散され得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
即ち、本発明によれば、液晶材料と、該液晶材料100質量部当り0.01乃至5質量部のシリカ系粒子とを含み、該シリカ系粒子は、電子顕微鏡で測定して平均粒子径が1〜50nmの範囲であり、個々の粒子が疎水性シランカップリング剤により、イソプロピルアルコールとn−ヘプタンとの1:1(重量比)混合溶媒に3質量%の濃度で分散させたとき、該分散液が80%以上の可視光透過率を示すように表面処理されていることを特徴とする液晶組成物が提供される。
上記の液晶組成物は、例えば、液晶材料と疎水性シランカップリング剤によって表面処理されたシリカ系粒子を混合する工程において、溶媒としてアセトンを使用して該液晶材料とシリカ系粒子とを分散させた後、アセトンを留去することにより製造される。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、液晶組成物中に分散させるシリカ系粒子として、平均粒子径が1〜50nmと著しく微細なナノ粒子が使用されるが、かかるシリカが、親水性有機溶媒(イソプロピルアルコール)と親油性有機溶媒(n−ヘプタン)との1:1(重量比)混合溶媒に分散させたときに、80%以上の高い可視光透過率を示すという点に顕著な特徴を有している。即ち、このような疎水性の高い混合溶媒に分散させたときにも高い透明性が確保されることは、このシリカ系ナノ粒子は、著しく微細な粒径を有しているにもかかわらず、粒子同士が結合して凝集しておらず、所謂一次粒子の形態で存在しており、個々の粒子が疎水性のシランカップリング剤により効果的に表面処理されていること(即ち、シランカップリング剤による表面被覆率が極めて高いこと)を物語っている。このため、このようなシリカ系ナノ粒子を含む本発明の液晶組成物では、該ナノ粒子が凝集することなく、均質に分散され、この結果、液晶材料の各種特性を効果的に向上させることが可能となるのである。
【0012】
例えば、後述する実施例に示されていように、上記のようなシリカ系のナノ粒子を液晶中に分散させることにより、特に低温時の応答性を高めることができる。
従来、液晶への微粒子の添加に関する文献において、上記のような性能改善は、チタン酸バリウムやチタン酸鉛のような自発分極を有する強誘電性の微粒子がきっかけとなって起こると説明されている。これに対して、本発明で使用するナノ粒子は、比誘電率が小さなシリカであるため、かかるナノ粒子添加液晶の性能改善効果の発現機構は、添加するナノ粒子の誘電率ではなく、極めて相溶性の良いナノ粒子を液晶に添加した場合に、液晶中にナノのオーダーで微分散したナノ粒子が電界の印加によって配列を変える液晶の動きをアシストするような働きがあるのでないかと推測している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の液晶組成物を用いて形成される液晶表示パネルの概略図。
【図2】液晶表示素子の応答速度を示す、RTグラフの例。
【発明を実施するための形態】
【0014】
液晶表示パネルの概略構造を示す図1において、本発明の液晶組成物を用いて形成される液晶パネルは、一対の透明基板1,1(例えば透明ガラスやPC、PET等の透明樹脂基板)が互いに対向するように配置され、各透明パネル1,1の内面には、それぞれ、互いに格子状にITO等の透明導電膜3,3が形成されており、このような透明パネル1,1の間に液晶層5が設けられている。
【0015】
即ち、上記の透明導電膜3,3を電極として電圧を印加することにより、液晶層5中の液晶材料の配列状態、光の旋回性、光の干渉性、或いは光の複屈折率などが変化することにより、電圧が印加されていない部分との間にコントラストが生じて所定の画像が形成されるものである。
【0016】
尚、図示されていないが、液晶層5は、電気絶縁性材料で封止されており、また、透明導電膜3上には、必要により電気絶縁膜が設けられ、さらに、液晶組成物中の液晶材料の種類或いは画像表示形式に応じて、透明基板1の外面側には、偏光板が取り付けられる。
【0017】
上記の液晶層5は、前述したナノオーダーの粒子径を有する表面処理シリカ系粒子(図1において7で示す)が液晶材料中に分散された本発明の液晶組成物により形成されている。
【0018】
<液晶材料>
かかる液晶組成物において、マトリックスとなる液晶材料としては、例えば電界を印加することにより、光学的異方性を示す状態となるようなものであれば、特に制限されず、ネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶等、公知のものを使用することができる。
【0019】
液晶材料の一例としては、例えば次の化合物を例示することができる。
スメクチック液晶化合物:
2−p−アルキルオキシフェニル−5−アルキルピリミジン
2−p−アルキルオキシフェニル−5−アルキルピリジン
ネマチック液晶化合物:
ペンチルシアノビフェニル
4−アルキル−4’−シアノビフェニル
4−アルキルオキシ−4’−シアノビフェニル
3−フルオロ−シアノフェニル−4’−アルキルベンゾエート
1−アルキル−4−(4’−トルフルオロメトキシフェニル)トランス−シクロヘキ
サン
1−アルキル−4−(4’−シアノフェニル)トランス−シクロヘキサン
3−フルオロ−4−シアノフェニル−4’−アルキルベンゾエート
4−(4−アルキルベンゾイルオキシ)−2,3−ジフルオロベンゾニトリル
4−{2−(トランス−4−アルキルシクロヘキシル)−エチル}−2,3−ジフル
オロベンゾニトリル
4−{2−(トランス−4−アルキルシクロヘキシル)−エニル}−2,3−ジフル
オロベンゾニトリル
2−(2,3−ジフルオロ−4−アルキルオキシフェニル)−5−アルキルピリミジ

コレステリック液晶化合物:
コレステロール誘導体
高分子液晶化合物:
主鎖型、側鎖型、主鎖・側鎖共重合型など
【0020】
本発明の液晶組成物においては、特に液晶材料として、ネマチック液晶材料を用いることが、特に低温での応答性を高める上で好適である。
尚、上記のような液晶材料を用いた液晶表示素子の液晶表示モードとしては、それ自体公知の表示モードを採用することができる。例えば、ネマチック液晶材料を用いた液晶表示素子の液晶表示モードとしては、TN(twisted nematic)モード、STN(super twisted nematic)モード、IP・S(in−plane switching)モード、VA(vertical alignment)モード及びOCB(opticallycompensatedbend)モードなどが知られている。
【0021】
<シリカ系粒子7>
また、上記の液晶材料中に分散されているシリカ系粒子7は、シリカ或いはシリカ−チタニア、シリカ−ジルコニアなどのシリカを主成分とする複合酸化物の粒子が、疎水性のシランカップリング剤で表面処理されており、電子顕微鏡で測定して1〜50nm、好適には1〜35nm、最も好ましくは5〜25nmの平均粒子径を有している。この粒径が、上記範囲よりも小さいものは製造が困難であり、また、液晶材料中への均一分散が困難となったりして、目的とする特性改善を実現することができない。さらに、粒径が、上記範囲よりも大きい場合には、液晶層5の光透過性が低下してしまい、鮮明な画像を形成できなくなることが懸念される。
【0022】
さらに、上記のシリカ系粒子(ナノ粒子)7は、親水性有機溶媒(イソプロピルアルコール)と親油性有機溶媒(n−ヘプタン)との1:1(重量比)混合溶媒に分散させたときに、80%以上、特に85%以上、最も好ましくは90%以上となっており、該分散液が高い透明性を示すものでなければならない。
【0023】
即ち、本発明で用いるシリカ系ナノ粒子7は、疎水性のシランカップリング剤による表面処理によって高い疎水性を示すために、もはや水には分散しないが、メタノールなどの低分子量のアルコールには良く分散し、透明な状態を維持する。一方、n−ヘプタンのような疎水性の極めて高い飽和炭化水素類に対しては、完全に相溶する訳ではなく、分散液は白濁することがある。このような白濁は、粒子同士が凝集し、粒径が大きくなるためであるが、本発明で用いるシリカ系ナノ粒子7では、上記のように親水性の有機溶媒と疎水性有機溶媒との混合溶媒において高い可視光透過率を示すことから理解されるように、高い疎水性と同時に、粒子同士の凝集が効果的に抑制され、個々の粒子が効果的に表面処理され、所謂単分散の状態で存在しているのである。即ち、このように凝集が抑制され、単分散もしくはそれに近い状態のシリカ系ナノ粒子7を用いることにより、該ナノ粒子7を液晶材料中に均質に分散せしめ、ナノ粒子7による高い特性改善効果が達成されるのである。
【0024】
また、上記のシリカ系ナノ粒子7は、液晶材料100質量部当り0.01乃至5質量部、特に0.05乃至1質量部の量で使用されていることも重要である。即ち、この範囲よりも少量の場合には、ナノ粒子7による液晶材料の特性改善効果を十分に発現することが困難となり、この範囲よりも多量に使用した場合には、液晶材料の特性を阻害してしまい、例えば光透過性の阻害などにより、鮮明な画像を形成することが困難となってしまう。
【0025】
1.疎水性シランカップリング剤;
上記のようなシリカ系ナノ粒子7は、上記のような混合溶媒での可視光透過率が上記範囲となるように、疎水性のシランカップリング剤で表面処理されていなければならない。
このような表面処理に使用されるシランカップリング剤としては、アルキル基やアルケニル基、アリール基などの本質的に疎水性の官能基と、シリカ系粒子表面のシラノール基などの親水性基と反応し得る加水分解性の官能基とを有するものであり、シリカ系粒子表面との反応性及び疎水性の観点から、疎水性の官能基を1個有し、且つ加水分解性の官能基を3個有するシラン化合物が好適に使用される。
【0026】
このような疎水性のシランカップリング剤の代表例としては、下記式(1):
−Si(OR …(1)
式中、Rは、アルキル基、アルケニル基またはアリール基であり、
は、アルキル基である、
で表されるトリアルコキシシランを挙げることができる。
【0027】
上記のトリアルコキシシランにおいて、基Rが疎水性の基であり、アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基などを例示することができ、これらは、環状構造を有していてもよいし、分岐構造を有していてもよく、一般に、直鎖の炭素数が多いほど、疎水性の程度が大きい傾向がある。また、アルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基などを挙げることができ、アリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基等を例示することができる。
【0028】
また、上記のアルキル基、アルケニル基、アリール基は、その疎水性を阻害しない限り、各種の置換基を有していてもよく、例えばフッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子や、シアノ基、イソシアネート基、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基などの置換基が挙げられる。さらに上記のアルキル基は、疎水性の置換基として上記で例示したアリール基を有していてもよいし、上記のアリール基は、疎水性の置換基としてアルキル基を有していてもよい。
【0029】
さらに、上記のトリアルコキシシラン中のアルコキシ基(OR)は加水分解性の基であり、このアルコキシ基中のアルキル基Rの例としては、上記の基Rに関して例示したものを挙げることができるが、特に加水分解性の点や合成の容易さなどの点から炭素数が4以下の低級アルキル基が好適である。特に、アルコキシ基としてはメトキシ基とエトキシ基が最も好適に採用される。
【0030】
上述したトリアルコキシシランの好適例としては、
メチルトリメトキシシラン、
エチルトリメトキシシラン、
n−プロピルトリメトキシシラン、
イソプロピルトリメトキシシラン、
n−ブチルトリメトキシシラン、
イソブチルトリメトキシシラン、
ペンチルトリメトキシシラン、
n−ヘキシルトリメトキシシラン、
n−オクチルトリメトキシシラン、
イソオクチルトリメトキシシラン、
n−デシルトリメトキシシラン、
ドデシルトリメトキシシラン、
ヘキサデシルトリメトキシシラン、
n−オクタデシルトリメトキシシラン、
スチリルエチルトリメトキシシラン、
フェネチルトリメトキシシラン、
シクロヘキシルトリメトキシシラン、
シクロペンチルトリメトキシシラン、
フェニルトリメトキシシラン、
ベンジルトリメトキシシラン、
3−(ペンタフルオロフェニル)プロピルトリメトキシシラン、
(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、
クロロフェニルトリメトキシシラン、
(クロロメチル)フェニルエチルトリメトキシシラン、
3−クロロプロピルトリメトキシシラン、
3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、
3−ヨードプロピルトリメトキシシラン、
ビニルトリメトキシシラン、
アリルトリメトキシシラン、
ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、
3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、
2−シアノエチルトリメトキシシラン、
3−シアノプロピルトリメトキシシラン、
等を挙げることができ、これらは1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。さらに、上記で例示した化合物中のメトキシ基をエトキシ基に置換した化合物(例えばメチルトリエトキシシランなど)も、疎水性のシランカップリング剤として、上記と同様に好適に使用できる。
【0031】
本発明においては、上記で例示した化合物をシランカップリング剤として好適に使用することができるが、特に、シリカ系ナノ粒子7を分散すべき液晶材料の種類に応じて適宜のものを選択することが、該液晶材料中にナノ粒子7を均質に分散させる上で好ましい。
例えば、前述した液晶材料として、ハロゲン原子やシアノ基などの官能基を有するものを用いた場合には、同じ置換基を疎水性基として有しているシランカップリング剤を用いることが最適である。即ち、液晶材料として、4−アルキル−4’−シアノビフェニルや3−フルオロ−シアノフェニル−4’−アルキルベンゾエートなどのネマチック液晶を用いた場合には、上記の化合物の中でも、官能基としてシアノ基或いはハロゲン原子が疎水性基中に含まれているもの、例えば3−シアノエチルトリメトキシシランや(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシランなどをシランカップリング剤として用いて表面処理を行うことが最適である。特に、フッ素原子を有するF系液晶材料を用いるときには、フッ素原子を有するシランカップリング剤を用いての表面処理が最も好ましい。
【0032】
さらに、高分子分散型液晶素子においては、液晶材料と樹脂成分をブレンドして使用する際に、樹脂に対する分散性を高めるという見地から、樹脂を構成するモノマーとの共重合性を有する官能基、例えばアルケニル基や(メタ)アクリロキシ基などを有している3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどがシランカップリング剤として好適に使用できる。
【0033】
2.表面処理されたシリカ系粒子7の製造;
本発明において、前述したシリカ系ナノ粒子7は、上記のようなシランカップリング剤により表面処理されるが、所定の混合溶媒に分散した分散液の可視光透過率が80%以上となるように表面処理するために、湿式法により得られ且つ前述したナノオーダーの微細な粒径を有するシリカ系粒子(以下、原料シリカ系粒子と呼ぶことがある)が分散した分散液を使用し、この分散液に、疎水性のシランカップリング剤の部分加水分解物の液を添加して表面処理を行うことが望ましい。
【0034】
即ち、無機酸化物ナノ粒子をシランカップリング剤で表面処理することは、極めて一般的に行われているが、従来の方法では、高度に表面処理を行うことが困難であり、特にナノオーダーの無機粒子に対し均一且つ高被覆率の処理を行うことができない。
例えば、一次粒子径がナノオーダーの粒子は、一旦乾燥させてしまうと粒子同士が極めて強固な凝集を起こすので、再分散がほぼ不可能となってしまう。このような凝集した乾燥粒子にカップリング剤を用いて表面処理を行うことはできるが、元々凝集した粉末を一次粒子まで解砕することが困難な上、カップリング剤自身が重合してしまったり、或いはカップリング剤により粒子同士を化学的に結合させてしまうこともある。従って、乾式法により得られたナノオーダーの微細な無機粒子について、シランカップリング剤により効果的に表面処理を行うことは事実上不可能であるといってよい。
一方、湿式法により得られる無機粒子では、一次粒子径がナノオーダーであったとしても、乾燥されず、液中に存在していれば、凝集せずに、一次粒子の形態が保持されるため、その状態でシランカップリング剤による処理が良好に実施できれば被覆率の高い表面処理が実現できる可能性がある。しかしながら、疎水性のシランカップリング剤は、当然のことながら、比較的疎水性の高い有機官能基(例えばアルキル基)を有しており、一方、湿式法による無機粒子は、一般的に親水性の高い溶媒中に分散した形で得られる。従って、親水性の溶媒中に分散しているナノオーダーの粒径を有する無機粒子を、疎水性のシランカップリング剤で表面処理こととなり、やはり、効果的に表面処理を行うことが困難となっている。
【0035】
しかるに、本発明においては、疎水性シランカップリング剤を水により部分加水分解した後に、湿式法で得られたシリカ系粒子の分散液に添加して表面処理を行うため、疎水性カップリング剤に適度の親水性が付与された状態で表面処理が行われることとなり、この結果、疎水性のシランカップリング剤による表面処理が高度に行われ、前述したように、ナノオーダーの微細な粒径を有していながら、個々の粒子が表面処理され、所定の親水性有機溶媒と親油性有機溶媒との混合溶媒に分散させた液での高い透明性を示すようになるのである。
【0036】
本発明で用いる表面処理シリカ系ナノ粒子7を製造するにあたって使用される湿式法には、加水分解法、中和法、イオン交換法、沈殿法など多くの方法が提案、実施されているが、溶媒中に分散した微細なナノ粒子を容易に、しかも比較的粒径の揃った形態で得ることができるという観点から、シラン化合物を加水分解・縮合させるゾルゲル法を用いることが最も好適である。またさらに、液晶表示素子のような電気デバイスにおいては、不純物、特に不純物イオンの混入は大敵であるため、高純度のシリカ系ナノ粒子を提供できるゾルゲル法は最も好適である。
【0037】
かかるゾルゲル法において、原料のシラン化合物としては、下記一般式:
Si(OR)
または、
SiR′(OR)4−n
式中、R及びR′は、アルキル基、好ましくは、メチル基、エチル基、イソプロピル
基、ブチル基等の炭素数が4以下の低級アルキル基であり、
nは1〜3の整数である、
で表されるアルコキシシランが好適であり、このようなアルコキシシランは、1種単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。本発明においては、テトラメトキシシランやテトラエトキシシランが最も好適である。
尚、上記のようなアルコキシシランは、部分的に加水分解した低縮合物の形で入手することもでき、このような縮合物を使用することもできる。
【0038】
また、シリカ−チタニアやシリカ−ジルコニアなどのシリカ系複合酸化物粒子は、上記のようなアルコキシシランと共に、チタンやジルコニウムのアルコキシド、例えばチタンイソプロポキシドやチタンブトキシド、ジルコニウムブトキシドなどを併用することにより得られる。
このようなシリカ系複合酸化物粒子においては、シリカの特性が損なわれないように、少なくとも50モル%以上の量で前述したアルコキシシランを用いるのがよい。また、このようなチタンアルコキシドやジルコニウムアルコキシドの併用により、粒子の屈折率等の物性を調整することができる。
【0039】
また、ゾルゲル法において、上記のシラン化合物は、触媒を含んだ水溶液に添加され、これにより該シラン化合物が加水分解・縮合して目的の微細なシリカ系粒子が分散した液が得られる。
【0040】
上記の触媒としては、上記のようなアルコキシシランなどの金属アルコキシドの加水分解触媒として機能するもの、例えば、N(CHなどのアミン化合物、アンモニア、或いはLiOH、NaOH、KOH、N(CHOHなどの塩基が好適に使用される。これらの中でも、アンモニアは気化しやすく、合成後に容易に除去できるため、加水分解用の触媒として極めて好適である。
【0041】
触媒の量は、用いる触媒の種類などによっても異なるために一概には言えないが、一般的には、反応系のpH、即ち、前述したシラン化合物が添加されたときの溶液のpHが8〜12、好ましくは9〜11.5、最も好適には10〜11の範囲に維持されるような量で上記触媒が使用される。例えば、触媒として最も好適なアンモニアでは、触媒水溶液中のNH含量が0.01〜5重量%、特に0.03〜3重量%の範囲が好適である。また、このような触媒量を変えることによって、最終的に得られるシリカ系ナノ粒子の粒子径を制御することもできる。一般に、触媒量が少ないほど、ナノ粒子径は小さくなる傾向がある。
【0042】
また、シラン化合物の加水分解のために水が必須であるため、溶媒としては水或いは水と水溶性有機溶媒との混合溶媒が使用される。この場合、用いるシラン化合物の種類等によっても異なるが、反応液中の水の量は、3重量%以上、特に5重量%以上とするのがよい。この場合、反応の継続中に反応液中の水がゼロにならないようにする必要がある。
【0043】
また、水と混合する水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類を挙げることができ、これらは、単独または複数混合して用いることができる。これらの中でもメタノール、エタノール、イソプロパノールのような低級アルコール類はアルコキシシランや水との相溶性も高く、また粘度も低いために、極めて好適に使用される。
【0044】
上記のような水溶性有機溶媒の使用は、生成するシリカ系粒子をナノオーダーの微粒子径に調節する上で有利であり、前述した水の量が確保できるような範囲の量で使用される。
なお、アルコキシシラン等のアルコキシドが加水分解するとアルコールが生成するので、合成終了後には反応液中のアルコールの比率は上昇する。初期の反応液は触媒と水だけであっても、合成終了後はアルコキシシラン等が加水分解して生成したアルコールを含むことになる。
【0045】
原料シラン化合物の加水分解縮合は、この原料シラン化合物を、反応槽に充填されている反応液(触媒水溶液或いは触媒水溶液/水溶性有機溶媒混合溶媒溶液)に、混合攪拌下に液中滴下することが好ましい。
この液中滴下とは、上記原料を反応液中に滴下する際、滴下ノズルの口先端(滴下口先端)が反応液中に浸されていることを意味する。滴下口先端の位置は、液中にあれば特に限定されないが、攪拌羽根の近傍などの十分に攪拌が行われる位置が望ましい。液中滴下をせずに、例えば、反応液の上部から液上滴下した場合には粒子の凝集を生じ易くなってしまうため好ましくない。
【0046】
加水分解を行うときの反応槽の温度は、0〜60℃の範囲であれば良く、用いるシラン化合物(アルコキシシラン)の種類によって適宜選択される。また、温度を変えることによってナノ粒子の粒子径を制御できる場合もある。
その他、加水分解に使用する反応容器、上記以外の反応条件等は公知のものが何ら制限なく採用される。
【0047】
以上のようにして、アルコキシシラン等のケイ素化合物等が加水分解・縮合し、前述したナノオーダーの平均粒子径(1〜50nm、好ましくは1〜35nmの範囲、最も好ましくは5〜25nm)を有しており、球形状のシリカナノ粒子が、反応液中に分散した分散液の形態で得られる。このようなナノ粒子は、一般的には可視光を散乱しないため、多くの場合、見た目には透明な分散液として得られる。
【0048】
得られたナノ粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡の撮影像を解析することによって確認できる。また、乾燥させた粒子の比表面積を測定し、下記の式より平均粒子径を算出することもできる。
d=6/(S×D)
式中、dは平均粒子径(μm)
Sは比表面積(m/g)
Dは粒子の密度(g/cm
【0049】
尚、上記では、ゾルゲル法を例にとってナノオーダーの粒径を有するシリカ系粒子の製造方法について記述したが、湿式法で製造され、ナノ粒子分散液として市販されている市販のシリカ系粒子を用いることも勿論可能である。
【0050】
上記のようにして得られたナノオーダーのシリカ系粒子が分散した分散液は、アンモニアなどの触媒や水、さらに金属アルコキシドの加水分解によって生成したアルコールや有機溶媒が含まれているため、以下に述べるシランカップリング剤による表面処理の操作を再現性良く行うために、単一の溶媒で溶媒置換することが必要である。かかる溶媒としては、親水性と疎水性の両方の溶媒と相溶性のある、メタノールなどのアルコール類が使用される。
【0051】
溶媒置換の方法としては限外ろ過法が採用される。限外ろ過法は、分子量数百〜数百万程度の溶質または粒子をろ過によって分離する方法であり、分散液中の溶媒を分離してナノ粒子の濃縮を行い、メタノールなどのアルコール溶媒(置換溶媒)の添加を繰り返すことによって溶媒置換が行われる。
【0052】
尚、溶媒置換して得られるシリカ系粒子の分散液におけるシリカ系粒子の濃度は、以下の表面処理に際して、シランカップリング剤の溶液(部分加水分解溶液)と均一に混合し得る程度であれば特に制限されないが、一般的には、1乃至15重量%程度の範囲、好適には2乃至8重量%程度の範囲とするのがよい。
【0053】
本発明においては、前述した疎水性のシランカップリング剤を用いた表面処理に先立って、このシランカップリング剤を部分加水分解せしめることが必要である。即ち、この部分加水分解処理によって、シランカップリング剤として用いるシラン化合物中にシラノール基(SiOH基)が生成し、このシランカップリング剤を、親水性有機溶媒中に分散している微細なシリカ系粒子表面と効果的に反応させて表面処理を行うことが可能となる。この場合において、シランカップリング剤中の加水分解性基であるアルコキシ基が全て加水分解してしまうと、シランカップリング剤同士の脱水縮合反応が無視し得ないほど進行してカップリング剤のオリゴマー化が生じてしまい、この結果、表面処理を効果的に行うことが困難となる。即ち、ナノオーダーの粒径を有するシリカ系粒子の表面をシランカップリング剤で効果的に被覆することができず、特に液晶材料に対する分散性が不十分となってしまう。
【0054】
上記のようなシランカップリング剤の部分加水分解処理は、このカップリング剤を1〜3倍当量、好ましくは1〜2倍当量の水と混合することにより行われる。必要以上の量の水を使用すると、加水分解が進行し過ぎてカップリング剤同士の脱水縮合反応が顕著となり、カップリング剤のオリゴマー化を生じ易くなってしまい、また、水の量が少なすぎると、シランカップリング剤の部分加水分解率が低く、このため、分散液中のシリカ系粒子の表面処理を効果的に行うことができず、この場合にも、液晶材料に対する分散性を向上させることが困難となってしまう。部分加水分解処理は、原料のシランカップリング剤のアルコキシ基の少なくとも一つが、80%以上、好ましくは90%以上が部分的に加水分解してシラノール基が生成している状態が好適である。上記カップリング剤の部分加水分解率は、ガスクロマトグラフなどを用いて確認できる。
【0055】
また、上記の水は、酸又はアルカリの添加により、酸性或いはアルカリ性にpH調整されていることが好ましく、これにより、部分加水分解を迅速に進行させることが可能となる。例えば、酸性の場合には、硫酸、塩酸、硝酸などにより、pHが2〜5の範囲、特にpH4前後に調整されていることが好ましく、アルカリ性の場合には、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどにより、pHが9〜11の範囲、特にpH10前後に調整されていることが好ましい。この場合、加水分解に引き続く脱水・縮合反応を抑制するという観点からは、酸性サイドにpH調整されていることが好ましい。
部分加水分解処理の時間は、用いるシランカップリング剤の種類(反応性)や触媒の使用量などにも依存するので一概には言えないが、5分から数時間の範囲が好ましい。
また、部分加水分解に際しては、必要により加熱を行ってもよい。
【0056】
上記のように部分加水分解されたシランカップリング剤が分散乃至溶解している液と、前述したナノオーダーの大きさのシリカ系ナノ粒子が分散した分散液とを混合することにより、該粒子の表面処理が行われる。上記混合は、一般に、シリカ系ナノ粒子が分散した分散液に部分加水分解されたシランカップリング剤が分散乃至溶解している液を滴下して行なう方法が推奨される。
【0057】
尚、上記の表面処理に際しては、上記混合液のpHを、アンモニア、水酸化ナトリウム等の水酸化アルカリや炭酸ソーダ等の添加により、9〜12、特に10〜11の範囲に調節しておくことが好ましい。このようなpH調節により、シリカ系ナノ粒子の凝集が防止できると共に、部分加水分解によって生成したカップリング剤分子のシラノール基とシリカ系ナノ粒子表面のシラノール基との脱水縮合反応が促進され、個々のシリカ系ナノ粒子に対して効果的に表面処理を行うことができる。
【0058】
また、表面処理に際して用いるシランカップリング剤の量は、得られる表面処理シリカ系粒子(ナノ粒子)の所定の混合溶媒中での可視光透過率が80%以上となるような量で使用されるが、このナノ粒子をシランカップリング剤により均一に被覆するための理論使用量(g)は、下記式によって求めることができる。
[カップリング剤の理論使用量]=A・B/C
式中、Aは、表面処理すべきシリカ系ナノ粒子の重量(g)であり、
Bは、上記ナノ粒子の比表面積(m/g)であり、
Cは、カップリング剤の最小被覆面積(m/g)である。
また、上記のカップリング剤の最小被覆面積C(m/g)は下記式によって求められる。
最小被覆面積C=(6.02×1023×13×10−20)/(シランカップリング剤の分子量)
【0059】
本発明において、所定の可視光透過率を得るためのシランカップリング剤の使用量は、上記で算出される理論使用量の1〜3倍量、好ましくは1〜2倍量、さらに好ましくは1.1〜1.5倍量とするのがよい。この使用量が上記範囲よりも少ない場合には、ナノ粒子に対するカップリング剤の被覆率が低くなり、付与される疎水性の程度が不十分となり、特に液晶材料に対する分散性が低下し、上記範囲よりも多量に使用した場合は、カップリング剤同士の重合物やナノ粒子の凝集なども懸念されるので、好ましくない。
【0060】
上記のようにして得られる表面処理シリカ系粒子は、水等を含む水溶性有機溶媒中に分散した状態で得られるが、かかる分散液は、限外ろ過法により溶媒置換を行い、単一の溶媒に置換する工程を実施することが必要である。即ち、限外ろ過法は、前記したように、分散液の溶媒を、ろ過膜を通過させて分離除去しながら、置換しようとする単一溶媒を該分散液側に添加する操作により、溶媒置換を行う方法であり、かかる操作を行うことにより、ろ過膜を通過する溶媒と共に、溶媒中に遊離しているカップリング剤を該溶媒と共に除去することができ、前記表面処理シリカ系粒子の再凝集を効果的に防止し、分散液において優れた透明性を有する本発明の表面処理シリカ系粒子を得ることができる。また、本発明の液晶組成物の主たる用途は、電子デバイスの一種である液晶表示素子であるため、上記工程は電子デバイスの大敵であるイオン性不純物などを除去する工程としても非常に重要である。
【0061】
上記のようにして得られる表面処理シリカ系粒子(ナノ粒子)7は、前述した原料シリカ系粒子と同様、極めて微細なナノオーダーの粒径を有しており、電子顕微鏡で測定して平均粒子径が1〜50nm、好ましくは1〜35nmの範囲、最も好ましくは5〜25nmの範囲にあり、凝集しておらず、前述した疎水性のシランカップリング剤によって個々の粒子が被覆されており、従って、極めて高い疎水性を示す。
【0062】
<他の成分>
本発明の液晶組成物においては、液晶材料の種類や画像表示形態に応じて、上記の表面処理シリカ系ナノ粒子7以外に、それ自体公知の他の成分を必要により配合することができる。
【0063】
例えば高分子分散型液晶素子においては、液晶材料との屈折率差によって所望の画像が表示されるように、(メタ)アクリル系樹脂等の透明樹脂を配合することもできる。このような透明樹脂は、一般に、前記液晶材料100質量部当り25乃至150重量部、特に30乃至80重量部の量で使用される。
また、カラー表示のために、色素などを配合することもできる。例えば、2色性色素をゲストとするゲストホスト型の垂直配向ネマチック液晶においては、ネマチック液晶分子と共に2色性色素分子が配合されている。
さらに、必要によりキラル剤を配合することもできる。
【0064】
<液晶組成物の調製>
本発明の液晶組成物は、前述した各成分を液晶材料と混合することにより調製される。この場合、前述したシリカ系ナノ粒子は、凝集し難いという性質を有しているため、乾燥して液晶材料と混合することもできるが、一般的には、液晶と相溶性を有する有機溶媒に溶媒置換した分散液の形態で液晶材料と混合し、次いで溶媒を除去することにより調製することが好適である。
【0065】
好ましい具体的な手順としては、まず、液晶材料と有機溶媒に分散したナノ粒子分散液を所定量混合し、超音波処理等によってナノ粒子を液晶材料中に分散させる。次に、エバポレータ等を用いて前記有機溶媒を留去し、好ましくは、不活性ガス等を導入して大気圧に戻す。続いて、好適にはアセトンのような、液晶とナノ粒子の両者に相溶性の高い有機溶媒を加えて超音波分散処理を行い、エバポレータ等を用いて有機溶媒を留去する。
なお、本発明の疎水性シランカップリング剤で処理したシリカ系ナノ粒子を用いた場合には、上記アセトンなどの有機溶媒に分散した液は完全な透明な液となる。これは、アセトンのような溶媒が液晶とナノ粒子の両者に対して相溶性が極めて高いためで、さらに本発明のナノ粒子が前記の溶媒中に50nm以下の一次粒子の状態で分散していることを示している。また、前記の有機溶媒としてアセトンを使用した場合は、アセトンを留去する際に、不純物として混入している水や水溶性のイオン性物質なども一緒に留去されるので、非常に好ましい。
【0066】
上記有機溶媒の留去に引き続き、水分の混入を防ぐために、アルゴン等の乾燥不活性ガスで大気圧に戻した後に液晶組成物を系外に取り出す。
また、樹脂などが配合される場合には、該樹脂を形成するためのモノマーや重合開始剤を含有する重合性組成物に、適宜の溶媒に溶媒置換された分散液を混合し、これを液晶材料と混合して重合を行うことにより、或いは重合した後に液晶材料と混合することにより調製することもできる。
上記のようにして液晶組成物を調製する場合において、その他の成分は、任意の段階で添加混合することができる。
【0067】
上記のようにして得られる液晶組成物を用いて、前述した透明基板1の透明導電膜(電極)3が形成されている側の面に液晶層5を形成し、他の透明基板1と貼り合わせて液晶表示パネルの組み立てが行われる。また、予め液晶表示パネルを組み立て、透明基板1,1の間に液晶組成物を注入することもできる。
【実施例】
【0068】
以下、本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
尚、以下の例において、各種の測定は以下の方法により行った。
【0069】
(粒径の測定)
平均粒子径は、走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡の撮影像を用いて100個以上の粒子のデータを解析することにより求めた。
【0070】
(可視光透過率)
表面処理したナノ粒子を、重量比1:1のイソプロピルアルコールとn−ヘプタンの混合溶媒に固形分濃度が3質量%になるように分散した。
該分散液を光路長1cmの石英セルに入れて分光光度計にセットし、波長593nmの透過率を測定して、可視光透過率とした。なお、純水を満たした光路長1cmの石英セルを参照セルとして用いた。
【0071】
(フロータビリティ)
疎水性の高い粉体は水に浮遊し、沈降しないという性質がある。この現象を下記のようにして数値で表すようにした。まず、表面処理したナノ粒子を乾燥させて粉末を得た。体積比を種々変えた、水とメタノールの混合溶媒を準備した。次に、各種の混合溶媒に、前記の粉末をゆっくりと加え、沈降するかどうかを確認した。粉末が沈降し始めたときの混合溶媒中のメタノールの含有率(体積分率)をフロータビリティと定義し、記録した。
具体的には、表面処理していない親水性の高い粉末(例えば、未処理のシリカ)は、水となじみが良いのでフロータビリティは0%であることが多い。例えば、テフロンのような極めて撥水性の高い粉末は水には沈まないのでフロータビリティはほぼ100%に近い値を示す。
【0072】
(液晶組成物の調製)
キラル剤入りのフッ素系ネマティック液晶(MO−26)を用い、シリカ系ナノ粒子を所定量添加して液晶組成物を調製した。
手順としては、前記の液晶材料と有機溶媒に分散したナノ粒子分散液を所定量混合し、超音波処理によってナノ粒子を液晶中に分散させた。エバポレータを用いて前記有機溶媒を留去し、アルゴンガスで大気圧に戻した後、アセトンを加えて超音波分散とエバポレーションを行った。なおこのとき、本発明の疎水性シランカップリング剤で処理したシリカ系ナノ粒子を用いた場合は、上記分散液は完全に透明な液であった。これは、溶媒として用いたアセトンが液晶とナノ粒子の両者に対して相溶性があるためで、本発明のナノ粒子が50nm以下の一次粒子の状態で分散していることを示している。引き続き、水分の混入を防ぐために、アルゴンガスで大気圧に戻した後に液晶組成物を取り出した。
【0073】
(液晶表示素子の特性評価)
TNモード型液晶セル(セル厚:2μm、サントレーディング(株)製)に、上記で得た液晶組成物を注入して、液晶表示素子(ノーマリーホワイト)を作製した。
以上のようにして作製したTNモード型液晶表示素子の特性評価項目として、電圧保持率と閾値電圧値(Vth:液晶表示素子の可視光透過率が90%になる電圧値)、および、実効駆動電圧値(Vsat:液晶表示素子の可視光透過率が10%になる電圧値)、さらに液晶表示素子の応答速度として、ライズ時間(t:液晶表示素子の可視光透過率が90%から10%になるまでに要する時間)とフォール時間(t:液晶表示素子の可視光透過率が10%から90%になるまでに要する時間)を下記の方法により測定した。なお、電圧保持率は室温下で測定し、Vth、Vsat、応答速度は、−20℃の温度下で測定した。
電圧保持率:
液晶物性評価システム6254型((株)東陽テクニカ製)を用いて測定した。
th、Vsat
瞬間マルチ測光システムLCD−5200(大塚電子(株)製)を用いてVTグ
ラフを測定し、解析した。
、t
瞬間マルチ測光システムLCD−5200(大塚電子(株)製)を用いて、液晶
表示素子の可視光透過率を測定することによった。具体的には、周波数100H
zの前記実効駆動電圧値のバースト波を液晶表示素子に一時的に印加して、図2
に示すような可視光透過率の経時変化のグラフを得、それを解析することによっ
た。
【0074】
(原料シリカ系粒子の製造例1)
撹拌羽根付きの内容積4リットルのガラス製反応器に純水とアンモニア水(25質量%)をそれぞれ1776gおよび4.4g仕込み、反応液の温度を40℃に保持しつつ90rpmで撹拌した。
次に、2リットルの三角フラスコに、
テトラメトキシシラン[(Si(OMe)4、多摩化学工業(株)製] 304g
メタノール152g
を仕込み、アルコキシシラン溶液を調製した。
この溶液を3g/minの速度で反応液中に液中滴下してシリカナノ粒子Aを合成した。滴下終了後60分間撹拌を続けた後、溶液を取り出した。取り出した溶液は透明であった。
【0075】
続いて、限外ろ過装置(アドバンテック東洋(株)製、UHP−62Kに、同社製の分画分子量50,000のウルトラフィルターを装着)を用いて溶媒置換を行った。方法としては、メタノールによる希釈と限外ろ過装置による濃縮を繰り返し、上記のシリカナノ粒子Aを含んだ溶液の溶媒をメタノールに置換した。限外ろ過の条件は、圧力0.3MPaで10時間行った。最終的な溶液中のシリカの固形分濃度は5%になるように調整した。上記の条件で溶媒置換した分散液をガスクロマトグラフを用いて分析したところ、溶媒の99重量%以上がメタノールに置換していた。また、上記分散液のpHは、25℃で8.2であった。
【0076】
また、得られたシリカナノ粒子Aを透過型電子顕微鏡で観察した結果、粒子形状はほぼ球状で、観察した視野の範囲では粗粒は観察されなかった。平均粒子径は8.1nm、粒子径の変動係数は9.6%であった。
【0077】
(原料シリカ系粒子の製造例2)
純水の代わりにメタノールを使用し、メタノールとアンモニア水の仕込み量をそれぞれ、2091gおよび249gとし、反応液の温度を50℃、原料のテトラメトキシシランの使用量を124g、メタノールを62gとした以外は前記製造例1と同様にしてシリカナノ粒子Bを合成し、メタノールに溶媒置換した分散液を調製した。
分析の結果、粒子形状はほぼ球状で、観察した視野の範囲では粗粒は観察されず、平均粒子径は23nm、粒子径の変動係数は11.2%であった。
【0078】
(原料シリカ系粒子の製造例3)
純水の代わりにメタノールを使用し、メタノールとアンモニア水の仕込み量をそれぞれ、1161gおよび139gとし、反応液の温度を40℃、原料のテトラメトキシシランの使用量を242g、メタノールを121gとした以外は前記製造例1と同様にしてシリカナノ粒子Cを合成し、メタノールに溶媒置換した分散液を調製した。
分析の結果、粒子形状はほぼ球状で、観察した視野の範囲では粗粒は観察されなかった。平均粒子径は66nm、粒子径の変動係数は8.5%であった。
【0079】
(実施例1〜3および比較例1)
製造例1で得られたシリカナノ粒子Aのメタノール分散液を用いて、シランカップリング剤による表面処理を行った。シランカップリング剤としては、分子内にアルコキシ基を3個有するトリアルコキシシランの一種である、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシランを使用した。
【0080】
まず、撹拌羽根付きの内容積2リットルのガラス製反応器に、
固形分濃度が5%のシリカナノ粒子Aのメタノール分散液700g、
アンモニア水(25質量%)40g
を仕込み、反応液の温度を40℃に保持しつつ200rpmで撹拌した。なお、上記の組成の反応液のpHは、25℃で10.9であった。
シリカナノ粒子Aの平均粒子径(一次粒子径)は8.1nmであるので、理論比表面積は前記式を用いて370m/gと計算される。なお、シリカの密度は2.0g/cmとした。(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシランの最小被覆面積は前記の式を用いて計算すると359m/gであるので、カップリング剤の理論使用量は36.1gと計算される。
【0081】
上記理論使用量の1.2倍のカップリング剤を準備し、重量比で2倍のメタノールで希釈して撹拌した。続いて、カップリング剤に対して2倍当量の水を含むpH4の塩酸水溶液を加え、約60分間撹拌した。
なお、1時間後の上記液をGC/MSで分析したところ、原料のシランカップリング剤の92%が、アルコキシ基が加水分解してシラノール基が生成していることが確認された。
続いて、カップリング剤を含む溶液を前記の反応器に、2時間かけて液中滴下した。滴下終了後、24時間以上撹拌し続けてから溶液を取り出した。
取り出した溶液は前出の限外ろ過装置を用いて溶媒をメタノールに置換した。
上記溶液をエバポレータ装置に移し、メタノールを蒸留しながら、溶媒にイソプロピルアルコールを少しずつ添加し、溶媒をメタノールからイソプロピルアルコールに置換した。このときナノ粒子の固形分濃度は15%であった。
【0082】
次に、上記固形分濃度が15%のイソプロピルアルコール分散液とイソプロピルアルコールとn−ヘプタンを用いて、イソプロピルアルコールとn−ヘプタンの重量比が1:1、且つ、固形分濃度が3%になるようにして、3つの溶液を混合した。その結果、イソプロピルアルコールとn−ヘプタンとの1:1(重量比)混合溶媒に3質量%の濃度で表面処理シリカ系粒子が分散された分散液が準備できた。
【0083】
上記分散液の可視光透過率を測定したところ、88%であった。また、フロータビリティは55%であった。透過型電子顕微鏡で分散液中の粒子を観察したところ、前記のナノ粒子Aの製造例1で記載したのと同じ結果であった。
【0084】
続いて、上記の疎水性シランカップリング剤で処理したシリカ系ナノ粒子を用いて液晶組成物を調製した。なお、ナノ粒子の添加量としては、0.08質量%(実施例1)、0.2質量%(実施例2)、0.5質量%(実施例3)の3種類を準備し、それぞれの液晶組成物を注入した液晶表示素子を作製した。
各濃度の液晶表示素子の特性評価結果を表1に示す。なお、比較例1として、ナノ粒子を添加しなかった場合の結果も表1に併記した。
【0085】
【表1】

【0086】
以上の結果より明らかなように、本発明の液晶組成物を使用した液晶表示素子は、−20℃という低温環境において最大で20%以上もの応答速度の改善効果が確認された。また、ナノ粒子を添加しても電圧保持率がほとんど低下していないことから、本発明で使用した表面処理シリカ系粒子は、極めて高純度で(イオン性不純物を含まず)、液晶表示素子に対して悪影響を与えないことが確認された。また、ナノ粒子を添加した本発明の液晶組成物は、実効駆動電圧値も若干低下することがわかった。
【0087】
(比較例2)
カップリング剤に対して0.7倍当量の水を含むpH4の塩酸水溶液を加えた以外は、実施例1と同様にして表面処理シリカ系粒子を調製した。また、イソプロピルアルコールとn−ヘプタンとの1:1(重量比)混合溶媒に3質量%の濃度で該表面処理シリカ系粒子が分散された分散液を準備した。
その結果、上記分散液は見た目にも白濁しており、可視光透過率は18%、フロータビリティは30%であった。よって、実施例1と比較して、表面処理が不十分であることが推測された。
続いて、実施例2と同様にして液晶組成物(ナノ粒子の添加量0.2質量%)を調製し、液晶組成物を注入した液晶表示素子を作製した。
液晶表示素子の特性評価結果を表2に示す。
【0088】
(比較例3)
カップリング剤に対して3.5倍当量の水を含むpH4の塩酸水溶液を加えた以外は、実施例1と同様にして表面処理シリカ系粒子を調製した。また、イソプロピルアルコールとn−ヘプタンとの1:1(重量比)混合溶媒に3質量%の濃度で該表面処理シリカ系粒子が分散された分散液を準備した。
その結果、上記分散液の可視光透過率は43%、フロータビリティは60%であった。実施例1と比較すると、フロータビリティの値が高いことから表面処理したシリカ粒子の疎水性は高いものの、可視光透過率が低いことからナノ粒子が凝集している可能性が高いことがわかった。
続いて、実施例2と同様にして液晶組成物(ナノ粒子の添加量0.2質量%)を調製し、液晶組成物を注入した液晶表示素子を作製した。
液晶表示素子の特性評価結果を表2に示す。
【0089】
(比較例4)
反応液にアンモニア水(25質量%)を加えなかった以外は、実施例1と同様にして表面処理シリカ系粒子を調製した。なお、このときの反応液のpHは、25℃で8.2であった。また、イソプロピルアルコールとn−ヘプタンとの1:1(重量比)混合溶媒に3質量%の濃度で該表面処理シリカ系粒子が分散された分散液を準備した。
その結果、分散液は見た目にも白濁しており、可視光透過率は5%、フロータビリティは25%であった。
続いて、実施例2と同様にして液晶組成物(ナノ粒子の添加量0.2質量%)を調製し、液晶組成物を注入した液晶表示素子を作製した。
液晶表示素子の特性評価結果を表2に示す。
【0090】
【表2】

【0091】
以上のように、シランカップリング剤の表面処理の条件が本発明の範囲から外れた場合は、表面処理したシリカ系粒子の可視光透過率が80%未満となり、また、疎水性の尺度の一つであるフロータビリティの値も低かった。そのような粒子を添加した液晶組成物を使用した液晶表示素子の特性には、改善効果がほとんど認められなかった。
【0092】
(実施例4および比較例5)
シリカナノ粒子Aの代わりに、製造例2のシリカナノ粒子B(実施例4)および製造例3のシリカナノ粒子C(比較例5)を用いた以外は、実施例1と同様にして表面処理シリカ系粒子を調製した。また、イソプロピルアルコールとn−ヘプタンとの1:1(重量比)混合溶媒に3質量%の濃度で該表面処理シリカ系粒子が分散された分散液を準備した。
実施例4の分散液の可視光透過率は84%と良好であったが、比較例5の分散液の可視光透過率は49%であった。また、フロータビリティは実施例4が55%、比較例5は50%であった。
【0093】
比較例5の粒子のフロータビリティは50%と高い値を示したので、実施例1とほぼ同じ程度のカップリング剤による疎水化処理がなされていると予想されるが、ナノ粒子の粒子径が50nmよりもかなり大きいので可視光透過率が低かったものと考えられる。
続いて、実施例2と同様にして液晶組成物(ナノ粒子の添加量0.2質量%)を調製し、それぞれの液晶組成物を注入した液晶表示素子を作製した。
各液晶表示素子の特性評価結果を表3に示す。
【0094】
【表3】

【0095】
以上のように、平均粒子径が23nmのシリカナノ粒子を用いた場合は、平均粒子径が8.1nmのものと同様に優れた液晶特性を示すことがわかった。一方、平均粒子径が66nmのシリカ粒子を用いた比較例2においては、本発明で規定するイソプロピルアルコールとn−ヘプタンとの1:1(重量比)混合溶媒に3質量%の濃度で該表面処理シリカ系粒子が分散された分散液の可視光透過率は80%に達せず、また、該粒子を添加した液晶表示素子の特性改善効果が不十分であることが判明した。
【符号の説明】
【0096】
1:透明基板
3:透明導電膜
5:液晶層
7:シリカ系粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶材料と、該液晶材料100質量部当り0.01乃至5質量部のシリカ系粒子とを含み、該シリカ系粒子は、電子顕微鏡で測定して平均粒子径が1〜50nmの範囲であり、個々の粒子が疎水性シランカップリング剤により、イソプロピルアルコールとn−ヘプタンとの1:1(重量比)混合溶媒に3質量%の濃度で分散させたとき、該分散液が80%以上の可視光透過率を示すように表面処理されていることを特徴とする液晶組成物。
【請求項2】
前記疎水性シランカップリング剤が、下記式(1):
−Si(OR …(1)
式中、Rは、アルキル基、アルケニル基及びアリール基から選択された疎水性基であり、
は、アルキル基である、
で表されるトリアルコキシシランである請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項3】
前記液晶材料が、官能基としてハロゲン原子またはシアノ基を含んでおり、前記疎水性シランカップリング剤が、該液晶材料が有する官能基と同じ置換基を前記疎水性基R中に含有している請求項2に記載の液晶組成物。
【請求項4】
液晶材料と疎水性シランカップリング剤によって表面処理されたシリカ系粒子を混合する工程において、溶媒としてアセトンを使用して該液晶材料とシリカ系粒子とを分散させた後、アセトンを留去することを特徴とする請求項1〜3に記載の液晶組成物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−163588(P2010−163588A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40378(P2009−40378)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(803000115)学校法人東京理科大学 (545)
【出願人】(000003182)株式会社トクヤマ (839)
【Fターム(参考)】